新機動戦記ガンダムW ENDLESS DUEL

【しんきどうせんきがんだむういんぐ えんどれす でゅえる】

ジャンル 対戦格闘アクション
対応機種 スーパーファミコン
メディア 16MbitROMカートリッジ
発売元 バンダイ
開発元 ナツメ
発売日 1996年3月29日
定価 7,500円(税抜)
判定 良作
ポイント 時代を先取りしたハイスピード格ゲー
自由度が高すぎて難易度もずば抜け
「ナツメのガンダムゲーにハズレ無し」の始祖
ガンダムゲームリンク


概要

当時放送中*1だったアニメ『新機動戦記ガンダムW』を元にした作品。
人間ではなく作中に登場したモビルスーツを操って戦うゲームだが、キャラゲー(それも明らかに作品の雰囲気と合致しない格ゲー)で、なおかつ発売元がバンダイと、クソゲーの条件をもれなく備えていた。
この上に、前作に当たる『機動武闘伝Gガンダム』の出来がアレだった*2ため、原作ファンでさえ敬遠していた。
しかしいざ発売されると洗練されたシステムやスピード感のあるアクションなどからくる自由度の高さから、ガンダムの格闘ゲームとしては珍しく高い評価を受けることとなる。

特徴・評価点

多彩な操作と高い爽快感

  • 通常技は素手攻撃の弱、強と武器攻撃の弱、強の4種類。武器攻撃ではビームサーベルを使ったり、一部の機体はガトリングやビームキャノンを撃ったりと機体ごとの特徴をうまく再現している。なお、機体同士の距離が離れると一部の機体を除き素手攻撃がバルカンになる。
    • 素手攻撃は基本パンチやキックだが、中にはガトリングやビームキャノンの砲身でブン殴ると言う荒技を持つ機体もある。
  • 必殺技はコマンド入力制だが、ほとんどの機体はコマンドが共通。さらに素手、武器のどちらで入力してもOK(もちろんそれぞれの弱、強で性能が変化する)なので覚えやすい。とりあえず波動拳、昇龍拳、竜巻旋風脚が出せればOKと書けば解りやすいだろうか。
  • 地上でのダッシュやブーストジャンプ、空中ダッシュ、2段ジャンプ、ホバリング(落下速度の低下)と、当時としては多彩かつ画期的な移動手段を備えておりスピード感も抜群。空中ダッシュを使った強襲、バックダッシュやホバリングによる回避と、これらを使った駆け引きも非常に熱い。
    • 特筆すべきは、攻撃をガードしながら接近&離脱できる「ガードダッシュ」の存在。これにより安易な牽制は逆に相手の接近を招き、硬直を狩られることになるため、読み合いが非常に面白くなっている。
      • ただし通常のダッシュと比べると移動距離が短いという欠点があり、単純な上位互換ではない。距離を見誤ると相手の目の前で止まってしまうので、使い分けも重要になる。
  • 更に通常技を繋げるチェーンコンボやそこからのキャンセル必殺技による〆、ダウン状態への追い打ち、空中投げ、投げ抜けと、スーファミの格ゲーながら現在の格ゲーにも搭載されるようなシステムが多数搭載されている。そのため、爽快感やスピード感は次世代機の作品にも匹敵する。
    • ダウン追い討ち可能時間が『ギルティギア』並みに長く、ダメージ補正がかなり緩い上に数ヒット当てる事もできてしまうので、投げを喰らって少し残ったと思ったらダウン追い討ちでKOという事もある。ダウン追い討ちでKOするこの快感は病みつきになる事請け合い。
    • なお、受け身は搭載されていない。
    • ド派手な超必殺技も完備。更にほとんどの機体はキャンセルでコンボに組み込める(画面端限定などの条件が必要な場合があるが)ため一発逆転も十分可能。
      • また、ウイングガンダムとウイングガンダムゼロには説明書にも載っていない隠し超必殺技がある。
  • 本作では体力の他にエネルギーゲージが設定されている。初期値および最大値が300でバルカンは1発につき1*3、強必殺技を使うには100、超必殺技を使うには200必要となるため、エネルギー管理をきっちり行わないと肝心なときに強必殺技や超必殺技が使えない…といった事態に陥ってしまう*4。結果、距離を離して適当に飛び道具を撃ち合うといった展開にはなりにくいため、マンネリ化しづらい。

原作再現

  • 機体ごとにステージとパイロットが設定されているのだが、ファンならニヤリとする箇所が多数存在する。エピオンには仮面を外したあのキャラが…。
    • 原作ではヴァイエイトとメリクリウスにはトロワとヒイロがそれぞれ搭乗するのだが、レディ・アンとノインに変更されている。原作再現からは離れるが、キャラを多彩にするためだろう。
    • また、ウイングとウイングゼロのように同じパイロットが乗っている機体同士が対戦すると、相手のパイロットが変化する。例えば自機がウイングで敵がウイングゼロの場合(どちらもデフォルトパイロットはヒイロ)は、ウイングゼロにはゼクスが搭乗する。原作でもゼクスは短期間だがウイングゼロに乗っている。

BGM

  • 岩月博之が作曲するBGMはいずれも評価が高い。特にヘビーアームズステージのBGMは名曲と名高い。
  • タイトル画面ではアニメ後期主題歌「RHYTHM EMOTION」のアレンジ。しっかりと再現されている。

賛否両論点

ハードルの高さ

  • 若干ではあるがコンボゲーの側面を持ち合わせているため、格ゲー初心者にはハードルが高い。コンボをつなぐのに正確なコマンド入力が要求される場面も多々ある。
    • また、ダッシュ操作が多彩ということは裏を返せば立ち回りが複雑化するということであり、状況に応じたダッシュの使い分けができるかどうかが勝率に直結することになる。
  • もっとも、これらのダッシュやコンボを使いこなした先に本作の真の面白さがあることは間違いない。また、システム自体も現在の格ゲーほど複雑というわけではないので、ある程度経験を積めば自ずと使いこなせるようになる。

問題点

機体間のバランス

  • エピオンが跳びぬけて強く、次点でシェンロン。その下にゼロ、メリクリウスなどが続く。
    • エピオンは1体だけ高速ジャンプ攻撃の中段が可能。崩し性能も火力もずば抜けて高い。
    • シェンロンは立Aの攻撃判定が長い・早い・ダウン後に追撃可能と三拍子揃っており、更には下A・ジャンプAも高性能。牽制の立ち回りだけで完封勝利してしまう光景も見られる。
    • 一般的に強いと言われるデスサイズは地上ダッシュ中は投げ以外が無効、簡単な無限ループコンボを持つなど壊れ気味という印象を持たれているが、立ち回りなどで中堅程度の強さに収まる。そもそも永久は他のキャラでも可能。
    • 技数も偏りがあり、決して多いとは言えない。武装に依存する面があるので、仕方ないかもしれないが。
      • メリクリウスは投げ以外無敵になる超秘技、ヘビーアームズは「ジャンプ下段攻撃」などなかなか面白い性能の物もある。

機体数

  • 登場機体は前期のガンダム5機、トールギス、ヴァイエイト、メリクリウス、ウイングゼロ、そしてラスボスを務めるエピオンの計10機と少ない。デスサイズヘルやアルトロンなど、改修後の機体が登場しないのは惜しまれる。
  • また、原作の重要人物であり人気キャラのトレーズ閣下及び愛機トールギスIIが登場しないのも非常に惜しいところ。
    • 発売日を考えればアニメの中盤頃から開発していたと推察されるので、仕方ないのかもしれない。
    • トレーズ自体は「STORY MODE」のエンディングに登場し、本作のタイトルの由来について語ってくれる。

総評

発売時期がスーファミ末期だったことや作品の性質故に知名度は決して高くない。
しかし画期的なシステムを多数搭載した「キャラゲーの皮をかぶった良質かつ本格的な格ゲー」であり、まさに隠れた名作であると評価できる。


余談

  • 本作を語る上で外せないのが、エピオンの使う必殺技「スパークウインド」。
    • 機体全身からエレガントオーラ謎のエネルギー弾を乱射するという、どこぞの石破天驚拳も吃驚の代物である。
      • その性能は本作の飛び道具系必殺技でもトップクラス。相手に全弾ガードされても削りダメージに加えて此方のエネルギーゲージが半分回復すると説明すれば、どれ程えげつない性能なのか容易に想像できるだろう。
    • 原作再現度の高さから考えて、スタッフがエピオンという機体の設定を理解していなかったとは考え辛いのだが……尚ファン曰く「火器じゃないのでセーフ」。
    • 機動戦士ガンダム ガンダムVS.ガンダムNEXT機動戦士ガンダム EXTREME VS. FULL BOOST等、後のガンダムゲーに参戦したエピオンが深い哀しみを背負った性能だったのもあって、ごく一部ではあるが「エレガントオーラスパークウインドの実装マダー?」とネタにする声もあったという。
  • 本作の開発元であるナツメは、本作以降も『ガンダム・ザ・バトルマスター』等の名作ガンダム格ゲーを数多く生み出しており、「ナツメのガンダム格ゲーに外れなし」とまで言わしめる程の実力を見せつけた。
    • ただし、同じく原作放送中に送り出された『機動戦士ガンダムSEED』のような明らかに完成度の低い例もある。

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最終更新:2022年07月10日 01:39

*1 ただし、最終話の放送日と本作の発売日は同じ。

*2 なお、本作とは開発元が異なる。

*3 だいたいの機体は弱で3、強で6消費となる。

*4 なお、通常技を当てたり敵の攻撃をガードしたりすると回復する。