EINHÄNDER

【あいんはんだー】

ジャンル 横スクロールシューティング
対応機種 プレイステーション
発売・開発元 スクウェア
発売日 1997年11月20日
定価 6,090円(税5%込)
プレイ人数 1人
レーティング 【配信版】CERO:A(全年齢対象)
配信 ゲームアーカイブス
2008年6月25日/617円(税5%込)
判定 良作




在りし時
未だ月と地球が争っていた混沌の世
月から訪れる異形の戦斗機は
こう呼ばれ恐れられていた

アインハンダー




ストーリー

22世紀、月面都市と地球間の戦争があった。地球上の人類生存圏を僅か8%にまで減少させたこの戦争は、月と地球それぞれの疲弊によって終結する。
その後、月面都市は国家「セレーネ」の成立を宣言。一方、地球側の残存国家・諸都市はこれに対抗すべく、人類史上初の世界国家「ゾードム帝国」を樹立する。

それから半世紀後の2235年。復興を完了させつつあるゾードムはセレーネに対して経済封鎖を実行し、月への窒素供給を絶つ。窮地に陥ったセレーネの指導者たちは「聖地・地球の奪回と復興」をスローガンとして軍備を拡張し、「地球奪回軍(リコンカスターズ)」を結成。2242年にゾードムへ宣戦布告した。
地球奪回軍は始めこそ最新鋭の装備に物を言わせてゾードムを圧倒するが、次第に国力の差が浮き彫りとなり、宣戦布告から1年後には地球から追い出されてしまう。当初の短期決戦構想を放棄したセレーネ指導部は反攻作戦「オペレーション・ジャッジメント」を実行するべく、時間稼ぎ用の「特別戦闘隊」を逐一組織し、新型の戦術戦斗機でゾードムの重要拠点を奇襲させる局地戦を開始した。
月から舞い降り、自殺行為と紙一重の凄まじい戦斗機動で大戦果を挙げる異形の戦斗機隊。何時しかその「異形の戦斗機」は、武装システムを保持する「腕」を持ったその構造を表して「アインハンダー」と呼ばれるようになる。

2245年11月。無人指令衛星「ヒュペリオン」を進宙させたセレーネは遂にオペレーション・ジャッジメントを発動する。未だ全容が明らかにならないその作戦に疑問を持つ者もいる中、作戦発動1か月後の12月に新たなアインハンダー隊が組織された。
ヒュペリオンの指揮下で行われる、陽動作戦として計画された「帝都ゾードムの強行偵察」。それが最後のアインハンダー隊に課せられた任務だった。


概要

「スクウェアと言えばRPG」。そんなイメージが根強いスクウェアが、コナミから移籍したスタッフを中心として制作したSTG、それが本作『アインハンダー』である。
キャッチコピーは「撃って、奪って、ぶち壊せ!」。敵の武器を奪って使えるユニークなシステムと、破壊の美学にこだわった演出を持つシューティングゲームという、本作の特徴を端的に現している。

発売当時は、演出を前面に押し出し過ぎてゲーム性が少々犠牲になっていた本作の評価はあまり芳しいものではなかった。
しかし、時が経つにつれて独特の演出が話題となり、同時に攻略研究が進んだこともあって様々な遊び方が出来る戦略性の高さが再評価されるようになる。
出荷本数の多さも追い風となり*1、現在では『R-TYPE Δ』や『レイストーム』等と同じく「PSの名作STG」の1つとして語られることも多い。


システム

基本システム

  • 一撃死・残機制の3D横スクロールSTG。ミス時は特定ポイントから復活するグラディウス方式。難易度は全4段階から選択可能。
  • 全7面・一周エンド。6面の作戦目標を達成できたか否かでエンディングが2つに分岐する。
  • 画面の奥行きが存在し、ここから敵機が出現することもある。画面奥・手前の敵にはワスプの誘導弾モード(後述)でしか攻撃できない。
  • 基本操作は「8方向レバー」と「メインショット発射」「ガンポッド射撃」「腕移動」「加速」「減速」「ガンポッド切り替え(エンディミオンマークIIのみ)」の最大7ボタン(ガンポッド切り替えはシフト方向が2つ存在)。キー配置はオプションで変更できる。
  • 敵を短い間隔で撃破していくことで得点倍率が上昇するボーナス有。時間経過で倍率は減少していくが、最大の16倍になると一定時間その倍率が持続する。
    • 更に各ステージに3個ずつ、全21個のシークレットボーナスが設置されている。大抵の場合はステージオブジェクトや赤いカラーリングの敵で、獲得するごとに点数が伸び、隠しルートや隠し武器の解禁条件ともなっている。

機体システム

  • 自機となる「アインハンダー」は3+隠し2種類からの選択制。隠し機体1機を除いて「基本武装はメインショットの機銃のみ(弾数無制限)」・「敵の装備(ガンポッド)を奪取・使用できる腕(マニピュレータ)を装備している」という原則が存在する。
+ 各機体の特徴
機体名 ガンポッド最大携行数 ガンポッド最大同時使用数 備考
エンディミオンFRSマークII 3 1 ガンポッド弾数が3分の2。
エンディミオンFRSマークIII 1 1 メインショットが高威力。
アストライアーFGAマークI 2 2 ガンポッド同時使用中はメインショットが使用不可。
アストライアーマークII 2 2 隠し機体。ガンポッド弾数が取得した種類に関わらず9999発。ガンポッド同時使用中はメインショットが使用不可。
コックローチ 0 0 隠し機体。ゾードムから鹵獲された雑魚敵。ガンポッドを取ることでメインショットが強化される。取ったガンポッドによって性質の変化するサブショットも同時に発射する。

初心者には対応力の高いエンディミオンマークIIがおすすめ。マークIIIは操作自体は簡単だがガンポッドが足りないので火力不足に陥りやすく、実はクリア難度が他の機体より高い。アストライアーマークIは慣れれば高スコアを狙えるが、癖はかなり強い。アストライアーマークIIの性能は強烈だが、その解放条件は非常に厳しい。

  • 速度は4段階に切り替え可能。切り替え時のバックファイアにも攻撃判定がある。
  • 敵機を破壊、または部位破壊することで敵機のガンポッドがアイテム化し、回収することで自機の武器として扱える。ガンポッドはある程度の耐久力を持ったバリアとしても機能し、弾が切れるまで、破壊されるまで、もしくは新しいガンポッドを回収して上書きするまで使用できる。
  • ガンポッドの装備位置を変更する(腕移動ボタンを押す)ことで、ガンポッドの発射方向や性質を切り替えることが出来る(例:射角が「自機正面←→自機背面」に切り替わるスプレッダー、「誘導ミサイル←→無誘導ロケット」に切り替わるワスプ)。
+ 各ガンポッドの特徴
バルカン 弾数と連射速度に優れた機関砲。メインショットの強化版と考えてよい。腕移動で射角を変更する。
カノン 高弾速の120mm口径滑腔砲。連射があまり効かないが装甲の薄い敵を貫通する。腕移動で機体前方と前面下方に射角を変更する。
ワスプ 腕移動で誘導ミサイルと無誘導ロケットに切り替わる多目的推進弾。誘導モードでは画面奥と手前に攻撃できる唯一の手段となる。
スプレッダー 扇状に5発の弾を放つ散弾砲。弾以外の性質はカノンと似ている。腕移動で機体前後に射角を変更する。
グレネード 放物線を描いて飛ぶ榴弾。非常に高威力だが当てづらい。腕移動で機体前後に射角を変更する。
ヘッジホッグ 腕移動により真上、もしくは真下に発射される炸裂弾。起爆後は爆風がしばらくその場に残る。
ブレード レーザーブレード。わかりやすく言えばビームサーベル。発射ボタンを押している間刀身が発生し、FRSタイプならば腕移動ボタンの連打で振り回せる。また、コマンド入力により刀身の射程を瞬間的に大幅に伸ばせる。
ライオット 制御機器を破壊する雷撃砲。通常ではブレード並みの射程だが発射ボタンを押し続けることでチャージでき、残弾数と引き換え(最大で7発分)に射程が伸びる。

この他隠し武器がいくつか存在するが、汎用ガンポッドの上位互換といえる高性能なガンポッドから、どのように活用すればいいのかさっぱり分からないネタのようなものまである。入手するには狙った行動をしなければならず、弾数制限があることも変わらないため、取ったところでゲームバランスが崩れることはない。
また、隠しガンポッドには条件を満たせば必ず手に入るものとランダム要素が含まれるものがある。プレイ回数に応じて出現確率が増加する。

+ 隠しガンポッド
ジュノー 威力と連射速度を両立した重機関砲。強力過ぎてガンポッドの規格外という設定があるが自機は難無く使いこなせる。バルカンの強化版と考えてよいが、弾数は半分しかない。
フラッシュ 高初速のレールガン。カノンよりも連射が利き、あらゆる装甲や壁を貫通する。腕移動で機体前方と前面下方に射角を変更する。
モスキート レバー入力に合わせて飛翔方向が変わる「手動誘導ミサイル」。ミサイル自体の火力は非常に高いものの、レバー入力中は当然自機も同時に動くため、零距離連射以外での活用が非常に難しい。
パイソン ワイヤーで接続した5発の爆弾を連続放出するチェーンボム。一発でも敵に接触するか時間経過で連爆する。先頭の爆弾の射出速度が意外に速いので、見た目に反して命中させやすい。
  • 一度取得したガンポッドは記録され、次回以降のプレイにおいて初期携行品として選択できる(隠しガンポッドも選択可能)。
  • なお、ガンポッドを装備しないマニピュレーター(腕)自体にも攻撃判定と弾消し判定が存在する。その気になればSTGなのに弾を一切撃たない「パンチプレイ」だってできる。

評価点

徹底した硬派な作風

  • 物語は戦争で荒廃した地球を主な舞台として繰り広げられる。アングラ臭のキツイ帝都ゾードムから少し離れたところに広がる一面の高野、武骨な装甲列車に軍事基地と、作中は一貫して退廃的な香りが強く漂っている。ヒロイックなんて皆無の陰鬱とした雰囲気が魅力。
    • アインハンダー隊自体が捨て駒と同義の存在でしかなく、志願する者は恩赦目的の罪人や延命を望む改造兵士などの訳ありで主人公も例外ではない*2と、シナリオも暗い。それだけに5面の朝焼けから始まる6面以降の急展開、そしてグッドエンディングのカタルシスが際立つ。
  • 少年の心をくすぐるのが上手かったスクウェアらしく、随所にケレン味が仕込まれている。
    • セレーネ側は英語、ゾードム側はドイツ語が公用語。「シュトルムカノーネ」だの「パルツィファル」だの「シュヴァルツガイスト」だの、ゾードムメカの名前(とビジュアル)は渋くかっこいい。ゾードム側からの自機の呼称「アインハンダー」はドイツ語で”一本腕”の意味をもつ。
    • ボス敵だけでなく、雑魚敵にも細かな設定が攻略本で説明されている。
      • 「機体のコンセプト自体が必要とされず、地方の警備に回されていたが、新開発の光学兵器の搭載要件をクリアする機体として注目を浴び戦線に返り咲いた」「鉱山で使用されていたものを接収して改修した」「在り合わせのパーツで試作したが予想以上に性能が良かった為量産化に至った」「圧倒的な強さ故に発注が殺到したが、高価なプラズマ兵器が災いして配備は少数に止まった」「居住性が劣悪なため、搭乗者のサイボーグ化が行われた」等、設定マニアにはたまらない。
      • ボス敵の台詞や背景の看板なども当然ドイツ語で、味方からの通信は英語。世界観についての演出は徹底されている。
    • 機体名のほとんどは神話関係からの引用。それを利用した暗喩も多い。
      • 設定はとにかく徹底的に作りこまれている。最盛期のスクウェアだからこそ出来た、贅沢な作品である
  • ギャラリーモードでは自機体やガンポッド、敵などの様々な一枚絵が閲覧できる。プレイに応じて絵が増えていく為、やりこみ要素の一つにもなっている。

ダイナミックな演出と音楽

  • ビジュアル面のクオリティは、流石スクウェアと言ったところか、かなり高い。緻密な作りこみのポリゴン背景は見どころの一つ。要所で挿入されるムービーパートの出来も素晴らしい。
  • STGとは思えないほどダイナミックに動くカメラアングルは、スケールの壮大さや攻撃のド派手さを強調するのに一役買っている。
    • 「画面を横方向に傾ける」ハーフサイドビュー演出が多用されており、疾走感や敵の重圧を強く感じさせる迫力満点のポイントが数多い。カメラが大きく動くのはあまり自機が動かないタイミングであり、敵の攻撃もある程度控えめとなるのですぐに慣れることが出来るだろう。
    • 最終面のカメラ演出は最早伝説。宇宙空間を舞台とする壮絶な格闘戦を鮮やかに彩る。
  • 雑魚・ボスキャラは動きが凝りに凝っている。部位破壊要素も豊富で、破壊された後も爆発したり画面外に吹っ飛んだりと様々な反応を見ることができる。
  • やはりと言うべきか、自機、ボスキャラからどんな雑魚に至るまでもしっかりと設定が用意されている。ガンポッド自体にも詳細な設定が用意されている。
    • どこぞの汎用ヒト型決戦兵器のようにグリグリ動く(STGでサマーソルトキックとはこれいかに)5面中ボス「ゲシュテル」はその筆頭。他にもエビのごとく飛び跳ねる2面中ボス「ガルネーレ」、初心者キラーの難敵3面ボス(だが攻略方法によってはマヌケな側面も見せる)「グスタフ」、マヌケな死に様で人気の4面中ボス「ザラマンダー」、戦闘中に分離、合体というロマン溢れるマニューバを行う「シュトゥルムフォーゲル」鳥肌もののBGMと演出が非常に印象的な6面ボス「シュヴァルツガイスト」などなど、個性的かつ魅力的(そして強い)なボスばかり。
    • 戦闘開始時に敵が発する台詞も個性的。ドイツ語で字幕もないのでわかりづらいが、「警告する、ただちに武装解除せよ!」「フォーメーションD、各機関部A級戦闘配置!」等いかにも軍隊らしい台詞の他、「ようこそ、ここが君の墓場だ」とキザなものもあれば、「ぶっ殺してやる、腰抜け!」「俺が仕留める、邪魔するなよ!」など血気盛んなものまで。
    • 最終ボス以外のボス敵との戦闘で時間切れになると敵は逃走するか、もしくは友軍の攻撃で強制的に撃墜されるのだが、ここもボスごとに(一部は無駄に凝った演出で)作りわけられている。中でも5面ボス「デューラー」の逃走は一見の価値あり。
  • ノンブレイク・シューティングの名の通り、プレイ中には一切ロードが入らない。実際にはステージ間のロードは発生しているのだが、自軍からの指令入電を挟む事によりそれを全く意識させない素晴らしい構成となっている。
  • 福井健一郎によるテクノサウンドは各シーンに絶妙にマッチしたものとなっており、高い評価を得た。『フロントミッション オルタナティヴ』と並ぶ「スクウェア2大テクノ」と評する声も。
    • STGでは異例ともいる多数の楽曲を組み合わせ、場面の切り替わりと曲調変化や音楽の切り替わりも完璧にタイミング調整されている。画面と音楽の相乗効果はタイトーの『ダライアス』シリーズに勝るとも劣らない。
      • 例えば1面道中BGMはなんと5曲も用意され、摩天楼の合間を縫う空中戦、退廃的近未来SFのようなネオン街、街路で中ボスとの格闘戦、星間ミサイルの不発弾が刺さった地下街廃墟、アウトバーンでの高速戦闘と、次々変化する場面に合わせてスムーズにBGMが切り替わってプレイヤーの気分を盛り立ててくれる。
    • 6面のボスBGM「熱圏(THERMOSPHIERE)」は本作を代表するBGMとして愛されている。サウンドトラックは旧デジキューブからの発売だったため入手困難だったが、現在は再販が行われている。

多彩な攻略パターン

  • 多彩な武装を取捨選択し、更にその2通りの性質を使い分ける。これだけでも遊びの幅が広いことがわかるだろう。
    • 状況に応じたガンポッドを装備する事によって有利に戦えるため、攻略法を見つけ出す楽しみがある。無論、自分の好きなガンポッドのみで勝負するのも面白い。
    • 流石はSTG黄金期を築いたコナミの元スタッフが制作にかかわっているだけあり、敵の攻撃バランスや配置タイミングも考えられている。だれる場面は少ない。
    • その戦略性の高さゆえにプレイヤーにもそれなりのスキルが求められるため、難易度は高い。覚えゲーではあるが、単純な暗記ゲーにはなっていないのが評価できる。
  • ボス戦闘も相手がとにかく多彩な攻撃を繰り出してくるため、どう対応するかを考え、見出す楽しさがある。ランダム性もあって慣れていても不覚を取りかねないため、何十回とプレイしていても気が抜けない緊張感のある戦いを堪能できる。中には巧妙なフェイント(どうやら敵機にも残弾設定があるらしく、弾切れになると「攻撃モーションに入る→弾切れなのでキャンセルする→別の攻撃」と行動するため、結果的にフェイントになる)を入れてくる敵までいる。
    • ボスにはいたる所に破壊可能ポイントが設けられており、敵機の武装や装甲を次々剥いでいく爽快感がある。スコア稼ぎの楽しみも大きい。最大倍率で倒す事が出来れば莫大なスコアを稼げる。
  • 隠し武器や隠しルートを探したり、2つの隠し機体を使用する事でさらに遊べる。中でもコックローチは完全な別ゲーとなる。

問題点

難易度

  • 「難易度が高い」と前述した通り、覚えゲーとアドリブ避けにより全面クリアはEASYでもかなり難しい部類に入る。
    • 敵が全体的に硬く、緊急回避手段(ボム)もなく、戻り復活の上にコンティニュー回数は有限*3で、ガンポッドの特徴と出現位置の把握は必須となる。他のSTGよりも「覚えゲー」の性質はかなり強い。
    • 覚えゲーの割に敵の攻撃にはランダムな部分も多く、ランク制も導入されているので非常に高度なアドリブ避けのスキルが要求される。多数のボタンを使う操作(特にスピード変更と武器変更は慣れないと厳しい)も難易度の上昇に拍車をかけている。
      • 特に4面前半と5面後半が難関。あらゆる方向から敵が押し寄せ、画面を敵機と敵弾が埋め尽くす。ランダム性の高いアルゴリズムと圧倒的な物量が合わさり、難易度によっては最早「理不尽」と言ってもよいレベル。多くのプレイヤーがここで沈むだろう。一応、これらの難所に入る前に強力な隠しガンポッドが入手できる機会があるのでそれを使えば少し楽になるが……。
  • ガンポッドのシステムにも少し癖がある。下手にいらないガンポッドを取得してしまい、使いたいガンポッドに上書きしてしまう事態も多々ある*4。取得したガンポッドは自主的に捨てる事も出来ない*5。欲しくないガンポッドを取得しないようにあらかじめ破壊する等の戦略性にもなっているが、馴れないうちは煩わしく感じる。
  • 当たり判定が判り難いボスがいる。例を挙げるとザラマンダーのアーム部分、ゲシュテルの体全体、シュヴァルツガイストのソーラーパネルなどで、「明らかに接触しているのにすり抜ける事が出来る」または「避けた筈なのに接触してしまう」という現象が起きる。一度判ればそれまでだが、判定を覚えるには撃墜覚悟で試してみるしかない。
    • よく言えば覚えゲーのような「記憶力だけがすべて」でもないし、アドリブ避けだけで何とかなるような「反射神経だけがすべて」でもない。絶妙なバランスともいえるが、それ故にどちらを得意とするユーザーからも妙にとっつきにくい部分が出来てしまった。

機体とガンポッド

  • 機体には弾数無限の初期機銃が標準装備されているが、弾速が遅い・火力が低い・当たり判定が極めて小さい、と非常に使い難く設定されており、熟練したプレイヤーでもガンポッドの火力に頼らずには攻略できない。
    • 従って、機体解説でも初心者向けとの触れ込みがされている『エンディミオンFRSマークIII』はガンポッドの搭載可能数がそのまま総火力不足に直結しており、機体自体が地雷と言っても過言ではない程に凶悪な難易度を強いられてしまう。
    • 特に泣きを見るのがボス戦で、相当な上級者でもない限り初期機銃しか残らない。

ビジュアル優先の弊害

  • 演出面で多大な貢献を果たしている本作のカメラ演出だが、そもそもSTGにおいて「動く視点」というものはマイナスに働きがち。慣れないうちはアングル変化で体感速度と奥行きを見誤ることも多い。
  • 宇宙空間で戦う最終ステージは画面酔いしやすい。気にしない人や慣れる人もいる一方で、『機動戦士ガンダム 戦場の絆』でも触れられているようにダメな人は本当にダメのようである。
  • 画面に対して自機・敵機のサイズは大きく、結果として弾避けの難度を上げている。腕やガンポッドで敵弾を消すテクニックを覚えるまでは大変。
    • また、ボス戦では「不自然に接近戦を挑んでいるように見える」という指摘もある。顕著なのはゲシュテルとの戦闘で同線上にいると画面がとても窮屈に感じられる。
  • 自機の位置によって画面が上下に大きくスクロールする場所がいくつかあり、下手に動きすぎると画面上下から突然出てくる敵に殺されることになる。確かにダイナミックではあるが…。
  • 画としての美しさを優先したためか、敵弾の視認性が悪い場面が多々見られる(朝焼けの背景にばら撒かれるオレンジや青の小さい弾丸や、夜景に同化するような青白い弾など)。

バグ

  • いくつかバグが確認されている。有名なものが特定ガンポッドの火力が異常上昇するもので、ボスも一瞬で沈める超火力となってしまう。再現性も低いとは言えない。
    • 雑魚敵が画面に張りついたかのように固まってスクロールについてくるバグもある。こちらは少し経つと消えるので大した問題ではない。

総評

緻密な設定や大胆かつドラマチックな演出、俊逸なBGM、高い戦略性といった様々な面に惹きこまれたコアなファンは多い。
その一方で、バランスを欠いた難度から「STGとしてはイマイチ」と難色を示すシューターも存在している、癖の強い作品であることは否めない。
とはいえ、総合的に見れば「作り込まれた良作」であることは確かであり、面白さを実感するには相応の修練が必要なものの、その魅力は現在でも色褪せていない。
古き良きシューティングを思わせる骨太さと、スタイリッシュなディテールの融合こそが本作の本懐と言える。

現在ではゲームアーカイブスでも安価で配信されているため、興味が湧いたら是非とも「手に取って」みてほしい。
「月の異形の戦斗機」は簡単に扱いきれるものではないが、その作風はきっとあなたを魅了するはずだ。





余談

  • ステージセレクトも条件を満たせば使用することができる。難易度はfreeのみだが演出やムービーやエンディングが見たい際には便利。
  • 上記の画像の通り、本作のパッケージ絵は「手のレントゲン写真」と、ゲームシステムの根幹たる「腕」をストレートに表した非常にインパクトのあるものになっている。これを見ただけでどんなゲームなのか分かった人はそうはいないだろう(ちなみに裏面はしっかりとSTGの紹介をしている)。
  • 北米版ではバランス調整やバグ修正等がなされ、ギャラリーの仕様が変更された(収録内容の他*6システムが改善され、絵が見やすい)。パッケージ絵も無難なものになっている。
  • チョコボの不思議なダンジョン』に付属している「不思議なデータディスク」を使うことで全ての隠し要素を解放することができる。隠し機体のアストライアーマークIIを解放するための正規条件は「難易度HARDをコンティニュー3回以内でクリア」とシビアなのでこれを頼るのもよし。
  • Parasite Eve II 』の作中、とある酒場にて『アインハンダー』をあしらったピンボール盤が登場する。
  • ワールド オブ ファイナルファンタジー 』に『アインハンダー』と『アストライアー』が登場した。実に19年ぶりに3Dモデル化されたことになる。ギミックの数々も再現されている。
  • 本作を語る上でスクウェアの宣伝の失敗は外せない。
    • 「スクウェアがもう一度STGを熱くする」だの「僕らはただスカッとしたいだけなんだ」だの「超難しい照準合わせなんかしたくない」だのといった、他のSTGを暗に批判しているととられても仕方のない宣伝文句が使われていた。折しもスタッフ引き抜き騒動に端を発したスクウェア・バッシングの真っ只中であったという時勢も手伝い、コアユーザーであるシューター層の神経を逆撫ですることとなった。
    • スクウェアとしてはSTGの難しいイメージに尻込みしていた初心者層を取り込む狙いがあったのだろうが(実際、本作は家庭用STGとしてはかなり売れた)、蓋を開けてみればガチガチの覚えゲーかつ高難度。売り文句には程遠い内容であったためにメインターゲットであるはずの初心者にも面白さは伝わらず、逆に「やっぱりSTGは難しい」というイメージを強めてしまった感もある。
      • 「ガチのSTG」として勝負している開発陣と、初心者への売り込みを狙った広報陣の意図のズレが、STGをプレイする上で重要な「入り込みやすさ」を失わせてしまっていると言える。
  • スクウェアから『ザウバー』というSTGが本作より数ヶ月早く発表されていたが、本作発表と同時に発売予定表から消えた。