ガンダム・ザ・バトルマスター

【がんだむ ざ ばとるますたー】

ジャンル 対戦型格闘ゲーム
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対応機種 プレイステーション
発売元 バンダイ
開発元 ナツメ
発売日 1997年6月20日
定価 7,140円
判定 良作
ガンダムゲームリンク


ストーリー

人口の増加、それに追い討ちをかけるような環境汚染。地球にこれ以上人間の存在できる余地はない。
国際共同体は新たな惑星の開拓に乗り出すことを決定した。
調査団の即時通信の報告にあった惑星目指し、開拓民を乗せた星間移民船は飛び立った。

数世紀後、多くの星が植民惑星とされ、人々の第二の故郷となった。
惑星上の開拓されたエリアは狭いものの、あらゆる産業、農業も行われ、議会資本の軍設備までもが建設された。だが、
経済の安定化が進むに従い、各惑星政府間に亀裂が生じ始め、惑星間規模の行政決定権を持つノマード議会が設立された。

だが、秩序だつにはまだ若すぎる、この地球外世界での治安維持は難しく、各地で略奪や破壊が繰り広げられた。
そのため人々は、自衛の手段としてモビルスーツと呼ばれる人型機動兵器を求めた。
過去の戦争で使用されたといわれるこれら兵器は高額で取り引きされ、モビルスーツそのものが略奪の対象になった。
高額の報酬を求めモビルスーツを駆るもの達を、人々は賞金稼ぎと呼んだ。

議会にケタ外れな賞金をかけられた3体の巨大モビルアーマー。悪名高い、闇の賞金稼ぎである。
今、それぞれの思いを胸に、賞金稼ぎ達のし烈な戦いが始まる!
(解説書より)


概要

  • 潔くシンプルに解り易い構成の、モビルスーツ対モビルスーツの対戦格闘ゲーム。
    • 従来の格闘ゲームと違いモビルスーツ(人型ロボット。略称MS)が題材なので、格闘技以外にもビームライフル・ビームサーベルといった兵器を搭載している。
      • モビルスーツは原作アニメで人気の高いものが中心に登場している。モビルスーツだけでなく大型のモビルアーマーも登場し、これらはボス扱い。
  • 当時としても珍しく、原作アニメのキャラクターが一切登場しない上に、世界観・登場キャラクター(パイロット)が全てオリジナルとなっているのも大きな特徴。
    • キャラクターデザインは重田敦司氏が担当。
      • ラスボスであるサイコガンダムMk-IIIは本作唯一のオリジナルモビルアーマーであり、これは大河原邦男氏がデザインを手掛けた。

システム

  • プレイヤーは10機のモビルスーツから1機を選択して操作する。
    • 選択可能機体はガンダム(RX-78)、ZZガンダム、ザクII、ジ-O、クインマンサ、ハイゴッグ、νガンダム、サザビー、GP-02、ジオング。
      • 自分以外の9機のパイロットと戦い、途中に現れるCPU専用機ビグ・ザム、ノイエ・ジール、最後の相手であるサイコガンダムMk-IIIを撃破することでクリアとなる。
  • 攻撃ボタンは格闘/近接武器/射撃に分かれている。
    • 格闘はパンチ等による攻撃。近接武器はビームサーベルやヒートホーク等、各モビルスーツが搭載している近接武器での攻撃。
    • 射撃は内蔵または所持している銃器で攻撃を行う。なんとガード不能。ボタンを押している最中、方向キーで射角を変えられるのも特徴。
      • 射撃や必殺技は使用するたびに「エネルギーゲージ」が減少する。一度減ったエネルギーゲージはその試合中に回復しないため、乱用はおすすめできない。
  • 各機体はスラスターを備えており、ずっと空中浮遊が可能。浮遊中に攻撃を喰らうとダウンする。
    • ある程度の高度ならばダウンせずに復帰する事ができる。
  • 本作の最も特徴的なシステムとして「あらゆる状態で追い討ち攻撃を仕掛ける事ができる」点にある。
    • 射撃で撃ち落した相手に近接武器で追い討ちをかけ、立ち上がるまで削り続ける事がノーリスクでできる。
  • 一般的な格闘ゲームと異なり、ライフにあたる「アーマーゲージ」が3本もあり、ダメージを受けるとライフは時間経過で常時回復していく。この回復に制限は無い。
    • ゲージを1本失うとオーバーヒートとなり強制ダウンしてしまう。失ったゲージ分のライフはさすがに回復しない。
  • CPUはほとんどガードをしない攻め一辺倒の戦いを仕掛けてくるよう調整されている。
    • なお本作は「投げ」が存在しない。しかしガードを固めようにもブースターを用いた空中からの上段攻撃であっさり攻め込まれるため、ある意味とても合理的な戦い方をしているのだが。
  • 全機体が常時「ハイパーアーマー」状態にある。
    • つまり、ちょっとやそっとのことではのけぞりもダウンもしない。ビームや実弾をものともせず突き進んで行けるのはリアルでもある。
      • オーバーヒートした時か低空からの相手のジャンプ攻撃を受けたときくらいしかダウンしない。
    • その一方で、ガードも自由に行えるし、その場で攻撃を避ける「スウェー」(避け)も使用できる。機体によっては「スウェー」の替わりに「バリア」(Iフィールド)を張れるなど芸が細かい。

統括すると、本作は無敵やガードを用いて相手の攻撃を最小限にとどめるよりも、
いかにして自分が喰らうよりも多くのダメージを相手に押し付けるかが重要という、一般的な格闘ゲームとは異なる要素が鍵になっている。


評価点

  • 「モーションパーツシステム」と名づけられた、各部位を独立させたスプライトとして表現する手法を用いている(多関節キャラのようなもの)ため、気味が悪いほどグリグリ動く。
    • 更に特定の部位を攻撃し続けるとその部分の外装がはがれる。内部構造が露出するので痛々しい。頭部に攻撃を当てれば頭部が破損するといった具合で、リアルかつモビルスーツらしい表現を成す。
      • 上記の通りダメージは各部位で判定されているが、部位ごとに防御力の高い部分・低い部分といった区別まではされていない。あくまで破壊に関する表現である。
  • 無視されがちなモビルスーツの身長差を表現するなどマニア心をくすぐる部分も。
    • 原作に登場する「巨大モビルアーマー(非人型ロボット)の脅威」を体感できる。
  • 技のコマンドがシンプルで、入力がいわゆる「波動拳」「昇龍拳」ぐらいの長さであり、ガンダムの名に惹かれた格ゲー初心者でも、少し練習すれば楽しめる難度である。
  • MSの技は、MSが持つ武器を巧みに操ったり、意外な挙動で攻撃したりと、MSというギミックを全面に押し出している。
    • ジ・Oの隠し腕のように、あまり存在の知られていない武器も使える。
    • 意外な事に、単純明快にモビルスーツ同士で殴り合いをするゲームというのはそれほど多くない。
      • 『機動戦士ガンダムEX-REVUE』という格闘ゲームはあったが、機体は宇宙世紀のものに限定され、家庭用移植もされていないため知名度も低く間口も狭かった。
  • 「VERSUS MODE」でSELECTボタンを押すとCPU相手に戦えるよう変更できる他、お互いをCPU操作にして観戦することもできる。
  • BGMが非常に良質。各キャラクターをモチーフにした戦闘中のBGMはどれも聴き応え十分。音楽CDとしてエンディング含め全曲の再生も可能になっている。
    • 作曲担当者はNOBUO ITOの名でクレジットされている。伊藤信雄氏のことと思われるが、公表はされていないため詳細不明。
      • PS3で本作をプレイした場合、一部のBGMが再生されない不具合がある。音楽CDとしては問題なく再生できるのが救い。

賛否両論点

  • 登場するモビルスーツは一部の例外を除いて原作「機動戦士ガンダム」~「逆襲のシャア」の中から選択されているが、登場人物は全てゲームオリジナル。要するに、モビルスーツデザインを流用しただけの別世界観である。
    • ザクIIであろうと、他の機体と攻守面で遜色は無い。
      • 「活躍した時代がバラバラのモビルスーツを同じ舞台で戦わせるためには妥当な措置だ」とする意見もある。
      • 発掘された骨董品のモビルスーツで闘うというあたり、物語の雰囲気としては後の『∀ガンダム』に近い。
  • 原作キャラクターが一人も居ないのは残念だが、デザインや設定的に原作へのオマージュが感じられる者も居る。
    • ガンダムのパイロット「マーキュリー・プロムナード」はややパプテマス・シロッコ風の容姿だが実直な青年(続編ではZガンダムに搭乗)、ZZガンダムのパイロット「ハニー・B」はプルツーを茶髪のおさげにしたような幼女、ジ-Oのパイロット「レイチェル・エイファス」はトニヤ・マームのそっくりさんだったり。
    • その一方で……ニューガンダムの「ケイジ・ダテ」は間違った正義感に固執する武闘家風の男、サザビーの「スミス・キングスレイ」は面白黒人、ジオングの「ノイズ・マッディー」は殺人鬼、GP-02Aの「ラルゴ・フォード」に至っては農家の中年男性と、ぶっ飛んだ濃いメンツが揃っている。
      • キャラクター人気は根強く、探せば今でも新規のファンアートを見つけることができるほど。
  • キャラクターのボイスは一切存在しないため、戦闘中やや寂しい。作中に実装されているボイスは英語ナレーションのみである。
    • ただし、英語ナレーション自体はそれなりに多い。海外ナレーターのDuncan Macintyre(ダンカン・マッキンタイア)氏を起用しており臨場感もある。

問題点

  • 本作はメモリーカード非対応である。
    • それもそのはず、「STORY MODE」と「VERSUS MODE」と「OPTION」しか用意されていない。
      • 「STORY MODE」は連戦するだけで一本道。分岐はなく、ストーリー描写もあって無いようなもの。壮大な設定を予感させる台詞があるにはあるのだが、描写が少なすぎて事の流れが理解できない。
      • クリア時にキャラクターごとのエンディング絵があるのは嬉しいが、タイムアタックやスコアアタックなど他に何も目標が無いのは寂し過ぎる。
      • 「VERSUS MODE」に入ると抜ける方法がソフトリセットしか無いなど不便。
      • 戦闘中にSTARTボタンでポーズをかけてもポーズメニューが表示されず、画面が止まるだけ。技表もゲーム内に用意されていない。
  • ビグ・ザム、ノイエ・ジール、サイコガンダムMk-IIIは使用不可能。
    • 本作の隠し要素は、MS選択時にSTARTボタンを押しながら決定すると1Pでも2Pカラーが使えるということくらいである…。
  • ゲームバランスは接近戦が強いので、泥沼の粗い戦いになりがちでイマイチ。
    • 中段技も無ければ下段技もなく、ガード不能の飛び道具以外に気をつけるものはない。
    • おかげで双方外装をボロボロにして殴り合う事になり、見た目は大変宜しいのだが。

総評

やり込み要素がまるで用意されておらず、対戦にのみ特化した古き良き時代の格闘ゲームである。今日、このボリュームと定価でのリリースは有り得ないだろう。
とても大味な闘いがウリとなっており、真剣勝負というよりもモーションやサウンドを味わうのが主目的。
ガンダム作品としては影が薄いものの、サイコガンダムMk-IIIや一部のキャラは今でも愛されている。
未だに配信もされておらずプレイはやや難しいが、ガンダムマニアを自称する方にはぜひ押さえて頂きたい隠れた嗜好品だ。


余談

  • 特撮番組『燃えろロボコン』番組内で本作が使用されたことがある。
  • サイコガンダムMk-IIIとそのパイロット「マリア・ニコルス」は、後に『SDガンダム Gジェネレーション F』に出演した。
    • こちらだとボイスもあり、声は井上喜久子女史が担当した。テーマBGMも本作のものがアレンジして収録され至れり尽くせり。
      • 2016年の『SDガンダム ジージェネレーション ジェネシス』にてサイコガンダムMk-IIIが久々に登場。マリアは残念ながら参戦できなかったが、必殺技の「ブラスト・アッパー」が武装の一つとしてHD画質で再現され、昔からのファンを大いに沸かせた。

続編

  • 世界観・設定をそのまま引き継ぎ、乗り換え等の要素が加わった『ガンダム・ザ・バトルマスター2』、その海外版として『ガンダム・バトルアサルト』(特殊な経緯ながら日本版も発売されている)、海外のみ販売されたガンダムW・Gガンダムに焦点を置いた『Battle Assault 2』、それを国内で2作に分割して販売した『SIMPLEキャラクター2000シリーズ Vol.12 機動武闘伝Gガンダム THE バトル』・『SIMPLEキャラクター2000シリーズ Vol.13 新機動戦記ガンダムW THE バトル』が存在する。
    • SIMPLEキャラクター2000シリーズでもサイコガンダムMk-IIIが隠し機体として登場し、マリア・ニコルスも続投した。
    • この他、SEEDをベースとした『Battle Assault 3』が海外のみで発売された。
      • ちなみに海外では他にも、GBA用ソフト『Gundam Seed Battle Assault』が発売されており、後に日本ではDESTINYの機体・キャラを追加した『機動戦士ガンダムSEED DESTINY』として発売された。
  • 2作目以降、「飛び道具がガード可能に」・「ビームサーベル系の技がガード不能に」・「ハイパーアーマーを廃止」・「戦闘の最中に外装が剥がれる演出なし(決着時のみに)」・「スラスターの使用時間に制限あり」・「投げ技に相当するシステムの追加」・「超必殺技に相当するシステムの追加」と、急速に一般的な格闘ゲームに近付いていく。
    • 順当な進化とも言えるが、1作目の持ち味がことごとく無くなってしまったのは少々寂しくもある。
      • さらに海外版『ガンダム・バトルアサルト』で、パイロット達があっさり原作アニメのキャラクターへと差し替えられてしまった。そのためオリジナルストーリーが展開し、作中で必死に辻褄合わせが行なわれている。農家であるラルゴ(GP-02のパイロット)のステージを引き継いだため、農場をバックに戦うことになってしまったアナベル・ガトーはある意味必見。