マリオテニス64

【まりおてにすろくじゅうよん】

ジャンル テニスゲーム
対応機種 ニンテンドウ64
メディア 128MbitROMカートリッジ
発売元 任天堂
開発元 キャメロット
発売日 2000年7月21日
定価 6,800円(税別)
配信 バーチャルコンソール
【Wii】2010年8月31日/1,028Wiiポイント(税8%込)
【WiiU】2016年7月20日/1,028円(税8%込)
判定 良作
マリオシリーズ・関連作品リンク

概要

マリオシリーズのキャラクターによる、シンプル操作でありながらスピード感あふれるテニスゲーム。
マリオキャラ達によるテニスゲームはバーチャルボーイの『マリオズテニス』以来となり、『マリオテニス』シリーズとしては本作が1作目となる。
振動パック、64GBパックに対応しており、一部の隠し要素は64GBパックを使い『マリオテニスGB』と連動することで解放できる*1

各モード紹介

エキシビション

  • 好きなキャラを選んで1試合プレーする、最もスタンダードなモード。1~4人でプレー可能。
    • ゲーム・セット数の設定も豊富に設けられている。

トーナメント

  • 1人用のモード。好きなキャラを選んでトーナメントに出場し、優勝を目指す。シングルス/ダブルスそれぞれのトーナメントが存在し、ダブルスのパートナーはキャラクターごとに決まっている。
    • ダブルスのパートナーは、ある程度キャラクター性能の相性を考えて設定されている。
      • しかし、CPU側はプレイヤー側が実現できない組み合わせで出場することが多い。
    • キノコカップ・フラワーカップ・スターカップの3等級が存在し、最上級のスターカップでは隠しキャラクターも参戦してくる。
      • スターカップをシングルスで優勝すると、優勝したキャラクターの全性能が強化された「スターキャラ」を使用可能になるという隠し要素が解放される。全員スターキャラを使用可能にすると、この隠し要素を利用した高難度のトーナメントが開催される。
    • CPU同士の試合は勝敗だけ決定してスキップされる。観戦は不可。

リングショット

  • コート内に出現するリングにボールを通過させることでリングを獲得し、その獲得数を競う特殊なモード。1人用と2人以上用のモードが存在する。
  • 1人用モードでは、制限を1ゲーム/時間/ボール数からいずれか一つを選び、その中でどれだけのリング数を稼げるか競うものと、ポイント制のモードが存在する。
    • ゲーム数制限のモードでは、デュースを利用して長期戦にすることでリングを荒稼ぎするテクニックも存在する。
    • ポイント制では出現してから時間が経つごとに大きくなっていく特殊なリングが登場。このリングはできるだけ小さな状態で獲得するとより高い得点を獲得可能。一定時間内でどれだけの点数を獲得できるかを競う。
  • 2人以上では純粋にリングの獲得数を競うものになり、どちらかが一定数のリングを獲得すると勝利となる。
  • 一種のスコアアタックとして相当シビアなやり込み要素となりうるモードである。実際、下記のリングトーナメントでは熾烈な争いが繰り広げられた。

クッパステージ

  • クッパ城にある特殊なコートで試合を行う。キャラクターの荷重によってコートがグラグラと傾き、ネットの上にはマリオカート64のようなアイテムボックスが存在し、獲得したアイテムで相手を妨害できる。甲羅やバナナで相手を転ばせたり、カミナリで能力を低下させたりと、テニスの枠にとらわれないエキサイティングなプレーが楽しめる。
    • エキシビション同様に、ゲーム・セット数を幅広く設定可能。
      • ただし、クッパステージ特有のコート揺れだけをOFFにする、またはアイテムのみをoFFにする、といった設定はできない。
      • どちらかのみだったら対COMでも多人数プレイでも楽しめる、非常に良好なアクセントになっただろうに惜しい、という声も多い。
  • 出現するアイテムは以下の通り。
    • キノコ:一定時間、スピードのランクが一段階強化。
    • 緑コウラ:前方に3つのコウラを放射状に発射。当たると跳ねて動けなくなる。
    • 赤コウラ:敵を追いかけるコウラを1つ発射する。当たると跳ねて動けなくなる。
    • バナナ:ボールと一緒にバナナの皮を打つ。バナナの皮はボールがバウンドするときに地面に張り付き、踏むと滑る。サービスショットをしてから踏めるのでサービスショットをする前にバナナを踏んで処理するという戦法は不可能。
    • サンダー:自分以外の全プレイヤーに雷を落とし、スピードとパワーを一定時間一段階弱体化。
    • スター:一定時間、パワーが一段階強化される。アイテムの効果も防ぐが、バナナだけは踏むと滑る

パックンチャレンジ

  • 相手側コートには敵プレイヤー1人と、エンドライン上にパックンフラワー3体が配置されている。パックンフラワーから発射される球を敵プレイヤーに打ち返されないようにひたすらリターンし続ける、トレーニングに近いモード。
    • 1回で打ち出される球は50球。パーフェクトを出すのは難しい…を通り越してしまっている節がある。この点については後述する。

スペシャルゲーム

  • 5ポイント先取のショートゲームや、7ポイント先取のタイブレーク戦といった変則ルールでのゲームや、CPU同士のデモプレイを観戦可能。
  • リングショットを利用した「リングトーナメント」というモードが存在し、任天堂の公式ホームページ上などでエントリーコードが公開され、これを入力することで参加可能。期間限定で公式大会が開催され、ランキングが公開されている。
    • 任天堂主催のものの他には、開発元のキャメロット、ゲーム雑誌の電撃N64や64Dream、小学館のコミックGOTTA主催のリングトーナメントも存在した。
    • 大会が終了した現在でも、エントリーコードさえ分かれば挑戦可能。検索すれば出てくるので、一度挑戦してみてはいかがだろうか。いずれもコートや相手CPUの設定がいやらしく、結構キツめの難易度である。
    • 残念ながらバーチャルコンソール版では使用不可。

評価点

  • プレイヤーキャラの豊富さ
    • 隠しキャラを含めて計16人。当時の基準からすれば相当な数を誇る。
      • ワリオの相棒でルイージのライバルとなる新キャラ・ワルイージが本作で初登場。ワリオとダブルスを組むのに適したキャラが居なかったこと、下記のキャラを総動員してもプレイヤーキャラが足りないことからスタッフが提案したという背景がある。
      • スーパーマリオランド』『マリオオープンゴルフ』から久々にデイジーが登場。漫画版で高い知名度を持っていた彼女の参戦はファンを喜ばせた。
      • キャサリンやヘイホーなど、本作で初めて操作できるようになったキャラも多い。
      • パタパタとテレサは「空を飛びながらテニスをする」という独特なスタイルのプレイヤー。パワーは弱めだが、高高度からの打点の高いショットや強烈な変化球を使って相手を惑わす戦法を得意とする。
      • ドンキーコングJR.は久々の登場となり、2代目ドンキーと初めて共演した*2
    • マリオゴルフ64』と違い、未プレイの状態からでもある程度の組み合わせで遊ぶことができる。
      • デイジーとワルイージはこれ以降、パーティー系やスポーツ系ゲームのレギュラーに昇格することとなる。
  • GB版との連動
    • 64GBパックを使用することにより、『マリオテニスGB』で育成したキャラクター&パートナーを連れてきて経験値を稼ぐことが可能。
      • マリオゴルフ64と異なり、電源を切ってもこれらのキャラは選択欄に残る。この場合は最大でキャラが20人になる。
      • GB版ではある程度自由に能力値を割り振れ、主人公二人は装備で上下させることもできるので、非常に個性的な選手にして楽しむ事も可能。また、GB版と違いパワー・コントロール・スピードどれも極端に低いと試合にならないため、鍛え上げてもバランス崩壊キャラにはならない絶妙のさじ加減。レベルMAXで☆マリオキャラと同等(パートナーの二人は少しだけ弱い)。
  • シンプルで分かりやすい操作
    • 3DスティックとA・Bボタンだけでほぼ完結しておりとてもシンプル。レスポンスも極めて良好なため、初心者から上級者まで問題なくプレイできる。
      • 操作に慣れれば溜め打ち、強弾、スマッシュ、フラットといった豊富な種類のショットを放ちまくれるので爽快感にあふれている。
      • スライスショットによる変化球や高く打ち上げるロブショット、ネット際に落ちるドロップショットなどを使った揺さぶりも自由自在。
  • 豊富且つ高評価なBGM
    • BGMには過去のマリオシリーズ関連からのアレンジ版の曲もある。懐かしさを感じさせつつ、試合にも違和感なくマッチしている。
    • ゲーム・セットポイントチャンスには桜庭統作曲の専用BGMが用意されており、試合の緊張感がひしひしと伝わってくる…を通り越しており、RPGのイベント戦闘曲とまで評される。
  • その他評価点
    • 各モード紹介の項で述べた通り、1人でも充分に楽しめるようにゲームモードが充実している
    • スペシャルモードでは同キャラ戦では2Pカラーがわざわざ用意されており、選ばせる意味合いを持たせてる。
    • 全キャラである条件を満たすと、フリーモードの「エキシビション」で更に熱い戦いができるようになる。

問題点

  • COMの強さの問題
    • COMはLVによって強さにかなりのバラツキがある。強いCOMは本当に強い。
      • 隠し要素開放を目指す場合は対戦相手として否応無しに対峙するため、対戦相手のLVが高めの場合プレイヤーの腕前によっては結構苦労することもある。
    • 隠し要素のひとつである最高LVのCOMともなると、サービスひとつとってもかなり返しにくい絶妙なショットを打ってくる事も多く、しっかり心構えをしておかないとサービスエースを取られやすい。
      • この状態のCOMは、サービスショットでは「フォルト」か「ナイスショット」しか出さない。特にパワーのあるキャラにサービスをやらせると、とんでもない弾速のサーブをいやらしいポイントに打って来るのでリターンが非常に困難。上手くこちらのラケットに当たっても、パワー差がありすぎてレシーブしたボールがネットまで届かないという理不尽なことも…。
  • GB版との連動に関する問題
    • GBとの連動で連れてきたキャラは再連動しない限り溜めた経験値が反映されず、ずっと同じ能力値のままである。
    • また概要の項で述べた通り、GB版と連動しないと一部の隠し要素が解放できない。
  • キャラクター性能に関する問題
    • 操作レスポンスの良さと、高いボールに対処しやすいキャラが多いためか、ロブショット*3が使いにくい。さらにロブショットの着弾点が格好のスマッシュポイントになってしまう為、通常のキャラで考え無しにロブショットを打つのは自殺行為に等しい。
    • またCPUはロブやドロップに対する反応が凄まじく良いせいで、これらの存在価値が無くなっている。使えば相手にチャンスを与えるだけでしかない。
    • この事から単純な撃ちあい以外の戦略がまるで存在せず、試合がパターン化しやすく、同じ動作の繰り返しになりやすい。
      • 但し、キノピオ・ベビィマリオ・ピーチ・パタパタ・テレサといった変化球の性能が高いキャラは、ロブショットが早いため、対処しやすいキャラでも対応が困難。特に凶悪なのがパタパタとテレサで、キャラクターによっては打たれた瞬間に動いても間に合わないほど。
        またドロップショットもネットプレイの思考を持つCPU相手の場合*4、ネットに貼り付いた相手に対して放つと弱いショットで返してこなくなり、その内、ネットに引っ掛かってミスショットをするので、その相手なら狙う価値はある。
  • COMのピーチがサービスショットでレットを多発することがある。
    • サーブがネットに引っ掛かって相手コートに入った場合はノーカウントで打ち直しとなるのだが、ピーチはサービス時のトスが低めなためCOMの思考パターンと相まってこれが発生しやすい。
    • 多い時には5回以上発生してやっとまともなラリーが始まるということもある。しかもCOMのLVが高い程この現象は発生しやすくなる。
  • ベビィマリオの性能が強すぎる。
    • 本作のベビィマリオは、実はリーチ以外は軒並み高水準*5の能力を持つ壊れキャラなのである。
    • 唯一の短所である背の低さとリーチの短さも低弾道でスマッシュを打てると考えれば長所になっている。
    • そのせいで、ベビィマリオとリーチが大差ないキノピオはベビィマリオのほぼ下位互換*6になってしまっている。
    • リーチの短さは欠点とは限らない(=リーチが長くても長所とは限らない)ことから、リーチ以外に長所の少ないワルイージも初登場ながら弱いキャラクターになってしまっている*7
    • 流石に問題視されたのか、『マリオテニス オープン』で再登場した際には大幅に弱体化された。
  • パックンチャレンジに関する問題
    • 前述の通りパックンが吐き出すボールを返球するというルールのゲームなのだが、「敵に撃ち返されないように」「ショットを相手コートに決める」という二つのテクニックが必要とされる為、パーフェクトを目指すにはネットプレイが有効。というより、それ以外の戦法でパーフェクト達成は限りなく不可能に近い。
      • すなわち、「どのキャラでもがんばればパーフェクトが狙える」という域にはない。背の低いキャラ、足の遅いキャラ等、ネットプレイに向いていないキャラはパーフェクトへの挑戦権など無いに等しい。
    • 「嫌ならやらなきゃ良いじゃん」とお思いの方も居るかもしれないが、このゲームでパーフェクトを取る事が解放条件となっている隠しコートがあるので…。
  • 隠し要素に関する問題
    • 一部の隠しコートの出現条件が分かり難い。
      • 「ダブルスで特定のキャラクターを使用して、スターカップを優勝」することで解放されるのだが、条件を知らないといつまでたっても隠しコートを開放できないという事態もありうる。

総評

全体の完成度が高く、1人でも複数人でも、初心者から上級者まで長く楽しめる奥深い逸品。
Wii・WiiUのバーチャルコンソール版では連動機能とリングトーナメントがオミットされているが、ほとんどの要素はこのソフトだけで解放できるため気にせず楽しむことができる。
初期状態でも十分楽しめる逸品だが、今から本作を遊ぶのであれば隠し要素の解放に挑戦し、その先にある本作の真髄に触れてみてほしい。

余談

  • 本作では人型のキャラクターを多く必要としたために、ワリオの相棒かつルイージのライバルとしてワルイージを登場させたが、実はワリオのガールフレンドかつピーチ姫のライバルとして「ワルピーチ」というキャラクターが挙がっていたという。
    • これに関しスタッフが「かわいくなさそう」「 どうせドロンジョみたいなんでしょ 」とダメ出し、却下されてしまったとか。ワリオとワルイージの風貌がトンズラーとボヤッキーまんまなのでおおよその想定は着いていたのだろう。
    • 「ピーチ姫のライバル」というポジションはこれ以降、今作に再登場したデイジー姫が担うこととなる。
  • 本作はコントローラ未接続時に電源を入れた際に出る警告画面が実にシュールでもある。
    • その警告画面は 夕焼けの荒野でワルイージが空を飛びながらN64本体を持って逃げるのを、ルイージがコントローラを持って追い掛けている というもの。
    • 絵面もさることながら、この警告画面では試合でゲーム・セットポイントチャンスが掛かった際のBGMが流れるのもシュールさを際立たせている。

続編

  • マリオテニスGC
    • 新たなルールやスペシャルショットなどを採用し、スポーツ系マリオシリーズの醍醐味である「スポーツの枠に捉われない」プレイが楽しめる。
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最終更新:2024年01月16日 19:11

*1 隠し要素は、1人用のモードを進めて解放するものもある

*2 ただし、Jr.はデビュー当時の幼い姿で登場している。時系列は果たしてどうなっているのだろうか…?

*3 高く打ち上げるショット。相手をネット際に寄せた後、その相手の頭上を跳び越すように打ってポイントを狙うのが一般的な使い方。あえて相手をベースライン付近に足止めする為に使う場合もある。

*4 ルイージ、ワルイージ、マリオやピーチのようなネット際まで直ぐに又は機会があればネットに向かうキャラが該当

*5 パワータイプであるドンキーコングJr.と同等のパワー、テクニックタイプであるデイジー並のコントロール、そしてスピードタイプの名に恥じない全キャラトップクラスのスピードを持つ。

*6 一応キノピオの方がナイスサーブを打ちやすいという長所はあるが。

*7 「マリオテニスGC」ではリーチ以外にスペシャルショットゲージが溜まりやすいという長所が与えられ、渋い強さを持つキャラクターに改良された。