ゼノブレイド

【ぜのぶれいど】

ジャンル RPG

対応機種 Wii
発売元 任天堂
開発元 モノリスソフト
発売日 2010年6月10日
定価 6,476円(税別)
プレイ人数 1人
セーブデータ 3個
レーティング CERO:B(12歳以上対象)
配信 【WiiU】2016年7月27日/2,700円(税8%込)
備考 早期購入特典サントラ付
判定 良作
ポイント オープンワールド風RPG
豊富なやり込み要素
ストーリー・BGMも高品質
過去のゼノとの関連性はほぼなし
ゼノシリーズリンク

概要

ゼノシリーズ5作目。
タイトルにゼノの名を冠しているが『ゼノギアス』とも『ゼノサーガ』とも設定的・世界観的な関係はまったくない(共通しているのは、用語「エーテル」とジャンプモーションが『ゼノギアス』と同じという地味なファンサービスくらい)。
ゲームデザインは『Oblivion』や『FF12』に近いオープンワールド風RPGである。

ゼノサーガシリーズの悪評に加え、ゼノシリーズでまたも独立した作品であるということからか、シリーズファンからの前評判はあまりいいものとはいえなかったのだが、*1それはいい意味で裏切られることとなる。

なお、本記事ではWii版の他に、3DSへの移植版も合わせて記述する。

あらすじ

「巨神」と「機神」。天を衝く二柱の神は互いの全てを賭けて戦い、やがて相討ち、骸となった。
それから長い月日が流れ、神々の骸の上に生命が誕生した。

巨神界に住むホムス(人間)族は機神界からやってきた機械生命体、機神兵の侵攻を受けていた。
機神兵は見境なく殺戮を繰り広げ、ホムスは存亡の危機に立たされた。
しかしホムスは英雄ダンバンと彼の持つ神剣モナドの力によって機神兵を追い払い、危機は去った。
 
それから一年。神剣モナドは先年の戦いで負傷したダンバンの手を離れ、研究施設に保管されていた。
主人公シュルクはそこでモナドの力の秘密を解き明かそうと日夜研究を重ねていた。

特徴・評価点

世界観

  • 「巨神と機神、天を貫く巨大な二柱の神の骸の上に世界が広がっている」という独創的な世界観が特徴。
    • 地域ごとに神の脚や背中、腕といった部位を表現するコンセプトが設定されている。そのため上層部にあたる地域から崖を見下ろすと下の地域の遠景が見えたりする。
    • 目を見張る異質さだけでなく量的にも膨大な世界で、とんでもなく広い。最初の街「コロニー9」の周辺の地図を埋めるだけでも初見では非常に時間がかかる。
      • その「コロニー9」の次に訪れる「巨神脚」はその倍近く広いと、まずボリュームのインパクトだけでプレイヤーを驚かせてくれる。
      • しかしイベント中以外はいつでもメニューで各所のランドマーク(ワープポイント)へ瞬時に移動できるし、またパーティーよりもレベルが圧倒的に低い敵は例えアクティブ属性*2であってもこちらから手を出さない限り戦闘にはならないなど、移動の際のストレスは低めとなっている。
  • 美しい景観や奇景が豊富で内容的にも設定的にも飽きさせない。
    • 茫洋たる水面の広がりや不思議な色合いが美しい「エルト海」、二層構造の起伏と滝や川のパノラマが目を見張る「巨神脚」、昼には沼気、夜には仄かな光がたなびく神秘的な「燐光の地ザトール」といった個性的かつ美麗な舞台に事欠かない。
    • 昼夜や天候の概念がある。時間帯によって活動するNPCや入手しやすいアイテムが変わり、特定の天候でしか出現しないモンスターなどもいる。
      • 時間は原則的にはいつでも変更可能なので、待ちぼうけを食らうことはない。
    • 天候は雨や晴れだけでなく、場所によっては熱波や流星群といった一風変わった天気になることも。グラフィック的な変化も大きいため、初めて見たときに感動したという声も。
  • これらの広大なマップの目視できる部分の大半は何らかの方法で移動することができる。柵などもジャンプで飛び越えることができるし、不自然な通行止めやどうみても歩けそうなのに侵入することができない部分はほとんどない。
    • 高い場所から飛び降りることも、場違いにレベルの高いモンスターの巣窟に序盤から侵入することにも制限はない。移動の自由度はきわめて高い。ただし、着地点が水場でないと高所から転落した場合大ダメージを受け、最悪の場合全滅もあり得る。
      • とはいえ、デスペナルティはただランドマークに戻されるだけなので、落下死を気にしすぎる必要はなく、気軽に探索が可能になっている。場合によっては称号までもらえちゃったりする。
      • 落下時のダメージは自然回復するので、回復するまでに敵に出会わない限りは特に問題はない。ショートカットや新しい場所の発見の際は、思い切って飛び降りてみるといった手もある。
  • 外見だけでなく構造的な意味でもマップデザインの完成度は高い。
    • 高所の麓にはほぼ確実に水場がある。そのため高所から水場に飛び降りればノーダメージで麓へ移動できる。
    • 他の地域に比べてもひときわ広大かつ、ほとんどの場所が移動速度が下がる水域のエルト海にはご丁寧にもワープ施設がいくつも設置されている。
    • 場違いに強力なモンスターが徘徊している場所の近くには大抵別の安全な回り道がある。
    • わかりづらい死角に洞窟があったり、思いもよらないルートからしか行けない場所があったりするため探索心に火をつける。そういったところにレアなコレクションアイテムが落ちていたり、秘境ポイントと呼ばれる景観の良い場所があったり、後述するユニークモンスターがいたりする。
    • これだけのスケールと完成度を誇っていながらロードはフィールド間を移動した時だけである。しかも情報量に不釣り合いなほどロード時間は短い。
  • 雑魚モンスターも無造作に配置されているわけではない。
    • 上述の昼夜と関係して、昼は洞窟にしかいないコウモリ型の敵が夜になるとフィールド上にも出てきたりなど、同じ場所でも昼と夜で敵の種類が大きく変わることも多い。
    • 設定に基づいた固有の生活習慣を始めとした特殊な行動も存在する。特にターキン族などの亜人種は、こちらを発見すると仲間を呼びに行く偵察タイプがいたり、他のモンスターを従えたりと観察すると面白い事実が見えてくる。

戦闘システム
戦闘システムは『EVERQUEST』や『ファイナルファンタジーXI』の様なMMORPGのシステムを採用しており、戦術性に富むとして好評。
画面切り替えがなくシームレスに戦闘シーンに突入するのでテンポも快適。
把握すべき情報量は多いようだが、戦況や現在仲間がどの行動をしているかは大まかに分かるようになっているため、直感的に次の行動を判断しやすい。

  • 戦闘はシームレスバトル方式を採用している。
    • フィールド上を敵がうろついており、こちらから攻撃を仕掛けるかあるいはアクティブな敵から襲い掛かられることで戦闘が発生、別の画面に切り替わることなく進行する。
    • 逃げる際は抜刀状態を解いた後全力でその場を離れる必要がある。もちろん敵も追跡してくるが、生息域が決まっておりある程度そこから離れると追跡をあきらめて戻っていく。
    • 「いかなる手段をもってこちらの存在を探知するか」はモンスターによって異なっている。その仕組みを知れば余計な戦闘を回避することも可能。例えば視覚探知の敵相手なら相手の視界に入らないようにする、聴覚探知なら足音などで探知するので近くに寄らない、忍び足でそっと歩く…といった感じである。
    • 設定にもよるが、敵の頭上にはパーティーとの戦力差と認識手段を表すアイコンが表示され、それによって戦闘の危険性が判別できる。戦力差はアイコンの色で表され、黒(余裕)<青(弱い)<白(ほぼ同等)<黄(強い)<赤(危険)となっている。
    • 各フィールドには二つ名を冠する「ユニークモンスター」という強力な敵が複数存在する。周辺の敵よりも圧倒的に能力値が高いため、攻略適正レベルでは歯が立たないことが多い。
      • そのかわり、倒すと必ずレアな宝箱を落とす。また一度倒しても、エリアをロードした際に3割ほどの確率で復活するため、実質的に何度でも倒すことが可能。
  • ゼノシリーズ初のリアルタイム戦闘で、通常攻撃など一部の要素は自動化されている。
    • 後述する7人のメンバーから3人を選んでパーティーを組む。戦闘中以外ならメンバーの入れ替えは可能。また、そのうちプレイヤーが操作できるのは1人だけで、残りの2人はAIに従って自動で行動する。
    • ヘイトシステムを採用している。ヘイトとは「敵対心」の意味で、各種行動に付与されたマスクデータであるこのヘイトが最も多く蓄積されたメンバーを敵は攻撃目標に設定する。ヘイトが一番高くなっているキャラには赤い印がつく。
      • 何も考えずにアーツを使っていると意図せず敵の標的となって損害を被りやすい反面、ヘイトを管理することで「防御特化させた打たれ強いキャラに敵の注意を引きつけさせて被害を最小限に食い止める」「ヘイトを溜めた仲間が相手をしている隙に、敵の側面や背後から強力な技を食らわせる」といった高度な戦術を行える。
  • アーツ
    • 他RPGで言う技や魔法のようなもので、その効果も「敵の側面や背面から攻撃するとボーナスを得る」「自分や仲間のヘイトを調整する」と多岐にわたっている。
      • アーツは色で分けられており、攻撃が赤・回復が青・補助が橙などといった具合。これは後述する「チェインアタック」の際に重要なファクターとなる。
      • アーツの中でも敵を転倒させる技は特に重要。相手を転倒させるにはその前に敵を「崩し」状態にする必要がある、その後に「転倒」状態にさせる技を使うことで相手が転ぶ。さらに転倒している敵を「気絶」させる技もある。
        転倒、気絶中は相手の回避率が0になり、更にクリティカルヒット時のダメージが上昇、パーティゲージが上がりやすくなる。一人で崩し→転倒→気絶と繋げるのはアーツ構成や効果時間の関係で中々難しいが、仲間と息を合わせれば気絶に持ち込むのはたやすい。
      • 物語中の主な敵である「機神兵」はモナドを始めとした一部武器・アーツ以外では転倒させなければダメージが通らないため、仲間と協力して要領よく転倒させることが必要である。
  • キズナアクション
    • 戦闘開始時(抜刀キズナ)や、味方がクリティカルやミスを出した際(突発キズナ)、画面にサークルが発生することがある。画面中央に向かって狭まるサークルが中央付近の水色の領域に重なったときにBを押すと「キズナアクション」に成功し、味方全員のテンション(命中率・クリティカル率に影響)が上がったり、後述するパーティゲージの上昇といったボーナスが得られる。
  • パ-ティーゲージ関連
    • いわゆる連携技ゲージ。戦闘不能状態のパーティーメンバーを蘇生させることや、後述する未来視の際パーティーメンバーへ指示を出す場合にそれぞれ1ゲージ消費する。
    • 最大3ゲージを全消費してチェインアタック(連携技)を繰り出せる。発動すると相手の動きが止まり、こちら側が一人ずつアーツを使用できる。この時繰り出すアーツの色を一つ前のアーツと同色もしくは白にすると連携が成立し、アーツの性能が上昇する。
      • 基本は行動機会は1人につき1回、合計3つのアーツを使用した時点で終了してしまうが、テンションが高かったり仲間同士の好感度が高いと、さらに攻撃チャンスが続くことがある。
      • チェインアタック中は敵の「崩し」に対する耐性が一時的に消失する。基本的に大型の敵は「崩し」に対し耐性を持つが、チェインアタック中なら100%「崩し」状態にできる=「転倒」させられる。ただし一部の敵は崩しや転倒に完全な耐性を持っているので、それらの敵に対してはチェインアタック中でも無意味。
      • 連携をつないで攻撃倍率を上げておけば総ダメージも跳ね上がり、また回復アーツならば回復量が増加する。これにより一発逆転や体勢の立て直しにも使うことができる。
  • 未来視(ビジョン)
    • 戦闘中に、突然敵が強力な攻撃を仕掛けてきてパーティーが壊滅する映像が現れることがある。これが神剣モナドの能力の一つ「未来視(ビジョン)」だ。
      「あと○秒で強力な特殊技が来るぞ!」という告知であり、プレイヤーはこれに対し、敵の攻撃を妨害したり、あるいは味方に防御効果をつけて耐えられるようにしたり、敵のターゲットを変化させたり…といった手段で破滅的な未来を阻止することができる。
      • 未来視によって窮地を脱することに成功すると、味方のテンションが大幅に上がる。戦闘曲まで勇壮なものに変わるのでプレイヤーのテンションも上がる。「定められた未来を変える」という本作のテーマと、「『初見殺し』という要素に対抗するためのシステム」とが合致したとても優秀なシステムであると言えよう。
      • 自分の持つアーツだけで未来を変えることができなくても、あきらめるのは早い。パーティーゲージ1本を消費すれば他のメンバーに未来視の内容を伝え、そのキャラクターのアーツを阻止に使うことが出来るようになる。
      • なお、未来視は戦闘中だけでなくアイテムを入手した場合にも発動し、クエストクリアに必要なものかどうかがわかるようになっている。一度未来視が出たアイテムはアイテム欄にクエストが終わるまでアイコンが出るので、未来視を見た事を忘れても大丈夫。

その他のシステム

  • キズナシステム
    • 仲間やNPCとの関係を築き上げるシステム。仲間と街のNPCとで好感度の上げ方やメリットは違うが、いずれもイベント面での変化だけでなくパーティーを強くするのに役立てるようになっている。
      • 仲間の場合はチェインアタックを成功させたり、ピンチ時に応援したり、アイテムを贈り物にすることで好感度を上げられる。仲間との好感度が高いと、その仲間の覚えているスキルを他の仲間につけることができるようになる。そのため明らかな後衛キャラに重装備をつけたりと多彩な戦術を考えることができる。
    • NPCの場合はクエストを受けて達成したり、何度も話しかけたり、アイテムを交換するときに価値の高いものを交換してあげると好感度が上がる。NPCとの好感度を上げれば新しいクエストを受けられるようになったり、アイテムを交換するときにより価値の高いものを交換してくれるようになる。
    • 「キズナグラム」という、この世界の名ありNPC間の人間関係と好感度が網羅された図を表示できる。
      数十人規模の広がりと繋がりであり、彼らの名前を埋めたり、NPC同士の関係を依頼の結果によって繋ぎ合わせて、最終的にNPC同士が幾つもの絆の線で結ばれた図は実に壮観。
      • 両立できない関係や、クエストの進め方によっては好感度が悪くなることもあるが、このために二周目は別のキャラで繋げようという楽しみを生み出している。また、ゲーム後半のあるイベントの後に開くと……?
  • アイテム交換
    • 街の人とアイテムを交換できるシステム。
      • 大量にアイテムを拾うゲームであるため、いらないアイテムも必然的に多くなる、しかし交換システムや仲間への贈り物といった要素でいらないアイテムも有効活用できるようになっている。
      • 採取系のクエストなどでは時には入手しにくいアイテムを集める必要もでてくるが、そういう場合は街の人からそのアイテムを交換してもらえば楽に収集ができる。
      • 交換でしか手に入らないアイテムもあるのでアイテムコンプリートや装備の強化には欠かせないシステムである。
  • ヘルプ機能
    • 次の目的地を知るためのヘルプ「ストーリーメモ」はもちろん、戦闘中の状態変化や特別なシステム発動時、クエスト目的更新時などにヘルプ確認の表示が現れ、そのときに+ボタンを押すとその場で詳細を確認できる。システムをド忘れしたときや知りたいとき、その場でのクエストの確認にとても便利。
    • 各システム面のヘルプも、単なる説明文ではなくキャラクター同士が会話しているような文章で楽しく、画像付きで親切。これだけでもなかなか読み応えがある。

シナリオ

  • メインシナリオは王道的でわかりやすく、熱いものとなっている。しかし決して陳腐なものではなく、適度に謎や伏線を残しつつ、残酷な展開、意外性のある描写をところどころに交えているため終始プレイヤーの気を惹かせるものとなっている。
    • 中盤以降、世界の仕組みが徐々に暴露され、それに抗っていく展開は『ゼノギアス』を踏襲したものになっているが、とても理解しやすい描写になっている。間口の広さという意味では多くの人に勧められる。
      • その分、『ゼノギアス』の特徴であった哲学的なテーマや複雑に絡み合った濃い人物関係などは少なくなっている。古参のファンの中にそれを残念がる人もいるのも確かであるが。
  • シナリオライターは『ゼノギアス』、『ゼノサーガ』に引き続き高橋哲哉氏。『ゼノサーガエピソードII』以降のような一線引いた立場ではなく、総監督として原案から執筆まで全面的に手掛けている。
    • 更にアニメ版ゼノサーガ、『ゼノサーガI・II』の脚本家であった竹田裕一郎氏と共同執筆であり、『FOREVER BLUE 海の呼び声』の服部由里絵氏もシナリオ協力として参加している。完成度の高いシナリオは、この実力派脚本家陣の手腕が遺憾なく発揮された賜物だろう。
  • キャラクターの評価も高い。一人一人に見せ場がちゃんと用意され、それぞれキャラもきちんと立っていて不快感を感じない。
    ここで紹介するパーティメンバー以外のサブキャラにも魅力的なキャラが多く、味方・敵共々に見せ場がしっかりと用意されている。
    • なにかと活躍する主人公に嫉妬して突っかかってくるせいでギスギスしたり、トラブルばかり起こすくせに何故か周りから手放しで持ち上げられるようなキャラは存在しない。またその段階では詳細が判明しておらず、まだ確信には至っていないシュルクの未来視を信じて命懸けで未来を変えてみせたラインや、ワガママを言ってるフリをして実は疲弊している仲間を気遣い休憩をするように提案するリキなど、パーティメンバーも好感の持てる人物ばかりなので、その手のキャラや展開が嫌いな人にも安心。
      + パーティキャラクター ※とあるキャラは中盤の重大なネタバレがあるので注意!
    • シュルク (CV:浅沼晋太郎)
      • 主人公。序盤のイベント後神剣「モナド」を振るう。技術探求に余念がない根っからの学者肌で、身体を動かすのはやや苦手。性格は温和で誠実、だがどんな敵にも恐れず立ち向かうという勇敢さも兼ね備えている。悩みや苦しみを抱え込む傾向があり、仲間に度々心配される。
      • 戦闘では攻撃、モナドアーツによるサポートどちらもこなせる万能型。敵の横や背後から攻撃すると効果が上昇する技を多数所持しているため、ラインなどに目を向けさせて自身は背後や側面から闇討ちを行うのがメインとなる。
      • 序盤は素の状態で機神兵にまともに攻撃ができる唯一のキャラなので特に重宝する。
      • ライン (CV:宮下栄治)
        • シュルクの親友。性格から何から全くシュルクの正反対であるのだが、彼とは非常に仲が良い。感情豊かでワイルドな性格をしている。考えるより先に行動するタイプで、情熱的な性格を象徴するかのような赤毛が特徴。
        • 高いHPと攻撃・補助・防御問わずヘイトを稼ぐアーツを多数所持する典型的な盾役で、ヘイトを稼ぐことに関しては彼の右に出るキャラクターはいない。攻撃力はそれほど高くないのだが、その卓越した盾役としての能力は戦いを安定させるのに非常に役立つ。
      • フィオルン (CV:中尾衣里)
        • シュルクやラインの幼なじみで「コロニー9の英雄」ダンバンの妹。シュルクに好意を抱いており、両想い同然となっているが、恋愛関係にまでは至っていない。序盤のイベントで離脱するが中盤で復帰する。
        • 彼女の武装は離脱前、復帰後ともに二刀流だが、復帰後はシュルク顔負けの超絶物理アタッカーとなり、機神兵に攻撃が効く数少ないキャラに。
          シュルクやダンバンとは違いこちらは通常攻撃も含めた手数で押すタイプで、ヘイトを獲得してしまっても高い素早さである程度回避出来てしまう。
        • ただし手数の多さ故にスパイク持ちの敵には弱いといった弱点を持つ。
      • ダンバン (CV:堀川りょう)
        • 一年前の機神兵との大戦で神剣モナドを操り、巨神界を機神兵から守った英雄。本来神剣を所持する資格はなく、強引に操っていた代償で右腕を負傷し、本編中では左手で剣を扱う。たった一人の家族であるフィオルンを兄として大切に想っており、妹を嫁に出すならシュルクにと心に決めている。
        • HPの伸びこそ今ひとつだが、非常に攻撃力と素早さが高い。ラインとは対照的に、高い攻撃力で強引にヘイトを奪い、高い素早さをもってして敵の攻撃を回避するという「回避盾」である。ラインほどの安定性はないものの、殺られる前に殺るを地で行くほどの圧倒的火力で敵を殲滅する。
      • カルナ (CV:渡辺明乃)
        • コロニー6で衛生兵として働いていた女性。コロニー6が機神兵に襲撃された際、脱出艇で弟のジュジュや生き残った人々と共に逃れ巨神脚でキャンプを設営し潜んでいた。衛生兵らしく世話好きで面倒見がよいが、その一方で他人への依存心が強く、身内に何かあると取り乱してしまうことも。
        • 衛生兵という設定に準拠しており、エーテル銃で回復や味方のサポートに徹するキャラ。AI操作でも十二分に活躍してくれるが、プレイヤー操作だと任意のタイミングで回復ができるので戦闘の安定性がグッと増す。他にも味方の防御面を強化するアーツや、僅かながらも攻撃用のアーツを所持。
      • リキ (CV:甲斐田ゆき)
        • ノポン族の村であるサイハテ村の「今年の」伝説の勇者。見た目も言動も仕草も非常に幼いが、実はパーティでもかなりの年長者。ときには歳相応の大人らしさを見せることもある。ラインからは常に「おっさん」呼ばわりされ、リキも何かにつけて言い返すなど良きライバルとなっている。
        • HPは全キャラ中最高まで伸びるが、ヘイトを稼ぐ方法がないに等しいので壁役には向かない。全キャラ中最高のサポートキャラで、敵に状態異常をかけたり味方を回復したり敵からパラメータやアイテムを盗んだりと非常にトリッキー。弱点らしい弱点はないが、浅瀬で戦うと体が小さすぎて泳ぎ状態になるという違った方向の欠点を持つ。
      • メリア (CV:勝田詩織)
        • 当初は正体を隠しているハイエンター族の第一皇女。見かけはホムスの年齢で言うところの少女(17~18歳位)だが、長命のハイエンターである彼女の実年齢は88歳。テレシアの討伐を目的にハイエンターの都からマクナ原生林に降りて来ていた。その戦いで従者たちを喪い、彼女自身も疲弊し倒れていた所をシュルク一行が保護する。
        • エーテルを駆使した闘いを得意とし、他の仲間とは違い触媒なしでエーテルの力を操ることが可能。味方への強化、敵への攻撃ともに強力。
          しかし耐久力が全キャラ中最低、かつ技の強力さからすぐにヘイトが溜まってしまうという欠点がある。AIもヘイトを考慮して行動してはくれるが、指示の出し方を間違えると容赦なく大暴れして高いヘイトを獲得、猛攻を受けてすぐに沈んでしまう。そのためプレイヤー操作向きのキャラクターである。
  • 各演者達の熱演・怪演も素晴らしく、より物語に引き込まれる一因となっている。
    • 特にメリア役の勝田詩織氏は本作がデビュー作なのだが、そうとは思えないほどの素晴らしい演技で物語を盛り上げる。
    • 脇を固めるサブキャラ陣も若本規夫氏に中田譲治氏、納谷悟朗氏とベテラン揃い。

音楽

  • 単品としてもBGMとしても優秀な音楽。壮大な世界の広さ、白熱の戦闘を大いに盛り上げる。
    • フィールド曲、戦闘曲、イベント曲ともにバランスよく耳に残るものが多い。世界観との親和性は高く、場違いな曲など存在しない。
    • マップもイベントも戦闘もシームレスだが、場面変化のたびに音楽が変化する。
      • たとえば全ての地域には(洞窟など昼夜の変化がない場所は除く)昼と夜とでBGMががらりと変わる。戦闘BGMも通常時(先制・被先制×2の4種)、ユニークモンスター戦、ボス戦、ピンチ時、未来視成功で曲が切り替わる。ピンチ時には恐ろしく、反撃時は熱く曲調が交錯する。
    • ユニークモンスター戦で流れる戦闘曲「名を冠する者たち」(作曲:ACE+)は特に人気。
      • 絶望感と激情を感じさせる激しい冒頭が特徴的な曲であり、暗がりや背後から強力なユニークモンスターがいきなり近づいてきてこれが鳴ることもあるためトラウマになった者が多数。
      • 一方でサビは激戦における戦意を向上させてくれる白熱のメロディである。プレイヤーの間では「この曲をサビまで聞ければ勝てる」と言われることも。
      • ストーリー中でも数度流れては、主人公が起死回生の活躍で劣勢を覆す、と言った燃えるシチュエーションを大いに盛り上げている。とても印象に残る曲となっている。
    • 他にもタイトル画面で流れる「メインテーマ」、通常ボス戦で流れる「行く手を阻む者」、機神界での通常戦闘曲「機の律動」、イベントシーンとのシンクロが光る「敵との対峙」「引けない戦い」、フィールドとの親和性が素晴らしい「ガウル平原」、「マクナ原生林」、「燐光の地ザトール/夜」、「エルト海」、「機神界フィールド」、「中央工廠」、「帝都アグニラータ」など名曲を上げるとキリが無く、音楽を聴く為だけにゲームを購入しても損は無いと言える程。
    • メインコンポーザーは下村陽子氏、音楽グループ「ACE+*3」、清田愛未氏、光田康典氏(エンディングテーマのみ作曲)の3名と1グループ(他にも数名の編曲者がいる)だが、全員が世界観や音楽イメージを統一することを重点に置いて作曲したので、漠然と聴いただけでは誰がどの曲を担当しているのかわからないほど調和が取れている。

その他の評価点

  • 豊富なやり込み要素。
    • 任意で行える数多くのサブクエストや任意で戦えるユニークモンスター、コレクションアイテムを集めて図鑑を作るコレペディア、パーティキャラとのキズナを上げる事で専用の会話シーンが見られるキズナトーク、プレイアワード(戦績)など。
      • しかもそのやり込みのほとんどがキャラクターの強化やゲーム進行の手助けに直結する。コレペディアでアイテムを種類・地域ごとにコンプリートすればレアアイテムが貰え、ユニークモンスターを狩るとレアな装備を落とすといった感じ。加えて深くやり込まなくてもクリアできるバランスであるため強制されている感はほとんどない。
    • ただ、これに加えてモンスター図鑑が欲しかったという声が強い。
    • 反面序盤からやり込みに傾倒しすぎてしまうと、キャラが強化されすぎてヌルゲー化する。もっともプレイヤーの自己責任ではあるが。
  • 装備アイテムによってキャラの外見が変わる上、ムービーシーンにもきちんと現在の装備が反映される。
    • しかもグラフィックを別の仲間同士で使いまわさず、同じ装備でもキャラごとにサイズやデザインが個別に設定されている。
    • 更には過去の回想シーンでも、そのときに装備していた装備がそのままイベントに反映される。
    • 装備アイテムはキャラクターたちの普段着となるスカイ系、魔法ファンタジー世界の鎧のようなステラ系、ワイルドなデザインのマクナ系、兵器のような出で立ちになる百式系など非常にバリエーションが豊富で着せ替えしているだけでも楽しい。
      • ただしキャラごとのパターンは9種類程度なため色が違うだけでデザインは同じというものも存在はする。それはそれで好きなカラーをプレーヤーが決められるという利点にもなっているが。
  • 徹底的にプレイが快適な仕様。
    • ロケーション(エリア)・ランドマークの発見(要するにマップ埋め)やクエストのクリアでも経験値が入るため、レベル上げがそれほど苦にならない。わざわざレベル上げせずとも、好きにプレイしているうちにいつの間にか適正レベルに上がっている感覚。
    • 他にもボタン説明の常時表示、豊富なチュートリアル・ワープポイント、全滅してもペナルティなしで復活、ゲーム内の時間帯を自在に切り替えられる、多少ロードはあるもののあまり長くはない、バグもそれほど多くはない、戦闘中・イベント中以外いつでもセーブができる、弱いモンスターはこちらから戦いを挑まない限り襲ってこない、クエストで必要になるアイテムとストーリー進行で消滅するクエスト、サブクエストを受けられるNPCには印がついて表示される、次にシナリオイベントが起きる場所の方向と距離が常に表示されている、など快適なプレイのために配慮されている点がかなり多い。

賛否両論点

ストーリー面

  • 従来の「ゼノ」シリーズとは異なり、ファンタジー寄りの世界観・ストーリーとなっているため、SFの空気を期待すると面食らう。
    • 勿論、SF要素もあるのだが、従来に比べるとかなり控えめ。「ゼノ」お馴染みの搭乗型ロボットも一応は登場するが、主人公達が乗る事は無い。
    • また、シリーズ間の繋がり(そもそもギアスとサーガの時点で繋がってはいないが、プロット上の繋がりという意味で)は存在しないが、ストーリー展開の骨子自体は「ゼノギアス」を分かりやすく咀嚼したものという見方もある。
      • 最終盤のみ、関連作との繋がりを想像させる余地のある展開があるが、権利関係の都合かはっきりと明言はされない。
    • 逆に言うと、過去のシリーズを知らない人でも入り込みやすい。

戦闘バランス面

  • 全滅してもペナルティがほとんどないので戦闘の緊張感が薄い。
    • ただこれによって「気軽にユニークモンスターに挑める」「いつでも落下死できる」と歓迎する声もある。
      • 移動範囲の自由度が高いため、操作ミスで高い場所から落ちて大ダメージを受けたり、知らずに強力なユニークモンスターの住処へ立ち入ったりするなどの事故死も非常に多く、それによるストレスを大幅に緩和している面は大きい。
      • 「サイハテ村」と呼ばれる場所は「落下死の名所」と呼ばれるほど足元を滑らせやすいため、この仕様がなければおちおち歩けない。

問題点

サブクエスト面

  • サブクエストの大半がいわゆる「お使い」である。
    • サブクエストの数は膨大だが、基本的に指定の敵を倒す・アイテムを集めるといった単純な目標設定ばかりなため、行動のバリエーションに乏しい。
    • 依頼人の活動時刻が分かっても正確な現在地の把握ができないため、探すのに手間取ることも。住んでいる家は決まっているが、表札や住宅地図の類も無く「この家に誰が住んでいるか」を調べる手段が出入りする瞬間を見るしかないので、寝起きや寝込みに話すのも難しい。
    • 上述の通り受けるのは任意であり、クリアしなくてもストーリーに支障はないので、受けるかどうかはプレイヤー次第。
      • 受注数の制限はなく期限無しのクエストがほとんどのため、まず受注できるだけ受注しておいて、ストーリーを進めるついでに消化するくらいの考えでいいかもしれない。

システム・戦闘バランス面

  • アイテムの種類は豊富だがソートが不便。
    • 一度攻撃力順や入手数順にアイテムをソートしても、次メニューを開き直すと自動的に入手順に並び直されている仕様が特に不評。
  • またアイテムは落ちている物を拾うコレクションアイテムは仲間に贈れるが、敵を倒すと落とす戦利品はクエスト用か交換か売却しか使い道が無い。当然安物は少しいい安物としか交換できず、売るにも装備が戦利品として手に入る本作で金に困る事はほとんど無い。コレクションアイテムも仲間の好感度が最大まで上がると戦利品同様である。
    • ある程度吟味が必要なジェム(装備品に追加効果を付けるアクセサリー)もジェムを作るのに必要なエーテル鉱石も金銭では買えない。金に困るよりは遥かにマシなのだが。
  • レベル差補正
    • 敵とのレベル差を比較し、レベルの低い側が戦闘に関するいくつかのステータスにマイナス補正を受けるシステム。
      敵とのレベルの差が開けば開くほどこの補正は上昇する…のだが、この補正の影響が強すぎる。彼我のレベルが5以上あると、低い側はロクに攻撃が当たらなくなり、無策ではほどんど勝ち目が無くなるほどにきつい。
      • 一応命中や素早さを補正するジェムをつければある程度離れていてもなんとか戦えるようになっている。事実こちらのレベルキャップは99だが、ユニークモンスターの中にはレベル100を超える者もいる。
      • 本作は戦闘システムがやや複雑なため、システムを理解せずともレベルを上げれば勝てるよう救済措置として導入している面もある。また、この仕様を利用し、意図的にレベルを敵より2~3ほど落としておくことで適度に歯ごたえのある戦いが楽しめるようにもなる。
        ただし、調整するのはコツがいるし、敵より低い場合はともかく上げすぎた場合は戦闘が楽しめなくなるのはどうしようもない。ラスボスもレベル差補正の影響を受けるためクリア前にやりこみすぎると作業と化してしまうなど、調整が上手くいっていない感はある。
    • そして2周目以降はレベルなどを強制的に引き継ぐ。敵の強化はないので、白熱したバトルを楽しめるのは1周目だけになってしまう。
      • ラストバトル用の公式チート武器も引き継げるが、こちらのレベルが高すぎてあまり強さを実感する機会に恵まれないのも残念なところ。
      • 2周目を前提としたような、倒さなくても良い高レベルの強敵も各地に配置されているため、一応手応えを求めるプレイヤーへの配慮はされている。
  • サブクエストを消化し過ぎると、適正レベルをあっさりと越えてしまう。
    • サブクエストを消化しているだけでもストーリーの適正レベルを超えてしまう為、ストーリーにある程度の歯応えを求めるならサブクエストの消化は程々にしておいた方が良いだろう。

グラフィック面

  • グラフィックに関しては、同期のPS3、Xbox360の作品と比べると流石に見劣りする。モデリングやテクスチャは全体的に粗く、PS2後期レベルという見方も。
    • これは根本的なハードスペックの差による問題だが、そもそも広大なフィールドの描画やスキップトラベル、フィールド・天候・キャラクタの装備がそのままイベントにも反映されるなどの処理を、できるだけスムーズに実現するための表現的制約とも言える。

総評

Wiiでは珍しい、いわゆる正統派大作RPG。
コンセプトこそそこまで目新しくはないものの、ゲームとしての完成度は同世代ハードのRPGを比較してもトップクラス。
ただフィールドを歩き回っているだけでも新たな発見や感動が生まれ、数々のやり込み要素やメインシナリオの良さがプレイヤーを飽きさせず、細かい部分まで配慮したゲームそのものの快適性が不快感や作業感をなくしており、JRPGの完成形と呼んでも差し支えない。

その結果、前評判とは裏腹にAmazonやmk2でも高く評価され、『みんなのニンテンドーチャンネル』では最も獲得が難しいプラチナ評価を獲得し*4、さらに、日本ゲーム大賞2011にて優秀賞を獲得するにも至った。
複雑なシステムもあるが全体的に親切設計が行き届いているため自然に基礎が身に付くようになっているし、シナリオも軽すぎず重すぎず時にコミカルな場面もあり、と硬派なゲームに見えて意外と取っ付きやすいゲームである。
複雑なシステムや重いストーリーが詰め込まれたようなRPGが苦手という人も挑戦してみてはどうだろうか。


その後

  • 欧州版が『Xenoblade Chronicles』として発売。
    • なぜか北米版は発売予定表から消失しており、北米での発売を希望する任天堂ゲームファンのグループがアピールの一環としてAmazonに大量の購入予約を入れた結果、
      未発売かつ予定すら未定であるにもかかわらず同通販内のNo.1ベストセラー商品となってしまったという珍事が発生した。その成果が実ってか、2012年4月6日に北米版が発売された。
    • IGNなどの海外サイトで行われたレビューはいずれも満点か90%以上を叩き出しており、世界的にも非常に高い評価を受けていることが判る。
  • 2015年4月29日にはWii Uにて、本作から幾つかの要素を受け継いだ『ゼノブレイドクロス』が発売された。
    • 主人公がカスタマイズ制(アバター)になり、過去のゼノ同様の搭乗型ロボットの採用、完全なシームレス化で更に広大になったフィールド、膨大なクエストと、完全なオープンワールドRPGとなる等様々な点がパワーアップした一方、ストーリーは薄く淡泊に、システムも複雑且つ不親切になり、プレイヤーによって評価が大きく異なる作品となっている。
  • 2017年12月1日にNintendo Switch専用ソフトとして、本作の続編にあたる『ゼノブレイド2』が発売された。
    • こちらは『クロス』に対し本作同様「しゃべる主人公」タイプの作品であり、搭乗型ロボットは不採用と本作の要素が色濃い作品になっている。
    • こちらにもDLCによる追加イベントで本作のシュルク・フィオルンがゲスト出演する。

余談

  • モノリスソフトは、人物のデザインを行えるデザイナー及び絵描きが社内にいなかったとのこと。*5キャラデザインは田中久仁彦氏などの外部の人間に依頼していたのだが、今作においては時間的にも予算的にも外部の者に主人公たちのデザインを依頼している余裕がなかったそうな。(今作では田中久仁彦氏の描いたのはコンセプトアートでありキャラデザインはしていない)
    • ではどうやってシュルクたちの外見をデザインしたかというと、本来は正式なデザイン画が上がるまでの3Dモデルは仮の形で適当にポリゴン人形を作ってそれで開発を進めるのだが、現場の3Dモデラーがその仮の人形を各自のセンスでブラッシュアップして先にゲーム内で動かすポリゴンキャラモデルを完成させ、その3Dモデルを見て絵を描いて設定画代わりとしたという。当然だが田中氏にコンセプトアートを依頼する際の設定資料もそれであり、普通のキャラデザインとはまったく逆の流れで完成していたのだった。
  • 同様にボイス収録時の音響監督を行える人材も社内からではなくアフレコをした声優の中から選んでおり、ダンバン役の堀川りょう氏に依頼した。(スタッフロールに音響監督としても名前が載っている)
    • この場合の音響監督とは作品の内容について声優に伝えたりする役目ではなく、収録現場の仕切り役や、声優の演技を引き出すための的確な指導を行う要員であり、 ゲーム開発会社の社員がやるには厳しい役職である。 逆にベテランの声優がアニメの収録現場で音響監督を兼ねたりそちらへ仕事の主軸を移す事例があるため、 収録スタッフの中でベテランな上に、セリフの量も多い重要なキャラを演じる堀川氏に白羽の矢が立ったと思われる。*6

ゼノブレイド (New3DS)

【ぜのぶれいど】

ジャンル RPG

対応機種 Newニンテンドー3DS
開発元 Monster Games
発売日 2015年4月2日
定価 3,700円(税別)
プレイ人数 1人
セーブデータ 3個
レーティング CERO:B(12歳以上対象)
備考 通常のニンテンドー3DS / LLではプレイ不可
早期購入特典サントラ(Wii版特典の復刻版)付
判定 良作
ポイント Wii版をNew3DS専用ソフトとして移植
細かい粗はあれどハード性能を考えれば十分良移植
ゼノシリーズリンク

概要(New3DS)

2015年4月2日に、Newニンテンドー3DS専用ソフトとして発売された、ゼノブレイドの移植版。
モノリスソフト自身は『ゼノブレイドクロス』の開発に追われていたため、移植は『ドンキーコング リターンズ 3D』で実績のあるMonster Gamesが担当している。

  • オリジナル版が中古でもほぼ値下がりしていなかったために廉価版的な意味合いでの発売、New3DSの性能向上ぶりのアピール、発売時期の近かった『ゼノクロ』の発売や、『スマブラfor』にシュルクが参戦することの宣伝等複合的な事情から本作が移植されたものと思われる。
  • 本作はNew3DSおよびNew2DS専用ソフトなので、当然ながら初期型3DS・2DSでは動作しない。購入予定の人は注意。

評価点(New3DS)

  • 広大なフィールドなどを含め、Wii版からほとんど内容を劣化させずにベタ移植を施すことに成功している。
    • いくら新型3DSとはいえ、据え置き機であるWiiから性能では大きく劣るであろう携帯機へのベタ移植を行なえたというのは大きく評価できる。
  • 定価も3,700円と3DSソフトの中では安価。元々の完成度の高さを考えれば、この安さは破格とさえ言える。
  • 新たに「コレクション」モードが追加。
    • すれちがい通信やシュルクのamiibo、ゲームコインとの引き換えによりトークンを集めることで、3Dキャラクターモデルやサウンドを手に入れるためのクジを引くことが可能。
      • コレクションの入手はいわゆるガチャ方式(有料の要素は無し。なお、amiiboは別売)だが、トークンを3つ消費することで未入手のものを確実に入手できるという救済措置もある。
      • ゲーム中は特定のイベントでなければ流れないBGMや、ストーリーが進むと入れなくなる場所のフィールドBGMなども多いため、非常にありがたい。
      • また、サウンドトラックのみに収録された未使用曲も収録されている。
      • サウンドプレイヤーはイヤホンなどをつないでおけば、New3DSの蓋を閉じていても音楽を楽しめる。もはやおなじみといえる仕様。
    • キャラクターモデルもかなりの充実っぷり。
      • メインキャラクターたちは初期装備状態だけでなく、ゲーム中の様々な時期に入手できる、代表的な装備を纏った状態での外見を楽しむことができる。もちろん水着姿も収録済み。
      • ほとんどのサブキャラクターやボスキャラクターのキャラモデルも収録。中にはゲーム中にはじっくり見回すことができないキャラのものもある。
  • 3D表示に対応している点。
    • このゲームは広大なマップを探索できる点が大きな長所であるが、それが更に3Dのパノラマで見渡せるようになっている。
      • 高低差の激しい地形や雄大な自然などの風景を、より楽しみやすくなっている。
      • New3DS専用ソフトのため、3D表示がぶれにくいという点もうれしい。
    • ジャンプで飛び移らなければならない場所やモンスターを回避したいときなどにも、3D表示にしておくと距離感をつかみやすい。
  • 操作方法はほぼWii版のクラシックコントローラと同様。Wii版経験者であっても違和感なく操作ができる。
  • 元々短かったロード時間はさらに短縮。非常に快適な冒険が楽しめる。
  • プレイ時間の記録限界がWii版では『99時間59分』だったのだが、New3DS版では『999時間59分』まで記録されるようになった。
    • 必然的にプレイ時間が長くなりやすいゲームのため、Wii版では99時間59分でカンストしてしまう点がよく指摘されていた。その点を踏まえての改善だろう。
  • Wii版に存在していたバグも、全てではないが一部は修正されている。

問題点(New3DS)

Wii版からほぼ劣化されずに移植が行われてはいるものの、やはり細かい粗はいくつか見られる。

  • サウンドに不具合が多い。
    • 稀にBGMやボイスが流れなくなることがある。
      • 再起動すれば直るが、サウンドの評価が高い作品で起こってしまうのは残念である。
    • BGMがループする際に、ループのつなぎ目で曲が一瞬だけ途切れてしまう。曲にもよるが、分かりやすいものならば誰が聴いてもすぐに分かるほど。
    • スピーカーの性能差のせいだと思われるが、一部BGMの音割れが激しい。一応、イヤホンなどをつなげば音割れは軽減される。
      • 特に分かりやすいのは、『皇都アカモート/夜』。神秘的なコーラスが入っている曲なのだが、よりによってそのコーラスが盛り上がる箇所で音割れしてしまっている。
        ラスボス最終形態の戦闘曲の後半は、アカモート以上に音割れが激しい。せっかくのラストバトルだというのに残念な限りである。
        当然、これらはコレクションモードで聴いた際にも同様である。
    • ジェムクラフトの際に高頻度で音声にノイズが混じってしまう。
  • グラフィック関係
    • 仕方ないことではあるが、Wii版と比べるとグラフィックは全体的に劣化している。
      • 極端に酷い訳ではないが、グラフィックを気にする人は注意。
    • 一部のオブジェクトが減らされていたり、エフェクトが控えめにされていたりする。
      • 特に、マクナ原生林では熱波の気象状況の際には赤いもやがうっすらとかかっていたのだが、New3DS版では通常時との差がとても分かりづらくなってしまっている*7
  • タッチペン操作に一切対応していない。
    • アイテムボックスやスキップトラベルなどの際には下画面にメニューが表示されるのだが、タッチ機能に対応していないため、ボタン送りでなければ選択ができない。
    • 「せっかく3DSに移植しているんだし、タッチペンが使えないというのは残念だ」という声も聞かれる。
  • UIの劣化
    • アイテムボックスの1ページ当たりの表示がWii版の半分になっているため、目的のアイテムを探すのがなかなか大変になっている。

総評(New3DS)

細かい粗こそあるものの、ハード性能差を考えれば十分良移植と言える作品。
ゲームの完成度の高さはそのままに、New3DSという新型3DSのマシンスペックを世に知らせるに当たって十分な働きをしていると言えよう。
価格も比較的安価で、New3DSを所持している方や3DSを買い替える予定の方には是非お勧めしたい一作である。