バイオハザード3 ラストエスケープ

【ばいおはざーどすりー らすとえすけーぷ】

ジャンル サバイバルホラー




対応機種 プレイステーション
Windows 95/98
ドリームキャスト
ニンテンドーゲームキューブ
発売・開発元 カプコン
発売日 【PS】1999年9月22日
【Win】2000年6月16日
【DC】2000年11月16日
【GC】2003年1月23日
定価 【PS】7,140円
【Win】?円
【DC】6,090円
【GC】5,040円
廉価版 カプコレ
2003年1月23日/4,800円(税別)
配信 ゲームアーカイブス
2008年12月24日/600円
判定 良作
バイオハザードシリーズ


概要

『バイオハザード』シリーズの第3作にして、ナンバリングタイトルではPS最後の作品。
初代』の主人公・ジルを再び主人公に据え、『バイオハザード2』の舞台裏で繰り広げられたもうひとつの物語を描く*1
前2作では主人公が2人ずつ存在し、それぞれでパートナーや細部の展開が異なる方式だったが、本作では主人公はジル1人に固定されており、パートナーも新キャラのカルロスのみである。


STORY

洋館事件から生還したS.T.A.R.S.の生き残りのメンバーたちは、事件を引き起こした国際製薬会社「アンブレラ」の生体兵器開発の実態を訴え、真実を公表すべく活動を続けていたが、その努力が報われることはなかった。
ラクーンシティそのものがアンブレラのお膝元であり、ラクーン警察含めて強い癒着関係にあったため、誰もが彼らの言う「人肉を食らう化け物とその正体」を一笑に付し相手にしなかったのである。
見切りをつけたメンバーたちはアンブレラの調査のために密かにヨーロッパ各地に散っていき、メンバーの一人であるジル・バレンタインは、ただ独りラクーンシティに残り、街の内部から調査を続けていた。

調査を進めるうちに、ジルはこの街に未曾有のバイオハザードが進行していることを察知する。
しかし人々が真実に気が付いた時には既に手遅れだった。

街に蔓延るゾンビ、逃げ惑うラクーン市民。
警官隊は全滅し、アンブレラ社が送り込んだ傭兵部隊「U.B.C.S.」もゾンビの驚異的生命力の前にその多くが壊滅していく。
D小隊所属のカルロス・オリヴェイラはかろうじて仲間と共に生き残るものの、迫り来るゾンビの軍勢を前に、活路を見出すことが出来ずにいた。

一方自力での脱出を図っていたジルは、S.T.A.R.S.メンバーを付け狙う巨躯の怪物の存在に気付く。

崩壊するラクーンシティからの、「最後の逃走」が始まる。


新たな恐怖

前作で「数の恐怖」へとシフトした本シリーズ。本作ではその数の恐怖に加え、次に述べる新たなる恐怖を用意することでマンネリを見事回避した。

追われる恐怖

  • 新たな強敵として登場する「追跡者」ことネメシス-T型は、色々な意味でプレイヤーに衝撃を与えた。
    • ゲーム序盤から登場するのだが、その強さは前作のタイラント以上どころの話ではない。
      タイラント以上のタフさとプレイヤー以上の移動速度を兼ね備え、さらにロケットランチャーを遠距離攻撃手段に用いてくる。ロケットランチャーを持っていない時でも即死攻撃を持つため、油断しているとあっさり殺される。
    • 最初の遭遇では簡単に戦闘を回避可能。しかし撃退の可否を問わずその後も多くの場所で出現し、その度に執拗にこちらを追跡してくる
      その執拗さは凄まじく、部屋を出て逃げてもドアを開けて追いかけてくる。「ドアを隔てれば安心」という従来の常識を覆し、新たな恐怖の演出に成功している。
    • 登場の仕方も様々で、急に窓・扉・壁を突き破って登場したり、暗闇・死角から走り込んで来たりと、プレイヤーが驚くような演出が多い。
    • 追跡から逃げ切るには特定のエリアまで逃げ追手を撒くか、ライブセレクション(後述)で対応するか、撃退するしかない。撃退はたやすいことではないが、成功すると有用なアイテムを落とす。
    • 追跡者の進路上にゾンビなど他の敵が居た場合、それらをも殴り倒す等して排除する事がある。この点も他の敵との大きな違いで異質さが際立っている。
    • まさに名に違わぬ「追跡者」であり、登場の予兆となる不穏なBGM*2や、「S.T.A.R.S...」と低く唸りながら追いかけてくる姿がトラウマになったプレイヤーも少なくない。
      • 一方で、その厳ついビジュアルとプレイヤーに与えた衝撃から、シリーズの中でトップを争う人気クリーチャーとなった。

ランダムの恐怖

  • 一部エリアで登場する敵がランダムで変化する。
    • 「この武器を持っているから…」と安心していたら想定とは違う敵にやられる…ランダム要素の登場で、こんな死亡ケースも前作から増えた。
  • アイテムの配置やシリーズ恒例の謎解きの解答も変化するため、答えを事前に覚えて時間短縮することが難しくなった。仮に覚えていたとしても、幾つかのパターンを総当たりする必要がある。
  • 中盤以降にランダム要素は多く出現するようになり、初見のプレイヤーを戸惑わせた。

決断の恐怖

  • 追加された新要素「ライブセレクション」も、緊張感を煽る要因となっている。これは「襲いかかるピンチの際に、2つの選択肢から1つを選ぶ」というもの。どちらか一方が極端に不利な展開になることはほとんどないが、制限時間内に選択肢を選べないと、ますますピンチに陥る。
    • 例: 地震により地面が陥没するも、縁につかまり落下は免れた…だがそこに、地震で傾いた地面をつたって大きなコンテナが迫ってきた!!
      よじ登る すぐさまよじ登り、間一髪でコンテナを回避。ノーダメージで先に進む。
      飛び降りる コンテナよりも先に飛び降り、落ちた先でコンテナをかわす。ノーダメージだがタイムロスしてしまう。地震の元凶となった敵を垣間見ることができる。
      タイムオーバー コンテナの落下に巻き込まれて大ダメージ。
  • 追跡者に関するライブセレクションも複数あり、この点は相乗効果で更に緊張感を増している。
  • 選んだ選択肢によって後の展開が分岐するケースもあり、特に7回目のライブセレクションはEDに大きな変化を及ぼす。

この他にもシリーズおなじみの恐怖演出や新たな敵も恐怖を倍増させてくれる。
ファンおなじみの「ハンター」シリーズの新型や、ミミズの変異体「グレイブディガー」など、手強いクリーチャーも多い。
また、ストーリー各所で挿入されるムービーも健在で、クオリティは前作から向上している。


新システム

緊急回避

  • 相手の攻撃タイミングにあわせ、武器構え(R1orR2ボタン)か攻撃動作をすると、相手の攻撃に合わせた回避行動を取って攻撃を回避することができる。
  • ほとんどの攻撃に対応することができ、タイミングは難しいが追跡者のロケットランチャーもよけることが可能。ただし当たり判定が消えるわけではないので、壁際や広範囲攻撃に対しては回避しきれない場合もある。
  • 位置取りである程度は補えるとはいえ、追跡者等の敵は緊急回避ありきと言ってもよい動きをしてくる側面があるため、弾数さえ確保しておけば勝てるというものではない。

弾薬生成

  • 本作では道中で手に入る弾薬が少ない代わりに、「ガンパウダー」という新アイテムが各所で手に入る。これを最初から所持している「リロードツール」と組み合わせることで、各種弾薬を生成することができる。
    • ガンパウダーは単独で使うだけでなく、異なる種類のガンパウダーと組み合わせることで様々な弾薬を生成できる。
    • 弾薬を作り続けることで弾薬生成のレベルが上がり生成できる弾薬が増える、さらにレベルが一定に達するとハンドガン及びショットガンの「強化弾」を生成できるようになる。
    • 弾薬生成とは異なるもののガンパウダーとグレネードランチャーの榴弾を組み合わせて、性質の異なるグレネード弾を生成することができる。
      • またガンパウダー同士を組み合わせることで生成できる弾薬が増加したり、強力な武器の弾薬を生成できる。
  • このシステムの追加理由はゾンビやクリーチャーが蠢く街でのサバイバルという状況をよりリアルにする為という説もある。
    • これまでと違い、一般施設の搜索もあるので都合よく弾薬が置いてあるのはおかしいし、かと言って弾薬無しだと戦闘を乗り切れない。
    • そこでガンパウダー*3を回収し自分で必要な弾丸を作り出して戦闘に備えるというわけである。

オブジェクト

  • 本作で「攻撃オブジェクト」が初登場する。フィールド上に設置されたドラム缶やバルブを撃つことで、周囲の敵を爆発などで巻き込み、一掃することができる。
  • 自身もダメージを負う危険性があるが、上手に使えばハンドガンなど低火力の武器で強力なクリーチャーを撃破したり、大量の敵を一掃することができる。

その他

  • 一瞬にして進行方向を180度変えるクイックターンが追加された。方向転換の際の快適性が向上している。これは後の作品にも実装されている。
  • 階段昇降の際に扉の開閉時のような演出が入らなくなり、階段上で段差を利用して敵と戦闘することが可能になった。
  • ゾンビの中に走りゾンビが追加されている。数は多くはないものの、通常のゾンビと違いかなりのスピードで駆け込んで食らいついてくるため厄介。
  • やり込み要素として、本作に登場しないシリーズ登場人物のその後を追った「エピローグ」の収集や、エクストラコスチュームなどがあり、いずれも好評。
    • コスチュームは5種類と多く、S.T.A.R.S.制服、バイクスーツと言った従来に近い無難なものに加え、ミニスカポリス、『ディノクライシス』のレジーナの衣装と言ったはっちゃけたものも登場する。
    • ただし、低難易度であるライトモードではエピローグが見れず、コスチュームも5種類中2種類しか手に入らない。
  • 地味な変更点だが、イベントシーンのスキップが可能になったのは3から。これにより周回プレイ時も快適にプレイできる。

THE MERCENARIES OPERATION MAD JACKAL

本編クリア後に解禁されるミニゲーム。本作を語る上で外せない要素の一つである。
ミニゲーム自体は前作の「4th survivor」や、前作デュアルショック版の「Extreme Battle」があったが、やりこみ要素が導入され有名になったのは今作からだろう。
ファンから概して高評価を受け、クリア後のミニゲームはシリーズの伝統になった。

  • 作中に登場した3人の傭兵(カルロス・ミハイル・ニコライ)から1人を選び、敵を倒しつつゴールを目指す。制限時間があり、開始時点では2分だけ。ゴールを目指すには到底足りないが、敵を倒したり、緊急回避を用いることでタイムが加算されていく。
    • ゴールすると残タイムや敵撃破数などを総合した評価を受け、それに応じた賞金が与えられる。集めた賞金を消費することで、ゲーム本編で使える強力な武器を購入できる
    • 途中で死亡したり制限時間切れでゲームオーバーになった場合でも、評価の半分の賞金が手に入る。
    • 敵を連続で倒す、緊急回避から倒す、複数をまとめて倒すなどの行動でタイム加算にボーナスがかかる。
    • 道中で市民や味方を救出することでもタイムとアイテムを得ることができる。なお、アイテム類は市民の救出でしか入手できない。
      • 市民と味方隊員は設定された生存時間を過ぎると殺されてしまいアイテムは貰えなくなる。
        なお、登場する市民はゲーム中に登場したダリオ、ルチア、マービン、ブラッドの4人。
    • また、隠しポイントがマップ6ヶ所に隠されており、発見するごとにタイムが加算されていく。タイムは2秒、4秒、8秒…と増えていき、6ヶ所すべて発見すれば64秒+$100となる。
    • ちなみにゴール地点で彼らに報酬を渡すのは、旧作に登場したある人物である。
+ 傭兵3人の性能
名前 装備 特徴
カルロス・オリヴェイラ アサルトライフル
EAGLE6.0(強化ハンドガン)
ハンドガンの弾×90
調合ハーブ×3
連射系の武器と回復アイテムをバランスよく持っている。
だが終盤では火力不足に陥りやすく、唯一の強力な武器であるアサルトライフルはいかなる手段でも補充がきかない。
よって意外に戦闘回避スキルや弾薬の効率のいい使い方が求められるため、中級者向け。
ミハイル・ヴィクトール ショットガン
マグナム
ロケットランチャー(8発)
ショットガンの弾×21
マグナムの弾×18
調合ハーブ
潤沢な武装を持っており、最もクリアに近い。
ショットガンで大勢の敵をまとめて倒したり、マグナムで強力な単体に対抗したりと、汎用性に富む。
弱点は回復アイテムが一つしかないこと、ロケットランチャーで倒した敵は賞金の獲得額が3分の1に減算されてしまうこと。
ニコライ・ジノビエフ ナイフ
ハンドガン
救急スプレー×3
ブルーハーブ
装備が貧弱で、市民救出が攻略の鍵となる。ただしナイフで敵を倒すと賞金・獲得タイムに多大なボーナスがかかる。
いわば、公式にナイフプレイを推奨されたキャラクター。回復アイテムが手持ち以外一切入手できないため難度は高いが、使う人が使うと高評価をすんなり獲得できる。
ハンドガンは対攻撃オブジェクト用に見えるが、市民救出でハンドガンの強化弾が手に入るので以降は攻略の幅が広がる。
ちなみに、ニコライのナイフを振る動作はジルと異なり、『2』のレオンと同じ動作となっている。

問題点

緊急回避について

  • 今でも発生条件が曖昧なところがあり、意図的に出すのが難しい。「こちらの構え動作あるいは攻撃の瞬間と、相手の攻撃がカチ合った時に起こるのでは」と言われているが、敵によってそのタイミングは千差万別で、かなりシビア。
    • このことを理解せずに、初心者が緊急回避失敗を連発してピンチに陥る光景は発売当初多く見られた。
    • こればかりはプレイしないとわからないが、本当にシビアで分かりにくい。攻撃動作が解りやすい相手でもほぼきっかりカチ合うようにボタン入力しないと成功しない。
  • 一方で、意図的に出せるようになると非常に強力なスキルと化す。「バランスを崩壊させている」という批判の声が出るほど。
    • 上級プレイヤーの中には緊急回避を連発してゾンビを一箇所に押し込んだり、敵の攻撃をかわしきって追跡者でさえノーダメージで倒すツワモノも。
    • そもそも、アクション性に比重が寄った作品においてアクションが上達すれば有利になるというのはバランス崩壊でも何でもない。入力に全くシビアさが無く、誰でも簡単にできるのであれば明確なバランス崩壊だと言えるだろうが…
      • どちらかというとこれによるバランス崩壊と呼べることが起きたのは、本編より「THE MERCENARIES OPERATION」で、ある地点で無限に緊急回避を続けられる(タイムロス<残りタイム加算)ポイントがあり、ここで無限にタイムを稼げてしまうので稼げるまで稼いでゴールすれば莫大な賞金が入るという問題が起きた。
        ただこれは「緊急回避の問題点」というより、「緊急回避で残りタイム加算が入ってしまう仕様」の問題というほうが近いだろう。
  • 主に特定の敵に壁際に追い詰められた際に「敵に攻撃しようとする → 敵の攻撃とかち合って緊急回避 → 改めて攻撃しようとする → 敵の攻撃とかち合って緊急回避 → 攻撃しようと~」というループが起こることがある。こうなるとこちらの攻撃がきっちり発動するのを待つしかない。
  • 回避を完了すると強制的に攻撃の構え動作に移るため、回避の意味がなくなる場面も*4
  • 以降の作品で緊急回避が採用されたのは長らく『ガンサバイバー4』のみ*5であったが、『リベレーションズ』で久々に搭載された。

難易度について

  • 追跡者の存在
    • 全編に渡って登場する敵ながら、前述のようにかなりの強敵。前々作のタイラントや前作のGが霞んで見えるほどである。耐久力や遠距離攻撃もさることながら、近距離攻撃の踏み込みが深く緊急回避でも避けきれない場合があるのも厄介。
    • 正直、ドロップアイテムと戦闘のリスクが明らかに釣り合っていない
      • ドロップアイテムを落とす全てのケースにおいて戦闘を強制させられる事はないため、やり込みやチャレンジといった要素が強い。また、無視して逃げるわけにもいかないケースもあるのだが、この場合ドロップアイテムは落とさない。
      • 因みにドロップアイテムの内、既存の武器の強化版に当たる「EAGLE6.0(強化ハンドガン)」と「ウエスタンカスタム(速射ショットガン)」は、2つのパーツを組み合わせてようやく武器になる仕様である。頑張れば序盤に手に入るEAGLEはともかく、ウエスタンカスタム入手にはかなりの労力を要する。
    • 序盤から登場することもあって、詰むなどと言う前に立ち往生してしまうプレイヤーも多かっただろう。
  • ミニゲームの難度もかなり高く、残タイムに応じて適切な行動を取らないと慣れないうちはしょっちゅう爆死することになる。
  • ただ、低難易度のライトモード*6もあるため、ハードルはむしろ低い。
    • ただし、上述した通りライトモードはクリアしてもクリア特典が一部解放されないため注意が必要。
      • ライトモードでは追跡者のドロップアイテムも入手できない。

武器の優遇・不遇

  • グレネードランチャーが強力すぎる。弾速がやや遅いのが欠点だが、「運がよければ序盤で入手可能、高威力・爆風あり・装填弾数上限が250発と極端に多い*7・弾薬を入手しやすい・ガンパウダーとの組み合わせで様々な弾丸を生成できるため汎用性が高い」と、欠点を帳消しにして余りある利点を持つ。
    • 中盤以降頻出するハンター系に有効な火炎弾、中ボス・グレイブディガーに有効な硫酸弾、敵を凍結して一瞬動きを止められる上追跡者に対し有効な冷凍弾と、弾丸のバリエーションはどれも有用。
    • 今作は敵の配置やアイテムがランダムである事と後述の弾薬生成の問題の為に、尚更汎用性が高いという利点が生きる事となる。おかげでシリーズ伝統の高威力武器であるマグナムやショットガンの立場を奪っているという声も聞かれるほど。
  • ショットガンは上記の通りグレネードランチャーと比べて遅れをとる。威力はそこそこ、弾が拡散する為に雑魚戦では複数の敵を巻き込めて当てやすく便利だが遠距離時の威力低下のデメリットも持ち、それがボス戦では欠点となる。
    • ただし序盤に入手可能、ガンパウダーB単品でも弾薬が生成可能、強化弾による威力強化が可能と言った長所があるのでグレネードランチャーを上手く当てられないプレイヤーには選択の余地がある。
  • マグナムは今作では悲惨な扱いである。グレネードランチャーとマグナムは序盤のある場所でランダムでどちらかが手に入り、手に入らなかった方は中盤で取得可能なのだが、序盤でマグナムが出るとハズレ扱いされる。
    • と、言うのもマグナムの弾薬生成には大量のガンパウダーが必要(後述)で配置弾薬は終盤に12発しかない為、序盤で入手してもアイテムボックスの肥やしとなるのが関の山であるからである。
      事実最速攻略用のガイドブックの中には、「ここでマグナムが出たらリセットしよう」と明記されているものがある。
    • 一応フォローはしておくと、威力自体はシリーズ伝統に恥じない高さを誇る。さらにグレネードランチャーと違ってハンターなどの素早い敵も遠距離から確実に仕留められ、即死攻撃のリスクを減らせるメリットもある。
      • マインスロアー以外の武器とある程度の弾薬が最初からアイテムボックスに入っているライトモードならメリットの恩恵を受けやすくなっている。そういう意味ではこれより下記の武器よりはマシかもしれない。
  • 前述の通り追跡者撃破で入手できる武装は、基本的にリスクに釣り合っていない。
    • ハンドガン「EAGLE6.0」は強化弾を使用できない代わりに連射・リロードが速く、クリティカル時にはマグナムと同等の威力になるなど悪くない。しかし序盤の内に追跡者を撃破してパーツを揃えなければ、入手できるのはハンドガンの弾が手に入りにくい中盤以降になってしまう*8
    • 「ウエスタンカスタム」は連射の速いショットガンだが、装弾数減及び射角調整不可のデメリットが痛い。
      また「追跡者を5回撃破する」という入手条件もネック。これを達成できるのは終盤近くであり、他に強い武器がいくらでもある。
      唯一利点と言えるのは「次段装填時のモーションが専用のものになっていて格好いい*9」ぐらい。
    • アサルトライフルはカルロスパートの主力武装だが、ヘビーモードでジルが使えるようにするには追跡者を7回、つまりほぼ毎回撃退する必要があり、その上予備の弾は無く弾薬生成もできない。しかも入手は1周目限定。
    • 2周目以降は「無限弾」に置き換わるが、後述のマーセナリーズ特典と違い一つの武器にしか適用できない。
  • ヘビーモード(標準難易度)限定で手に入るゲームオリジナル武器「マインスロアー」もかなり使いづらい。
    • 発射した弾が対象に突き刺さると数秒後に爆発する。上手く使えば複数の敵をまとめて倒せるが、素早い敵に撃ち込むと自爆しやすい。また、一度弾を装填すると弾を撃ちきらないと再装填できないため、アイテム欄を余分に使うことになる。そして何より弾の入手機会がごく僅かであり、生成もできない。
      • 無限化を行うと「マインスロアー改*10」に強化されるが、それができるのは2周目以降。「追跡者を7回倒す」「マーセナリーズの景品で無限化する」のどちらにせよ、達成可能なプレイヤーがこの武器にこだわる必要はないだろう。
    • 武器自体はこれまでにない設置型銃器であり、ユニークな武器であったのだがプレイヤー側の性能に制約が多く、敵に対しては逃げるか先手必勝が基本の旧『バイオハザード』のシステムにはマッチしていなかったのが不評とされた理由だと思われる。
      • 公式にもそのように判断されたのか、旧『バイオハザード』の系列である『コードベロニカ』『バイオハザード0』には登場せず、再登場はフルモデルチェンジ後の『4』を待つことになる。
  • マーセナリーズ景品の「無限ガトリングガン」が微妙。
    • 単発当たりの威力は1.5倍とアサルトライフルよりやや高めに設定されているが、そもそも単発威力が低めの連射武器という都合からそこまで大差が現れない。
    • また発射までにタイムラグがあってとっさに対応できないという点で、むしろアサルトライフルより使いづらい面もある。

弾薬生成システムの練り込み不足

  • 強化弾が生成可能になるためには、対応する弾薬を一定回数生成する必要がある。しかしその必要回数が多く、結局強化弾が生成可能になるのは終盤近くになってしまう。その頃には普通は他の武器が主力となっている。さらに、強化弾が追跡者撃退で手に入る強化型武器(EAGLE6.0、ウエスタンカスタム)に使えないのも痛い。
    • 強化弾の性能自体が「威力は上がるが隙が大きくなる」というものであるため、他の武器と役割が殆ど被ってしまっている。ハンドガンの威力アップなど高が知れており、ショットガンは元々の威力が高い上に途中からは雑魚敵の処理が中心になるため、むしろデメリットの方が目立ってしまう。
    • そもそも前述のグレネードランチャーで敵の弱点を突けるため、強化弾がなくても全く困らない。
      • 逆に不慣れなプレイヤーは弾薬生成で生成できる弾薬や、プレイ進行による武器選択の必要性(メイン武器やボス専用武器の選別)を理解できず*11、行き当たりばったりでハンドガンやショットガンの弾を大量に生成してしまうと言ったことも起こりうる。
    • 入手するガンパウダーAをすべてハンドガンの弾にするようにすれば、強化弾が作れるようになるのはそれほど後のほうにはならない。
    • あるていど腕があれば、ハンドガン強化弾とナイフでシャープに戦っていく戦術をとることで消費するガンパウダーは節約できるし、余った分を属性グレネード弾の生成にまわしてボス戦に使うということができるので、使いようによってはメリットはある。
  • ガンパウダーは複数個が固まって置かれている場合が多く、アイテム所持欄が圧迫されてしまう場合が多い。
    • そして弾薬生成にはリロードツール(初期アイテム)が必要であり、これは常時持ち歩くようなアイテムではない。普段はアイテムボックスに入れておき、必要になったら取り出す展開になりがちで、弾薬生成の手間を増やしている。ガンパウダーが基本的にセーブポイントへ配置される事が救いか。
      • ただし、グレネードランチャーの火炎弾・硫酸弾・冷凍弾は、リロードツールがなくても炸裂弾とガンパウダーの組み合わせ(ただし、調合時に炸裂弾を6発消費するので、同一種を調合したガンパウダー(AAやBB等)を用いなければ弾数が増えずジリ貧になってしまう。))で生成可能。炸裂弾自体がそれなりに拾える上、いざとなればガンパウダーCとリロードツールの組み合わせで生成可能。
      • 一方、グレネードランチャーと対比されているマグナムはCを3つ組み合わせたCCCでのみ生成可能(要リロードツール)とますます格差を生み出してしまっている。
  • サバイバルという点を設定的にも強調できて、改善次第ではプレイ進行の調整もでき伸びしろがありそうなシステムであるが…。
    • やはりバランス調整の難点などが強いためか、次回作以降は旧来の仕様に逆戻りし、『4』のフルモデルチェンジで敵からのドロップなどのゲーム的に最適化、『7』の2度目の変更でまた各地への配置にと変遷。
      • その『7』において回復アイテムも含めたクラフトシステムとしてガンパウダーによる弾薬生成が久々の登場を果たし、本作同様の「ガンパウダー同士の調合による複数種類の弾薬生成」の再度の実装は、本作から実に20年が経過した『RE:2』まで待つことになる。

無限弾の仕様

  • マーセナリーズの景品に「無限弾」という、本編の武器から弾数の概念をなくすアイテムがある。遊び要素に近いアイテムなのだが、一度購入して本編に適用してしまうと、通常の仕様に戻せない。通常のゲームをしたい場合は、もう1つデータを作る必要がある。
    • この「無限弾」は『バイオハザード0』や『5』にも登場。『5』では適用後も無限弾を使用するかどうかが選択可能になった。

その他

  • 「イベントシーンで各キャラが部屋を出入りする瞬間、必ずカメラから外れる」「追跡者が画面内の扉から侵入してこない」「一本道で追跡者に先回りされる事がある」「カルロスが礼拝堂のジルにワクチンを打つ間、何故か追跡者が襲ってこない*12」「小さめの脚立を持ち上げずに肩で押す」「障害物の周囲に乗り越えられそうなスペースがあるのに、女の力では押せないと諦める」など、ハードスペックによる表現の限界が複数見られる。

総評

多くの新要素や徹底した恐怖演出で、危惧されていたマンネリ化を見事に避けた名作。クリア後のミニゲームなど、後の作品に引き継がれた要素も多い。
発売当初こそ賛否両論を呼んだが現在では多くのファンから好意的に受け止められている。
ゲームアーカイブスでもDL販売*13されているので未体験の人は是非。


小ネタ

前作と同様に本作にもクスリと笑いを誘うネタ(制作側にそのつもりはないのだろうが…)が各所にちりばめられている。

+ ニコライの生命力(エンディングに関するネタバレあり)
  • 本ゲーム中に登場するU.B.C.S.の傭兵の1人であるニコライは、作中屈指の生命力を誇ることをネタにされる。
    • ガソリンスタンドの大爆発の中から何事もなかったかのように生還。彼が爆発に巻き込まれるシーンはしっかり描写されているのだが…。
    • 製薬会社に詰めかけたゾンビに取り囲まれて死んだかと思われたが、何事もなかったかのように生還
      • 別室にいるジルがニコライの悲鳴を聞いた直後、大量のゾンビが別室に侵入。ニコライのいた場所には、血だまりで故障した端末が落ちているだけ*14…という演出である。
        これを見たプレイヤーの多くはニコライの死を疑わないだろうし、ジルも「ニコライは戻らないわ」とカルロスに告げている。
    • 危険地帯を突破するための鉄道車両に乗り遅れたが、何事もなかったかのように先回り
      • 市街地から時計塔までの道のりを単独突破し、ジル達を追い抜いて病院へ辿り着くというタフネスぶり。
    • 病院の4階から飛び降り、何事もなかったかのように生還。お前はジャック・バウアーか。
    • 彼の最終的な生死はプレイによって異なり、ルート次第では追跡者に殺されたり、生身のジルにヘリを撃墜されて死亡する展開もある。
      • しかし『ガンサバイバー*15のある資料から彼が生き残るルートが正史らしいことが判明している。さすがである。
    • パラレルワールドである『オペレーション・ラクーンシティ』では演出の都合上頭をいくら撃ちぬかれても死なない、まさに無敵の肉体を手に入れた。誰かこいつを止めろ。
    • 本人かどうかは分からないが、『アウトブレイク』の「決意」シナリオにてタナトスを狙撃し、グレッグを殺害したU.B.C.S隊員がニコライにそっくりである。
    • 後のシリーズ作品に登場した際の容姿が ダウンタウンの松ちゃんに似ている とネタにされることもある。
  • 他にも、「ロケットランチャーの直撃に耐えるジル(私服・露出多め)」「ダリオの遺書*16」「宝石を嵌めこまないと開かないラクーン市庁の正門」「病院のワクチン生成の不可解な仕掛け」「何故か弾道ミサイルの飛来を感知するレーダーが置かれている廃棄物処理施設」「都合よく米軍の巨大レールガンが運び込まれている*17最終決戦の地」など、ファンからネタにされる要素は多い。
    • 廃棄物処理施設はアンブレラが管理する施設なので立ち寄った工作員が置いていった可能性があり、レールガンに関してはこの地でタイラントと交戦した米軍が持ち込んだという設定になっている(その名残はある程度描写されている)。
    • ただし、アンブレラが関与しない一般施設であるはずの市役所にも、奇妙な仕掛けの施された銅像がある*18。これについて一部の攻略本で「胡散臭い市役所だ」と書かれており、『コードベロニカ』の特典DVDでは各作品のディレクターやプログラマーまで「あれ見たときは『なんでやねん!』って思った」とツッコミを入れている。
      • 一応「市長はアンブレラと繋がっており、その裏金で街を発展させていた」という公式設定がある。また『前作』のブライアン所長も、裏金を使って警察署内に複数の仕掛けを施していた。彼らのおかしな趣味はアンブレラ譲りなのかもしれない。
      • …が、後の『OUTBREAK』ではバー、ホテル、動物園、地下鉄駅などの一般施設までもが凝ったギミックや頑丈なセキュリティを張り巡らせている。最早ラクーンシティでは珍しくもない当たり前の光景らしい。
      • ちなみに市長はバイオハザード発生後、娘と街を見捨てて逃げ出し軍に保護されたとのこと。胸糞である。
      • そしてその娘は前作のクレア編(シナリオ表/裏問わず)で死亡が確認されている。ブライアン署長曰く「剥製にして眺めたい位に容姿が美しい」との事。それがまさか20年以上の時を経てプレイアブルキャラになるとは誰が予想出来ただろうか。
  • また、モーション関連でもちょっとしたおまけ要素が幾つかある。
    • 重くて動かせない鐘(上記の「女の力では無理」な障害物)を無理に押そうとすると、やっぱり無理でいじけたジルが鐘を蹴る。低確率で待機モーションにてジルが欠伸をする。神経図太過ぎ。終盤のゾンビに囲まれるシーンで武器を装備していないと、素手でファイティングポーズを取る。など、所々でお茶面なジルさんを見ることができる。
  • ジルの初期装備のハンドガンは「サムライエッジ」という「S.T.A.R.S」専用にカスタマイズされたハンドガンという設定。後の作品にもたびたび登場する。
    • さらにモデルガンメーカー「東京マルイ」がカプコンとコラボレーションを行い、「サムライエッジ」が実際にガスガンとして発売された。
  • 本作には2ヶ月前に発売された『ディノクライシス』のPVが収録されており、タイトル画面から閲覧できる。
    • 上述したように、本作のエクストラコスチュームも『ディノクライシス』の主人公・レジーナの衣装がある。しかも服装だけではなく髪色までレジーナのものに変わる。
  • シリーズで初めて、ロケットランチャーがイベント入手武器でなくなった。
    • 本作のロケットランチャーは特定の条件を満たして入手する普通の武器の扱いになっており、ラスボスのトドメにも用いる必要がなくなっている。
  • アーケードゲーム『MARVEL VS. CAPCOM 2』にてジルがカプコン側キャラとして参戦。恰好など基本的には初代の要素が強いが、技に「緊急回避」が3種類ある。
    • 「緊急回避」はジルが背後から襲い掛かる何かに気づき避けるモーションをすると(しないものもある)、それぞれゾンビ/ゾンビ犬/カラスが彼女の近くを通り過ぎて相手へと向かうというもの。実質的には『バイオハザード』シリーズの敵を召喚して相手を攻撃する技となっている。
    • その後、続編の『ULTIMATE MARVEL VS. CAPCOM 3』では『5』仕様のジルが参戦したが、DLCコスチュームで本作『3』の衣装を再現したものが配信。ただし『5』ジルの特徴である胸元の洗脳装置はそのまま。

余談

  • 本作は元々『2』の前日譚を描くスピンオフとして企画されていたのだが、カプコン側の方針でナンバリングになったという経緯がある。
    • 当時は本作と別に「3」が開発されており、そちらは「ハンクがバイオハザードの発生した豪華客船からウイルスのサンプルを回収する」という内容だったらしく、スタッフからは「船バイオ」と呼称されていた。
    • しかし、スピンオフとして開発していた本作の方が前作『2』と繋がりがあり、ナンバリング作品として相応しいというカプコンの判断から本作が正式な『3』として発売に至った。
    • 本作のタイトルコールは前作とは違って、ナンバリングは読み上げず、「バイオハザード」のみとなっている。例外としてゲームキューブ版のみ、ボイス変更に伴いナンバリングである「3(スリー)」もコールされるようになった
  • 本作における低難易度版のライトモードであるが、説明書に「気軽に遊べる難易度」と書かれている通り、ゲーム開始時点でアサルトライフル所持、マグナム取得済み、インクリボンが無限と、やり過ぎとも言える難易度の低さである。
    • そのため、「ベビーモード」「サバイバルホラーがピクニックゲームになる」などと評されたことも。

その後の展開

  • 2020年4月3日にリメイク版『バイオハザード RE:3』がPS4/One/Winで発売された。
    • RE:2』同様『7』のために開発されたRE ENGINEを使用したフォトリアルなグラフィックとなり、視点も固定カメラから『4』以降の主流であるビハインドビュー形式へと変化している。詳細は作品ページを参照。

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最終更新:2024年01月14日 23:08

*1 前作では既にバイオハザードが起きているラクーンシティに訪れた主人公達が、街を脱出するまでを描いていたのに対し、本作ではバイオハザード発生直後から、ミサイルによってラクーンシティが消滅するまでが描かれる。

*2 追われている最中に休憩所に入ると、踏み込んでこそ来ないものの、一時の安らぎを与えてくれる休憩所のBGMすらも「外に奴が居る…」と言わんばかりの恐怖心を煽り立てるものに変わってしまう。

*3 当然、純正の物ではなくそれに準ずるものだと思われるが。

*4 ただし、回避動作中に武器構えボタンをもう一回押すことで、構え動作をキャンセルしてすぐに移動に移るテクニックが存在する。

*5 『4』などにもボタン入力による回避があったが、実質QTEであった。

*6 ほぼ全ての武器弾薬を最初から所持、体力が増えている、敵が弱体化しているなど。

*7 もちろん実際に250発装填できるわけではなく、アイテム欄一枠分にスタックできるというゲーム的な意味合い。事実作中の射撃モーションでも、一発ごとに弾を込め直している。これは弾薬種類が多いために所持アイテム数を圧迫することの救済処置と見られ、『2』『CODE: Veronica』などでも同様の仕様である。

*8 追跡者に関するライブセレクションのみでドロップアイテムを入手していった場合にも同様の入手時期となる。

*9 映画『ターミネーター2』の様に銃本体を回転させる。

*10 追尾+貫通効果が付与され、爆発までのタイムラグもなくなる。

*11 特に今作では純粋な入手弾薬も少なくかつランダム、エリアがかなり広く動き回ることが多いので尚更である。

*12 追跡者は道中の扉を壊すことができる。また、カルロスを見失うと礼拝堂へ向かう事から、ジルの居場所を知っていると思われる。

*13 規制関係か若干の修正あり。例えばPS版では病院内でハンターがゾンビの首を切り落とすシーンがあるが、DL版では首が落ちなくなっている。

*14 直前でニコライが殺害した同僚(ゾンビ化の兆候あり)の遺体も消えている。

*15 『アンブレラ・クロニクルズ』でも登場する。

*16 冒頭で倉庫のコンテナに閉じこもった人物の日記。『アンブレラ・クロニクルズ』でも登場する。

*17 これに関しては『オペレーション・ラクーンシティ』で理由が明かされている。また『3』の時点でも同様の裏設定がある。

*18 銅像からブロンズの本を取り外し、別の場所にあるブロンズの羅針盤(入手時の仕掛けを解くにはブロンズの本が必要)を代わりに置くと、銅像が回って建設現場のエレベーターに使えるバッテリーが出てくる。