アークライズファンタジア

【あーくらいずふぁんたじあ】

ジャンル RPG

対応機種 Wii
発売元 マーベラスエンターテイメント
開発元 イメージエポック
発売日 2009年6月4日
定価 7,140円
廉価版 みんなのおすすめセレクション
2010年02月25日/2,880円
レーティング CERO:A(全年齢対象)
判定 良作


概要

キャラクターデザインを『エウレカセブン』等を手がけた吉田健一氏が、シナリオを『テイルズ オブ シリーズ』などを代表作とする実弥島巧氏が務めたRPG。

ストーリー

メリディア帝国の認可傭兵・ラルクは、竜討伐の最中仲間を庇い旗艦から落下する。
落下した先で不思議な能力を持つ少女リフィアと出会ったラルクは、1人放浪していた彼女と成り行きで行動を共にする。
近隣の村で帝国皇子で親友のアルスと合流したラルクは、彼女の目的がログレス・シムマフに会うことだと知る。
一行はシムマフがいる竜縛塔があるジャダへと向かうが、一行が到着した頃ジャダは何者かの襲撃を受ける。
その何者かと対峙した一行は竜縛塔の中へと逃げ延び、その先でシムマフと対面する。
その際、不意にリフィアと接触したラルクから不思議な波動が生じる。
それを見たリフィアは、ラルクがイーサの子なるものだと告げつぶやくのだった。
「わたしは…あなたと出会うために生まれたの」

特徴

戦闘システム

  • 本作の第一の特徴は他のRPGではあまり見られない、APによる戦闘システム。
    • APとは言わば行動力のような物で、攻撃・エクセルアクト(特殊技)・光召術(魔法)・防御・アイテムなど戦闘中のあらゆる行動がこれを消費して行われる。
    • APがある限りは、1ターンの中で同じキャラに何度も行動させることが可能。(極端に言えば1ターンの行動の全てを一人に任せることも可能。)
    • 強力な技や効果の高いアイテムほどAP消費量は大きくなる。様々なキャラに攻撃させ手数で勝負するか、大技で大ダメージを狙うかはプレイヤー次第。
    • APは基礎APと回復APがあり、基礎APはAP量の上限、回復APはターン開始時に回復するAP量となる。使わなかったAPは次のターンへ持ち越される。
      • 回復APは基礎APより低いため、基礎APをフルに活かした大技を使いたい時などはそのために前のターンで行動を抑える必要があったりと、戦術の上でAPのやり繰りは非常に重要となる。
      • ちなみに、APは個人がそれぞれ持つものをパーティー全員で合わせて共有するため、戦闘不能者が出るとAPが減少し、加速度的に戦況が悪化してしまう。
  • 敵とのエンカウントはシンボルエンカウントで、接触方法により戦闘開始時のAP量が変わる。
    • 通常の接触では回復AP値、敵の背後から接触する"襲撃"では基礎AP値、敵に背後から接触される"敵襲"では回復AP値の半分となる。
    • 敵はプレイヤーに気付くと追ってくるため、下手に回避しようとして敵襲されることもあるため注意が必要。
  • 戦闘の行動は、コマンド入力後行動を開始すると、敵味方が一斉に行動を始める。
    • 素早さの高い者や待機の短い行動ほど早く動け、その行動順序を上手く組むことも必要となる。
    • 位置の要素もあり、敵との距離があると攻撃によっては近づく移動が挟まり、その分行動が前後することもある。位置取りは範囲攻撃対策に重要。
  • 行動順序は敵味方すべての行動を示す「ターンカード」と呼ばれるもので確認できる(戦闘画面右下に表示)。
    • 通常攻撃、エクセルアクト、光召術など、大まかな攻撃方法も判別が可能になっている。
    • 敵の攻撃に自身の回復や防御が間に合うかどうかの判断に役立てよう。また、上記のように行動はコマンド入力順ではなく各キャラの素早さに基づくため、戦闘不能者を復活させようとしたとき、蘇生アイテム→回復アイテムとコマンド入力しても実際の行動順が逆転していることがある。無駄遣いしない為にもしっかり確認する必要がある。
  • ストーリーをある程度進めると連携が可能になる。行動の種類によりそれぞれ制約が異なるが、光召術やエクセルアクトはかなりの高威力を叩き込める重要なダメージソースとなる。通常攻撃は最大4回まで連続攻撃できるようになり、戦闘のテンポが大幅に上がる。
    • 連携も行動順で威力に影響が出るため、より高いダメージを狙って行動順を調整することもできる。

カスタマイズ

  • もう一つの特徴は、アームフォースシステムという武器のカスタマイズによるキャラクター強化。
    • 本作は武器自体には攻撃力は設定されていない。「おいおい、じゃあ武器になんの意味があんだよ」と思うかもしれないが、ここからが本題。
    • 代わりに武器ごとにアームフォースという特殊能力が備わっており、これをカスタマイズすることでキャラクターを強化できる。
      • アームフォースの能力は「体力や攻撃力の強化」「特殊な耐性を得る」「特殊行動を可能にする」など多岐に渡る。
    • アームフォースのピースには、取り外し可能なロックピース、武器固定のネイティブピース、フレームをすべて埋めることで開放されるシークレットピースがある。
      • 初期状態の武器ではロックピースは文字通りロックされており、フレームも全てが開放されていない。戦闘で武器を使い固有のポイントを貯めることでこれらを開放していける。
      • ロックピースは全武器共有で使用可能で、武器Aから外したものを武器Bに取り付けたりできる。
      • とにかく好きなものを付けてみたり、ある程度妥協しつつシークレットピースの開放を狙ったり、カスタマイズ方針はプレイヤー次第。
    • このシステムにより、キャラクターの根本的なパラメータの成長傾向の差はあれど、うまくカスタマイズすることで誰でパーティを組んでも戦い抜くことが可能。好きなキャラなのに性能的に使えないというRPGでままある事態を防いでいる。
  • 光召術も武器ほど多岐にわたるものではないが、カスタマイズで行う。
    • 火・水・風・土の4属性、それぞれレベル4まであるジェムをケージにセットすることで光召術を使用可能になる。
      • 同じレベル同じ属性同士のジェムを隣り合わせにすることでレベルを上げることができ、火と水、風と土といった対属性で隣り合わせにセットするとレベルが下がってしまう。
      • また、対属性でないものを隣り合わせにすることで氷・雷・光・闇の複合属性が発生する。
    • 初期状態ではあまり穴がないが、工房で加工することで穴を増やすことができる。
    • 光召術を実際に使用するにはジェムのセットの他にMPが必要となる。しかし、初期状態ではほとんどないためこれも工房で強化する必要がある。
      • 今作のMPは光召術の使用可能回数となり、高威力のものほどAP量は増えるが、MP自体は1あれば発動可能。また、レベルごとに別々に設定されており、各レベルを強化する必要はあるが、上位のものを温存して下位のものを使っていくこともできる。ただし、最大強化しても各レベル9が最大値でMP回復アイテムも店で購入できないため*1、やたらめったら使っていくことはできない。

評価点

  • 非常に早いロード。
    • グラフィックを犠牲にしてでもプレイでの快適さを目指すという開発の方針により、ロードが非常に早い。戦闘の入り終わりなどはほぼロードが皆無でテンポよくゲームを進めることができる。
      • ただし、そのグラフィックに関してもキャラグラフィックについてはよく作られており、イベントではよく動く。また表情の変化も丁寧で、感情の微妙な変化も読み取れ、イベントによっては表情で魅せる演出をしてくれる。
  • ボリュームがありよく練り込まれたシナリオ。
    • 実弥島氏が過去に手がけたシナリオは『テイルズ オブ シンフォニア』『テイルズ オブ ジ アビス』を除いて評判が芳しくないものが多かったが、今回はよく練られており、中盤から終盤にかけての展開は特に評価が高い。
      • 全体を通しても物語が二転三転しており、王道ともいえる部分もしっかりと踏みつつ先の読めない展開でプレイヤーを引き付ける。
      • ボリュームはかなりあり、ストーリーだけでも大体60~70時間程度のプレイ時間となる。やり込み要素をこなしていくと100時間を普通に超える(プレイ時間の表示自体は99時間59分59秒でカンスト)。
    • キャラクターも皆個性的でキャラ立ちもしっかりしている。
      • 序盤流されるままだった主人公や、何も知らずに周りを振り回していたヒロインは、物語を通じしっかりと成長を遂げる様が描かれており、最終的に自らの目指す道を見つけ出す。それを支える周辺キャラも素晴らしい大人たちやムードメーカーが揃っている。
      • ストーリー自体はプレイヤーを疑心暗鬼にさせる展開や、主要キャラクターの死など重苦しい部分も多いが、キャラクターは明るく前向きな人物が多く暗くなりすぎない。
    • また、本作のシナリオは基本的に一本道であるが、飛行船を手に入れた後は各地に散らばるログレス(召喚獣のようなもの)を集める事になり、その順番を自由に選ぶ事が出来るため、プレイヤーに選択の余地を与えている。
      • そして、いきなりその全てを集めるわけではなく、一つ手に入れに行くごとにシナリオに進展があり、シナリオが一段落ついた時点で次のログレスを集めに行く事になるためマンネリ感も無い。
      • 下手をすれば面倒なだけになりかねない「~集め」というイベントを上手くシナリオに取り込んだ例と言える。
  • 歯ごたえのある戦闘バランス。
    • ザコ敵は初期などはオートでも良いほどサクサク*2だが、ボスになると急激に強くなる。このザコはテンポ良く、ボスはじっくり戦略を練りながらの長期戦になるという基本的な流れは全編を通じて変わらない。ゲーム初のボスからしてかなりの難易度。ボスによっては対策なしだと開始早々に高威力の範囲攻撃を喰らって全滅することすらある。
      • しかし、上記のシステムをフル活用し、事前準備及び戦闘中の対策をしっかり行っていけばちゃんと勝てる。やり方を整えることで大幅に難易度が下がることもある。
    • 致命傷になりかねない攻撃が出そうな時はパーティメンバーから警告のセリフが出るので、その時は防御や補助術を使えば大抵凌げる。他のRPGのようにいきなり大技が飛んできて全滅…という事故を未然に防ぎやすく、しかも戦闘に緊張感を与え、かつ敵の見せ場にもなるので敵の存在感を引き出すことにも成功している。
      • こうした警告のある攻撃は未対策だと一撃で戦闘不能になるくらいの重い一撃がくることもあり、敵の体力があと少しになってもちょっとした油断で全滅に繋がりかねない。倒しきるまでは気を抜かないよう最後まで緊張感を保ったバトルができる。
    • 特徴的でよく練られたシステムを最大限に活かした絶妙なバランス調整といえる。
  • 豊富なやり込み要素。
    • 「クエスト」は、敵を倒す、アイテムを集める、人を探すなど様々な内容のものがある。
    • カルブンクルスという町では闘技場やカジノといった施設がある。
      • 闘技場では特定条件のもと敵との連戦を行う。幾つもステージがあり、クリアすると報酬を貰える。カジノではポーカー、ブラックジャック、スロットとオリジナルゲームのコピンレースを遊べる。コインを集めると特定枚数でアイテムと交換できる。
    • ダンジョンの中には「ネームドモンスター」という名有りの敵がいる事がある。ザコと比べると能力値が桁違いのいわば「野良ボス」。クエストで指定されるものもいる。下手すればその時期に戦うボスよりも断然強い。
      • BGMもボス戦のもので、この「予期せぬ戦い」は人によってはトラウマBGMとなっている。BGMを聞いてビックリして、パラメータを調べてさらにビックリすること請け合い。
    • ログレスにはシナリオ上で集めることになる9体(展開上終盤まで最大でも半分ほどしか揃わないが)の他に、3体の隠しログレスがいる。
      • 隠しボスなのでストーリー上のボスと比べ強い。最後の1体についてはラスボスより強いとも。
    • 一度エンディングを見るとクリアデータが保存でき、それで再開すると隠しネームドモンスター、隠しダンジョンに相当する「幾何回廊アルヴィス」、闘技場の新メニューなどの隠し要素が解禁される。
      • 幾何回廊アルヴィスは、ザコもボスも強いエクストラダンジョンで、ラスボスなど遥かに凌駕する者が最深部で待ち受けている。
      • アルヴィスクリア後は闘技場にて、開発元・販売元が同じ『ルミナスアーク』からのゲストキャラであるルーシャ・ヴァネッサ・サキの3人と戦うステージが追加される。苛烈な攻撃と、闘技場での戦いなので使用アイテムが固定されるので苦しい戦いとなる。ただし、事前準備(火属性と風属性の耐性と有用なアームフォースの設定)及び戦闘中の対策(回復役のルーシャをまず集中攻撃で倒す)をしっかり行っていけばちゃんと勝てる。
    • 戦闘面での要素が豊富で、ラスボスより手強かったと言わしめる敵がわんさといる*3。なので人によってどれが一番手強かったかというのが違うのも面白い。
  • 声優が豪華。フルボイスではないもののボイスの量もかなりのもの。
    • 特定の敵と戦う際は戦闘ボイスが変わったりもする。
    • フィールドやダンジョンではパーティートークというキャラ同士の会話が挿入されることがある。内容は世界観の説明やシナリオ・キャラ描写の補完のようなものから、他愛もないやり取りのものまで豊富。
      • 特定の衣装を所持していることで発生するドレストークという特殊な会話もある。こちらは服装を軸とした他愛もない内容の会話がほとんど。
  • 音楽。
    • 光田康典氏がプロデュースを務め、光田氏の他、土屋俊輔氏と原田裕貴氏の3名で担当。
      • 多彩な戦闘BGMをはじめ楽曲の評価は非常に高く、ファンからの熱い声を受けてソフト発売から1年近く経った2010年3月3日にサントラが発売されたほど。
    • ヒロイン・リフィア役の牧野由依氏が歌うED曲「天使の梯子~crepuscular rays~」は、牧野氏自身が作詞作曲も行っている。
      こちらはゲーム内容を知った牧野氏がダメ元でプロデューサーにデモを送ったところ採用となったらしい。
  • 初心者に優しい仕様。
    • 例えば、スタートボタンを押せば次にどこに行けばいいか確認できたり、うっかりボタン連打などで聞き逃した専門用語もメニューを開くことですぐに確認できる。
      • 用語集はシステム的な用語から、世界設定の用語まで載っている。プレイすることで増えていき、中にはネタ的なものもある。
      • モンスター図鑑もあり、戦った敵を見ることができる。なお、パラメータはアイテム「アナライザー」を使用して調べないと見られず、アイテムも盗みと戦闘後のドロップで実際に入手した分だけが掲載される。なぜかワールドマップでは見られない。

問題点

  • ロード時間の快適さを優先した結果、他の部分で弊害が生じてしまった。
    • 他のゲームと比較するとグラフィックがやや粗く感じてしまう。といっても前述のように見るに堪えないレベルというほどではないが。
    • キャラクターの台詞と口の動きが合っていないことが頻繁にあり、違和感が生じやすい。
  • 街がだだっ広い。
    • このゲームにおける2大都市「帝都ディアマント」と「首都カルブンクルス」は特にマップ数が多い。しかし、主要施設は大抵密集しており、何もないマップもある。
      • それらは特に行かなければいいだけだが、どちらの都市も足を運ぶ機会が多く、加えてその際の大概の目的地となるディアマント城や元老院は各街の最深部にあるため毎度毎度行き来がめんどくさい。
    • 一方、小規模な村はだいたい1、2マップ分で小さくまとまっており、街ほどウンザリさせられることはない。
  • ややカメラワークが悪い。
    • ワールドマップではカメラ操作は自由だが、街やダンジョンでは固定となる。
      • そのため、ダンジョン内で手前に移動する時には、先が見えずにエンカウントが多発することが多々ある。
  • ログレスの仕様。
    • 戦闘中のログレスの使用には、RPという専用のゲージを必要とする。MAXになると使用でき、使用すると0になるのだが…。
    • ゲージの増加値が低く、一度使用したらその戦闘中はおろかしばらくの間使用できなくなる。
      • 全12体もいる割に、すべてを使用してみるのはなかなか辛い。使用回数制など違う方法はなかったのだろうか。
  • ストーリーは総じて良質な一方、一部回収できていない伏線があったり、やや説明不足、または難のある描写が散見される。
    • 説明不足に関してはストーリー序盤のモブ「ミッキー」「リョウ」がまさにその一部。教徒らを殺害した直後に遭遇し、逃走した後は一切出番が無いため「何をしていたのか?」という決定的な情報が埋まらない。ここだけの出番にもかかわらず、なぜか名有りのモブなだけに一層プレイヤーのモヤモヤが募る*4
      + ネタバレを含む箇所なので注意
    • 主人公一行の仇敵に関する描写。
      • 多くのキャラクター達と因縁を抱え、更に実力も凄まじい強敵であり、「倒すべき強大な悪」として存在感を放つ。一方で描写に粗も。
      • 中盤で訪れるダンジョン「グラ慈善教会跡」の地下では、この仇敵が非道な実験を行っていた事実を知ることになる。しかしダンジョンクリア後に敵が施設を封鎖して以降はストーリー中でも一切言及されず、何の目的があったのかは謎のまま終わってしまう。
      • そして終盤、ある卑劣な策で神の因子を手に入れると、自身の所属していた組織を土壇場で裏切る。その直後に主人公らとの戦いが始まる……のはいいが、特に神の力由来の第2形態などがあるわけでもなくこの一戦だけで決着がつき退場する。
        直前にとあるメインキャラクターを間接的に殺害するなど、終始外道な悪役として立ち回った割にはあっけない最期であり、ラストで唐突に明かされる古典的な野望もあって肩透かし感が否めない*5
      • 実はこの悪役の目的、かつで電撃マオウで連載されていた小説内で(悪役の名前こそ出ていないが)既に示唆されていたのだが、それを読んでいないプレイヤーには当然知りようもない。ここに限らず本編のストーリーはその小説を読んでいないと補完しきれない設定がみられる。
    • 主人公の幼なじみの少女について。
      • 本作の難がある描写がどれか、と言えば大体はこのキャラクターのことである。
      • あらすじの項にあるメインヒロインの「リフィア」とは別のキャラクターであり、主人公に恋心を抱く描写も見られるため、一見するとダブルヒロインに思えるのだが……。
      • ストーリー序盤、敵対勢力に誘拐されたと思ったらそれまでの振る舞いからは考え難いほど性格が豹変し、主人公達を裏切ってしまう。
        そうなった理由と伏線はちゃんと示されており、上記の恋心に突き動かされた末の失敗や自身の出自など、色々と複雑な事情が絡み合っているが普通に流してプレイしていると気付きづらい。
      • しかし問題なのはその後。
        豹変後の言動・態度は上記の事情をおもんばかった上でも目に余り、主人公に執着して「自分のモノになれ、ならないなら殺す(要約)」とまで口走り憎悪を向けるようになる。恋心を挫かれたショックが深いとはいえ豹変前との落差が大きすぎる。
        笑ったり怒ったりしたかと思えば急に真顔で涙を流すといった、頻繁な表情の切り替わりも狂気すら感じる。
      • 総じてまさに「どうしてこうなった」と言わざるを得ない変貌ぶりから、カルト的な人気を得てファンからは『ヤンデール』の愛称で親しまれている。しかし、その一方で難色を示すプレイヤーも少なくはない。
      • 一応擁護しておくと、ストーリーを進めていけば彼女なりの本心も描かれ、好きで狂っているわけじゃないことは容易に読み取れる。
    • ストーリー終盤にかけては急に駆け足気味な展開が多くなり、メインキャラの立て続けの犠牲、世界滅亡をもたらす元凶への対処、訪れる世界の危機など、本来もう少しボリュームをかけて描くだろう展開が矢継ぎ早に畳みかけてくる。
      • この辺りは上述した説明不足がモロに出てしまっており、本筋に大きな齟齬こそないがあっさり気味で、細かい補完が足りていない。
  • 衣装の要素。
    • キャラクターの様々な衣装が手に入るが、ドレストーク発生条件となるだけで、着せてみても反映されるのはメニュー画面のみ。
      おまけに期間限定の衣装も多く、それだけのために関係ない場所に足を運ばざるを得ない時もある。
    • オマケや収集要素の一つに過ぎないのだが、もう少し何かできなかったものかと思ってしまう。特に一部の衣装だけでも戦闘中に反映されれば面白かったのだが。
  • ○○の葉というドーピングアイテムが、特定のザコ敵からの盗みやドロップで理論上無限に手に入るので、やろうと思えばステータスを超強化できる。
    • 当然バランスは崩壊する。元々無理にステータスを強化しなくても、レベル上げと前準備、戦略で十分クリアできるので、RPGが苦手な人や詰んだ時以外は手を出さないほうが無難。
  • レベル上げに限界がある。
    • 取得経験値にレベルによる補正があり、敵とのレベル差が開けば開くほど経験値が減少してしまう。なので特定の場所である程度レベル上げをし続けると、次第にレベル上げの効率が落ちていく。
      やり込みの話になるが、本ゲームで最大レベルの敵が75前後のため、それ以上にレベルを上げようとすると雀の涙のような経験値しか手に入らないのに、延々とザコを狩る必要がある。
  • バグ。
    • 中盤のログレス集めの際のダンジョンの1つで、ログレス戦の際に発生するフリーズバグが確認されている。詳しい条件までは不明。
    • シナリオの関係上全てのログレスと戦うことはできないため、入手を諦めることで根本的な回避は可能。
      • シナリオの終盤を待つことになるが、この段階で入手できなかったログレスも全て手に入る。ダンジョンも他用で後々行くことになる。

総評

オーソドックスなスタイルながら、独自のシステムはかなり練られており丁寧に作られている。
一見難易度が高い戦闘も、ただ難しいだけでなくシステムを駆使するほど奥が深くなっていき、戦略を練る楽しさに満ちている。
魅力的なキャラクターと彼らが織りなす物語も、泣きあり笑いありと、怒涛の展開を繰り返しながらしっかりと帰結する。
その出来が評価され、ニンテンドーチャンネルのおすすめランクでシルバーを獲得している。
しかし、良作の割にあまり売れていないのが残念でもある。もし興味を持ったなら、是非ともプレイして欲しい。


余談

  • 上記のシルバー評価を受けてか、2010年2月25日には『みんなのニンテンドーチャンネル みんなのおすすめセレクション』として廉価版が発売された。
  • 初回特典で付いていた冊子には、ポーリャ役の小林ゆう氏が描いた所謂「画伯絵」が公開されており、あまりのセンスに一時騒然となった。
  • 各スタッフの発言や、アンケート内容が続編を意識している節があり、続編が出るのではないか?と予想されている。
    • しかし2015年5月に開発元のイメージエポックが事実上の倒産となったため、続編については雲行きが怪しいと言わざるを得ない状況である。
  • 日本語版では高く評価されているキャストの演技であるが、英語版では棒読みのダイコン演技。この差は一体…

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最終更新:2023年08月06日 15:41

*1 ただし特定の敵から盗めるので、十分な数を集めることはできる。

*2 もっとも後半はサクサク進むためにはオートではなく、範囲攻撃を充実させるなどそれなりに工夫は必要。それに決して弱いわけではないので舐めてかかればそれなりに手痛いダメージは受ける。

*3 もちろんパラメータ的には後半の敵ほど強いので、あくまでその時点での相対的な強さという意味。

*4 一応、リョウの台詞とその後のストーリー展開を照らし合わせると、何故そのような行動に至ったのか想像がつくものの、ストーリー中でこの二人を交えた答え合わせが行われないので真相は不明なまま。

*5 事実、戦闘後に味方陣営の一人からも「つまらない」と吐き捨てられてしまった。そのつまらない目的のためだけに、各々が大事な人間を殺されたのかと思えば尚のことやるせないだろう。