カオスシード -風水回廊記-

【かおすしーど -ふうすいかいろうき-】

ジャンル 洞窟育成シミュレーション
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対応機種 スーパーファミコン
発売元 タイトー
開発元 ネバーランドカンパニー
発売日 1996年3月15日
定価 9,980円(税別)
判定 良作


ストーリー

高山の麓にある桃源郷「洞天福」。
そこでは洞仙と呼ばれる仙人達が、地下の気の流れ(龍脈)に気を補い大地を活性化させるために活動していた。
修行を終え、新たに洞仙となるためこの地にやってきた一人の若者。
荒廃した大地をよみがえらせるため、闘志を燃やす若者の戦いが今始まろうとしている。

概要

メーカー曰く「洞窟育成シミュレーション」。だが、しかし。キャラクターを操作していると、どう見てもアクションRPG。そのせいか、AmazonのカテゴリーではRPGに入っている。

  • 古代中国を思わせる世界観の中、プレイヤーは仙窟の主「洞仙」を操作することになる。
  • 部屋や通路を作って仙窟を拡張整備し、エネルギーを集めて龍脈を活性化させるのが、ゲームの主な流れ。
  • 世間での「洞仙は全て悪人」という偏見により、敵対者や討伐隊は後を絶たない。またお宝等を求める冒険者達も存在する。主人公は、ときには仲間や召喚した仙獣と共に、ときには独りで、それらを撃退することになる。

平行世界をベースにした、同一主人公による短編的なシナリオ九本のオムニバス。各シナリオとも終了時にエンディング(分岐有りのマルチエンディング制)があり、スタッフロールが流れる。

  • 一本目のシナリオの一回目だけは、事の発端であるため、エンディングは一つだけである。そのエンディングから二~五本目のシナリオへと繋がっていき、これが物語の主軸となる。
    • その他、独立した物語が3本、ほぼアドベンチャーゲームとなっているシナリオが2本。
    • 分岐も含めた全エンディングをみると、十本目のシナリオ「ダンジョンモード」が解放される。その名の通り、広いマップ内で自由に仙窟を作っていける。
      • このダンジョンモードにも最終目的らしきものはある。仙窟を拡張していけば自ずと現れるだろう。

なお主人公・ヒロインは自由に名前を付けられる。

  • 平仮名・かな・アルファベットだけでなく、常用漢字もかなりの量が登録されているので、漢字での名付けも可能。
  • メインの名前に加え、(フリガナ的な)読みの登録もある。
    • こちらは主に、HPバーの上部などに小さな文字で表示するためのもの。

特徴

風水の五行相剋の概念を取り入れた仙窟作り

  • このゲームでは、削岩功という技(壁に手を当てて一アクションで掘削範囲指定画面を出し、一気に掘る)を用いて岩盤を掘りぬき、部屋や通路を作成していく。
    • 埋め戻すことは出来ないので掘削は計画的に。
  • 作成した部屋は、5属性(水・木・火・土・金)のいずれか1つの属性をもつようになる。属性によって作れる部屋の種類(エネルギー部屋、掘削部屋など)が違ってくる。
  • また、通路によって他の部屋から気が流れ込むと、その部屋の属性に加算される(例:木1火2など)。これは部屋の機能を強化する際に必要となる。
    • 但し属性の相性によって気の強弱が変わり、また一つの部屋につけられる通路の本数にも制約(6本まで)があるため、無制限に属性を追加できる訳ではない。
      • なお通路のつなげ方によっては部屋との境に扉(流れ込む気を2倍にする)がつくが、狭い部屋だと扉をつけるだけの十分な幅がとれないことがある。扉がつく条件は他にもあるがここでは割愛。
    • よって、気の流れも考慮しつつ、各部屋の属性・サイズ・通路のつなげ方など、仙窟全体を計画的に作成する必要がある。特に部屋最高の機能や隠し機能をつけようとした場合には重要。

仙窟の育成

  • シナリオごとに決められた量のエネルギーを、龍穴炉へ振り込むことが主目的となる。概要でも述べた通り、侵入者の撃退も必要。
  • その為、各種の部屋を作って仙窟の機能を高める必要がある。エネルギーや仙丹を生産したり、アイテムを発掘したり、攻撃部屋や罠を作成したり、仙獣を召喚できるようにしたり、等々。
  • ゲームはターンごとに仙窟内でのアクションを(こちらがメイン)、ターンの合間の「集計タイム」でシミュレーション的な仙窟設定をと、交互にこなしていく。
    • ターンごとに規定の刻数(部屋数で伸びる)だけ仙窟内で行動できる。
      • 但し刻数が止まる(表示されない)場面もある。戦闘時や地下道探索・街中散策の時など。
      • このゲームでは、なんと部屋や通路の作成もアクションターン中に行う。掘りたい場所まで移動し、壁と岩盤を先述の削岩功で一気に掘りぬくのである。
    • 集計タイムでは、各部屋の強化や罠作成(作れるなら)・設置、仙獣の巡回ルート設定などを行う。また途中セーブもここで出来る。

各種の仙獣

  • 「召喚部屋」から十二支をモチーフとした仙獣を召喚し、戦闘や仙窟の維持にあたらせることができる。
    • 運搬役・肉弾戦闘向き・仙術使い・リーダーとしての能力に長ける者など様々な仙獣がおり、個々がキャラクターとして扱われ、そのシナリオ中はずっと使役できる。
  • 主人公とは別のグループを組ませて仙窟内を巡回させることもできる。警備としての役割もあるが、それ以上に仙獣によって「各部屋へのエネルギーや仙丹の配布」「侵入者が傷めつけた部屋の修復」が行えることが重要。
    • 各部屋はターン毎に自部屋内のエネルギーを消費する(部屋を強化すると消費は更に増えることが多い)ため、放っておくとすぐにエネルギー不足で機能停止してしまう。また部屋の強化の際は、部屋毎に溜め込まれている仙丹を消費する。
      • しかしエネルギーや仙丹は、主人公の手持ちからは部屋に供給出来ない。そのため、運搬用の仙獣を巡回させて「生産部屋」「練丹部屋」から各部屋に運ばせる必要がある。
    • 侵入者によるダメージを受けすぎて破壊された部屋は(部屋そのものは消えないが)これまた機能停止してしまうため、修復能力をもつ仙獣を巡回させて回復する必要がある。

評価点

自分だけの仙窟育成

  • メイン部分はアクション要素も多くて急がしく、シミュレーションとしてもやる事は多いが、全体像を思い浮かべつつ自分だけの仙窟を作成していくのはやはり楽しい。さすが「洞窟育成シミュレーション」を名乗るだけのことはある。
  • 攻撃部屋や強力な仙獣などを駆使すれば、侵入者を自動で撃退することも可能。
    • イベントで侵入してきたキャラとは龍穴炉で対峙することが多いが、ものによってはそれでさえ仙窟内で(龍穴炉にたどり着かせずに)撃退できる。シナリオによってはストーリーが分岐することも。

NPCとの会話・掛け合い

  • シナリオイベントに限っても、真面目なものからギャグ調のものまで、様々なやり取りが繰り広げられる。
  • シナリオによっては主人公自ら地上の街に乗り出すこともあり、街の人々から話を聞ける。
  • 龍穴炉へのエネルギー振込みを行わずにゲームを進めることも出来るが、何ターンも放っていると仙獣にツッコまれる。
  • 会話の際にもキャラが色々な仕草をしたり、飛び跳ねたりと芸が細かい。

多彩なアクション

  • 主人公は特に多彩。アクションRPGと誤解されるのもむべなるかな。
    • 通常攻撃だけでも大中小攻撃にジャンプキックにスマッシュと一通り揃っている。この中にはダッシュからつなげる攻撃や、多段ヒットするものもあり爽快。
      • 操作自体はAボタン(ダッシュ)とBボタン(小攻撃)・Yボタンの組み合わせ。
    • おまけに仙術も使える。ほとんどは攻撃用だがHP回復仙術もある。高レベルの仙術は威力も絶大。
  • その他のキャラも、人間仙獣問わず大抵何らかの特殊攻撃(専用モーション付き)を持っている。主人公ほどではないが仙術を扱う術士もいる。

世界観に沿った音楽

  • 音楽も世界観に沿ったリズム、音の流れを持っており、秀逸である。
    • 一シナリオ中同じ曲が流れるのではなく、仙獣を連れていたり龍穴炉へのエネルギー注入量によって、曲が変わっていく。また、シナリオとは関係ない小さなイベント(敵が大量に攻め込んでくるor全く攻め込んでこない)の時にも専用の曲がある。
      • 洞天福国の兵士達の曲「楽々洞天軍(お間抜け洞天軍)」(ターンの合間に入るイベントシーンで流れる)などは、お気楽と言うか、暢気というか、殺伐とした雰囲気が一切無い明るい曲である。

賛否両論点

  • 仙窟を他シナリオに持ち越せない。
    • アイテムは倉庫部屋の最高機能「異次元倉庫」を開いて預けることにより別シナリオに持ち越せるが、仙窟そのものはどうしようもない。たとえ会心の出来のスーパー仙窟が出来たとしても、そのシナリオ限り。
      • もっとも、その都度新たな仙窟を作るという愉しみもある。そもそも、仙窟は完成形に持って行くまでが大変で、維持管理はかなり簡単…、というより、維持管理に手間がかかる仙窟は失敗作というシステムであるため、スーパー仙窟を持ち越せた場合非常に単調なゲームになってしまう危険がある。

問題点

  • ロットによっては、一本目のシナリオで部屋を二十以上作るとバグってしまい、場合によってはシナリオが進められなくなったりすることがある。
  • 召喚した仙獣一つ一つに名前を付けられるのだが、その付けた名前を他のシナリオで使えない。
    • これらのバグに対しては、タイトーは交換という形で対応していた。
  • システムが独特なため、チュートリアルが長い。
    • 通常攻撃のコマンド説明・八種類ある部屋の説明・仙獣の役割の説明・仙窟練習モード・部屋と通路の作成と情報画面に出てくる「因素」の説明・エネルギーと仙丹と龍穴炉の説明・部屋同士の五行相剋の関係と法則。と、これだけある。
      • 全て実際に操作しながらであることが多いが、これらが一本目のシナリオにはいる前にある。
      • 最後の五行相克の説明は、一本目のシナリオの中で説明される。
  • 通常の移動が「歩く」と「ダッシュ」しかないため、仙窟が広くなると一ターン内で発生した敵を全て倒すという対応が難しくなる。
    • 転送部屋というワープできる部屋もあるが、強化しないと隣接する部屋までしか飛べない。
  • 宝箱を開けるのもダッシュと同じAボタンを使用しているため、宝箱に対して自キャラの立ち位置がずれているとダッシュが暴発してしまうことがある。
    • 敵などが出したランダム宝箱が、通路と部屋の境目近くに出現したときにこれをやってしまうと、ダッシュで画面が切り替わって宝箱が消滅してしまい泣きを見ることに。
  • シナリオは全体的に好評なのだが、終盤シナリオで明かされる真相は割と拍子抜け。

総評

シミュレーションとアクションRPGを程よく混ぜ合わせたゲーム。
とにかく考える事や、やる事は多いが、自分だけのダンジョンを作れるという魅力は、他のゲームにはなかなか無いものである。
シナリオ自体の難易度も極悪なものはなく、その一方でやり込み要素も多彩。
ライトユーザーからヘビーユーザーまで幅広くお勧めできる一品なので、機会があればぜひプレイしてみて欲しい。

その他

  • 後にセガサターン(SS)において『仙窟活竜大戦カオスシード』というタイトルでリメイクされ、サタコレでも出ている。
    • 新規シナリオの追加、既存シナリオの大幅な書き直しがあり、全15シナリオになった。オリジナルで不明だった「カオスシード」というタイトルの意味も明らかになっている。
    • 一部の部屋の機能が始めから使えるようになっている等、難易度は少し下がっている。アイテムや仙術にも変更・追加がある。
    • また「なぞ窟」が追加。詰め将棋のように決められたお題を解いていくもの。
    • 会話はパートボイスになった。ただし、主人公とヒロインの名前を呼ぶ時は沈黙で処理されるため、違和感が強い。
  • ソフト自体があまり出回っておらず、入手しづらい。
    • SFCの晩期であったため、出荷本数は少ない。また、購入者の多くが手元に置いておくことが多いために中古もあまり出回っていない。SS版も同様に少な目だったようだ。
    • これらの事情により中古相場はかなり高め。
    • ネバーランドの社長曰く、『これ以上の移植をする予定はない』とのこと。

関連商品

  • ソフトバンクから『カオスシード設定資料集 点心爛漫』が出版された。キャラデザを担当した船戸明里によると、タイトーと版権でもめたらしく、そのためか110ページほどで3800円とやたら高価。
  • SFC版サントラ、SFC&サターン版サントラCD(カオスシード サウンドトラック[GAME SOUND LEGEND SERIES] )が出ている。
    • SFC版サントラには、アレンジに加え効果音が加えられた曲が6曲ある。ゲームをしている雰囲気を楽しめる。
      • SFC版サントラはプレミア化しているもよう。それでも、SFC版サントラが全て収録された後発のサントラが出たので値は随分と下がっている。現在Amazonで視聴できるようである。

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最終更新:2021年11月13日 00:40