シルエットミラージュ

【しるえっとみらーじゅ】

ジャンル アクション
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対応機種 セガサターン
発売・開発元 トレジャー
販売元 エンターテインメント・ソフトウェア・パブリッシング(ESP)
発売日 1997年9月11日
定価 6,090円(税込)
廉価版 サタコレ:1998年12月9日/2,940円(税込)
判定 良作

ストーリー

謎のシステム「エド」の暴走がもたらした過去の災厄により、
シルエットとミラージュの2つの属性に分かれてしまった世界。
シルエット族とミラージュ族は異形の存在となり果てつつ、
それぞれの一族の下でそれぞれの秩序と社会を築き上げ、
互いに小競り合いを繰り返しつつ併存を続けていた。

そんなある日、とあるシェルターで、一人の少女が目を覚ます。
彼女の名はシャイナ。
1つの身体に2つの属性を併せ持つハーフ種であり、
「変貌した世界を元に戻す」という使命を託された存在であった。
そんな彼女を「今ある世界を脅かす破壊者」とみなした
シルエット族・ミラージュ族の双方から妨害を受けつつ、シャイナは一路「エド」を目指す。

その旅路の果てに待つものは――。


概要

  • 2Dアクション。任意スクロール式ではあるが展開は一方向ではなく全方位スクロール。
    • 自機及び敵にはライフと精神力が設定されており、ライフが無くなればミス、精神力が減少すると攻撃力(単純な威力や攻撃パターン、攻撃範囲)が減少する。
    • 自機にはパラサイトという生物(全7種類)を最大三つまで装備できる。
      • 装着するパラサイトによって自機のショット性能が変わり、更にパラサイトのレベルにより性能が高まる。
      • パラサイトは道中のショップで購入・装着できる。
  • 敵及び攻撃には「シルエット」「ミラージュ」「無属性(ノーマル属性)」の3種類の属性がある。
    • シルエットとミラージュの場合は同属性の攻撃を受けると攻撃力ダウン、異属性だとダメージ。
      • 主人公は身体の左右で異なる属性を持っており、画面上で左右どちらに向いているかによってシルエットとミラージュの属性が切り替わる。
    • 無属性の場合は同属性以外を無効化(押し出す事は可能)し、同属性でライフと精神力にダメージを受ける。
      • 主人公の場合は、後述するリフレクターで反射した攻撃が無属性に変換される。

評価点

  • コミカルで魅力溢れる様々なキャラクター群と、裏に広がる世界崩壊・救済する世界の選択と言うシリアスで重いストーリー。
    • 最終局面で主人公が迫られる選択により分岐するエンディングは、過ちを犯した旧世界の救済(やり直し)と、そのまま未来へ続く現世界の救済(過ちの受け入れ)、
      そして救済の使命を背負った主人公双方にとって、ハッピーともアンハッピーとも受け取れる切ないものになっており、プレイヤーに強く印象を残した。
    • 登場人物の名前は主に旧約聖書から付けられている。7種類のパラサイトはまんま七つの大罪である*1
  • 多彩なアクション。
    ショット・ジャンプ・ダッシュ以外にも、敵を掴んでから殴りつけたり投げたり出来る。
    他にも、同属性攻撃を反射するリフレクター(バリア)・属性チェンジ*2・ボム・突進等。
    • これらが非常に単純な操作ででき、更に一つ一つの動作が非常に速いので展開そのものの速さに繋がっている。
    • 攻略には属性の要素を意識した独自の戦略が求められる。「距離を取ることで攻撃を容易に回避できる相手に対しては異属性攻撃で速攻をかける」「回避が難しい遠距離攻撃を行う敵に対しては同属性を維持し、リフレクターによる反射と同属性ショットで精神力にダメージを与え、厄介な攻撃手段を削ったところで異属性攻撃で倒す」「敵を掴んで投げ飛ばすことで位置取りを優位にする*3」等。
    • また、リフレクターは異属性は反射できないという弱点があるが、反射することで変換されるノーマル属性は体力と精神力の両方にダメージを与えるという特性を持つため、場面によっては通常ショットよりも強力な攻撃手段になり得る。敵の攻撃を読み切り、大ダメージ攻撃を行う瞬間に目の前まで接近してリフレクターを展開することで全ての威力を敵に反射し瞬殺するといったことも可能。
      • ただし、一部の敵もリフレクターを使用してくるため油断は禁物。カツアゲのために漫然と同属性ショットを撃っていると、たまに反射されて予想外のダメージを食らったりする。
  • サウンド・グラフィックのレベルが高い。
    • エフェクトも一つ一つが派手なので非常に爽快感がある。
    • ボス曲はシルエット・ミラージュ・機械等で別けられており、9種類とバリエーションも豊富。同一局のアレンジではなく、ボスに合わせて1曲1曲が独立した曲となっているので聞きごたえがある。
    • 各キャラのアクション時のみだがボイスがついている。
      • 主人公シャイナを演じる矢島晶子を始め、松井菜桜子、難波圭一、水谷優子、増谷康紀、置鮎龍太郎といった豪華声優陣が集っている。

問題点

  • 難易度は高め。
    • 一部ボスは特殊な倒し方(指定の場所に特定属性の雑魚を投げ込むなど)を要求されるため、ゲームテンポは良くない。
    • 無属性の敵にはショットが効かず、リフレクターの反射攻撃に頼るしかないため厄介。
    • 掴む→上に投げる→落ちてくるまでの間に攻撃→落下したら再び掴む、のコンボでボスも含めて掴める敵は完封できる。仕様の穴であったようで、製作者はインタビューで「これを発見してしまった人もたまには手を抜いてあげてください」と語っていた。
      • とあるボスは制限時間内に倒せるかどうかでストーリーが分岐するが、上記コンボでもないと時間内に倒すことは困難。
  • ボムの価値が薄い。
    • ボムは使用すると精神力を3分の1消費する。自機の性能が良いので、ボムを使うくらいなら体当たりで間合いを取って射撃していた方が安全かつ効率がいい。
    • 同じように左右での属性チェンジも精神力の3分の1を消費するので使い勝手が悪く存在価値に乏しい。
  • お金を得る最大の手段である「掴んで殴りつける」という行為がテンポを乱す。この行動ではダメージを与えられず、これを行わなければ殆どお金が手に入らない。
    射撃で撃てば数秒でカタがつく雑魚たちを1匹1匹掴んで殴りつけていくのは作業感が強い。
    • 一部で「カツアゲゲー」と言われたり。
    • ただ、資金の使いどころはパラサイト購入と体力、精神力の回復と限られており、クリアには必ず一定以上の金額が必要というわけではない。上達してくると回復アイテムはもちろん、パラサイトの購入費も絞れるのでカツアゲの必要性は薄くなる。
    • ちなみにボスからもカツアゲが可能。当然そこらの雑魚より金を持っているので慣れてきたら雑魚を細々カツアゲするより、ボスの攻撃パターンを学習した上で精神力を削り、ボスから効率的にカツアゲするゲームになっていく。
  • パラサイト間のパワーバランスが悪い
    • スローサ(スタンダードショット)
      • 低Lv帯では余り連射も利かずパッとしないためグラットニィ(レーザー)にほぼ食われているが、高Lv帯では単発火力の高さと連射性で強烈な火力を発揮するため逆に食ってしまう。特に最高レベルともなると最早マシンガン。
    • グラットニィ(レーザー)
      • 押しっぱなしで射程が長いレーザーを放出し続けられ汎用性が高い。Lvが上がるとどんどん幅が太くなり射程も伸びるが一方で火力が余り伸びない、敵を貫通しない、のけ反らない、と使い勝手がLvであまり変わらないため、効率は良くないが取り合えずこれで全編押し通すことができてしまう。初心者救済としてはありだが、プレイアビリティを損ねてしまっている面がある。
    • カビタス(ホーミング)
      • 前方に照準サークルを展開し、内部に入った敵をロックオンしてホーミングレーザーを撃ち出す。低Lvでは照準サークルが小さく自分で狙っているのと余り変わらないためホーミングである意義が薄く、高Lvでは他にもっと良いパラサイトが複数あるという踏んだり蹴ったりな立場。
      • 照準サークルで狙う→ロックオン完成→発射と1ステップ挟まるためにレスポンスもテンポも悪く、身も蓋も無いが使うメリットが薄い。
    • アンガラ(ボム)
      • 着弾点で爆発するボムを放物線軌道で発射するほか、地雷として設置することもできる。火力はそれなりに高くLv上昇で爆風も大きくなっていくが、射程が短く連射が利かないため使うシーンを選ぶ。ダメージを求める場合、敵を吹っ飛ばす威力の方が強く、見た目に反して高Lvでは他のパラサイトに食われてしまう。加えて大きな爆風も画面が見辛くなる。
    • エンビア(ウィング)
      • 前方に射程の短い翼状の攻撃判定を発生させる。翼は上下キーでハサミのように開閉する事が可能で壁と二辺で敵を囲ってハメたりもできるが、低Lvでは翼が短すぎて実用に耐えない。高Lvではそれなりの火力と射程を備え実用に耐える様になる。また敵に反射(リフレクト)される恐れがない。
    • ラスティ(ガス)
      • 射出後少し進んだ後に一定時間その場で滞留するガスを発射する。Lv上昇に伴って一度に発射・滞留させられる数とガスの大きさが増加する。低Lvでは使い物にならないが、高Lvではガス同士が攻撃判定を重複発生させることによる超火力、大量にばら撒けるようになることによる面制圧力、そして何より滞留式のためにシルエット・ミラージュの両属性同時攻撃が可能な反則性を兼ね備えた超パラサイトと化してしまう。射程の短さという欠点はあるが、それ以外の点ではスローサやグラットニィですらアドバンテージは限定的で、特にアンガラやエンビアは立つ瀬がない。
    • プライディ(ブーメラン)
      • 貫通性があり一定距離で戻ってくるブーメランを撃ち出す。Lv上昇に伴って連射数と射程距離が向上する。貫通性によって火力が高いほか、戻ってくることと貫通性を利用して逃げながらの攻撃に使える。低Lvでは射程が短すぎて使いにくいが、中Lvからはかなり安定して使える武器になる。スローサやグラットニィと並ぶ程度の基本性能はあり、パラサイトの中では比較的バランスが良いと言える。必ず手元に戻ってくる特性上、敵に反射されるといつまでも追いかけてくる。
    • 以上の様に多彩なパラサイトが用意されているものの起用点のあるものはスローサ、グラットニィ、ラスティ、プライディといったところ。それらも低Lv帯ではグラットニィが強く、高Lvではラスティを筆頭にスローサ、プライディという感じで優秀なものは限られてしまう。残りのアンガラとエンビアはアドバンテージに乏しくパラサイト間の格差が大きいバランスになってしまっている。
  • セーブ方法がゲームオーバー時のみと不親切。
  • 全体的にロード時間が長め。

総評

トレジャーらしい斬新なシステムと個性的かつ独特な世界観とストーリーに彩られた作品。

ゲーム性の面では「キャラクターの左右の向きによって攻撃の特性が変わる」というシステムに癖があり、アンバランスな難易度設計も相まってアクションゲームとしてはテンポ感が少々いまいちな部分もあるため、やや人を選ぶところはある。

一方で、コミカルポップなデザインと魅力的なキャラクターとは裏腹な重いストーリー展開と切ないエンディングが強く印象を残しており、マイナーな一作ながらそれなりに多くのファンを獲得している。


余談

  • 本作はSS末期の作品である。文字通り滑り込みで廉価版が発売されたため、SS版は原価より少し下がっているが、PS版は追加要素があるものの廉価版は無く、品薄なのでプレミアがついている。
    • 発売前には、2面のみが遊べる体験版が各ゲームショップで無料配布された。
      • 製品版でも使用されるCD-DAの楽曲が全て収録されており、エンディング曲など若干ネタバレ要素もある。
      • 一説によると、配布数が製品版の販売数よりも多かったらしい。
    • 2010年8月にゲームアーカイブスにPS版が登場。PS3及びPS Vita、PSPでダウンロード購入できるようになり、プレイ方法の少なさが大幅に軽減され、PS Vita、PSPでは高速読み取り設定の利用によりロード時間を任意に軽減可能となった。
  • 敵の属性(色)に合わせて攻撃するシステムは、後の『レイディアントシルバーガン』『斑鳩』に引き継がれる事となる。

シルエットミラージュ ~リプログラムド ホープ~

【しるえっとみらーじゅ りぷろぐらむど ほーぷ】

対応機種 プレイステーション
発売日 1998年7月23日
配信 ゲームアーカイブス:2010年8月25日/600円(税込)
判定 良作

※共通項目は省略しています

概要(PS版)

SS版の移植版。リメイクではない純粋な移植であるが、移植にあたり多少の変更と新規要素が追加されている。

変更点(PS版)

  • ボスが2体追加され、エンディング分岐が新しく追加された。
    • 追加されたボスの片方はある地点までノーコンティニューで到達する事が戦う条件になっており、相応の強敵。
      • ゲーム中に強力なパラサイトと大量のマネーを持った状態になれる裏コマンドがあるのだが、これをやると残りコンテ数が0になり条件を満たせなくなるという罠仕様がある。
  • 各ステージクリア時にセーブができるようになっている。
  • 一部ボスキャラに同属性攻撃が効かない・AIの変更・主人公の一部ボイスにエフェクトがかかってないと言った変化が施されている。

評価点(PS版)

  • セーブの機会が増えた

問題点(PS版)

  • ロード時間が増加した
  • ドットが少々粗くなった
  • セーブの機会が増えたのはいいがステージ間のデモだけならまだしもちょっとしたイベントの合間にも頻繁にセーブの有無を聞いてくるためテンポが悪くなった

総評(PS版)

多少の追加要素や変更点を施しつつ原作はほぼ尊重しているが、頻繁なセーブの確認やロード時間の増加によるテンポの悪化が痛いところ。
ゲームアーカイブスで配信済みのPS版では機種次第でロード時間の軽減が可能になったため、オリジナル版へのこだわりがないのであればそちらを選ぶとよいだろう。

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最終更新:2023年11月14日 14:09

*1 この内カビタスとアンガラの元ネタがわかりにくいが、それぞれ「Greed(貪欲)」と「Wrath(憤怒)」のこと。

*2 身体の左右の属性を切り替える。「右向きでシルエット・左向きでミラージュ」⇔「右向きでミラージュ・左向きでシルエット」

*3 本作での自機の属性は、自機が画面の左右のどちらを向いているかで決定されるため位置取りは非常に重要