ドラッキーの草やきう

【どらっきーのくさやきう】

ジャンル スポーツ(野球)

対応機種 スーパーファミコン
発売・開発元 イマジニアズーム
発売日 1993年12月17日
定価 9,800円(税別)
プレイ人数 1~2人
判定 良作
バカゲー


概要

ズームのマスコットキャラクターであるNECO(ドラッキー)を主役にしたコミカルな野球ゲーム。
当時としては画期的だったスポンサー制度を導入している。スポンサーはコカ・コーラ。
なお、基本的に通常のルールに沿って試合が行われますが、雰囲気からお察しの通り少し変、またはルーズ、もしくは異常です。リアル志向を期待していた方には残念でなりません(説明書より)。
演出面でも普通の野球ゲームでは見られないブッ飛んだ要素が多くバカゲーの側面も持つ。

ストーリー

ある日、いつものように仲間たちと何ら生産性のないヨタ話をしていたらポチが「最近友達がね、運動不足とかストレスとかで悩んでるって言うの」と言いました。
「おお、何か急に社会派の話題だな」にわかに動物たちは白熱した議論に突入し、いつになく話題は盛り上がりました。
そして、「ううむ、つまるところ動き回るのが一番と」「それだな」ということになり、
「つー事は、すぽうつだな」「じゃあ、野球ってやつか?」「それだ!」ということで、意見が一致しました。
仲間たちは、それぞれ心当たりのある友達を募ってチームを作り、野球で大暴れして現代社会が生んだ問題点に挑む事にしました(なんちて要するに楽しければいいじゃんかと思っているのでつまりはそういうことです)。
ドラッキーが謎のコネクションを通じて電話一本で話を通したコカ・コーラの会社の人に直接頼んで作ってもらったユニフォームも届いて
野球のノウハウも分かり始めた頃、ドラッキー達のもとに一通の手紙が届いた。

それは、最近ではとても希少価値のある「挑戦状」というものだった。送り主は「エンパイア・ヘルサンダー・デストロイヤーズ」。内容は非常に高飛車なものであり、ドラッキー達を燃え上がらせた。
しかし、挑戦状には誰宛か書いていなかった。そこで彼らは「今こそ誰のチームが一番か決める時」と自分達の中で一番強いチームを決め、挑戦状を送り付けてきた奴等を完膚無きまでに叩きのめすことにした。こうして、なんだかやたらに長くてふてぶてしくて超長い名前の謎の敵に戦慄を覚えつつも、とりあえずその敵を倒すという目的ができた動物たちはにわかに燃え上がるのでした。
(説明書とストーリーモードより抜粋)

+ 挑戦状全文

「最近やきうをやり始めたそうだが、やきう道はそんなに甘いものではないということを諸君に教えてあげるので、お手合わせ願おう。
つきましては諸君の中で一番強いチームと戦いたいので、よろしくどうぞ。なお、われわれはとんでもなく強いゆえ、間違いなく勝ってしまうのであきらめつつ挑戦してくれい。
では。
エンパイア・ヘルサンダー・デストロイヤーズより愛をこねて・・・・」

特徴

  • 基本となるルールは10点コールドという点以外は通常の野球と何ら変わらない。だが、魔球、打法、二段ジャンプといった変わった要素が多く、通常の野球ゲームとは大きく異なる。特に魔球と打法の存在により対人戦での読み合いが非常に熱い。
  • 魔球について
    • 1試合中に使用できる回数が決まっているが、見送れば必ずストライク、打ってもジャストミートしなければ爆発してストライクになるという強力なもの。
      • チームごとに演出や攻略難易度が異なり、それぞれ「回転して停止した後飛んでくる」「関係ないボールを大量に投げる」「巨大な自分の顔が飛んでくる」など。
  • 打法について
    • 三振したりアウトになったりすると貯まる打法メーターが一杯になると使えるようになる。使用するとバットに当てやすくなり、当たれば確実に場外ホームランという強力なもの。もちろん空振りしてもメーターは減るので使いどころが重要。逆に守備側はいかに打法を空振りさせるかが最大のポイントとなる。
      • ちなみに、打法は相手投手が投げてからでも発動できる。そのため、相手が緩い球を投げてきたら急に打法を発動して打つということも可能。
    • 魔球と同じくチームごとに演出が異なるが、打法の性質上効果や能力は同じ。
    • 打法による打球は大気圏を離脱して月まで飛んでいく。そして月も怒る、泣く、どこかに逃げるなどといったリアクションを見せてくれる。ここで爆笑するか唖然とするかで本作に対する適性がわかるかもしれない。
    • 魔球と打法を同時に使うと背景が炎に包まれるという演出がある。にわかに興奮は高まるが、特に意味は無い。
      • なお、魔球に打法をぶつけるのはリスクの点から見ても愚の骨頂なので、よほど魔球攻略に自信があるかウケ狙いでない限り見ることはない。
  • 二段ジャンプ
    • 守備時、ダイビングキャッチやジャンプキャッチといったファインプレーを行う事ができるのだが、このゲームでは二段ジャンプも行う事が出来る。
      • 滅多に成功しないが、これを使えばホームランも捕ることができる。レベルが上がればジャンプの高さも上がり、打法によるホームランさえカット可能になる。
      • ちなみに、ファインプレーでのキャッチではエラーが発生しないという隠れたメリットが存在する。
  • 抗議
    • バッターが不服そうな顔をした際、審判に抗議することができる。相手の打法メーターが少し貯まるという欠点はあるが、成功すれば判定を覆すことができる。
  • 選手起用
    • このゲームでは一度交代した選手を何回でも試合に出すことができるが、ポジションの概念がないのか、降板したピッチャーを外野手に回すなど誰でも好きな場所に配置することができる。エースを温存して後半に仕掛けるか、最初からベストメンバーでガンガン攻めていくか、堅実にローテーションを組んでいくか、戦略は様々であり他の野球ゲームに比べゲームメイクの自由度が非常に高い。
  • パラメータ
    • 選手のパラメータは打力、打率、足の速さ、スタミナの4種。このうち、足の速さとスタミナは試合に出していると減っていき、控えに回しても基本回復しない。
    • 直接影響するのは攻撃時だが、守備時はピッチャーのスタミナが減ると制球力が落ちる。
  • ダッシュ
    • 1塁への出塁時に限り、Aボタンを連打するとダッシュできる。バントを起点に試合を組立てるときに非常に有効。ただしスタミナの消費が若干激しい。

チームについて

  • チームは隠し含めて9チームであり、それぞれ当時発売されていたコカ・コーラの商品名を冠するチーム名となっている。
    • それぞれ性能が大きく異なり、自分に合ったチームを選ぶことが重要になる。
+ チーム紹介
  • コカ・コーラ ドラッキーズ
    • バランス型。初心者にも扱いやすい。
  • ファンタ ファイアーポチーズ
    • バランス型だが、スタミナ面でドラッキーズに劣る。
  • ジョージア 五郎野球会
    • パワーとスタミナがトップだが、足が遅く守備はザル。攻撃型チーム。
  • ベジータベータ デヴィットローラーズ
    • ウサギらしく足が速いが、それ以外の能力は低い。なお、ゲーム中のデヴィットの表記は「デビット」となっている。
  • コークライト 忍者若本一家
    • デビットと同じく足が速いが、こちらは打撃力が高くスタミナが低い。
  • スプライト ぱおぞうとロングノーズ
    • トップクラスの守備と平均以上の打撃力を誇るが、足が遅い。
  • ハイシー ガンボス
    • ぱおぞうと同じく足が遅いが、それ以外の能力は高くまとまっている。ただし守備力がロングノーズと比べ若干低い。
  • アクエリアス おときちくんたち
    • 足が速いがそれ以外は低くまとまっている。
  • タブクリア エンパイア・ヘルサンダー・デストロイヤーズ
    • 隠しチーム。全ての能力が高いが、スタミナが絶望的に低いという欠点を持つ。

ストーリーモード

  • 「勝抜RPGドラマ草やきう」というモードがあり、プレイヤーが選んだチーム以外の7チームと戦い、最後に「エンパイア・ヘルサンダー・デストロイヤーズ」と戦う。
    • クリアしてもまた最初から遊べるが、敵チームの能力は一段階ずつ上昇していく。そのため、「特訓」や「公式戦」で能力を上げて行くことが重要になり、やり込み要素が強い。
    • 特訓は打力を上げる「きつねとたぬきのバッティングセンター」、守備力を上げる「夕日が丘ノック特訓センター」の2種類。それぞれ隠し要素もあり、それを狙えばチームのさらなる強化につながる。
      • 「バッティングセンター」は相手が投げてきたボールを打ち、柱と柱の間に入れるというもの。目標数入れるとクリアとなる。相手は速球重視のレックス、変化球重視のポン次郎のどちらかから選べる。レベルが上がるほど難易度も上がっていく。
      • 「ノック特訓センター」はコーチ歴20年のベテランであるライオネル山田さんが次々と打ってくるボールをひたすらキャッチするもの。目標数キャッチするとレベルアップ。当然、レベルが上がるほど難易度も上がる。
    • 野球ゲームの重要操作であるバッティングとフィールディングを練習できるという意味ではプレイヤー自身の特訓でもある。
  • なお、ここで育てたチームは対戦でも使える。

対人戦

  • 本作ではスーファミでは珍しくパスワード制を採用しているが、これにより「育てたチーム同士の対人戦」を実現している。
    • 今となっては当たり前のことだが、スーファミには外部記憶能力がなく対人戦ではデフォルトデータしか使えないなどの欠点があった。本作ではパスワードで「自分が育てたチームと同じ能力を持ったチーム」を呼び出すことにより、擬似的に育成したチーム同士の対戦を楽しめるようになっている。
  • 育てたチーム同士の対戦ともなると、魔球や打法が飛び交う野球の皮を被ったカオスとなる。

その他の要素

  • イニングの間に実況の「サクライさん」と解説の「スティーヴ・マーチ」による掛け合いがあり、バリエーションも豊富。
    • 適当な解説をしたあと、スティーヴがどうでもいい話をしたり、サクライにラップをしろと無茶振りをしたり。また、コールド勝ち目前になるとダレて適当に実況する。そのやりとりは実況と解説というより漫才である。
    • なおオプションで実況・解説を無しにすることもできる。その場合イニングの合間にはスコアボードが表示される。
  • 球場は全部で7+1種*1。ただ広さなどが違うだけでなく、キャッチャー後ろのファールエリアが狭い、ゴロが一瞬で止まる、逆にバウンドしまくるなど球場ごとにクセがある。
    • パスワードを入力することによって隠し球場も登場する。
    • 試合の進行には関係しないが、一定の条件を満たすことで球場ごとにアクシデントが発生する。
  • 7回になると選手達が自分達のチームの商品を飲むイベントが発生する。
    • スタミナ、足の速さ、魔球の残使用回数が回復する効果があるため決して無意味ではない。
  • CPU同士の試合を見ることができる観戦モードがあり、パスワードも使える。
    • なお、コンピュータ同士の試合は非常にハイペースで試合終了までに15分もかからない。ちなみにこのゲームのCPUは初球打ちが多く、盗塁はほぼ仕掛けてこない。

評価点

  • 当時の野球ゲームとしてはグラフィックのレベルは高い。フライを取り損ねたときなど細かい動作も書き込まれている。
  • 基本的な操作に関しては、一般的な野球ゲームと変わりないためシンプルでわかりやすい。
  • 魔球や打法といった独自要素に目が行きがちだが、野球ゲームとしての完成度も高い。
    • 現にオプションには魔球や打法を封印できる項目もあり、それらを封印しても十分楽しめる。
  • BGMも評価が高く、発売直後から「関口宏の東京フレンドパークII」*2をはじめ多くのテレビ番組で流用された。

不満点

  • 先発、選手のポジションが選べない。
    • ちなみに先発に関しては「先発は必ずチームの主人公キャラ達が出ると言って譲りませんので出させてあげて下さい」と説明書に書かれている。
    • このあたりは試合開始前のオーダーが決められないぶん試合中に組み直せという意味でもあるのだろう。
  • 打率表示、球速、ストライクゾーンがかなり曖昧。
    • こちらは「世の中には科学では証明できない何かが存在することも覚えておきましょう」と書かれている。科学の産物のコンピュータゲームで何をおっしゃるのやら。
      • ちなみにこのゲームではチェンジアップですら185km/h、速球なら200km/h越えもザラである。もし本当なら凄まじいまでの剛腕である。
  • 見た目に反して難易度が高い。
    • 特にストーリーモードは育成したチームで挑むことが前提で難易度が調整されているため、手軽なプレイには向いていない。
  • 対人戦では同チーム対戦ができない。
    • もし自分と相手の使っているチームがかぶった場合、育てたチーム同士での対戦が不可能になってしまう。
    • できるようになるパスワードはあるが、知らなければ意味がない。

総評

独自のシステムや演出を盛り込んだ異色作だが、完成度は他の野球ゲームに引けを取らない。
コミカル&派手な要素や独特なキャラデザインが人を選ぶかもしれないが、野球ゲーム初心者でも十分楽しめる隠れた良作である。

余談

  • タイトルやゲーム中の「やきう」という表示は誤植ではなく、ドラッキーが「野球」と発音できないためである。
    • そのため、魔球も「まきう」と表記される。
  • 本文中にもあるように説明書の記述がかなりはっちゃけている。説明書つきの中古を手に入れた方はぜひ説明書も一読して頂きたい。
  • 翌年にはジャンル違いではあるが続編と言える『ドラッキーのAりーぐさっかー』が同じイマジニアズームより発売されたが、こちらではコカ・コーラのスポンサーが無くなり、容量も16Mから12Mに引き下げられ、さらに登場チームは4チームに削減*3されてしまった。
  • ゲーム雑誌『Theスーパーファミコン』で「NECOまんが」が連載されていた。
    • もともとはZOOMのゲーム説明書や会誌連載の漫画キャラだった。
    • ドラッキーという名前は誌上の公募で決められた。
    • 本作発売前にはこれまでの「NECOまんが」連載分をまとめた無料冊子も作られた。
    • NECOまんがを描いていたのは、当時ZOOM所属のグラフィッカーだったイラストレーター福田正和氏。