マリオカート ダブルダッシュ!!

【まりおかーと だぶるだっしゅ】

ジャンル レースゲーム
対応機種 ニンテンドーゲームキューブ
メディア 8cm光ディスク
発売・開発元 任天堂
発売日 2003年11月7日
定価 5,800円(税別)
プレイ人数 通常時 1~4人
ブロードバンドアダプタ使用時 1~16人
セーブデータ ゲームデータ 3ブロック
ゴーストデータ1個毎 5ブロック
レーティング CERO:全年齢対象
周辺機器 ブロードバンドアダプタ対応
判定 良作
ポイント シリーズ唯一の2人乗り・ジャンプ廃止など独特の仕様
完成度は高く癖のあるゲーム性と演出がやみつきに
軽量級が強すぎるゲームバランスとコース不足は問題か
マリオシリーズ


概要

マリオカートシリーズ4作目。
題名の通り、2人1組でカートに乗り込むというこれまでにないシステムが特徴で、2人の力を合わせて1位を目指す。


特徴

  • 2人乗り
    • 今作最大の特徴。従来の個人プレー重視とは異なり「協力」を前面に押し出している。
    • ドライバーの切り替えはいつでも可能で、アイテムも1人につき1つ所持できる。これに伴い、アイテムボックスも2人が同時にアイテムを入手できるものが用意されている。
    • 2人プレイにも対応しており、1人が運転しもう1人がアイテム使用という役割分担もできる。ドライバーがアイテム係にアイテムを渡すことも可能。
    • この仕様のおかげで、『Wii』までの作品では唯一、3・4人同時プレイでもグランプリモードができるようになった。
  • キャラクターの追加
    • 使用可能キャラクターが16+隠し4人と、過去作の倍以上に増加。シリーズ初登場キャラは『8』でDLC第1弾が配信されるまでは最多だった。
    • このうち隠しキャラクターの「キノピコ」は本作が初出。
  • カート選択
    • プレイする前にカートを選択するようになった。
    • キャラクターとカートは3つの重量で区別され、21種あるカートにはそれぞれ性能に違いがある。なお、キャラクターには重さ以外の性能の違いは無い。
    • 搭乗出来るカートはキャラクターの重量によって限定され、2人の内の重い方より軽いカート/重いカートには乗れない。
      • 出現条件が厳しいが、ある隠しカートはどのキャラクターの組み合わせであっても乗れる。
      • シリーズを通して軽量級=高加速・低最高速、重量級=低加速・高最高速という性能が定番*1だが、今作では僅かだけとはいえ「軽量級でも加速が低めで最高速が高いカート」や「重量級でも加速が高く最高速が低いカート」が登場するようになっている。
    • レースでの重量はカートごとに固定されている。
  • スペシャルアイテム
    • 特定のキャラクターでしか出現しない「スペシャルアイテム」が正規のペア(例:マリオとルイージ)ごとに1つずつ用意されている。
    • 出現率は通常のアイテムと同様に順位によって変動する。
    • バトルゲームではキャラクターに関係なく出現するようになっている。
+ スペシャルアイテムの詳細
  • ファイアボール
    • マリオとルイージのスペシャルアイテム。
    • 投げると5個(モードによっては3個)に分裂して飛び、命中したカートをクラッシュさせる他、1回だけ壁などで反射したり、クッパこうらを弾いたりという効果がある。ちなみにマリオは赤、ルイージは緑の炎。
    • 余談だが、『7』の「ファイアフラワー」で使用できるファイアボールとは全くの別物になっている。
  • ハート
    • ピーチとデイジーのスペシャルアイテム。
    • カートの周りをハートが回転し、ぶつかったり投げられたアイテムを回収し自分のものにできる。5個に拡散して発射されるファイアボールも1つ当たっただけで入手可能。なお、周囲を回転するという特性上、トゲゾーこうらやサンダーは防げない。
  • ヨッシーorキャサリンのたまご
    • ヨッシーとキャサリンのスペシャルアイテム。
    • 投げるとアカこうらと同様に前方のカートを追尾し、当たるとクラッシュさせる。
    • タマゴは何かに当たるか一定時間が経過すると割れ、中からはミドリこうら、バナナ、ボムへい、キノコ、スターのいずれかがランダムで3つ出てくる。
  • ワンワン
    • ベビィマリオとベビィルイージのスペシャルアイテム。
    • 愉快なBGMと共に巨大なワンワンが一定時間カートを引っぱってくれ、自動的に走ってくれる他、ワンワンに当たった相手をクラッシュさせる。攻撃されたり一定時間が経過したりすると鎖が切れて引っ張ってくれなくなるが、ワンワンはしばらくコース上を走っていく。『DS』以降の「キラー」に相当するアイテム。
  • トリプルこうら
    • ノコノコとパタパタのスペシャルアイテム。
    • 64』から存在する3個セットのこうら。赤と緑があり、順位に応じて決まる。今作ではカートの周囲を周らず手で持っているため、後ろからの攻撃を防ぐには自分で使用する必要がある。複数持っている状態でクラッシュすると1個だけになり、残りはコース上に落としてしまう。
  • ジャンボバナナ
    • ドンキーとディディーのスペシャルアイテム。
    • 非常に巨大なバナナで、カートがぶつかると普通のバナナ3つに分裂する。場所によってはぶつからずに通過することが困難なほど。
    • 踏んだ際は通常のバナナが1回スピンするのに対し、こちらは2回スピンする。
  • ボムへい
    • ワリオとワルイージのスペシャルアイテム。
    • 投げたり置いたりした後にカート・アイテムがぶつかるか、設置された数秒後に敵カートが近くを通ると爆発し、爆風に巻き込まれたカートは派手にクラッシュする。
  • クッパこうら
    • クッパとクッパJr.のスペシャルアイテム。
    • 投げると巨大化して直進するが、カートや破壊可能な障害物に当たっても消滅せずに直進する。
  • パワフルキノコ
    • キノピオとキノピコのスペシャルアイテム。
    • 効果は『64』で初登場した際のそれと同様、最初に使ってから5秒間好きなだけキノコを使えるというもの。
  • ボスパックンとキングテレサは固有のアイテムを持たない代わりに、全てのスペシャルアイテムを入手できる。その代わり、スペシャルアイテムを引ける確率は他のキャラよりも低めに設定されている。
  • 隠し要素
    • シリーズ初となるやりこみ要素。
    • 条件を満たすことによってキャラやカート、バトルゲームのコースが解禁されていく。
    • 今までもグランプリのコースが増える要素はあったが、キャラやカートはシリーズ初。
  • グランプリモード
    • デフォルトの周回数が3周でないコースが登場。
      • 具体的には非常に短く極めて単純な構造の「ベビィパーク」(7周)と非常に長い「ワリオコロシアム」(2周)の2つ。
    • グランプリにおける「5位以下だと次のコースへ進めない」というルールが廃止された。
      • これによりリトライ機能自体も廃止されている。今作以降の作品もこのルールが定番となっている。
      • ドライバーズポイントも7位まで入るようになった*2。それに伴ってか、本作と『DS』ではキャラクターが落ち込む順位が4位以下になっている。
    • グランプリのクリア時の記録がランキングとして保存されるようになった。
      • 今作ではクリア時の総合順位・総合ポイント・クリアにかかった総合タイムが50・100・150・ミラーの4種類の排気量それぞれで記録として保存されるようになっている。
      • なお、前作『アドバンス』にあった評価制は、今作では一旦廃止されている。
    • ミラーの排気量が『64』の100ccから150ccになった。
    • オールカップツアー
      • 全16コースをすべて走るカップ。なお、全てのコースをグランプリで回れるのはマリオカートシリーズでも本作のみとなっている*3
      • コース数が多い分1レースや2レース大負けしても挽回は十分可能であるため、優勝するだけなら通常のカップよりも難易度は低め。ただし、満点を狙うならば難易度が非常に高い。
  • バトルゲーム
    • 前作までの「ふうせんバトル」に加え、「いただきシャイン」と「ドッカン!ボムへい」が追加。
    • いただきシャイン
      • コースに一つだけ落ちている「シャイン」を拾い、時間終了時に所持していたプレイヤーの勝利。
      • シャインを所持している相手に攻撃するとシャインはどこかに飛んでいき、制限時間もリセットされるが、リセットされる度に制限時間は減少していく(4回まで)。
      • スターやキノコダッシュでシャインを奪える。その時の制限時間は継続されるので、上手く奪えれば一発逆転も可能。
    • ドッカン!ボムへい
      • 出現アイテムがボムへいだけになり、10個まで持てるバトルゲーム。
      • スペシャルアイテムのボムへいとは微妙に挙動が異なり、前投げの場合は地面に当たった時点で大爆発する。また、ボムへいの色がプレイヤーによって異なり、自身のボムへいで自爆することは無い。
      • 他のプレイヤーにボムへいを当てると1ポイント獲得し、逆に当てられると1ポイント奪われる。当てられた方が0ポイントのときは当てた方に1ポイント入るのみ。
      • 2人~3人のときは3ポイント、4人のときは4ポイント先取で勝利。
    • ふうせんバトル
      • 従来のバトルゲームと同じ仕様ではあるが、スターやキノコダッシュで相手にぶつかることで相手の風船を自分の物にできるようになった。この仕様は次回作以降にも受け継がれている。
  • VSモード
    • より細かい設定ができるようになった。
      • アイテムの出現率の設定を、バランスよく出る「おすすめ」、強力なものが出にくくなる「ストイック」、逆に強力なものが出やすくなる「ダイナミック」、出現しなくなる「なし」の4種類から選べる。
      • 前作『アドバンス』と同様に周回数も自由に設定できる。今作では1周から9周まで自由に決められる。
  • その他
    • ミニジャンプの廃止。
      • 2人乗りのためか、シリーズで唯一ミニジャンプが存在せず、これを利用したショートカットなどのテクニックは使えない。
    • キノコでの加速中やスターの無敵状態の時に他のカートに体当たりすると相手の後方のキャラが所持しているアイテムを奪えるようになった。この時、前方にいたキャラが持っていたアイテムは地面に落とされる。前述のとおり、バトルゲームでもアイテムや風船・シャインを奪える。
      • ただし、パワフルキノコや自分のカートの後方が何かしらのアイテムを持っている場合は奪えない。2人プレイでは、後方のプレイヤーのスライドアタックでも奪える。
    • トゲゾーこうらの仕様が変更された。
      • 今作から羽根で空を飛んで1位のカートを追跡し、着弾すると周囲のカートを巻き込む大爆発を起こすようになった。1位がすでにゴールした時に投げた場合、ゴールしていない上位のカートを狙うようになる。
      • ちなみに1位の時に使用すると、その場で1周回ってから自爆する。
    • アイテムをマシン後部に装備できなくなり、アイテムをぶら下げて妨害アイテムをガードすることができなくなった。
    • あかコウラ・トゲゾー・タマゴ・ワンワンが近づいてくると画面下に表示が出るようになった。
    • 前作『アドバンス』まででは、順位が上昇した時にキャラクターボイスが発生するのはCOMのみだったが、本作からプレイヤーにも付くようになった。

評価点

  • グランプリ関連
    • やり込み要素の強化
      • 前作『アドバンス』の評価制はなくなったが、代わりに今作では新たにグランプリの5カップ×4排気量のクリア時の記録(総合順位・総合ポイント・クリアにかかった総合タイム)が保存されるようになっており、よりよい記録を目指すやり込み要素として機能している。
      • クリアタイムやオール1位をとった証がちゃんと記録として保存されるようになったことはやり込み派にとっては大きい。もちろん、隠し要素の解禁には総合順位しか関わってこないのでこの要素が不要という人でも安心仕様となっている。
      • グランプリ優勝で解禁されるキャラ・カート・コース・カップなどの隠し要素は達成感があり、全グランプリ優勝までモチベーションを保てる。
    • 「4位以内でゴールしなければ次のコースへ進めない」ルールの廃止
      • 下手でも最後のコースまで挑戦できるようになった他、オール1位の記録をとるやり込みがズルなしで正々堂々行えるようになった。
    • COMの扱いの改善
      • 前作『アドバンス』まではプレイヤーとCOMでアイテムの入手の仕様に違いがあった(『64』では種類も少なかった)が、本作でその差がなくなった。
      • ライバルキャラクターとそれ以外の格差も『アドバンス』までと比べ幾分弱まった。終盤でアイテムによる妨害が発生した時やミスが発生しやすいコースでは、ライバルが中位どころか下位に落ちることもある。
      • この他、ミニターボやロケットスタートなどの基本テクニックも行うようになった。
  • アイテムによるクラッシュ時間の軽減
    • クラッシュ時間が短くなりゲーム展開がスピーディになった。そのため連続クラッシュしても他の作品に比べ差があまり開かない。
      • そのうえドリフトすると加速力が大幅に上昇する仕様があるため、一定以上の加速性能を持つカートならばすぐに最高速へ復帰できる。COMはこの仕様を使わないためプレイヤーには有利な仕様となっている。
    • 例外として、トゲゾーこうらを食らった時のクラッシュ時間のみは過去作とほぼ同じである。
  • 正規のショートカットの多さ
    • 歴代のマリオカートの中でもそのショートカットの多さは随一で、色々と凝ったショートカットが多い。
      • 崖から飛び出て洞窟に突撃、橋の欄干をダッシュボードで突っ切る、段差のあるヘアピンカーブをミニターボでスルーなど、必ずしもショートカットとはいえないものの非常に豊富で、コースを少し寄り道する楽しみが増えた。
      • こうした特徴的なショートカットは後の作品では減っており、本作のコースがリメイクされたときも完璧に再現されていない場合が多く、惜しむ声も多い。
      • なおバグショートカットの方は流石に無いわけではないが、歴代作と比べてもその数は非常に少ない。
  • 多数のバトルゲーム
    • 「いただきシャイン」「ドッカン!ボムへい」の2つが追加され、バトルゲームにも幅の広さがある。
    • 特に、「ドッカン!ボムへい」はそのハチャメチャさが今なおプレイヤーの間で語り継がれる名バトルゲームである。
  • シリーズ屈指のスピード感
    • シリーズの中でもスピード感が強く、レース中のカメラがやや近めなのも相まって非常にスピーディで爽快感満点。
    • 特定キャラクターは体が大きいため、少しだけ視点が遠くなることもあるが、爽快感を損なうようなことはない。
    • BGMも全体を通して明るい曲が多い他、本作からファイナルラップに入ると音程が上がる仕様に変更され、本作のハイテンポな雰囲気付けに一役買っている。
    • レース開始時のロードもほぼ一瞬で終わるため上記の爽快感を崩す事なくテンポよく楽しめる。
    • ただし後述するようにゲームスピードの上昇が難易度の上昇に繋がっているのも事実。
  • グラフィック・演出面
    • 次世代のゲームにもひけをとらない美しいグラフィック
      • 大都会を走る「キノコシティ」や、巨大スタジアムを走る「ワルイージスタジアム」など、個性豊かなコースが美しく描かれる。
      • ただ美しく描かれているだけではなく「デイジークルーザー」ではコース全体のアイテムボックス等がクルーザーの傾きによって転がる、「DKマウンテン」ではタル大砲によって時速280km近くまで加速するなど、コースのコンセプトに沿って凝ったギミックが用意されている。
      • UIも後発の「DS」や「Wii」のスタイリッシュ路線よりテーマパークのような華やかさがあり、画面が賑やか。
      • また、今作では画面を4分割して遊ぶことができるが、それでも60fpsの画面描写を維持している。
    • キャラクターのリアクションが非常に豊富
      • アイテムを持ったとき、攻撃を受けたとき、崖から転落したときなどなど…シリーズでも類を見ないほど本作のキャラクターはよく動く。そのハチャメチャな様子は特に複数人プレイの時にプレイを盛り上げる要素となっている。
      • トリプルキノコでは縦に重ねて持っている・回転させて持っている2パターンが存在し、それがキャラごとに異なっている。
      • クラッシュすると観客の嘆き声やクッパの笑い声が聞こえるなどの芸も細かい。
      • このアニメーションも、マルチプレイ時にもきちんと動作している。
    • アイテムを持っていないときにアイテムボタンを押すと、クラクションが鳴るようになった。それだけと思われがちだが、そのクラクションの音もカートごとに音程が異なっている。
      • その際のキャラのリアクションもキャラごとに異なっているため、一見の価値はある。
    • その他、コース開始時のデモの際にコースごとにロゴ(?)が表示される、ゴーストセーブのアイコンがコースごとに異なっているなど、細かな演出もある。
  • タイムアタックで作成できるゴーストの数が増加
    • タイムアタックのゴーストを、メモリーカードの容量が許す限り何個でも作ることが可能になった。さらに、『64』のようにスリップなどによって保存できなくなるといった制限もない。
    • スタッフゴーストも、該当タイム以上の記録のゴーストをロードすることで簡単に出現するようになった。
  • リプレイの強化
    • タイムアタック時のリプレイが従来のようなものではなく、様々な角度から見たものに変更され、ダイナミックなリプレイが楽しめるように。また、グランプリモードでもカート1台でのプレイならば見られる。

賛否両論点

  • 全体的にコースの難易度が高い
    • ヘアピンカーブや直角カーブが山ほど出てくる上、道幅が狭いコースが多い。
    • 一般車や火の玉等の障害物も多く、スターカップやスペシャルカップのコースでは柵もかなり少ない。
      • 一応グランプリモードの2人プレイでは画面比の影響か、障害物が少なくなっている。
    • シリーズ恒例の最終レースを飾るコース「レインボーロード」もシリーズ最高難度と言われるほど。
    • ゲームスピードの上昇、ハンドル操作の難しさもあり、全体的な難易度はシリーズ屈指の高さである。
  • 150cc、ミラーだとライバルキャラクターに必ず重量級が混ざり、重量級のマシンと競うことになる。
    • そのため、ある程度の走行性能を求めて中量級以下のマシンを使用すると、ぶつかり合いに弱い状態でレースをすることを余儀なくされる。
    • また、今作はほんの少しでも重量が劣っていると、キノコ使用時以外は速度関係なしに相手からパンチなどを受け跳ね飛ばされる仕様となっているため、ぶつかり合いの弱さに拍車をかける。そのため、CPUが速い序盤は気が抜けない。
    • 重量級マシンは復帰力が悪いため、クラッシュ時に大きくロスをしてくれるメリットもある。ただし、隠し要素を全て解禁すると、加速性能の高いゴーストドッカンに乗ったキングテレサがライバルとして出現する可能性が出てきてしまう。
  • COMキャラクターが攻撃的
    • 一度に2つのアイテムが手に入る機会があるため、COMの攻撃がやや激しめ。特に150ccともなると2人乗りという本作のシステムも相まってアイテムを凄まじい頻度で使用したりもする。
      • ただし本作では排気量に応じて出現するアイテムに制限があり、アカこうらは100cc以上、トゲゾーこうらは150cc以上しか使ってこない。なお、サンダーは50ccでも使ってくるが、これに関しては他のCOMも同様の被害を受けるため、相対的な被害はそこまで大きくないためであると思われる。
    • シリーズを通して前後にプレイヤーがいると、投げ分け可能なアイテムをプレイヤーに向かって投げる仕様があるのだが、本作および『DS』ではこれがアカこうらにも適用され、プレイヤーの1つ前にいるCOMは、たとえ1位でなくとも、アカこうらを前方のCOMではなく後方のプレイヤーの方へ投げてくる。「ポイントを稼いで優勝」の目的とこの思考ロジックは矛盾する。
    • その一方で『64』などとは違い、大半のコースでは序盤を切り抜け独走状態になるとCOMが追いついてこなくなる。これは今作のCOMは常に一定の速度・タイムで走ろうとするロジックであり、プレイヤーの速度、腕と関係が無くなっているためである。
    • このため慣れたプレイヤーであれば150ccでもサンダー、トゲゾーこうら以外の警戒はほぼ必要なく、たまに飛んでくるアカこうらの対処にバナナを常備しておくだけで最後まで逃げ切れる。
      • ただし、サーキット系のコースでは全体的にCOMが強くスタートと同時に異常な速度で開幕トップを決め込んでくる。中盤以降もCOMの速度は(一応プレイヤーが追いつける程度に遅くはなるが)速め。そのため、確実に一位を取ることが困難となっている。「ルイージサーキット」「ベビィパーク」「マリオサーキット」などの難易度は特に高く、相手のアイテム次第では慣れたプレイヤーでも1位を逃すことがある*4
  • アイテム関連
    • アイテムを失いやすい
      • 前述のキノコダッシュに加え、スターやボムへい・トゲゾーこうらによる大きなクラッシュやコースアウト、サンダーといった要因でアイテムを失いやすい。また、トリプルキノコまたはトリプルこうらを持っている場合は、クラッシュせずともスピンやダメージでシングルアイテムとなってしまう。
        一応、クラッシュすると持っていたアイテムがばらまかれることがあり、それを拾えばその場で効果を発揮して消費するので、キノコやスターを落としても回収できれば立ち直れる可能性はある。
      • ただし、本作ではこうらがキノコやスターに衝突した場合、その両方が消滅してしまうようになっている。
    • トリプルこうらがスペシャルアイテム化してしまったため、他のシリーズとは違いこうらは基本最大2つまでしか入手できなくなった。
    • サンダーの当たり判定が弱い
      • 今作のみ、スター無敵状態や落下中、大砲で飛んでいる時以外にも、スピン中や転倒中、フリーザーで凍っている時など、何らかのダメージを受けている最中にサンダーを食らってもサンダーの効果(小さくなる、アイテムを落とす)を受けない仕様になっている。
      • とはいえ、狙ってできるような技でもないし、狙ってやるとしても結局何らかのダメージを受けることになってタイムロスになるので、「たまたまダメージを受けてしまっているときにサンダーが来たらラッキー」程度のもの。
    • スピン中に爆発で吹っ飛ぶとカートの向きが変わる
      • 例えば、バナナなどでスピンしてカートが後ろ向きになっている瞬間にトゲゾーやボム兵などの爆発を受けて吹っ飛ばされると、スピンがキャンセルされてカートが前向きに戻らずに後ろ向きのまま着地する。
      • 少しだけ右や左に向きが変わった程度なら支障は少なくて済むが、慣れないうちは後ろ向きにでもなろうものなら一瞬自分がどの方向を向いているかわからなくなることがあるのが難しいところ。
      • カートの向き自体はスピンターンを活用すれば簡単に戻せる。
  • オールカップツアー
    • 全16コースをすべて走るため、クリアには大体30~45分ぐらいかかるが、途中セーブ機能すら無い
    • 隠し要素をすべて解禁するにはこれの150ccとミラーをクリアする必要がある。なお、50cc、100ccでは優勝しても、解禁される要素は一切無い。
    • なお、オールカップツアーの存在自体は決して不評を買っているわけではない。

問題点

  • 今作では軽量級がレースで有利だが、前述の通り、重量によって乗れるカートが決められているせいで、楽に進めたいならせっかくのキャラ数も大きく絞られる。
  • 操作系統があまり良くない
    • 細かいハンドル操作に癖があったのは前作『64』も同じだが、今作はミニジャンプの廃止により小回りが利かなくなっている。さらにゲームスピード自体が全体的に速く、コースも全体的に狭めと、細かい操作ミスが大きなロスにつながりやすい要素が揃ってしまっている。落下地点のあるコーナでのドリフトは、相当やり込まないと簡単に落下してしまうこともざら。
    • また、運転者を頻繁にボタン操作で切り替える仕様のため、操作が忙しない。
  • コース数が少ない
    • 『64』と同じ16コースであり、やや物足りない。前作『アドバンス』に新規20コース+隠し要素のSFC版20コースの計40コースが収録されていたことを考慮すると余計に物足りなく感じる。
    • また、今作ではスペシャルカップがSFC版と同じく隠し扱いになっている。解禁条件は100ccのスターカップをクリアする事なので簡単ではある。
  • アイテム関連
    • アイテムをマシン後部に装備できない
      • これによりアイテムをぶら下げることができなくなり、後方からの妨害を防ぎづらくなった。
      • ただし、接近時に後方にアイテムを発射することで防ぐことは可能な他、今作のアカこうらは他作品より追尾性能が甘く、急カーブではドリフト利用等で避けられるため、そこまで問題はない。
    • トゲゾーこうらの仕様変更
      • 今作から羽で空を飛んで1位のカートを追跡する仕様に変更され、高い命中率を誇るようになったが、代わりに進路上の1位以外のカートを蹴散らさなくなり、低い順位で入手した際のありがたみが薄くなった。
    • ドンキーとディディーのスペシャルアイテム「ジャンボバナナ」が凶悪。
      • 順位が高いほど出やすくなり1位でもそこそこ出るのが特徴。悪路に設置して相手の落下を狙えたり、妨害アイテムを防いだりすることが可能。壁が少なく逃げ切り前提の本作と非常に噛み合った性能といえる。強いて弱点を挙げるとすれば、下位に転落するとまったく巻き返しが効かないところだろうか。
      • 他にもクッパとクッパJr.のスペシャルアイテム「クッパこうら」も当たっても消滅せず直進し、さらに巨大故に避けることも困難という強力な性能である。
    • 逆にピーチとデイジーのスペシャルアイテム「ハート」が弱すぎる。下位で出やすいが、巻き返しが必要な下位においては死に性能
      • コース上に落ちているバナナやミドリこうらなどのハズレアイテムも回収してしまう。任意のタイミングで発動できるという利点はあるが。
      • 上位で使うと便利……と言いたいところだが、トゲゾーこうらやサンダーは防げないため結局微妙。さらにサンダーを受けてしまうと残り回数に関係なく、効果が消えてしまう。
    • またワリオとワルイージのスペシャルアイテム「ボムへい」もお世辞にも強いとは言い難く、後の『DS』以降のシリーズでは高めの順位で出現しやすい汎用アイテムとして扱われておりそれらの作品でも本作と使い勝手はさほど変わっていない。
  • 軽量級有利のバランス
    • 軽量級カートは軒並み初速とミニターボの両面で優遇されており落下しても持ち直しやすい。ステアリングの性能も大部分が良好なため、扱いやすいマシンが揃う。
      • 特にタルポッポは最高速とミニターボが最高レベル、初速と重量とステアリングも中量級に匹敵する高性能マシンであり、熟練者が扱えばグランプリとタイムアタックの両面で隙のない強さを発揮する。
      • その傍ら、初速と最高速とミニターボが最高レベルの反面、重量とステアリングと悪路性能が大きく犠牲になっているピーキーなマシンもあったりする。
    • 一方、初速が遅い重量級はコースのギミック、アイテムの妨害による停車が頻発する本作では、グランプリでは不利。
      • 今作はミニターボを駆使した直線ドリフトという超有用テクニックがあるが、重量級はミニターボの性能が低い(加速力の維持が短い)のでどうしても使いづらい。
      • 一応、重量級の中にも初速が速いカートが1種類のみあるのだが、ミラーのスペシャルカップで優勝しないと出現しない。また、やはりミニターボの性能が低い上に最高速が他の重量級に劣るために、先行逃げ切りで使うことはできない。
      • 強いて重量級カートをグランプリで使う意味があるとするならば、全スペシャルアイテムを使用できるボスパックン・キングテレサを使用できるという点が挙げられる。全体的な確率が低いとはいえ全順位で適切なスペシャルアイテムを引ければ逃げ切り・巻き返しの両面において優秀というのもあるのだが、なにより前述したシステムの都合上、彼らを敵に回すとほぼ確実にライバルキャラクターとして選ばれてしまうため、それを回避する数少ない方法にもなる。
    • スペシャルアイテムとの組み合わせを考えると、タルポッポにディディーコングとクッパJr.の組み合わせが最強であり、上級者はほぼこれを使っている。
  • かゆいところに手の届かないプレイモード
    • 『アドバンス』のフリーランや『DS』以降のVSに相当する、自由にコースを選んでレースできるモードがない。上記で述べた通り、今作は操作性に難があったり全体的に難易度が高かったりする為、ウォーミングアップや苦手なコースの練習がしにくいのは決して無視できない難点だと言える。
      • 2~4人であればVSモードがプレイできるが、レースに加わるのはプレイヤーのカート2~4台のみ。COMを交えた8台でハチャメチャなレースはできない。
      • 3~4人でグランプリをプレイすればCOMを含めた8台でレースはできるが、3~4人でカート2台への同乗に限られる。

総評

2人乗りプレイと言う意欲的なコンセプトだが、そのシステムが邪魔することも空気になることもなく、全体的にしっかりと作りこまれており、バグも少なく完成度が高い。
グランプリの隠し要素や豊富なショートカット、3種類のバトルゲームなど遊びがいは格段にパワーアップしており、最後まで飽きさせない作りになっている。

16コースという今の時代から見るとあまり多くないコース数にプレイモードの不便さ、ゲームキューブという敷居の高いハードであることなどからシリーズ全体で見るとあまり知名度の高くない本作。だが、高いゲーム性とスピード感を味わえる本作は、プレイヤーから高い評価を得ており、特に他のシリーズ作品を遊んだことがあれば、作風の違いを堪能できるであろう。 この作品以降「2人乗り」のマリオカートは発売されていないが、他の作品に劣らず、かつ唯一無二の作品であるとも言えるだろう。

余談

  • 当時ゲームキューブのシェアはプレイステーション2に完全に奪われており、ミリオンとはならなかった(日本での売り上げは87万本)。
    • そのため、マリオカートの中では異色な割にはあまり話題にならない、不遇のタイトルである。
    • 尚、マリオカートシリーズの据え置き機作品においてミリオンにならなかったのは本作が唯一である。
    • 2人乗りプレイの試み自体は今も高く評価されており、現在でも最新作での2人乗りプレイの復活や、1人乗りと2人乗りの混走を望むプレイヤーも少なくない。
    • マリオカートシリーズのプロデューサーも「2人乗りを上手く活用できるアイデアを思いついた時には間違いなく取り入れる」と復活自体には前向きだが、同時にそれには様々な障壁がある趣旨のコメントを残している。
  • 異端なシステムや続編となる『マリオカートDS』の圧倒的な知名度もあり地味な印象を持たれがちな本作だが、リトライ制度廃止を筆頭に本作で盛り込まれた要素の多くは『DS』以降に引き継がれた。
    • アイテムの2個持ちやダブルアイテムボックス、「いただきシャイン」や「ドッカン!ボムへい」といったバトルルールは後に『マリオカート8 デラックス』で復活した。
    • スペシャルアイテムについても、一部が本作をベースに開発されたアーケード版『マリオカート アーケードグランプリ』シリーズやiOS/Android向けレースゲーム『マリオカート ツアー』にて採用されている。両作品で「ジャンボバナナ」が猛威を振るっている他、『ACGP』では「クッパこうら」が、『ツアー』ではハートがそれぞれ最強格のアイテムになっているなど、本作出身アイテムが何かと存在感を放っている。
  • 実は有線LANを使った16人対戦(カート8台で「2人協力プレイ×8ペア」対戦)が可能だが、非常に面倒な設定を行う必要があり、コストもかかるため、実際の対戦ではほとんど使用されなかった。
  • ゲームキューブ用ステアリング型コントローラであるSPEED FORCEに対応しているが、一応操作可能という程度のものであり、フォースフィードバックに対応していない上、操作性も良くはない。
  • CMには元SMAPの稲垣吾郎氏がマリオのコスプレをして出演していた。
    • その内容は、サーキットでのレースの真っ最中……と思いきや実際はドライブスルー待ちの最中で、自分の番が来た瞬間にドライブスルーのカメラに向かってタイトルを叫ぶという実にシュールなCM。氏は発売の少し前に交通事故を起こしていたので任天堂のブラックジョークと揶揄されることもあった。
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  • マリオ
  • 任天堂
  • 2003年

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最終更新:2024年02月10日 17:26

*1 『64』のみ軽量級=高加速・高最高速、他が低加速・低最高速。

*2 1位から順に10・8・6・4・3・2・1・0ポイント。

*3 一応『DS』以降(『7』を除く)でもVSで疑似的に再現可能ではある。

*4 結果的に難易度の高いコースの都合上、今作の難易度はキノコ、フラワーの方がスター、スペシャルより高い