このページでは、PS用ソフト『ドラゴンクエスト・キャラクターズ トルネコの大冒険2 ~不思議のダンジョン~』と、
そのGBA移植作『ドラゴンクエスト・キャラクターズ トルネコの大冒険2アドバンス ~不思議のダンジョン~』の2作品について紹介しています。



ドラゴンクエスト・キャラクターズ トルネコの大冒険2 ~不思議のダンジョン~

【どらごんくえすときゃらくたーず とるねこのだいぼうけんつー ふしぎのだんじょん】

ジャンル ローグライク(ダンジョン)RPG
高解像度で見る 裏を見る
対応機種 プレイステーション
発売元 エニックス
開発元 チュンソフト、マトリックス
発売日 1999年9月15日
定価 6,800円
判定 良作
ドラゴンクエストシリーズ
不思議のダンジョンシリーズ

概要

ローグライクゲームというマニア向けのジャンルを世間一般に広めた『トルネコ』シリーズの2作目。
弟分である『風来のシレン』シリーズからのシステムの逆輸入や、ドラクエらしい要素の組み込みが行われている。

ストーリー

不思議のダンジョンの奥にあると言われていた「しあわせの箱」。
それを手に入れた人は、しあわせになると伝えられている不思議な箱。
かつて、多くの人がその箱を求めて不思議なダンジョンにもぐり、
誰一人、その箱を見つけることはできませんでした。

だが、あるとき、世界一の武器商人をめざすトルネコが、ついにその「しあわせの箱」を探し当てたのです。

こうして、トルネコとその一家はもちろん、村の人も王様も、みんなしあわせになりました。

しかし、その平和でしあわせな日々も、長くは続きませんでした。
トルネコが「しあわせの箱」を持ち帰ってから半年、各地で様々な異変が起こり始め、
地上にもモンスターの姿を見かけるようになったのです。
こうして、トルネコは、再び冒険に出かけるのでした。

(取扱説明書より)

特徴

  • 風来のシレン』で登場した「合成」「ダンジョンの中の店」などを取り入れるとともに、モンスターやアイテムの種類が激増。前作と比べて大幅にボリュームが増えた。
  • トルネコ本来の職業である「商人」だけでなく、「戦士」「魔法使い」の2つの職業に転職できるようになった。
    • 戦士は多彩な「技」を会得・使用して戦う。一方で、指輪や杖・巻物といった魔法にまつわるアイテムは使えない*1
      • 技は一定の条件下で修得できる。会得した技は武器や盾に「セット」し、満腹度を消費して使用する。
      • 1度習得した技は忘れないが、その分技が少ないと行動のバリエーションに乏しいため、地道な準備を要する。
      • また、1度セットした技は冒険が終了するまで外すことが出来ず、技がセットされた装備は壊れる可能性があるので注意が必要。
    • 魔法使いは「呪文」を用いて戦う。一方で、指輪以外の装備品が使用できない。
      • 魔法はレベルアップするごとにランダムで修得し、MPではなくHPを消費して唱えることが出来る。
      • 戦士と異なり、1度覚えた魔法でもダンジョンを出ると使えなくなってしまう*2
      • ワナや状態異常にかかるとランダムで魔法を1つ忘れてしまう。また、魔法を使用するモンスターには魔法のダメージが通らないため、かなり倒しづらい*3
    • それぞれの職業に専用のダンジョンがあるほか、転職した状態で共通のダンジョンに挑むこともできる。
      • 同じダンジョンでも、職業によって難易度や攻略方法が大きく変わるので、1つのダンジョンを3度楽しむことが出来る。
  • ダンジョン内教会と天罰
    • ダンジョン内にランダムで教会が登場し、神父に寄付金を支払うことでトルネコの手助けをしてくれる。
      内訳は、ダンジョン脱出、体力回復、毒消し、呪いの解呪の4つ。また、お願いすると稀にパンを恵んでくれる。
      • 基本的に1度に1つしかお願いできないが、神父に向かって分裂の杖を振ると神父が分裂し、増やした分だけお願いを聞いてもらえる。体力回復のお願いはHP満タン時にすれば最大値が上がるので、これを利用しての体力増強も可能。封印の杖を振った場合はお願いを聞いてもらえなくなってしまう。
    • 「神父に攻撃して倒す」「出現地点に存在する祭壇の十字架をつるはしで壊す」のいずれかの行動をとった場合、天罰が下って大ダメージを食らう。
      トルネコが天罰を食らうと残りHP1に(この状態で再び天罰を食らうと死ぬ)なり、モンスターが天罰を食らうと即死する。
      • 「トルネコがアイテムを使って神父を倒した」「トルネコが敵の特殊行動で状態異常に陥った状態で神父を倒した」「モンスターの攻撃で十字架が破壊された」も容赦なく天罰が下る。その一方で、「敵を状態異常に陥らせて神父に攻撃するよう仕向けて倒した」という場合はトルネコに天罰が下ることはない。
    • 願いを叶え終えた後の神父も普通に天罰を下してくるので、これを利用して神父を壁役にし、その場から動かずに遠距離攻撃を行う敵を一方的に天罰で倒してもらうという荒業も可能。ただし、天罰の効果範囲は爆弾岩の爆発と同じで、なおかつ爆弾岩の誘爆も引き起こすので要注意。
    • 出現範囲は本編クリア前ダンジョンの「トロ遺跡」及び「不思議のダンジョン50階まで」。
  • セーブ仕様の変更と中断システム
    • PSはセーブデータのアクセスの仕様の性質上、前作のような1行動の度にオートセーブが困難なため、村の中では自宅の机に置いてある冒険の書、ダンジョンの中では階を降りると時々登場する中断ポイントと(登場しないダンジョンもあるが)、後述の「中断の巻物」というアイテムを用いて手動でセーブをすることとなる。
    • 最後にセーブした場所が村の中の場合は、ダンジョンに突入して倒れても、セーブせずにすぐさま電源を切ることで、ダンジョンに挑戦する前にまで戻すことが出来る。その為、「試練の館」という1Fから強いモンスターが登場するダンジョンのモンスターからの猛攻に、自分の装備で耐えることが出来るかどうかを気楽に検証することが出来る。
    • 最後にセーブした場所がダンジョンの中の場合は、1回目は中断データから復帰出来るが、2回目からは再開出来ないように出来ている。村に帰るまで、次々と中断を繰り返して最深部へ辿り着く必要がある。
    • なお、PS1のセーブデータ自体はコピーや移動禁止設定はないので、ユーティリティ画面から他のメモリーカードへコピーは可能。

評価点

  • 『シレン』シリーズであった「初心者への配慮のなさ」を反省したためか、他のシリーズと比べると序盤のダンジョンの難易度は低め。
    • 他のシリーズをプレイ済みのプレイヤーには多少物足りなさを感じさせる部分もあるが、初心者にはやさしいため、このシリーズを初めてプレイする人にオススメ。
    • ストーリーで挑むダンジョンは特定のアイテムや要素に重点を置いて作られている。そのため、ゲームの進行に応じてアイテムやお店の使い方を学ぶことが可能。
      • 例えば最初のダンジョンはこのゲームにおける基本中の基本要素、次のダンジョンでは矢、次のダンジョンでは杖、次のダンジョンでは草・種…といった感じ。
    • 未識別アイテムの識別方法、モンスターハウスへの対処、泥棒の方法などの覚えておくべき情報も、ゲームの進行につれて村人が教えてくれたり、前作と同様に最初のダンジョンで何度も倒れていると強力な装備をもらえたりなど、救済策も多い。
  • 前作では32種類しかいなかったモンスターも、本作では100種類以上に増加。
    • 「スライム」や「くさった死体」などの前作から続投のモンスターにも、色違いの上位種が追加され、多種多様なモンスターが襲い掛かってくる。
    • 本編では地味なモンスターだった「バーサーカー」や「ドッグスナイパー」が、本作では強烈な個性を得て一躍有名になった。
  • モンスターからの入手経験値が全体的に増加しレベル上げがしやすくなった。
  • 『風来のシレン』にあった「足元」コマンドの搭載。
    • 前作ではアイテムを限界まで所持している場合、落ちているアイテムのその場での使用や手持ちのアイテムとの交換が不可能だったが、このコマンドで可能になった。
  • 再挑戦機能が実装された。
    • 「ダンジョンに失敗した後に選択肢で『はい』を選べばすぐに再挑戦できる」という仕様で、一々ダンジョンの入り口に戻る手間が省けるようになった。
    • 便利な仕様だが、後に出た『風来のシレン』シリーズでは何故か採用されていない場合があった。
  • あきらめるコマンドが逆輸入された。
    • シレンシリーズの「渓谷の宿場に戻る」コマンドがパワーアップし、中断してタイトル画面に戻らなくともダンジョン内からすぐに諦めることが出来る。
    • メニュー画面の作戦コマンドから選択すればその冒険は失敗、いつでも最初に戻れるようになる。
    • 序盤でいい装備が欲しい時に使える便利なコマンドであり、硬派なユーザーからは喜ばれた。
    • あきらめるを選んだ後にも、上記の再挑戦機能が使えるという仕様も嬉しいところ。
  • 1度クリアした「不思議のダンジョン」は27Fから100Fに大幅拡大。このシリーズで最も重要とも言える、エンディング後のお楽しみ要素も多い。
    • また、特定のフロアにはカギがないと入れない宝物庫があり、罠や仕掛けを解ければ強力なアイテムを入手可能。
    • レアアイテムを1個入手しても、それを捨てない限りは同じ場所に別のアイテムが置かれるため、クリアしても何度も挑む気にさせてくれる。
  • 1Fから強いモンスターが出現するが、道具をいくらでも持ち込めるため、持ち込んだ強力な装備で勝負するダンジョン「試練の館」が登場。
    • これにより、『風来のシレン』の難点だった「強力な装備を作っても試す場所がない」問題を解決。以降、全作品でのこのタイプのダンジョンの基礎となった。
    • ちなみにこのダンジョン、ダンジョン内ではアイテムがほとんど落ちていないのだが、アイテム全てが未識別設定となっている。
      • 黄金シリーズを持ち込むことで手軽に確認することが可能。未識別のパンが出てくるダンジョンはここくらいのものである。
  • そして、この系統のゲームの本編とすら言われる「もっと不思議のダンジョン」も、もちろん健在。
    • 他のシリーズと比較すると難易度の低い「もっと不思議」と言われているが、アイテムやモンスターの配置バランスは良く、「もっと不思議」の基礎を学べる。
  • お金を預けられる上に預けた金額が一定量になるたびにアイテムをくれる「銀行」など、後のシリーズでも欠かせないシステムも登場し、プレイの幅がひろがった。
  • シレンGB1』にあった冒険中に起きた珍しい出来事を確認できる機能*4が、ダンジョンのクリア回数といった新たな項目が追加されて逆輸入された。
    • なお、今作ではこれらを確認する画面「冒険の記録」と、クリアキャンペーンの際に使用するパスワードを管理する画面「パスワード」が分割されているが、シレンGBではこれらの機能は「パスワード」という名前で同じ画面でまとめて管理されていた。
  • BGMは、すぎやまこういち氏自身のアレンジによるトルネコの大冒険~音楽の化学~のCDから採用されている。
    • 初代でお馴染みのBGMが全てアレンジ版で流れる。また、本作独自の新規BGMもきちんとある。
    • CD音源の流用のため、フェードアウトして終了して数秒間経ってから最初から再生されるようになっているが、アレンジ音源だけに聴き応えは抜群。

問題点

  • 若干テンポが悪い。
    • トゲトゲ床の上にあるアイテムを拾おうとした場合、トゲトゲ床によるダメージのメッセージがワンテンポ遅れて表示される。
    • 同じ敵に連続で矢を撃つ際、メッセージ欄が詰まり気味になるため2発目以降はテンポが悪い。
    • 魔法使いはエフェクトが長い呪文が多く、中盤以降は魔法を2~3回使って1匹の敵を倒すケースが多くなるため、戦闘にかかる時間が長引きやすい。
  • 村や倉庫では一切道具を使えない。保存の壺の中身を取り出すこともできない。
    • 中身のアイテムごと壺を預けることもできない。預けようとすると、強制的にその壺を割って中身の道具を預ける事になる。
    • バイキルトの巻物などを使ったり壺から中身を取り出したいときは、リレミトの巻物を持ってダンジョンに入って道具を使うしかない。
  • 「壁を壊せる」「壊れない」「物質系の敵を一撃で倒せる」の3つの能力を持つ「黄金のつるはし」が、実際には何の能力もない剣になっているバグがある。
    • 発売当時は、黄金のつるはしを倉庫に入れてあるデータが入ったメモリーカードをチュンソフトに送れば修正して貰えた。現在はこのバグの対応はされていない模様。
    • このバグが付いた黄金のつるはしでは、冒険の記録の「合成して素晴らしい剣をつくった」が達成できない。
  • 武器の強さは198(ロトの剣+99)まで上げられるが、実際は敵の防御力ごとにダメージ上限値が設定されており、ある水準以上にダメージを与えることはできない。
    • 例えば、だいまじん(HP220)に対しては60半ばのダメージが限界であり、どんなに強い剣を持っていようが4回殴らないと倒せない。
    • おかげで武器を鍛える楽しみが微妙になったほか、ある程度武器を鍛えると会心の一撃のダメージが通常攻撃より下なんてこともままあるため、会心の一撃が出やすくなる「エリミネータの斧」「デスストーカの斧」が完全に空気になってしまった。
    • 初代『風来のシレン』でも同様にダメージ上限値は存在したが、あちらでは攻撃力が上限になっていても会心の一撃でしっかりダメージが2倍になる仕様だった。
  • 戦士には、バランスが大きく崩壊する強力なコンボがいくつかある。
    • 詳細は記さないが本当に強力。ただし習得の難しい技が必要だったり、知っていても使わなければいいだけである。
  • 無料店利用バグ。
    • まずはガーゴイルの店の商品を、店外の通路に向かって投げる。次になんでもいいので自分のアイテムを売り、先ほど投げた商品の支払いを断る。すると何故かガーゴイルが入口から退いてくれる上に、店外に投げたアイテムも商品ではなくなる。
    • これによって、店の商品をいくらでもノーリスクで盗めてしまう。泥棒状態にもならないのでガーゴイルと敵対することもなく、買い物システムが完全に崩壊する。ダンジョン内の店が初登場した『風来のシレン』にはこのようなバグは無かったのだが。
    • ただしこれも上記と同様、知っていても使わなければいいだけである。
  • 中断仕様の問題
    • 中断するために「中断の巻物」か「白紙の巻物*5」が必要。一応ダンジョンでは巻物を読まなくてもランダムで中断ポイントが登場するのだが、もっと不思議のダンジョンではランダム出現もない。ダンジョン突入時に中断の巻物が1つだけ支給されるが、もっと不思議のダンジョンの100Fまで到達するには数時間を要するので巻物1つでは足りないことも多く、それ以降は現地調達しなくてはならない。しかし、中断や白紙の巻物の入手率は決して高くなく、更に白紙の巻物はダンジョン攻略面でも非常に重要であり、中断に使うにはもったいない。ゲーム時間の限られている子どもや、社会人泣かせのシステムになってしまっている。
      • そして戦士だと巻物を読むことができないため、もっと不思議のダンジョンでは一切中断ができず一発クリアが必要になっている。
    • また、PSのセーブデータ自体はコピーや移動禁止といった制約がなく、中断したデータを保持したまま他のメモリーカードにコピーできてしまうため、失敗したらすべて失うというローグライクの仕様に反しているのでは?という仕様上の問題もある。しかもこの裏技、攻略本にて堂々と紹介されている。
      • これはPSのセーブデータの仕様上の問題であり、PS2以降のゲーム機では、ゲームによってセーブデータのコピー禁止やデータ移動のみ可能といった作品もある。実際、PS2でリリースされている『トルネコの大冒険3』のセーブデータはコピー不可設定となっている。
  • 一部の色違いモンスターの色や序列が原典と違っている。
    • 例えば、本家では「メタルハンター」→「キラーマシン」の順に強いが、本作では「キラーマシン」→「メタルハンター」の順になっている。
      これは「バズズ」と「デビルロード」、「あくましんかん」と「じごくのつかい」、「ダンスキャロット」と「マンドラゴラ」なども該当する。
    • 「ガニラス」と「じごくのハサミ」と「ぐんたいガニ」は、ガニラスの色以外のほとんどがおかしくなっている。*6
    • 「ランドアーマー」に至っては「ランドタートル」と名前を間違えられてしまっている。*7
    • これら独自の序列は後述のGBA版でも修正されていないが、次作『トルネコ3』ではいくつか修正されている。
  • 一部敵の経験値がおかしい。
    • 下位の"じごくのハサミ"と上位の"ぐんたいがに"の経験値が同じな他、"メトロゴースト"と"ヘルゴースト"に至っては下位のメトロゴーストの方が経験値が100高いという謎仕様。
    • シレンGB2』の"やみかむろ"と"ようまかむろ"のようにほとんど実力が同じ*8でも、『シレン2』のンドゥバのように特殊な例*9でもなく、これらのモンスターは純粋な強化種である。ゲームバランスに大きな影響が出ているわけではないが、明らかに設定ミスと言えよう。
  • トルネコの村に剣と盾を鍛えてくれる鍛冶屋が登場するが、これが曲者。あまり役に立たない。
    • 鍛冶屋利用時のアイテム要求。
      • 「恩人から金はとれねえ」 という名目で、ランダムで要求するアイテムを2つ渡す事で鍛えてくれるのだが、指定アイテムが揃うまで鍛えてもらう事ができないという問題がある。
      • 要求されるアイテムはそんなにレアではないのだが、このゲームの場合は狙ったアイテムが都合よく手に入るとは限らない為、指定されたアイテムを手に入れるのに非常に手間がかかる。
      • はっきり言って、ゴールドを支払って鍛えてくれた方が数倍楽である。何故、恩人にハードルを上げた要求をするのか?*10
      • 修正値を上げたいなら別の方法*11もとれるので、面倒な割に大した恩恵が無い鍛冶屋を利用する利点…というよりもはや存在に意味が無くなってしまっている
    • 本作ではお金はかなり稼ぎやすく、仮にお金で鍛えられる仕様だと、貧弱な装備でも手軽かつ即座に最強クラスにまで強くできてしまうために、ゲームバランスが崩壊していた可能性があり、それを防止するために回りくどい方法にしたことが考えられる。
      • とはいえ、「ゴールドを払って1回鍛えられるが、もう一度鍛えるにはどこかのダンジョンに行く必要がある」といった制限を付ければバランスは崩壊しなかったと思われる。実際、『トルネコ3』の鍛冶屋はこういった仕様になっている。
      • せめてアイテム1つと交換という形であれば多少はハードルが下がっていただろうが、結局は面倒臭くなる。要は防止策を過剰に強くし過ぎて施設自体が使えないという本末転倒な結果になっているのである。
      • この鍛冶屋はゲーム中だとやたら熱血漢かつ恩着せがましい*12ところがあり、上記の防止策や下記の要素を成立するために過剰にキャラクターが作られてしまったことが窺える。
    • 更に、「鍛冶屋を10回利用する度にすごい情報を教えて貰える」と鍛冶屋前に居る兵士が教えてくれるが……
      • 実際に聞くと、全く役に立たないロクでもない情報をくれる。例えば、10回利用した時の情報は「王様は水虫である」という攻略に全く関係ないもの。さらに回数を重ねると挙句の果てに、「オレの情報は全く意味が無い」と開き直る始末である。
      • 一応、100回利用時に宝物部屋の情報をくれるのだが、そこまで手を掛けて鍛冶屋を利用するプレイヤーなら、とっくに攻略済みではないだろうか。
    • ちなみに『風来のシレン3』の鍛冶屋もアイテムを要求してくることがあるが、「装備の印数を増やす」という代わりが効かない恩恵があるので手間に見合っているし、修正値を上げるだけならお金だけでやってくれる。本作では修正値を上げるだけなのにアイテムを要求され、手間に見合っていない。

総評

前作や『風来のシレン』シリーズで培ったものを存分に生かし、進化させた作品。
難易度こそマイルドであるが、その分初心者にもなじみやすいので、ローグライク初心者にもお勧めである。

その後の展開

  • アメリカでも「Torneko: The Last Hope」として発売され、チュンソフトの不思議のダンジョンシリーズとしては初めて海外でリリース(そして、トルネコシリーズとしては唯一海外で発売)された作品になった。
  • 「トルネコの大冒険」シリーズでトルネコの息子・ポポロの名前が確定したためか、後のPS・NDSでの『ドラゴンクエストIV』リメイクではトルネコの息子の名前はポポロに変更された。ついでにトルネコの妻・ネネの見た目が大幅に若返った。

余談

  • 本作のOPムービーは3Dグラフィックではなく、粘土人形をコマ撮りした「クレイアニメ」が用いられている。
    • 「異変の原因を突き止めるべくダンジョンに挑んだトルネコがモンスターに追いまわされる」という、コミカルかつ緊張感のあるムービーになっている。
    • 一部は前作のCM映像の流用で、本作のストーリーにまつわる部分は新規で撮り下ろされている。
  • 本作は「(初代の)ベタ移植でいいからPSでトルネコをプレイしたい」というユーザーの声に応えるべく、最初は初代トルネコをPSに移植する話で開発がスタートした。
  • 早解きキャンペーンの限界
    • チュンソフトのゲームは、ゲームをクリアした証拠をチュンソフトに郵送することにより、先着で記念品が貰えるクリアキャンペーンが行われることが恒例であった。 しかし、チュンソフトの知名度の上昇、ローグライクゲーへのユーザの慣れ、ストーリーモードの難易度の低下、特に横行していたフラゲ問題が重なり、発売日に購入し即日クリア→翌日に応募という流れですら、はがきの到着タイミングによっては先着1000名から漏れるレベルになっていた。 本作を最後に早解きキャンペーンは姿を消し、クリアキャンペーンは期間を設けてのスコアアタックへと変わっていくのであった。

ドラゴンクエスト・キャラクターズ トルネコの大冒険2アドバンス ~不思議のダンジョン~

【どらごんくえすときゃらくたーず とるねこのだいぼうけんつーあどばんす ふしぎのだんじょん】

ジャンル ローグライクゲーム
対応機種 ゲームボーイアドバンス
メディア 64MbitROMカートリッジ
発売元 エニックス
開発元 チュンソフト
発売日 2001年12月20日
定価 6,279円(税5%込)
判定 良作

概要(GBA)

GBAで発売された移植作。追加シナリオやダンジョンはないが、全体的なバランスとバグの修正を行っている。
スタッフ曰く「PS版のディレクターズカットバージョン」であり、その名に恥じない出来になっている。

特徴(GBA)

  • オリジナルで問題になったバグ(無料店利用バグ、黄金のつるはしバグなど)が修正されている。他にバグらしいバグも存在しない。
  • 分裂の壺、吸い出しの巻物、やりなおしの巻物といった、いわゆる「バランスブレイカー」アイテムがなくなっている。
  • 壺の仕様変更。
    • 壺の容量がPS版よりも小さくなり、デフォルトで3~5、最大でも7までになった。
    • 壺への「まとめ入れ」が可能になり、アイテムの整理や合成の手間がはぶけるようになった。
    • 「へんげの壺」に入れたアイテムが、壺に変化することがなくなった*13
  • 中断方法の改善。「中断の巻物」は廃止され、各フロアの階段で中断出来るようになった。
    • いつでもどこでも可能な1作目のような中断には劣るが、PS版の「中断の巻物」による中断システムよりは格段に手軽になった。
    • また、「スリープモード」が搭載され、稼ぎプレイの途中などで次のフロアに進みたくない時に、ゲームを一時停止するのに活用できる。*14
  • その他、モンスターのステータスや出現ダンジョン&範囲、アイテムの値段や出現ダンジョン&範囲、魔法の消費HP、技の消費満腹度などが徹底的に調整された。
    • 一部の敵の経験値や出現分布が見直された。必勝法があるものの、それなりに厄介な「ひょうがまじん」の経験値がPS版の1/10である70に減らされた*15、もっと不思議のダンジョンでベビーサタン系が一切出なくなったなど。
    • 全体的に難易度は難化しているが、決してバランスの悪い調整の仕方ではないため、純粋にPS版よりやり応えがある。
      • 序盤のダンジョンは持ち込めるアイテムの数が増えて、むしろ簡単になっている。初心者にはより易しく、上級者にもやり応えがある良調整と言える。
    • 最強武器であるロトの剣の攻撃力はPS版の99から50に減少した。が、PS版にあったダメージ上限値が撤廃されているため、相対的なダメージ量はかなりの上方修正を受けたことになる。PS版で希薄になってしまっていた武器を鍛える楽しみも、こちらなら存分に味わえる。
    • 戦士の技のほとんどを覚えられた「魔法の剣」が弱体化。
      • PS版ではレア武器専用技まで覚えられたため、レア武器を手に入れる必要性そのものが薄かったが、この変更によりレア武器を手に入れる楽しみが増えた。
  • タイトル画面から、通信ケーブルを用いてアイテムを交換することが出来る。

問題点(GBA)

  • 相変わらずセーブデータが1つしか作れない。
    • PS版は市販されているメモリーカードを買い足すことでバックアップが可能だったものの、GBA版でバックアップをする場合は非公式の吸い出しツールなどが必要。
  • 持ち込みありのダンジョンに潜るとき*16に強制セーブが入るようになった。
    • 強制セーブをされた状態で中断せずに電源を切ると死亡扱いにされるため、ダンジョン内で死亡したときに電源を切ることで全てをなかったことに出来る技が使えない。結果、井戸や試練の館などの高難易度持ち込みダンジョンが非常にストレスフルに…
    • ゲームの趣旨的にはこれで問題ないのだが、ハードのバッテリー切れなどでも「プレイヤーが電源を切った」という扱いになるため、不慮のシャットダウンに弱い。
    • 後の携帯機シリーズでは、バッテリー切れ前に警告文が表示されるようになった。
  • マップの常時表示が出来ない。
    • しかし、PSとGBAでは解像度が全く違うので、GBAでマップの常時表示を搭載すると、逆に画面が見づらくなる可能性もある。
      • 実際、『トルネコの大冒険3』のGBA版では常時表示が搭載され、便利だと評価された一方で「画面が見づらい」という意見もあった。
    • ただ、マップを表示する頻度を考えれば煩わしいのは事実である。
  • 持ち物や倉庫の1ページ当たりのアイテム数が10個から8個になった。これはGBAの画面が小さいことによるもの。
    • 結果、持ち物(20個)や倉庫(280個)を表示する際に端数のページが生じるようになってしまった。
  • PS版でおかしいと指摘されていた"じごくのハサミ"と"ぐんたいガニ"の配色、"メトロゴースト"と"ヘルゴースト"の経験値などが修正されていない。
    • しかも、PS版では正しい配色だった"ゆうれい"と"しにがみ"の色がGBA版では逆になってしまっている。
  • 全体的にプレイヤーにとって不利になる調整が多く、自由度が下がったという意見も少なくない。
    • 魔法使いの消費HPや戦士の消費満腹度が大幅に増加しているものがあり、実戦で活用しづらくなってしまったものがある。
      • 特に、満腹度消費が「10ターンで3」から「1ターンで5」と実に16倍に跳ね上がった戦士の「きえさり」などは全く使われなくなるほど。
      • この調整によって、戦士の強力なコンボの多くが大きく弱体化された。却って容易になったものもあるが。
    • 魔法使いの切り札「メガンテ」で経験値が入らなくなるなどの調整も賛否がある。
    • もっと不思議のダンジョンでは、PS版では出現した一部の有用アイテム(透視の指輪など)が入手不可能になっており、それらのアイテムが入手できたときのワクワク感がなくなったという意見も。
    • もっと不思議のダンジョンに眠っている、あるレア武器の入手が非常に難しくなっている。
      • 具体的には、本来なら上述の「もっと不思議では出ない有用アイテム」を利用することが前提に近い罠の配置を抜ける必要がある。
      • ただし、別の(邪道と思われる)方法を利用すると、比較的簡単に入手できる。
    • 無限増殖セット(分裂の壺[4]+吸い出しの巻物2枚)が削除されたことにより、戦士の一部技の習得が困難になった。
      • 特に「ザキの杖」をモンスターに投げて覚える「ひっさつ」は、ザキの杖の入手の難しさに杖を投げたときに技を覚える確率の低さが加わり、覚えるのは凶悪な難易度となっている。
      • 吸い出しの巻物だけは残してほしかったという声が多い。「割れない壺」や「火薬壺*17」に入れてしまったアイテムを冒険中に取り出せなくなってしまった*18だけでなく、「変化の壺再利用」「合成の壺再利用」などのテクニックまで封印されたのは辛い調整。
    • しかし、裏を返せばこれらのアイテムや技は「それだけ強力すぎた」ということでもある。これらの調整は同時に評価されている部分でもあるため、改悪と言うよりは賛否両論点と言えるだろう。
      • ただし、「ひっさつ」などの自身は調整を受けていないが、その煽りを受けて結果的に不遇となってしまった技に関しては、問題点と言えるかもしれない。

総評(GBA)

据え置き機から携帯機への移植でありながら、極めて再現度の高い移植となっている。
一部の仕様変更には賛否あるものの、全体的に質は向上し、よりやりごたえのある作品となった。

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最終更新:2023年04月22日 14:58
添付ファイル

*1 杖は振る、巻物は読む以外の用法は可能。杖を投げて当てることや、聖域の巻物を床に置くことは出来る。

*2 あるアイテムを用いると、1度でも覚えた事のある魔法を好きに選んで使えるようになる

*3 状態異常は普通に効く他、マホトラ(本作ではHPを吸収する魔法になっている)のみダメージが通る

*4 今で言う「実績」や「トロフィー」のようなもの

*5 "ちゅうだん"と書いて中断の巻物の効果を発揮させる

*6 本来はガニラスが最上位でぐんたいガニが最下位だったが、これが入れ替わってガニラスが最下位に、ぐんたいガニが最上位になっている。また、ぐんたいガニの色がじごくのハサミと入れ替わっている。

*7 本家でも「ブラッディハンド」と「ブラッドハンド」のような表記揺れはしばしばあるが……。

*8 能力的には同じだが、やみかむろは「杖やモンスターの魔法無効」、ようまかむろは「巻物の魔法無効」という違いがある。

*9 レベル=年齢で、88歳をピークに衰え、最高レベルの「ンドゥバはくじゅ(99歳)」に至ってはレベル1のンドゥバより経験値も実力も下になる。

*10 同じくトルネコの世話になるパン屋がいるが、こちらは普通にお金を払って商売をしてくれるのにである。

*11 一番手っ取り早いのは合成屋で修正値の合成を行うこと。

*12 「お礼をしたい」というのを断っても「気が済まないからさせてくれ」と言って強引に恩を返そうとするシーンがある。

*13 PS版では入れたアイテムが壺に変化した場合、「壺の中に壺が入っている」という普通ではあり得ない状態になる。

*14 ただしスリープモードは中断ではないため、電源を切ると冒険失敗になってしまう

*15 補足すると、同じフロアに出る他のモンスターの経験値はおよそ500~1000程度である

*16 ED前は1度クリアしたダンジョンのみ、ED後は持ち込み可能な全ダンジョン

*17 割れると爆発するので中のアイテムは消滅してしまう。

*18 ダンジョンを出て倉庫に持っていけば割ってもらえるが、持ち物枠が潰れるという意味で不便すぎる。