がんばれゴエモン ~でろでろ道中 オバケてんこ盛り~

【がんばれごえもん でろでろどうちゅう おばけてんこもり】

ジャンル アクション
対応機種 ニンテンドウ64
メディア 128MbitROMカートリッジ
発売元 コナミ
開発元 コナミコンピュータエンタテイメント大阪
(がんばれゴエモン製作委員会)
発売日 1998年12月23日
定価 7,800円
プレイ人数 1~2人
セーブデータ 3個
判定 良作
ポイント シリーズ屈指の高難度
根本的な面は十分に良作
本家チーム最後の開発作品
がんばれゴエモンシリーズ


概要

『がんばれゴエモン』シリーズのニンテンドウ64版第2作目。

3Dアクションアドベンチャーであった前作『ネオ桃山幕府のおどり』から再び作風を転換し、3Dグラフィックを基調としつつ『奇天烈将軍マッギネス』と同様の横スクロールアクションとなった。


ストーリー

物知りじいさんに呼ばれ忍者屋敷へとやってきたゴエモンとエビス丸。
今回じいさんが作り上げたモノは、死者を復活させる事ができるという禁断の発明「召還マシーン」だった。
話を聞いたゴエモンたちは早速その起動実験に付き合う事に。
ところが突如、かつて未来の大江戸で戦った悪人シスター・ビスマルが乱入し、マシーンを奪っていずこへと逃げ去ってしまう。
ビスマルはそのマシーンを使って魔界のプリンスを召還し、この世を2人の愛の世界に変えるつもりだという。
ゴエモンとエビス丸は、ビスマルの企みを阻止すべく後を追うのであった。


ゲーム内容

『マッギネス』と同様のエリアマップ型の横スクロールアクションとなっており、システム面の基本も踏襲している。

基本操作

  • 本作ではSFC時代の操作性を踏襲しているが、メインウェポンとサブウェポンの切り替えがなくなり、特殊アクションの発動も含めて各自個別のボタンに割り当てられるようになった。
    • 前作に於ける3Dスティックでのライトポジション操作が基本となっており、スティックの傾け具合によってキャラクターの移動速度の微調整が可能になっている(スティックを倒しっぱなしにするとダッシュ)。
      ファミコンポジション(十字ボタン+ボタン)にも対応しているためSFC時代と同様の操作性で遊ぶことも可能だが、こちらの場合、移動速度は町・道中ステージいずれも常時スティックを倒し切った時と同様になる。
      • また、町ステージのみボタンダッシュが可能で、Bボタンを押しながらダッシュすることで更に速いスピードで移動することが可能。

エリア構成
全5エリアからなり、各エリアは以下のステージから構成される。

  • 『道中ステージ』
    • 妖怪だらけの道中を進むアクション面。ゴール地点で落ちてくる「ゴールたぬき」を破壊することでクリアとなる。
      • 初クリアしたステージでは手形が入手でき、クリア済みのステージを再クリアすると小判が手に入る*1
    • 『マッギネス』同様、ルート分岐が発生するステージもあるが、本作では偽のゴールは存在しない。
  • 『町ステージ』
    • 情報収集・アイテム購入を行う。
      旧作と異なり、町民への攻撃によるペナルティやボーナスキャラ・マイナスキャラの要素はない。
      また、ミニゲームを遊べる施設も本作では存在しない。
  • ボスを目指して突き進む『城ステージ』
    • 道中ステージよりも格段にステージが長く、難易度が高い
  • インパクトに乗って巨大メカボスと戦う『インパクト戦』
    • 本作のインパクト戦は城ステージの一部として組み込まれており、城ステージにおける2Dボス戦の後、そのままインパクト戦へ移行する。
  • 旧作よりもステージ構成が全体的に長くなっているため、道中ステージ及び城ステージについてはこれぞうくんが配置されている他にも中間ポイントが用意されて(目印は特にない)おり、ある程度進んだ状態でミスすると中間ポイントからの再開になる。また、いずれも制限時間は廃止されている。
    • また、マッギネスではこれぞうくん取得後にゲームオーバーになった場合にコンテニューした時のみ取得地点から再開でき、ゲームオーバー前にセーブするとこれぞうくんの効果がステージクリアまで記録されるようになっていたが、本作ではコンテニュー後は必ずステージ冒頭からのやり直しとなる。
    • また、『マッギネス』ではエリアクリア時に自動セーブされたが、本作ではセーブするか否かは任意で選ぶ。

基本ルール

  • ダメージを受けるとライフが減少し、0になるとミス。
    穴・即死地形への落下及び圧死系の障害物に巻き込まれた場合はライフ残量に関わらずミスになる。
    • ミスすると残機が1減り、0になるとゲームオーバー。
    • セーブデータから再開もしくはゲームオーバー後にコンテニューした際は、残機数が3以上、所持金が100両以上の場合はそのまま据え置きで、それ以下の場合は初期値に戻ってゲーム続行となる。
  • ミス後の仕様変更
    • 「マッギネス」ではステージ攻略中にミスした場合はエリアマップに戻されたが、本作ではゲームオーバーになるまで継続してリトライすることになる。
      • その代わりにスタート地点左側を通過して画面外に出ることでエリアマップに戻れるようになっている。
    • クリア済みの道中・町ステージならポーズ画面の選択肢から任意にエリアマップに戻れる(ただし、町ステージは出口からでないと出た事にならず選択肢はでない)

3Dグラフィックを活かしたフィールド構成

  • グラフィックは全ステージ3Dで描かれており、画面には奥行きがある。
    • ステージの分岐で奥行きの方に進むことができたり、画面の奥から攻撃してくる敵や奥から手前に倒れてくる障害物が存在したりするなど、3Dであることを活したギミックが多く取り入れられている。
      城ステージの中ボス戦では、サイドビュー視点固定の他、サイドビューを基調としつつ360度の立体フィールドで戦うことになるボスキャラも存在する。
    • 町ステージも横スクロールなのだが、3Dグラフィックのおかげで手前⇔奥の動きがよりリアルなものになっている。疑似3Dスクロールを採用してきた本シリーズにとっては正統な進化といえるだろう。

時間帯の概念

  • 本作では各ステージ内での時間経過により、道中ステージでは『昼・夜・昼』、町ステージでは『昼・日没・夜・朝』の順に時間帯が変化する。
    • 時間帯によって登場キャラクターに変化があり、道中ステージの敵キャラやミッション関連のNPCの中に現れる時間帯が限定されているものが存在する他、夜にしか受けられないミッションもある。
    • 道中ステージの夜間に出現する敵は多少強いが、落とす小判の量が昼間の敵よりも多いので金稼ぎがしやすい。
      • また、説明書や攻略本では言及されていないが、昼間に出現する敵が落とす小判の量も夜になると倍に増える。
    • BGMも時間帯にあわせて変化する(城ステージを除く)。
    • 時間帯の変化はエリアマップ上にも反映され、朝・昼だとマップ上も明るく、夕方・夜だと暗くなる(マップ上では時間の進行は止まる)。

各種施設

  • 宿
    • 体力回復施設兼セーブポイント。泊まると回復と共に時間帯が朝になる。無料の部屋も有り、回復しないかわりに朝にしたいだけの場合に使える。
  • 万屋
    • 防具やアイテムを売っている店。
  • 飯屋
    • 食べ物を食べてその場で体力回復する。一番高い食べ物を買うと体力が全回復残りに加え残機数が1人増える。
    • 標準的価格の「元祖まんぷく飯屋」と、回復効果は同一で「元祖」よりも料金が微妙に安い「本家まんぷく飯屋」の2種類がある。
      • 後者の方がお得だが、代わりに店員の接客態度が「元祖」より悪い。更に「飯屋で平然と売るものかこれ?」と言いたくなるようなものを売っていたりする(むき出しの生野菜とか袋詰めの生うどんとか)。
  • 茶店・異次元茶店
    • プレイヤーキャラを変更する場所。茶店は町ステージに、異次元茶店は道中ステージ内のキャラチェンジが必要になる箇所の近辺にのみ、それぞれ存在する。

キャラチェンジ

  • 従来通り、キャラクターの各能力を使い分けて攻略していく。
    • 旧作のような探索要素は強くはないが、塞がれたルートの先にアイテムが配置されている場合がある。

手形

  • 本作では『マッギネス』でもあった特定ルートの通過に必要な『手形』の比重が大幅に増加しており、城ステージへのルートを塞ぐ関所を通過するために手形を規定数以上集める必要がある。
    • 手形は道中ステージを初めてクリアした時や人からの頼みごと(ミッション)をクリアした時に入手ができるが、ミッションの一部には受けられるキャラクターや受けられるタイミングが限定されているものもある。
    • 全ての手形を集めると隠し要素が解禁される。解禁されるのは各キャラの着せ替えコスチュームと4人同時プレイ。

ライフゲージと「金の招き猫」の変更点

  • 本作における「金の招き猫」は鎧と同じ防御用の消費アイテム扱いであり、体力の最大値自体は3で固定。
    • ライフ自体の最大値を上昇させる手段は一切なく、下記の防御アイテムがその役割を実質的に果たしている。
  • ライフゲージ(赤)の下に表示された鎧ゲージ(青)は各種防御アイテムの防御力を示しており、
    町で鎧を買ったり道中にある「金の招き猫」を取ることで増加して最大3ポイント分までダメージを防ぐことができるが、地形穴に落ちてミスすると消滅してしまう。
    また、道中に配置された金の招き猫は1度取ると同じ場所では2度と取れなくなる。
    • ボス戦においては救済措置として2度目にトライする時は銀の招き猫が、3度目以降は金の招き猫がそれぞれ2個フィールド内に配置される。

2人同時プレイとおんぶシステムの復活

  • 2人同時プレイができるようになり、『マッギネス』にあったおんぶシステムが復活。
    • 上に乗ったキャラクターによって通常とは違う攻撃ができるなどバリエーションが増えた。さらに条件を満たすと4人同時プレイも可能。

インパクト戦

  • エリア最後のボス戦はおなじみのゴエモン・インパクト戦となる。
    • 180度の立体視点のコクピット画面でコマンド入力による必殺技と通常技を駆使して戦う。油や小判を稼ぐ前哨戦ステージは存在せず、各ステージ共に油=500、小判=573両で固定となっている(2体のインパクトを同時操作するため実質的にはいずれも2倍)。
      • 敗北しても残機数には影響せず、初戦含めて3回敗北した時点でゲームオーバー。コンテニュー後は城ステージクリア時点での残機数を引き継いでエリアマップからゲーム再開となり、城ステージを選択することで再戦となる。インパクト戦を未クリアの状態でも道中・町ステージに戻ることが可能。
  • 協力バトル
    • 本作ならではの新要素として、おみっちゃんをモデルにした新型メカ「ミス・インパクト」が登場。2体のインパクトの連携プレイで戦う。
    • 1人プレイでは1P側とCOM側に分かれ、2体のインパクトをバトンパスによる交代で切り替えつつ操作し、2人プレイ時の場合は、主観画面視点側とフィールド側に分かれて操作を分担する。1Pプレイ時と同様、バトンパスでコクピット側とフィールド側の切り替えが可能。
      こちらの攻撃や敵の攻撃がフィールド側の味方にあたると転倒して一時的に動けなくなるが、油は減少しない。
    • 交代中は敵の攻撃がキャンセルされるという特徴があり、これを敵の攻撃の回避に利用できるが、受け損なうと交代がキャンセルされバトンパスからやり直しとなる。
      • 本作の敵メカはいずれも直接回避しづらい、もしくは回避できない必殺技を出してくるためバトンパスでの交代回避は必須テクニック。
        やみくもに攻撃していると相方が巻き込まれて肝心な時に交代できなくなることもある。
    • 2Pプレイ時のフィールド側が出せる技は、Bボタン=ハナ小判・キセル(2P側=おぼん)攻撃と、Aボタン=ジャンプの3つで、ダメージソースになるのはハナ小判のみ。
      キセル攻撃はコクピット側に大きく敵を吹き飛ばす効果を持ち、コクピット側・フィールド側でタイミングよく敵を吹き飛ばしあうことで連携攻撃につなげることができる。
    • 1人プレイ時・2人プレイ時いずれの場合も主観視点側のインパクトの油が0になった時点で敗北となり、残ったインパクト側で戦闘を続行することはできない。

各キャラクターの性能
キャラクターの性能及び武器のパワーアップシステムも『マッギネス』以降に準拠しており、敵を倒すとあらわれる「銀の招き猫」を取ることで武器レベルが1段階上がり、ダメージを受けると1段階低下する。

+ ...
  • ゴエモン
    • 移動速度・素のジャンプ力共に平均的だが、唯一二段ジャンプが可能なのでジャンプ力は最も高く、ジャンプ力自体が低めの本作では初心者向きの性能となっている。
    • 武器:キセル→銀のキセル→黄金キセル
      • パワーアップごとに攻撃力とリーチが伸び、上方向への攻撃範囲も広くなる。
    • サブウェポン:小判/ため攻撃:炎の小判。前方に強力な小判を投げる。
      • おんぶ攻撃:波動小判。前方に強力な小判を投げる。
    • 特殊アクション1「チェーンキセル」
      • 本作では「卍ブロックを壊す」という効果になっている。
    • 特殊アクション2「二段ジャンプ」
      • ジャンプ中にAボタンを押すことで二段ジャンプする。2度目の入力のタイミングはややシビア。
        また、二段目のジャンプは一段目のジャンプ中にしか出せず、一段目のジャンプ後の下降中に二段目のジャンプを出すことはできない。
  • エビス丸
    • 移動速度は最低で、ジャンプ力は3番目に低いが、ジャンプ力については2つの特殊アクションの併用で補える。
    • 武器:ナニワのしゃもじ→うるわしの羽子板→化粧羽子板(パワーアップごとに攻撃力とリーチが伸びる)
    • サブウェポン:手裏剣/ため攻撃:オナラボム。おならを放って攻撃。
      • おんぶ攻撃:ゲッシュニンキラー。追尾能力を持つ手裏剣を投げる。
    • 特殊アクション1「ヒップアタック」
      • ジャンプからのしりもちで攻撃。発動中は完全無敵。横方向への飛距離は短いが縦方向への飛距離が高く、特殊アクション2と併用することでジャンプ力を補える
    • 特殊アクション2「美声のメガホン」
      • 実体化した「ホニー」の声を前方に放ち、敵への攻撃の他、足場としても利用できる。
        実体化した声は一定時間経過するか、1文字それぞれに攻撃を当てることで消滅する。画面外に向かって発射した場合含め、1度発射すると効果が消えるまで次の攻撃を放つことはできない。
  • サスケ
    • 移動速度はゴエモンとエビス丸より速いが、ジャンプ力は4人中、最も低い。
      珍しく性能面がやや不遇だが、背が低いため一部の敵の攻撃や障害物を避け易いという利点はある。
    • 武器:クナイ→クナイ大切り→クナイ二刀投げ。
      • 切ると同時にくない1発を前方に射出。投げたクナイで敵を倒してもアイテムは出ない。
    • サブウェポン:爆弾/ため攻撃:花火爆弾。強力な爆弾を放って攻撃。
      • おんぶ攻撃:八双クナイ。八方向にクナイを投げる。
    • 特殊アクション「サスケダイブ」
      • ヤエ同様に水中を移動することができる。その間は動きがやや鈍りクナイによる接近攻撃しかできなくなるため、ヤエに比べると不利だが、移動中に働く慣性が小さいためヤエよりは操作し易い。
  • ヤエ
    • 地上では移動速度がサスケと同等でジャンプ力は2番目に高い。キャラ性能を補える特殊アクションは存在しないため、水中に強い一方で地上では特筆して有利と言える点はない。
    • 武器:短刀→くのいちの刀→覇王の刀
      • パワーアップする毎に攻撃力とリーチが伸びる。
    • サブウェポン:ヤエバズーカ
      • ため攻撃:ロックオンバズーカ。溜め中に敵をロックオンし追尾性能を持つ弾を放つ。
      • おんぶ攻撃:ナパームバズーカ。ヒットすると拡散し、周囲の敵も巻き込む。
    • 特殊アクション:「ヤエ人魚」
      • 名称は従来と異なるが効果はお馴染み「人魚変化の術」と同じで、水中を自在に移動&高速突進で攻撃可能。突進中は無敵状態だが、加速の終わり際に隙が生じるようになった。
        また、本作では変身中もサブウェポンでの攻撃が可能でお金を消費せず撃てる(ただし溜め撃ちは不可)
        サスケダイブよりも有利だが、移動中に働く慣性が強めでサスケよりも操作し辛いため、ダッシュアタック中の隙も含め操作に多少の慎重さを要するようになった。

その他

  • 個性的な敵キャラクターたち
    • 本作の敵はタイトルにもある通り、個性豊かな妖怪たち。「一つ目入道」「子泣きじじい」といったメジャーなものから「魔女」バックベアードといった西洋の妖怪まで出てくる。過去の作品から再登場した敵もいる。
  • 乗り物
    • 『マッギネス』同様、一部の敵の乗り物を奪って乗ることができる。種類は「うま」「戦車」「和菓子将軍」の3つだが、いずれも乗れるエリア及びステージは限られている。
      • この内、「戦車」は後ろから押す役と乗り込んで攻撃する役に分かれているので、1Pプレイ時は押し引きして動かすことしかできない。

評価点

ゲーム面

高難度ながら良好なゲームバランス

  • 本作の難易度は過去作と比してかなり高めの部類に入っているが、根気よく挑めばクリアできる範囲内に落ち着いている。
    • 城ステージの凶悪な難易度とその長さはよく話題になるが(特に最終面では残機を数十機買い込むのは当たり前、99機まで増やして挑むプレイヤーもいたとか)、良質なBGMや手の込んだ作りのおかげで、むしろ1回しか挑戦できないのが惜しいという表する声も多い。

キャラバランスの是正

  • シビアなジャンプアクションを要求されるゲーム性に合わせてゴエモンとエビス丸のジャンプ性能が補われたことで、過去作では冷遇気味だった二人の使用価値が上がった。
    それに加え、過去作で突出していたサスケとヤエの性能にも調整が入ったこと、サスケに潜水能力が付加され水中ステージがヤエの独壇場でなくなったこともあり、過去作で顕著だったキャラバランスの格差がある程度、是正された。
    • ジャンプ力の安定したゴエモンが最も使われやすく、地上での速度が最速である一方でジャンプ力が最低で水中でもヤエに比べて利点が少ないサスケが使われにくい傾向はあるが、過去作に比べて各キャラの能力が必要となる箇所も比較的偏りなく配置されているため、キャラ間のバランスに関する批判自体は過去作ほど聞かれていない。
    • かつては機動性の低さや特殊能力の限定的な扱いゆえにピンポイント要員になりがちだったエビス丸は、ヒップドロップの反動によりゴエモンの二段ジャンプに次ぐ高いジャンプが出せることに加え、足場にもなる美声のメガホンのお陰で歴代中、安定感が最も高い。
      更に、美声のメガホンの足場は仲間も利用出来るため同時プレイ時にサポート役もこなすことが可能……と、優秀なキャラクターになった。
  • 1エリアごとに必ずインパクト戦が用意されており、過去作よりも戦闘の回数が増えている。

前作の問題点の改善

  • 前作と異なり、セーブにコントローラーパックは不要になった。保存できるファイルはきちんと3つ分、確保されている。
  • インパクト搭乗シーンのムービーをエリア2以降、飛ばすことができるようになった他、インパクト戦でポーズがかけられるようになった。ポーズをかけると技のコマンドを参照できる。
  • おまけ要素の解禁条件が改善された。
    • 上述の手形ミッションの一部にクリア後限定の依頼が存在するため、本作のおまけ要素解禁条件である手形コンプリートを達成できるのは全面クリア後になってからで、それまでに受けなかったミッションはクリア後に改めて受けられるようになっている。
      • これにより『3』『ネオ桃山幕府』の問題点であった「条件の満たし損ねによる取り返しのつかない事態」が起きなくなり、1度のプレイで条件達成のためにやっきにならずに済む様になった。
        手形ミッションはほとんどがお使いイベントで作業感が強く、一部にミッションクリアまでの過程がかなり面倒くさいものもあるのでこの点はありがたいところ。

BGM

  • 城ステージのBGMは歴代でも屈指の名曲揃い。
    • 竜宮城の「亀上的竜宮生活」、大江戸城の「Burning my soul」は特に人気が高く、『新世代』でアレンジされたり『東海道中』のラストステージのBGMとして使われたりしている。
    • 魔人城の「サンシロウ」は、そのいかにも『でろでろ道中』というタイトルに相応しい曲調と、使われているステージの鬼畜度の高さからこちらも多くのプレイヤーの印象に残った。
    • 城は通常ステージよりも長丁場なこともあって進行具合によって曲調が変わるという仕掛けがあり、何度もやり直すプレイヤーを飽きさせない。この盛り上げ方の上手さも人気となった一つの要因である。
  • 時間帯の変化に合わせてBGMが各エリア専用の物に変化するようになっている。
    • 道中・町ステージでの時刻の切り替わりに応じてBGMの導入部分が変化するなど音楽面でのしかけも凝っている。
  • 景山ヒロノブ氏が歌うオープニングテーマや水木一郎・丹下桜両氏が歌う前作の替え歌「ダブル・インパクト」も好評。前作のオープニングテーマもとある場面で使用されている。
    • こうした人気曲が多い為か、本作のサントラは恐ろしい位に値段が高騰している。他のゲームのプレミアサントラがお手頃価格に思える程。

豊富なネタ要素

シリーズの中でもかなり濃いものがそろっている。

  • ゴエモンの長屋に貼ってある「GOETANIC」のポスター。
    • 言わずもがな、1997年に大ヒットしたラブストーリー映画のポスターのパロディである。
  • ゴエモンたちを見ると「わしを飼うゆーな」と怯える「イグアナのおっさん」。
    • 元ネタはバラエティ番組『ダウンタウンのごっつええ感じ』のコント「トカゲのおっさん」である。
  • 有名人がモデルのキャラ
    • 第3エリアの手形ミッション「打ち上げ花火」のNPC「ちょーさん親方」とインパクトボス「ウクレレハワイアン風雷神」は、それぞれいかりや長介と高木ブー(が演じていたコント『かみなり様』)がモデルとなっている。
  • 怪奇村のキノコ狩りミッションのNPCであるおばあさんは、ミッションクリア後に話しかけるときのこ料理を食べて「スーパーマリオ」のごとく2倍のサイズに巨大化する。
  • ヤエちゃんの手形ミッション「電話相談室」。
    • 子供からの電話相談に対し選択肢を選ぶことで回答を進めていくというものだが、やたら分岐の数が多く、選択次第でどんどん話が脱線していく。
      それにつれて回答のネタっぷりもどんどん加速していき、時にとても子供相手とは思えない会話になったりする*2
    • 分岐を間違えた際の回答のはっちゃけ振りはかなりのもので、キャラのイメージとのギャップが著しいものばかり。
      「かみなりさまがおへそとるって本当?」という相談の最中に『エッチスケッチワンタッチ!』などとのたまったり、別の相談では「ゲームクリエイターになるにはどうしたらいい?」という質問に対し、大真面目な口調でメタ発言甚だしい回答*3を連発したり……と、終始こんなノリ。本作屈指の必見イベントである。
  • 「ビスマル」「オビス丸」「カブキ」といった過去の名キャラクターの再登場もファンにはたまらない。
    前作で異彩を放った占い師・ミスタープラズマや、シュールな姿の巨大メカ・タイサンバも再登場している。
  • 手形を全て集めると、よろず屋でキャラクターのコスチュームが購入できるようになる。
    • 買ったコスチュームは自由に変えることができ、別のファイルでも変更可能。キャラクター選択画面・ムービーなどにも反映される。
    • コスチュームのラインナップは「インパクト(ゴエモン)」、「ふんどし(エビス丸)」、「きらめき高校の制服(ヤエ)」といったコスプレ的なものから、「バニーガール(ヤエ)」、「ブルマ・メイド服(サスケ)」といった萌え要素満点のもの、
      更に、ヤエが2本角+虎柄ビキニ姿になる「(おそらく著作権的な意味で)やばい水着」など、バラエティに富んでいる。
  • ゲーム中では確認できないが、BGMの曲名も遊びまくっているものが多い。
    • 例えば「人類への警鐘(かねつき峠)」「当社比2.2倍の難度~ガンコオヤジ~(迷い谷)」「これもプラズマで説明できます(占い屋BGM)」といった具合。
    • 中には「電動地獄(こけし道中)」や「ぬるぬるマンドリル(浮遊城エリア道中夜)」「ちんちん・こうしちゃん(ラスボス第二段階戦)」等、明らかに下ネタな曲名もちらほら。
      挙句の果てには「あたしのとなりはトロロくん(もけけの森)」という、曲調や使用ステージ名も含めてギリギリ アウト なものも。

問題点

歴代屈指の高難度
前作『ネオ桃山幕府』の難易度がシリーズ作品としては異例といえる程に簡単だった反動か、本作はシリーズ中屈指の高難度に調整されている。
以下の要因もあってとにかくミスしやすく、クリアするにはかなりの根気が必要。

  • 頻発する落下死
    • キャラクターのジャンプ力自体が低い上に、足場と足場の間隔がその低いジャンプ力でギリギリ飛び越えられる程度のシビアな配置になっているため、油断すると『きらきら道中』並みに落下死してしまう。このため、本作では二段ジャンプが使えるゴエモンやヒップアタックで縦の距離を稼げるエビス丸が有利、他の作品では初心者向けのサスケが不利という珍しいことになっている。
      • ちなみに、ジャンプ中に敵の攻撃を食らった瞬間にAボタンを押すとキャラクターに関わらず擬似二段ジャンプができる。
    • 落下穴やトゲ穴、血の海といった即死地形も多い他、先の足場や着地点の上空に敵がうろついていたり、足場に陣取る敵の攻撃でジャンプを妨害されたりと、ミスを誘い易い敵配置も目立つ。
    • 3Dによる立体構成の都合で、足場と足場の距離感がつかみ辛い箇所も少なからず存在する。
  • 旧作と比較して初見殺しな要素が多く、覚えゲー的な側面がやや強まっている。
    • 上述の通り、即死トラップ、ミスを誘い易いギミックや敵配置が多い他、ギリギリになるまで予兆無く画面外から飛び出してきたり見え辛い箇所に配置されている敵の存在など、死亡要素・被弾要素がステージが進むにつれて増えていく。
  • ライフが3つで固定。
    • このためゴリ押しで進むのは難しく、ちょっとしたミスが命取りになりやすい。鎧や黄金の招き猫が実質的な最大値増加の役割を果たしているものの穴に落ちて死ぬと消滅してしまうので、それらを維持して進むのも難しい。
      • ボス戦では救済措置として2度目にトライする時は銀の招き猫が、3度目以降は金の招き猫がそれぞれ2個置かれる。
    • 死にやすい仕様を反映してか、本作では1upの機会が多い。ステージ道中に置かれている大入り袋の数が多く、めし屋で1番高い料理を買うだけでも体力回復に加えて1upする。
      • 城ステージはボスまでの道のりがとても長く、コンテニュー後はステージの最初からやり直しになってしまうが、残機が残っていればある程度進んだ位置からの再開になるので、城を攻略する際はゲームオーバーにならないように残機を大きく確保しておく必要がある。

アクション関連

  • キャラチェンジの不便さ
    • 本作ではワンボタンでのキャラ交代が不可能で、ゲーム開始時にキャラクターを選択したあとは町ステージの「茶屋」か道中・城ステージにある「異次元茶屋」に行かなければならないため、ゲームテンポを損ねている。キャラ性能を考慮して即座に変えることはできないため、使用中のキャラでは切り抜けにくい場所などでは難儀させられることも。
    • 押して動かしたり特殊能力で破壊する一部の障害物は茶店に戻ると配置含めて元通りに復活してしまうため、それらが存在する箇所では特定キャラでの通過を強制されてしまう。
      • また、水中エリアを抜けた直後にボス戦が始まる第2エリアの城ステージでは必然的にサスケかヤエでボスに挑むことになり、やはり使用キャラが強制されることになる。
    • 過去作での仕様では「特定キャラでしか通過できない場所を通った後なら問題なく他キャラを使える」というゲーム上の都合による違和感*4があったため、それを解消したものと思われるが、ゲーム的には不便さの方が目立っている。また、ストーリー上は四人全員で冒険していてムービーにも全員が映っている一方、ゲーム上では操作していないキャラクターは茶屋で待機しているという形になるため、どちらにしても違和感は生じている。
  • エビス丸のため攻撃「オナラボム」は自分の周りに拡散するだけで攻撃範囲も極めて狭いため、他のため攻撃と比べてもかなり弱い*5
    • 本作でもホーミング手裏剣は投げられるが、2Pプレイ時のおんぶ攻撃時限定である。
  • ヤエのため攻撃「ロックオンバズーカ」の性能が過去作に比べるといまひとつで、地形や敵配置の兼ね合い次第で攻撃が思うように当たらない場合が多い。

金策面の面倒さ

  • 本作は所持金の上限が従来に比べて厳しく、999両までしか持てない。
    その上、過去作に存在したお金をくれる通行人や、お金を稼げるミニゲームは登場しないため、基本的にお金は敵を倒して地道に溜めなくてはならない。
    • また、本作では大判(10両)が登場しない上、小判からは1両しか手に入らない(過去作では5両)。
      • 敵を倒す以外にも道中に小判が落ちている他、ステージ内に配置された壷からまとまった額の小判が入手できるようになってはいるが、壷からの入手金額は8両とやはり少なく、まとまった数の壺が配置された地点も限られている。
        すぐにカンストしないようにするための調整と思われるが、手形ミッションの一部に高額なお金が必要になるものがある他、隠し要素のひとつであるコスチュームをすべて集めるのにも高額なお金がかかる*6ため、かなり面倒くさい。
      • その代わりに本作では旧作よりも物価が格安で、町ステージの各施設の利用料金は全エリア一律で100両以下となっているのでアイテム購入や体力回復の面で苦労させられることはない。
        コンテニュー時に所持金が半額に減らされるペナルティがないため、難易度の高さゆえにリトライの回数が必然的に増えることもあって、プレイしていく内に自然と溜まり易くはなっている。
        ゴールタヌキもきらきら道中の時と比べて真正面向きで止め易いので、十分な量のお金を確保しやすくなっている。

手形ミッション関連

  • 大半がお使いイベントなので作業感が強い。
    • 中でも凶悪なのがある人物の借金の肩代わりをするというミッションで、3500両もの小判が必要になる。
      上述の通り、所持できる小判の限界は999両なので、「限界まで集める→払う→また集めに行く…」という作業を最低で4往復もしなければならない*7
    • キノコ狩りのミッションは中ボスや即死トラップだらけの広大なステージを制限時間内に走り回らなければならないため、クリアが非常に難しい。
    • ステージクリアでも手形が入手できる分、エリア内で受けられるミッション全てを必ずクリアする必要はないので、面倒だと思ったら他のミッションで手形を集めればよいのが救い。
      • また、クリアに必要な手形だけなら全44枚中30枚で済み、ステージクリアで手に入る手形を全部集めておけばそのエリアで入手すべき枚数の大半は手に入るため、ミッション自体はそこまで完璧にこなさなくても事足りる。
        上述の通り、隠し要素の解禁タイミングは全クリア後なので、1周目で手に入る手形39枚を全て集めるのが面倒もしくは解禁自体に関心がなければ放置しても問題はない。
  • 地底界エリアの迷い谷が舞台となる烏天狗退治のミッションは、依頼を受けられるメンバーは特に限定されていないが、エビス丸の特殊アクションを使わないと完遂できない*8ため、実質エビス丸専用のミッションとなっている。
    • 他3人で挑んでしまった場合はクリアできないので時間切れまで待ってからやり直さなくてはならない。
  • 道中ステージを舞台とするミッションでは、ミスすると通常通り残機が減ってしまう。

ステージ関連

  • 1エリアあたりのステージ数が少ないため、全体的なボリュームは『マッギネス』同様、薄い。
    • 本作のアクションステージは道中・城・インパクト戦含めて全26ステージのみ。城ステージをクリアすると、やはり二度と入れなくなってしまう上、マッギネスでは入れたラストステージすら本作では入れない。インパクト戦も相変わらず再戦不可。
    • マッギネス同様にクリア後に解禁される隠しステージが存在するが、解禁されるのは町ステージであり道中ステージの隠し面や隠しボス等は存在しない。
  • ミス後にエリアマップに戻れない
    • 前述の通り、未クリアのステージではスタート地点の外にでないとエリアマップに戻れないため、アイテムを補給しに町ステージへ戻りたくなった場合に引き返す手間がかかる。これぞうくんを取った場合や中間ポイントを通過していた場合はステージ途中からの再開になってしまうため、引き返す場合に面倒くさくなる。
      特に道のりが長丁場かつクリア後に入れなくなる城ステージでは引き返す以外に外に出る手段がないため、先に進んでいるほど引き返すのが煩わしくなってしまう。
      無理に戻ろうとすると無駄なミスに繋がりかねないため、一度アイテムを失うと必然的にそのまま進まざるを得なくなってしまう。
      • こうした問題があるにもかかわらず説明書では「ミス後はエリアマップから再開する」と書かれており、実態と食い違っている。

エリアマップの仕様

  • マップ自体も3Dで立体的に描かれている関係でキャラアイコンの移動速度が遅いため、ステージ間やエリア間の移動に若干だが時間がかかる。ツーリストに当たる施設もない。
  • マップの3D化により方向キーだけで移動することができなくなり、移動方向を十字ボタンで指定してABボタンでそれぞれ移動・ステージ開始を決定するという形になったため、ステージ選択が微妙にやり難くなった。

インパクト戦の仕様

  • 百烈パンチの仕様変更
    • 過去作ではパンチを当てるタイミング次第で総合的なダメージ量が変動していたが、本作では見た目に反し単発ヒット技となっており、パンチ連打の終わり際に命中しても与えるダメージは常に同じである。
      従って敵が近付く前からの前出しが有効となっており、敵の接近を見計らって早めに出しておけばたいていの場合、相手が勝手に吸い寄せられてきて一方的に殴れてしまう。
    • 本作ではチェーンキセルは削除されているのでネオ桃山幕府に存在した「チェーンキセルで引き寄せる→百烈パンチ」というお手軽な強力コンボは使えないのだが、この仕様変更のため前作で問題視された「百烈パンチゲー」という点は全く変わっていない(むしろ、んが砲の威力が下がったことで相対的に地位が向上している)。
  • バトンパスでの交代が難しい。
    • 敵の攻撃に注意しつつ常に動いている相手に向ってバトンパスを射出しなければならないため、交代が難しい。
      • 特にCOM操作による2Pとの協力プレイの場合、しっかり狙ったつもりでも相手が動いているせいで照準がずれてバトンが外れてしまうという事態が頻繁に起きるため先読み気味に投げる必要があり、肝心な時に思うように交代できずに隙を晒してしまい易い。
      • 逆に移動中のモーションを取っていてもその場から動かずに留まっていてバトンパスが普通に届く場合もあったりと、COM側の挙動が一定していない。
  • レーダー機能が廃止されたため、敵の位置を見失い易い。
  • 前哨戦ステージが存在しない。
    • これについては、インパクトが2体も登場する(実質的にステータスは2倍)ことに加え、前哨戦ステージ自体が「敵基地を破壊していく」という設定であり、シナリオや世界観上、SF要素が薄く、なおかつ旧作のような特定の敵組織が存在しない本作ではステージとして組み込み難かったためとも考えられるが、旧作経験者にはやはり物足りないだろう。
  • 4人同時プレイの粗
    • そもそもがおまけなので仕方ないが、3P、4Pの情報が画面上に出ない、ステージクリアごとにいちいちコマンド入力が必要、ステージ構成上一部のキャラでは特定の箇所を進めない、と調整不足で遊びにくい面が目立つ。元から高難度ゆえにお互いの足を引っ張りやすくなりがちな面もあって、ストレスもたまりやすい。

その他残念な点

  • おまけ要素の少なさ。
    • 本作ではコスチュームチェンジと4人同時プレイが解禁されるのみであり、前作にあったインパクト連戦モードやサウンドテストはない*9。これらの要素を引き続き搭載の上、城ステージやボス戦の再プレイもおまけ要素として追加して欲しかったという声が多い。
  • ミニゲームが存在しない
    • 過去作でもアクションアドベンチャー系列の作品ではミニゲームはなかったが、本作は『マッギネス』に準拠しているにもかかわらずミニゲームがない。このため本筋以外の遊びの幅が減ってしまっている。
  • ストーリー上の重要キャラクターの扱いがイマイチ
    • 本作のラスボス「ドウチュウ鬼」。
      • 前作『ネオ桃山幕府』に続く美形ラスボスである一方、世界を崩壊に追い込むほどに凶悪で言動にもギャグの要素が皆無という珍しく非常にシリアスな風格漂うボスキャラなのだが、「封印されていた」という設定上、初登場がエリア3クリア時のデモムービーと遅い上、それ以降ラストステージで戦うまで姿を現さないので影が薄い*10
        更にラストバトルで戦う本人の強さが(2段階とも)それほどでもない上、エンディングでも極めてマヌケな形で退散してしまうため、歴代中、最も残念なラスボスになってしまった。 特に直前のインパクト戦ボスの「デヴィル死神」の方が強いことも彼の印象の薄さに拍車をかけてしまっている。全体的な難易度の高さもあって、拍子抜け必至である。
      • また、前作のラスボスたちが限定的ながらセリフ込みでボイス付きだったのに対し、かけ声や叫び声のみで敵撃破後のデモシーン含め音声付きのセリフが一切ない*11。せっかくのボイス付き作品なのにこれまた扱いが不遇である。電源ON後のオープニングムービーで顔見せしてかろうじて面子を保っているのが唯一の救いか。
    • サブキャラクターのネコ娘「スザク」。
      • 彼女は「ドウチュウ鬼との因縁を持ち陰ながらゴエモンたちを導く」という立ち回りでストーリー上も重要な立場にあるのだが、扱い的には脇役でデモムービーにしか出てこないため、それなりに出番はあるもののやはり影は薄い。「一時的に操作キャラとして使う」という展開も考えられただけに、この扱いをもったいないとする声も多い。
      • また、彼女にも音声付きのセリフがない上に、ストーリー上の主要キャラにもかかわらず電源ON後のオープニングムービーにすら出てこない。
        そんな影の薄さを皮肉ってか、テーマ曲に「次期主役候補」などというあんまりなタイトルを付けられる始末である。
  • 希薄なギャグ要素と淡白なストーリー
    • 細部に仕込まれた小ネタそのものは多い一方、「魔王復活を目論む敵を後追いする」というシリアスな筋書きゆえか、ストーリー上におけるギャグ要素が旧作と比べて希薄。それまでのお約束であった敵側との漫才的なかけあいも皆無である。
      敵側の主要キャラがシスター・ビスマルとドウチュウ鬼のみで、旧作でおなじみであった幹部格の敵キャラクターが存在しないこともその点に拍車をかけている。
    • その他、ステージボスとして登場するタイサンバや宿敵のカブキがビスマル側について戦いを挑んでくる理由についても説明が特に無かったり、人間と妖怪を巡るシリアスなドラマを感じさせるセリフが端々に出てくるものの特にゲーム中で掘り下げられることもない。『3』や『きらきら道中』の時のような説明不足からくるわかり難さや尻すぼみ感といった欠点がない一方、ストーリーのボリュームの面では物足りなさが残る。
    • 妖怪という日本らしさ溢れるテーマだが、それゆえにシナリオや世界観上におけるSF・現代文明要素等のガジェットが希薄なため、上述のストーリーの薄さ含め、旧作と比べると奇想天外さやはちゃめちゃ振りには欠けている。

総評

シリーズ初期の作風に回帰しSFC版『2』のシステムを根底としつつ、3Dならではの演出や仕掛けを活かした作り、「妖怪」という日本を舞台にしたシリーズならではの世界観と旧作同様の豊富なネタ要素により、楽しさ溢れる作風に仕上がっている。

一方で、ステージ進行の仕様に作業感を感じさせられる要素が多い点や、システム的に不便な点が見受けられる、ボリュームが薄い等の欠点もあり、全体的な高難度傾向のあるシリーズの中でもかなり辛口の調整になっていることも相まって、ライトユーザーやアクションゲーム初心者に手放しでおススメできる作りになっていないのが惜しい。

肝心のゲーム性の面では、高難度ゲームにありがちなバランス崩壊を招くような要素や底意地の悪い方法でクリアを阻んでくるような面はなく、ゲームバランス自体もきちんとクリアできる範囲内に調整が施されている。ここは安定のゴエモンブランドといったところだろう。腕に覚えのあるアクションゲームファンであれば、挑んで損はない作品である。


余談

  • 『ネオ桃山幕府のおどり』同様、本作も海外でも発売されている。海外版のタイトルは『Goemon's Great Adventure』。
  • 価格高騰に目を付けられたのか、2018年6月頃からインターネットオークション等でサントラの海賊版が出回り始めた。
    • 正規品と比較するとCDレーベルの四角の数が少ない、ジャケットと裏面の印刷が見切れているなど、作りはかなり粗いのだが、正規品がほとんど流通しておらず比較が困難なためか、大手の業者でも気づかずに海賊版を販売している状況である。購入を検討している人は要注意。
  • 今は亡き『コミックボンボン』に漫画版が掲載されたが、作者はおなじみの帯ひろ志氏ではないうえに、上記2作との抱き合わせだった。
  • 「ミス・インパクト」は「『綾繁一家』に登場する3体の新インパクトに対抗してデザインされた」という。
    • 詳しくはこちらのコラムを参照。
      • また、ミス・インパクトのCVは本作やアニメ版などでおみつを演じた丹下桜。お陰で見た目からはとても想像ができないほど声が可愛い。
  • 本作は「がんばれゴエモン製作委員会」が開発した最後のシリーズ作品である
    • ただし、この後も派生作品である『冒険時代活劇ゴエモン』を担当している。
    • また、シリーズ最終作『東海道中』には「がんばれゴエモン製作委員会」が名を連ねているが、発売の時点で過去の所属スタッフが要職についていたなどの事情により、本作とはほとんど別のスタッフである。
+ タグ編集
  • タグ:
  • 1998年
  • ACT
  • ニンテンドウ64
  • コナミ
  • がんばれゴエモン

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー利用規約 が適用されます。

最終更新:2024年01月07日 16:44

*1 『きらきら道中』同様、壊した際の像の向きによって手に入る小判の量が変わる。

*2 中でも「あれは私が12歳になったばっかりの夏の日…」という発言で発生する分岐における「ゴエモンさんにおみっちゃんがいるなんて…」という発言はファンの間に物議をかもした。また、同じ発言の分岐の中に『下ネタ』発言も混じっている。こちらは「分かる人には分かる」類の婉曲な表現ではあるが……。

*3 具体的には、就活の手順や開発現場のリアルな愚痴を聞ける。「ゴエモンはバグが多くって…」は一部でネタにされるほど有名。また、分岐で間違えると当時コナミが経営していた専門学校の宣伝をして終わる。

*4 例えば『3』の『ほら貝の洞窟』や『ネオ桃山幕府』の『サブまりん城』は人魚変化中のヤエでしか侵入できないため、現実的に考えれば彼女単独で中を探索しなければならない。

*5 迷い谷のカラス天狗退治ミッションで敵が攻撃の届かない角度に回り込んでしまった場合でもオナラボムは届くので、ちょっとだけ便利だったりするが。

*6 全てのコスチュームを集めるには3600両近い金が必要になる(キャラによって服の値段が異なり、ヤエの服が3人中一番高い。)

*7 ちなみに、このミッションが存在する町のBGMに付けられた名前は「3500両の恐怖」。さすがに悪ノリしすぎだろう…。

*8 他3人のジャンプ力では超えられない先にもターゲットが存在する

*9 特に、本作のサントラは前作同様、収録時間の都合上未収録曲が多く、道中ステージBGMの時間帯の切り替わりの部分や、町ステージBGMの夕方以降の時間帯のパートがばっさりカットされているため、サウンドテストモードが搭載されていないことへの不評の声は大きい。

*10 『2』のラスボスであるマッギネス将軍はエリア間のデモシーンで頻繁に顔出ししており、『3』のラスボスである重禄衛兵も本人との対面自体は終盤だがからくり温泉ステージで彼を模したロボットが出てきたりビルのモニターに顔が大写しにされたりと存在感を強くアピールしている。ネオ桃山の弾神と蘭子もオープニングムービーで顔見せ(蘭子単体で中盤のダンジョンクリア時の寸劇デモでも登場する)している他、終盤には2人そろっての最大の見せ場が用意されている。

*11 『ネオ桃山幕府』のエンディングは敵撃破直後から始まるのに対し、本作ではラスボス撃破デモ→エピローグ→エンディングという形で段階的に分かれているため撃破デモに音声が存在しない。一応、上述のまぬけな最期の時に悲鳴をあげるが