OMEGA BOOST

【おめがぶーすと】

ジャンル STG(TPS)
対応機種 プレイステーション
発売元 ソニー・コンピュータエンタテインメント
開発元 ポリフォニー・デジタル
サイバーヘッド(開発協力)
発売日 1999年4月22日
定価 5,800円
判定 良作
SIEワールドワイド・スタジオ作品


概要

  • PSでは最高レベルのCGで描かれた空間戦ロボット3DSTG。
  • 操作は簡単でとっつき易く、また誰がプレイしてもかっこよく見えるほど、軽快な動きをする。
  • 自機「オメガブースト」を含めた本作のメカ群は、マクロスのVF-1等で有名な河森正治がデザインした。

ストーリー

21世紀末にネットワーク上に知的生命プログラムが誕生する。それは自らを「アルファ・コア」と称した。やがて静かにアルファ・コアはネット上に増殖していき、やがてほとんどのネット上に存在する事となる。アルファ・コア自身は当初人間に敵意は無く陰からテクノロジー発展などに協力・寄与していた。

が、アルファ・コアの存在に遅まきながら気づいた人類は「未知の電子知的生命体」として脅威を感じ、アルファ・コアを抹殺するためワクチンプログラムを製造し使用、一方的に攻撃されたアルファ・コアは人間に対し敵意を抱き、ネットワークを支配しそれに支配された兵器端末群を使い人類への攻撃を開始する。ネットそのものはもちろん、多数の無人兵器までも、人類の敵となった。

人類は有人兵器で対抗するも、ネットワークを支配しているアルファ・コアには無力だった。やがて科学者達がアルファ・コアを倒す方法を編み出す。それはタイムマシーンを使って、アルファ・コア誕生の前まで遡り、その萌芽を摘み取ってしまおうというものだった。だがその要であるタイムマシーン、「タイムシャフト」はアルファ・コアに先手を取られ占領されてしまう。さらにアルファ・コアは、人類の作戦を先取りしタイムマシンを使って自分の分身を過去に送り、より早い段階での人類支配を画策していた。

そこで最後の手段として、人類の作る究極プロダクトノイド「オメガブースト」により、タイムシャフト強行突入を行い、アルファ・コアの時空改変行為阻止を行う作戦が考案、実行されるのであった。

特徴・評価点

  • 3DロボットSTG。形態としてはTPS。そのCGは非常に綺麗で、PS最高峰の一つと言ってもいい。というのも、開発はあのグランツーリスモを開発した会社なのだ*1。本作にその技術がふんだんに盛り込まれている。また演出も見事で、何もない宇宙空間でスピード感を巧みに表現している。
    一方ゲームとしてアナログスティックと親和性の高い操作性は、独特なプレイ感をもたらした。当時アナログスティック(デュアルショック)が出て1年以上経っているが、その特性を生かしたゲームはそれほどなく、この点も特徴的なゲームである。
  • 操作が簡単。移動の左スティックと射撃ボタン、サーチボタンの三つの操作がプレイの主軸。
    • 自機は常に飛行して前進を続ける。基本的に上下左右への移動が中心となる。
      • 一定距離を急加速して移動するブーストも装備。接近や回避に多用する。
      • 滞空した状態での停止も可能。動きの遅い敵に集中砲火を浴びせるのに有効。
      • 同じ方向に二度キーを入れる事で急旋回が可能。アナログスティックでは押し込みことL3キーとアナログスティック入力一回で簡単に実行可能。
      • 地面や床の存在するステージもあるが、接地しても地上移動に移ることはなく、地形に沿って飛行を続ける。
    • サーチ機能があり、サーチ後対象をロックする。ロック中は、ロック対象を中心に球面移動を行う。ロック精度は時間が経つに連れて誤差が大きくなるためロックを掛けたままかつロック対象が移動している場合は振り切られることもあるので、ある程度はこまめにロックのかけ直しが必要。
    • ロックを外すと自由移動に戻る。位置取りやシビアな回避の際は、ロックを外して移動するのもテクニックの一つ。
    • 攻撃は3種類。
      • 武装はホーミングレーザーと弾速の速いバルカン。前者は追尾付き、後者は自動照準のため命中率が非常に高い。敵をロックしてから射撃ボタンを押すとレーザー、ロックオン/オフに関わらず射撃ボタンを連打するとバルカンで攻撃する。
      • ホーミングレーザーがメイン武器になるが、ロックオン時間が必要で余計な対象もロックする可能性があるため、状況によってはバルカンの方が素早く破壊できる場合もある。また敵の中には使い分けが必須なものもいる。機体レベルが上がる(最大9)事でバルカンとレーザーの威力、ロックオン時間やレーザーの到達速度も上がるが機体レベルはプレイ中には表示されない。
      • 必殺技として機体レベル3からL2キー(デフォルト設定)で「ヴァイパーブースト」を使用できる。自機が蒼い光に包まれ無敵状態で敵に体当たりを繰り返し、大ダメージを与える。これは敵をレーザーやバルカンで撃墜する事によりゲージが溜まっていき、ゲージが一定量以上になると使用できるようになる(ゲージ量で持続時間が変わる)。ヴァイパーブースト中に再度ヴァイパーブースト発動キーを入力するとその時点でヴァイパーブーストがキャンセルされる(ゲージも消費量に準じて残る)。ストーリーのあるキャンペーンプレイでは、フルゲージのヴァイパーブーストは全体で2、3回くらいしか使用できないので使いどころが重要。
  • ステージはストーリーモードであるキャンペーンプレイと、各ステージ単体でプレイするゾーンプレイがある。
    • キャンペーンプレイのステージは全部で9。宇宙空間や空での戦闘の他、地上面や強制スクロールで限定空間を進んでいくステージも。宇宙空間で大艦隊と戦うような、ヒーローロボット物を好むプレイヤーには堪らないステージもある。
      • 各ステージをクリアすると、クリアタイムと撃墜率からポイントが算出される。そのポイントによって自機がレベルアップしていく。攻撃力が格段に上がるため結構重要。先述のヴァイパーブーストも、ある程度レベルアップしないと使えない。
    • ゾーンプレイはキャンペーンプレイのステージを、単体でやるもの。また、各種条件をクリアする毎に隠しステージが現れる。それらはキャンペーンプレイとは、また違った内容のものとなっている。
      • クリア後、リプレイを見ることができ、保存もできる。リプレイのカメラは多彩。
      • キャンペーンプレイを特定の条件でクリアすると、「無敵(正確にはHPが減らないだけ)」「ヴァイパーブースト使い放題」などチート仕様の「機体レベル」でのプレイが可能になる(ゾーンプレイのみ)。
  • 良質な演出。
    • オメガブーストの周囲には、細かい塵が常に漂っている。これが動きに合わせて流れるため、スピード感を体感できる。基本的に宇宙や空中で戦い、比較対象物の少ない本作で、見事にその動きを表現しているのだ。
    • BGMも本作のサイバーな雰囲気をよく出している。特にラストステージのBGM*2は、最終決戦を非常に盛り上げる。一部の楽曲を除きBGMを手掛けているのは元・電気グルーヴのメンバーでもあった、Cutemenの「CMJK」こと北川潤。
    • オープニング、挿入デモなどは、CGを組み込んだ実写である。ハリウッド映画とまではいかないが、ちょっとしたテレビドラマ以上のものを見せてくれる。
    • 簡単な操作と滑らかに動くカメラという、ゲームの根幹部分が最高の演出とも言える。多脚兵器の股下を駆け抜けながらの機動戦闘など、天地が目まぐるしく反転する圧巻のプレイが誰にでも楽しめる。
    • 敵機が視野に入る前にキラッと光る演出や、いわゆる『納豆ミサイル』はマクロスを彷彿とさせる。
  • トレーニングモードが充実しており、マニュアルを見なくてもプレイを覚えられるようになっている。

難点

  • 終盤面の難度が高い。
    ラスト2面は、そこまでと難易度に大きな差がある。8面の中ボス(事実上のボス)は一定の手順を踏んで倒す必要があり、かつ制限時間がある。停止してバルカンを叩き込むなどのテクニックも求められ、攻略法に気付くまではタイムアップ敗北を繰り返すことになる。
    ラスボスも精度の高い連続回避を要求されるなど、さすがに強い。
    • 自機のHPは、各ステージクリア後に一定量回復するのみであることも拍車をかけている。更に、HPがゼロになりコンテニューしても、そのステージ開始時のライフで仕切り直しである。慣れない内は詰み易い。
    • 救済措置としてか、キャンペーンプレイで進んだステージまではゾーンプレイで遊べる上にデモプレイで大まかな攻略法を見る事が可能である。しっかり観察し練習しよう。
  • 精密な移動にコツがいる。
    ロックオン時の移動特性を把握していないと、思い通りに動けないこともしばしば。ロックオン時は対象を中心とした移動補正がかかるため、狙いからずれた方向に回避してしまったり、移動体を追う場合に思わぬ遠回りになったり、地上の敵を相手にしている内に地面に詰まったりと、精密な移動には不向きな面がある。シビアな回避やスコアアタックなどではロックを外すタイミングを覚える事も重要で、クリア後に鑑賞できるお手本デモリプレイが参考になる。
    ちなみにマニュアルではロックオン時の挙動が詳しく説明されている。
  • 全てクリアしてしまうと、後は評価を上げるためのアタックしかなく、その点のやりこみ度は低い。

総評

本作のCGの見事さは、一般的なPSゲームと比べると一目瞭然。またその操作性の軽快さも、大きな魅力だ。だからと言って簡単という訳ではなく、むしろ難しめでやりがいがある。また、どう動かしてもそれなりにかっこよく見えるため、リプレイも楽しい。実写のデモも本作の雰囲気を強く印象付ける。
PSの成熟期だけあって、それまで培われた様々な技術が盛り込まれた3DロボットSTGである。


余談

  • 本ゲームはプレイステーション本体発売前の1994年5月に開催された「新ハードPS-Xに関する発表会」で『レッドプラズム』というタイトルで既に画面写真が公開されていた。それから5年かかってようやく製品発売にこぎ着けたという実に悠長なゲームである。
  • オープニング曲(ラストバトルでも使用されている)とエンディング曲はライセンスの関係か日本版・北米版・欧州版でそれぞれ違う曲が使用されている。
  • PlayStation CLUB会員向けに配布されたCD-ROMマガジン『プレプレ』Vol.2に、1995年11月時点で完成度30%バージョン*3の体験版が収録されている。この頃は「The Armored Trooper in Universe」の副題が付いていた。

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最終更新:2024年01月19日 16:20

*1 実際は開発を補佐する部分でサイバーヘッド(旧・アルシスソフトウェア)も参加している。だが、開発途中にて一部人員が『グランツーリスモ』の開発にアサインされる形で切り離された。

*2 UKのバンドFeederの『Shade』。OPムービーにも使用されている。

*3 その後、お蔵入りになったバージョンと思われる