この記事では『ピクミン』『Wiiであそぶピクミン』『ピクミン1(Switch)』を取り扱っています。



ピクミン

【ぴくみん】

ジャンル AIアクション

対応機種 ニンテンドーゲームキューブ
発売・開発元 任天堂
発売日 2001年10月26日
定価 7,140円(税込)
配信 【WiiU】2017年6月21日/2,700円
判定 良作
ピクミンシリーズ

概要

未開の地*1に降り立った主人公オリマーを操り、偶然出会ったその土地の生物「ピクミン」と共に星を探索するゲーム。
当初はN64で企画されていたが、ピクミンを多く動かすにはハード性能が不足であり、より性能の高いGCへ繰り越しされたという開発経緯がある。


ストーリー

主人公オリマーは、会社の有給休暇を使って気ままな宇宙での一人旅を楽しんでいた。
しかし、宇宙船に隕石が激突するアクシデントが発生し、未知の星に不時着してしまい、
その衝撃で宇宙船のパーツが各地に散らばってしまう。
しかもこの惑星の大気ではオリマーは生きていくことができず*2、生命維持装置のバッテリーが切れるまでのわずか30日間で宇宙船のパーツを回収して脱出しなければならない。

途方に暮れるオリマーは、偶然その星の生物「ピクミン」と出会った。
なぜか自分に協力してくれるピクミンたち。オリマーは彼らの力を借り、宇宙船のパーツを集め脱出することを決意した。


特徴・評価点

シリーズ全体として独自性の非常に高い内容であり、今作の評価点はシリーズ全体に共通する評価点ともいえる。

  • ピクミンがかわいい
    • まず評価点に挙がるのが、ピクミン達の強烈な愛らしさ。すぐになつき、どこにでもついてきて、指示には忠実に従い健気にがんばるピクミンたちの姿には愛着が湧かずにいられない。
    • ピクミンは基本がんばり屋である一方、すぐにはぐれて迷子になったり、暇になるとすぐゴロ寝を始めたり…といった面もあり、気分はさながら幼子を見守る保育士や親のよう。
    • 1匹1匹のピクミンはか弱く、大型の敵に食べられる、つぶされる、溺れる…などちょっとしたことで簡単に死んでしまううえ、夜は生きのびられない。
    • こうした儚さもまた、プレイヤーの母性/父性本能をくすぐる。特に迷子になって夜を迎えて、死んでしまう展開に、プレイヤーはピクミンに罪悪感を抱くという声は、ピクミンの愛情への裏返しとも言える。
    • ピクミンの死亡時やピンチの際に出す鳴き声は痛ましくプレイヤーの、ピクミン達を一匹残らず生還させたくなる。
  • 直感的でありながら非常に奥の深いゲームシステム
    • この星で唯一の協力者である生物「ピクミン」を指揮し、敵(原生生物)を倒させたり、宇宙船のパーツを運搬させたりする。言ってしまえば「それだけ」の単純なシステムだが、これが非常によく作りこまれている。
      • ピクミンの行動AIは洗練されており、非常によく融通が利く。運搬、破壊、攻撃…などとりたい行動は多岐にわたるが、それらの行動をいちいち指定する煩雑なコマンド操作はなく、プレーヤーがとるべき行動は「ただピクミンを対象に到達させる」だけ。
      • あとは運搬したい物なら運んで、壊せる壁(土壁)なら壊して、敵なら攻撃して…とプレイヤーのしてほしいことを勝手にしてくれる、非常にシンプルでとっつきやすい操作体系になっている。
    • そのようなシンプルなシステムと愛らしいキャラデザインに反して、難易度は低くない(「賛否両論点」で詳述)。
      • 敵も弱点や行動パターンは多彩で、大型の敵も多く、ピクミンの届け方やタイミングが意外とシビアなため、戦闘はなかなかの緊張感と歯ごたえがある。指示だけしたらあとは放置すれば容易にクリアできる、といった安直なものではない。
    • 複数の仲間を軍隊のように使用するアクションゲームという部分も当時としては珍しくオリジナリティがあった。
    • というより当時してはスペックの問題で複数のオブジェクトを動かすことが難しかったが、本作はそれをクリアしてスムーズに動かしている。

ピクミンは色ごとにそれぞれ違った個性を持ち、状況ごとに使い分けが求められる。
今作に登場するピクミンは3色で、これらは後のシリーズでも必ず全作に登場している。

  • 赤ピクミン
    • 火に強い。攻撃力が高いので戦闘や壁の破壊で活躍する。シリーズ通して、どの作品でも最初に出会う。
  • 黄ピクミン
    • 高く飛ぶ。高所のアイテム回収で役に立つ。また、敵への攻撃や壁の破壊に有用なバクダン岩を扱える。
  • 青ピクミン
    • 溺れない。水場を移動可能で、溺れたピクミンを救出する特技も持つ。
  • 攻略の自由度の高さ
    • どのピクミンをどのように使って、どの順番でステージをクリアしていくかの自由度が非常に高い。
      • RTAのみならず、ピクミンを1匹も死なせない「無犠牲プレイ」や最少匹数である「85匹縛り」*3、「葉ピクミンのみクリア」と言った縛りプレイも可能。
      • 発売から10年ほど経ったところで、理論上最短である「6日クリア*4」が確立され、そのゲームバランスの緻密さが改めて証明された。
    • 作業分担・色替えギミックなどをフルに使えば「85匹縛り」「ピクミン無犠牲」「6日で全パーツ回収」のすべてを満たした条件でのクリアも可能(実例)。
  • グラフィックは文句なしにGC最高レベル。リアルに描かれた世界は、世界探索意欲を大いに沸き立てる。
    • 自然の美しさを見事に描きつくした背景に、小さいピクミンから巨大な生物に至るまで精密に作られたキャラクターのグラフィックが調和し、唯一無二の映像体験となっている。
  • 丁寧で魅力的な世界観構築
    • 本シリーズは、任天堂作品らしく世界の設定が大変よく練り込まれている。
      • 本作に登場する原生生物は、現実に登場する動物をモチーフにしたようなものから、植物と動物が融合したようなもの、動く無機物のようなものまで豊富。
      • ほぼ全ての生物に通称と和名と詳細な説明が用意されるなど作り込みが細かく、ファンにより生態系に関する様々な考察がなされている。
      • SFファンタジーの世界観ではあり、ピクミン自体の存在などは当然空想の話であるが、登場する動物の生態系については現実の生物学との整合性を重視している。
      • 突飛な設定も一部にはみられるものの、荒唐無稽でも陳腐でもない、妙に納得してしまう絶妙なラインが突かれている。
    • ほのぼのしたキャラクターデザインでありながら、シビアな自然環境は良い意味でギャップがある。
      • 作中では「ピクミン」という名前の由来もちゃんと語られている。
    • 今作では時間制限もゲームシステムの根幹にあるが、これにもしっかりとした理由付けがなされている。
    • 本作では一日を終える度にオリマーが書いた日誌を読めるが、この日誌も非常に凝っている。
      • その日に起きた出来事、出会った生物、ピクミンや星についての考察、船の修理状況などがプレイヤーごとの進行状況に一致した内容で描かれていき、オリマー視点で世界の理解を深めることができる。
      • 「クリアに必要なパーツを全く集めずに日数を進める」という、通常想定されないプレイの仕方で進行した際のみ見られる、オリマーが精神的に病んで行く様が生々しく語られたテキストまである。
      • 必要最低限のパーツ*5を集めきれずに30日目を迎えてしまうと、オリマーがドルフィン号で惑星を脱出しようとするもパーツが足りないせいで墜落し死亡してしまう。そして、オリマーの遺体はピクミン達にオニヨンまで運ばれてしまい…*6
  • 音楽は『スターフォックス64』などで有名な若井淑氏が担当。世界観に合った環境音楽となっている。
    • 環境音にも近いサウンドが特徴で、美しい自然背景を引き立てプレイ体験を阻害しない仕上がりである一方、単体で聞いても味があり、完成度は高い。
      • 原生生物に接近するとBGMが異なるアレンジへとシームレスに切り替わったり、日没が近づくとBGMも哀愁を漂わせるアレンジがかかるなど、ゲームの状況と音楽の演出がリアルタイムに連動する仕掛けも施されている。
  • やりこみ要素「チャレンジモード」
    • 本作のチャレンジモードは、本編で攻略したステージで制限時間内にどれだけピクミンを増やせるか、というスコアアタックとなる。
      • ペレット草や原生生物の配置は本編とは異なっており、ボスも少なく、本編とは少し異なるゲーム性となっている。
  • キャラクターデザインが非常にかわいい。主人公のオリマーやピクミン、敵キャラのチャッピーなどはかなり愛嬌のあるデザイン。フィギュアなどグッズも発売されている。

賛否両論点

  • ピクミンの死にやすさと原生生物の強さ
    • ピクミンは、ちょっと目を離した隙に捕食されてしまったり、溺れたり燃えたりして回収しきれなかったり、とすぐ死んでしまう。
      • ピクミン1匹1匹には水辺を避ける、間欠炎の火が止まるまで待つなどの危機管理能力まではないため、ピクミンを無事に連れ歩くだけでのも工夫や配慮が求められる。
      • 反対に原生生物は後のシリーズと比べても強い・速い・硬いと三拍子揃っている難敵揃い。大型の生物やボスはもちろん、中型や小型の生物ですら倒すのにそこそこの手間がかかり、ちょっとしたミスがピクミンの大量被害につながる*7
      • 特に原生生物の中でもマロガエルとイモガエルは体力が非常に高く、かつ数十匹単位のピクミンを一発で踏みつぶす高い殺傷能力を持つうえ、下記の「圧死バグ」まで備えており、上級者ですら無犠牲で倒すのは極めて難しい。
      • 特にイモガエルの方はピクミンを増やすためのチャレンジモードにて多数配置されているため、チャレンジモードでは「圧死バグ」のリスクを承知で戦う羽目になりがち。
    • 実は、今作では「ピクミンを100匹フルメンバーで連れ歩くことが必要とされる場面はほとんどない」ということに気付くと、難易度はグッと下がる。
      • 安全な場所で土木作業に従事させる程度なら頭数が多い方が便利だが、危険な場所を連れ歩いたり強敵と戦ったりする場面ではあえて少数精鋭で向かった方が結果的に統率が取れやすく、被害は少なく済む。
      • 強敵は大抵弱点に張り付かないとろくにダメージが稼げないため、ピクミンの数を増やしてもダメージ効率はほとんど上がらず、むしろ集団を管理しきれなくなって大量死を招くが、そのことに気付けるかどうかは個人差も大きい。
    • ピクミンを全滅させるとその日は強制終了となり、翌日に1匹だけ補充されて再スタートとなる。
      • だが、1匹のピクミンをまとまった数まで増やすにはかなりの時間を費やすため、全滅するとそれだけで時間を大きく消費することになり、ピクミンが少ないために原生生物を速やかに倒せない → 犠牲が発生してピクミンが減る…という悪循環に陥りやすい。
      • 今作はチュートリアルが終わった時点で最低20匹の状態からスタートするが、その直後に誤って水没させる、バクダン岩の取り扱いを誤るなどして全滅する事故も充分に起こり得る。こうなると立て直しがかなり厳しくなる。
  • CMの親しみやすさやかわいらしいキャラクターとは裏腹に高い難易度
    • 本作は、本編クリア(宇宙船パーツの全回収)までに28日のゲーム内時間制限がある*8が、パーツを回収するにはピクミンの増殖、マップの把握、原生生物の撃破、障害物の破壊…などやるべきことが多く、時間を上手くやりくりしてマルチタスクを段取りよくこなす必要がある。
      • こういったパズル的要素も含むゲーム性自体は本シリーズの特色そのものであり、作業効率をいかに極限まで高めるかの創意工夫こそが本シリーズの醍醐味だといえる。
    • このコンセプトそのものへの批判は少なく、慣れれば一日に複数のパーツを回収することも容易であるし、1日1個のゆっくりとした回収ペースでもクリアは可能な設計になっている。
      • しかし、今作に限って言えば操作性の問題(「問題点」で詳述)やピクミンの行動の仕様、先述の死にやすさなどを総合すると難易度はかなり高い。後作を踏まえ、シリーズ初作にして最も難しいと評する意見も少なくない。
    • このゲームバランスは、キャラ萌えだけの陳腐な作品とは一線を画した質実剛健なゲームとして比較的幅広いゲーマー層に受け入れられ、「簡単に死なない『ピクミン』は『ピクミン』じゃない」とも言われるほどの特徴として定評を得ることになった。
      • 一方で、CMやグラフィックから受けるほのぼのとしたイメージに似合わぬ高難易度に、面食らった子供やライトゲーマーも少なくなかった。
  • (突き詰めた際)ボス級の敵についてはやや歯ごたえに欠けるとする意見もある。
  • 作品全体としては高めの難易度である一方、慣れるとラスボスのダイオウデメマダラ以外の大体の強敵はゴリ押しでなんとかなってしまう。
    • パーツ回収において目立つ強敵ダマグモやボケナメコが挙げられるが、いずれも無理に隙を探さずとも強引にピクミンを投げまくっても充分倒せてしまう。ピクミンの被害が大変なことになるというデメリットはあるが…。
    • ただし、数で無理やりゴリ押しすると下記の「圧死バグ」の原因にもなりがちで、プレイヤースキルの上手い下手関係無しに運次第で犠牲が出てしまいがち。
  • バクダン岩の仕様
    • バクダン岩を持った黄ピクミンを投げてフリーにさせた場合、笛で呼び寄せると岩を置いて帰ってくる(置かれた岩は一定時間経過で爆発する)が、直接触れて隊列に加えると岩を置かないという仕様になっている。
    • このことを念頭に置いておかないと、バクダン岩を無駄に消耗してしまったり、誤爆によってピクミンの大量死を招く羽目になるため少々面倒。オプションでこの辺りの操作性の仕様を変更することは一切不可能である。
      • ただ、バクダン岩誤操作による大量死はオリマーの日誌にもイベントとして明記されるため、制作側の意図した通りの仕様と思われる。
      • Wii版以降では仕様が変更されているが、それにより新たな問題点が発生している(後述のWii移植版の記載を参照)。
  • ステージ数が少ない
    • 5ステージしかない上、うち2ステージは狭めでパーツも原生生物も少ないため、人によっては物足りなく感じる。
      • ただし、ステージ自体は充分に作り込まれており、攻略の自由度の高さや残りの3ステージには充分なボリュームがあるため、気になりにくい。
      • クリア時にクリア日数と増えたピクミンの数、死亡したピクミンの数がランキング形式で記録されるため、最短日数や無犠牲など何度もやりこむことを重視した形ともいえる。
  • オリマーやピクミンなど可愛いキャラクターが多い反面、原生生物はチャッピー系とダマグモ以外はややグロテスクなデザインが多く、人を選ぶ。
    • 虫型のフタクチドックリは全体に黒光りしているうえ多脚でカサカサと動き回り、スタン時には赤く生々しい内部構造を晒し、倒すとひっくり返って脚を畳む…などリアルな虫の気持ち悪い要素が詰め込まれている。
      • 非常にリアルで濃密な作り込みは評価すべき仕事であるのは間違いないが、2回戦うことになるうえ、うち一方はクリアに避けては通れない*9ため、あまりの生々しさに外見だけで拒否反応を起こさせプレイに二の足を踏むライトゲーマーもいた。
      • その見た目から『2』と『3』では比較的グロテスクな要素の薄い幼虫のみが登場していたのだが、『4』でまさかの再登場をした挙句に上記の要素は一切改善されていない。それどころか、同じように内部構造を晒す近縁種のオオユキカブトまでもが追加されてしまっている。

問題点

  • ゲームバランス全体を考えた際に一概に問題と断言できない可能性はあるものの、ピクミンの行動AIには若干の粗がある。
    1. 勝手に物を拾う(Cスティック操作や投げを一切せずとも、オリマー自身を運べるものに長く押し付け続けていると運んでオニヨンに持っていこうとする。主に20ペレットのような大型の運搬物に道を塞がれた際に発生しやすい。)
    2. ウジンコ、トビンコ、コガネモチ、ヘビガラス、ペレット草など、一部の生物に対しては隊列にいるだけでも勝手に攻撃を加える(特にヘビガラスは攻撃チャンスを待たないとまともにダメージを与えられず逆に捕食されてしまうため、逃げ遅れる原因になりやすい。)
    3. 上記のペレット草に対しては実る前の成長途中であっても攻撃を加えるため、意図せず枯らせてしまうこともある
    4. 橋で広がったまま渡る(大人数で渡ると端の個体が水にそのまま入って溺れてしまう。)
  • これらはいずれも『2』以降やWii版では廃止されている。公式攻略本の宮本茂氏へのインタビューには「ある程度勝手なことをさせた方が便利では無くとも面白くなる」とあり、予想外の事態を織り込むためにあえて融通を利きにくくする意図があったことが窺えるが、最終的にはデメリットの方が大きい仕様と判断されたとみられる。
  • ピクミンの死亡に関するバグが多い
    • チャッピー系やイモガエル系などの敵にCスティックで突撃した際、死亡判定の出る攻撃を受けていないにもかかわらず原生生物が倒れ込んだ際にいつの間にかピクミンが死んでしまう、いわゆる「圧死バグ」現象*10が頻繁に発生する。
    • ピクミンを投げて攻撃させた場合はほぼ発生しないが、(ピクミンの数次第とはいえ)大型の敵にはピクミンを投げるよりもCスティックで一気に囲む方が圧倒的に早く攻撃できるため、慣れたプレイヤーは被害にあいやすい。
  • ピクミンの転倒について
    • 連れ歩いているピクミンは時たま転倒することがあり、起き上がって隊列に戻るまでに数秒ほどかかる。これに気づかず先に進み転んだ個体が迷子になってしまったり、原生生物に追いつかれて襲われるなどの危険性がある。
    • しかも転ぶ頻度が地味に高く、大量に連れているときは複数匹が転ぶこともままあるのでストレス要素になりかねない。解散指示をしてからまとめて呼ぶことで普通に隊列復帰を待つよりも早く対応はできるが、はっきり言って面倒。
      • ピクミンの可愛さを演出する一要素ではあったものの、『2』では根本解決はしなかったが仕様が変わり*11、『3』以降は一切転ばないように改善されており、基本的に不評な要素であった。
  • 詰みを誘発しうるバグがある
    • パーツを高所から落とした際、バグと思われる変な跳ね方をすることがあるが、それが回収必須のパーツ「リブラ」で発生した場合、オリマーもピクミンも入れない場所にハマり込むことがある。
      • この現象が起こってしまうと当該パーツは永久に回収不能となる。プレイヤーはセーブせずにリセットする対処しかできず、セーブすればバッドエンド確定で取り返しがつかなくなってしまう。
  • ピクミンの種の仕様
    • 花ピクミンが戦闘で死亡すると低確率で種を残し、後日にマップを訪れると芽ピクミンとなって埋まっていることがある。
    • だがこの仕様が少し面倒。初期位置から遠くに埋まっている芽ピクミンを引き抜きに行くのに時間を消費してしまうし、放置しても芽ピクミンもピクミンの100匹上限にカウントされるため、芽ピクミンが大量に埋まっている状態だと呼び出せるピクミンが少なくなる。
    • 緑色かそうで無いかで判別はできるものの、はぐれて迷子になっているピクミンなのか、埋まっている芽ピクミンなのかレーダーマップで判別しづらい。
    • 引っこ抜くコマンドと投げるコマンドが同じなので芽ピクミンの近くで戦うと投げたいのに引っこ抜くという誤動作が頻発する。
    • なお、宮本茂氏とのインタビューによると「当初は必ず種を残すようにしていたが、あちらこちらに散らばりすぎてゲームにならないため調整した」「ピクミンが大量死した後に花ピクミンが種を残していると救われた気持ちになる」といったやり取りがされている。
      • 以降の作品ではピクミンが種を残す仕様は撤廃されている。
  • カメラワークが少し緩慢
    • ワンボタンで設定はできるものの、進行方向に追従させることにコツがいるため、慣れるまで調整に時間がかかる。
    • また、オニヨン周辺でピクミンを引き抜こうとすると勝手にズームアップされる。この状態では引き抜き終えるまでカメラを操作できず、青ピクミンを仲間にするまでこのズームアップが続く。
    • これらについては『2』で改善された。

総評

『ピクミン』シリーズの原点となる本作。 その直感的かつ奥深いゲーム性は1作目からすでに完成されており、CMを含めた宣伝も功を奏したこともあり、一躍人気シリーズとなった。
イメージと異なる難易度に少々面食らったプレイヤーもいたものの、未知の惑星として好奇心を存分に煽る世界観や、自然豊かなステージの数々、3種のピクミンを活かしたギミック、緻密に練られたオリマーや原生生物の設定などが評価されやり応えの向上に貢献した。
大きな問題点は見当たらず、グラフィックなど他の要素も非常に洗練されており、間違いなくGCというハードを代表する傑作である。


余談

  • よく本作の誕生秘話のひとつで「宮本茂が自宅の庭の蟻を見て思いついた」というものがあるが、実際は宮本氏がゲーム雑誌等のインタビュー向けに分かりやすく言い換えた表現である*12
    • 本当は自身が作っているものを整理するうちに、「これは蟻として作るのが一番良い」と考えたから、と松本人志氏との対談で明かされた。
    • 開発者に訊きました:ピクミン4においても、誕生の詳細が語られている。
  • 本作はGCの最初期に発売された作品であり、GCの性能をアピールする役割を見事に果たした。無論今見ても決して見劣りしない。
    • ちなみに、後日ピクミン1匹に使われているポリゴンの数は『スーパーマリオ64』のマリオのポリゴンより多いという衝撃の事実が発覚している。
  • 本作のテレビCMソング『愛のうた』はニュースなどでも取り上げられ話題となり、未プレイだがこの曲だけは知っているという人も多い。
    • 基本的には本作のピクミンの行動と気持ちをストレートに表現した歌だが、ほのぼのとしつつも哀愁漂う曲調や「主に尽くす」という歌詞の内容から、日々働くサラリーマンの気持ちを代弁する歌に聞こえた人が少なくなかったようで、サラリーマンを中心にCDシングルが飛ぶように売れたという逸話がある。
    • なお本作は非常に知名度が高いが、あくまでCMソングでありゲーム本編では一切流れない*13
    • 『2』では5色全てのピクミンを各20匹ずつ連れ歩くことで、この曲のメロディを口ずさむという小ネタがある。
  • WiiU/3DSの引越しツールでピクミン達が登場する。この時のピクミン達は本体データを運ぶという役割を担っている。
  • スマブラ関連
    • メモリーカードに本作のデータが存在すると『DX』で「キャプテン・オリマー」のフィギュアを入手できる。
    • X』に「ピクミン&オリマー」が参戦。近年の新作からは唯一の参戦で、同作屈指の癖のある性能を誇る色物キャラとなっている。
    • for』『SP』にも登場。オリマーの色替えで、続編『ピクミン3』の主人公の1人、アルフも選択できるようになった。
    • BGMもいくつかアレンジされている。ただし、ステージBGMを始め、『スマブラ』の世界観にそぐわない物が多いためかほとんどアレンジされなかった。
      • ちなみに「愛のうた」も収録されている。何故かフランス語バージョンもある。

Wiiであそぶ ピクミン

【うぃーであそぶ ぴくみん】

ジャンル AIアクション
対応機種 Wii
発売・開発元 任天堂
発売日 2008年12月25日
定価 3,800円(税込)
判定 良作

概要(Wiiであそぶ)

基本的なゲーム性やシナリオについての変化はない。
今作ではWiiリモコンによるポインターでピクミンを投げるカーソルを動かし、ヌンチャクコントローラでプレイヤーを操作する。


変更点(Wiiであそぶ)

  • オリジナル版では対応していなかったワイド画面に対応し、視野が広くなった。
  • ピクミンや笛の射程範囲が大幅に伸びた。
  • 日付を巻き戻し、そのデータで進めた場所以前であれば好きな日数をプレイできるようになった。
  • 運搬先のオニヨンの数字の色が変わったり、ピクミンを投げる際に十字ボタンで色替えができるようになったりと『2』での改良点が一部フィードバックされている。
  • 炎やミズモチの攻撃を受けた時の救出可能時間が延長された。
  • バクダン岩関連の仕様変更
    • バクダン岩が大きくなり視覚的に分かりやすくなった。
    • バクダン岩の爆風が他のバクダン岩及びバクダン岩を持った黄ピクミンに触れても誘爆しなくなった。
    • フリー状態のバクダン岩を持った黄ピクミンを笛で読んだ際、バクダン岩をその場に置かずに持ったまま隊列に戻るようになった。
    • これらの変更によって不慮の事故が起こりにくくなり危険性は低下したが、後述する新たな問題点も生じてしまっている。

問題点(Wiiであそぶ)

  • 精密な操作が難しい
    • Wiiリモコンを用いたピクミンの投げつけや隊列移動は直感的に行えるがブレが大きく、ある程度の正確さが要求される場面で暴投しやすくなった。GCコントローラにも対応していないので慣れるには結構な時間がかかる。
    • 仕様変更により、GC版での「高速投げ」を始めとする一部のテクニックが使用不能、あるいは使いづらくなった。
    • 特にバクダン岩を持った黄ピクミンを笛で呼んでもバクダン岩を置かなくなった点に関しては、取り扱いが簡略化され事故を起こしにくくなった反面、任意のタイミングで処分したり設置して攻撃に利用することが困難になりGC版の既プレイ者からは不評。
    • バクダン岩は後に『3』にもピクミンが扱える武器として再登場しているが、そちらではバクダン岩を持ったピクミンを投げた際、対象物の有無を問わずその場で置いて逃げ帰ってくるように変更された。
  • 原生生物の鳴き声やSEにバグがある
    • 寝息や悲鳴などがチープになっており、GC版と比べると生物感が薄れている。なお、後にこれはオリジナルの6倍速であることが判明している(参照)。
  • Wiiリモコンでの操作は、照準を合わせるのに時間がかかるため、無犠牲プレイや低日数クリアを目指す場合、GC版より遥かに難易度が上がっている。
    • 上記のため、やりこみプレイや生物感を重視する場合はGC版の方が適していると言える。
  • 死亡バグの悪化
    • 原生生物への取り囲み時に発生するGC版のバグは改善されておらず、それどころかスロープの下に潜り込むと連れていたピクミンが死んでしまうバグが新たに追加された。

余談(Wiiであそぶ)

  • ピクミン4』発売に先駆けて、公式サイト「ピクミンガーデン」がオープンされたが、その「ピクミンのヒストリー」では、今作と次回作のWii版が掲載されていない。

ピクミン1(Switch版)

【ぴくみんわん】

ジャンル AIアクション
対応機種 Nintendo Switch
発売・開発元 任天堂
発売日 2023年6月22日
定価 3,000円
判定 良作

概要(Switch)

『4』の発売記念としてダウンロードでの先行配信が行われたSwitch移植版。
Wii版をベースにした移植となっており、日数巻き戻し機能追加や爆弾岩の仕様変更などは共通。


評価点(Switch)

  • ピクミンの投げる速さの改善
    • GC版やWii版ではピクミンを素早く投げるためには、Cスティックやピクミンの列に入り込み、オリマーとピクミンの隙間を密接にすることで次のピクミンを素早く投げられるテクニックが存在していた。
    • Switch版ではそうした工夫をせずとも、手早く次のピクミンを投げられるようになった。
  • 死亡バグの改善
    • Wii版でも放置(むしろ悪化)されていた、原生生物やスロープによって発生する死亡バグがSwitch版では全て発生しなくなっている。

変更点(Switch)

  • 画質の向上
    • HDへのリマスタリングが行われたHD画質となった。
  • 操作系統の追加・変更
    • GC版の操作をベースに、ジャイロ操作に対応。Wii版や『3DX』と異なり、AまたはBを押している間のみ、一定の範囲内で操作できる。
    • 『3』以降同様、右スティックでの自由なカメラ操作が可能に。その代わり、隊列操作はL+右スティックに変更された。
  • 起動後のタイトル画面のロゴがカタカナ表記の「ピクミン」からアルファベット表記の「PIKMIN」へ変更された*14
  • 一部の宇宙船パーツの重量変更
    • Switch版は海外版がベースとなっており、宇宙船パーツの重量もそちらに準拠しているため、国内版と比較すると最も重かったパーツの重量が減少している。
      • これに伴い完全クリアに必要なピクミンの最低匹数も減少している。
  • GC版のCMやWii版のタイトルで放置していると流れたイメージソング『愛のうた』は権利上の関係で削除されている。

その後の展開(Switch)

  • 今作と『2』のSwitch移植版がカップリング収録されている パッケージソフト『ピクミン1+2』が2023年9月21日に発売された。
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  • 2023年
  • 2008年

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最終更新:2024年04月23日 16:44

*1 地球によく似ており、我々にとって身近な植物や日用品も見られるが動物は奇妙なものばかり。

*2 後のシリーズで、この惑星の大気は酸素の濃度が非常に高いためオリマーは生きられないが原生生物はその影響で巨大になったのだという説明がなされている。

*3 一番重いパーツを運ぶのに最小限必要なピクミンが国内版では85匹であるため。海外版の場合、パーツの重量が国内版から変更されているため最少匹数は50匹になり、それでも理論上クリアは可能とされるものの、TASなしの人力では未達成。

*4 全5ステージあり、そのうち1ステージのみ初日のチュートリアルで必ず1日費やすためクリアに2日必要。他4ステージは1日で配置されている全パーツを回収することで6日クリアとなる。ただし6日クリアはバグまでフル活用した記録であり、通常プレイでの達成はまず不可能。ライトプレイヤーなら十数日程度でクリアができれば充分上手い範疇とされる。

*5 「ノヴァブラスター」「スペースフロート」「マッサージマシン」「UVランプ」「へそくり金庫」の5点は回収しなくても脱出可能だが、真エンドを見る上では必須になる。

*6 このピクミン達の行動の真相は、後の『ピクミン4』のエンディングにて明らかになった。

*7 後のシリーズ作品では原生生物の体力と攻撃力(一度の攻撃動作でピクミンを殺せる数)が大幅に引き下げられている。

*8 ゲーム内時間での1日が13分30秒程度であり、30日だと合計6時間45分しかない。

*9 希望の森ではパーツの近くに居るだけなので無視してパーツだけ拾うことも強引ながら可能なのだが、大水源の個体は倒さなければパーツが入手できない。

*10 実際には圧殺されている訳ではなく、原生生物に張り付く際にピクミンが原生生物と地表の間付近に張り付き、その後原生生物から手を離した瞬間に地面の下にすり抜けることで奈落へ落下死した判定となっている。

*11 『2』では転倒する頻度こそ大幅に下がったものの、一瞬ではあるが滑って一切の指示を受け付けなくなる「躓き」が追加されてしまった。本作の転倒並の頻度で発生する上、転倒も含めて解散指示が通らないため、解散しても誰かしらついて来ていることがザラにあり、本作の転倒以上のストレス要素となってしまった。

*12 蟻のエピソード自体は氏の少年時代と関連している。

*13 Wii版では『愛のうた』タイトルデモで流れるようになっている。

*14 Switch版は海外版がベースとなっているため、要は海外版のタイトル画面である。