美少女戦士セーラームーンR

【びしょうじょせんしせーらーむーんあーる】

ジャンル アクション
対応機種 スーパーファミコン
メディア 16MbitROMカートリッジ
発売元 バンダイ
開発元 アークシステムワークス
発売日 1993年12月29日
定価 9,800円
判定 良作
美少女戦士セーラームーンシリーズリンク

概要

90年代に大ブームとなった漫画・アニメ『美少女戦士セーラームーン』のゲーム化作品で、スーパーファミコンで発売された同名タイトルの続編。
ジャンルは前作から引き続き、ベルトスクロールアクションとなっている。

本作はタイトル通り、アニメの続編である『美少女戦士セーラームーンR』をベースにしている。
原作・アニメのブラックムーン編をベースにしているが、本作発売時はブラックムーン編が完結していなかったためエンディングはオリジナルとなっている。
また、まだセーラー戦士に変身しておらず戦えなかったちびうさがプレイヤーキャラクターとして登場する。

操作方法・システム

  • 基本的には前作と同じだが、新システムがいくつか追加された。
    • 1人プレイモード限定で、Xボタンを押すと「ムーン・プリンセス・ハレーション」をはじめとした超必殺技が使える。
      • 入力時点ですべての敵が動かなくなり、派手な演出とともに大ダメージを与える。画面内外・無敵状態の有無に関係なくヒットするが、戦闘が始まる前のルベウスとデマンドのみ当たらない。各ステージで2回まで使用可能。アイテムのリボンを入手すると使用可能回数が1回増える。
    • 空中投げが追加された。敵を掴んだ状態でBボタンを押すと敵といっしょに垂直ジャンプし、ジャンプ中にAボタン(通常攻撃ボタンのYではない)を押すと炸裂する。
      • 説明書には書かれていない隠しシステムだが、タイトル画面でしばらく放置すると見られるデモで存在を確認できる。
    • 2人プレイ時に、お互いが向かい合いながら接触すると、味方同士で掴み合うことができる。
      • どちらかがYボタンを押すと味方を投げ(味方にダメージはない)、投げられた味方がYボタンを押すと空中攻撃し、ぶつかった敵にダメージを与える。
    • 1Pのみコスチュームカラーを変更できる。カラーの種類は、通常のカラーを入れて4種類ある。
      • 1人プレイでもカラーチェンジできる。2人同キャラクタープレイでわざとカラー変更しないこともできる。
  • ちびうさは、敵を掴むことも味方同士で掴み合うこともできないため、投げができない。
  • メガクラッシュのコマンドが攻撃+ジャンプボタン同時押しに加え、Aボタンを押しても出せるようになった。隠れシステムとして、L+Rと方向キー入力をすると、攻撃しながら入力した方向に移動する。
  • 十字キー入力だけでなくYボタンも一緒に押さないとパンチ派生投げできなくなった。
  • 攻撃を当てて破壊する(超必殺技でのみ破壊できない)とアイテムを発見できる設置物が登場。
  • 前作にあった難易度「なかよし」がなくなり、「やさしい」「ふつう」「むずかしい」の3種類となった。
    • 本作も優しいモードではステージ2をクリアすると「やさしいもーど おしまい」と表示されてタイトル画面に戻る。MDの『ゴールデンアックス』のビギナーと酷似している。
  • 「たいせんもーど」が追加。格闘ゲームと同じくプレイヤー同士で対戦できる。このモードではちびうさを使うことができない。
    • 時間無制限で、二本先取したら勝ち。本編と同じくフィールドの上下左右を自由に移動できる。Yで弱攻撃、Xで強攻撃、左か右にキー入力+Xで投げ、Bでジャンプ、Aで飛び道具(本編と違ってタメなし)、LかRでガード。特定のキー入力+Aでメガクラッシュ(と同じモーションの攻撃)をする。
  • 攻撃(Yボタン)とジャンプ(Bボタン)のボタン設定を変更できなくなった。

評価点

  • 前作からさらに有利な仕様が増え、難易度が下がり、前作以上に誰でも気軽に遊べるようになった。
    • 全キャラでのハードのノーコンティニュークリアはおろかノーミスクリアも簡単になった。
    • 飛び道具のタメ時間が短くなって(前作の半分ほど)使いやすくなった。安全性が高く、前作と比べて敵の起き上がり速度が早くなったのでダメージ効率も案外悪くない。
    • メガクラッシュが劇的に強化された。
      • 攻撃判定消滅直後に動作終了。起き上がり中に入力すると起き上がりと同時に発動。被攻撃時に入力すると怯み動作を止めて発動。通常攻撃の判定消滅後の動作中に入力すると動作を止めて発動。攻撃時に移動可。HP消費量がキャラクター毎に違い、マーズ以外は前作より消費が少なくなった(マーズは前作と同じく最大HPの1/8)。
    • 空中投げのおかげで、どのキャラクターでも近くの敵を投げに巻き込みやすくなった。
    • 食らい判定が非常に小さいちびうさの登場で、アクションが苦手な層や少女層にもゲームクリアしやすくなった。
      • ジャンプか通常攻撃の3段目(少し前方ジャンプする)さえしなければフウライキ・ヘビーシェイド・サフィール・ルベウス・デマンドの攻撃しか当たらない。
  • 前作とはまた違った形あるいはパワーアップを果たしてアクションの面白さを引き出している。
    • 通常攻撃ヒット時の味方の硬直が長く、敵の怯みが短い。これにより「どんな敵もハメればいい」という甘い考えは通用せず、「パンチを止めて、接近して掴む」というコンボも間合いなどを計算することが重要。
      • 安定してハメられるのはダンブルとラージシェイドのみ。それ以外の敵は、振り向き空振り必須or不可能or危険。ちびうさは不安定だが全ての敵をハメられる。
    • 全体的に味方より敵のリーチが長く、その場でパンチ連打するだけでは勝てない。しかし、ジャンプパンチで飛び込んだり、縦軸を合わせてから近づくなどすればパンチ連打でも十分戦える。このバランス感覚は健在である。
    • 画面外での攻防が熱い。敵は画面内でする行動と画面外でする行動が決まっている。動きを先読みするとバトルが格段に有利になる。
      • 敵は画面外でダウンから一定時間経過すると上か下に瞬間移動する。ワープには一定の法則があるほか、ステージ3後半(ボスエリア除く)はテレポートが発生しない。
  • プレイヤー側だけでなく、敵側もバランス調整・仕様変更・工夫がされている。前作より戦闘が簡単になりながらもアクション性を損なわず、飽きが来ないようになっている。
    • ザコが体色によってHPだけでなく攻撃方法などが変わる。同じ種類の敵でも、まったく別の戦い方をする工夫が必要。
    • 前作と比べて敵の種類ごとの出現総数バランスがよくなった。
    • ザコ同士の強さのバランスがよくなった。突出した強さのザコも、すごく弱いザコもいない。
      • 「ダンブル(白)とジャーマネン(金・銀)の掴み攻撃が強すぎる」と思っているプレイヤーが非常に多い。だが、ダンブルは横軸を合わせてのろまな通常攻撃を誘発させれば楽勝。ジャーマネンは「ジャーマネンが起ち上がる動作終了までに左右どちらかに歩く→無防備なジャーマネンを掴むor殴る」で超余裕である。
      • ザコ最強は、一撃で大ダメージを与えてくるフウライキか、厄介な動きをしながら回避・反撃しにくい攻撃をするアボガードラーのどちらかであろう。
    • ザコの特殊技はパンチ・接近して掴む・ジャンプ攻撃のいずれかで一方的に潰せる。意外な攻撃で潰せるので、見た目に惑わされずに反撃してみることが大切。
    • 前作はザコの起き上がりが遅くてダラダラプレイになりがちだったが、ザコの起き上がりが早くも遅くもなく丁度良い速度になった。
  • 設置物から入手できるアイテムが残りHPに応じて決まる。HPが少ないほど高い回復力とポイントのアイテムが出る。
    • 上手く利用すれば後半には残機が2ケタ(表示されるのは一の位まで)にとどく。
  • 前作でバランス崩壊レベルなほど反則的だった2人プレイが弱体化した。2人プレイでもバランスが壊れていない。
    • 超必殺技が使えず、ステージ2にあるリボンが消滅し(アイテム入手による得点増加ができない)、2人の攻撃が同時に命中しなくて(掴み打撃と組み合わせれば同時ヒットする)、味方同士が近付くと組み合ってしまう(味方投げのメリットは、スコアが多くもらえる程度)。
  • グラフィックが大幅に進化した。とくにフィールドでのキャラクターグラフィックが大きくなり、なめらかに動いて見やすくなった。
  • 音質も大幅に進化した。ボイスもBGMもSEも前作と段違いである。

問題点

キャラクターの性能差

  • 前作はキャラごとに技のリーチや動作時間や判定がかなり違っていて個性を活かしやすかったが、本作は各キャラクターの技の内容が似通っていて個性があまりなく、それが災いしてキャラクター差が大きくなってしまった。
    ゲーム後半戦はパンチ(ハメ)とジャンプ攻撃が活躍するので、これらの威力・動作時間・判定が強く積極的に攻めていけるキャラが優勢。具体的にはちびうさ>ヴィーナス>ジュピター>ムーン>マーキュリー=マーズ。
    • ちびうさは低身長により多くの攻撃を無力化できる。また、通常攻撃を2段目で止めればパンチハメができ、4段目まで出し切れば(3段目の攻撃後に強制的に前方に小さく飛び跳ね、その後の入力で最終段を出す)ダウン判定出しっぱなしで前進する。
      ヴィーナスはジャンプパンチ(チェーン攻撃)の判定が強く、昇り降りで2回ヒットするため安全に飛び込め、垂直ジャンプパンチならばハメられる。また、通常攻撃の動作も短め。
      ジュピターは通常攻撃の動作が短い上に最高火力*1を誇り、敵を素早く減らしていける。また、投げが至近距離の敵を巻き込むことも強み。
    • ムーンは通常攻撃の5段目を投げで潰されることがある。マーキュリーは通常攻撃が低威力で動作も長い。マーズはパンチとジャンプキックの判定が弱い。
      • ただし、ムーンはバランス寄りで飛び道具の連射もしやすい、マーキュリーは速い歩行スピードと遠くへ飛ばす投げでポジショニングがしやすい、マーズは飛距離が長いジャンプと飛び道具の連射ができるなど、圧倒的なキャラ差をつけられるほどではない。
  • ゲームバランスの問題。
    • 3面から難易度が跳ね上がる。アイテムの質と量が酷い(3面前半はアイテムが1個もない)ことが最大の理由。3面自体がやけに長くて他の面の1.5~3倍の時間が必要なのも原因。
      • ステージ1と2が簡単なためとも取れる。
    • ボスが弱すぎる。無敵時間がない(一応無敵技があるが超必殺技で反撃可。ボスに使うのは勿体ないが)ので、転ばせて起き上がりを投げるだけで勝てる。
      • ただし、前作はボスの無敵状態の持続時間と発生条件が批判されていたため、本作のボスの弱さは妥当な調整とも言える。またステージ1、3、4のボス戦ではザコを呼び寄せるもしくは最初から出現している。
  • 仕様の問題。
    • 掴みが解除されてから一定時間経過(掴みが解けた直後ではない)するとしばらくの間敵を掴めなくなる。
    • 一つのステージで出現する敵の種類が少ない。
      • そのかわりにステージ毎に出現する敵がかなり違っていて、ザコの体色による行動パターンの違いもあり、メリハリはある。
    • ステージギミックが、2面後半の池(落ちると、味方はダメージ+一定時間無敵で復活、敵はHPが0になる)しかない。
    • 難易度の違いによる変化が敵のHPのみ。難易度によるHPの差が大きく、ハードクリアにかかる時間はノーマルの1.5倍と思ってよい。
      • それでも、一番低火力なマーキュリーでもハードクリアに1時間もかからない。
    • HPが残りわずかになると、通常攻撃ヒット時に次の段の攻撃を行うボタン認識判定がおかしくなる。ヒットを確認してから押しても間に合わず、ちびうさ以外は最終段の一つ前の技をするとボタンを押していないのに勝手に最終段の攻撃をしてしまう。
    • 複数の敵に同時に攻撃をヒットさせることが不可能。タイムラグが生じる。
    • 武器システムが削除され、前作よりステージ数が1つ減った(全4面構成)。増えると思っていたプレイヤーも多いのでは?
      • 全4面になったため、ボスはブラックムーンの上級幹部のみで下級幹部「あやかしの四姉妹」は全員未登場。ただし、本作の中堅ザコはそれぞれ四姉妹の配下という設定である(ダンブル⇒コーアン配下、アツゲッショ⇒ベルチェ配下、ジャーマネンとアボガードラー⇒カラベラス配下、フウライキ⇒ペッツ配下)。
      • 公式ガイドブックの開発者インタビューによると、当初はあやかしの四姉妹をボスにする予定だったようで、開発段階から4面にすることは決まっていたのだろう。
    • プレイ評価の成績計算式が全難易度・全ステージで共通。
      • 油断しなければハードと言えどC以下にはまずならないし、ホントにダメダメなプレイでなければハードでもEランクを取ることはない。成績によるゲームへの影響もない。
    • 女の子にはかなり難しい。難易度「なかよし」が消滅したことも痛い。
      • ちびうさや無敵技の性能向上などのバランス調整・救済措置があるため、それほど酷くはなく、むしろ配慮は徹底されている。
    • 「ふつう」のEDで登場するちびうさにはセリフがあるが、「むずかしい」のEDでちびうさと入れ替わりで登場するプルートにはセリフがまったくない。
    • 1Pがちびうさ・2Pがちびうさ以外という組み合わせが不可能。逆なら可能だが、成績計算式が違う(2Pは高評価されやすい)ことやカラー変更の問題は解決できない。
  • 前作であったボス撃破後のザコの逃走と言う名の奇行が悪化してしまった。
    • ジャーマネンが中途半端な姿勢でホバリングしながら逃げる。フウライキが空中でジタバタ。画面外から反対側の画面外へ行く。ムーンウォークを披露。画面端で見えない壁にぶつかって動けなくなる。超必殺技で(ボスが低空ダウンして?)ボスを撃破すると逃げ出さずに戦うが、勝利ポーズをとって無敵状態中の戦士たちにみごとに無視される。
  • バグがある。これはこれで面白かったり珍しかったりするのだが。
    • ステージ1後半のダンブル×4の出現直後に超必殺技を使うと、稀に1体が画面外右にワープする。
    • ステージ2後半で池の左側から飛び出るアボガードラーが、極稀に(画面がループになっているため?)右側から飛び出てくる。
    • ステージ3開始と同時に出現するダンブル軍団が、本来なら出入りできない場所(画面外と言えるほどの画面上下)で歩き回ることがある。
      • 本来は移動できない場所なので、ダンブルがめり込みすぎるとワープされて追い出される。
    • 黄ヘビーシェイドが2体以上出現しているとき、紫ヘビーしか使わないはずの小ジャンプボディプレスをしてくる場合がある。
    • 2人プレイで、攻撃を受けて怯んだ瞬間or味方の起き上がり時に最速で味方同士で掴むと(ムーンは前者の場合のみ)、攻撃を受けた味方の食らい判定が消滅し、あらゆる攻撃が当たらなくなるバランス完全崩壊バグがある。2人ともこのバグ状態にするともはや敵無し。
      • 特定の行動をするか特定の状況になると食らい判定が復活するが、再び無敵化バグをすればよいだけの話しである。
  • 残機が10以上になると、残機の表示がバグる。
  • キャラクターグラフィックが大きくなったことと引き換えに、一画面分のフィールドが少し狭くなった。
  • 「たいせんもーど」のバランスが悪い。すべての攻撃がいわゆる削り効果を持ち、ヒット・ガード問わず弱攻撃を当てたプレイヤーが有利になる。
    • 被ダメージモーションの終わり際に無敵状態があり、その瞬間に無敵技を使えばハメ抜けできる。逆にハメ抜けを先読みして、こちらの無敵技を遅れて繰り出すという読み合いもできる。
      • しかし、そうなると無敵技のコマンド入力含む性能や飛び道具性能がキャラ性能に直結してきて、結局は大味なバランスになっている。

総評

前作以上に強力な救済措置が用意され、テンポやメリハリや少しイジワルな仕様などの問題点を改善し、ゲーム自体の難易度も低下したので女の子でも遊びやすくなった。
キャラクターバランスは良くないが、ゲームバランスに影響するほど甚大ではなく、ゲームバランスを保っている。 前作と異なるアクション性を取り入れつつ、前作の雰囲気をしっかり残しており、セーラームーンならではのシステム・演出で原作の雰囲気を再現している。
前作に劣らず完成度の高い作品である。

余談

  • 同時期に同タイトルのゲームボーイ版も発売されているがそちらはジャンルが異なり、前作のGB版と同様にアクションアドベンチャーである。
  • 本作はキャラクターのモーションに合わせたボイスとなっているため必殺技名を早口で喋る。中でもジュピターの「シュープリーム・サンダー・ドラゴン」は驚くほど早口で、公式ガイドブックのスタッフコメントでもネタにされている。
  • 女優の加藤夏希が初めてプレイしたテレビゲームが本作である。彼女は「セーラー戦士がキックしたあと、スタートボタンで一時停止してパンチラを見てた」と語っている。
    • 正確に言うと、セーラー戦士はレオタードの上からスカートを履いているのでパンチラではない。
  • 本作の「たいせんもーど」が影響したのかは不明だが、次作『美少女戦士セーラームーンS 場外乱闘!? 主役争奪戦』からは本格的な対戦型格闘ゲームに移行することになった。
+ 参考動画


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最終更新:2021年01月28日 05:57

*1 余談だが、通常攻撃とジャンプパンチで「ゴキッ」という鈍い音が鳴るのは彼女だけである。