スノボキッズ

【すのぼきっず】

ジャンル アクションレーシング
対応機種 ニンテンドウ64
メディア 64MbitROMカートリッジ
発売元 アトラス
開発元 ラクジン
発売日 1997年12月12日
定価 6,800円
判定 良作


概要

その名の通り、スノーボードの得意なキッズ達を操作して競うレースゲーム。最大4人対戦が可能。
レース中はジャンプ台でトリックを決めつつ、アイテムを駆使して順位を上げることが重要になる。
大ジャンプ台でトリックを決めた時の爽快感は抜群。


ゲームシステム

基本的なゲームの流れ

  • プレイヤーは最初に5(+α)人のキャラクターの中からレースに用いる1人を選ぶ。
    • 各キッズごとにスピード、コーナリング、トリックの3つの性能が異なり、自分に合ったキャラクターを選ぶことが重要。
    • レースの合間にキャラクターを変更することも可能。
  • 次にボードを選択する。
    • ボードはフリースタイル、オールラウンド、アルペン、スペシャルの4種類。さらに各ボードに対してレベルが1~3まで設けられている。
      • ボードの種類によってスピードとコーナリング性能が異なり、レベルが上がるごとにスピードが速くなる。
      • スペシャルボードは例外で、3つそれぞれ極めて特殊な性能を持っており、いわゆる隠し要素的位置づけとなっている。
    • 最初に選べるボードはフリースタイル、オールラウンド、アルペンの各レベル1のみ。
  • 次にコースを選択し、レースを行う。
    • 最初に選べるコースは6種類。全コースで1位を獲得すると、選べるコースが1つずつ増えてゆく。
    • レースは必ず4人で行なわれ、足りない分はCOMが担当する。1位から3位までが所定の賞金とレース中に得た所持金を得ることができる。
      最下位になると賞金が手に入らないどころかレース中に得た所持金も没収される。全く美味しいところが無い為、最下位転落は可能な限り避けたい。

コース上のショップとトリック

  • レースを行うコース上には各所に赤いショップと青いショップが存在する。
    • どちらのショップも金100以上を持った状態で体当たりすることでショットアイテムを購入できる。
      • 赤いショップで得られるショットは、様々な効果を持った弾を3発撃つことができる。
      • 青いショップで得られるアイテムは、特殊な効果を得られるアイテムを使用できる。
      • ショットとアイテムは同時に所持できるが、持った状態でもう一度ショップに体当たりすると上書きされる。
    • ただしこのショップ、持ち金が無いとアイテムを購入できない。金を得るには、コース上に落ちているコインを拾うかトリックを決める必要がある。
      • トリックを決めるにはジャンプ台でコマンドを入力しなければならない。ジャンプ台以外でも出来るが、高さが足りないと転んでしまう。
      • 各キャラクター固有のトリックも存在し、難易度の高い(コマンド入力の多い)トリックほど得られる金額も多い。
      • 十分な金が無い状態でショップに体当たりすると「お金が足りないよ」というボイスと共に弾き飛ばされて転倒してしまい、タイムロスになる。

レースの合間にできること

  • レースの合間にはボードショップへ行ったり、「スキルゲーム」を行ったりできる。
    • ボードショップではレースで得た金を使ってレベル2~3のボードを買うことができる。
      • 各ボードのペイントも可能で、こちらは無料。20種類ほどのデザインの中から好きなものを選べる。
      • 条件を満たすとスペシャルボードも買えるようになるが、他のボードに比べるとかなり高額。
    • スキルゲームは、1周のタイムを競うスピードゲーム、トリックを競うトリックゲーム、コース上の雪だるまを破壊して回るショットゲームの3種類。
      • 全て1人用だが、意外に歯ごたえがあってやりこみ要素が多い。
      • 一部のスキルゲームで規定以上の成績を残すと、スペシャルボードが買えるようになることもある。

評価点

キチンと表現された「スノボ」

  • スノボ故にアクセルやブレーキといった要素はなく、すべて慣性で滑っていく。
    • 当然傾斜の緩やかな場所で転倒すれば、ジャンプをした勢いで再び滑り出さなければならない。
    • また、立ち上がった際にボードが逆向きになり、一部のボードでは性能が鈍ることもある。

絶妙なレースバランス

  • COMの強さ、アイテムのバランス、トリックの重要性などが相まって、非常にレースの駆け引きが奥深い
    • COMの強さは設定で変えることができないが、強すぎず弱すぎず、手応えのあるものとなっている。
    • ショット、アイテム共に順位が低いと強力なものが出やすいため、4人の差がつきにくく混戦になりやすい。
      • 最下位からでも一発逆転が可能で、1位でも緊張感のあるレースができる。
    • ショットの種類は豊富で、それぞれ特徴的な性能を持つ。単に相手を転ばせるだけでなく、パラシュートで飛ばしたり雪だるまにしたりと笑えるものも多い。
    • やや難度は高いが相手のショットをタイミング良くジャンプしてかわすこともできる。
    • アイテムの種類も、スピードアップはもちろんのこと、相手を転ばせる小石から相手のショットやアイテムを透明になってかわすことができるものまで様々。
    • ジャンプ中はアイテムが使えないので、相手のジャンプに合わせてアイテムを使うといった「待ち」の姿勢も重要になる。
    • トリックをたくさん決めて大金を稼いでゴールすれば、たとえ1位になれなくても速いボードを買って再挑戦できる。
      • ただし最下位になるとそのレース中で得た金は全額没収なので、時にはトリックを捨てて順位を取りに行く決断も必要。

対戦の楽しさ

  • 上記のようにレースバランスが優秀なので、対戦は非常に盛り上がる。
  • 対戦では各コースの周回数を変更することができる。強力なアイテムの存在もある為、それこそ周回遅れからでも一発逆転が可能。
  • 特に対戦の場合、リフト乗り場での攻防(?)が熱い。
    • 一人ずつしかリフトに乗れないので、前の人との差が小さいとバーに弾かれてしまい、後から来た人にどんどん先に乗られてしまう…なんてこともありうる。
    • リフト乗り場は必ず全員が通るので、その直前に小石を仕掛けて転倒を狙ったり、爆弾ショットでまとめて吹きとばしたり…といった妨害もできる。
  • 他にも「ハーフパイプエリアで相手に雪だるま弾を当て、長時間操作不能にする」「大きなジャンプ台の直前でパラシュート弾を命中させ、大幅にタイムロスさせる」「ジャンプで崖を越えようとした瞬間にタライを直撃させる」といった戦法もある。何れも下手すれば友情ブレイクしかねない程に強烈な効果を持っている為、ご利用は計画的に。

バリエーション豊かなコースの数々

  • コースは序盤こそ長閑な雪山が続くが、中盤からは深夜の廃道「ひとしらずのみち」、緑や向日葵の広がる草原「みどりがおか」、営業終了後の遊園地「きょうりゅうぱぁく」、流砂たっぷりの砂漠「さらさらだに」、猛吹雪の雪山「まっしろしろやま」、テーマが日本の四季でリフトが籠、城の前にはバカ殿が描かれ、忍者を模したライバルキャラが飛び出す「にっぽんちゃちゃちゃ」など個性的なコースが登場する。
    • コースのモチーフに合わせたコース上のギミックも様々で、走っているだけで楽しめる。
      うっかり当たると転んでしまう子ペンギン、弾き飛ばされてしまうコーヒーカップ、凍結した川の上、砂漠の流砂、崖に掛けられた吊り橋などなど……。
    • 各コースは長さも周回数も異なる上に、中にはショートカットや分かれ道が存在するコースもある。
      • ただしショートカットについては極端に有利になるルートにはなっていない。
    • どのコースでもジャンプ台は各所に存在し、中には超巨大ジャンプ台も存在する。
    • 各コースの専用BGMも極めて良好で、スピード感と爽快感を引き立てるのに一役買っている。
      • 特に終盤の「きょうりゅうぱぁく」「さらさらだに」「まっしろしろやま」は非常に評価が高い。

爽快感溢れるトリック

  • ジャンプ台で決めるトリックは爽快感抜群。
    • トリックの仕方は比較的簡単で、固有トリックのコマンドを覚えていなくても汎用トリックは誰でもできる。
    • 汎用トリックのみ、トリック中にグラブ*1を織り交ぜることが可能で、より多くの金を得られる。
    • 固有トリックは説明書に記載されたもの以外にも数種類存在する。
    • トリックは設置されたジャンプ台以外にも、ちょっとした窪みや段差で行うことができる。そういった場所を探しながらレースをするのも、本作の醍醐味の一つ。

隠し要素

  • 最初の6コースを全て1位で通過すると新たなコースが増えていき、最終的には9コースになる。
  • 各種条件を満たすと手に入るスペシャルボード3つは非常に個性的で、使うと一味違うレースを楽しめる。
    • 純粋に高性能なもの以外にも、羽のように軽く飛びぬけたジャンプ力を持つものと、氷のようにエッジが利かないがスピードが速いものが存在する。
    • 特に羽のように軽いボードでコース中の大ジャンプ台を飛べば、まるで飛んでいるかのよう。
  • 9コース目には忍者に扮したキャラクター「シノビン」がCOMとして参戦し、勝てばプレイアブルキャラクターとなる。
    • このシノビンはそれまでのCPUが可愛く思える程に強い。コースの1周が短いこともあって、油断しているとあっという間に周回遅れにされてしまう。また忍者であるためかCOM操作時のみ透明化を行う頻度が高く、ショットなどを無効化されるケースが多い。
    • プレイアブルキャラクターとしても各性能が総じて高いが、ボードは専用の3種類からしか選べない。その3種類もクナイやそろばんがモチーフになった個性的なもの。

賛否両論点

レース特化のゲームシステム

  • 本作には明確なストーリーモードのようなものが存在しない。そのためキャラクター同士の絡みはほぼ存在せず*2、ボス戦なども無い。
    • 一応最終コースのシノビンがラスボスとも考えられるが、前述の通り特に絡みはない上、シノビン自体も最終ステージに至るまで登場を匂わすような伏線などは一切なく、ステージスタート時に何の説明もなくスタート地点に並んでいるという有様である*3
    • ひたすらにレースを楽しみたいプレイヤーにとっては「余計な情報を見なくてもよい」「面倒なミニゲーム要素に手間を費やさずに済む」と評価できる為、一概に問題と断じる訳にもいかない。実際、本作以外のレースゲームにおいてもキャラクター性を盛り込みつつストーリーが存在しないものは多くある。
  • 続編の『超スノボキッズ』ではストーリーモード・ボス戦が盛り込まれている。レースを楽しむ為の手間が増えた、という指摘も確かにその通りではあるが。

クセのあるキャラクターデザイン

  • パッケージを見てもらえば分かる通り、本作はややクセのあるキャラクターデザインをしている。この点については人によって好みが分かれる。
    • またキャラクターの1人「リンダ=マルティーニ」はスノボをするというのに「上半身が赤い水着ブラジャー1枚」という軽装で滑る。他のキャラはきちんとスキーウェアを着用しているが、何故か彼女はステージを問わずこんな季節外れの姿である*4
      • ただでさえ大ジャンプや転倒・転落が相次ぐレースでその軽装っぷりはある意味非常に危険。常にホワイトアウト現象が発生している「まっしろしろやま」などではレース中に凍傷でも起こしかねない。
      • ただし「みどりがおか」と「さらさらだに」ではその姿がステージとマッチしているため、雪山以外のステージに似合うように設定されたのかもしれない。裏を返せば、この2ステージではリンダを除く他キャラクターの格好に違和感が生じてしまうという事でもあるが。
      • 「そのスノボをやるとは思えない程の軽装っぷりがいい」と言ってのける紳士プレイヤーも決して居ない訳ではない。…が、それでいいのか?

問題点

どうしても感じてしまうボリュームの少なさ

  • コースは全9コースとやや少なめ。どのコースも個性豊かで似通ってないとはいえ、やはりボリューム不足感は否めない。
  • プレイアブルキャラクターも先述の「シノビン」を含めてたった6人しかいない。
  • スキルゲームの内のスピードゲームとは別に「タイムアタック」というモードがあるのだが、内容がスピードゲームとほとんど変わらない上に新記録を出しても金が得られたりするわけでもなく、存在意義が薄い。
    • スピードゲームで遊べるコースは序盤のものしかない為、一応そこで差別化できてはいるのだが…正直な所「後半ステージの予習」「見返りを求めずひたすらタイムを削っていくやりこみプレイ」以外の用途を見出し難い。後者こそが本当のタイムアタックだと言われれば、確かにそうなのだが。
    • 何故か存在するリプレイ再生機能を使ってかっこいい滑走を演出し、悦に入る事も一応は可能。

レース・コースの仕様

  • 1人プレイだとコースの周回数を自由に選ぶことができず、好きなコースを何周も楽しむといったプレイは不可能。
  • レースは必ず4人でしかできず、参加するCOMのキャラクターも選べない。
    • 最終ステージのみ強制的にシノビンが含まれるが、残り2名はやっぱりランダム。
  • 横幅の狭いコースが多く、トリックの際に十分方向を調整しないと横の壁にぶつかりやすい。特に高難度コースで顕著。
  • 当時のレースゲームでよく見られた「CPUのインチキ加速」が本作にも存在している。プレイヤーが首位の場合、ショートカットやアイテムの加速を駆使しても、2位のCPUが謎加速でぴったり付いてくるのである。
    • 一方で3位と最下位のCPUは目立った加速をしてこないものの、かなりの頻度でタライやゴースト等の妨害アイテムを使用してくる。妨害を受けている隙に、後ろに張り付いていた2位CPUにあっさり抜かれてしまった…というのは、多くのプレイヤーが一度以上は経験しているのではなかろうか。
      • 特に最終ステージ「にっぽんちゃちゃちゃ」はそれが顕著。これに前述のシノビンの透明連発が加わるため、最終ステージは事実上プレーヤーの腕以前に「CPUがどれだけ透明と妨害を使ってこないか」という点が問われる運ゲーと化している。

ジャンプ・トリックの仕様

  • 固有トリックは高難度であるほど入力コマンドが複雑。そのため最初の内は入力コマンドの暗記に苦労する。
  • トリックは着地に成功した時点で成功となり、金が加算される。そのためジャンプ中に壁にぶつかったりすると、せっかくその前にトリックを決めていても金が加算されない。
    • 特にスペシャルトリックはモーションが長いため、ジャンプ台によっては絶対に着地できないトリックもある。
  • スキルゲームの1つ、トリックゲームにおけるハーフパイプが非常に利用しにくい。ある程度スピードをつけないとハーフパイプに上れないので、ロースコアが確定する。

キャラクター性能の問題

  • キャラクター間の性能バランスは洗練されているとも悪すぎるとも言い難く、基本的にどのキャラでも1位を狙えるようにはなっている。ただしスピードは速いが重量級ということを差し置いてもコーナリングが劣悪な「トミー=パーシー」だけは使い勝手が非常に悪い。
    • 重量級のキャラの操作性が悪いのはバランス調整としては妥当なのだが、そのコーナリングの悪さが極端すぎる。同じスピード寄りのリンダと比べてもそのコーナリングの悪さは雲泥の差。使うボードを間違えるとコーナーを曲がることすらままならないほど。

その他

  • 透明化するアイテムを使うとショットや妨害アイテムを無効にできる一方で、フリーズショットで氷漬けになった敵にはぶつかってしまったり、ゴーストによる速度低下効果を受けたりするなど、仕様が紛らわしい。
    • 特に「透明でもゴーストの効果を受ける」仕様については説明書の4コマ漫画でもネタにされている。
  • あまり普及せずに終わったコントローラパック対応で、これがないとセーブができない。
    • 使用する保存領域はなんと121ページ分。この作品のデータ一つだけでコントローラパックの容量がカツカツになってしまう。
    • 対戦時にはプレイヤーそれぞれでコントローラパックのセーブデータを持ち寄る必要がある。コントローラパックを使わないプレイヤーは使用できるボードを全く増やしていない初期状態で戦わなければならない。
    • ある裏技を使用すれば、コントローラパック無しでも最初から隠し要素を全解禁+同キャラ対戦可能という状態で始められる。本作にはストーリーなども特に無いため、気にならないのであれば救済措置として使ってしまっていいだろう。内容が内容なので此処での説明は控えるが、裏技の詳細も「スノボキッズ 裏技」で検索すれば簡単に発見できる筈である。
    • 当wikiを始め各所で高い評価を受けているにも拘らず本作がVC等で配信されていない原因の一つがこの仕様なのではないか、と推測されている。

総評

シンプルな作りながら、絶妙なレースバランスの上で多様な駆け引きを楽しむことができる、レースゲームの王道的作品。
ジャンプ台でのトリックやバリエーション豊かなコースが、そこに一層の彩りを添えてくれている。
1人プレイでももちろん楽しめるが、多人数でプレイすればより盛り上がりを楽しみつつ長く遊べるだろう。


関連作品

  • 正式な続編として『超スノボキッズ』が発売されている他、PS用の『スノボキッズプラス』、ニンテンドーDS用の『スノボキッズパーティー』が発売されている。
    • 『超』『プラス』でのキャラクターデザインは本作のものを引き継いでおり、『超』についてはリンダの軽装っぷりが若干改善されている。本当に若干ではあるが。
    • 一方『パーティー』ではキャラデザインと設定を一新。クセが少なく個性が薄れ…もとい、受け入れられやすいデザインになった。更にショットの性能がキャラ毎に固定となった他、一部続投キャラはその性能まで変わってしまっている*5
      • 『パーティー』にはアトラス繋がりのゲストキャラとして「ジャックフロスト」が登場。更に、条件を満たせば本作におけるシノビンの立ち位置のキャラとして「じゃあくフロスト」まで出てくる。モデル替えの手抜き、とは言わないであげてください。
  • ゲームを軸としたSNSであるGREEにおいても、本作をモチーフにした同名の作品が配信されている。

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最終更新:2024年03月23日 06:29
添付ファイル

*1 ボードの前後左右いずれかをつかむトリックのこと。

*2 せいぜい説明書に載っている前日譚と、エンディングで流れる寸劇程度

*3 エンディングの寸劇にもシノビンはいない。その様は紛う事無き忍者、本当の意味での隠しキャラである。

*4 隠しキャラのシノビンもステージ問わず忍者装束だが、そこは忍者の隠しキャラなのであまり突っ込んではいけない。いいね?

*5 例えば本作でバランスの取れた性能だった「スラッシュ=カメイ」が、『パーティー』ではトリック重視の性能になっているなど