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サガ フロンティア2

【さがふろんてぃあつー】

ジャンル RPG

対応機種 プレイステーション
メディア CD-ROM 1枚*1
発売・開発元 スクウェア
発売日 1999年4月1日
定価 6,800円(税別)
プレイ人数 1人
セーブデータ 1ブロック使用
レーティング CERO:A(全年齢対象)*2
周辺機器 DUALSHOCK、PocketStation対応
廉価版 スクウェア ミレニアム コレクション
2000年6月29日/3,800円
PS one Books
2002年3月20日/2,500円
アルティメットヒッツ
2006年7月20日/1,500円(全て税別)
配信 ゲームアーカイブス
2008年12月10日/600円(税5%込)
判定 良作
ポイント サガ8作目かつサガ フロンティア第2作
前作と異なるロマサガ系の中世風世界観
発売当時は不評だったが後に再評価
サガシリーズ


概要

『サガ』シリーズ8作目にしてサガ フロンティアシリーズの第2作目。
『サガ』シリーズ全体の傾向として基本的に世界観も全て毎回異なるため、『サガ フロンティア』というタイトルを引き継いだものの前作とは大きく異なるゲームになっている

今作の舞台はサンダイルという術至上主義がまかり通る中世風の世界。
前作がGBサガ系のごった煮世界観だったのに対し、本作はロマサガ系の中世風世界観に戻った。もちろん世界観の繋がりは全くない。

世界観変更に伴って作曲家が伊藤賢治氏から浜渦正志氏に変更され、曲調も随分と落ちついたもの・神秘的なものに変わった。


特徴

ヒストリーチョイス

  • 本作の最大の特徴であるシナリオシステム。プレイヤーは、世界地図上に示された歴史上のイベントを選択することでシナリオを進める。
    • イベントの内容は様々で、パーティでの探索行もあれば「コンバット」という擬似的な戦争シミュレーションもあり、プレイヤーの介入できないエピソードを見るだけのものもある。1つのイベントを終えると次の時代のイベントが世界地図に現れる。
    • あるイベントが時間的にも地理的にも遠く離れた後代のイベントに密接に関わったり、歴史の表と裏を思いがけない形で繋いだりといった展開もある。
      • このためプレイを進めていけばいくほど歴史の光と影の深さや物語の壮大なスケール感、人物同士の綿密な群像劇を感じることができる。
    • また、表の歴史で戦争が起これば「コンバット」が可能となったり、帝王となった主人公が新しい街を作ったりとイベント内容の幅も大きく、『サガ フロンティア2』の世界で起こる歴史を間近で観る感覚を得られる。
  • 歴史と血筋をテーマにしただけあって、シナリオは重厚かつどこか物悲しさに満ちている。
  • シナリオは国家間の戦争や政治の流れに大きく関わる表の歴史を描いた「ギュスターヴ編」と、関わるキャラクターのほとんどが平民や冒険者で歴史書には記されない裏の歴史を描いた「ウィル・ナイツ編」の2つに大きく分かれる。
    • スタート時に選択できるのは上記の2人だけだが、シナリオが進行し時代が移り変わると、彼らの子孫や後継者などがプレイヤーキャラになる。以前の主人公たちは引退したり死亡したり、以後の動きがはっきり語られなくなったりする。
      • 子孫・後継者だけでなく、前のシナリオの仲間キャラや敵が主人公をする外伝的なシナリオも多数ある。
      • このような主人公交代は『ロマサガ2』の感覚に近いが、この作品のキャラクターは汎用キャラではなく全て固有の人格と設定を持った生々しい人間たちである。生まれも育ちも、該当シナリオに関わる理由も様々。
      • つまり『サガ フロンティア』が大勢の主人公たちを一貫して操作することによりシナリオのバラエティの広さを追求したのに対して、この作品は歴史の裏と表という2つのシナリオの軸に複数の主人公を時代時代に交代させることで物語の深さを追求した作品といえる。
    • ギュスターヴ編は術が使えないために国を追放された王子ギュスターヴが母親や友人の支えによって成長し、やがて自ら国を興し覇者となる王道的なサクセスストーリー。ギュスターヴが表舞台を降りてからも、彼の後継者争いやその混乱に乗じた策謀などが描かれ、CMのキャッチコピー「主人公の死。そこから本当の物語は始まる」の通り、シナリオはさらに複雑に展開してゆく。
    • ウィル・ナイツ編はディガー(遺跡発掘者)として仕事をしながら父母の死の真相を探り復讐を遂げようとする初代主人公ウィルことウィリアムと、彼の志を共有するナイツの子孫たちの物語。オープニングでは15歳の少年であるウィルは、主人公が息子のリチャード(リッチ)を経て孫娘のヴァージニア(ジニー)に交代した最終シナリオでも、全ての元凶と決着をつけるため85歳という高齢で参戦する。
      • その間に起きる事件、ディガーとして成功するまでの冒険や父母が死んだ真実を知る過程だけでなく、仲間との出会いや別れ、息子の死、孫の成長といった一生を費やすイベント群は見ごたえ抜群。
    • 個々のイベントも印象深く、そして熱い。ギュスターヴが国から追放され自暴自棄になっていたところを母の叱咤で立ち直るシーンやその友ケルヴィンの辿る激動は一つのゲームにとどまらない物語を見せている。最終的にはギュスターヴとケルヴィンの後継者であるデーヴィドがギュスターヴを名乗る男を討伐する際、本編中で領土争いでお互い対立していた諸侯に大幅な譲歩案を示し大連合を組んで戦いを挑んでいく。そのシナリオがギュスターヴ編のラストである「サウスマウンドトップの戦い」である。戦後処理が終わった後に行われるデーヴィドの演説はギュスターヴという男の生涯と散っていった者達の物語を統括する内容であり、これもまた人気が高いことで知られている。
    • 特にギュスターヴ編の「兄弟再会」というシナリオは、最高のBGMも相まって誰もが涙を流したといわれるほど。
    • ハッピーエンドながらどこか切ないエンディングもパッケージの「折れた剣」とつながったシーン演出などで評価が高い。
  • このシステムのおかげで自由度が低下した反面、シナリオはサガシリーズ最高とする声もある。
    • ただし、このゲームのシナリオは(意図的にだが)不明瞭であり、描写や説明が少なかったり謎を残した部分が多く、不満の声もある(詳しくは『賛否両論点』で後述)。

バトルシステム

戦闘システムは、閃きや連携といった従来のシステムを引き継ぎつつ、変更や新要素が加えられている。なお「見切り」は廃止されている。

  • 連携システム
    • 前作よりも演出は抑えられたが、新たに敵との連携が可能になった。通常は最大4連携のところを、敵が自身に使う特殊能力を利用した5連携が可能。
    • 連携数が増えるほどダメージも伸びる。これは後の作品にも引き継がれた。
    • 味方の素早さに関係なく、任意でキャラごとの行動順を設定できるため、少し計算すれば狙った連携を出しやすくなった。
  • デュエル
    • 通常戦闘とは別の、敵と1対1で戦う新ルールの戦闘方法。斬る・払う・構える・炎・音といったコマンドを4つ組み合わせて行う。
      • 「炎」や「音」はアニマと呼ばれる自然力・精霊力のようなもの。例えば戦闘場所で炎が燃えていたり、炎のアニマを持つ装備があれば「炎」を戦闘コマンドとして選択できる。術の構成要素でもある。
    • お供モンスターが出てこない、参加しない他メンバーのHPが回復する、技や術を効率よく習得できる等の多数のメリットがある。
      その一方で、考えなしに戦っているとゲームオーバーになりやすい、参加者しか成長しない等のデメリットも存在する。
    • 行動を特定の順序で選択すると技・術・術技が発動する事があり、これに成功すれば「合成習得」として以後は通常バトルでも使用できる。
      これにより、入力コマンドさえ知って、あるいは覚えていれば、閃きや学習よりも技・術を効率よく習得できるようになる。
      デュエルでしか習得できないものもあるが、閃きでしか習得できない・閃きの方が習得しやすいというものも多数存在しており、閃きの重要性を損なうような事にはなっていない。
    • 相抜け・タイムリーアクション・カスタムアーツといった独自のシステムが存在しており、「構える」や「身を守る」等のコマンドにもそれぞれ効果がある。ただし、要素が多い割に作り込みが足りず、あまり意味のない仕様もある。
  • 学習
    • 戦闘中に特定の術系統(アニマ)を使用すると、戦闘終了後に未習得の合成術を習得するシステム。
      ただし無制限に学習できはせず、各キャラ毎に学習できる合成術の種類、及び術系統の種類との組み合わせが予め決まっている*3
      術の中には学習でしか習得できないものが存在する。
  • 年齢の影響
    • 本作ではバトルによる成長とは別に年齢により能力値が変化する。
    • 若年のうちは生命力に溢れ、LP(ライフポイント)の最大値が高い。大人になると力強さが強調されタフになる。老いが始まるとHP、LP、WPといった肉体面は脆くなるが精神面の代表であるJPは強化され続ける。
    • 長期にわたってバトルに参加するキャラは多くはないが、15歳~86歳とゲーム中で最長の活躍を見せるウィルは、これらの変化を顕著に確認できる。
  • 術システム
    • 術の使用には、その源であるアニマを引き出せる装備や環境が必要になる。武具は性能だけではなく、引き出せるアニマも考えて整える必要がある。
      その反面、従来は火術と水術等、相反する術系統の同時習得ができなかったが、本作ではアニマさえ用意すればこれが可能となっている。
    • 鉄や鋼といった金属製武具は、攻撃力・防御力に優れる反面、アニマを持たないため術の触媒にならない。
      また、アニマを阻害する性質があり最大JPや術力が低下する(反面、術による干渉を弱めるため術防御は上がる)。この設定はギュスターヴ編のシナリオにも強く関わっている。
  • 装備は耐久制
    • 本作ではGBサガシリーズのように、大半の装備に使用回数が設定されている。
      装備は敵や宝箱等から余るほど入手でき、装備を使い切るとチップという換金可能な通貨が手に入るため、基本的には使い捨て。
      中には「クヴェル」という使用回数が無限の装備もある。また金属製武具も耐久が無限で使い減りしない。
    • なお、武具の耐久度は、「該当武具を直接使用した時のみ減少する」という仕様になっている。
      例えば音のアクセサリーである「ウインドシェル」の場合、これの使用回数は固有術「音」を使用した時のみ減る。
      複数のアニマを組み合わせる合成術の使用では減らないため、使用回数有りの武具のみで固めたとしても、やり方次第でどうとでもなる。
  • LPシステム
    • 旧作に比べて、各キャラの持つLP(ライフポイント)の重要度が高まっている。
    • 前作までは戦闘不能に陥る度にLPが減少し、ゼロになったキャラは離脱・使用不能という仕組みだった。今作では単に戦闘不能となった場合にはLPが減少しないが、LPが減少する局面は増えている。また戦闘中キャラのLPがゼロになっても、戦闘後に1だけ回復するためキャラが使用不能にはならなくなった。
    • 前作までとは異なり、戦闘終了後のHPは最大値の1/4までしか回復しない。また戦闘以外でHP回復術は使用できない。今回は、戦闘不能になっていなければ毎ターンの行動前にLPを1消費する事でHPを全回復できる。LP消費回復を行ったターンも、行動に制約を受けることはない。
    • 技・術を使用するためのポイント(WP・JP)が0になっても、LPを消費して使用できる。
      • なお、術と体術はLPを消費して繰り出すと通常よりダメージが増加する。そうそう狙って使えるものではないが、最大ダメージの連携を狙うやり込みなどにも使用された。
    • 今作はLPを削りながら行われるバトルであり、ボス戦は「パーティーキャラのLPが尽きるまでにボスを倒せるか」がポイントである。常にLP残量に気を配る必要がある。
  • ロールシステム
    • 各キャラにロールという役割を割り振る事で、戦闘時に独自の効果が発揮される。
      「鉄砲玉」は最速で行動できる、「スカウト」は戦闘開始時に味方の陣形が崩れにくくなる、「術強化」は術の攻撃力が上昇する等。
      これらを上手く活用すれば、戦闘難易度を劇的に下げる事ができ、序盤から超強敵を撃破するといったやり込みも可能になる。
    • ただし後述するように、設定ミスで効果がないもの、効果が表記と異なるものが半数近くあり、意欲的な要素だが粗も多い。
  • その他
    • 戦闘の進行状況・優劣によって「見逃す」「停戦交渉」「敗走する」等が出現する事があり、戦闘の早期決着を狙えるようになった。
      どれが出現するかは、こちらと敵のHPの状況で変化する。成功確率はこちらが有利な状態なものほど高い。
    • 前作ではうっかり強敵にぶつかっても、戦闘中に逃げる事ができなかったため、こまめにクイックセーブする必要があった。
      しかし本作では、全滅寸前で「敗走する」「逃走する」等の退却コマンドが成功して、危機一髪で助かる事も多い。
    • また、「見逃す」「追い払う」等のこちらが優勢なコマンドの場合、味方の成長やアイテムドロップの判定は通常通り行われる。
      「技/術の習得機会が減る」以外のデメリットはないため、時間や武具の耐久度の節約にもなる。
    • これは前作にも言える事だが、敵味方の配置がわりとバラバラになりやすい仕様である。
      従って、敵を包囲する・味方がバラける・逆に敵に囲まれる等、同じ敵相手でも戦闘に様々なシチュエーションが生まれる。
      陣形をきちんと組めない反面、扇型や円型等の範囲攻撃が使いやすく、また局面によって範囲が大きく変わるため、どこでどう使うかが後のシリーズより大切。

コンバット

諸侯同士の戦争を表現したSRPG式の特殊バトル。ギュスターヴ編で4回ある。
敵軍と自軍(プレイヤー側)に分かれ、マス目状のフィールドに配置された4人1組の自軍ユニットを動かして戦う。

  • 敵軍ユニットに接触すると、ユニット同士でバトルが開始される。
    • このバトルは特殊で、1ターンだけ戦い、ターン終了時にユニット内の合計HPが高かった側の勝利となる。敗北したユニットは退却するが、退路が塞がれていたり、4人全員が戦闘不能になった場合はそのユニットは消滅する。
  • コンバットでは「防衛ラインへの侵入」などの敗北条件を敵軍に満たされぬよう警戒しつつ、「大将ユニットの撃破」などの自軍勝利条件の達成を目指していく。
  • ユニットを構成しているのは、基本的に敵味方ともにコンバット専用の汎用(名前無し)兵士キャラ。
    • ステータスは低く固定で、使用できる技も初期レベルのもののみ(プレイヤーは汎用兵士キャラの装備品、技に干渉できない)。
  • 自軍ユニットに別シナリオで育てたキャラを使えるなど、プレイヤー側に有利なコンバットが多いが、最後のコンバット「サウスマウンドトップの戦い」は本作屈指の難関と評されている。

2周目からのゲーム内容と引き継ぎ要素

+ クリア後要素のため格納
  • エンディング後はクリアデータを作成することができ、クリアデータではいくつかの要素をクリア時から引き継いだままのニューゲームが可能になる。
  • 2周目ではヒストリーチョイスが変化し、全てのシナリオが最初から自由に選択可能になる。いきなりラストバトル突入も可能。自由度が増して以前のサガシリーズらしいフリーシナリオ的な遊び方ができるようになる*4
  • 強力なアイテムやロールを所持しているキャラのいるシナリオだけを選択して、効率よくパーティーを強化していく進め方が可能になる。また、習得していた技・術が全て最初から使用可能になっている(アイテム類やキャラクターの能力値は引き継がれない)。
    • クリアデータの引き継ぎはメリットばかりではなく、モンスターの「学習レベル」というシステムもある。
      これはプレイヤーが特定の攻撃を使用する事で確率で上昇し、モンスターの使用してくる攻撃の種類が増えるというもの。
      やや気づきにくい要素だが、同じモンスターなのに以前と比べて攻撃が厄介で強いと感じるのは、この学習レベルが上昇しているためである。
      こちらは技・術を引き継いで最初から使用できるが、モンスター側も学習レベルを引き継いで最初からそれなりに強化されていくわけである。

評価点

世界観

  • 基本的には中世風のファンタジーだが、アニマと呼ばれる術力や魂の概念といったファンタジー的な設定の上に術至上主義とする社会とその革新が描かれる。独特な文化を細部まで表現した世界観は高く評価されている。ストーリーはもちろんの事、歴史の移り変わりとともにバトルシステムや武具といったプレイヤーが関与する部分の大半にその文化が反映されている。
    • ジャケットに描かれている折れた鉄の剣に象徴されるように、「鉄の武具」が本作のメインストーリーにおいて重要な役割を担っている。
      + ネタバレ注意
      • 作中の鉄器(金属製武具)は「術システム」の項でも述べた通り「所持していると術力(=アニマ)を妨げる」ため、世間では異端な存在であった。しかし、アニマを持たない術不能者であったギュスターヴは鉄の強靭さに着目し、金属製武具で武装した術不能者の軍隊を編成する。その結果ギュスターヴは帝王に上り詰め、物語中盤以降は鉄の素材自体が世間に評価されていくという革命的な展開となり、実際に店頭に金属製武具が並んでいく。
        • 余談だが、前述のサウスマウンドトップの戦いでは、自軍は術を使える者による通常部隊と術不能者による金属武装部隊の混成部隊であり、敵軍は金属武装部隊のみという設定がある。術至上主義に金属製品で風穴を開け、最終的に術と鉄(=術不能者)が共存するという、新たな歴史を感じさせる設定である。
        • 前作は新たなゲームを作り出すという意味で使われたフロンティアという題であるが、本作では1人の開拓者(=フロンティア)を描いた物語という意味で、内容は全く異なる続編ながら物語が題名と完全に合致していると言える。
      • パッケージにも描かれている「ギュスターヴの剣」は、ギュスターヴが少年時代に初めて鉄製の短剣を造ったときから理想として胸に描き、後に彼自身の手で造られた鉄の武器である。作中では彼の力の象徴として描かれ、彼がそれを超えることを目指した火炎剣ファイアブランドと並んで「世界最強の剣」と言われている。
        • 一方で、生物のアニマを喰らい時代の闇に暗躍していた生きたクヴェルであり最終ボス「エッグ」にトドメを刺す事になるのもこの剣である。エッグは物語終盤でギュスターヴを名乗る男を操り紛争を引き起こしながら暗躍していたが、最終的にはギュスターヴの正統である男(名も読みを変えて継いでいる)によって、血筋と同じく受け継がれていた鉄の剣でトドメを刺されるという展開となり、歴史を俯瞰して見てきたプレイヤーにカタルシスを与える。
        • エッグと相討ちするかのようにこの剣は折れてしまうが、もはやこれからの時代には無用のものとして、ジャケットの絵の通り草原に捨て置かれる*5。ギュスターヴが築いた時代もここで終わりを告げ、人々が次代へと歩んでいくことを暗示して、物語の幕が引かれる。

グラフィック

  • 水彩画調のグラフィックは美しく、画面を落ち着きのあるものに仕上げている。
    • 砂漠に聳え立つ散水塔、氷と人工物が組み合わさった寒冷地の遺跡、琥珀色の映える虫の住処、うら錆びた古代の巨大橋脚など冒険の舞台のシチュエーションが浪漫に満ちていることもあって終始幻想的な雰囲気を味わえる。

BGM

  • 作曲家は旧来の伊藤賢治氏から浜渦正志氏に交代。発売当時は懸念の声もあったが、実際の作中の音楽は非常に質が高く、現在では批判の声は殆どない。
  • 作中の曲は主として3種類のメロディしか使われておらず、特定の旋律を変奏させつつ複数に渡って多用する事で、統一感を生み出している。
    • 一例として一般的な町で流れる曲と、通常戦闘曲で同じメロディが使われているが、趣が完全に異なっており違和感が全くない。
      全く同じメロディでも、様々な楽器を使用し、曲調を工夫する事で、シチュエーションに応じた幅広いバリエーションを持たせている。
  • これは氏の「連続するシーンで異なるメロディを流す事への違和感」から生まれた産物で、氏がゲームへの造詣が深い事も要因となっている。
    • 勿論これ自体は他作品でも行われる比較的一般的な手法だが、本作の場合は50を超えるBGMに徹底してこの手法が使われているのである。
      FF等、複数作に分かれてアレンジといった形ではあったものの、一作品内でここまで大胆に行ったのは本作以外にあまり例がない。
    • ちなみに氏は次回作『アンリミテッド:サガ』でも作曲を担当しており、作品自体はあまり評価されなかったが、BGMは好評を得ていた。
  • こうして作られた各BGMは、ゲーム全体との調和もさることながら、単体の「音楽」としても十分に聴き応えのあるものとなっている。
    特に戦闘曲は伊藤賢治氏とは方向性が異なるものの、通常戦闘曲だけで5種類も用意される等、世界観との調和も相まって評価は高い。
    また、本作は戦闘曲以外、街やイベント等で流れるBGMも非常に評価が高い。浜渦氏の手法が効果的に機能している証拠であろう。

バトルシステム

  • 本作のバトルシステムは非常に戦略的な物となっており、システムをしっかり理解すれば幅広い遊び方が可能。
    • 解析が進み、インターネットで情報が得やすくなった現在では多彩なやりこみが行われている。

ユーザーインターフェイス

  • 本作ではL1=武具装備画面、R1=技装備画面、R2=ステータス画面となっており、メニュー画面を経由せずに任意の画面を呼び出せる。クイックセーブも一瞬。
    • また、他のゲームでは殆ど見られない特徴として、本作では右スティックでもキャラクターやカーソルの移動ができ、片手での操作が可能となっている。

賛否両論点

シナリオ

  • ヒストリーチョイスによって一世紀近い歴史を辿る壮大なシナリオではあるが、説明・描写が不足しており、評価は分かれている。
    • イベント内容やキャラの台詞を注意深く追うことで見えてくる事柄が多く、世界史の授業ノート並に地理関係・勢力関係・人物相関を時代ごとに整理しながらプレイでもしないとストーリーが理解できない状態に陥りやすい。
    • アルティマニアや設定資料集を当たらなければ補完されない事柄も多い。
    • 発売当初、シナリオについては否定的な意見が多かったが、上記の性質から後にネットや書籍で情報を整理や補完できるようになったことである程度再評価された。
    • 一方で、作中でさらっと流れされた描写の繋がりをネットで再確認して始めて理解できる人が多かったり、別売の書籍でやっと穴が埋まるような作りへの否定意見も根強い。「考察の楽しみを残している」という評価も、「プレイヤー置き去り、投げっぱなし」という評価も、どちらも不当なものではない。
    • 特に、キャラクターの描写に関しては、途中からゲーム中での登場が一切無くなって「あのキャラはあの後どうなった?」と思ってしまう脇役キャラが多い。ただし、この点に関しても関連書籍などを読むことでその後が補完できるキャラはいる。
    • 一部の事件は、最後まで真相が明らかにならず謎のままに終わるため、好みが分かれる。
    • 過去のシリーズ作品よりも配慮は窺えるが、シリーズ伝統の粗雑な言い回しも見られる。
  • 本作のシナリオシステムは、従来の「特定の場所に任意に行く事で発生させる」ではなく「用意されたシナリオをある程度好きに選択できる」という形であり、従来作と同感覚では遊べない。
    • 基本的に世界各地を自由には移動できず、そのシナリオ内で定められた場所を動ける。時代や場所が違うので1つの事件をこなしている間に別の事件に関われないのは仕方ないが、同じイベント中でも場所を移動してしまうと直前の場所に戻れなかったりする。
    • これにより、回復手段が限られる上にボスラッシュがあるラストダンジョンでは苦戦を強いられる。特にラスボスはとてつもない強敵であるため、事前情報がなければまず最初からやり直す羽目になる。

戦闘

  • 前作と比べてバトルスピードが遅くなり、ド派手なエフェクトの技やダイナミックなカメラワークも殆ど見られなくなった。
    • PS本体のメモリ容量が足りない関係*6でエフェクトは変えざるを得ず、連携がテンポ良く出来なくなってしまったらしい。
    • ただしド派手エフェクトは好評ではあった半面、演出の長さを問題として指摘されることもある*7。今作では全体的にエフェクトが簡素になったことで演出時間も短くなっているため、結果的に前作とさほど変わらないテンポでプレイすることは可能である*8
      • 今作のバトルエフェクトはBGMと同様で前作のような派手さはないものの、今作の幻想的世界観とマッチしている。
    • バトルスピードの遅さに由来する戦闘時間の長さに関しては、1対1で戦う事で手早く戦闘が終わらせられる「デュエル」の導入、HP回復方法を簡略化して少ない入力で全員の回復が行えるといった工夫もされている。また、シリーズには珍しく、技より術の方がテンポの良いものも少なくない。
  • 前作で好評を博した連携は、繋がる条件が若干厳しくなり、運用がやや難しくなっている。
    前作では連携による難易度低下を悔やむスタッフの声があり、本作はスタッフの意向通りとも言えるが、プレイヤーには賛否両論である。
    • 前作では最強技同士でもバンバン連携可能だった等、特にアタマを使わなくても適当に技を選択していれば連携を楽しむ事が出来た。
      一方今作では、どの技/術からどの技/術に繋がるのか、というのをしっかりプレイヤーが意識・把握している必要がある。
      しかし連携のダメージ補正は前作よりも大きく、今作では4人パーティながら、5人の前作よりも高いダメージを叩き出せる連携も可能。
    • 前述のメモリ容量の問題でテンポ良く出来なくなった代わりに、前作と違って連携の初めにどこまで連携が成立しているのかわからないようになっており、「次の技は繋がるのか繋がらないのか」というような”焦らし”や”緊張感”を演出している。特に2→3人目の連携の間は絶妙である*9
    • 結果的にこれらの「狙って連携を作る」「焦らし」「リターンが大きい」という要素が絡み合い、前作のようなひたすら爽快感の高いものとはまた違った快感を得ることが可能なシステムとなった。
    • 強力な攻撃同士を繋ぐために、間に中堅の技/術を挟むように連携する必要があるため、それら中堅の技/術が今作では終盤まで活躍できる。
      従来作は能力値ダウン技等を除き、基本的に最大火力をぶつける戦闘であったため、中堅技に利用価値が生まれたのは評価点と言える。
      ちなみにデュエルでも「身を守る+3コマンド技」という戦法が有効なため、中堅技が死に技/術になりにくくしっかりと活躍できる。
  • シナリオの都合で、使用キャラは次々と代わり、最後には使用できないキャラが多い。キャラのストーリー面での掘り下げは旧作より深いが、好きなキャラを自由に選んで戦闘できない、育成の自由度が低いことに否定的な意見もある。
    • ゲーム自体は、技・術は共有で初期状態のキャラでも連携を活用すれば大ダメージを与えられる等、あまり育成をしなくても進められる設計にはなっている。しかし高を括ってロクな育成をせずにゲームを進めると、ラストダンジョンを筆頭とした強力なボスで詰まってしまう危険性もある。
    • とはいえ資質や成長率に差はあるものの、従来作同様に全員を剣士にしたりといったことも可能であるため育成の自由度は基本的に高いまま(ただし最終パーティでも一部キャラが体術が使えないことや、とある術がどうやっても学習できないという問題があるが…)。
    • 育成をしなくても常に適切な強さのキャラクターが使用できるため、ゲーム進行がスムーズで、制限プレイやRTAがやりやすいというメリットとされることもある。

バランス

  • 歴代サガシリーズの例に漏れず、難しいところは理不尽なまでに難しい。
    • 特にギュスターヴ編・ウィル編ともにラストシナリオは非常に難度が高く、シリーズ随一とも評される。双方ともプレイヤーがシステムを理解しきれていないと厳しい。
    • クリアできなかったからクソゲーという声も当初少なくなかった。
      • 書籍やネットによる再評価は、攻略情報を見てクリアできればこういう声が減るという理由もある。
  • ギュスターヴ編のラストバトルであるコンバット「サウスマウンドトップの戦い」は味方側が極端な劣勢で、敵味方の戦力を常に把握しなければならない上に高度な戦術的判断が要求される。一応力押しの攻略法はあるものの、リアルラックが絡んでくる。
  • ウィル編は、ラストシナリオを始めた時点でもうラストダンジョン以外に移動可能な場所がなく、ラスダン内には回復ポイントもショップも無い為、補給が厳しくなっている。ザコは居るのである程度アイテム収集や育成は可能だが、LPに関しては回復アイテムを前もって用意していなかった場合、回復方法がない。しかもラスボスはLPを削る攻撃をガンガン繰り出して来る為、ラスダン道中でLPを大きく消耗&LP攻撃への対策が無い状態ではラスボスに勝つのは困難であり、最後になって「詰んだ」というプレイヤーは多い*10
    • 控えメンバー2人は、ラスダンに配置された中ボスの4体のうちどれかとデュエルで戦える(このデュエルに参加したキャラは離脱し、クリアまで使用できない)。ここで倒したボスに応じてラスボスの形態が減るが、ラスボス戦で強力な全体攻撃を使う形態や、全体石化攻撃*11を使う形態は倒さないと難易度が高くなる。
  • とはいえシステムを理解しきっていればどちらも100%攻略できるような絶妙なバランスになっている。この点は従来作(特にロマサガシリーズ)と何も変わっていない。
    • ラストバトルにあたるので制作側としては、初見クリアは難しく2度くらいは失敗して積んだ経験知識を活かして3回目くらいでやっとクリアすることになる想定の難易度にしている。
      • 3回目でクリアというはサウスマウンドトップの戦いやエッグに限らず他の河津ゲーのラスボス戦でも目指している難易度水準とのこと。
    • プレイヤーが学習していくことで攻略が楽になっていくことを意識した造りになっている。逆にそこを楽しめないプレイヤーにとってはこの造りはゲームとしての欠点になる。
      + 開発者インタビューにおける同趣旨のコメント

      (そういう倒し方とかを)覚えていくのがゲームだろうなと思いながら作ってるんですよ。
      ロープレって言うのはキャラクターを強くするんじゃなくて、プレイヤーが世界に入っていくこと。 この世界ではこういう技が使えるんだとか有効なんだということを覚えていくのが、 ゲームの中にどんどん入っていくという事で、 そこがゲームの中でファンタジーを描く意味合いとして強く推して行きたいところです。

      だから、とりあえず何か強そうな技を打ってたら勝つというんじゃなく、 プレイヤーが学習することで喜んで欲しい、みたいなのはあります。
      そこが喜べないようなつくりになってるとすれば、ゲームとしての(フロ2の)欠陥だと思うんですけど。

システム

  • 進め方によっては出てこなくなるシナリオが存在する。
    • ただしそれらはストーリーの本筋とは絡まない、所謂キャラの掘り下げのためサブイベントのようなシナリオのためプレイできなくてもストーリーの理解には何の支障もない。
    • 時系列通りにプレイすれば全て見ることができる。

問題点

  • 全部で28種類あるロールの内、設定ミスで11種が本来の効果を発揮しておらず、また4種の実際の効果が表記と異なっている。
    • その殆どが「効果対象が敵/味方全体のもの」で、プログラムミスにより機能していない、または効果自体が設定されていない。
      • なおスタッフによるとロール関係はバグがひどくてプログラマもお手上げで、ロールを完全撤廃するかバグを含んだ形で出すかの2択になり、不完全でもロールありを選んだとのこと。
  • 敵モンスター「スライム」は複数の種類が居て強さが全然違うのだが、外見や名前が全て同じ。見た目では強いのか弱いのか全くわからなくなってしまった。
  • 滅多に起こる事ではないが、幾つかのシナリオで特定手順を踏んでしまうと、ゲームが進行不可能になる事がある。
    • 「潜入!アレクセイ一味」というシナリオを、2周目以降かつそれに関わる別のシナリオを特定の進め方で選択すると、文字通り潜入を頼む相手がいなくなりゲームが進まなくなってしまう。2周目以降だし故意でないとまず起きない現象ではあるが。
    • 「あの空に虹を」というシナリオで、同シナリオクリアに必要なクヴェルを捨ててしまうと、ゲームが進まなくなってしまう。
      とは言えクヴェルを意図的に捨てるだなんて、世界観的にもゲーム進行的にもまずあり得ない事であり、自らわざと行わない限りは発生しない状況である。
    • 「特定行動でカウンターが加算、一定値に達するとゲームオーバー」という仕様の、崩落する鉱山から脱出するシナリオが存在する。
      しかしこのカウントを引き継いでしまうバグがあり、脱出シナリオの進め方次第では、後のシナリオでゲームオーバーになる恐れがある。
      とは言え、再来した際のストーリー進行フラグは鉱山に入った次点で立つので、入って即引き返せば回避は容易に可能である。
    • その他最終シナリオにおいて、特定ボスを倒さずにまた別の特定ボスを倒した場合にも進行不能になると言われている。
  • 所持金はキャラ毎に独立しているため、特定キャラの操作時に資金を入手しても、以降にそのキャラを操作する機会がなければ無駄になる。
    • チップ・アイテムは全キャラで共有なので、事前に店で使い切り、それを戦闘や処分でチップに変換する等すれば無駄は出ない。
      しかし、チップへの換金やアイテムの処分が可能な町に立ち寄れるシナリオは限られる他、戦闘でアイテム耐久度を減らすのも面倒ではある。
    • また初見では主人公が交代するタイミングが分からないため対策が取りづらい。
  • 本作には倉庫のような施設や、「物を預ける」というシステムがなく、それでいて装備は普通に使い切れる分量を大幅に超えて手に入る。
    • この豊富に入手できる装備品が、ゲームを進めるに連れてじわじわとアイテム欄を圧迫していき、最終的にはかなりキツキツになる。
      先述の通り処分(=チップへの変換)はいつでもできる訳ではないので、「利用価値の低いものから捨てる」という作業に悩まされやすい。
    • 道具欄が埋まっている状態の時に一度しか入手機会のないアイテムのイベントを進めてしまうと、道具整理の確認等もなく入手できずに進んでしまう。
      これが起こる状況は少ないものの、いざ起きてしまうとその周回中は取り返しが付かない。
    • また、敵からのアイテムドロップも道具欄が埋まっている状態だと発生しなくなるので、後半の貴重な戦利品を取り逃してしまう事がある。
      「持ち物がいっぱいで入手できなかった」等のアナウンスも表示されないので、道具欄にはいつも空きを作っておきたい。
    • 一応、町の中に(一部ゲストキャラを除き)それまでプレイヤーキャラとして使用したキャラの持ち物を回収してくれる人がいる。
      これを利用し、『離脱するキャラに予めアイテムを装備させ、必要に応じて回収する』という、倉庫的な運用方法も行えなくはない。
      とは言えこれも初見では知り得ない事であり、ある程度慣れないと何かと不便に感じやすい。
  • 武具の性能や表記について
    • 前作に引き続き属性防御は「斬打突熱冷雷光状」の8種類あるのに対し、表示の方も前作同様、基礎的な【基本性能・術力増強・耐性】しか確認できない。
      上記8属性は確認不可能なマスクデータであり、特定属性への強弱をゲーム内で確認する方法はない。ちなみに攻略本にすら載っていない。
    • 従来作は革製防具や兜が打属性攻撃に強く設定されていたが、本作は序盤で手に入る一部を除き、そのような設定にはされていない。
      本作の場合は骨製防具が射属性に、石製防具が打属性に弱く、逆に特定の物理属性に強い防具は片手で数えるほどしか存在しない。
      一方で5種類の術法属性については、多数の防具に強弱が設定されている。恐らくJPが防御力に影響するための調整だと思われる。
    • 金属製防具は「高い防御力を誇ると共に術阻害効果を持つ」という設定だが、正直メリットとデメリットが釣り合っているとは言い難い。
      • 術阻害は自身や味方からの術効果も妨げてしまう。
      • また、金属製防具は防御力自体も飛びぬけて高い訳ではない上に「術力増強」の値を持たない。本作には術力増強が高いほど最大JPに応じて実防御力にボーナスが掛かる仕様があるため、結局非金属製防具に劣ってしまう。
      • なお、金属製武器の方は非金属製武器と比較して非常に高い攻撃力を持ち、長短が釣り合っているものもいくらか存在するため、選択肢の一つとして利用価値はある。
  • 武器系統の一つである「斧」は、それ単体で見るとさほど感じないが、他武器と比較すると途端に性能の低さが露呈する。
    • 「術技が一つしかなく性能も低め」「市販武器が弱い」「最強武器の攻撃力が全系統中最低」「最大JP修正値がどれも低い」等の欠点の他、状態異常技・回避技・反撃技・範囲攻撃・全体攻撃・クヴェルの全てが無い…と散々な性能であり、プレイヤーからよくネタにされている。
      • 一応、クヴェルはないものの耐久度無限武器自体はあるのだが、その入手条件もやたらとレア。しかもさほど高い性能でもない。
    • 強みとしては「相変わらずの斬打属性」「全編を通じてドロップでツールを入手しやすい」「技の成長率がどの系統よりも高い」等があるため、決して与ダメージは他系統に劣りはしないのだが…従来と比較すると不遇感は否めない。
  • 固定装備武器の存在
    • 「鋼鉄の短剣」や「炎の剣」など、武器の中には最初から装備されており、外すこともできない固定装備が存在する。
      • 終盤で加入する「グスタフ」というキャラは、武器の装備枠が両方とも固定装備となっており、付け替えが一切できない。「炎の剣」の性能が終盤にしては低かったり、術士としての資質の高さが金属製の固定装備で台無しになったりと、重要キャラでありながら不遇な存在となっている。
      • 余談ではあるが、この炎の剣、実は本作でも重要なアイテムの一つなのだが、この剣のおかげで登場キャラの多くが酷い目に遭っている。さらにこの性能なので「外して捨てたい」と考えるプレイヤーもいた。

総評

前作とは大きく異なった内容、壮大すぎてゲーム単体では説明不足気味なシナリオや、自由度が少ないシステムなどはプレイヤーから評価が大きく分かれる要素があるのは事実。
一方で、上質なBGMに美しい水彩画グラフィック、練り込まれたバトルシステム、難しくも魅力的なストーリー等、前述した要素を補って余りある魅力があり、やがて高い評価を得るに至った良作である。


余談

  • 本作のアルティマニアにはオリジナル小説『Beender~終末をもたらす者』が収録されている。著者は前作の裏解体新書の『ヒューズのクレイジー捜査日誌~8人目の主人公になりそこねた男』や『FF』シリーズの攻略本に掲載されていた各種ノベルと同じくベニー松山。
    • オリジナルキャラである不老不死の剣士「ベエンダー」の視点から本編のシナリオをなぞっていく。本編で語られなかった部分の多くを補完し、キャラの掘り下げも行われており、評価が高い。
    • 但し、他の小説と同様にあくまで松山氏の解釈によるオリジナルストーリーであり、キャラの性格の意図的な改変や独自解釈、ゲーム版の設定との乖離や相違点も散見されるため、パラレルワールドと言ったほうが近いだろう。
      • ファンの中には本小説を「正史」「本編で語られなかった裏設定」と受け止める人もいるが、作中で語られた新設定や展開は全て小説独自のものである点に注意。
    • 上記の小説については、後に2020年12月15日発売のSwitch用ソフト『Sa・Ga COLLECTION』の限定版『サガ 30周年記念 BOX【神】』に付属の小説集『SaGa: Re-imagining Stories』にて他のベニー氏執筆のサガ小説と共に再録されている。
      • 同小説集は、後日単体で電子版販売の予定もある。
  • 他にも、別作者により終盤のジニー編を描いた小説『ヴァージニア・ナイツ物語』(著者はじょうもん弥生)が発売されていたり、雑誌『ふぁんでら』に序盤のギュスターヴの少年時代を描いた漫画(作者はさいとう礼見・未単行本化)も掲載されていた。
  • 2012年頃に「64交換バグ」と呼ばれるメモリ破壊バグが発見され話題となった。
    • 前提条件として「所持アイテムを武器か防具のどちらか片方で統一し64個集める」という手順が必要なため、意図して行わない限りはまず発生せず、発売から13年もの間ずっと発覚することはなかった。バグが発見されたのも特殊な縛りプレイが発端となったものである。
    • しかし条件が単純な割に、仕組みを理解して行えば思い通りのアイテムを生成したり、シナリオフラグを書き換えたりすることが出来るという、ゲーム性を大きく壊すとんでもないバグである。内容の詳細はここでは割愛するので、気になる人は各自検索してみるべし。
    • メモリを書き換えるバグであるため、当然ながら適切に行わないとフリーズや進行不能に繋がることも多い。使用は自己責任である。
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最終更新:2023年09月22日 15:53

*1 通常版のみおまけディスク「SQUARE'S PREVIEW 4」(レーシングラグーン』『聖剣伝説 LEGEND OF MANA』の体験版と、1999年までにスクウェアが発売したPSソフトを紹介する「SQUARE COLLECTION VOL.1」を収録したディスク)が付属する。

*2 廉価版で付加されたレーティングを記載。

*3 アルティマニアには「資質のある術の系統(=アニマ)」と「バトル中に使った術の構成アニマ」の組み合わせと解説されているが、これは誤り。

*4 ただしネット上にある動画によると直接ラストバトルに向かった場合は絶対に勝てないとのこと

*5 柄の部分は持ち主がお守りとして生涯大切に持っていた、という設定があるが。

*6 アルティマニアでバトル担当者が語った所によると、前作ではキャラのポーズはメモリ上に常駐してエフェクトをCDから読み込むだけだったが、本作はキャラのサイズとアクションがボリュームアップした反面、毎回データを1つ1つメモリ上に読み込む必要ができてしまったという。

*7 当時の『FF』シリーズでそれが顕著(『VII』『VIII』あたり)であり当時のトレンドでもあった。この作品がリリースされたくらいの時期からは比較的にFFも含めて派手で長いエフェクトよりも短めのエフェクトが主流になっていった。

*8 例えば連携を使用する場合は今作では前述のメモリの問題や後述の”焦らし”演出のために戦闘のテンポは前作より落ちるが、現れたザコ敵をファイアストーム等で一掃するだけというような戦闘であれば今作のほうが速い。

*9 開発者もアルティマニアでこのような趣旨の話をインタビューで語っている。

*10 ただし、厳密に言うと本作のラストダンジョンは『ロマサガ2』や前作のいくつかのシナリオと違い、ラスボス直前でセーブしてもいくらかのザコ敵との戦闘ができるためキャラ育成やドロップ品の回収が可能。WP、JPも戦闘終了時に徐々にだが回復する仕様である為、ラスダン内に回復ポイントが無くとも時間を掛ければ補給は可能。また、LP消費攻撃を防ぐアクセサリーはここで出現する雑魚が低確率でドロップすることから、仮に全員LP1になってしまっていてもラスボスの撃破は可能なため、完全な「詰み」にはなり得ない。

*11 メインターゲット以外への石化率は約17%(20/120)ずつ下がっていくようにするつもりが、設定ミスにより約1.7%(2/120)ずつしか確率が下がらないようにしてしまい意図よりも凶悪な性能になったとの事。