オプーナ

【おぷーな】

ジャンル ライフスタイルRPG
対応機種 Wii
発売元 コーエー
開発元 アルテピアッツァ
発売日 2007年11月1日
定価 7,140円
判定 良作
ポイント 堅実で高い完成度
心地よいディストピア
発表時の大口に反した売上
様々な事情が絡みネタゲー化
しいて言うなら風評被害ゲー



それは、愛とか、勇気とか、感動とか、忘れたものを、思い出させてくれる。



概要

クソゲーオブザイヤーWikiで本作主人公のAA*1がマスコットとして使用されている事などからクソゲーと見做されることが多い作品であるが、実際の所はゲーム内容そのものは決してクソゲーではない。
ファミコン時代の『スペランカー』と同様、評判だけが一人歩きした事によって「オプーナはクソゲーだ」というイメージがついてしまった報われない良作である。

キャッチコピーは「もう少し、子どものままで、いいですか」で、移植版『ドラゴンクエスト』等の開発に携わったアルテピアッツァのオリジナルRPGでもある。


特徴

生活パート

  • 本作は、「ライフスタイルRPG」を名乗っているだけあって、戦闘以外の生活部分に力を入れている。
  • ゲーム中では何をするにも「ライセンス」という資格が必要となり、オプーナの出来ることを増やしたいのなら「ライセンス」の取得を目指さなくてはならない。
    • オプーナの本職は「ランドロールガード(魔物の討伐を行う職業)」だが、副業としてアイドルや占い師のライセンスを取ることも可能。
      ライセンスを多数取得することでオプーナの住民ランクが上がり、新たなエリアに行けるようになる。
  • 各地にはオプーナと「トモダチ」になってくれるキャラクターがおり、そのキャラの悩みを解決してあげることで親密度を上げることが出来る。
    • トモダチはクラスメートやアイドル、芸術家など様々なキャラがいる。
    • また、親密度を一定まで上げることで、道を切り開いてくれたり、オプーナの能力を上げてくれたり等、物語の終盤に力を貸してくれるようになる。
  • 本筋以外の寄り道要素も多数あり、犬の散歩をしたり、高級マンションの住人になってセレブの仲間入りをしたりなど、ランドロール星の生活を満喫出来るようになっている。
  • 街によって放送されているテレビ番組が違う等、街の個性や生活感を出すために細かい作りこみがされている。

戦闘パート

  • 本作の戦闘パートは「アクティブボンボンバトル」という名称がつけられている。
    • 名前だけ聞くと何やらヤバめだが、実際プレイしてみると戦略性のある作りこまれたアクション戦闘であることが分かる。
  • スティックを倒してエナジーボンボン(オプーナの頭にある球体)に力を溜め、スティックを放し敵にぶつけるのが基本となる。
    • スティックを手前・奥・右・左に傾けることで投げ方が変化する。
  • ただ適当にボンボンを放てばいいのではなく、障害物である爆弾(当ててしまうと爆発して、オプーナが大ダメージを受けてしまう)を避けて敵を狙わなくてはならない場合もあるため、ある程度ボンボンのコントロール技術が求められる。
  • ボンボンをカスタマイズすることで、属性や敵を貫通するなどの特殊性能をつけることも可能。
    • 貫通性能を利用することで、ボンボンの軌道上にいる敵を一気に攻撃することも可能である。
  • ボンボンは力を溜めるほど威力と速度が増す。しかし、溜めた分だけ次に行動出来るまでの待機時間が長くなってしまう。
    • そのため、行動が遅くても威力の高い攻撃を狙う、威力は低いが素早く行動して手数で攻める、といった戦略性が生まれている。
    • オプーナを攻撃しようと飛びかかってきた敵にボンボンをぶつけ、敵の行動をキャンセルすることも可能である。
  • また、戦闘にはスピーディーさが求められる。
    • 戦闘中にアイテムやフォース(魔法)を使う際にはメニューを開く必要があるが、メニューを開いている最中も時間が経過し、敵が容赦なく攻撃してくる「アクティブバトル」を採用しているため、素早く冷静な選択を求められる。
    • 戦闘には一定の制限時間があり、雑魚敵は2分以内に勝利しなければいけない(2分以上はオプーナのスタミナが持たないらしい)為、のんびりと戦うことは出来ない。戦い慣れた敵相手でも油断できない緊張感がある。
  • 以上のようにやや厳しい戦闘だが、敗北しても回復ポイントに戻されてお金が少々減るだけなので、ペナルティが少ない易しい作りになっている。

操作面

  • 本作では基本的な操作はほとんどヌンチャクにあてられており、片手で操作をすることが可能。
    • 公式名称は「親指らくらくプレイ」となっている。
  • クラシックコントローラにも対応している。
    • クラシックコントローラの操作では特定の操作をボタン一発で行えるようになるなど相応に快適。

世界観

  • 一言で言い表すなら「心地よいディストピア」で、生まれた瞬間から人生の全てが管理される管理社会である一方、衣食住は保証され、意外と自由な面もあり、娯楽や芸能も普通に存在している。
  • 物語の舞台となるランドロール星では移住者や一時滞在者を含む全ての子供は適性によって職業を決定され、然るべき教育施設に収容される。親兄弟も容赦なくバラバラにされる。施設から出るには卒業に相当するノルマの達成が必要で、できなければ(特殊な病気など一部の例外を除き)老齢を迎えても施設から出ることはできない。幸い放逐される心配はないらしい。
  • あらゆる行動の権利がライセンスとそのランク、仕事への貢献度を示す住民ランクによって管理されており、ライセンスが無ければ旅行はもちろん買い物すらできない。
  • 個人情報はOMP端末に記録、公開され、初対面の相手にすら自分の職業や友好関係、今そこにいる目的までもが筒抜けとなる。作中の描写を見る限り、物事を誤解なくスムーズに進められるメリットは活かされているようである。
  • 本職に選択の自由がない一方で、副業は自由。ただ就くだけなら誰でもできる。
  • 仕事は生涯単位のノルマ制。達成しきった時点で年齢に関係なく残りの人生を遊んで暮らす自由が与えられる。
  • もっとも作中では主人公オプーナらティティア星人が並外れた知性と身体能力を持つ種族として描かれており、ティティア星人以外の人種にとってこれが居心地のいい社会かは不明であるが。

評価点

RPGとして突出した良点はないが目立ったバグもなく、全体的な作りが丁寧であるため、プレイヤーからの評価は高い。

  • キャッチコピーの通りあたたかみのある世界観と、それでいて所々に皮肉も交えたセリフ回し。
  • 世界観や生活感に浸れる豊富な寄り道ポイント。
    • 町にいるモブキャラのセリフも物語の進行に合わせてこまめに変化する。生活感が感じられるものや、実は伏線になっているものまで種類は様々。
  • モンスター図鑑などの収集要素も豊富で、町やフィールドを探索する楽しみが用意されている。
    • 町の中には「ひみつのキー」が隠されており、たくさん見つけることでアイテムと交換することが出来る。
    • 町やフィールドのいたるところに「レゾネ」という芸術作品が展示されており、これを探すのも本作の楽しみ方の一つとなっている。
    • 「ひとことボックス」という寝言を記録できるアイテムがあるが、寝言の内容が逐一シュールで笑える。
    • 強力な隠しボスもいる。
  • グラフィックのレベルが高く、室内のインテリアやフィールドは非常に美しく作られている。
    • 赤い花びらが舞うアルティエラ周辺の花の泉、青い海と白い砂浜が開放的な印象を与えるパラディソ、幻想的な妖精の森など、エリアごとの特徴がはっきりしている。
  • ベイシスケイプの崎元仁ら(代表作:『FFタクティクス』『FFXII』等)による音楽は、どれも良曲でファンから非常に高く評価されている。
    • メインテーマのアレンジが多いが、場所ごとにうまくマッチし、落ち着いた雰囲気の曲や壮大な曲、コミカルな曲まで実に多彩である。
  • 移動や戦闘の際にも間を感じさせない快適なロード。
  • シンプルでテンポが良く、戦略性のある戦闘。

賛否両論点

  • 金稼ぎやレベルアップが格段に容易になる抜け道が存在している。
    • いくつかのドームには寝た場合に朝食券が配布され、その朝食券はとある場所ではアイテムとの交換ができる。
      • それを利用し、ひたすら寝て起きて朝食券を集めると…?

問題点

  • カメラワークが悪い。
    • カメラの視点が低く、オプーナの移動速度の速さも相まって人によっては酔いやすい。街の外のフィールドではカメラの向きが固定されていてトレジャーシェル(宝箱)を見落としやすかったりする。
    • 街の中では視点を変えて辺りを見回すことはできるが、逆にカメラの自動移動が甘く、場面が入れ替わった際など、自分でボタンを押して背後に視点を回す(C+Z)必要があり、慣れないと自分の見ている視点が混乱する。プレーを始めたばかりの人間は出てきたドアにもう一度間違って入ってしまうということがよくある。
    • ヌンチャクでプレイする場合は視点変更及びC+Zは動きを止めなくてはならないためテンポを削がれる。クラシックコントローラでプレイすれば動きながら視点変更ができるが今度はC+Zが使えなくなってしまう。
    • オプーナに低評価を付ける人はカメラワークを挙げる事が多く、地味ながら本作最大の欠点となっている。
  • 最初の街であるトキオネが複雑すぎる。
    • 複雑な構造で広いため、慣れないうちは非常に迷いやすい。「寮に戻って回復したいのに寮が見つからない」「外で敵と戦いたいのに出口が分からない」という事態に陥る。
    • なぜか2番目以降の街の方が分かりやすい構造をしている。「出す順番間違えてるだろ」と批判されている。
    • 上記のカメラワークの悪さと重なり、トキオネで投げてしまったというプレーヤーも見受けられる。
  • 移動が中心となるのにエリア間の移動が面倒。
    • 他の街や拠点に行くには移動用のポッドに乗らなくてはならないが、いちいちポッド乗り場に行く必要がある。前述したマップの複雑さもあり、少々面倒。
    • ワープアイテムも存在しているが、使用するには屋外か広い場所にいなくてはならないという制約があり、街では使えないことも多い。
    • エレベーターが各階ごとに設置されているが、階を指定して一気に移動することが不可能。例えば1階から5階まで行くとしたら全ての階で乗り降りを繰り返さなければならない。
  • ライセンスの取得が事務的。
    • ライセンスを発行する窓口に行って依頼を受ける→ノルマをこなすために目的地へ行く→依頼をこなしたら窓口に戻る…という流れを行うが、移動は全て徒歩のみで発行所や依頼主のいる場所に直行できる移動手段が存在しない。
    • また、街によって発行可能なライセンスの種類が異なるため、今いる街に欲しいライセンスがなければ他の街にポッドで移動しなくてはならない。
  • 一部のライセンスの取得が非常に作業的で面白みがない。
    • 「ボンボン占い師」のライセンスを取得するには占いのミニゲームをクリアしなくてはならないが、ほぼ運ゲー。
    • 「ウクレレ奏者」は、1日1回ウクレレの練習をして規定の回数練習すればライセンス取得となるが、目標の回数が最終的に70回と多い。
  • 全てのライセンスを取得しなくても、本編に影響がないのが救いか。
  • 寄り道は豊富だが、本筋自体のボリュームはやや不足気味。
    • クリアには、ライセンス取得による住民ランクの上昇や親密度の高いトモダチの存在が必要となるため、寄り道要素が強制になっている点は批判されている。
  • アイテム欄のソートが大雑把にしか出来ず、ページ送り機能もないため真ん中の方によく使うアイテムがあると煩わしい。

総評

まずは実際にプレイして評価してほしい。
少ない売り上げながらプレイヤーの満足度は総じて高く、2007年のRPGの中でもベスト10には入るのではないかとも言われた。
この売り上げと顧客満足度の関係は、KOTYスレにて「日本ミシュランタイヤ」になぞらえて語られた。

+ 購入権利書


クソゲー扱いされがちな理由

良い点が多数あり、「クソゲーとして話題になっているからネタで買ったら、ファンになってしまった」なんてプレイヤーもいるという。
そして発売後はゲーム界でも稀に見るジワ売れだったらしく、1年後には8000本以上の販売に至ったという(大抵のゲームは初週の売り上げ本数が1年の7割は占めると言われる)。

では、なぜクソゲー扱いを受けてしまったのか。原因を挙げると大きく分けて2つ、「キャラクターデザインの特異性」と「発売前にネタにされ盛り上がった割にはそんなに売れなかった」事が主とされている。

キャラクターデザイン

  • まるで一世を風靡した人気アーケード作品『ガンバレット』のキャラを無理やりデフォルメしたような微妙な外見。初見ならば一体何の意味があるのか分からない、後頭部に浮いた赤い球体(エナジーボンボン)が奇妙さを引き立てている。明らかに売れ線のキャラクターデザインから外れていることが後述の発言もありネタにされた。
  • ファンシーなのに妙に人間味のある表情をしていることが受け、2chでは発売3ヶ月前からAAキャラ・やる夫との合体改造による「やるオプーナ」があらゆる板を席捲した。オプーナというゲームの存在は知らないが、やるオプーナが襖を開けるAAを見た事はある…という人も多かったと思われる。
    • それ以来、ゲーム板以外では「クソゲーの象徴」として扱われてしまっており、クソゲーを語るスレが立とうものなら情報を聞きかじっただけの未プレイヤーが「オプーナは?」と書き込む等、非常にかわいそうな待遇を受けている。
  • オプーナの外見は、実際にプレイした人からは「見慣れるとかわいく見えてくる」と評価されている。
    • リアクションも喜ぶ、落ち込む、踊るなど多彩。「かわいい」と感じるかは人による。
    • 実際、オプーナのパッケージを見たことが無い者の中には、先述の「やるオプーナ」が実際のゲームキャラだと思っていた者もいたらしい。

発売前の宣伝とその後の悲劇

  • 上述のように、ポテンシャル自体はそう悪くないもので、可能性を秘めたソフトであった。だが、発売時期が最悪だった。
    • 本作は元々2007年夏に発売する予定だったが、諸事情により製作が遅れ、同年11月1日まで発売を延期した。しかし、同年9月14日、よりにもよって『スーパーマリオ』シリーズの新作である『スーパーマリオギャラクシー』をこの日に発売すると任天堂が発表したため、本作の実力云々以前に発売前から爆死濃厚という悲観的な予測が多かった。
  • にもかかわらず発売元のコーエーは大言壮語を発していた。要約すると「まずは50万本、最終的に100万本のセールスを目指す」というものであった。
    • しかし、大言壮語を発した後はただそれだけで、具体的な内容・魅力についての宣伝は大してされなかった。
    • そして結果は初週販売数3,200本という大爆死だった。そのあまりの初週販売数の少なさから、「オプーナを買うには購入権利書が必要」とネタにされる(買いたくてもライセンスを持っていなかった為に購入出来ず、結果として売上が伸びていないという皮肉を含んだネタ)ことなった。2chを中心にやるオプーナのAAと共に広まり、近年にも未だにネタにされている風潮は、最も風評被害を受けたゲームと言っても過言ではない。
  • 直前のインタビューなどから、コーエーで当時専務執行役員であった杉山芳樹*2、および社長夫人である襟川恵子がわざわざ周囲の反対を押し切ってコーエーで販売することにした…という経緯がある。*3
    • 納期厳守で強行発売した結果は惨々たるもので、子会社エルゴソフトの解体や『太閤立志伝』開発チームの解散といった整理解雇がオプーナ発売後に相次いだことからそれらのきっかけと目されている。
      • コーエーそのものの低迷もここから始まり、無印版『三國志11』の低迷や『三國志12』のクソゲー化、テクモとの経営統合、今に続く無双やソーシャルゲーム頼みの経営姿勢もオプーナの初期爆死が尾を引く、と考える人もいる。

余談

約三年を隔てた2010年12月22日に本作のサントラが発売された。こういった動きが根強いのは、同作のポテンシャルを証明するものであろう。

  • 3枚組62曲の大ボリューム。しかし、ジャケット絵にはメインキャラクター達が不在である(涙)。
    + サントラのジャケット画像
  • コーエーとテクモが合併した記念として、無双やネオロマンスと言った錚々たる面子を差し置いて3DS用ソフト『DEAD OR ALIVE Dimensions』にオプーナコスチュームが登場した。
    そして「オプーナを買う権利をやろう」をもじった「俺と闘う権利をやろう」という特殊台詞が存在し、購入権利書ネタは半ばコエテク公認となった。
  • 結局、「権利書が必要」等とネタにしていたら本当に店頭で入手するのが困難になってしまった。
    • 例のAAのせいでワゴンに大量に置かれているというイメージを持たれがちだが、初週売上数の影響は相当致命的だった。
      出荷本数自体が非常に少なく、かつ良作であるため手放す人が少ないためにあまりショップですら見かけない存在と化している。中古が高騰していないのがせめてのもの救いか。
  • 2016年2月9日に本作のLINEスタンプが配信開始。
  • 2017年発売の『無双☆スターズ』公式PVの最後にオプーナと思しきシルエットが出現し参戦かと目されていたが、それを受けてかオプーナのプレイアブルキャラクター化が正式に発表された。
    • しかし、本来は「マスコット程度の登場と言う予定だった」ことから、最後の最後で仲間になりストーリーには全く関わらない隠しキャラと言う形を取っている。
      • 一方、初期購入特典の一つに「オプーナを最初から使える権利」が存在し、権利ネタは正式に公認となった。

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最終更新:2021年06月17日 21:00

*1 厳密には、やる夫と合体したような独特のキャラクターで、少なくとも顔は全然似てない。いわゆる後述の「やるオプーナ」である。

*2 過去の実績では『戦国無双』シリーズのディレクターを務めている。

*3 元々、本作自体アルテピアッツァの企画であり、発売元もコーエーからではなく別の会社から出す予定だった。