スーパーマリオギャラクシー2

【すーぱーまりおぎゃらくしーつー】

ジャンル 3Dアクション
対応機種 Wii
発売・開発元 任天堂
発売日 2010年5月27日
定価 5,800円(税5%込)
配信 【WiiU】2015年1月15日/2,700円(税8%込)
判定 良作
ポイント 前作からすべての要素がブラッシュアップ
続編だがストーリーはパラレル
ヨッシー参戦に加え新たな変身も満載
探索要素は減り更に一本道に
マリオシリーズ・関連作品リンク


概要

同じくWiiで発売された『スーパーマリオギャラクシー』の続編。
システムやアクションは前作を元にしているが、ストーリーは直接つながっておらず、前作とはパラレルワールドという設定になっている。今作のクッパの野望もごく私的なもので、前作のような名前通りのギャラクシー級な物ではない*1

プロローグ

これはもう一つの星くずの物語。
光り輝く星くずが、キノコ王国の大地に降りそそぐ百年に一度の季節。
ピーチ姫からおさそいをうけたマリオは迷子の星の子と一緒にお城へむかうことに。
しかし、お城では、星の力を手に入れたクッパによってピーチ姫がさらわれてしまいます。
大切な人を守るため、宇宙の冒険が始まろうとしています。


新要素

  • ヨッシーが登場
    • マップ上の特定の場所に行くと、タマゴから孵ったヨッシーに乗って移動することができる。舌を出して敵を食べたり、ふんばりジャンプなどのおなじみのアクションが可能。
    • またフルーツを食べることで高速で移動できる「ダッシュヨッシー」、高い場所に行ける「バルーンヨッシー」、足場を照らす「ライトヨッシー」に一定時間変身が可能。攻略に不可欠な要素となる。
      • 余談だが、3Dマリオシリーズでマリオがヨッシーに乗れるのは『スーパーマリオサンシャイン』以来である。しかし『サンシャイン』でのヨッシーは「三段ジャンプとスピンジャンプとヒップドロップは出来るが横宙返りはできない」一方、今作では「横宙返りは出来るが三段ジャンプとスピンとヒップドロップはできない」と、『サンシャイン』のときとはまるで反対の能力となっている。
      • ヨッシーに乗ったまま3D空間で泳げるのは2020年現在今作が唯一である。
  • マップシステム
    • 前作は拠点の天文台からステージ(ギャラクシー)を選択するこれまでの3Dマリオにのっとった形式だったが、本作では2Dマリオにみられるスゴロク型のマップからステージを選択する形式になっている。
    • 拠点も前作の「ほうき星の天文台」に代わり、マリオの顔の形をした球状地形の船「星船マリオ」に変更された。
    • ちなみに前作では惑星の名前に平仮名や漢字が使われていなかったが、今作ではそれが使われている。
  • 新たな変身
    • 岩の姿になって突進攻撃できる「ゴロ岩マリオ」と、スピンする毎に雲の足場を作り出し空中での動作がふんわりとなる「雲マリオ」が追加。
      • またファイアマリオやハチマリオなど前作から引き続き登場する変身も多い。
      • 逆に、水場を凍らせられるアイスマリオ(Newマリオとは別物)や一定時間自由に飛び回れるフライングマリオは削除された。
  • アシストプレイの進化
    • 前作でも敵をポイントして動きを止めるまではできたが、今回はそこからスピン攻撃を行って直接倒すことができる。
    • コインや1UPキノコをポイントするとそれを拾ってくる。また、拾ってくる時にボタンを押しっぱなしにすると、それらをキープできる。
      画面上に見えてはいるが取りに行けない1UPキノコを拾ってきたり、コインをキープしてダメージを受けた時にタイミング良く回復したりといったアシストができる。
    • 動く足場や仕掛けの一部をポイントして静止させることができる。動きが止まるだけで実質無力化する仕掛けも多く、ゲーム初心者の助けになる。
  • 更なるやり込み要素「グリーンスター」
    • 今作では恒例のパワースター120個を集めただけではまだまだ終わらない。全てのパワースターを集め終えると、ほぼ全てのギャラクシーにグリーンスターと呼ばれる、2~3個のスターおよびシナリオが追加される。
    • グリーンスターはいずれもステージのどこかに隠されており、それまでのシナリオに比べて探索要素が比較的強い。
    • 全てのグリーンスターを集めると、最後のギャラクシーが出現する。

評価点

  • さらにブラッシュアップされたゲーム性
    • 評価の高い前作を元にしているだけあり、アクションやゲーム性の完成度がさらに上昇。ステージのギミックもさらに豊富になり、様々なタイプの仕掛けで徹底的にプレイヤーを飽きさせない。
    • ボリュームも前作以上で、スターは隠し要素のグリーンスターも含めればなんと242枚にも及ぶ。コンプリートを目指せばかなりのプレイ時間となる。
    • 前作をプレイ済みのユーザーを想定しているのか、難易度は全体的に上昇。特に隠し要素の終盤ステージはシリーズをやりこんだプレイヤーでも幾度とないミスを覚悟するべき、かなり歯ごたえのあるものになっている。
      • とは言え理不尽な難易度というわけではなく、どんなプレイヤーでも安心して楽しめる万人向けの調整になっているのは前作同様。また新たなアクションは「ヒントテレビ」というギミックや看板で教えてくれる。
      • New スーパーマリオブラザーズ Wii』の「おてほんプレイ」と同じく、同じステージでミスし続けると自動でステージをプレイしてくれる「おたすけウィッチ」システムも搭載された。もちろん使いたくなければ無視することも可能。
  • システム・演出面
    • 前作ではやや癖のあったカメラワークが大幅に改善されている。基本的には2D寄りのカメラワークになったことで、3D酔いを軽減することに成功している。
    • 音楽も前作同様高評価。その質は捨てる曲がないとまで言われるほど。音楽自体が良質なのはもちろん、それが流れるタイミングもまた絶妙。
      • 作曲陣には前作の横田氏(56曲)と近藤氏(3曲、アレンジも考慮すると5曲)に加え、
        New スーパーマリオブラザーズ Wii』や『マリオカートWii』などの音楽を担当した永松亮氏(8曲)が新たに加わった。
        また、サックス奏者の郷原繁利氏(1曲)がゲスト参加している。

賛否両論点

  • 箱庭自由探索要素の更なる減少
    • 前作は、これまでの3Dマリオ『マリオ64』や『サンシャイン』にあった箱庭探索要素が大きく減り、一本道のコースをクリアする2Dマリオ的な路線に変わっていたが、その変化は続編である本作でさらに推し進められた。
      • ほとんどのステージが選択するスターによって完全に別物のコースに変化するため、『64』『サンシャイン』のような自由探索要素はほぼ無くなった。本作の出来の良さを認めつつも、前2作のような路線を求めるファンは依然一定数存在する。
    • また人を選ぶ要素だった為か、前作で売りだった球状地形のステージもやや少なくなっている。操作はし易いものの、「ギャラクシー」の売りや目新しさは薄れた。
  • 音楽の方向性が前作から変わった
    • 前作のようなオーケストラによる壮大な音楽はめっきり減り、ポップス系のいわゆる「マリオ」な音楽*2が増えた。
    • マリオらしさに回帰した、という声もあれば、「マリオっぽさはあるけど、ギャラクシーっぽくはない」との声もある。
  • 一部ギャラクシー、もしくはスターの難易度が過度に高い。
    • 前作にも難しいステージは存在したが今回それと比較しても異様に難しい。
      + 一応ネタバレ注意
    • 特に最後のギャラクシーのスター、「マスター オブ ギャラクシー」の難易度は3Dマリオシリーズ歴代で見ても最難関クラス。
      • まずいたずら彗星によるステージのためライフが1固定。その上元々高い難易度を誇るステージに、更なるギミックや敵が追加され、とにかく繰り返し死んで体で覚えるしか無い。受けただけで、死亡確定となるシステムとしては…
      • 特に床が消えてゆく地点が難関*3。敵のジワジワ広がる円状のビームをジャンプで避けつつ、床をスピンで反転させながら進まなければならないとミスポイントが非常に多い。一応雲マリオになれるが、雲の使い方を工夫しないと、雲マリオになれるエリアで雲を使い切ってしまう。
    • もっとも過度に難易度が高い故にクリアした時の達成感もひとしおと言える。
    • また、いたずら彗星飛来前の「最後の腕試し」で練習が可能であることも救いと言えるだろう。
      • 余談だが、このステージでは前作で人気の高かったBGMである「ウィンドガーデン」「エッグプラネット」「ギャラクシープラント」が使用されている。
      • ちなみにこのシナリオをクリアすると、今作ではエンディングのみの登場でモブキャラに等しかったロゼッタが星船マリオにいてくれるようになる。

問題点

  • グリーンスターについて
    • ボリュームの水増し感が強い。
      • 各ステージに何度も挑んでようやく全てのパワースターを集め終えたにもかかわらず、更にほぼ全てのステージを最低2~3回ずつ追加でプレイしなければコンプリートできないので、さすがにスター集めが冗長に感じやすい。
      • グリーンスターも各専用のシナリオごとに1つずつしか入手できず、1つ入手する度に拠点に戻されるのでとにかく時間が掛かる。
    • スターの隠し場所に無理矢理感が結構強い。
      • 単純に物陰に隠されているといったものから、果てには 取り損なうとミス確定となってしまう 場所に隠されているものもある。
  • アイテムの仕様。
    • 1ステージでしか使われない変身能力がある。
    • また、拠点には初めて手に入れた際に変身アイテムを展示されることがあるが、拠点内では見る事しかできず、使う事はできない。
      • この点については前作にも似たような事があったが、アイテムの展示室が無い代わりにある程度シナリオを進めるとレッドスター(上記のフライングマリオになるために必要)が自由に手に入り、それによって移動の助けや天文台及びそこから見た見晴らしを自由に眺めることができた。
  • いたずら彗星も評価はイマイチ。
    • 元々のステージで時間制限、体力制限などといったいわゆる縛りプレイを強いられる。
    • 前作に比べると、偽物より早くスターに着かなければならない「シャドウコメット」(に該当したもの)が無くなり、「こちらの動きを真似する分身、マネックが出て来る」「時計で時間を回復させつつ早めにクリアする」「30秒以内に敵を全て倒す」と言ったステージが追加されている。
    • なお、前作ではいたずらコメットの優先度が高くクリア前に同ステージ内の他のシナリオをプレイすることが出来なかったが、今作では他のシナリオをプレイできるのが救い。
    • また、パープルコインのステージ(前作で言う「パープルコメット」)は規定数集めたときに時間が止まるようになり、クリアしやすくなったのも利点となっている。
  • ギミックが複雑になりすぎているステージもある。
    • 「これはどうすればいいんだ…」的なギミックは前作にもあったにはあったが、本作は前作より多くなっている。
    • 前作はボムテレサを振り回してぶつけるなど、ボスごとに倒し方がかなり異なっていたのだが、今回は前作ほどボスの倒し方にはひねりがない。
  • ワールドマップもあまり意味をなしていない。
    • 分岐も少なく、次のワールドに行くのにスターがいるため結局選ばなかった方のステージをクリアする…などとすごろくマップである必要があまりない。
    • また、マップの選択の際の演出も、天文図のようなマップから選んでいくスタイルから、簡素な図のルート上を移動して選んでいくスタイルとなり、演出面でも前作に劣っている。
  • 拠点「星船マリオ」もイマイチな評価。
    • 前作のようにクリアしていくたびに次々と開放されていく大きい天文台と違って今作は丸っこい球形の拠点。
    • 広くなく、どのステージにいくのにも同じ場所からなので新鮮味に欠ける。
    • 「面倒くさい移動がなくなった」という声もあるが少数。
    • 前作の拠点である「ほうき星の天文台」はロゼッタによるイベントや天文台その物のインパクトが大きく存在感が大きいが、今作の拠点は移動できるフロアが狭く印象が薄い。
  • ストーリーも前作のようなものと期待すると肩透かしをくらう。
    • あくまでも前作のパラレルワールドという設定なので仕方ないといえば仕方ないのだが前作のようなシリアスストーリーではない。
    • 全体的に前作のような壮大な・豪華、と言った印象はあまりなく、あっさりしている感じ。
      前述の通り「いつものマリオ」である点では合ってはいるが(そもそも前作が本編ながらシリアス寄りであるため)、ギャラクシーらしさがあるかといえば疑問が残る。
  • 前作と違い水中で連続スピンが出来なくなっており移動がし辛くなっている。

総評

元から評価が高かった前作をさらにブラッシュアップしただけあり、アクションやステージ構成、システム、演出などあらゆる面に隙が無い、極めて完成度の高い作品である。
続編ゆえに新鮮味が薄かったり、革命的と言えるような要素は存在しないものの、欠点と言えるような部分がほぼ存在しない。アクションゲームの代名詞、マリオシリーズ本編の名に恥じない、まさに「ゲームらしいゲーム」の最高峰と言えるだろう。


余談

  • 本作は北米で先行発売(2010年5月23日発売)された。
    • 海外での評価も高く、GameRankingsでは97%、Metacriticでも97/100という非常に高い得点を獲得している。
  • 本作のパッケージには操作方法などをまとめたチュートリアル映像が観られる「かんたん解説DVD」が同梱されている。
    • ただしWiiにDVD再生機能はないので視聴には別の再生機器が必要。これに任天堂の岩田社長は「ほとんどの家庭にDVDプレイヤーが普及しているはずだから」と答えている。
  • マリオのメインシリーズとしてタイトルに数字がつくのは『スーパーマリオブラザーズ3』以来*4。3D作品では『スーパーマリオ64』以来だが、こちらは所謂ナンバリングとしての数字ではないため、3D作品としてナンバリングが付いたのは初である。
    • それだけ前作が与えたインパクトや遊びのバリエーションが豊富で、人気である証拠だろう。

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最終更新:2022年08月26日 06:21

*1 前作では銀河征服を図っていたが、今作ではたまたま星の力を手に入れ、それに相応しい世界を手に入れピーチ姫の祝福ケーキを作らせようという物。

*2 ただし演奏はオーケストラによる。

*3 もっとも、難関しかないといっても過言ではないが。

*4 『スーパーマリオランド』シリーズを除いた場合。