けいおん! 放課後ライブ!!

【けいおん ほうかごらいぶ】

ジャンル リズムアクション
対応機種 プレイステーション・ポータブル
メディア UMD 1枚
発売元 セガ
開発元 セガ
ジーン
発売日 2010年9月30日
価格 6,090円
プレイ人数 1~5人(通常1人、アドホック時2~5人)
通信機能 アドホックモード
レーティング CERO:A(全年齢対象)
発売日 PSP the BEST:2011年12月1日/3,800円
判定 良作
まんがタイムきらら関連作品リンク


概要

かきふらい作の同名漫画を原作とする人気アニメ「けいおん!」(テレビアニメ第1期)のゲーム化作品。
さまざまなモードが盛り込まれているが、メインと呼べるモードはリズムアクション(いわゆる音ゲー)である。

「けいおん!」について

  • 女子高校の軽音部に所属する女子高生5人の部活を交えたゆるーい日常生活を描き、京都アニメーションによってアニメ化もされて大ヒットした作品。
    • 原作やアニメはシナリオやキャラの完成度が高かった事や、露骨すぎる萌え要素や男性キャラなど少しでもネガキャンされる可能性のあるものを排除して「等身大の女子高生のありのままの日常生活」を描く事に主点を置いたため、男女問わず幅広く支持されて大人気となり、主題歌やアルバムは大ヒットを飛ばし、ガールズバンドブームの火付け役にもなった(萌え要素についてはグッズ展開などで後から付け足されたものもあり、結局全排除は出来なかったが…)。
    • 特にアニメ2期の主題歌となった「GO! GO! MANIAC」と「Listen!!」がオリコン週間シングルランキングで1位と2位を独占したのは有名なエピソードである。
  • そんな「けいおん!」のゲーム化に対し、「駄作な恋愛ゲーになるのでは…」と不安を抱く者もいたが、メーカーのセガが直前に発売した『初音ミク -Project DIVA-』『同2nd』のノウハウを活かしたリズムアクションを制作していることを正式に発表すると、ファンの間では期待が大きくなっていった。
    それでも「キャラゲーはクソゲー」の法則があるため、ファンの不安は拭いきれなかった。しかし、いざ発売されてみれば予想以上に遊べる、原作愛に溢れたゲームに仕上がっていた。

特長

  • 京都アニメーションの全面協力によって制作されたため、アニメ版を基調としたゲームに仕上がっている。
  • 収録曲やBGMは「けいおん!」のCD発売元であるポニーキャニオンの全面協力を得て収録されたもの。
    • リズムアクション用の曲は、OP曲、ED曲、アニメ内で歌われた挿入歌、歌われなかったCD収録曲など全19曲。また、ゲーム内で使われているBGMも全てアニメで使用されている曲である。
      • アニメでは使用されなかったキャラソンCDの、しかもc/w曲まで完全網羅。CDを購入していたファンにとっては嬉しいサプライズであり、そこまで熱心でない視聴者にとっては、本作が隠れた名曲と出会う良い機会となった。収録曲の一つ「レッツゴー」は演奏者によって歌い手が変わるといった凝りよう*1(さりげなく並び順も変わっている)。
    • プレイ対象の19曲はゲームの性質上、演奏時間が短縮されるなど若干のアレンジは加えられているものの、基本的な音源はオリジナルとほぼ同じなのでファンにとっては嬉しい仕様である。
      • ただしプレイヤーが担当する譜面(後述)に応じて音量バランスが変化。自分の演奏している楽器の音が大きく聞こえ、臨場感を盛り上げている。
  • 多彩な要素やモードが盛り込まれているが、メインモードである「えんそう!」は単なるリズムアクションゲームであり、わかりやすい単純な操作で誰でも手軽に楽しめる。
    • しかし高難度の譜面も用意されており、音ゲー上級者にとっても挑戦しがいのある作品となっている。
  • アドホック通信に対応しており、最大5人でのセッションが可能。ゲームによる疑似体験とはいえ、多人数でのバンド演奏は想像以上に楽しく、盛り上がる。
    • 単なるアドホック通信だけでなく、PS3を介したアドホックパーティーにも対応しているので、遠距離の人ともインターネットを通じてのセッションが可能である。

システム

  • メインとなる「えんそう!」は、全19曲それぞれにパートが5つに分かれており、平沢唯(リードギター)、秋山澪(ベース)、田井中律(ドラム)、琴吹紬(キーボード)、中野梓(リズムギター)から一人を選んで担当する。この演奏パターン(譜面)が5人とも曲ごとに全く違っており、それでいて難易度の幅がとても広い。
    • 収録曲19曲は、音ゲーとしてはかなり少ない部類に入る。だが譜面が19曲×5人分×3難易度=285パターンもあるので、すぐにやり尽くしてしまうという事はない。
    • 譜面はそれぞれの楽器やキャラクターをイメージしたものとなっている。
      • 例えば、ドラムは曲の全てにわたってひたすら正確なリズムを刻み続ける事が要求され、そのかわり長押しの要素が存在しない。逆にキーボードは長押しと同時押しのオンパレードである。
      • ベースは、秋山澪が左利きであるという設定を反映して、ギター(唯、梓)とは左右の手の使い方が逆になっている。右手でボタンを押さえながら、左手で方向キーを連打するのだ。
    • 基本的に、繰り返してプレイすればクリアできる譜面にはなっているが、どうしてもクリア出来ない人への救済として、自動演奏になる、テンション(後述)が下がらなくなるなどのアイテムがある。
      • 逆に、ボタン数が増える、スコアが増えるが判定が厳しくなる、といった上級者向けのアイテムもある。
      • 1プレイにつき使用できるアイテムは1種類で、使えるのも1回。効果時間もあるが、例外として「秘伝の楽譜」は曲の終わりまで効果が続く。
  • 「えんそう!」の他にもキャラをコスプレさせる事が出来る「きせかえ!」や、可愛い部員のチビキャラによる原作やアニメの名シーンやイベントを再現した「メニュー!」、置き時計機能の「とけい!」、鑑賞&編集モードの「うたおう!」など、様々なシステムがあり、パターンも豊富に用意されている。
    • 「きせかえ!」の際にはさわ子先生がナビゲートしてくれるが、そのさわ子先生が(原作通り)少々暴走気味で、このハイテンションっぷりが原作ファンの笑いを誘った。
      • なお、梓のふわふわ時間衣装、ゴシック衣装はアニメでは使われなかったが、グッズ展開などを見越してか、デザインだけは予め作られていた。実際、ふわふわ時間衣装は本作発売前にグッズで使われたが、ゴシック衣装は本作が初御披露目となった。
    • 「とけい!」モードは主要キャラ5人のほか、さわ子先生、平沢憂、真鍋和も使用可能…そこ、鈴木純は犠牲になったのだとか言わない*2
      • ボタンを押すとキャラが時刻を読み上げてくれるという趣向なのだが、特別な日(クリスマス、元日、バレンタイン、各キャラの誕生日など)にはその日限定の特別なセリフを喋ってくれる。
    • 「うたおう!」モードはムービーの作成や編集の他にも、背景、キャラの服装や動作、カメラアングルなどを細かく設定できるようになっている。

評価点

  • PSPのゲームでありながら、画面上に5人のポリゴンキャラクターを同時に表示しており、それでいて致命的な破綻を起こしていない。本作以外の「3Dポリゴンの女の子が歌い踊るPSPゲーム」では、同時表示人数は1人か2人の場合がほとんどである。それを思えば、これがどれほどの快挙であるかわかるだろう。
    • よく見ると、ハイポリゴンとローポリゴンの2種類のCGモデルを用意しており、画面に映る人数が少ないカットでは前者、多いカットでは後者を用いていることが見てとれる。
    • そのような状況でありながら読み込みは非常に早く、メディアインストールを使えば曲開始前の読み込みが10秒程度で完了する点も評価に値するだろう。曲途中でのやり直しもほとんど待たされず、快適である。
  • プレイ中は、キャラクターたち(放課後ティータイムのメンバー)が演奏している様子が3Dグラフィックで表示される。この動きが現実の楽器演奏とおおむね近いものとなっており、実際に彼女たちのステージを見ているような気分になってくる。
    • アニメで使用された曲は、アニメのイメージに極力近づけた背景・動き・カメラワークとなっている。使用されなかった曲は本作独自の映像となっているが、これも非常に雰囲気がよい。
      • だが美麗なステージに「着ぐるみの頭」や「デスデビルの仮面」などのネタ衣装で出演する事で、何もかも台無しにしてしまう事も可能である。
      • もちろん「学園祭の衣装」や「紬のバイト制服」のような、普通に可愛い服や楽しい服も用意されている。
    • 上手く演奏を続けると特別な演出が発生し、アニメの名場面がフラッシュバックのように表示されていく。ファンなら感動必至である。
  • 総じてキャラたちがよく動き、カメラアングルやシーンも豊富。さらに「きせかえ!」でイメチェンしたキャラがそのままの姿で演奏する形になるので、ビジュアル的にも飽きない内容である。
  • 演奏の結果によって様々なアイテムやボイスを収集できるが、量が多いため収集のしがいがある。
    • アイテムや衣装の入手条件もヒントがあり、「高難度の曲をPerfect」というようなものは一切無く、お助けアイテムを使えばどうとでもなるものがほとんどである。
  • 言うまでもないが、もちろん全員フルボイスである。
    • メインの5人のみならず、先述のさわ子先生、サブキャラである平沢憂、真鍋和に至るまで、全てのセリフがオリジナル声優によって新規収録されている。
    • 「きせかえ!」モードのナビゲーター役でもあるさわ子先生などは、ちょっと喋りすぎなくらい。まあこれは「ネタ要素」なのだが。

問題点

  • タイトルからもわかるようにアニメ1期を基にした作品であり*3、アニメ2期の曲が一切収録されていない。これについては続編に期待したい。
  • ゲームオーバーとなる条件がわかりにくい。
    • 演奏の成否によって「テンション」という隠しパラメータが上下し、一定値を上回ったり下回ったりするたびに特殊演出が発生する(開始時を基準に上下各二段階ずつ、計五段階に分けられる)。テンションが下がり続けるとやがてゲームオーバーというルールである。
    • このテンションははっきりとは明示されないため、「何段階下がったか」や演奏しているキャラクターの表情などから読み取るしかない。ゲームオーバー間近の最低段階になると、画面上部にどんよりとした暗雲のようなものがかかるので、「そろそろヤバいな…」ということはわかるが…。
  • 音譜と背景の色が同化してしまい、操作しにくい箇所がいくつかある。
  • キャラのグラフィックが少し粗い。
    • PSPの画面上に、同時に5人のポリゴンキャラクターを表示しているのだから仕方のない部分ではある。「けいおん!」のゲームである以上、5人同時表示は他の全てに優先される事柄なのだろう。
  • 難易度ノーマルとハードはあるが、イージーがない。
    • 使用するとずっとボタンの数が増えるアイテム「秘伝の楽譜」を入手すると、更なる難易度アップが可能。通称「ノーマル秘伝」「ハード秘伝」。「ノーマル秘伝」はハードと同じ譜面なので、実質「ノーマル」「ハード」「ハード秘伝」の三段階の難易度となる。
    • この仕様からもわかるように、本作の難易度設定は基本的に「上に向けて幅広い」という形であり、リズムアクションに不向きな人でも楽しくプレイできるような簡単な譜面は多くない。本作は音ゲー上級者だけでなく「けいおん!」のファン全般に向けられた作品のはずであり、難易度のバランス調整には疑問が残る。
      • しかしクリアだけが目的なら、数々のヘルプアイテムが用意されている。
  • 譜面がスクロールして流れてくるのではなく、固定された譜面上をカーソルラインが移動するシステムである*4。このため他の音ゲーとプレイ感覚が異なり、人によっては見づらいとの声もある。特に最後と最初に音符が配置される曲の場合は視点の関係で慣れるまでタイミングがずれやすい。
    • ただし、「楽譜を目で追いながら演奏している」という雰囲気の面では適切なシステムである。
    • 音ゲーのシステムは各社が様々な特許を所有しており、使いたいシステムを自由に採用できない場合もありうる。ユーザーの目からは見えづらい複雑な問題があるのだ。
  • イベントに関しては、アニメや原作を見て(読んで)ストーリー(ネタ)を理解していないと発生させるのが難しい。
    • ただし、ゲームを進めていくと徐々にヒントが増え、最終的には条件そのものが表示されるようになる。
  • 最も人気・知名度が高いであろう、アニメOP曲「Cagayake!GIRLS」とED曲「Don't say "lazy"」*5が、最後にアンロックされて難易度も高い「ボス曲」の位置づけにある。
    • 人気曲・有名曲だから誰でも楽しめるように、という発想とは真逆をいく仕様であり、疑問が残る。
    • そのためこれらの開放を目指して、聴いた事もないキャラソンを延々とプレイさせられるという状況が生じる。そのキャラソンも総じて良い曲ではあるのだが。
    • 一応、放課後ティータイムの代表曲ともいえる「ふわふわ時間」は5曲目と比較的早い段階で遊べる。
  • 衣装選択・髪型選択の中に「これだけ豊富に用意されているのに、なぜこれがないのか」とピンポイントに不満を感じるような箇所がいくつかある。
    • 特に惜しいのは「Don't say "lazy"」の衣装が収録されていないことである。この曲は、キャラの動き・カメラワーク・画面上の特殊エフェクトなど、他にも増して再現度の高い映像が作りこまれている。ここまでやっておきながら、肝心の衣装がないのだ。「けいおん!」を代表する人気曲だけに、残念の極みである。
      • もっとも、この曲に関しては本来梓は参加しておらず、当然衣装も存在しないため、仕方ないとも言えるが…*6
      • 実は梓のDon't say "lazy"衣装自体は存在している。ただし、それが本作の発売前からあったのか、発売後に作られたものなのかははっきりとしていない。
    • キャラの髪型に関しても、田井中律の前髪を下ろすことができなかったり、一人につき三種類(被り物除く)しかなかったりなど物足りない印象を受ける。
  • 通常のPV鑑賞モードがない。
    • 「うたおう!」モードにおいて、楽曲が強制的にインストゥルメンタルになり、かわりに歌詞がテロップ表示されるという仕様には、多くのプレイヤーが戸惑った。つまりはキャラたちがプレイヤーに対して「(私たちの演奏に合わせていっしょに)うたおう!」と呼びかけている、カラオケモードだったのである。
    • 原作の性質上「ネタ的要素」「ある意味「けいおん!」らしい」と納得することは十分可能である。だがそれでも、普通のPV鑑賞モードが欲しかったという意見は多い。
  • 収集要素のひとつ「MCボイスをコンプリート」が完全に運に左右される。集めるには執念が必要。
    • 他の要素をコンプリートしてからMCボイスをコンプリートするまでにおよそ2~3倍の時間がかかる…といえばそのきつさが理解できるだろうか?
    • 特に厳しいのはある楽曲限定の後MC1種類(×5人分)、ある歌い手限定の後MC4種類。後者は出現確率の低いレアボイスで、おまけにヒントもない(一つでも手に入れば類推は可能だが)。
  • 本作というよりPSPというハードの弱点なのだが、本体内蔵スピーカーが低音に弱く、ベースの音が極めて聞き取りづらい。
    • 音量設定を極端に調整すれば聞こえなくもないが、その都度設定を変える*7のは現実的ではない。
    • 根本的な解決策はないが、ヘッドホン等の使用で改善させることはできる。

総評

  • キャラゲーは失敗作が多いという不文律があるが、このゲームに関しては世界観・キャライメージを壊さずにちゃんとした音ゲーに仕上げている。問題点も数こそ多いがほとんどは些細な部分であり、プレイしていて大きな不満を感じることは少ない。そのため評価も非常に高く、成功したキャラゲーであると言える。
  • ファミ通クロスレビューでは32点(オール8点)を叩き出してゴールド殿堂入りし、発売時期もアニメ2期の終了直後だった事や映画化決定が正式発表された時期だったために発売初週で17万本を売り上げ、大ヒットとなった。
  • 本作は言うまでもなく「けいおん!」ファンのためのゲームである。だがリズムアクション部分の完成度が優れている事を考えると、音ゲーマーにもオススメ出来る。原作を知らずとも、本作から「けいおん!」の世界に興味を持つのもありである。

移植版

  • 2012年6月21日に、PS3専用ソフトとして『けいおん! 放課後ライブ!! HD Ver.』が発売。グラフィックがHD画質になり、3Dテレビにも対応している。
    • この移植版は、セガの展開する「プレイステーションポータブルリマスター」シリーズの一作。PSPの人気ゲームに、ビジュアルの強化とアドホッグパーティへの正式対応を施して、HD機に移植するのがコンセプトである。そのせいか、ファンが待ち望んでいた「ポリゴンモデルの抜本的改善」「新たな楽曲や衣装の追加」などは行われず、その点を惜しむ声が多い。
    • また、大半の一枚絵はPSP版のものをそのまま引き伸ばして使用しているため、大画面になるほどジャギーが目立ってしまう。
    • 遅延対策が無い。 全個体で画面に差異のないPSPから各ユーザー毎に使用するモニターが異なるPS3に移植したにもかかわらず、判定調節などの遅延対策は無く、音ゲーとしての判定にも癖があり、普通に遊べるプレイヤーと音ズレでゲームにならないプレイヤーとで極端に意見が割れている(もっとも、判定の癖自体はPSP版の時点で既に存在していたが)。
    • PSP版での「ベースが聞き取りづらい」欠点は改善されており、逆にうるさいくらいによく聞こえる(他の楽器も微調整されている模様)。
    • 細かい点ではあるが、「メニュー!」時の撮影はなぜか削除されてしまった。