『The Last of Us Part I(Win版)』が「判定不一致修正依頼」にて判定と記事内容の不一致が指摘されています。対応できる方はご協力をお願いします。


この記事では『The Last of Us』『The Last of Us Remastered』『The Last of Us Part I』を取り扱っています。



The Last of Us

【らすとおぶあす】

ジャンル サバイバルアクション
対応機種 プレイステーション3
発売元 Sony Computer Entertainment
開発元 Naughty Dog
発売日 2013年6月20日
定価 (ディスク) 5,695円+税
(ダウンロード) 4,900円+税
プレイ人数 1人(オンライン時2~8人)
通信機能 PlayStation Network対応
レーティング CERO:Z(18才以上のみ対象)
判定 良作
The Last of Usシリーズ
The Last of Us / The Last of Us Part II
SIEワールドワイド・スタジオ作品

概要

クラッシュ・バンディクー』シリーズや『アンチャーテッド』シリーズを手掛けたNaughty Dogの作品において、初めてCERO:Z(18歳以上のみ対象)のタイトル。
当初は詳細な内容は発表せず、登場するキャラクター達がどういった関係でどういった世界観なのかは曖昧のままで進められた。
なぜなら、このゲームが映画そのものであるかのような演出を前面に押し出しているということもあり、ネタバレは極力抑えていたからだと思われる。

そして、発売後は完全新規IPの作品でありながら700万以上の売上を挙げ、遂にはThe Elder Scrolls V: Skyrim』を越えて歴代ゲーム史上最多のGOTYを獲得する程までに高い評価を得た。


ストーリー

ある日、強力な細菌によって世界的な感染(パンデミック)が発生。
原因不明、出所不明の細菌によって人間は凶暴化。
世界は荒廃し、人類は絶滅の危機に瀕していた。
以降社会的にも腐敗した世界に生き残った人々は、今だ衰えない細菌への恐怖、貧困から来る絶望に襲われ、生きる目的すらも失いかけていた。


特徴

  • システム
    基本システムは一般的なTPSであり、同社のタイトルで言えば『アンチャーテッド』シリーズにかなり近い。
    Lボタンで構えてRボタンで銃撃、右スティックでカメラ操作、左スティックで移動、方向キーで武器変更と、ここらはアンチャと変わりない。
    ただしステルス要素/サバイバル要素の関係上、『アンチャーテッド』と比較して操作の快適性やプレイヤーの強さが意図的に抑えられている。
    例えば、ステルスキルや格闘キルにかなりの時間が掛かる他、回避行動(ローリング)のシステムが導入されていない。
    視界も同作と比べてかなり狭くされており、また「HPの自動回復」というTPSではごく一般的なシステムも搭載されていない。
    その反面、『アンチャーテッド』には存在しなかった「その場で180度ターン」や「ダッシュ」などのシステムが導入されている。
    これは敵を倒すことに重きを置いた『アンチャーテッド』と、隠れる・生き残ることに重きを置いた本作の差だと言えよう。
  • サバイバル要素
    本作の最大の特徴の1つ。本作は文明が崩壊しかけた世界観であるため、全編を通じて入手できる物資は極めて少ない。
    所持弾薬は10発に満たず、入手量も1度に数発ほど。格闘武器にも全て耐久力が設けられており、連続した使用はできない。
    • そのため、布・アルコール・刃物・テープなどの素材を利用し、ハンドメイドの武器アイテムを作って場を切り抜ける必要がある。
      例えば、布+アルコールでHPを回復する「治療キット」を作成でき、また同じ素材で多数の敵を焼き払う「火炎瓶」を作成できる。
      火薬+砂糖で敵の目を眩ませる「煙幕」となり、刃物+テープで敵の1撃キル&ドアの解錠に利用できる「使い捨てナイフ」となる。
    • また、より現実的なシチュエーションを強調するため、工作用インベントリメニューを開いている間もゲーム内の時間は進行している。
      限られた時間の中で、限られた物資を柔軟に使い分けることが生き残る鍵なのである。
    • 特に上位の難易度では物資が極端に少なくなるため、いかに節約するかが重要となる。
  • ステルス要素
    本作のもう1つの最大の特徴。『アンチャーテッド』のステルスシステムをより発展させたもの。
    荒廃した世界観であるが故、敵は徒党を組んで行動している。こちらは常に少人数での行動なので、そのまま戦っては著しく不利となる。
    そのため、背後から静かに敵をキルする、見つからずに敵をやり過ごすなどの隠密行動で、上手く状況を切り抜ける必要がある。
    • もちろん、このステルス要素自体にもリスクがある。死体を他の敵が発見すれば警戒されるし、ステルスキルの動作が長いので見つかる危険性もある。
      隠れて倒すか、そのまま撃ち合うか、隠れてやり過ごすか、状況に応じた行動の切り替えが大切なのである。

  • 本作を語る上で重要なのが「音」の要素。
    一般的なTPSには大抵存在する銃器の消音装置が無い。発砲すれば当然周りに銃声を聞かれ、多くの敵を引き付けてしまう結果にもなる。
    また、見つからない位置に隠れていたとしても、落ちているビンなどを蹴って物音を立ててしまうと、同じく敵に気取られ警戒されてしまう。
    逆に、レンガや空き瓶を壁に投げ、わざと物音を鳴らして敵を誘導することも可能。本作を攻略する上で欠かせない重要テクニックである。
  • 聞き耳システム
    先述の通り本作はかなり視界が限定されたものになっているが、それを補うものとして、周りの音を視覚化するシステムがある。
    聞き耳はボタンを押している間、一定周囲以内で発生した音を壁越しでもシルエットとして見えるようにさせるもので、敵の数や位置を事前に把握できる。
    • 当然ながら、音を殺して待ち伏せしている他生存者/感染者を感知することはできない。
    • また、上位の難易度ではこの聞き耳システムそのものが使用できない。
  • 丁寧に作られた人間ドラマ
    本作の最大の評価点とも言えるのが、キャラクターが繰り広げる葛藤と挫折。
    映画等では別段珍しくもない終末観を感じさせる設定だが、その設定であるが故のキャラクターそれぞれの考え方が丁寧かつ深く作りこまれている。
    比較的珍しくない設定や世界観でありながら、それを感じさせない描写・感情移入しやすい描写を随所に盛り込み、衝撃のラストへと続く。
    正に映画さながら、もしくは映画以上のクオリティと言っても過言ではないだろう。

マルチプレイ

  • 本編に登場したハンター・ファイアフライ陣営に分かれ、互いの陣営を維持するための物資確保が目的。
    • ゲームモードは「資源争奪戦」と「生き残り戦」で、後に「金庫強奪戦」が追加。
    • 陣営のメンバーが全滅するとゲームオーバーとなる。最終日まで生存できればその陣営ではクリア扱いになり、もう1つの陣営に変えることができる。
      • 1日はオンラインで一回戦うことで経過する。最終日は12週の7日目なので、全部クリアするには1週=7日で最低でも84回戦う必要がある。
    • 物資確保のために相手陣営と戦い相手メンバーを倒したり、「ミッション」と言うプレイ中に行うことのできる課題をクリアしていったりする。
      敵を倒す毎に手に入る物資を使いストアでアイテムを購入し、武器を整えることが基本のスタイルとなる。
    • なお、マルチプレイでは感染者は出現せず、完全に人対人のプレイとなる。
  • カスタマイズ
    • 見た目はもちろん、エンブレムや身につけてる装備、アクション動作などを設定できる。他にも武器やアビリティを設定することもできるので、自分のスタイルに合わせてカスタマイズすることが重要になる。
  • 戦闘中のシステムの変更点
    • 他のTPSゲームと似たようなシステムのため、自陣営はマークが表示されるが相手陣営は表示されないので聞き耳がかなり重要になる。しかし、聞き耳はシングルプレイ時と違い強化出来ないうえ、使用時間が限られており一定時間使用したら暫く使えなくなる。聞き耳をどの場面で使用するかも重要になって来る。

評価点

  • 美麗グラフィックと表現力
    • キャラクターの表情や自然の描写など、流石はNaughty Dogといったところか。
    • いわゆるキャラの(創られたうえでの)ブレが感じられない。本当にいち存在としてキャラクターが出来上がっており、故にプレイヤーが感情移入しやすい。
    • 登場するインフェクテッドもありきたりなデザインのものではなく、冬虫夏草をモデルにした個性的なデザインになっており、既視感を感じさせない。
    • 特に終盤「ソルトレイクシティ」で現れるとある動物が登場するシーンは正に素晴らしいの一言、感動すら覚えるだろう。
  • ストーリー
    • 本作の最大の評価点。主人公であるジョエルとエリー、サブキャラクターであるテス・ヘンリー・サム達個々のキャラクターに個性があり、非常に感情移入しやすくプレイヤーの心に訴えかけてくる。
    • ジョエルとエリーの2人は、最初は互いに嫌悪すら感じるほどの仲であるが、物語が進むに連れ、ともに相手を無意識の内に信頼し、大切に思うようになってゆく。その「過程」こそが非常に練り込まれており見どころなのである。
      • 終盤の舞台である「医療施設」は、クライマックスのシチュエーションを意図的に20年前と同じに作ってあり、改めてNaughty Dogの演出の上手さが窺える。
    • 中盤のヘンリーとサムの結末は衝撃の一言。雷に打たれたかのような感覚に陥ることだろう。
    • 世界観も見事であり、病原菌の蔓延から数年経ち、政府も機能しなくなり、各独立した自警団や自治体が統治する中で、物資や資源も枯渇*1して争いが絶えない。こうして徐々に滅亡していく人類を極めてリアルに描いている。
  • 品質
    • SCEファーストタイトルの定番である裏読みロードを採用。ゲーム開始時に1~2分ほどのローディングが入るが、以降ゲームクリアまで挟むことはない。
      • ムービーからプレイ画面への変化も、1秒ほどの暗転で切り替わるだけで冒頭以外ロードらしいロード時間がなく、クリアまで一気にプレイ可能。
    • アンチャーテッド 砂漠に眠るアトランティス』の時点で「MLAA」「安定したフレームレート」「ティアリングの無さ」「ジャギの無さ」という高い品質だったが、本作ではそれらに加え更に「ネイティブフルハイビジョン」を追加、極めて高品質なプレイ環境を提供してくれている。
      • ちなみに、『砂漠に眠るアトランティス』でNaughty Dogは「PS3の性能を使い切った」と発言していた。ユーザーからは「と言いながらどうせ次で超えてくるんだろ」と言われていたが、案の定であった*2
  • バトル
  • 緊迫感が凄まじいステルスアクション
    • 思わずプレイしている自分も小声になるぐらい、緊迫感を感じられる。
    • 聞き耳で位置を把握していたとしても、敵が複数人となれば、1人を処理しても他が攻撃してくる。如何に1人ずつ気付かれないように倒すかの思考が問われる。
      • 最高難易度であるサバイバルだと聞き耳システムが使えなくなる他、落ちている物資も極端に減ってしまう。正に一歩一歩が生死を分ける。
    • 子供が父親の背中を見て育つように、エリーもジョエルの行動を元に成長していく。積極的に敵を倒してゲームを進めるとエリーもそのような行動を取るようになり、逆に隠れて進む・隠れて敵を倒すようなやり方でゲームを進めると、彼女もステルスに重きを置くようになっていく。
    • 他の生存者はこちらと同じようにグループを形成し、物資を求めて日々を生きている。当然こちらと出会えば敵対し、自分のテリトリーや物資を守り、あるいは奪うために襲い掛かってくる。
    • 適度にいい加減な調整をされていた『アンチャーテッド』と違い、本作の敵はリボルバーの空撃ち音を聞きつけたり、体力が減ると命乞いをするなど、かなり人間臭く作られている。
    • 上記の「ジョエルの行動の学習」は、エリーだけでなく敵についても同様である。プレイヤーの戦闘の切り抜け方に応じて敵の構成やポジションも変化するため、例え周回プレイでも気が抜けない。
  • 銃アクションとしてもかなりクオリティが高い
    • 四方八方から来る敵に対して、ビル、店、家屋を利用して対応する自由度の高い戦略を取ることができる。
    • 一般的なゲームでは回復がポーズになることが多いが、本作はならず回復も敵のいない場所でやるというオリジナリティあるデザインとなっている。これによりプレイヤーの没入感が向上して、退廃的な世界観とマッチしていると評価される。
  • サバイバル要素
    • 資源を集めるサバイバル要素も本作の魅力。銃弾、素材、回復など様々な物を過去の建物から収集し、敵への対処に備えるのだが、安直に備品を使いすぎたり、捜索を疎かにすると後々困るなど、ゲームデザインと世界観が見事にマッチしている。退廃的な世界を探索するというゲームデザインだけで評価できる面白さがある。
    • 中にはチラシ、メモ、漫画など戦略と直接関係のないものもあり、収集のサブ要素としてゲームを楽しませてくれる。

賛否両論点

  • プレイヤー以外の同行キャラクターにライフは無く、基本的に無敵*3
    • 難易度調整とも捉えられるが、武装した仲間と一緒に居る場面では、発見されても逃げ回って味方に敵を倒してもらうことも可能*4
    • また、プレイヤーが発見されて攻撃モードに移行するまで敵は同行キャラクターに一切反応しない。発生頻度は少ないが、ステルス中は同行キャラクターが敵の眼前を徘徊しようが敵は一切反応しないため、緊張感に欠けたり違和感が生じる場合がある。
      • 同行キャラクターに対し指示を出すことは出来ず、AIによる完全オートとなっている。なのに同行キャラクターも敵に発見されてしまうようでは理不尽な仕様となってしまう。実際にそのような仕様で不評を買った他社作品もあるため、ゲームとしては正しいのだが。
  • ステルスキルで倒した敵を発見されると他の敵が警戒するようになるが、それを回避する手段がほとんど無い。
    • 別にこちらの位置がばれたり、増援を呼ばれる訳ではないが、ステルスアクションとしては死体を目に付かない所に運ぶくらいはしたかったところ。
    • しかし、敵の殺害前におびき寄せたり、拘束中に移動できたりできるので、予め戦略を練る楽しさが存在する。
  • 戦闘の難易度が高い。
    • うっかりステルスに失敗し、敵に囲まれてしまうと、非常に厳しい戦いを強いられる。
    • ステルスの緊張感と表裏一体であり、そういうゲームデザインといえばそれまでだが、シューターの苦手なプレイヤーにとっては進めるのが難しい。
    • 一部の敵の即死攻撃など、あからさまな初見殺しも多い。
  • 非戦闘時の移動が遅い。
    • 戦闘時はダッシュが可能だが、非戦闘時は小走り程度の移動速度になる。雰囲気を重視してのことだろうが、物資や貴重アイテムの回収には時間がかかってしまう。
  • ジョエルのある行動
    • 物語のある局面においてジョエルがある行動を起こす。その行動については同情の余地はあるものの対局的な考えをすればある意味間違った選択であり全てのプレイヤーがジョエルのこの行動に賛成するとは限らない。
    • なお、ジョエルのこの行動は『Part II』における数々の悲劇に繋がっていくこととなる。
  • エンディング
    • エンディングは決してハッピーエンドではないが、それ故にプレイヤーが深く考察でき、考えさせられるものになって読後感が良いと言われる。
    • 一方で、人によっては何も解決していない打ち切りエンドと評させることもある。

問題点

  • 本作の基本は「敵を倒すかやり過ごすかして先へ進む」であるため、プレイ内容自体のメリハリはあまりなく、ゲームとしてはやや淡白な印象を受ける。
    • 派手な演出やドンパチの『アンチャーテッド』シリーズとは真逆の方向性であるため、あくまでコンセプトとも言える。
  • 魅力的な世界観の反面、行動やシチュエーションに疑問の残るポイントがある。
    • 「他生存者と感染者との三つ巴の乱戦」という、あって然るべきであろうシチュエーションがない。
      • 感染者はプレイヤー(側の人間)にとっても他生存者にとっても脅威の存在であるため、これがないことが実に惜しまれる。なお、DLCの追加ストーリーではこのシチュエーションがいくつか存在しており、不満に答えた形となっている。
      • 本編でもイベント上のものであるが他生存者が感染者と争っているシーンや、感染者の存在を危惧するセリフなどは存在するため、戦闘に直接絡まないだけで完全に表現されていない訳ではない。
  • 仕切り直しが困難。
    • 生存者は一度ダッシュで視界を切って隠れれば仕切り直しも可能だが、感染者は一度プレイヤーを発見すれば高速で追い縋る。
    • 隠れる場所が無いエリアでは振り切れないので、武力行使で撃退する必要がある。ただし、スタートボタンからのリスタートがいつでも可能なので、ゲームをプレイする上で困ることはない。
    • 仮に見つかって弾や体力を無駄にしたからといっても、配置アイテムなどは状況に応じて増減するので、ある程度のバランスは一貫して保たれている。そのため、「仕切り直し」自体の存在意義は薄い。貴重アイテムの取り忘れ程度か。
  • コレクトアイテムの収集に手間が掛かる。
    • 本作はチャプターなどの選択ができない。ファイアフライのタグや各種メモなどのコレクトアイテムを取り損ねた場合、コンプリートには初めからプレイして、一度の周回で集めなければいけない。ストーリー中に一度進むと引き返せないポイントが多いため、うっかり忘れた時のリカバリーも効きづらい。
    • 木に引っかかっている物など攻略情報無しでは見つける事が困難なものもあり、位置やシーンを確認しながら淡々と取得していく作業になりがち。コレクトアイテムとは得てしてそういう物ではあるが、後戻りがほぼ効かない本作ではより顕著に現れてしまう。
    • 一度クリアした難易度は強化段階を保持したまま、いわゆる強くてニューゲームでプレイ出来るため、周回は多少楽ではある。が、ストーリーにも重きが置かれている本作の長所が裏目に出て、どうしても時間が掛かってしまう。
  • 多少のバグ
    • ゲーム進行に影響する重大なバグではないが、表示上のバグ*5が多く報告されている。
    • 再現性もバラバラで、バグが出た人もいれば今日までバグが出たことないという人もいる。パッチでかなり改善された。
  • 規制
    • 日本版では死体破損などの一部規制があり、ストーリーに一部理解しにくい場面がある。

総評

昨今のビジュアル重視という悪いほうにも傾いてしまうことがある要素をトコトン追求して、ゲームらしからぬ高いクオリティの脚本を完成させた本作。
プレイ部分もぬかりなく、非常にわかりやすい緊迫感を与えるようになっており、ライトゲーマーでも耐えられる作りになっている。
一筋縄ではいかないキャラクター達の思いは、プレイしている人に訴えかけるかの如く重く圧し掛かり、ラストへと進める様はまさしく映画であり、「映画的なゲーム」で成功した数少ない作品のひとつと言ってもいい。
ただし、良くも悪くもストーリーありきのゲームとなっている部分もあり、若干人を選ぶかもしれない。


余談

  • 本作ではイースターエッグ、いわゆる「制作スタッフが仕込むちょっとした小ネタ」が多く、探してみるのも面白い。
    • ジョエルのシャツのボタンに「Naughty Dog」の刻印がある、アメリカにおけるポピュラーなボードゲームのパロディ「ストライフ」や、同社の作品である『ジャック×ダクスター』『砂漠に眠るアトランティス』のホビー用品、制作スタッフの名前や顔写真、本作屈指の見どころであるとある動物がゲーム開始から最後まで仕込まれているなど、恐ろしく大量のイースターエッグが至る所にちりばめられている。
      • ゲーム内で多数入手できる「生存者の遺品」や、レコードのジャケットなどにも細かい元ネタがあり、制作スタッフの遊び心が窺える。
      • しかし、ここまで豊富なイースターエッグを仕込んでおきながら、同社の代表作の1つであるクラッシュ・バンディクー』のイースターエッグが一切存在しないあたりに、SCE(現SIE)やNaughty Dog内におけるクラッシュシリーズの複雑な立ち位置が見て取れる。
    • ちなみに他社作品が元ネタのイースターエッグもあり、その一つが海外版トロフィーの1つ「Master of Unlocking」である。
      • これは初代『バイオハザード』で、バリーがジルにキーピックを渡した際の台詞が元ネタになっている。なぜこんな何でもないようなシーンを元ネタにしようと思った…気付く方も気付く方だが。
      • なお、国内版では無難に「鍵職人」と訳されており、気付く人はまずいない。
  • エリーのキャラクターデザインは、俳優のエレン・ペイジ氏(現在はエリオット・ペイジ氏)をモデルにしていることを製作者が認めている。しかし許可を取っていなかったため、本人はネット上での質疑応答で苦言を呈している。
    • この影響により、続編の『Part II』ではエリーのフェイスモデルが変更されている。なお、上記の発言は氏が『BEYOND: Two Souls』に出演経験があることを踏まえての発言である。
  • 人気漫画『FAIRY TAIL』の作者であり生粋のゲーマーとしても知られる漫画家の真島ヒロ氏だが、本作発売前のインタビューにて真島氏によって描かれたジョエルとエリーのイラストが公式で公開されていた。それがこちら。
  • 2020年1月にSIEが発表した「2010年代のベストタイトル」というランキングにおいて本作が1位に選ばれた。ランキングはこちら。

その後の展開

  • 2020年6月19日にPS4で続編『The Last of Us Part II』が発売された。本作の5年後を舞台に、19歳になったエリーの「復讐の旅」を描く。
    • しかし、この『Part II』がゲーム史に残るであろう論争を巻き起こすこととなる…。
  • 本作のリメイク版である『The Last of Us Part I』が、2022年9月2日にPS5、2023年3月28日にWin(Steam/Epic Games Store)で発売された。
    • なお、発売前日には国内のゲームニュースサイト『電ファミニコゲーマー』において、開発スタッフに公式インタビューが行われた。

The Last of Us Remastered

ジャンル サバイバルアクション
対応機種 プレイステーション4
発売元 Sony Computer Entertainment
開発元 Naughty Dog
発売日 (通常版)2014年8月21日
(廉価版)2018年7月26日
定価 (ディスク) 5,900円+税
(ダウンロード) 4,900円+税
廉価版 1,990円+税
プレイ人数 1人(オンライン時2~8人)
通信機能 PlayStation Network対応
レーティング CERO:Z(18才以上のみ対象)
判定 良作
SIEワールドワイド・スタジオ作品

概要・特徴

2014年夏にPS4タイトルとして発売された完全版。主要DLCが予め収録されている他、1080p/60fpsに対応しており、快適性が劇的に向上している。
キャラモデリングやテクスチャもほぼ作り直されており、ただでさえ綺麗だったグラフィックがより一層向上、PS4作品としても見劣りしないものとなった。
その他、ディレクターと英語版主演キャストによるコメンタリーの収録と、臨場感溢れる写真を取れるフォトモード機能を搭載している。
PS3版の完全上位互換である他、後にハイダイナミックレンジにも対応したので、PS4を所持している場合はこちらを選択するとよい。
余談だが、本作はPS3のSPUに完全完璧に特化して作っていたため、PS4への移植作業は言葉では表現し尽くせないほどの地獄であったという。


The Last of Us Part I

【らすとおぶあす ぱーとわん】

ジャンル サバイバルアクション
対応機種 プレイステーション5
発売元 Sony Intractive Entertainment
開発元 Naughty Dog
発売日 2022年9月2日
定価 8,690円
プレイ人数 1人
レーティング CERO:Z(18才以上のみ対象)
判定 良作
備考 良くも悪くもそのまんまなリメイク
グラフィックは大幅に向上
一方で一部要素の削除あり
『Remasterd』の上位互換とは言い難い
The Last of Usシリーズ
The Last of Us / The Last of Us Part I / The Last of Us Part II
SIEワールドワイド・スタジオ作品

概要・特徴(Part I)

『The Last of Us』のPS5向けリメイク。リメイクと同時に本編だけでなく、追加DLC「Left Behind ‐残されたもの‐」も収録されている。
グラフィックはPS3のオリジナル版、PS4のリメイク版からアセットの再構築もあり、大幅に向上しており、それに加えパフォーマンスも改善されている。
一方で、マルチプレーヤーの削除など、リマスター版・オリジナルと比べると完全上位互換とは言えない。


評価点(Part I)

グラフィックスの大幅な向上

  • 画質の向上のみだったPS4のリマスター版『The Last of Us: Remastered』と比べると、グラフィックは大幅に向上。
    • グラフィック一つとっても、画質優先モードでは4K固定30fpsで、パフォーマンスモードでは1440p60fps*6とRemasteredのPS4 Pro動作と比べても60を割るfpsが安定化され改善されている。
    • アセットも作り直されており、キャラクターモデル、プロップ、テクスチャが一新されていて、よりリアルに、美しく映るように。
    • ライティングにも変化が。反射・影、様々なグラフィック要素が新しくなっており、そのリアリティにも寄与し、没入感を上げてくれる。

カットシーンの処理の変更

  • カットシーンにも手が加わり、オリジナル版はプレレンダリングが大半を締めていた故、カットシーンの合間で暗転が入ったりするなどのスムーズな転換が行かないことがあった。
    • リメイク版ではすべてがリアルタイムのレンダリングのカットシーンとなったため、暗転やカットのなどが大幅に減り、ゲームプレイとカットシーンのスムーズな転換を実現している。

AIの改善

  • 地味ではあるが、オリジナル版と比べると敵の挙動がレスポンスの改善など、少し賢くなっている。

やりこみ要素の追加

  • シングルプレーヤーをやり込むプレーヤーに向け、いくつか新規やりこみ要素が追加されている。
    • チャプターの最速クリアを競うタイムアタックモードに加え、新規コスチューム・「バレットタイム」などのモードが追加されている。
    • 他にも、画面をモノクロやレトロモニター風にするフィルターギャラリーや、マップを反転させる反転モードといった要素が数多く追加されている。

賛否両論点(Part I)

良くも悪くもそのまんま

  • あくまでオリジナル版『The Last of Us』の忠実なリメイクのため、ゲーム性・マップ・ストーリーに変更はなし。
    • 本作と比べると原作は古いが、『バイオハザード RE:2』や『Black Mesa』のようなオリジナルの雰囲気を残しつつも、ゲーム性やマップデザインに大幅に手を加えたリメイク等と比べると、本作は改善が地味な故、どうしても見劣りしてしまう。
    • 戦闘においても『The Last of Us Part II』のような改善がされ、精錬された戦闘を望んでいたファンからはがっかりする声が多かった。
      • にもかかわらず、値段はフルプライスのままなため、「わざわざこれ買うよりPS5でも動いて、中古で安いリマスター版買ったほうがいい」と評する人も多い。

問題点(Part I)

マルチプレーヤーの削除

  • 本編の影に埋もれていたマルチプレーヤーではあったが、人気は割と高かったため、削除を惜しむ声はやや多い。
    • 一応、そのマルチプレーヤーのリメイクも進行中であるが、『Half-Life: Source』の『Half-Life Deathmatch: Source』のように単体作品としてリリースされる予定らしい。

総評(Part I)

良くも悪くも忠実なリメイク。
向上したグラフィックなど、目を瞠る点は多いが、マルチプレーヤーの削除など完全上位互換と言えないのが惜しいところである。
本作を買うかリマスター版を買うかは、シングルプレーヤーとマルチプレーヤーのどちらを重視するかの個人の好み次第か。
とはいえ、元は『The Last of Us』のため、一定の品質は保証されているだろう。


The Last of Us Part I(Win版)

【らすとおぶあす ぱーとわん】

ジャンル サバイバルアクション
対応機種 Windows(Steam/Epic Game Store)
発売元 Sony Intractive Entertainment
開発元 Iron Galaxy*7
発売日 2023年3月28日
定価 6,490円
プレイ人数 1人
レーティング CERO:Z(18才以上のみ対象)
判定 修正前 クソゲー
劣化ゲー
Ver1.10以降 改善
備考 尋常じゃないVRAM使用量
度重なるクラッシュやグラフィック崩壊等のバグ
推奨スペックでは足りないほどに重いゲーム
アップデートでパフォーマンスの改善はされた
しかし根本的な改善には未だ至らず
SIEワールドワイド・スタジオ作品

概要・特徴(Win)

『The Last of Us Part I』のWin移植版。
本作のWin版リリースはPS5版のアナウンスからPS5の後でリリースされることが発表されており、1年遅れでリリースされたのが本作。
1回その上に延期されたのだが、蓋を開ければとてつもない量のバグと重さという致命的な欠陥を残し、未完成品も同然のままリリースされた。
Win版の移植は過去に『Spyro Reignited Trilogy』や『Batman: Arkham Origins』のWin版等の他、近年では『アンチャーテッド トレジャーハンターコレクション』のWin版を手掛けたIron Galaxyが担当している。


問題点(Win)

長すぎるシェーダー構築

  • 本作の初回起動時に、シェーダー構築が必要となるが、これが異常に長い。CPUスペックにもよるが、AMD Ryzen 7 2700でSteamの返金期限を超える、2時間以上待たされることにも。
    • その上、これを無視してもゲームの起動が警告なしに可能であるため、一部の不評はこれが影響している点も多い。
      • もちろん、そのまま起動するとスタッター*8、異常なほどのフレームレートの低下、頻発するクラッシュなどの様々な悪影響がある。
    • パッチによって警告の追加、シェーダー構築時間の短縮などの改善が行われたが、それでも20分かかるなど長い事実には変わらない。

異常なほどの重さとVRAM使用量

  • 本作の推奨GPUはRTX 3060 (8GB)/2070/Radeon RX 6600とされているが、これだけでは設定を下げること、フレームレートの低下・不安定化などに妥協をしなければ行けないレベル。これらは、PS5の性能に匹敵するGPUである。
    • VRAMの使用量は半端でなく、快適に動作させるには10GBを超える量のVRAMが必要となる。2080Tiを除くRTX 20世代かそれより古いGPUはもちろん、RTX 3070すらアウトである。 RTX 2080 Ti/RTX 3080 TiやRadeon RX 6700 XTなどPS5のスペックを大きく上回ってやっと安定動作するレベル。
    • アップデートで一部パフォーマンスの改善が行われたが、それでも重いこと、VRAM使用量の多さという根本的な問題は残る。

長いローディング

  • もちろん、シェーダー構築だけでなくロード時間も長い。
    • Digital Foundryの検証によればPS5のローディングで13秒待たされるローディングでも、Core i9 13900K x M.2 NVMEというPS5を大きく超えるスペックのPCで56秒、Ryzen 5 3600のPCで70秒とPS5と比べると非常に長い。
      • 一応、後のアップデートで半分程度には短縮されたが、PS5の性能やロード時間を考えると、それでも長い部類。

バグの多さ

  • ただでさえ重いのに加え、スペックを上回ったパソコンでも避けられないゲームプレイに関わるバグも非常に多い。
    • テクスチャの崩壊や異常な低画質化、ライティングやポストプロセスエフェクトの崩壊、崩れる3Dモデル、そしてシェーダー構築が終わっても多発するクラッシュなどPS5版と比べると問題が非常に多い。
    • それに加え、テクスチャの消失問題やコリジョンの崩壊、突然止まるNPCのAIなど、問題点は数多い。地味ではあるが、何故かテクスチャに薄い網がかかった状態でいることもある。
      • こうしたバグの多さゆえ、初期リリース版は「プレイ不可能」の各印を押されてしまっている。
      • ここもまたパッチである程度改善されたが、まだまだ残された問題は多く、根本的な改善には至らない。

評価点(Win)

一部機能の追加

  • 一応、ウルトラワイド・FSR/DLSS対応、マウス・キーボードでの操作や、Xboxコントローラー対応など、PS3エミュレーターでは補えなかった所々に快適性に関わる改善点は追加されている。
    • そのため、完全な劣化版というわけではない…かもしれない。

総評(Win)

あろうことか高い評価を得ている『The Last of Us』と賛否両論ながら一定の評価を受けた『The Last of Us Part II』という数々の賞を受けたシリーズの面汚しとなる劣化移植版。
PS5を超えるスペックのPCハードウェアでもバグの多さゆえ安定動作は厳しいという、非常に動作が厳しい代物。
今のところ一定の改善は見られるが、PS3/PS4/PS5を持っていないPCゲーマーでも無ければわざわざ手に取る必要がない劣化版。

+ タグ編集
  • タグ:
  • The Last of Us
  • ACT
  • 判定不一致

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー利用規約 が適用されます。

最終更新:2024年02月23日 18:42

*1 作中の台詞によると、ベーコンがご馳走とのこと。

*2 本作でNaughty Dogは「PS3の性能を最後の一滴まで絞り取った」と発言している。

*3 稀に敵に拘束されることがあり、その時は救助しないとやられてしまう。

*4 もっとも、最高難易度でも無ければこのようなことをする必要は無く、普通に攻略した方が圧倒的に早い。

*5 キャラクターが棒立ち状態になったりするなど。

*6 画質設定オプションでは動的4Kと表記されているが、これは真っ赤なウソ。Digital Foundryの調査によれば、1440p固定解像度となる。

*7 Naughty DogはSteamストアでの表記のみ。Iron Galaxyが移植を担当。

*8 エフェクトの一種で、部分的に短いループを繰り返したり、音のオン/オフを繰り返して変化を付ける効果のことだが、ここでは意図しない動作を指す。原義は「どもり」である。