ビートルアドベンチャーレーシング (HSV ADVENTURE RACING)

【びーとるあどべんちゃーれーしんぐ/えいちえすぶいあどべんちゃーれーしんぐ】

ジャンル レーシングゲーム
対応機種 ニンテンドウ64
発売元 エレクトロニック・アーツ・スクウェア
開発元 パラダイム エンターテイメント
発売日 1999年11月26日
定価 6,800円(税別)
プレイ人数 1~4人
周辺機器 振動パック対応
判定 良作


概要

かの有名なNeed for Speedシリーズバーンアウトシリーズなどを発売しているエレクトロニックアーツのレーシングゲーム。
フォルクスワーゲンを代表する自動車「ニュー・ビートル」を題材としている。*1
プレイヤーカーは実名の自動車ではあるが、Need for Speedシリーズとは違い、ビートルらしいコミカルな走りや、一部のオブジェクトを壊しまくったりと、だれでも楽しめるようなゲームに仕上がっている。
開発は『パイロットウイングス64』や『ソニックウィングスアサルト』などを手掛けたアメリカのパラダイム・エンターテイメントが担当している。

ゲームシステム

  • ゲームは「一人用」と「対戦用」というオーソドックスな2種類。
    • 更に「対戦用」にはテントウ虫のアイコンを奪われないように集めてゴールを目指す「ビートルバトル」と通常の「2プレイヤー」の二種類のモードがある。
    • 一人用にはチャンピオンシップと呼ばれるモードが用意されており、そこでポイントを集めると新しいビートルが使用可能になる。
    • 車種はビートルしかないがそれぞれデザインや性能が異なるので、同じビートルでもバリエーションは豊富と言える。

評価点

  • 公衆電話や木箱、果てにはショーケースや自分のクルマなどを破壊できる。
    • 「自分のクルマ」は崖に落ちたり矢印の描かれたフェンスに突っ込んだり、ビートルバトルでは相手からダメージを受けまくることで破壊可能。破壊時の動作がリアリティのあるものではなくややコミカルな描写で粉々に砕け散るため、不思議な爽快感がある。 自滅なのに。
    • オブジェクトは破壊時にギミックが起動するものもある。たとえば公衆電話なら破壊された途端に音声が流れる
    • ショーケースに向かって「ダイナミック入店・退店ごっこ」もできる。
  • ショートカットを探す楽しみがある。
    • もしチャンピオンシップで近道を使いまくりたいのであれば、タイムアタックを使って予め近道を探すのもいいだろう。
    • ショートカットの先にはアイテムが設置されていることも多いので、腕に覚えがあればそれらの取得を目指すのも面白い。
  • グラフィックもなかなか美麗。
    • さすがに現代から見ると時代は感じるが、当時としては64のソフトの中でも上位の綺麗さ。
    • ステージの雰囲気も良く、巧みなライティングや閉鎖感を感じさせない背景のおかげで気持ちよくレースを楽しめる。
    • もちろんビートルのモデリングもしっかりしている。ブレーキを踏めばブレーキランプが点灯したり、光の当たり加減によって車体の照り返しが発生するなど次世代機にも劣らない表現がなされている。
    • 壁に当たると火花が発生するなど、細かい表現も嬉しい。
  • 操作性が良い。
    • レーシングゲームにおいては極めて重要な部分。挙動が素直なので、車を動かしていてストレスが少ない。
    • 初見でもとっつきやすいので、友達と集まって遊ぶのに向いている。

問題点

  • 派手さは無い。
    • 高い人気を誇ったマリオカート64F-ZERO Xに比べてしまうと、演出面・プレイ面ではかなり地味。
    • 一応はアイテムやショートカットといった逆転要素も存在するが、本作におけるそうした要素はおまけに近く、先に挙げた作品に比べゲームの根幹に食い込んでくるほどのものではない。
    • 評価点で述べたようにある程度はバカゲー要素もあるのだが、見た目そのものは割と普通でありそれひとつで盛り上がれるようなものでもない。
  • セーブがコントローラーパック限定なので、振動パックを使って遊ぶ際はいちいち入れ換える必要がある。

総評

実車をテーマにしつつも、このゲームの様に爽快感があり、かつコミカルさのあるレーシングゲームはなかなかない。
そして、64では数少ない海外製のレーシングゲームである所も珍しい。 64のレーシングゲームとしてはやや硬派すぎる感も否めないが、完成度は非常に高い一作である。


余談

  • 「キャラゲーはクソゲー」のジンクスを見事に破った。
    • なぜこれがキャラゲーと呼ばれるのかというと、今は亡き公式サイトの解説でこう書かれていたから。

      『ビートルアドベンチャーレーシング』はレースゲームとしてのみならず、
      ニュービートルという独特のスタイルと絶大な人気を持つ車でのドライブを楽しむという『キャラクターゲーム』としての側面をも併せ持っています。
      ニュービートルはその独特のキャラクターで絶大な人気を得ており、旧来からのビートルファンも含めれば、
      人気アニメキャラクターも顔負けのファンを擁する、一大キャラクターともいえるでしょう。
      ~公式サイト内の「ビートル登場」より

  • このように、ビートルのコミカルなキャラ性を活用した為に、事実上「キャラゲー」と呼ばれているのである。
  • ビートルアドベンチャーレーシングの「ビートル」がタイトルコールでは読まれない。
    • やはりホールデンバージョンがある事を配慮した事によるものなのだろうか……。
  • ホールデンのクルマは後年の『Need for Speed: Most wanted (2005)』で再び登場するようになる。
    • 但し、そのクルマはホールデンそのままではなく、前述した「ポンティアック・GTO」であるが、事実上ホールデン製である事は変わっていない。
      • ちなみにベース車となったのは「ホールデン・モナーロ」である。
  • その後、パラダイム・エンターテイメントは2007年発売のTHQのカーアクションゲーム『スタントマン・イグニッション』*2を製作している。*3
    • もしかすると、本作で活用された豪快なアクションが、この「スタントマン・イグニッション」に有効活用されたのかもしれない。
    • しかし、この作品を最後に同社は親会社であるTHQの意向により2008年11月にスタジオを閉鎖。開発メンバーはGearboxなど多数のデベロッパーに移っていった。
  • 本作が発売された年は題材となったニュービートルが日本上陸した年でもある。
    • ちなみに本国仕様は1998年に登場している。

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最終更新:2021年06月18日 22:20

*1 一方、オーストラリアではマツダ・ロードペーサーやポンティアック・GTOのベース元で有名な「ホールデン」の高性能車部門「ホールデン・スペシャル・ビークル(以下HSV)」が手がけた「''コモドアHSV''」を題材にしている。

*2 2002年にインフォグラムがATARIブランドで出したカーアクションゲームの続編。

*3 同社は2000年からインフォグラムの傘下デベロッパーとして活動していたが、2006年にTHQに売却されている。