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逆転裁判5

【ぎゃくてんさいばんふぁいぶ】

ジャンル アドベンチャー(法廷バトル)
対応機種 ニンテンドー3DS
発売・開発元 カプコン
発売日 2013年7月25日
定価 5,990円
レーティング CERO:C(15歳以上対象)
廉価版 Best Price!:2015年04月02日/2,990円
判定 良作
ポイント 成歩堂龍一、弁護士復帰
名実共に2代目主人公になれた王泥喜法介
ギャグ志向が強いその他のキャラ・シナリオ方面
散々だった「4」から色々な意味で見事な「逆転」を遂げた
逆転シリーズリンク


概要

「法廷バトル」でおなじみの『逆転裁判』本家の5作目。
前作『逆転裁判4』がその内容から(特に旧作ファンから)強い批判を受け、非常に長い期間本流シリーズの続編は途絶えたままであった。
しかしスピンオフ『逆転検事』シリーズや『レイトン教授VS逆転裁判』などでシリーズの展開は続けられ、本作でついに本家が復活。 実に6年ぶりの正統続編 となった。

事前に発表された内容では 「『4』の直接の続編で、1年後の話」「先代主人公・成歩堂龍一の復活」という部分が大々的に押し出される 。このため『4』の肯定派否定派双方から物議を醸した。
また本作では『4』以前でシナリオとディレクターを務め、以降も逆転シリーズの外部出演を監修していた巧舟がシリーズから完全に外れ、『検事』シリーズディレクターである山崎剛がシナリオ統括を担当することになった。この点についても山崎は既に『検事』シリーズで実績を見せていることや巧は『3』でシリーズを離れるつもりだった(から『4』の全責任を負うべきではない)という事情から賛否を呼んだ。

そうした複雑な事情が絡む中で発売された本作だが、その評価はというと……。

特徴

システム面では『4』以前の形態を踏襲(『4』からは「みぬく」と「サイコ・ロック」を引き継いでおり、それぞれ王泥喜・成歩堂の特殊能力として使用)しているが、以下のような新要素がある。

  • グラフィックが3DCG化
    • これまでは『検事』シリーズ含めイラストの取り込みやドット絵による完全2Dグラフィックだったが、本作では『レイトン教授VS逆転裁判』のノウハウを生かし全て3DCGでの造形となった。登場人物はもちろん、背景グラフィックに至るまで全て3Dである。
    • 『レイトン教授VS逆転裁判』同様にカメラワークが多彩になり、演出で活用されているほか「調べる」コマンドで立体的に視点移動が行えるようになった。
    • 背景グラフィックの小物も動くようになった。風に揺られている旗など、動きが細かい。
    • 3D立体視対応。
  • アニメーションムービーの搭載
    • これもまた『レイトン教授VS逆転裁判』のノウハウを生かしたもの。作画は『レイトン教授VS逆転裁判』同様にボンズが担当している。ただし『レイトン教授VS逆転裁判』とは異なり、本作は原則としてキャラクターが3DCGで描かれていることから、アニメーションと3DCGとのイラストの差が顕著に表れてしまっている。
  • ココロスコープ
    • 新ヒロイン・希月心音の使う特殊能力。証人の「感情」を機械と心音の能力で読み取り、発言内容と矛盾した感情について指摘、対話によって整理することで新たな情報を引き出す。
  • カンガエルート
    • これまでに出てきた情報をまとめ、整理するもの。複数の情報から正しい情報を選択してつなげていくことで、真実に結びつく。逆転検事シリーズの「ロジック」に近いシステム。
  • 探偵メモ
    • 探偵パートで使用する。今まで行った行動やこれからとるべき行動をまとめたメモで、中断した時や詰まった時などでも次の行動がわかりやすくなった。
    • 但し、後述するように本作は難易度が大幅に易化しているため、実際に探偵メモを使用する機会は少ない。
  • ヒント機能
    • 法廷パートの尋問で一定回数間違うと、「相談する」というコマンドが追加される。弁護席で隣に立っているパートナーと相談し、ヒントをもらう(場合によってはほとんど答えにたどり着く)ことができる。
  • おまけモードの搭載
    • 背景のものを調べ、ある人物から出された問題を探し出しそれに回答するという内容の「クイズ逆転推理」が追加。プロローグのみ無料で、以降は有料DLCで配信。
    • 本編で見たアニメーションムービーはクリア後にギャラリーで確認できる。
  • ダウンロードコンテンツへの対応
    • 機種の変化もあり、逆転シリーズとしては本作で初めてDLCに対応した(外部出演含めれば『レイトン教授VS逆転裁判』が先)。
    • 前述した「クイズ逆転推理」の他、本編でプレイヤーキャラの服装を変更できるもの(成歩堂は『3』以前に、王泥喜は私服に、心音はセーラー服になる)や、「特別編」と題した追加ストーリーが楽しめる。なお、本作のDLCは原則として有料である。
  • ユーザーインターフェイスの大幅な改良
    • 未読スキップやバックログが搭載され一般的なADVに近くなった。また、証言の長さと現在見ているページが分かるようになった。
    • セーブデータは二つまで作成可能。セーブ後もゲームを中断せずにそのまま続けられるようになった。
    • チャプターセレクトの搭載。シナリオの1パートがチャプターごとに分けられ「はじめから」を選んだ際にさらに細かく途中から楽しめるようになる。
    • 証拠品・人物ファイルは1ページ5個と表示数が減ったが、説明文を表示したまま切り替えられるようになった。

評価点

シナリオ面

  • 前述したように、かなり複雑な境遇にある本作はシナリオ面での危惧がかなり強かった。シリーズの特性上何より重視するべき部分であるためなおさらである。
    • あまりにも不可解な破綻や説明不足は無く、トリックや伏線などは綺麗に纏まっている。
    • 特に好評なのが第3話と特別編。どちらも登場人物が強烈かつインパクトの強いセリフやシーンが多いため、やたら印象に残る(特に後者の真犯人の豹変はあまりにも衝撃的であり、事前情報なしだと成歩堂達共々驚愕すること間違いなし)。後者は有料DLCで値段も800円とかなりのものだが、ボリュームも多く、配信されてから約1か月間半額だったことや、特別編のシナリオへの評価が特に高いこともあり、強くは批判されていない。また、定期的に割引されることも多いため、強くは批判されていない。
    • 設定面で『4』で消化不良に終わった部分(「黒いサイコ・ロック」や牙琉響也の過去など)にある程度の補足や詳細な設定が加えられている。
      • 『4』のネタバレに触れない程度に本作のシナリオを作り上げているため、本作単体でも楽しめる。
    • 過去作にまつわる話題や小ネタも意外と豊富。シリーズを通してのファンには嬉しい要素である。
  • 強烈な個性を持った登場人物
    • 主要人物・ゲストを問わずいずれも強烈なまでに個性的。
+  長いので折り畳み。中程度のネタバレ含む

システム面での改善や扱い

  • 新システム・過去作から受け継いだシステム共にかなり気を使った調整がされている。
    • 『4』で言いがかりだと強い批判を受けた「みぬく」だが、第2話の法廷では検事に「インチキ」扱いされ妨害されてしまう。当然と言えば当然だが。
      • このため法廷パートでは事実上封印状態で、「みぬく」の出番は探偵パートに移行する *1
      • ちなみに「みぬく」はボイスドラマでも使われていたが、こちらでは証人のくせを見た主人公たちが相談し、現場の状況と証言を合わせて不自然な部分に強いゆさぶりをかけるという説得力のあるものになっている。
      • 5話目のみぬくも、あらかじめ許可を得た上で(言いがからずに)癖から推理して証拠品の隠された機能を暴くといった使い方を見せている。 *2
    • 「ココロスコープ」も事前のシステム説明から「またみぬくの再来か」と批判を受けたが、作中では言いがかりにならないようある程度配慮されている。
      • 基本的に弁護側の証人に対して行う。検察側の証人に対しても行うことがあるが、いずれも事前に裁判長に対して「証人を落ち着かせるため、カウンセリングを行う」と説明を入れる。
      • 「みぬく」と違い作中の科学である程度実証されており、機械を使った分析になっているので説得力は強まっている。心音の問い詰め方もあまり強くはない(もちろん、そもそも感情を元に証言を引き出してよいのかという疑問は残る)。
    • カンガエルートの搭載で、事件の流れがわかりやすくなった。
      • 過去作も「情報を整理する」という展開はあったが、本作はプレイヤーが選択肢でそれを行う形になるためより順を追って情報をまとめやすくなった。
    • 前作までは離れた場所に行くためには決められた場所を経由する必要があったが、今作では一発で移動できるようになっている。
    • 逆転シリーズはこれまで細かいオプションが設定できず、再プレイにやや不便な部分も多いシリーズ作品であったが、前述したようにUIの改良がおこなわれており、現在のアドベンチャーゲームとしてはある程度整った形態となった。
  • グラフィックの出来もよい。
    • 3Dに変わったことで背景の細かい動きが表現されるようになった他、人物の造形なども秀逸。遠目に見ると2Dイラストと錯覚するほどの完成度で、2Dと3Dの造形の中間をうまく抑えた出来になっている。
      • 実際に、3Dモデルでありながら、2D的表現が不自然にならないよう(パッと見では分からないよう)上手く使われている。
      • 例:ポンコちゃんが怒って腕をメチャクチャに振り上げるシーンで、腕が何本か増えて振り回している感を演出している。(静止画で見ないと増えていることに気付きづらい)
    • 立体視に対応していることもあり、見栄えはよい。
    • モーションも出来がよく、真犯人のブレイクモーションは3Dであることを生かしたカメラワークやギミックも存分に使われており全体的に派手。

BGM

  • BGMは『3』および『検事』シリーズで作曲を担当した岩垂徳行が担当。ハードの移行もあってストリーミング再生に変更され音質が大幅に向上している。
    • 曲数は既存のアレンジ、アニメパートで流れる短い曲や特別編の追加曲を含めシリーズ最多の67曲に上る。
    • 特に好評なのが王泥喜の「異議あり!」に相当する「新章開廷!」のアレンジ。法廷パートのアレンジはオーケストラアレンジ版が元となっており、探偵パートではまた別のアレンジが使われている。
    • 他には「追求 ~追いつめまくれ」も好評。これまでの追求とは雰囲気が異なるが、使われる場面も多く何度も聞くと好きになってくるスルメ曲という評価が強い。
    • サウンドトラックでは曲の最後に独自の終結部が追加されている。『4』や『検事』では未収録だった追求のバリエーションや、ボーナストラックとしてPVで使われていた追求のアレンジも収録。

賛否両論点

システム

  • ココロスコープについても配慮はされてはいるが前作の「みぬく」と同じような批判がある。
    • 感情云々を裁判に用いることが認められているという話もないのに、使用することがまかり通っているのはおかしい。
    • また、あまり問い詰めないようにといっても「ある感情を持った人間にその理由を聞く」「感情を持っていることを前提に証人を追い詰める」といった行為は明らかに証人を威圧するものである。
      • 作中での「証人を落ち着かせるためのカウンセリング」という扱いに矛盾している。
    • また、「喜び・悲しみ・怒り・驚き」のたった四種類でどこに対しての感情なのかわからない状態であるせいか、ココロスコープを使わずに、普通のゆさぶりで充分な場面が多い。
      • それなのに、検察側がココロスコープについて異議を唱えないうえに説明も求めない。それどころかココロスコープで判明した証人の感情(それを裏付ける物的証拠はない)がそのままひとつの反証として受け止められ、それを前提に審理が進んでいく。
    • こうした正当性の是非を抜きにしても、推理要素抜きにストーリーが進んでしまう本システムを受け入れられないプレイヤーも少なくはない。
  • 「みぬくはインチキだから法廷では使えない」と前作の不評を踏まえた仕様にしたのに、(理由があるとは言え)最終話の法廷で結局使用する。ただし、上記の様に法廷で使用したケースは事前に許可をもらってから使用している。

BGM

  • 今までは証言・尋問の中盤から終盤で用いられていた「尋問 ~アレグロ」は流れる場面が極端に少なくなり、2日目の終盤ぐらいでしか使われない。第4話に至っては前編ということもあってか一度も流れず、盛り上がりに欠ける。
    • 流れる場面がほぼ真犯人の尋問に限定されている割には、『検事』シリーズの「対決 ~プレスト」のような盛り上がりが今一つという意見も見られた。
    • 尋問のBGMはこれまでの『裁判』シリーズ同様、アレグロまで。「プレスト」は本作にはない。
  • 法廷パートのクライマックスに近づいた時に流れる「真実は告げる」も、本作では追求が流れる回数が多い分少なくなっている。役割が逆では。
    • 曲自体の出来はいいのに、使い方が下手という意味では『4』の追求に通じるものがある。ちなみに『4』は逆に「真実は告げる」の流れる機会が多かった。
  • さらに最も指摘されているのが「追求」で、劇中ことある毎にひっきりなしに流れるため、本来盛り上げる役割を果たすはずなのにその役割をあまり果たせていない。前作の「流れなさ過ぎ」という批判を受けて回数を増やしたのだろうが、今度は「多すぎる」と言われることに。

ボイス

  • 逆転シリーズでは「異議あり!」などの声を社員が当てるのが定番だったが、 本作のキャラクターの音声はプロの声優が担当した
    • 本作ではアニメーションの追加などで、「異議あり!」のような短いシステムボイスだけでなく長いセリフを当てる必要が出てきたことと、録音環境の向上やハードのスペック向上などで高音質のボイスを入れられるようになったことなどからスタッフの声では無理があると判断されたものだと思われる。
      • たとえば『4』以前の成歩堂役の巧舟の声は『レイトン教授VS逆転裁判』のおまけ要素として導入が予定(没になったが)されており、イベントで新緑版が配布されたのだが、その音声を聞くとゲーム版とは大きく印象が異なって聞こえる。このことを考えると、本作で無理にスタッフを使わなかったことは一概に否定できる要素ではない。
  • しかし、声優の選出自体にも賛否が分かれている。
    • 成歩堂の演技について、本作の声優は『4』以前のPVやTGS特別法廷でも成歩堂を担当していた近藤孝行なのだが、本作では演技の雰囲気が以前から大きく変わったどことなく落ち着いた(あるいはスカしたような)雰囲気で「違和感がある」という批判が強い。しかし声質は『4』以前の巧に近く、演技も前述通り成歩堂の人物像が変化しており『3』からかなり年月が経った設定であることから受け入れたファンも多い。また『レイトン教授VS』の成宮寛貴が滑舌が悪く棒読みだと批判が強かったこともあり、近藤に声優が戻ったこと自体を評価されていることもある。
    • 御剣もまたこれまでのPV同様に竹本英史が演じているが、初期PVに比べどことなく粘着質でくどい喋り方になっており批判が強い。この批判については『検事2』のドラマCDのころから存在する。また「異議あり」の音声もこれまでゲームで声を担当していた岩元辰郎の声質とは大きく異なっている。
    • その一方で王泥喜を担当したKENN、夕神を担当した咲野俊介、番轟三を担当した佐藤美一についてははまり役と好評である。

シナリオ面

  • 先述の通り、本作はこれまでシリーズの脚本を担当していたシナリオライターが降板している。
    • それゆえ4以前(もしくは3以前)と比較して扱われることも多く、特に独特のセリフ回し(いわゆるタクシュー節)がなりを潜めてしまった点を惜しむ声も少なくはない。
  • ミステリーよりもギャグに走りすぎていて鼻につく部分がある。
    • レベルの上がったギャグネタのせいで法廷がコントと化していて、面白いとの意見がある一方、真剣に事件を解こうとしている人にとっては後述の推理もののお約束を守っていない点などで「寒い」「茶化されている」と、賛否両論な状態になってしまっている。
    • しばしばキャラクターの印象付けが強すぎると言われる。
      • 強烈なキャラクターはシリーズの魅力であるものの、今作はそれが少々行き過ぎていると感じるプレイヤーも多い。特に第3話の登場人物に顕著。
      • 元々、本シリーズは続編を重ねるにつれて登場人物の色物具合が強まっている傾向にあり、本作は行きつくところまで来てしまったとも言える。
  • 一つのシナリオとしては大きな破綻はなく及第点にまとまっているものの、伏線など全く用意せずにその場しのぎで話を進めている場面もあり、事件の統合性、描写などロジック面に致命的な欠陥も散見される。
    • ただし、こうした致命的な矛盾自体はシリーズ全体を通して毎回何かしら指摘されており、逆転裁判ユーザーの中にはむしろ整合性よりも、ゲーム展開やケレン味のあるトリックを重視する層も少なくはない。
    • 一方で、後述する難易度の低さ、シナリオライターの降板もあいまって過去作では気にならなかったシナリオの難点が目についてしまう層も存在する。
      • 本作のシナリオにおけるマイナス要因がゲームの楽しみを妨げるかどうかは、プレイヤーの個人差に依る部分もある事を特記しておく。
+  主な批判点。ネタバレ注意

その他

皆勤キャラクターの不採用

  • これまで皆勤賞だった人物や一部主要人物が外れることになった。
    • 亜内検事はこれまで「第1話の対戦相手」として定番だったのだが、本作では彼の弟が登場。そちらに立場を譲っている。
      • 時系列と年齢から考えると、おそらく定年退職が理由であると考えられる。
    • 糸鋸刑事も登場しない。彼は『検事』シリーズまで含めて皆勤賞という貴重な存在だったのだが、今回でそれを逃すことになった(「クイズ逆転推理」では彼を連想させるテキストがある)。
    • 『4』の刑事役だった宝月茜も登場せず。『4』の主要人物では設定上登場不可能なあるキャラを除き唯一外れることになった。
    • また『検事』シリーズが初登場の人物は一切登場しない。
    • しかし裁判長は同一人物である。設定では『1』から実に10年目になるのに、全く容姿や性格に変化がない。本編シリーズでは成歩堂以外で唯一の皆勤キャラとなっている。
      • ただしそんな彼も『検事2』では登場していないため、(背景出演などの特殊なケースを除いて)純粋な意味での皆勤キャラは糸鋸刑事を最後に今回で潰えることになった。
  • ただし、『1』から10年経っている事や作品を重ねるごとにキャラクターの入れ替わりがあることは当然であるため、一概に問題点とすることもできない。

『4』との関係

  • 『4』の消化不良についていくつか解決はされたものの、全ての問題の解決がされたわけではない(成歩堂や牙琉に関する(一部を除いた)数々の事柄、裁判員制度など何故か一切触れていない部分が見受けられる。これについては『逆転裁判4』参照)。『4』の設定やキャラを持ち込んだ続編でありながら、「『4』をなかったことにして仕切り直しにしようとしている」とも見れ、どっちつかずな所がある。
    • といってもこれは『4』自体がかなり微妙なところの作品で、あまりにフォローがしがたい問題点が多く、また『4』のネタバレに深く触れることもできないということを考えるとやむを得ないとしか言いようがない。『4』を完全に抹消しようとも、引き継いですべてに穴を埋めようとするにしても、どうしても祖語が生じてしまう。
    • むしろ「あの状況から『4』を抹消せず続編を作り上げた」という点で評価されていることも多い。

問題点

演出面

  • 全体的に演出が過剰で、テンポが悪い部分が多い。
    • 「法廷内で突然「待った!」がかかる→バン!という効果音と共に法廷内の人物に次々とカメラが切り替わる→大きな効果音と共に「待った!」をかけた人物を映し出す」というのはシリーズの定番演出であるが、本作ではそれがくどいほど多用される。
    • 同じく検事側からかなり鋭い反論をされる→「うわ(いや)あああああああああ」→「あああああああああああ」→「あああああああああああ」→(頭を抱えた弁護側)という演出も何度も使用される。あああああの並ぶ台詞ウィンドウはプレイヤーを「またか」と思わせる。
  • 立ち絵を3Dモデル化したことによる弊害。
    • 3Dモデル自体はよくできており、2D時代の雰囲気を壊さないまま臨場感を強化してくれているのだが……。
    • 問題はアニメムービーや、従来通りの一枚絵による2D画像も併用されていること。本作で新登場したゲストの中には、3Dと2Dで見た目が別人と化しており、同一人物と認識し辛いキャラクターが散見される。
      • 既出のレギュラー陣に関しては、元々2Dだったデザインに配慮しモデル化したためか、ほとんど違和感ないのだが。
    • いちいち3Dモデルのキャラクターが律儀にアクションするため、会話中における感情表現のテンポが悪くなっている。
      • 2Dの立ち絵と違い、動作の中抜きができなくなったことによる弊害。従来なら2~3カットの立ち絵変化でパパッと済ませたようなアクションでも、3Dキャラは中途を省略できずフルで動かす必要がある。表現の違いによるテンポの変化に配慮せず、従来通りの感覚で動作を設定したのだろう。
  • 「シナリオ上ここにムービーを入れる必要があるのか?」というような場面が多い。
    • 唐突に挿入されるため、テンポも悪い。スキップは不可能で字幕も表示されない。オプションでON・OFFの切り替えができればよかったのだが。
    • 携帯機という都合上、屋外で音を消したままプレイするユーザーも存在する。そうした場合、タイミングが一定しない事も相まってストーリーの理解に不都合が生まれる事も。
    • 次回作では章の中盤にムービーが流れる事が無くなり、字幕も表示可能になった。
    • 製作現場での連携が取れていなかったのか、本編との整合性を欠いており首を傾げてしまうような内容のムービーも。
+  例えば

「調べる」コマンドの制限

  • 探偵パートの根幹であった「調べる」コマンドだが、本作では原則として 事件現場しか調べることができない
    • 探偵パートがパワーアップ!」と公式サイトで謳っておきながら、蓋を開けてみれば探偵パートのほぼ全てにおいて「調べる」ことが不可能であり、実質的な改悪古参ファンを釣ったといわれても不思議ではない。
    • 逆転シリーズは背景にある小物を調べたときの、時折ギャグが混ざったテキストが好評であり、シリーズ共通の評価点の一つだった。しかし本作では「調べる」こと自体が制限されているため、そういったネタを探す余地がほぼなくなってしまっている。
      • 本作では3Dの視点移動や動く小物など、「調べてみたい」という意欲をますます掻き立てられるシステムになっている。そのため、なぜ「調べる」コマンドを制限したのかがより一層わからなくなる。難易度の易化を狙ったのかもしれないが、やりすぎである。
      • 「クイズ逆転推理」では本編で調べられない場所のものを調べることが可能だが、これは有料DLCである。特別編と違い値段は安めだが。

難易度の大幅低下

  • 初めてこのシリーズを触れる人を考慮に入れている事から、シナリオでは総じてヒントが多く、 難易度は非常に低い
    • 本シリーズの推理要素に対する高評価はそれなりに骨のある難易度にも裏打ちされていただけに、この易化を残念がる声も多く見られる。
    • 難易度の低下傾向は『検事』シリーズからあるが、本作は『検事2』のような極端な詰みポイントはなく、尋問で一定以上間違えるとパートナーがヒントをくれる機能やゲームオーバーになってもその場でコンティニューできる機能まであるため、歴代でも難易度は特に低い作品となっている。
      • ちなみにコンティニューを行うと、受けたダメージはMAXに回復した状態でゲームオーバーになった個所から再開され、間違えた回数も引き継がれるのでヒントも貰えるようになるといった、もはやメリットしか存在しないシステムになってしまった。
      • 間違えた事によるダメージの量そのものは大きめだが、もはやシステムそのものが形骸化しているので意味がない。
  • 法廷パートでは証拠品を突きつける時や怪しい箇所を指す時に主人公が独り言で何(どこ)を突き付けるべきかをプレイヤーに教える場面が従来よりかなり増えている。また証拠品の数も従来のシリーズに比べると減っている。
  • ココロスコープ・カンガエルートなどの場面では 選択を間違えても一切ペナルティ(ダメージ)にならない ため、間違えたい放題になってしまっている。
    • サイコロックも間違えた際のペナルティがなく、また即座に解除できるような状況で出てくる為に非常に簡単になってしまった。こちらも形骸化しているといえなくもない。
  • 探偵パートでは、何をするにしても「○○をしてみよう」「○○に行ってみよう」などキャラクターがかなりの頻度で次にとるべき行動を示すため、「自分で何かをする」という機会がかなり減っている(「作業ゲー」と呼ばれる原因である)。
    • 特定の話を聞くと自動的にマップ移動が起き、 次の場所へと勝手に移動してしまう ため、どこで誰に話しかければよいのかがわからなくなって詰むという状況がほぼありえなくなっている。
    • これらのことから、「作業ゲー」「退屈で眠たくなる」「肩透かし」という意見もあり、これまでの逆転シリーズになれているプレイヤーにとっては物足りなさを感じてもおかしくはない。
  • 本作はかなりの親切設計がなされているが、「行き届いている」を通り越して「行き過ぎ」になっている。低難易度と便利機能がお互いに潰し合う状態になっており、新機能が一部空気化してしまっている。
    • 特に「探偵メモ」は謎解きに詰まった際の救済策として新たに追加されたものだが、これまでの逆転シリーズであればまだしも、 そもそも詰まりようがない本作 では、使う必要のない機能になってしまっている。

その他

全体的なネタの減少

  • 『蘇る逆転』『4』であった科学捜査も廃止されたり、行える場所がかなり制限されてしまっている。科学捜査は好評だっただけに惜しい。
    • ルミノール試薬は特別編のある場所でしか使えない。また指紋検出がシナリオに登場するが、イベントで勝手に検出してしまう。プレイヤーが指紋を取り出し照合するというプロセスはない。
    • 3D証拠品は1度だけしか出ない上に、任意で調べる事が出来ない。
  • 証拠品を突きつけたときの反応も少なめ。全くないわけではないが、シナリオに関係ない証拠品にはあまり反応が返ってこない。
    • また人物ファイルは『1(蘇る逆転)』『4』『検事』シリーズと同様、任意でつきつけることができない。そのため、人物についての反応も見ることはできない。
  • ネタについても、セリフ回しなどについては「巧が担当した作品と比べ、言い回しがマトモすぎて面白みを感じない」という人も多い。
  • キャタツとハシゴ」のネタは本作でも登場するが、 従来のネタはこれくらい である。これもほとんどの場所で「調べる」ことができなくなったことの影響ということができる。
    • 「調べる」ことができなければ、これまで「調べる」ことで登場していたネタを入れることができなくなるのは当然の結果である。

有料ダウンロードコンテンツの導入

  • 本作の特徴として、シリーズでは初めてDLCが導入されたが、全てが有料での配信である(期間限定で無料や半額になっていたこともある)。
  • 1つ1つのDLCの値段は高くないが、全てのコンテンツをダウンロードするとなると結構な金額となってしまう。
    • ただのおまけ要素的なDLCであるならまだしも、特別編としてシナリオ1つがまるまるDLCになっており、本編で空気だった春美はこの特別編で主に活躍する。また、「調べる」コマンドも有料DLCでのみ制限が緩和されており、本編で制限されたものを餌にDLCへ誘導していると捉えられてもおかしくはない。
    • DLCがこのような内容であるため、「そもそも、なぜ本編に入れなかったのか」という批判がなされる。
    • 当然ソフト自体が安ければそう言った声も少なくなるだろうが、本作は約6千円とDSソフトとしてはどちらかと言えば高めの値段である。

総評

シナリオそのものは大きな破綻もなくきっちり纏まっているものの、大幅な難易度の易化、探偵パートの根幹であった「調べる」がほぼ制限されている点や、ネタの減少やキャラクターの違和感等、批判されるべき点は幾つか存在する。
こうした批判点は、あくまでシナリオの面白さを勢いに任せすぎたあまりに発生したものであり、本作をあくまで「一本の新しいゲーム」と捉えればそこまで問題視すべきではない部分も多い。
しかし曲がりなりにも「逆転裁判」シリーズを名乗っている以上、従来の「逆転裁判」シリーズ作品を基準に比較され、三部作のような推理ゲームを好むファンから「コレジャナイ」と批判されてしまうのは避けられないだろう。

とはいえ『4』のみならず従来作品において見られた「ゲーム的な側面での問題点」を改善した部分もあり、ゲームとしての進歩や今後への期待は十分に感じられる。
『4』で消化されなかった部分にもいくつか答えや補足が用意されており、特に王泥喜についてはファンが待ち望んだ「新しい主人公」の印象をやっと見せてくれたと評価された。

前作の出来が批判される中での正統続編として不安と期待の両方が寄せられたために、「三部作には及ばないが前作よりは良い」「あの状態からナンバリングシリーズを立て直しただけでも十分に功績がある」などといった評価がなされることとなった。

余談

  • 発売前のプロモーションではネタバレを避けるためか、ゲーム本編には全く出てこない内容でPVやスクリーンショットが作られていた。
    • たとえば初期PVでは「動機がない」と主張するある人物にココロスコープを仕掛け、「弁護士について話す時だけ怒りの感情が出ている。弁護士に恨みがあることは動機になる」と指摘するという内容が紹介されたが、本編にそんな場面は一切出てこない。
      • このココロスコープの扱いが『4』のみぬくに近いことから、「新要素がまた言いがかりになるのではないか」という余計な不安をあおる一因になった。ちなみに、そのココロスコープを使った相手からは「しかし、証拠はない」と尤もな反応を示されている。
    • 他にも「カンガエルート」の説明で「子守唄」というキーワードが出ていたが、これも本編には登場しない。
    • シリーズの体験版は第1話冒頭の内容を一部省略したものになっているのが定番なのだが、本作では特に法廷パートに入るまでの内容が大きく異なっている。
  • インターネットラジオ「音泉」でボイスドラマが配信された。全5話で、キャストはゲーム版と同一だがゲストキャラの声優は不明。ドラマCDとしてボーナストラック追加で発売予定。殺人事件ではない。
    • 時系列的に設定が重ならない部分があり、パラレル設定だと思われる。
      • ココネを「希月さん」と呼んでいるはずの王泥喜に「ココネちゃん」と呼ばせるなど、多少違和感がある部分も。
      • なお、王泥喜は「手品のトリックを推理するなんて今まで経験がない」という旨の発言もする。 4でやっていたのは何だったのか 。また、心音の主張に【憶測じゃねーか!】と突っ込みを入れたくなる人も数多く居るだろう。
    • 声優の演技は素晴らしいが、前述通りその選出には賛否が分かれている。また5話という尺の短さなどから展開がかなり急で強引。
  • 発売から1年後にスマートフォン版の配信が開始。
    • 王泥喜の活躍ぶりを受けてか、ファミ通での紹介では成歩堂・王泥喜の二人が主人公として紹介された。
    • 「4」よりも前に配信開始している。
  • カプコンのリズムゲーム『crossbeats REV.』に今作から「追求 ~最終プロモーションバージョン」が収録されている。