星のカービィ3

【ほしのかーびぃ すりー】

ジャンル アクション
対応機種 スーパーファミコン
メディア 32MbitROMカートリッジ
発売元 任天堂
開発元 ハル研究所
発売日 1998年3月27日
定価 4,800円
配信 バーチャルコンソール
【Wii】2009年4月28日/800Wiiポイント
【WiiU】2013年5月8日/800円
判定 良作
ポイント 『2』から正統進化
新たに増えたお供
やりこみ要素が難しい
星のカービィシリーズ


概要

あいつが かえってきた!
最近のゲームってむずかしすぎ。もっとサクサク遊びたいよね。
だからあいつが帰ってきた。
みんなが遊べる、一緒に遊べる。
星のカービィまたまた登場!
(公式サイトより転載)

いわゆるナンバリングシリーズタイトル。3と銘打たれているが3作目ではない。
SFCへのデビューに伴って革新的な変化を目指した『スーパーデラックス(SDX)』と違い、
本作はあくまでGB版から続く原点を重視・継承した「カービィらしさ」を前面に打ち出し、ほんわかとした雰囲気に仕上がっている。


ストーリー

ある日のこと、ポップスターが突如として黒い雲に覆われた。
その雲は各地に伸び、デデデ大王等星の住人達に取り憑き悪事を働き始めた。
雲を追い払うためカービィの新たな冒険が始まった。


特徴・変更点

  • 前作『スーパーデラックス』に比べて比較的ゆったりした挙動になり、シリーズの原点である『1』や『夢の泉の物語』等に近いものに回帰。
    各々特徴の異なる仲間キャラクターとの合体、困っている人を助けることで貰える「ハートスター」を全て集める事で開ける真エンドなど、システムの根幹は『2』を踏襲しており、ゲーム性も順当な進化を果たしている。
    一気にシリーズファンを増やした『スーパーデラックス』から入ったプレイヤーには、同じシリーズでありながらもガラッと変わった雰囲気で驚きを与え、それでいてシリーズ本来の魅力を知るきっかけにもなるだろう。
  • バイタリティ(体力)の最大値が6から10になった。ただし下記で挙げるグーイを呼び出している間は、最大値が一時的に8になる。
    • バイタリティは5つのマスで表示され、2回のダメージで1マス減る。元気ドリンクは1マス回復できるので、実質2ダメージ分回復できることになる。
  • ステージによって決められた条件を達成することでクリア時に「ハートスター」が貰える。
    • 今作のボスは邪悪な雲(ラスボス)に操られている設定であり、ステージレベルごとに6つ存在するハートスターを全て集めた状態でボスを撃破するとそのボスを正気に戻すことができる。
    • 黒幕である真のラスボスと戦うためには全てのボスを正気に戻す、つまり5レベル*6ステージ=30個全てを集める必要がある。
  • コピー能力は短時間に2回ダメージを受けない限り解除されなくなった。もちろん星の形で飛び出すので吸い込めば再コピー可能。
  • スライディングは他の作品と違い、ザコ敵に2発当てないと倒せないようになっている。
    • 基本的にはスライディングが当たっても動作は中断されず、当たった敵は跳ね上がるため、ザコ敵を倒すためのアクションではなくザコ敵を無視するためのアクションと言える。
  • 独自のギミックを持つ雑魚敵が多く登場。食べると回復したり毒でダメージを受けたり、倒さずに追いかけると隠しルートを教えてくれたり。
    • 特にカービィそっくりの謎の敵「バタモン」は話題になった。本編ではあるステージの隠し部屋でしか触れることができない。
    • "作中の小ネタ"で後述するように、全くの正体不明ながら妙な存在感があり一部でコアな人気を博しているものも。

追加要素

  • ケケやブルームハッターが持つ新コピー能力「クリーン」が登場。
    • 「掃除道具」をテーマとした風変わりな能力。ホウキで掃除して、飛ばしたホコリで攻撃する。
    • 今作はこのクリーンと『2』で登場したコピー能力を合わせ、8種類の能力がメインとなる。
  • 『2』に登場した「グーイ」が前作のヘルパーに該当するキャラとして再登場。これにより『スーパーデラックス』と同様、2人同時プレイも可能。
    • 吸い込みの代わりに舌を伸ばして相手を飲み込むのが特徴で、水中でも舌を使って相手を飲み込めたり、スカーフィなど一部の吸い込みが効かない敵でも飲み込むことが出来る一方、2体以上の同時吸い込みが出来ないなどの違いがある。
      その点を除けばほとんどカービィと同じ挙動で動くことが可能*1で、コピー能力も同じように使えるし、仲間キャラとの合体もできる。ある意味究極のヘルパーかもしれない。
    • グーイを呼び出すにはカービィのバイタリティを2つ支払う必要がある。ただし、カービィの残りバイタリティが2の場合は1つだけ、1の場合は無償で召喚可能。
      グーイを呼び出すと、カービィの最大バイタリティが2つ減少し、ともに最大バイタリティが8つになる。
    • カービィはグーイを吸い込んだり吐き出したりすることも可能なのだが、飲み込むことでバイタリティが2つ回復する。
      • 飲み込まれたグーイは退場するが、グーイが能力をコピーしていた場合は飲み込んだカービィに引き継がれる。
      • カービィの残り体力が1の時に呼び出したグーイをすぐに飲み込むことで、バイタリティを1⇒3に回復させる小技がある。
    • CPU操作が可能であること、Aボタンを使ってカービィの元にワープする機能、Aボタン連打による自爆機能をスーパーデラックスから継承している。
      • ただし体力が0になった時はカービィと同じやられモーションで即退場すること、自爆による敵へのダメージは発生せず、あくまで退場させるだけの機能であるという違いがあるので注意。そのため出来る限りカービィが飲み込む形で退場させたい。

仲間・コピー能力

  • 『2』で登場した仲間システムが強化。リック、カイン、クーに加え、新たにナゴ、チュチュ、ピッチの3体が加わり、合計6体の仲間と合体できるようになった。
    同じコピーでも仲間を変えることで性能が大きく変わるので、8種類のコピー能力×6体の仲間=48種類のバリエーション豊かな攻撃が出来る。
    • 続投された仲間の性能やコピー能力には調整が加えられ、以前よりも個性が強く出ている。一方で一部の強力すぎた能力は弱化された。
    • 仲間と合体している時のコピー能力には、カービィや仲間を当てるとアイテムが取れる仕様がある。
    • 今作では『2』と違って合体と解除を自由に切り替えられるが、ダメージの肩代わりはしてくれないので注意。
    • 2Pプレイの場合どちらかしか合体する事ができず、合体していないキャラが他の仲間と合体すると、元々合体済みの方は強制的に降ろされる。
    • 仲間と合体中に他の仲間の所に訪れると、他の仲間たちが寂しそうな顔をしたりそっぽを向いて怒っていたりするニクい演出も入っている。
+ リック
  • ハムスターの「リック」は陸上が得意で、地形の影響を受けない『2』の特徴に加え、新しく壁を蹴って登る能力と一部の敵を踏みつける能力が追加された。
    また敵を吸い込まずに直接食べるようになっているため、カービィが吸い込めない敵も処理することが可能。
    バーニング リックが口から火を吹く。シリーズ作品の『ファイア』のような能力。
    アイス 雪だるまに姿を変えてカービィの位置から周囲に雪を降らせる。
    『2』と比べると、下方向に強くなった代わりに横方向への攻撃範囲が狭くなっている。
    カッター カービィをブーメランのように飛ばす。
    『2』と比べると、速度が遅くなった代わりにリックの操作が通常通りになり、
    アイテムキャッチの効果も相まって大幅に使い勝手が向上している。
    ストーン リックが丸い石に変化し、カービィが玉乗りをする。変身中も横方向に動けるが、カービィ自身は無防備。
    パラソル パラソルをくわえたリックが大道芸のようにカービィを乗せる。
    『2』と比べると発動が遅くなっている。
    スパーク リックが発した電気を鞭のように振り下ろす。シリーズ作品の『ビーム』のような能力。
    『2』と比べると、攻撃時間が伸びた事で隙が大きくなっている。
    ニードル リックの背中からハリネズミのようにトゲが出る。通常のニードルより範囲が狭い代わりに与えるダメージが非常に大きい。
    クリーン リックがはたきを使って前方を攻撃する。はたきにはアイテムキャッチの効果がある。
+ クー
  • フクロウの「クー」は空中が得意で、方向キー+ジャンプボタンで素早く動ける。『2』と同じく強風に逆らうことも可能。
    バーニング 炎を纏って斜め下に突進する。
    『2』と比べると、連発すると移動距離が下がる通常のバーニングと同じ特性が追加された他、
    途中で攻撃ボタンを押す事で攻撃の中断が可能になっている。
    アイス カービィが作り出した氷をクーが3方向に分けて発射する。『2』とは全く違った能力。
    類似した『2』のカッターと比べると、攻撃までが遅い上に射程も短めとなっている。
    カッター クーが羽を飛ばす。方向キーで斜め方向にも飛ばすことが可能。
    『2』と比べると、判定が大きくなった代わりに1発しか飛ばせず、速度も遅くなるなど大きく弱体化している。
    ストーン カービィがストーンを使い、クーと一緒に落下する。
    『2』と比べると、変身中でもクーの羽ばたきで移動する事ができるようになっている。
    パラソル クーがパラソルを差して高速回転する。攻撃中は無敵。
    『2』と比べると、攻撃時間が大幅に短くなっている。
    スパーク カービィが稲妻を落とす。
    『2』と比べると、攻撃判定が瞬時に発生する上に地形を貫通するようになった。
    ニードル カービィが下方向に針を伸ばす。
    『2』と比べると、攻撃範囲が狭くなった代わりに下方向へのリーチが伸びている。
    クリーン 羽箒になったクーをカービィが持って攻撃する。クーが羽箒になる関係上、空中で使うと飛行能力を失い落下するので注意。
+ カイン
  • マンボウの「カイン」は水中が得意で、方向キー+ジャンプボタンで素早く動ける。『2』と同じく激流に逆らうことも可能。カービィ操作時は水中でも吸い込みが可能になる。
    さらに『2』とは違って陸上でも俊敏に動けるようになり、一部の敵を踏みつけることもできる。
    バーニング カインが口から火炎弾を放つ。
    『2』と比べると、判定が大きくなり、地形を貫通するようになった。また、水中使用時の極端な弱体化がなくなっている。
    アイス カインが瞬時に凍り付く。凍っている間は操作不能。
    『2』と比べると、移動しながらの攻撃が不可能となり、大幅に弱体化した。
    カッター カインが口から巨大なカッターを放つ。カッターは遠くに行くほど縮小する。
    『2』と比べると、速度が上昇した上に地形を貫通するようになった。
    ストーン カービィがストーンを使い、カインが上になる形で下方向を攻撃する。
    パラソル カインが口からパラソルを出し、上を向く。パラソルを出している間は落下速度がゆっくりになる。
    『2』と比べると、横方向への攻撃判定が出した時のみとなり、攻撃手段としては使いにくくなった。
    スパーク カインが口から豆電球を出す。電球が出ている間は暗い場所が明るくなるが、出し続けていると電球が割れて攻撃範囲が狭くなる。
    『2』と比べると、電球を発射することができなくなり、電球自体も時間制限があるため、大幅に弱体化していて攻撃には使いづらい。
    ニードル カービィがカインの体内でニードルを使う。通常のニードルの強化版。
    クリーン カインが口からラバーカップを出す。敵などに当てると吸い付き、ボタンを離すと発射する。
    ラバーカップを出したまま移動することもできるが、方向転換はできない。
    ラバーカップにはアイテムキャッチの効果がある。
+ ナゴ
  • ネコの「ナゴ」はカービィを毛糸玉のように抱く形で合体する。踏みつけと3段ジャンプが可能。
    バーニング カービィが口から火柱を出す。火柱は距離に応じて収縮する他、重力の影響を受ける。
    アイス カービィが下方向にアイスを発射し、その反動で浮き上がる。
    カッター ナゴがサマーソルトから斜め上に大きな衝撃波を放つ。水中では衝撃波が発生しない。
    ストーン 石になったカービィをナゴが地面にガンガン叩きつけて攻撃する。
    叩きつけた際の砂埃にも攻撃判定があるが、カービィ本体をぶつけた方が与えるダメージは大きい。
    パラソル パラソルの上に乗り、ホッピングのように飛び跳ねる。
    スパーク ナゴがカービィを擦って静電気を溜める。静電気は溜めた時間に比例して大きく長くなる。
    ニードル カービィが前方にトゲを発射する。
    クリーン カービィを下敷きの如くぺらぺらにして雑巾がけをする。
+ チュチュ
  • イマイチ分類の付かない謎の生命体*2紅一点の「チュチュ」は、カービィの頭に貼り付く形で合体する。多少ながらホバリングが可能で、天井を伝っての移動ができるようになる。
    得体こそ知れないが数少ない女性キャラ故か、合体中はところどころでカービィが何やら幸せそうな笑みを浮かべるようになる。その気の抜けた表情から一部では「チュチュにエネルギーを吸収されている」などとネタにされた。 合体コピー攻撃でも笑みを浮かべたまま彼女を振り回したり、逆に彼女がカービィを振り回したりするため非常にシュールである。
    バーニング カービィが口からバーナーのような火を吐く。射程は短いが、攻撃中にジャンプボタンを押すと熱気球の原理で空を飛べる。
    アイス カービィが作り出した雪玉をチュチュが3種類の弾道で投げる。
    カッター カッター状になったチュチュをカービィが振り回す。
    ストーン 石になったカービィをチュチュが横に振り回す。
    パラソル パラソルの上に乗り、コーヒーカップのように回る。回りながら移動することが可能。
    スパーク チュチュがレーザーを発射する。レーザーは溜めることで地形を反射するようになる。
    ニードル チュチュが上180度の範囲5方向にトゲを発射する。
    クリーン 箒にまたがり、魔女のように浮遊する。
    攻撃判定は後部から出る光のみだが、上からすり抜けられないすり抜け床をすり抜けられる特性がある。
+ ピッチ
  • カービィよりも小さな小鳥の「ピッチ」は、カービィに抱きかかえられる形で合体する。カービィを背負って走るダッシュはリックほどではないがやや速めで、クーほど速くはないが羽ばたいて空を飛ぶことも可能。
    合体しても実質カービィと同じ背丈で動けるので、他の仲間と合体しているときはくぐれない場所も抜けられる利点がある。
    バーニング ピッチが火の鳥になって突っ込む。ピッチが戻って来るまでカービィは通常通りに動ける。
    アイス ピッチがかき氷機になって冷気を放つ。通常のアイスの強化版。
    カッター カッター状になったピッチを発射する。ピッチが戻って来るまでカービィは通常通りに動ける。
    ストーン 石になったピッチをカービィが持ったまま跳ねる。
    パラソル ゴルフの要領でボール型のピッチを打つ。ピッチが止まるか画面外に出る、または途中で攻撃ボタンを押すと戻って来る。
    ピッチが戻って来るまでカービィは通常通りに動ける。
    スパーク カービィがピッチをラジコンで操作する。ピッチは自在に動かせるものの、カービィ自身は無防備。
    攻撃ボタンを押すと中断されて戻って来る。
    ニードル ピッチがキツツキのように連続で突く。攻撃中は高度を落とさずに移動できる。
    クリーン バケツになったピッチから水の弾を発射する。水の弾は敵などに当たると斜め4方向に弾ける。
  • ステージによってコピーの向き不向きがあるため、どのコピーにどの仲間を組み合わせると良いのかを考えるのもまた面白みがある。
    • このことを逆用すれば容易に縛りプレイができるため、上級者はストイックに遊んで大きな達成感を得ることも出来る。

その他

  • クリア後の隠し条件を達成することで、サウンドテストモードや、OPやEDから各種本編中のムービーが視聴できるモードが出現する。
  • 真エンドを迎えた後に出現する隠しゲーム「ぼすぶっち」は本編の全ボスと回復なしで戦い抜くという高難度のバトルが楽しめる。
  • ボスとの再戦が可能になった。
    • 夢の泉の物語、2ではラスボス(とデデデ大王)しか再戦ができなかったが、今作は各レベルのハートスター6つを全入手するまで何度でも再戦が可能となっている。
      • ただし、この状態では真のラスボスとは戦えないので別のセーブデータを作ることを強く推奨。
  • バッドエンディングBGMが2に比べ良曲なものとなった。

評価点

  • 水彩画のような柔らかいタッチの色使いと幻想的なグラフィックは細部まで作りこまれており評価は高い。全体の世界観も草原・海・砂漠・山脈・氷河…と、殆どが「自然によって生み出された美しい光景のある土地」を舞台としており、機械的な油臭さも感じられずのどかで牧歌的な印象を受ける。
    • ちなみに前作のスーパーデラックスはキャラクターの輪郭がハッキリと描かれており、背景などのグラフィックも3DCGを使ったものが多かった。
  • 音楽も全体的に和やかで素晴らしい出来。
    • カービィ音楽の生みの親、石川淳氏のBGMは今作でも好評。その中でも、夏を感じさせるようなさわやかな「海ステージ」や、ほのぼのとした曲が多い中で異彩を放つシリアスな「VS.ゼロ」などは特に人気が高い。
      他にも、動画サイトで多数のMAD動画が投稿されて有名になった「ステージ:コミカル(サンドキャニオン)」の曲は独特の軽快さとコミカルさで知っている方も多いだろう。
    • 効果音も、それに合わせるように全体的にポップで柔らかい感じの音が多い。
  • 総括すると「絵本のような暖かみと、癒しの雰囲気が強い」作品に仕上がっている。
    • しかし、その一方で敵の親玉を中心とした不気味さも併せ持っている。
      + ラスボスに関して ネタバレ注意
    • 特に最終ボスの「ゼロ」は白い球体に赤い単眼と言う不気味な見た目の上、倒すと外殻が砕けて大量の血を噴き出しながら本体である眼球が飛び出すと言う、子供が泣き出しかねないスプラッタ演出がある。
      • その純粋な強さに加え、外見・演出においても多くのプレイヤー達に鮮烈な印象を与えた。
      • 因みに北米版の『星のカービィ 20周年スペシャルコレクション』は、この演出がレーティングに引っかかり対象年齢が引き上げられている(SFC版やVC版は全年齢対象になっているのだが…)。 また後述するパートナー「グーイ」は邪悪な心を持っていないとされつつも、今作のゼロなどと同族のダークマターの一人という無駄に罪作りな設定が取扱説明書のキャラ紹介に堂々と書かれている。
    • 『20周年スペシャルコレクション』によると、可愛らしい絵柄の中で怖さを際立たせるのは狙っていたようだ。
  • ハートスターはステージごとに様々な入手条件が設定されており、中には凝った謎解き要素があったりとよく練られている。探索と戦闘がメインになりがちな当時の2Dアクションゲームにしては珍しい要素。
    • ハートスター入手の条件となる部屋やオブジェクトを発見した時・入手条件を満たした時にはそれぞれ効果音が鳴るため、「ここで何かをすればいい」と目星をつけて試行錯誤しやすいのも親切。

問題点

  • 前作の『SDX』に比べてややボリューム不足感が否めない
    • 『SDX』がやや特殊な形式なためステージ数こそ単純比較はできないものの、大半のステージはほぼ一本道でギミック・探索要素といった密度に乏しく、戦えるボスも少ない。
    • 後述のコピー能力問題を含め、大ボリュームだった前作を遊んだプレイヤーには少々物足りなさを感じる。
  • 一つのコピー能力で使える技が一つしかなく、やれることが少ない。
    • 『夢の泉』や『2』の頃なら普通の仕様だったが、前作の『スーパーデラックス』が一つのコピーでできることが多彩だったため比較されやすく、非常にストイックな印象を受けてしまう。
    • 同じコピー能力でも仲間キャラの有無によって7パターンの技に変化するので、能力のバリエーション自体は多い。
    • しかし仲間・コピー能力ともにステージ中で調達しなければならないことや、ハートスターを回収するためには特定の仲間・コピー能力が必須になることが多い*3関係上、それほど自由に使い分けられるわけではなく、一度にやれることの幅の少なさが響いてくる。
      • また、仲間は合体部屋を除いて複数のエリアにいる状態にできない。カービィとグーイの両方が合体もできず、片方が合体すると先にした方が解除される。
    • 使用中は移動ができず攻撃範囲も狭いなど、いまいち爽快感に欠ける能力も少なくない。これも『夢の泉』や『2』の頃ならともかく、『SDX』に比べると気になる点である。
  • 水中などで若干操作性に難があり、ホバリングも比較的遅い。おそらくクーとカインとの兼ね合いの関係と思われる。
    • 他作品では水中でも使えることが長所の一つになっているパラソルだが今作では何故か使用不可能で、パラソルかつ仲間と合体しない状態で水中に入ると、攻撃技はすっぴん時同様水鉄砲になってしまう。
    • 逆に他のコピーは弱体化こそするが(バーニングですら)水中でも使える。
      • 今作の水鉄砲は射程こそ短いが、ボタン押しっぱなしでの連射と、上下入力による多少の軌道調節が可能。
      • ただし真上や真下に発射できないため、真上や真下からの攻撃に対し無防備となり、特に強制スクロール面との組合せは鬼門。
  • 短時間で2回ダメージを受けない限りコピー能力が解除されなくなったものの、ダメージを受けた後の無敵時間そのものは短い。そのため敵に囲まれた場所だと多段ダメージを受けやすく、コピー能力も失いやすい。
  • 旧作と違い、カービィが炎攻撃を喰らっても燃えてダメージを受ける演出や、氷攻撃を喰らっても凍りつく演出などが無くなった。
    • 凍りつく演出の削除は『夢の泉』や『2』で起きていた「凍ったまま何も出来ず落下死する」という心配が無くなった改善点でもある。ちなみにSDXは凍ったまま空中静止する仕様。
  • 無敵キャンディーによる無敵が予兆なく終了する。
    • 『SDX』では無敵状態が解除される少し前にBGMと移動速度が元に戻るのだが、本作にはそのような仕様がなく、非常に不親切。
  • ボス戦になるとポーズ不能になる。全ボスと連戦する隠しモードでも当然ポーズ不可。
    • 恐らくポーズ連打で敵の攻撃を見切らせないようにするためとマップへ戻らせないためと思われるが、トイレに行きたくても休憩できないなど不親切な感が大きい(特に連戦になるラスボス戦や隠しモード)。
  • 一部のハートスターの入手条件が非常に分かりづらい。本作は台詞のテキストが一切表示されないため、ステージ中の僅かなヒント、あるいはステージセレクト時に登場するキャラの絵一枚を頼りに(それでも時にはノーヒントで)条件を探さなければならない。
    • 場合によっては一度失敗するとステージを出るまで再挑戦できないシチュエーションもあり、本作の難易度を引き上げる要因となっている。
    • 説明書には「各ステージのハートスター入手条件の法則は全レベルで共通」「1ステージ目はいずれも"花"がキーとなる」「2ステージ目は仲間やコピーで何かする」という程度のヒントはあるが、それだけである。
      + 例。ネタバレ注意。
    • 1-2
      • 前述の通り、各レベルの2ステージ目はステージのどこかにいる依頼人本人やそれに関する物に特定の仲間やコピーで何かをする、という共通点がある。だがここの依頼人は緑色の奇妙な生物という情報しか分からず、何をすればいいか全く見当がつかない。
        • ちなみに正解は「チュチュでなでる」。
          依頼人の見た目とやるべきことに一切の脈絡が無いため作中でもトップクラスに分かりづらく、人によっては初っ端でありながらここが最後まで残る事もある。あえて言うなら1-2がチュチュ初登場のステージである事くらいしかヒントがない。
        • 他のステージなら、何が必要なのかある程度の予想はつけやすくなっている。
          例えば2-2なら依頼人の頭の上に差した傘が回っている*4、4-2ならゴール直前に風船に掴まったまま降りられないヒヨコがいる*5、など。
        • しかし、序盤も序盤である1-2で早速このような初心者を躓かせるトラップが仕掛けられている。
        • なお、5-2で登場するメトロイドも原作を知らなければ倒し方が分からないものの、こちらは付近で得られるコピーの総当たりで何とかなる。
    • 3-1
      • 依頼人はキノコのキャラ。最初のエリアにはキノコとチューリップがところどころに点在している。
        • ここでの正解は「キノコをひとつも潰さず、チューリップだけを全て踏み潰してステージをクリアする」。
          チューリップがキノコの分の栄養を吸ってしまっているせいで元気が無いということなのかもしれないが、台詞もそれらしき演出も無い中でこれを察しろというのはかなり無理がある*6
        • このチューリップは1-1では「チューリップを一度も踏み潰さずにクリアする」という条件の善良な依頼人という立ち位置だったのも「踏み潰すのが正解」ということの気づきにくさに拍車をかける。
    • 3-6
      • 広大なステージに散らばるロボットのパーツを5種類すべて回収することが条件。それぞれの場面でコピー能力と仲間の力を満遍なく使っていく必要があるため、知識量とコピー能力の的確な入れ替え、そしてキープ力が試される。
      • また一部のギミックが特殊で、解き方を知っているか否かで難易度が著しく変化する。前作『2』をしっかりプレイしていた人ならば問題ないが、そうでない人の場合は頭を悩まされるケースになりがち。勿論こちらもゲーム中では一切ノーヒント。
  • ハートスターを入手せずにステージをクリアした場合、最後の部屋には物悲しいBGMとともに哀しげに佇む依頼人が待っており、クリアの達成感が削がれがち。
    • 再チャレンジしてしっかり回収するのを促しているのかもしれないが、そもそも依頼人が何を悩んでいるのかが分からない場合は悲しまれても仕方がない。
    • 上述のようにヒントの乏しさのせいで非常に難易度の高いステージもあるので、ここで何かしらヒントが得られればよかったのだが。

難易度に関して

  • 冒頭の「最近のゲームってむずかしすぎ。もっとサクサク遊びたいよね。」という宣伝文句に反し、実は今作のコンプリート難易度は数多いカービィシリーズの中でも際立って高い。特に一部のミニゲームの難しさが有名。
    • ハートスターの謎解きが難解なのに加え、ゲーム後半の「指定された顔(色)のゴルドーがいくつあったか数えよ」「5つの音の中から指定された音を探せ」といった瞬間記憶系のミニゲームは多くのプレイヤーを嫌というほど苦しめた。これらも完全クリアには必須である上、一度でもしくじるとステージを出るまでやり直しがきかないという鬼畜仕様。
    • 2人同時プレイではどちらか片方のプレイヤーが正解すればクリアになるが、全ミニゲームを通してプレイする隠しゲーム「MG5」では全てノーミスで超える必要があるうえに2人プレイもできないためさらに難易度アップ。ただしこちらは本編よりはやり直しやすい。
      • 一応、制限時間はないため、最終手段として「録画」「録音」という攻略法もある。
      • Wii U版バーチャルコンソールなら「まるごとバックアップ」、Switch Online版なら「どこでもセーブ」「巻き戻し」といった機能を使えるが、その場合は極端に攻略の難易度が下がる。
    • 他に、完全クリア最後の鬼門である「Jumping」なるミニゲームも存在する。本編のステージクリア後に挑戦するゴールゲームをひたすらやり続けるというもので、達成率のためには10回クリアでOKだが、セーフゾーンが9個中8個から始まって1回につき1個づつ少なくなっていき、最後の3回はセーフゾーン1/9というシビアな条件をノーミスで(1回でも失敗したら終了)超える必要がある。
      • 開始前に一緒に跳ぶ仲間を選択してもよいが、モーションが分かりにくくなりタイミングが取りづらいためカービィ単独で挑んだ方が楽で、仲間を連れていくのは難易度を上げるだけになっている。
      • こちらも「まるごとバックアップ」、「どこでもセーブ」「巻き戻し」を使えば難易度はかなり下がる。ただしそれでもかなりきつい。
    • こうした事から、本作の達成率100%はカービィシリーズ中で『カービィボウル』の全コース金メダルの次に困難と言われるほどの難易度であり、達成率97~99%で涙をのんだ実機プレイヤーが多かった。
  • またステージ自体も、全体的に易しめとされるカービィシリーズの中では比較的難易度が高い部類。特にピラミッドステージや雪崩ステージなどはその異様な雰囲気と初見殺しの多さ、前情報無しではきつい謎解きなどで印象深い。
    • とはいえこちらは理不尽というほどの難しさではなく、序盤は比較的易しいステージが続くなど難易度の上昇自体は緩やかなため決してバランスが悪いわけではない。
    • これはハートスターのために仲間を連れていくと急激に難易度がアップする仕様も多数絡んでいる。
      • リックの能力を利用する必要があるステージでは、足場の極端に狭いエリアが非常に多く、通常1回までしかジャンプができないリックでは、操作を少しでも誤るとすぐに落下死してしまうような作りになっている。また新しく追加された壁蹴りを終始多用しなければならず(というか壁蹴りを使えないとリックではステージクリアできない)、使いこなすまで時間がかかる。しかしリックを連れて行かなければ、ステージ自体はホバリング等で楽にクリアできてしまう…という仕組み。
    • 取得の条件を満たすまでにノーミスを貫かないといけないステージや、条件を満たせないとステージの最初からやり直しを余儀なくされるハートスターも少なくない。
      • 難関とされるレベル5のミニゲームも、到達までに時間がかかる点が難易度を押し上げている。
    • 他に難易度が上がった要因としては、カービィのライフが増えた事(6→10)、協力プレイなどが挙げられる。
    • ラスボスも例外なく強力。普段は直線・ホーミングの2種類の弾を使い分けるのだが、どちらも弾のスピードが比較的速いことに加え、ときおり繰り出す巨体を活かした突進の安定しない軌道も相まって、空中操作に不慣れなプレイヤーをおおいに苦しめる。
      更にはラスボスは3連戦ということもあり、本編でも「ぼすぶっち」でも屈指の難関となっている。
  • ぼすぶっちにおけるボスは背景などのグラフィックが本編と異なっており、特にラスボス戦の背景は「下地が真っ黄色」「赤と青の楕円状の雲が飛び交う」という、カービィよりもプレイヤーの目に厳しいものになる。さらにボスの放つ通常弾も「赤い楕円」という迷彩弾のため非常に見づらく、「真のラスボスは背景」などと揶揄されることも。
    • さすがに不必要に目に悪いと判断されたのか、バーチャルコンソール版やSwitch Online版、カービィコレクションでは背景が修正されている。

総評

原点に忠実なゲーム性を鑑みた本作だったが、既にSFC終期の作品であった事、CMでの広告活動が一切行われなかった事など様々な不運が重なり、売上本数は35万程度に留まった。

前作『SDX』はSFCへのデビューにおいて意欲的な方向転換を多数行った事で大勢のファンを獲得したが、それゆえに全く別の路線を歩むことになった本作は各々のファンを二分し、評価を大きく分ける結果となったのである。

しかし作品単体としての出来は非常に良く、類稀なる完成度を誇るアクションゲームである事に変わりはない。追加された新たな仲間と一緒に優しいグラフィックで描かれるカービィ・ワールドを楽しめる一品である。


余談

  • 本作品以前の『星のカービィ』のタイトルロゴは弧を描くように配置されていたが、本作からは横並びで表示されるようになった。
  • シリーズでは珍しく、海外版の方が先に発売されている。
    • 本作が世に出たのは1998年として扱われることが多いが、海外版を考慮すると1997年ということになる。
    • 表スタッフロールの文字がクレヨンで描かれた日本語になっているのは国内版独自の仕様。海外版では2つのスタッフロールに同じフォントの英語(日本語版裏エンディングのもの)が使われている。
  • 今作の新能力「クリーン」は長らく今作限りの登場であり、再登場は実に20年越しの『スターアライズ』のみ。
  • 今作に登場した雑魚の多くは実質的な次回作『星のカービィ64』に続投している。また、新登場のボスであるアクロは『64』でもボスキャラとして登場し、6体の仲間キャラクターも、あるコピー能力を使うことでその姿と能力を借りることができる。各キャラの操作感も一体を除いてなかなかの再現度。
    • なお、アドに関しては非常によく似た「アドレーヌ」というキャラが登場しているが、両者が同一のキャラなのか、或いは何か関連性があるのかと言った発表は無く、現在を以っても両者の関連性は「不明」「アドレーヌが本名でアドが愛称の可能性もある」という程度の設定となっている。
      • ただ、製作当時はスタッフ間でも両者が同一人物という認識があった可能性もある。詳細は『64』の記事を参照されたし。
  • 本作のプレイアブルキャラであるリックら仲間達は『夢の泉デラックス』以降シリーズ作品にあまり姿を見せることがなくなってしまっていたが、2018年発売の『スターアライズ』にてリック&クー&カインおよびグーイが20年越しにプレイアブル参戦を果たした。
    • ナゴ・チュチュ・ピッチはプレイアブル参戦こそ逃してしまったものの、同じく本作を出典とするクリーン能力の技演出として同作に登場している。
  • 外伝作品『タッチ!カービィ』では、今作のミニゲーム正解時やコピー能力獲得時等の効果音の一部が使われている。
  • 2019年9月6日にNintendo Switchで配信が開始された『スーパーファミコン Nintendo Switch Online』では、本作が初期ソフトの一つとして収録されている。また、2022年6月10日には完全クリアしたセーブデータが最初から収録された『星のカービィ3 最近のゲームってまだむずかしすぎ?バージョン』という特別版も配信された。

作中の小ネタ

  • 仲間の一人カインが既婚者であったことが本作で判明する。
    • ちなみに、何故かクーのみステージ内でパートナーといえるキャラが出てこない(リック・ナゴは恋人、チュチュは友人、ピッチは母親が出てくる)。孤高というイメージのためだろうか。
      • もっともどの設定もゲーム内では一切説明が無いため、このゲームをプレイしているだけでは仲間キャラとの関係性が全くわからなかったりする。これも前述の「文字による解説がない」の弊害だが。
  • 本作のとある場所で『マリオのピクロス』の問題にちなんだキャラが2体登場する。
    • ちなみに、その内1体の元ネタになっている問題は海外版に存在しない
      • というのも、解答になっている「ワイングラス」がアルコール飲料であるために規制されたことが原因。同作の海外版では、この他にも「ビール」や「カクテル」等の酒関係や、タバコを扱った問題が差し替えられている(ちなみに、日本の文化に関わるものも差し替えられている)。
  • グーイがダークマターと同族である設定については、ダメ押しとして最終決戦にグーイを連れて行くと顔以外実際のダークマターと同形態になるという形で生かされている。
  • シリーズ恒例と認識されたのか、本作にも地味なネタが仕込まれている。
    • 三面ボス のポンと のコンのダメージ時の点滅色がそれぞれ 赤い狸と緑の狐以上にある意味ストレートなネタである
    • 某チョコ菓子にそっくりな外見のザコキャラ「アポロ」。ピンクは飲み込むことで回復できる。青は毒…かと思いきやただのスカである。
    • ザコキャラ「マリエル」は名前とクモのような体形が某使徒を彷彿とさせる。なお、この敵は飲み込むとダメージを受ける
      • ちなみに、続編64ではもはや見た目がそのまんまな「ラミ」が登場する。
    • カービィのニセモノともいうべき雑魚敵「バタモン」。壁などで遮られてカービィが手出しできない場所にいることが多く*7、バタモン自身もただ歩いているだけで無害な存在だが、それ故に不思議な不気味さがある。
      • 転がる岩に背後から追われ潰されるギリギリのタイミングで画面外に消える、という絶妙な演出がある場面も。
+ タグ編集
  • タグ:
  • SFC
  • 1998年
  • ACT
  • HAL研究所
  • 星のカービィ

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー利用規約 が適用されます。

最終更新:2024年04月08日 09:53

*1 『スーパーデラックス』のヘルパーとは異なり、こちらはホバリングやスライディングなどの基本的な運動性能の部分もカービィと同様のものになっている。

*2 シリーズ20周年を記念して発売されたソフトに付属しているブックレットによると、海にいる8本足のアレをモチーフにしたとのことらしい

*3 もっとも、こちらはこの手の要素の回収を目指すプレイの場合にはシリーズ全般につきまといがちな問題ではあるが。

*4 答:同じアクションをするパラソル+リックorパラソル+カインのコピーを依頼人に見せる

*5 答:ニードルで風船を割る

*6 一応、ここでチューリップを潰した際のSEが他と違うため、ヒントがないわけではない

*7 1か所だけ、一見壁に見えるが通り抜けられる場所があり、そこでのみバタモンと直接接触可能。