バイオハザード コード:ベロニカ

【ばいおはざーど こーどべろにか】

ジャンル サバイバルホラー
対応機種 ドリームキャスト
発売元 カプコン
開発元 ネクステック
発売日 2000年2月3日
価格 7,140円(税込)
判定 良作
バイオハザードシリーズ

バイオハザード コード:ベロニカ 完全版

【ばいおはざーど こーどべろにか かんぜんばん】

対応機種 ドリームキャスト
プレイステーション2
ニンテンドーゲームキューブ



開発元 【DC/PS2】ネクステック
【GC】トーセ
発売日 【DC/PS2】2001年3月22日
【GC】2003年8月7日
価格 【DC】6,090円
【PS2】7,140円
【GC】5,040円(各税込)
配信 【PS3/360】2012年3月13日/1,900円(各税込)
ゲームアーカイブス:2012年7月25日/1,200円
レーティング CERO:18歳以上対象*1
判定 良作

※共通項目は省略



概要

カプコンの大ヒットサバイバルホラー『バイオハザード』のシリーズ4作目。
プラットフォームを当時の最新ハードであったDCに移しての発売となった。
本作にはナンバリングが振られていないがシリーズにおいては正史であり、後作においてもゲーム中で言及される場面がある。

基本的なゲームシステムは従来のシリーズ作品を踏襲しており、大幅な変更点は無い。
時系列的には『2』『3』の3ヶ月後となっており、『1』『2』で主人公として活躍したクリスとクレアの兄妹を再び主人公に据え、謎の渦巻く孤島からの脱出を目指していく。
シリーズ1作目以来の登場となるクリスと敵役ウェスカーの因縁が絡んだシナリオも話題となった。

当初はDC版のみ発売されていたが、後に完全版として多くのハードで発売されている。
完全版では後にシリーズにおける重要人物となってゆくウェスカーのムービーシーンなどが修正・追加されている。
DC版は価格が安くほぼ全ての隠し要素が解放済み、PS2版は隠し要素は自力で開放する必要がある他『デビルメイクライ』の体験版が付属している。
HD版は『4』と共に720pにHDリマスターしたもの。360版は『コード:ベロニカ』『4』でディスクチェンジが必要。フルインストールなのでロード時間が速く、実績・トロフィー機能にも対応している。


ストーリー

ラクーンシティの惨劇から3ヶ月後。

クレア・レッドフィールドは行方不明になっている兄クリスの手掛かりを得るためヨーロッパへ飛ぶが、
パリのアンブレラ研究所ビルに侵入した際に捕えられ、南米の絶海の孤島「ロックフォート島」の牢獄に収監されてしまう。

しかしその後、島は謎の部隊の襲撃によりT-ウイルスをばらまかれ、壊滅状態に陥る。
刑務官ロドリゴの計らいで解放されたクレアであったが、そこに待っていたのは無数のゾンビとアシュフォード兄妹の陰謀、
そして意外な襲撃犯であった。


新要素

新しい武器

  • 二丁拳銃として「キャリコM-100P」「サブマシンガン」「ゴールドルガー」が登場
    • 別々の敵を狙い撃つことや二丁まとめて同じ敵に撃ち込む事ができる。攻撃範囲と威力を兼ね備えているので使いやすい。
    • ゴールドルガーは本編クリア後の「バトルゲーム」においてのみ使用可能。本編でも登場するが武器としては使用できない。
    • ナンバリングでの二丁拳銃は、敵として『5』のジルが使うサブマシンガン、『6』のレオンが所持しているウイングシューターの切り替えなどで再度登場するが、完全な二丁拳銃仕様で、かつプレイヤーが使用できるのは今作唯一である。
  • 「スナイパーライフル」が登場
    • 構えると主観視点のスコープ画面になって精密な狙いを付ける事が可能。ズーム機能もついている。
    • 本編で使える場所は特定のボス戦に限られており、本格的に使えるようになるのは『4』からである。
  • 「リニアランチャー」が登場
    • 本編に登場する最強武器でラスボスへのトドメに用いられる。弾数はなんと無限。スナイパーライフルのようにスコープ画面で撃つ。
    • 旧作最強武器のロケットランチャーは隠し武器としてのみ使用可能で、本編には登場しない。

カメラ視点の改善

  • 従来は固定カメラ視点のみだったが、固定カメラ視点と移動カメラ視点が併用されるようになった。
    • これにより旧作であった、カメラの切り替わり箇所での戦闘がしにくいという問題がある程度解消された。
    • カメラが移動するにつれて霧中から敵が姿を現すといった恐怖演出もできるようになった。

武器の仕様変更・追加

  • ナイフが十分実用に足る武器となっている。
    • 旧作では威力・射程が最低で縛りプレイくらいでしか使われなかったが、本作では敵との距離が近いと多段ヒットするため攻撃力が高い。
    • 一方で、接近戦を強いられるが故の危険性や障害物で攻撃が中断されるなどの弱点は変わらない上、全体的に敵が手強く一度に登場する数も多いことから、「ナイフ縛りプレイ」のやり応えそのものは旧作通り、初心者お断りの域を保っており、一般層にもやり込み層にも配慮した調整となっている。
  • ボウガンは仕様が変更され『2』以来の登場。
    • 発射される矢が1本ずつで、高速連射が可能。ただし1本の威力は大幅に下がり、射角が狭く当てにくくなっている。
    • 矢をボウガン用火薬と組み合わせた火薬付きボウガンは、単射威力と連射能力が相まって極めて高い火力を有するため、序盤から終盤まで活躍できる。
    • わずかだが誘導性能があり、遠距離から撃つと敵に向かって弾道が調整されるのが確認できる。
  • グレネードランチャーの新弾種として、「対B.O.W.ガス弾」が登場。
    • 直撃した敵にダメージを与えるのに加え、そのエリアにいる全てのTウィルス系の敵の体力を半減させるという効果を持っている。
    • ただし、T-Veronicaウィルス系の敵や水中にいる敵には効果が無い上に、作中で3発しか手に入らない。
    • ちなみに「対B.O.W.ガス」自体は『2』にも登場し、散布すると一部の敵が弱くなるが、裏シナリオで引き継ぐと逆に耐性を得て強くなるという仕掛けがあった。

ゾンビのバリエーション

  • 今作のゾンビは外見や登場箇所によって体力、攻撃力、追跡範囲、攻撃手段などが異なる。
    • 墓場から這い出てきたものや囚人は能力が低く、訓練生、警備員、特殊部隊員は能力が高い。また、イベントで登場する解剖医は本作最強のゾンビである。
    • 後半の基地に出てくる一部のゾンビは寄生虫を体に仕込んでおり、それを飛ばして攻撃してくる。
    • 特殊部隊員のゾンビはたまに背中に爆弾を背負っており、命中すると爆発する。これは攻撃オブジェクトと同じ効果があり、巻き込んで他の敵を倒すことも可能。

その他

  • ゲームオーバー時にリトライが可能になった。
    • リトライできるポイントは「最後にセーブした直後」「パートナーと交代した直後」「前半をクリアした直後」の3種。
    • リトライするとクリア時のランクが下がってしまうため、Sランクを取るにはノーコンティニューでクリアする必要がある。
  • 難易度選択に新たにVERY EASYモードが加わった。
    • VERY EASYモードでは体力が多い上にアイテムボックスに大量の武器と回復*2が最初から入っているので、戦闘には困らない。
    • 回復アイテムの効果2倍、取得弾薬2倍、敵のHPが約半分の上に無限インクリボンがあるためセーブし放題。ただし、隠し武器は入手できない。
    • ちなみに、DC版の完全版に限りデフォルト武器として無限ロケットランチャーを所持している。
  • 連射できる武器以外の武器は、ボタンをいちいち一回ずつ押さないと連続で攻撃できない。この仕様は後作では廃止されている。
  • ゾンビに組みつかれた時に最速でレバガチャすると、ノーダメージで振りほどくことができる。この仕様は本作と『3』のみ。
  • ライターを「装備」することができるようになった。これを利用して暗所を照らしたり敵の攻撃を避けたりできる場面もある。
  • 持ち物がいっぱいの時に新たなアイテムを獲得したとき、それが回復アイテムであれば、その場で使用することができるようになった。
  • 旧作では強力な武器でゾンビを攻撃すると身体欠損描写が見られたが、本作ではグラフィックが向上したためかもしくはレーティングをCERO:D(17歳以上対象)にするために、肉片が飛び散る程度に抑えられている(ロケットランチャーで倒しても頭以外は吹っ飛ばない)*3

評価点

シリーズ屈指のボリューム

  • 本作のシナリオは前半のクレア編と後半のクリス編に大きく分かれており、そのボリュームは実に従来シリーズ作品2作分にあたる。
    • それはシリーズ恒例の隠し武器「無限ロケットランチャー」を得るために許されるプレイ時間ですら5時間であることからもうかがえる。
    • 前半と後半で同じ施設内を探索することもあるが、爆発の影響で壁が崩れたり水が凍結するなどしてマップの構造がガラリと変わり、まるで違う場所かのように探索できる。

バリエーションに富んだ数多くの謎解きや仕掛け

  • 謎解きや仕掛けは本シリーズの特徴であるが、特に本作に登場するその種類や数は非常に多く、正に総決算的なものとなっている。
    • 定番の「カードキー」「暗証番号」「バッテリー」「仲間の救出」などはもちろん、旧作に登場した「ショットガンフック」「両目の無い虎の像」「アイテムを回転させて調べる」といった仕掛けがさらに工夫されて再登場。
    • もちろん新しい仕掛けも多く、「ボスゾンビを倒してキーアイテム入手」「銃を鍵として使う」「バルブハンドルの形を変える」「バーコードを貼る」など様々。
    • これらが長いシナリオの中に凝縮されて盛り込まれているので、非常にやり応えのある内容となっている。謎解き好きなユーザーにはたまらないはず。
    • 前半・後半共に序盤に所持可能アイテム数が増加するアイテムが手に入るため、所持アイテム数を切り詰めなければならない場面が少なく、純粋に謎解きを楽しめる。
    • 中には手に入れたキーアイテムを使える場所が複数存在するため、キーアイテムの使用順によっては大幅に攻略ルートが変わる場合もある。
    • ちなみに、最終盤の仕掛けにおいてタイトルに含まれる「CODE:Veronica」を用いる場面がある。
    • 後半のとある場所では『1』の洋館を意識した構造と仕掛けが登場するなど、一種のファンサービスも仕込まれている。

2つの方向性の恐怖演出

  • 定評のある本シリーズの恐怖演出だが、本作では前半と後半でその方向性が変わるという特徴がある。
    • 前半はゴシックホラー的な恐怖演出が主軸なっており、人形が吊るされた不気味な古城や血なまぐさい拷問部屋といった「静」の恐怖を体験できる。
    • 後半はハンターを呼び出す自走式監視機が各地に設置されたり、巨大な虫型クリーチャーなどが数多く襲ってくる「動」の恐怖を体験できる。
    • 『2』『3』では「数の恐怖」や「追われる恐怖」といった「動」の恐怖に傾倒しがちであったため、『1』以来となる「静」の恐怖の演出はファンに歓迎された。
    • 扉を開ける際や階段を昇る際に鼓動音が入ってスローになる演出がいくつかあり、行き先に待ち構えている恐怖と緊張感を盛り上げてくれる。

進化したグラフィックで綴られるシナリオ

  • 新ハードに移行したことで、シリーズ初のフルポリゴンが導入されており、グラフィックが大幅に強化されている。
    • 『2』から『3』ではほとんど変わらなかったため、当時はとても際立っていた。現在でもグラフィック面での抵抗なくプレイできる出来である。
  • シナリオは人間の狂気や愛憎入り乱れた人間模様を主軸としたドラマチックな設定やストーリー展開が多く、サバイバルホラーであるシリーズ作品の中でも異色といえる作風である。
    • とはいえ無理に奇をてらってはおらず、基本は王道に基づいている。
  • クリスとウェスカーというシリーズにおけるライバル同士*4の再会といった旧作ファンのツボを押さえた展開も含まれている。
  • 最初の舞台は南米の孤島だが、後半はさらに南…というか、南の極みに舞台を移す。当時は意外な場所が舞台となったことに驚かされたプレイヤーも多かった。

印象的な戦闘BGM

  • 戦闘BGMには従来とはやや毛色の違う印象的な楽曲が数多く用いられており、シリーズ中でもトップクラスとの声も高い。
    • 特に「Theme of Alexia」は本作を代表する楽曲であり、シリーズでも珍しいオペラ調となっている。
    • 従来作の流れを組む楽曲としては、中盤のタイラント戦BGMの評価が高い。
    • また、EDの曲はこれまでの戦いを振り返るかのようなボス戦BGMのメドレー調になっているのも特徴の1つ。

恒例のクリア後のミニゲーム

  • クリア後に「バトルゲーム」というミニゲームがプレイでき、まずまず好評。
    • 5人の中から好きなキャラクターを選んで敵を全滅させつつ先に進み、最後に待ち構えるボスを倒すまでの時間に応じてランク付けがなされる。なお、このモードでは弾薬は無制限となっている。
    • 画面視点は2種類から選ぶことができ、本編と同じ「THIRD PERSON」モードと主観視点の「FIRST PERSON」モードがある。
    • なお、全キャラクターでSランクを取得するとバトルゲーム内限定の隠し武器としてリニアランチャーが使用可能になる。

問題点

強い、というより面倒な敵の数々

  • 「蛾」は毒攻撃の仕様とリスポーンのために面倒な敵。
    • 主人公の背中に卵を産みつけてくるのだが、この卵は時間が経つと孵化して主人公を毒状態する厄介なもの。
    • 卵が孵化するタイミングはまちまちで、すぐに孵化することもあればかなり時間を置いて孵化することもある。どちらにしろ、食らってすぐに回復させることができない。
    • 卵産みつけ攻撃だけでなく、近くを通った際に麟粉を食らっても毒を受けることがある。この麟粉、効果範囲が分かりにくく避けづらい。
    • どんな攻撃でも一発当てれば倒せるが、不規則な羽ばたきと登場箇所のカメラアングルの関係上、攻撃が当たりにくい。弾速が遅いボウガンだとなおさら。
    • にもかかわらず、「蛾」×2は特定の通路で必ず復活して登場する。この通路は攻略上よく通るため、通るたびに毒状態になる危険を冒さなければならない。
    • 一応救済処置のために、毒を回復させるハーブのプランターが設置されているのだが、なんとその場所は上述の蛾が出現する通路である。「毒を回復させた途端に鱗粉を浴びたり卵を産みつけられる」なんてこともざら。
  • 「ノスフェラトゥ」は避けにくい毒ガス攻撃とシビアな当たり判定を持つ面倒な敵。
    • 毒ガスは風に流されて広範囲に広がるので飛散方向を予測して避ける必要があるのだが、これまた効果範囲が分かりにくく回避は困難。
    • 数回毒ガスを食らうと通常のアイテムでは解毒不可能な毒に侵される。その場合後半のシナリオ中に解毒イベントをこなさなければならない。
    • 数回の猶予があるとはいえ、一度食らうとまるで主人公達のナイフよろしく多段ヒットすることが多いため、一度のミスが命取りになる。それだけでなく触手による攻撃に弾かれて落下すると即死するので立ち位置にも注意を払わなければならない。
    • また、後述の主人公交代の際の仕様上、この敵はスナイパーライフル*5で弱点を狙撃して倒すのがベストなのだが、吹雪のせいで近寄らないとスナイプできないうえに弱点の当たり判定自体も厳しく、7発という限られた弾数で倒すのは難しい。
    • 弱点をしっかり狙おうとして少しでもタイミングや位置取りをミスれば、毒ガスの多段ヒットを食らって解毒イベントをこなさなければならなくなる。決して特別倒しにくい敵ではないのだが、様々な要因のためにとにかく面倒なのだ。
  • 「自走式監視機」は特定のエリアを巡回しており、サーチライトに触れるとハンター改が出現する。
    • サーチライトは監視機の動きと合わさって軌道が読みにくい。また、一部エリアでは入口の真上におり、移動が遅れると即見つかってしまう。
    • 出現したハンター改はエリアを移動しても消滅せず、倒すと監視機が再起動する。監視機を破壊することはできず、ハンター改も固いうえにハンドガンや連射武器では対処しにくいため、とにかく鬱陶しい。
  • 「アルビノイド」は攻撃が非常に当てにくい上に、全方位遠距離攻撃を持つ面倒な敵。
    • 攻撃が当てにくい理由は基本的に下段攻撃しか当たらない上に、水中を高速かつ不規則に移動するため。
    • 岸からだと本シリーズの攻撃システムでは攻撃はなかなか当てられない。強いから倒しにくいのではなく、システムの都合上倒しにくいのである。
    • 水中に入れば近くに寄れば当たり判定が広く分かりにくい体当たり、遠距離からでも強力な全方位電撃攻撃と非常に手こずらされる。
    • 結局、運よく近づいてきた時に岸から下段攻撃を微調整して撃ちこむか、ダメージ覚悟で強引にキーアイテムを取るしかなく、多くのプレイヤーをイラつかせた。

お使いの数や仕掛けの多さによるテンポの悪さ

  • 同じ場所を行ったり来たりする場面、俗に言う「お使い」が旧作以上に多い。
    • 敵もアイテムもない長距離ルートを往復することは、「探索」という行為自体に煩わしさを生んでしまった。
    • 旧作を踏襲した扉や階段においてスローになる演出も、「お使い」が過ぎるためにストレスの元となってしまっている。
  • 序盤に貴金属類を全て預けないと先に進めない仕掛けがあり、パーソナルアイテム含む全ての貴金属アイテムを預ける必要がある。
    • そこを通るたびにいちいち「預ける → 通る → 用を済ませて戻る → 取り出す」という作業を行わなければならず面倒。
    • 「通路の先で手に入るとある金属アイテムをこちら側で使いたい。さて、どうする?」という謎ときに絡んだギミックであるが、その後は正直あまり金属アイテムを向こうへ持ち込めないことに意味がない。
    • 特定の攻略段階以降は遠回りをすれば通路の向こうへ金属アイテムを持って周りこめるため、その段階で「セキュリティシステムをダウンさせる」などの工程を入れて金属類を自由に持ち込めるようにしてもよかったのではないだろうか。
  • 下のフロアに行くためにわざわざ潜水艇を用いなければならない箇所がある。しかも攻略上何回も通る。
    • 「潜水艇を呼ぶ → はしごを降る → レバーを引く → 潜水艇移動シーン→はしごを昇る」という一連の作業を行わなければならず面倒。
  • また過去作と比較して、セーブ用のタイプライター&アイテムボックスが配置されたいわゆる「安全地帯」が少ない。
    • そのため進捗状況をセーブするために戻るなり、謎解きのために必要なアイテムをボックスから出しに戻るなりといった手間が、過去作以上にかかるのも煩わしさの一因か。

初見殺しな仕様

  • 前半の終盤で「横を絶対に通り抜けられないボス」が居る。
    • ヒントなし(それらしい描写も一切なし)で、横を通り抜けようとすると、主人公を即死ゾーンに向けて殴り飛ばす。
    • 3~4回通り抜けを失敗した後、「あっ、しゃがむことがあるのか!今なら行ける!」と通り抜けようとした所を、殴り飛ばされて即死するのがテンプレ。
    • しかもこの後の再戦では、普通に横を通り抜けられるようになるのも謎。
  • 中盤のボス「ノスフェラトゥ」を倒すと主人公がクレアからクリスに変わるのだが、ボス戦に持ち込んだアイテムがクリスに受け渡されることはない。つまり、クリス編で使いたいアイテムを予めアイテムBOXに預けておかないと、クレアに持ち逃げされてしまう。
    • 当然、初見のプレイヤーが持ち逃げを予期できるはずもなく、前半で手に入れた強力な武器を根こそぎ失ってしまう羽目になった。
    • 一応、終盤にクレアをもう一度操作する場面があり、そこでアイテムを預ければクリスに受け渡すことができる。しかし、2度目の持ち逃げを誘う仕様も存在するので理不尽。
    • 全ての武器をクリスに渡す場合、ノスフェラトゥをスナイパーライフル(とナイフ)のみで倒さなければならない。慣れたプレイヤーであっても落下死や解毒イベントの危険があり、結局は苦労する羽目になる。
  • 終盤でクリスからクレアに交代する前後にも理不尽が詰まっている。
    + 終盤の展開に関するネタバレ注意
    • 繭に包まれたクレアを救出する際、ボス戦用の装備をしておかないと詰む可能性がある(後述)。
    • クレアパートは非常に短いが、下記の要素により難易度が高い。
      • セーブ不可
      • 「セキュリティカードの入った水晶を即死トラップで割る」という仕掛けがある。わざと即死トラップを起動し、回避直後に水晶を置かなければならないのだが、狭い場所なので操作ミスが起きやすく、水晶を置ける範囲もシビア。
      • ボス戦の手前でセキュリティカードを使用する際、告知なしに退路を断たれアイテム整理ができなくなる。所持アイテムが足りないとゲームオーバーが確定し、余らせると戦闘後にクレアが持ち逃げしてしまう。
      • ボス戦ではクレアのパートナーであるスティーブがモンスター化し襲ってくるのだが、まず「倒せないから逃げるしかない」ということを理解しないと、幾度となくその場で斬り殺されることになる。
      • 次に「攻撃を避けられないから回復アイテム必須」ということを理解しないと、二撃必殺の攻撃を食らってゲームオーバー。
      • 一応「少しずつ後ずさり、スティーブが攻撃しようとしたらグレネードランチャーや火薬付きボウガンで怯ませる」という方法もあるが、回復アイテムの代わりに大量の弾薬を消費するうえ、クリスがその武器を使用できなくなってしまう。
      • なんにせよ、事前情報なしに初見で切り抜けることは非常に困難。たとえ切り抜けたとしても、今度はアイテムの持ち逃げを嘆く羽目になるだろう。
    • 上記のスティーブ戦を乗り越えると、今度はクリスでアレクシア第1形態(即死攻撃持ち)と戦うことになる。こちらも装備が乏しいと詰みかねないので、クレアの救出前に準備しておくべき…なのだが、初見で分かるはずがない。

おまけ要素に関する問題

  • 隠し武器である無限ロケットランチャーの入手条件は本編をSランクでクリアすること。そして、Sランクの条件は「5時間以内クリア+救急スプレー未使用+セーブ&コンティニュー未使用+2人の人物に関するイベントで所定条件を満たす」というもの。厳しい条件をクリアしてこその「隠し武器」ではあるが、元々の難易度の高さと1周のボリュームが合わさることで、シリーズの中でも特に厳しい条件となっている*6
  • 下記の点から、『2』や『3』に比べて周回プレイの楽しみが薄い。
    • 『2』『3』に登場した無限サブマシンガン・無限ガトリングガン・無限弾・全武器無限化は廃止。唯一の続投となった無限ロケットランチャーは隙が大きく上下角を調整できないため、小回りの利く無限サブマシンガンも用意してほしかった。
    • 『3』の「エピローグ*7」も廃止。
    • シリーズ恒例のコスチュームチェンジが存在しない。本編のクリア後に解禁される「バトルゲーム」にはクレアの別衣装があるが、それを本編で着ることはできない。

その他

  • 一部のエリアにて、倒した敵が再配置されることがある
    • 探索を進めると同じ敵が復活する。過去作の探索後半で見られる「強い敵への置き換え」ではなく、配置もほぼ同じなので新鮮味がない。
  • パーソナルアイテムのライターは暗い場所を照らすだけでなくコウモリを追い払うこともできるが、サブイベントでロドリゴに止血剤を渡すと告知なしでキーピックと交換されてしまう。
    • 止血剤を入手した後もコウモリの出現エリアを探索する必要があるため、すぐに渡してしまうとデメリットが大きくなる。
  • クリスがロックフォート島から南極基地に移動した直後、進路を塞ぐ2本の触手を倒す必要があるのだが、周辺にアイテムBOXが置かれていない。膨大な弾薬を使うわけではないものの、詰む可能性があるので不親切。
  • 操作キャラをその場で旋回させる際、腕や足をまったく動かさない。これは誇張でなく、棒立ちのまま踵をわずかに浮かせるだけで足音を鳴らす。他のモーションには見られない挙動なので不自然さが際立っている。
  • 本作は全体的に画面が暗く、一部のアイテムを見つけにくい。
    • 特にグリーンハーブ・ショットガンの弾は従来に比べ黒ずんでおり、背景に溶け込んで発見しにくい。ライターを装備すれば明るくなるが一々装備するのは面倒。
    • また前述したように、クレア操作時に特定のイベントを発生させると、そもそもライターそのものが使用不能になる。
    • 雰囲気を重視しないならテレビの明るさを上げるのも手。
  • DC版のみの問題点として、操作性がやや悪い。
    • 特にスティック操作に難があり、力の入れ具合で思わぬ方向に動いてしまうので慣れるのに苦労したという声がちらほら見られた。
    • 銃を下段に構えると、後ろを向く操作と認識され(どちらも十字キー下)、下を向いた姿勢でグルグル回ってしまう。そのため這いずりゾンビなどに思わぬ苦戦をさせられる。

総評

シナリオ・グラフィック・恐怖演出・BGMなど、現在でも見劣りしない要素は多い。
『3』までのシリーズ作品が好みのユーザーにとっては、「謎解き」「戦闘」「恐怖」の3要素をどれも高水準で体験できるはずだ。
一方でそれら3要素を含めて特筆にあたるほどの新要素が盛り込まれていないため、その点ではパンチに欠けた作品と言わざるをえない。
とはいえ優れた楽曲やシリーズ全体のシナリオ的方向性を決定付けたストーリーも鑑みれば、良作として充分及第点に届く作品だろう。

『1』から続く基本システムをベースにして各要素を高い完成度で実現した本作であるが、敵への攻撃方法やお使いによるテンポの悪さなどがある。
そのため、随所で旧来の『バイオハザード』のゲームシステムの限界が垣間見えたことで、本シリーズはこれ以降抜本的変容の道を歩むことになる。

現在では、様々なハード・媒体で廉価版として販売されており、手軽にプレイすることができる。
項頭で述べたように一個のゲームとしての出来は良作クラスであるため、シリーズファンであれば是非とも「旧来シリーズ作品の終着点」に触れてみてほしい。


余談

  • 本作は当初「DCで独占販売する」と宣言されていたにもかかわらず、その後にPS2にも移植されることとなった。
    • 当時は本作のためにDCを買ったという人も少なくなかったため、この移植騒動は大いに不評を買うことになった。
    • その後のDCコンテンツの不振を考慮すると他機種でのプロモーション販売も致し方ないと言えるが、ユーザーへの説明も無く堂々と前言撤回する姿勢は批判されるのも止むを得ないだろう。
    • その後、『4』でもGC独占宣言 → PS2で発売という事態が起こったため*8に、本作の約束破りの件を、カプコン浮気癖の原点と冷ややかに受け止められてしまった。
  • 主人公2人が「巨悪に立ち向かう兄と、それを追って自らも戦いに身を投じる妹」なのに対し、悪役の2人は「野望のために周囲の犠牲を厭わない妹と、それを盲信し自らも悪行に身を堕としてゆく兄」であり、登場人物が対比的な関係になっている。
    • なお、完全版に登場するクリスのライバルであるウェスカーにも後にアレックスという「妹*9」が登場しており、そちらは「野望のために周囲の犠牲を厭わない兄と、それを追って自らも悪行に身を堕としてゆく妹」という本作の2組を掛け合わせたような関係となっている。
  • 作中に『2』の「The 4th Survivor」に登場したハンク自身が書いた報告書が存在し、ハンクがかつてロックフォート島の訓練所で過ごしたことが示唆されている。
  • クレアのパートナーであるスティーブはオリジナル版と完全版で髪型が異なり、オリジナル版ではレオンに似た髪形をしている。
  • 何らかの実験により人並みの知性を獲得し言語を理解出来るようになった(しかし喋れない)ネズミ、D.I.J.が作中でちらほら登場する。
    • 攻略上1回はどのプレイヤーでも会うことができるが、実はムービーの隅などで計6回登場する(完全版の場合)。
    • 一瞬しか映らない箇所もあるので全て確認するのは難しいが、やりこみプレイヤーならばぜひ発見してみてほしい。ちなみに最後はウェスカーと共に脱出した模様。
    • 「バトルゲーム」中のある場所を調べると、ランダムで「D.I.J.の日記」が手に入る。内容はD.I.J.の登場箇所のヒントになっており、割とマジメだったりする。
  • 完全版で追加されたムービーではウェスカーがラスボス相手に善戦する姿が見られるがオリジナル版だと…。
  • 2022年2月に大手ニュースサイト『INSIDE』で行われた「一番好きなバイオハザードシリーズは?」というアンケートにおいて本作が1位に選ばれた。ランキングはこちら。
  • 現在『バイオハザード』シリーズはナンバリング作品のリメイクが盛んに行われているが『コード:ベロニカ』のリメイクは計画されていないことが公式に明かされている。
    • しかし、前述したようにシリーズファンからの人気は高く、2022年12月には本作の非公式リメイクをカプコンが差し止めするという事件も起こった(参照)。
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最終更新:2024年04月14日 14:14

*1 改定後のレーティングはCERO:D(17歳以上対象)となっている。

*2 ボウガン(72、火薬30)、グレネードランチャー(炸裂36、硫酸20、火炎20)、ショットガン(49)、マグナム(24)、アサルトライフル(200%)、ハンドガンパーツ、救急スプレー6本。さらにセキュリティBOXにはハンドガン弾120、救急スプレー3本が入っている。

*3 この仕様は『0』などにも受け継がれており、一部のユーザーからは爽快感やリアリティの面で疑問の声もある。

*4 本格的にライバル的関係となってゆくのは後作からであるが。

*5 もしくはナイフか以後使わない武器。

*6 ただし、セーブについては前半と後半の間におけるセーブのみセーブ回数にカウントされない。

*7 シリーズの登場人物に関する文章付きの1枚絵。8人分用意されており、本編をクリアする度に1人解禁されていく。

*8 移植の経緯そのものは当時カプコンの上層部であった稲船敬二氏がPS2への移植を強行したとのことである。

*9 ウェスカーの場合は血の繋がった実の兄妹ではない。