斬撃のREGINLEIV
【ざんげきのれぎんれいう゛】
ジャンル
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アクション
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対応機種
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Wii
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発売元
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任天堂
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開発元
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サンドロット
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発売日
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2010年2月11日
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価格
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6,800円
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配信
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【WiiU】2015年2月18日/2,700円
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周辺機器
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Wiiリモコン Wiiモーションプラス クラシックコントローラ/同PRO
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レーティング
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CERO:D(17才以上対象)
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判定
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良作
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概要
巨大で大量の敵と戦いを繰り広げる爽快斬撃アクションゲーム。
プレイヤーはフレイ/フレイヤの二神を操り人間達と共に、ヨトゥンヘイムから侵攻を開始した巨神族と戦いを繰り広げる。
開発は地球防衛軍シリーズや『ギガンティックドライブ』『超操縦メカ MG』などで有名なサンドロットであり、本作は地球防衛軍シリーズの流れを汲む作品になっている。
特徴・評価点
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プレイヤーはフレイとフレイヤの二神を操り、巨神の大軍を相手に戦うことになる。
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戦士型のフレイは「機動力・耐久力に優れ積極的に近接戦闘を挑む」、魔法型のフレイヤは「魔力を消費するが豊富な遠距離攻撃で敵を排除する」というスタイルで戦闘をこなす(なお、フレイヤの魔力は近接武器の剣か大剣で攻撃することでしか回復しない)。
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武器はフレイには長剣・大剣・槍・ハンマー・弓、フレイヤには剣・大剣・槍・弓・杖・王笏などそれぞれ専用のものが用意されており、フレイは2つ、フレイヤは3つまで装備できる。ただし、フレイヤは3つの枠のうち、1つは剣か大剣を装備しなければならない。
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長剣や大剣、ハンマー、王笏など…武器ごとにWiiリモコンの操作を生かした独特の操作方法が用意されている。
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剣とハンマーはポインタで描いた軌跡のとおりに振るって敵を攻撃するということで、武器を自在に操ることができる。モーションプラスを付ければさらに入力の精度が向上する。
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モーションコントロールを前提とする作品では非常に珍しいことに、本作はクラシックコントローラ(従来式のコントローラ)にも対応している。ただし、こういった仕様の武器を扱うのはかえって難しい場合がほとんど。
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「神の斬撃は飛ぶ」という素敵理論によって、武器のリーチは数十メートル単位が普通となっている。サンドロット作品の例に漏れず、敵が総じて巨大な本作ではありがたい仕様。
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ただし、剣とハンマーは連続攻撃回数や上から下に振ったとき、下から上に振ったとき、横に振ったとき…で異なる威力が設定されている。状況に応じてどのような斬撃線を描くかが攻略において重要となる。
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武器は敵を倒すと現れる『結晶』と呼ばれる物を消費して生成する。その種類は300以上。
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結晶は何種類か存在するほか、武器生成はツリー形式になっており複数の武器が生成済でないと作れない武器もある。
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「武器はドロップしたアイテムからランダムで出現」という形を取っていた地球防衛軍シリーズよりも運要素が少ないため、稼ぎの意義がかなり変化している。
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ただし、その中でも一般的な「マナ結晶」は鎧(耐久力)の強化にも大量に使用するので、ある程度使い道を考えなければならない。
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耐久力の強化が任意になっていることから、縛りプレイなどの制約も防衛軍シリーズより抑えられている。
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敵である『巨神族』はその名の通り巨大にして強大。そんな連中が大挙して来る。公式が「キリンとヨットと姫路城がヌーの大群のように襲ってくる」と評しただけのことはある。
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一見すると鈍重そうだが、巨体に似合わず素早く動くので油断できない。「高層ビルのような敵が全力疾走したり空中側転したり空を飛んだり瞬間移動したりする」と聞いてあなたはどう思うだろうか?
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さらに大型の個体敵は部位毎に判定が設定されているので部位破壊も可能。部位を破壊されても怯んだりするだけで戦意は失わず、なおも襲い来る巨神はなかなかの強敵である。
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種類にもよるが、部位は主に右手・左手・右足・左足・頭・武器などに細かく分かれ、破壊した部分ごとに挙動が大きく変わる。
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本体にダメージは入らないが貴重な結晶が手に入る武器、狙いにくいが破壊すれば確殺できる頭部、相手の攻撃パターンを弱体化させられる右腕・左腕、機動力を奪える足…といった具合に、この部位破壊を如何に生かしていけるかが、攻略の鍵となっている。
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ただし破壊された部位は、頭や一部の武器を除き、その巨神が生きている限り何度でも再生する。
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モーションが多く、社長が訊くのインタビューによると通常の数倍はあるとのこと。
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AIも賢く、突進してくると思えば何もせず下がったりと多彩な動きを見せる。
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目の前の敵に気を取られ、死角から不意打ちを喰らうなんてこともザラ。
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『地球防衛軍3』のように戦場では多くの味方NPCと共闘することができる。
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しかも今作は味方の耐久力が比較的高く、高難易度では彼らを如何に援護
という名目で囮にできるかが勝敗を分ける。
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地球防衛軍シリーズでは射線に入った味方への誤射・誤爆が度々問題となるが、本作は誤射判定が爆風以外に存在しない。
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「峰撃ち」ができない代わりに斬りまくる爽快感を損なわずに済むので、後発のサンドロット作品でもこの調整を求める声は多い。
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勇猛果敢に巨神族と戦う個性的な登場人物の面々はいずれも高い人気を獲得し、それぞれに根強いファンがついている。
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それぞれのキャラの声を担当した声優も浪川大輔、遠藤綾、中井和哉をはじめとした実力派を多く起用している。
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名もない一般市民や兵士達も、やたらと高いテンションや独特な言い回しで戦場を大いに盛り上げてくれる。
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オフラインのステージ数は全部で63。地球防衛軍2よりは少ないが、主人公が2名ということもあって3よりは遙かに多い。
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1つのステージは防衛軍シリーズと比較して長めでボリュームは十分。オンラインでは更に増え、84ステージもプレイ可能。
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難易度はサンドロットお馴染みのイージー、ノーマル、ハード、ハーデスト、インフェルノの5段階。
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インフェルノの最凶っぷりはもはやネタの域で、取扱説明書にも「達人ですら生き残れない、悪夢のような難易度です。無理に挑戦せず、インフェルノの存在はそっと心の中にしまっておきましょう」と書かれる始末。
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敵の動きやAIが大幅に強化され、超遠距離から攻撃してくるのは当たり前状態、回し蹴りや挑発までしてくる。
それが耐久力が数万あっても瞬殺されるレベルのとんでもない攻撃力を持っているわけで、実際ここまで言うだけのことはある。
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オフラインに限った話ではあるが、一応技術と戦略を極めれば初期耐久力のまま(≒ほぼノーダメージで)インフェルノクリアも可能。その点も地球防衛軍譲りの歯ごたえ。
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オンラインモードは、本編とはまた違う自由っぷり。ただしWi-Fiコネクションのサービス終了につき、現在はプレイ不可。
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他のプレイヤーと協力して専用のミッションに挑むことができる。味方CPUは登場しない。
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無料Wi-Fiにしては珍しくロビー機能を備えられており、目的にあった仲間を集めることが出来る。
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セーブデータはオフラインモードとは別なので武器の共有などはできない。
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このモードの最大の特徴はオンで他のプレイヤーと協力できることでもチャット機能があることでもない。本編に登場したボスクラスが複数出現したり、そのあまりの凶悪っぷりが多くのプレイヤーの心にその存在を刻み込んだ雑魚敵(唯一の短所は数が少ないこと)が一個師団組んで現れたり、本編に出ない未知の敵が現れたりとフリーダムっぷりに磨きがかかっていることである。
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挙句の果てに、オンラインではオフラインよりも敵の耐久力が非常に高い。複数人で同時に挑めることを考慮すれば妥当な難易度調整かもしれないが、その反面(囮として優秀な)味方NPCも登場しないため、明らかにオフラインよりも難易度が高く仕上がっている。
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他にも武器の特性や敵、そしてフィールド上の演出・レーダーの表示形式など、同社の地球防衛軍シリーズを彷彿とさせる部分が多く、EDF隊員は思わずニヤリとさせらせる。
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音楽はサンドロット作品ではおなじみ、高田雅史氏が担当。
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特撮ものの延長線上といった印象の地球防衛軍シリーズとは曲調が大きく違い、オーケストラ調の重厚・壮大なBGMが多く、総じて良質と評価されている。
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イントロが特徴的な「攻勢の刻」や最終決戦でも使われるなど使用頻度が高い「敵襲」の評価が特に高い。
問題点
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終盤になるにつれ、少々駆け足気味の鬱展開になる。
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ネタバレ
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序盤から登場したキャラが戦況とは全く関係なく次々と死亡し、その描写も一切されずムービー中のフレイたちの会話だけで淡々と説明される展開が続く。キャラの評価が高いだけに、この扱いは雑だと批判が強い。
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ただし最終決戦ではかなり熱い見せ場が用意されており、その部分の評価は良い。
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オーディンやトールなどの名だたる神々達は、直接的な戦闘シーンもないままに戦っている様子が音声で伝えられるだけで次々に強敵に敗れて戦死してしまう。
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一応、シナリオ上で「主人公よりも格上の神々が、これらの強敵を命と引換えに瀕死まで追い詰めていたため、未熟な主人公でも撃退できた」というフォローはされている。
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また上記の流れを見てもわかる通り、本作はとにかく死亡することが示唆されるキャラがかなり多く、後半の展開は非常に重く暗い。EDの内容は希望に満ちたものになっているが、要約すると「戦いで完全に滅亡した今の世界を焼き払い、新しい世界に希望を託す」というものである。
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原典である北欧神話の雰囲気を再現するとこうなるのは当然と見るファンは多いが、実質メインキャラ全員死亡エンドと地球防衛軍よりも救いのない展開であり、キャラクターが好きな人にはかなりきつい展開になっている。
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グラフィックが粗め。製作時期の影響か、特に序盤に登場するキャラクターほど顔がのっぺりで奇妙な造形になっている。
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豪華な声優陣を起用し、個性的で魅力あるキャラが多いのだからせめて顔の造形くらいは後からでも整えて欲しかったところ。
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キャラクターのイラストはいずれもクオリティが高い。3Dモデルにあまり反映されていないのが惜しい。
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アイテムなどは自力で回収する必要があるのだが、クリアするとそのままステージを出てしまうため回収のためにあえて戦いを長引かせる必要があることも多い。
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この難点は同社の地球防衛軍シリーズに通じるものがある。直接触れなくてもアイテムはある程度の範囲に近づけば吸い込まれる形で回収されるのだが、この手のシステムとしては(マップのスケールも相まって)回収範囲が狭め。
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オフラインとオンライン間で能力や武器の引き継ぎがないために、各々でいちいち育てないといけない。
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ただしオフラインとオンラインではステージ構成や難易度が大きく異なる所があるので、両者はそもそも別のゲームであると解釈すれば一概に冗長であるとは言えないかもしれない。
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上記の通り、武器を作るアイテムの入手方法が『敵の特定部位を破壊する』ことだが、リモコン+ヌンチャクだと小さい部分をピンポイントで狙わないといけないために非常に難しい。Wiiモーションプラス(Wiiリモコンプラス)があるとかなり改善される。
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特に槍系の武器を使う場合はモーションプラスかクラシックコントローラを使用しないとまともに狙う事がままならない。
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癖の強い操作感
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神速移動(ダッシュ移動&宙返り)が暴発しやすい。リモコン+ヌンチャク操作ではヌンチャクを振って発動するのだが、前に振ったはずが宙返りになったりなど、かなりの頻度で暴発する。
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指定方向にスティックを倒して振るのを心掛ければ、一応、暴発を抑える事はできる。だが、完全には防げない。
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クラシックコントローラの場合はbボタンで発動となっている為、暴発は無い。
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剣は振る度にクールダウンを挟むが、その間に再度振ってしまうとゲージが初期化されてしまう謎の仕様があるせいで上手く振れないことがある。
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弓は実際にリモコンとヌンチャクで引き絞る動作を必要とするため、腕がかなり疲れる。一部は発射自体が大変。
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処理落ち発生頻度が高すぎる。大規模戦ではほぼ常時処理落ち、何もしていなくても処理落ちなど快適さを無視した造りも多い。
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とはいえ、ほとんどの処理落ちは敵が大量に出現or倒れた時に発生することが多く、SIMPLE時代の地球防衛軍ほど酷くはない。
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ちなみに、処理落ちが全く発生していない時の動きはかなり滑らか。もっともその状態になるのはかなり限定的だが。
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難易度は5段階だが、最初はイージーとノーマルしか選択できない。
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サンドロットの過去作品ではいきなり最高難易度から開始することが可能であり、この面では少々自由度が狭まっている。地球防衛軍シリーズのような「いきなりインフェルノ」(初期状態から最高難易度を制覇する)縛りはともかく、とりあえずハードからやろうとして選べないことにガッカリした人も。
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オンラインを別セーブデータとし、武器をドロップ式ではなくツリー式にしている以上「とりあえず高難易度を遊べば強い武器が手に入る」「強武器で無双した経験しかないままオンラインへ流入」ということもないため、オンはともかくオフでこの制限が本当に必要かは微妙なところである。
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制限解除には一周クリアが必要で、そのクリアデータでしか上位難易度は選択できない。
そのため上記「いきなりインフェルノ」は実質的に不可能となっている。
初期状態でクリアしその時点で集まっている結晶を使わないという強引な方法で始めるプレイヤーもいるとか。
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難易度制限は後に『地球防衛軍5』で導入されたが、そちらは最初はハードまでプレイ可能であり、クリアデータ以外でも制限が解除されるという形で改善されている。
総評
欠点がないわけではないのだが、それらを補って余りある爽快感と中毒性という部分は、まさにサンドロットの代表作である地球防衛軍シリーズのそれを完璧に引き継いでいる。
防衛軍シリーズのシステム上の問題点もいくつか解消されている(しようとした節がある)面もあり、ゲームバランス的にも絶妙な一品。
残虐・グロ表現を許容できるなら、防衛軍シリーズのファンだけでなくゲーム初心者にもお勧めできる作品と言える。
余談
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発売前に体験版がTSUTAYAで貸し出されたり、任天堂初のCERO:D(17歳以上対象)に認定されるなどで話題を呼ぶ。
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CERO:Dに認定された表現は伊達では無く、大量の出血描写や切断表現などで「黒い任天堂」ならぬ「赤い任天堂」の異名を持つ。
バーチャルボーイではない。
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本作がきっかけとなり、CERO:C(15歳以上対象)以上のタイトルにはパッケージの枠を黒色にするという不文律が生まれた。
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ちなみに初の黒パッケージソフトは、今作の1日前にスパイクより発売されたレーティングがCERO:Z(18歳以上のみ対象)の『マッドワールド』。今作は二本目に当たる。
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発売前に海外ゲーマーの熱い声が多く寄せられていた。
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「地球防衛軍やギガンティックのサンドロットだから買い」「Wii嫌いを黙らせるタイトル」「任天堂なのに流血か」など。他にも声優の演技を称賛する声もあった。
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ただ残念ながら、欧米での展開は無しのままとなってしまった。
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Wii発売前から開発が決まっており、当初のタイトルは『ダイナミック斬(仮)』と発表されていた。
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ある場面での「この付近に魔物はいる?」⇒「いませんよ」⇒(直後に魔物出現)⇒「いるじゃない!」のシュールギャグな流れがプレイヤーにウケて、本作関係の掲示板では「○○ですよ」⇒「○○じゃない!」の流れが定番である。
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同じくある場面での「防壁があってよかったぜ!」⇒(一撃で壊される)⇒「防壁が破られたー!」等もよくネタにされる。
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地球防衛軍シリーズの「サンダー!」や「本部の罠」などのネタ台詞と同列に語られることも多い。ちなみに上記「いるじゃない!」の流れから先に進むと、まさに「通信状態が悪い」のような状況になったりする。
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本作は以降に発売された地球防衛軍シリーズ作品にも影響を与えている。
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『地球防衛軍2PORTABLE』以降のペイルウイング(ウイングダイバー)の武器には、本作を意識したのか北欧神話由来の名称のものがある。
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そして『地球防衛軍4』では本作のネタが輸入され、隊員が「空爆万歳だ!」と叫んだり、自動販売機に「防壁万歳!」「さあ、たたかうのです」と書かれているものがある。
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他にもフェンサーの武器にハンマーや剣があること、フェンサーのスラスターダッシュのキャンセルテクニック、敵にドラゴンが登場したりなど、『4』には本作の要素を生かしたと思われる部分が多数存在している。
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BGMも『4』以降はオーケストラ調の楽曲が増加。特に『4』はプレイヤーから頻繁に「レギンレイヴっぽい」と言われる曲が多い。
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一方で部位破壊などのグロテスクな表現も強化される傾向にあり、この面では賛否が分かれることも増えている。
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とはいえ、肝心の本家地球防衛軍シリーズはこの後も長らく任天堂機種へ進出することはなく、約11年後の『デジボク地球防衛軍』が初進出となった。
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ボクセルによるデフォルメ調グラフィックでグロテスク表現もほぼ廃されたライト向け作品という、本作と真逆の作風となっている。
最終更新:2023年03月18日 17:25