ACE COMBAT
【えーすこんばっと】
ジャンル
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STG
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対応機種
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プレイステーション
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発売・開発元
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ナムコ
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発売日
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1995年6月30日
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定価
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5,800円
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廉価版
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PlayStation the Best:1996年8月9日/2,800円
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判定
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良作
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エースコンバットシリーズ
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概要
実在する軍用機による3DSTG。それまでの軍用機の3Dゲームのあり方をガラリとかえ、爽快感を優先したSTGとして作られている。
元々はアーケードゲームのフライトシミュレーター『エアーコンバット22』の移植版としてスタートした。
ポリゴンだからこそできた、空を飛ぶ感覚が見事に表現されている。
タイトルが変更されたのは同名のソフトがシステムソフトからが発売済であったことから。
ストーリー
某国で活動を活発化させていたテロリストが、軍の一部と結託。クーデターを実行する。
すばやい奇襲に軍は各地で敗退。自力では対応できない事態に陥っていた。
そのため傭兵部隊を組織。彼らに事態の解決を託したのだった。
特徴・評価点
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空戦の楽しさを体感できる軍用機の3DSTG。
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それまでの軍用機による3Dゲームと言えばフライトシミュレーターという形態を取る事が多かった。事実、本作の元となっているエアーコンバットシリーズはフライトシミュレーターだった。一般的なフライトシミュレーターの問題として、操縦そのものが難しいという面がある。またフライトシミュレーターにつきものな着陸は、常に墜落の危険を伴っていた。
本作はそれを大胆に変更。軍用機としての要素は残しつつも、フライトシミュレーターの厄介な部分は削除または簡略化し、空戦を手軽に楽しめるものとしたのだ。
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視界は基本的にコクピット視点だが、カメラ切り替えによって自機後方からの追従視点にもできる。
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操作は軍用機の操縦をある程度反映したもの。
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上昇下降、左右の旋回、加速減速と軍用機を操縦する上で最低限の機能は揃えている。またオプションによってヨーイング(ラダーのみの左右移動)の機能を加える事ができる。
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ネジコンに対応していて、ねじりを左右の旋回(ローリング)に割り当てることができる。アナログスティックには未対応。
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物理計算に基づいたシビアな挙動ではなく、比較的簡単に機体を操りドッグファイトが楽しめる。このあたりはリアルな挙動を求めず、高速でコーナーをドリフトしていく気持ちよさを追求したリッジレーサーシリーズに通じるものがある。
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ただし、航空機らしく失速(ストール)の概念は実装してある。機体の状態によっては揚力を失って、地上に向かって落ちていくが、加速すればまた揚力を得て状態を戻せる。
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燃料搭載量は基本的に多いが、ミッションによってはそう余裕がなく、ギリギリの場合もある。
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攻撃はミサイルと機銃の2種類と簡略化。STGとしてプレイしやすいものになっている。この武装は全ての軍用機に装備されている。ただし武装は同じだが破壊力は機体によって違う。
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ミサイルは対空、対地両用のもの。さらに搭載数は現実より大幅に増加。実際の戦闘機は多くても10発程度だが、本シリーズでは50~100発積める。
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ミサイルの誘導性能は実際のものと違って短射程かつ低誘導なので、いい加減に撃っては当たらない。そのため、必然的にドッグファイトという状況になり、スピード感のある戦闘を楽しめる。
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TGT(後述)のみを破壊する場合は、よほど外さない限り尽きることはないが、敵全滅を狙う場合はミッションによっては正確に当てていかないと足りなくなることがある。
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機銃は補助的。当てるのに高い技術を必要とする上にミサイルが多めにあるので、やや趣味的とも言える。
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ただし、敵機の至近距離に近付くとミサイルが当たりにくくなるので、その場合は機銃の方が有効にダメージを与えられる。
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また、敵機との戦闘のためにミサイルを温存したい場合は、当てやすい大型施設などに対して使うと効果的。
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使用できる軍用機は16種類。第三世代から第五世代にかけての有名なものばかり。
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それぞれの機体の特徴が、シリーズの中ではかなり強調されたものとなっている。安定性がやたら高かったり、その逆でやたらと失速しやすかったりと、旋回性能が良すぎたり悪すぎたり等々、個性がよく出ている。
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ただし実機と比べると、その特徴付けの方向性に違和感を覚えるものもある。
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航空機らしからぬ堅さがある。ミサイル1発食らったくらいでは墜落しない。それどころか地上に激突しても、墜落せず撥ねて飛び続ける機体もある。この点はカジュアルSTGらしい。また敵も同様に堅い。
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機体はミッションをクリアする事で得た収入で、購入する事となる。
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最初は数種類しか購入できないが、ミッションをクリアする内に購入できる機種が増えていく。
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この「機体売買システム」は本シリーズの大きな特徴の一つであり、極一部を除いたほとんどの作品に採用されている。
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空戦を満喫できる演出。
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本作では実際と違い戦闘高度がやたらと低い。そのため山や地上の構造物がよく見える。これが比較対象物としてスピード感をうまく表現しているのだ。さらに比較対象が見えるため、空を飛んでいる事自体を実感できる。またゲームとして高度が低い点は、墜落の危険性が増す事であり、一定の緊張感を生んでいる。
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PS黎明期ではまだ未熟なものが見られた地平線や水平線をうまく処理している。
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ロック調のBGMも秀逸で、空戦の雰囲気を盛り上げる。さらに戦闘中に挟まれる煽り立てるような警告も、いいアクセントとなっている。
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本作にはサントラが発売されてないが、BGMはCD-DAとして実装されているためゲームCDをCDプレイヤーに入れるとそのまま再生できる。
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ミッションのプレイ形態。
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難易度はイージー、ノーマル、ハードの3段階。
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テロリストに制圧された地域のマップが表示され、プレイヤーは傭兵としてミッションをこなしながら占領地域を奪還していく。そして奪還した地域とは行き来ができるようになる。
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種類は様々。敵編隊の迎撃、対地目標攻撃、夜間攻撃、敵基地強襲、艦隊攻撃等々。トンネル面などのシリーズお約束のステージ構成はこの時点でほぼ確立されている。
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中には僚機を雇う事ができるものもある。当然費用が必要。
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ミッションはすでに飛んでる状態からスタート。TGT(破壊目標)を全て破壊するとミッションクリアとなる。
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クリアしても基地に帰還という要素はない。墜落の可能性が高い離陸、着陸の行程を排除するためである。
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クリアすると、撃墜した機体の種類と数、受けたダメージ、ミッションクリア報酬から総報酬額が決定される。
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様々な隠し要素。
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ロード画面でコマンドを入力することで、ミニゲームが遊べるようになる。また、敵機のカラーでのプレイも可能になる。
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一度ゲームをクリアすると、難易度に応じた特典が出現する。周回プレイを飽きさせない仕組みとなっている。
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イージー:全機体を最初から使用可能。
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ノーマル:イージーの特典に加え、最初から全ての僚機を同行可能(僚機選択可能ミッションのみ)。
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ハード:ノーマルの特典に加え、全ミッションを最初からプレイ可能。
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本作独自の魅力。
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プレイヤーが使用する機体は、カラーリングが専用のものになっている。白を基調に、赤と紫を使用した派手なもの。通称「フェニックスカラー」。
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OPムービーとEDムービーでは、機種が異なる8機の戦闘機が登場する。前述のフェニックスカラーの戦闘機達が編隊を組んで飛行するムービーは圧巻。
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本作はシリーズの中では難易度が高い部類に入る。
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全体的に敵機が強い上に、ミサイルの誘導性能が高いため、油断するとミサイルの攻撃を受けやすい。
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ハードにおいては、敵機がさらに強くなり、ほとんどの機体でミサイル一撃死となるため、緊張感のあるゲームを楽しめる。その難しさは『04』以降のエースにも匹敵する。
問題点
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技術力の関係で地表のテクスチャはのっぺりとしている。
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高度差によって見え方も変わらないため、高度計に注意しないと慣れないうちは墜落の危険が非常に高い。
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ポリゴンが粗いため、距離感を把握しにくい。特に渓谷突破ミッションではプレイに支障が出る。
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機体売買システムの不備(『2』で改善)。
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本作は一度に8機までの機体しかストックできない。
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一度売った機体や、撃墜された機体は二度と入手できない。ただし、一部の機体は再販されることがある。
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レーダー性能の低さ(『2』で改善)。
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空中目標か地上目標かの判断しか出来ない。
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空中目標の進行方向が表示されない。
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TGTと非TGTの区別が出来ない。
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ミサイルが表示されない。
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マップではTGTしか表示されない(『3』で改善)。敵全滅を目指す場合は特に不便な思いをする。
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後方視点ではレーダー、速度計、高度計、方位が表示されない(『2』で改善)。
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SAMから発射されるミサイルの誘導性能が高過ぎる。
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低速度で近付けば、回避行動を取っても回避できないことが多い。また、速度が悪い機体は回避に苦労する。
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地上物の場合、コンテナの名称で何かを判断できないので、SAMの形状を覚えて遠距離から判断するか予めSAMの位置を覚えていないと危険な状況に陥りやすい。
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前述のとおり、レーダー上にミサイルが表示されないことが、回避の困難さに拍車をかけている。
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ゲームテンポがやや悪い。
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ミッションとマップ画面間のロード時間が長い。
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ミッションリトライが出来ない(『3』で改善)ので、一度マップ画面に戻ることになり、やり直すとさらに時間がかかる。
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ミッション失敗による機体損失をなかったことにしたい場合は、データロードしなければならず、手間がかかる(『2』で改善)。
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ミッション成功後のデブリーフィングデモが長く、スキップできない(『2』で改善)。
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この手のゲームに総じて言えることだが、ミサイルが潤沢に使用できると機銃の使いどころが殆どない。
総評
3Dの航空機のゲームと言えば、それまではフライトシミュレーターが多かった。プレイしやすいとは言えない空戦ものの認識を、本作は大きく変えた。手軽に空戦を楽しめるそのゲーム性は、単純に空を飛ぶ楽しさすら味わえるものだ。さらに、個性が強く出ている機体に、まさに愛機と呼べるような愛着も覚えるもの。
この「誰でも楽しめる空戦もの」「カジュアルなフライトシューティング」というアプローチは、その後のシリーズの礎となった。
最終更新:2024年01月24日 15:34