F-ZERO

【えふぜろ】

ジャンル レース
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対応機種 スーパーファミコン
メディア 4MbitROMカートリッジ
発売・開発元 任天堂
発売日 1990年11月21日
定価 6,800円 (税別)
プレイ人数 1人
セーブデータ 1個(バッテリーバックアップ)
レーティング CERO:A(全年齢対象)
※バーチャルコンソール版より付加
配信 バーチャルコンソール
【Wii】2006年12月2日/800Wiiポイント(税5%込)
【WiiU】2013年4月27日/800円(税5%込)
【New3DS】2016年3月4日/823円(税8%込)
書換 ニンテンドウパワー
1997年9月30日/1,000円/F×1・B×1
判定 良作
ポイント 圧倒的なスピード感が特徴のレーシングゲーム
TACOX氏がファミ通にて唯一満点を与えた作品でもある
F-ZEROシリーズリンク


概要

スーパーマリオワールド』と共にSFCローンチタイトルの一つ。
圧倒的なスピード感が特徴のレーシングゲーム。


ストーリー

西暦2560年代。人類はさまざまな異星人とのコンタクトを繰り返し、その結果として社会構造の基盤は地球規模から宇宙規模へと広がっていった。
そして交易、技術援助、その他さまざまな文化交流が惑星間でとり行われるようになった。
20世紀後半、人類が地球外生物からの侵略に恐怖を覚え、彼らの宇宙空間移動機のことをUFO(未確認飛行物体)と呼んでいたことなど、この時代の人間にとっては、大いなる昔話にしかすぎない。

この宇宙間交易などで莫大な財産を得た、元宇宙商の富豪たちは、その豊かな生活に満足しつつも、自分たちの怠惰な暮らしに、新たな刺激を求めていた。
そんな彼らに、あるプロジェクトから声がかかった。
「F-1レースのようなものを、宇宙規模で開催してみないか?」
彼らは当然のようにこの企画に飛びついた。
ある者は都市の上空に、ある者はとても生物が住めない環境の小惑星に、次々と資産を投げ出し、サーキットを建設していった。

サーキットは、コースの両脇にある反重力ガードビームによって、最高のもので地上300フィートの位置に設置され、その上を走るマシンにタイヤは存在しなかった。
最先端の超磁力技術を駆使して開発されたマシンはコースよりさらに1フィート上でレースを展開するように設計されていた。

そしてグランプリは開催された。
開催当初、人々はそのレースの残忍さに(主催者たちは、サーキット場にさまざまなトラップを仕掛けたりした……。)憤りさえ覚えた。
しかし次第に人々は、自分の中の興奮を抑えることができなくなっていった。
彼らもまた、レースに自らの刺激を求めていったのだ。
やがて男たちにとって、このレースで勝ち抜くことが、宇宙の中で与えられる最高の名誉となるようになった。

そしていつしか、人々はこのグランプリのことを、「F-ZERO」と呼ぶようになった。
(『F-ZERO』取扱説明書より抜粋)


操作方法

Aボタン S-JET使用
Bボタン アクセル
Y(X)ボタン ブレーキ
L(R)ボタン 左右平行移動、ドリフト
十字ボタン左右 左右への移動、カーブ時の旋回
十字ボタン上 ジャンプ時に飛距離を抑える
十字ボタン下 ジャンプ時に飛距離を伸ばし、着地時の衝撃緩和

特徴

  • 主なゲームモード
    • 「グランプリ」「プラクティス」の2つのモードがある。
  • グランプリ
    • 3つのリーグと3+1の難易度から選択する。プレイヤーが選択しなかったメインの3機を含む20台以上で競走する。どのコースも周回数は5周で、最終的に3位以内の入賞を目指す。
    • 1周目は15位、2周目は10位、3周目は7位、4周目は5位、5周目は3位以内でゴールラインを通過しないと失格*1。また、順位が20位に落ちたらその瞬間に失格となる。
    • 失格にならずにゴールラインを通過するとスコアポイントが加算される。ポイントが10000に達するごとにスペアマシン(残機)が1台追加される。
+ 順位と付与ポイント
順位 付与ポイント
4周目まで 5周目
1位 900 2500
2位 600 1500
3位 400 1000
4位以下 200 -
  • プラクティス
    • グランプリ使用コースのうち7コースが登場。敵車が無い状態でタイムアタックすることができる。任意でプレイヤー以外のライバル機を1台出すこともできる。
  • システム
    • 重心移動
      • 走行中にLRボタンを押すことで、左右に重心を傾けて移動することができる。さらに十字キー左右と組み合わせてより深く舵を切るという操作もできる。
    • パワーゲージ
      • マシンの耐久力を表すゲージ。ダメージを受けると減っていき、ある程度まで減少すると「POWER DOWN」の警告が表示されるとともに、マシンのスピードが遅くなってしまう。
      • そして、パワーが0になるとマシンはその場で爆発しリタイアとなる。
      • 一応、爆発寸前のギリギリの状態になると本来の最高速度を取り戻すことが出来るが、当然わずかでも何かに接触すれば即リタイアである。
    • S-JET
      • 発動してから一定時間マシンを急加速させる。画面左下の「S」マークが緑色になっている回数分使用することができ、コースを一周するごとに1回増える。
  • 選べるマシンは全部で4種類。なお、取扱説明書で紹介されている搭乗パイロットはそれぞれのマシンに搭乗するが、ゲーム中では一切登場しない。
    • ブルーファルコン
      • 主人公的な位置づけのキャプテン・ファルコンが駆る青いマシン。加速力と回復力が2位・最高速度とグリップが3位など平均した力を持つバランスタイプ。特にFIRE FIELDではその有難みを実感しやすい。
      • 説明書に「初心者でも少しの訓練である程度まで使いこなせるようになるだろう」とあるが、耐久力は3位とさほど高くない。F-ZEROマシン独特のドライビングセンスを身に付ける事がそのままレース結果に繋がりやすい性能はまさに主人公機と言える。
    • ゴールデンフォックス
      • 元医者のパイロットであるドクター・スチュワートが駆る金色のマシン。軽いためグリップ力が低く、衝撃にも弱く、最高速度も最低。しかし加速力と回復力はぶっちぎりのトップの性能という感じで、プレイヤーの腕が問われる非常にピーキーな性能である。
      • グランプリでのライバルマシンは、スタート時以外加速度や最高速度が難易度別に上限が設定されていて、尚且つ常に自機の後方は一定距離以上離れない仕様であるため、高難易度になるほど使い勝手が逆行する難点がある。ステージギミックやS-JETとの相性の悪さもあって、まさにドライバーのようにコースや特性を完全に熟知した真の上級者向けのマシンと言える。
    • ワイルドグース
      • 元軍人で好戦的な亜人のピコの駆る緑色のマシン。最高の耐久力及び耐衝突性能を持つ反面、加速力は3位、回復力は最下位とクセの強い機体で、「硬いだけ」のレッテルを貼られやすい不遇のマシン。
      • 一見すると初心者向けの性能と思われがちだが、いざ初心者が扱うと走行関連の中途半端な性能に心を折られる事になる。実際にはゲームに慣れてきた中級者以上で特性を発揮でき、高難易度ほど異常に増える「周回遅れのアザーカー」をほぼノーリスクで跳ね除けたり、(ゲーム的には意味はないが)レース順位をコントロールしたりといった事が容易になる、職人向けのマシンである。
    • ファイアスティングレー
      • ファルコンのライバルであるサムライ・ゴローの駆る赤い(ピンク色)マシン。加速力は最低だが、最高速とグリップ力がトップでそこそこ当たりにも強い。S-JETなどの加速ギミックが多い本作において最もその恩恵を強く受けられるため、本作での評価は非常に強い。
      • ただし、滑りにくい分旋回半径が大きいためタイトコーナーに弱く、キングリーグの最終戦であるFIRE FIELDは苦戦する。
  • 取扱説明書に掲載されたミニコミック
    • ゲーム内では語られることのないパイロットの描写がある。アメリカンコミック風になっていて、世界観の表現の一端となっている。続編等は無い。
  • グランプリとコース
    • グランプリにはナイト、クイーン、キングの3つのリーグがあり、それぞれ特徴的でバラエティに富んだ5つのコースを走る。開始前にビギナー、スタンダード、エキスパートの3つの難易度が選べ、エキスパートをクリアしたリーグでのみ最高難易度のマスターを選択出来る。
+ 各リーグとコース紹介
+ ナイトリーグ
  • MUTE CITY I
    • このゲームシリーズを代表するコース。減速ゾーン、ヘアピン、ジャンププレートと基本的な要素を揃え、初心者にもやさしいコース設定。
  • BIG BLUE
    • 広い海をバックに流れる軽快な曲が人気のコース。全体的にコーナーがゆるやかで難易度もそれほど高くないが、最終コーナーがスリップゾーンになっているのが特徴。
  • SAND OCEAN
    • ヘアピンコーナーやコース幅が狭い所が多い砂漠上のコース。ここまで順当にドライブしてきた初心者の壁になりやすい。
  • DEATH WIND I
    • オーバルコースで簡単そうに見えるが、常に強い横風が吹いていてマシンの制御が難しく、コースの幅も狭いため他車との競り合いに注意する必要がある。
    • 順番上では最初にダッシュプレートが設置されているコースであり、これに乗ってかっ飛ばす快感を覚えたプレイヤーは多いだろう。
    • このコースはピットがバックストレートエンドを埋めているが、そこだけ更にコース幅が狭い。上位クラスでは油断すると触れると爆発するアザーカーが出入り口付近に止まっていたりする。
    • ゴールデンフォックスとの相性は最悪で、難易度マスターだと3位でゴールする事すらほぼ不可能級に難易度が跳ね上がる。逆にファイアスティングレーとの相性は抜群。
  • SILENCE
    • コースの大半が直線と直角コーナーで構成されている特徴的な形状。スタート直後に分岐があり、遠回りの安全なルートと規則的に地雷が設置されている近道がある。CPUはほぼ遠回りするため、慣れてしまえば順位を上げやすい。
+ クイーンリーグ
  • MUTE CITY II
    • 基本はIと同じだがバックストレートがロータリー形状の分岐に変更されており、左右どちらかを選んで進む。合流直後のS字にはジャンププレートが設置されている。
  • PORT TOWN I
    • 初めて地形が連続せず、谷をジャンプする必要があるコース。谷を越えた後には壁際に強制マグネットが初登場する。
  • RED CANYON I
    • スタート直後の急カーブやバックストレートの連続ジャンプなど、緩急の付いた構成。体勢を崩すと致命的なミス・タイムロスにつながる。
  • WHITE LAND I
    • その名の通り白を基調とした美しいコースだが、スタート直後と後半の2か所にあるスリップヘアピンや制御の難しいダート絡みの連続ジャンプなど難易度が高いコース。
    • プラクティスで練習できるので、まだ対策はしやすい方なのが救い。
  • WHITE LAND II
    • 直前の「I」のアレンジだが、他の「IIコース」と違い大幅に様相が変わっている。BGMもWHITE LAND Iとは異なったアレンジ*2
    • このコースの終盤にはこのゲーム最長距離の谷があり、下キー入れっぱなしが必須の大ジャンプを要求される。しかし谷のすぐ手前にコーナーがあるため、ここで減速しすぎるとジャンプが届かなくなってしまう恐れがある。2周目以降ならS-JETを使えるが、1周目では特に注意が必要。
+ キングリーグ
  • MUTE CITY III
    • 直角コーナーの後のバックストレートがスラロームになっており、その後のS字には地雷が設置されている。
  • DEATH WIND II
    • 強風が吹いているのは同じだが、さすがにオーバルトラックではなく、バックストレートの入り口から別コースに入り、元コースのピット直前へと合流する形になっている。
    • こちらのコースにもダッシュプレートはあるが、タイトなコーナー直後にダッシュプレートという組み合わせが3回続くうえにコース幅も狭いため、使いどころは検討が必要。
    • ファイアスティングレーだとダッシュの持続時間が長いのが仇になってしまう。
  • PORT TOWN II
    • 最終コーナーの手前から先の分散でヘアピンコーナーを左に入り、コースの幅が狭く連続ヘアピンが置かれており難易度は高い。
    • このコースもプラクティスで選択することが可能。
      • S-JETとジャンププレートを併用することで、戻されてもタイムが得するショートカットが確立されている。
  • RED CANYON II
    • 連続ジャンプまでは同じだが、その後から地雷の設置されたストレートを通ることになる。
    • ただし地雷ストレート直前左側にジャンプ台がある。十分な速度で突入できれば、コース外にさらに矢印型のジャンプ台に到達でき、地雷をパスして容易にショートカットができる。
    • 上記の矢印ジャンプルートも含めて難易度が低く、ラスト前に一息つけるコース。
  • FIRE FIELD
    • 大トリを飾るにふさわしい、本作最高難易度の最長コース。地雷、連続ヘアピン、スリップゾーン、マグネットとこのゲームの粋を尽くしたコース構成であり、最高速を保った走行がほぼできないため相当なハンドルテクニックが要求される。
      • しかも最後の分岐で遠回りをしなければピットゾーンに入れない(ピットゾーンの出口にはダッシュプレートがあるのだが、それでもロスが相殺しきれない)と、容赦ない。
    • 問題点にもあるが、このコースはプラクティス走行が不可能のため、練習もし難い。
  • ステージギミック
    • ジャンプ台
      • マシンが飛び上がり、飛んでいる間だけ若干速度も上がる。下キーを押し続けると長距離、上キーを押し続けると短距離飛ぶ。着地時は上キーを押していないと地面で跳ねてしまい減速する。
      • これで谷を飛び越えなければならないコースもある。コースによっては大きくショートカットも可能だが、あまり大きくショートカットをするとオフィシャルカーによって規定の地点まで戻されてしまう。タイムアタックにおいては乗らずに脇を通り抜けた方が速い場合もある。
  • ガードビーム
    • 殆どの場合でコースの両端の壁際を覆うように設置されている光る丸状の設置物。触れるとダメージを受け、スピードも大きく減ってしまう。とはいえ壁の跳ね返りを利用してコーナーをクリアするテクニックもある。
    • これ自体は壁ではないため、一部のコースではコース端以外に配置されており、それに接触しても弾かれずに走り抜けられる場合がある。もちろんショートカットが可能な場所も。
  • 強制マグネット
    • 線状に設置されたビームで、マグネットがある方向にマシンを引き寄せ、触れるとダメージを受ける上に大きく減速する。
    • ジャンプ台の直後に設置されており、ジャンプしたマシンを下に引きずり落としてしまう下方向強制マグネットもある。
  • 地雷
    • 踏むと爆発してマシンが弾かれ、大ダメージを受ける。踏んだ地雷は周回後も復活しない。避けるのが基本だがわざと踏んで、以降の周回で通りやすいルートを確保するやり方もある。
  • 減速ゾーン
    • 通るとマシンが減速してしまうダートゾーン。幅の狭い部分はS-JETで突っ切れるところもあるが、幅の広い部分はS-JETを使っても減速してしまう。
  • ダッシュプレート
    • 踏むとS-JETのように最高速の限界を突破する所まで加速し、徐々に減速してくる。この時はデスウインドの強風の影響も受けなくなる。
    • こちらのみ効果時間はマシンの最高速性能に依存し、ファイアスティングレーが最も長く持続し、ゴールデンフォックスが最も短い。
  • 磁場遮断コーティングゾーン(スリップゾーン)
    • この上のマシンはスリップしやすくなり、コーナリングが少し難しくなる。マシンとコースをつなぐ磁力が遮断され、惰性で動いている状態になるという設定。
  • ピットゾーン
    • スタート直後に配置されていることが多い。ここに乗っている間はオフィシャルカーから補給が受けられパワーゲージを回復出来る。
  • この他にもグランプリでは障害物として、非常にスピードの遅いマシンが多数登場する。そのうち赤く点滅しているマシンに触れると爆発し、大きな減速とダメージ、さらにはコースアウトの危険も含んでいる。
    • 爆発するマシンはコース上に止まっていることもある。

評価点

  • なんといっても特筆すべきはそのスピード感である。SFCの持つ背景面の回転・拡大縮小機能をフルに使い、時速400kmオーバーのスピード感がダイナミックに表現されていて、SFCの性能を衝撃的に見せ付けた。
    • これにより、従来の表現方法では表現が困難なヘアピンカーブ、果ては画面写真のような”逆走”も表現できるようになった。*3
  • コーナーのライン取りやロケットスタートなど、タイム短縮のためのテクニックが熱い。レースゲームにおいてタイムアタックが本格的に行われるようになったのがこのゲームからだと言われている。
    • ミュートシティIにおいて2分切り=1分59秒台突入というタイムが、当時のメディア(雑誌・TV)で目標とされていた。
      • アーケードゲーム専門誌「ゲーメスト」にさえ、このミュートシティのスコアを申請した店舗があった程。勿論集計はされていないが「店舗申請スコア」として掲載はされた。
  • ゲームコントローラーに初めて実装されたLRボタンに重心移動が割り振られており、コーナリングや直線での平行移動が可能である。*4ある意味「拡大回転」「LRボタン」と、スーパーマリオワールドよりもSFCを顧客にわかりやすく伝える為の役と、ソフトメーカーへのお手本を担っていたと言える。
  • 多彩なトラップや一時的にスピードを上げる「S-JET」など、世界観を生かした仕掛けが多く、一発逆転も可能。
  • BGMも疾走感を感じさせるものが多く、評価が高い。
    • 特にミュートシティとビッグブルーのBGMは屈指の名曲とされ、後のシリーズやアニメなどでもアレンジされて使用されている。
  • 演出面でも細かいものがあり、臨場感を演出するのに一役買っている。
    • とりわけサウンドエフェクトは上述のBGMと相まって耳に残りやすく、印象が強い。いかにもSFのレースゲームといった雰囲気の空気を切り裂くようなエンジン音や、壁に衝突した際の重々しい衝撃音、クラッシュした際の耳をつんざくような爆発音など、効果音だけでも迫力は十分。
      • 特にクラッシュした際の演出は、画面のフラッシュとともに上記の爆発音が鳴り響いてからカメラが引き、もうもうと黒煙を上げるマシンの残骸が映し出される…というもので、この間はBGMが無音になることも相まって、まさに命がけのシビアなレースである事を実感させられる。

問題点

  • マシン間のバランスにやや偏りがある。
    • 加速こそ最低なものの、最高のスピードとグリップ力を誇るファイアスティングレーがタイムアタックにおいて非常に強力。1周毎に手に入るS-JETの仕様との相性が抜群に良い。タイムアタックの仕様上どうしても本機一択の傾向が強くなる。
      • ただしこれはあくまでも1台もしくは2台だけで走るタイムアタックでの話。大量の敵車が行き交うグランプリでは、最大の長所であるスピードを活かしにくい場面も多い。
  • CPUの難易度調整にやや難がある。
    • 難易度の差異は主にCPUの最高速とアザーカーの数。
    • CPUのマシンの挙動はプレイヤーのものとかなり差異があるため、その辺りの兼ね合いでバランスの悪さを生じてしまっている。
      • 一番顕著なのは、後続(2位のみ)のCPUを一定距離突き放すと自機近くまでワープする点。S-JETやショートカットで大きく突き放すと逆にすぐ手前まで近寄られた状態になり、独走だったはずがワンミスであっという間に抜かれるということも。
        逆に、前方のCPU車が減速してくれたりということはなく、自力で追いつけなければ差が詰まることはない。
      • その他、慣性を無視したコース取りや、衝突してもさほど減速することなく走行し続ける、コース外に落下しても脱落しない、といった優遇点がCPU側にある。
      • これらの優遇により、難易度MASTERでゴールデンフォックスを使用した際のデスウインドIコースはかなりの無理ゲーに。最高速度やダッシュプレート持続の短さによりメインストレートでは雑魚車に煽られ続け、3位以内でクリアすることすらかなりの腕が必要。
      • とはいえ、当時他のレースゲームでも似たような問題点をあげられることが多く、ある程度仕方ない部分もある。
    • お邪魔キャラに相当する周回遅れのアザーカーは難易度が上がるほど数が増える。
      • …のだが、難易度MASTERになるとその数が尋常ではない。抜かした直後にすぐさま次のアザーカーが現れるほどで、2両同時に現れて妨害される事も日常茶飯事。あまりに多すぎて「こいつらスタートからほとんど進んでいない」と揶揄される事も。
      • CPUのライバルカーが優遇されている点を前述したが、さらに加えてアザーカーとどんなぶつかり方をしても速度が落ちる事はない。ゴールデンフォックスでさえ後ろから強引に追突しつつアザーカーを跳ね飛ばす光景はさすがに違和感がある。しかも爆発寸前のアザーカーはCPUのライバルが触れても爆発しない。
  • その他
    • 背景面拡縮回転によるパース表現を採用しているため、評価点で挙げた表現の代償としてコースに高低差が存在しない。
    • パワーが一定を下回る(爆散寸前になる)と、マシンの最高速度が急激に低下する。一度こうなるとピットに入る前になし崩しに負けになる事態に陥りやすい。
    • 2Pとの対戦モードがない。本作のレースゲームとしての革新性故に、対戦機能がないことを惜しむファンも多い。
      • SFCのマシンスペックの限界により、このスピード感を保ったまま2画面を同時描写することは不可能だったことが開発者へのインタビューによって明かされている。
    • 「プラクティス」モードのコースが7つしか選べない。コース自体は各リーグから選出されているが、他にも個性的なコースが多く、タイムアタックが熱いゲームなだけに全コースを好きな時に遊べないのは残念なところ。

総評

障害物が飛ぶような速さで後方へ過ぎ去ってゆく演出によって表現された今までにないスピード感と、シンプルながら様々なギミックが盛り込まれた魅力的なレーシングスタイルで、多くのユーザーに衝撃を与えた革新的な作品。 SFCの性能を存分に見せ付けた本作はローンチタイトルとしての役割を十分に果たした名作と言えるだろう。


余談とその後の展開

  • ファミ通クロスレビューにて、10・8・9・10の合計37点(満40点)でプラチナ殿堂入りを獲得。なお、歴代レビュアーの中でも屈指の辛口評価を出すことで有名だったTACOX氏が唯一10点をつけたのが、このF-ZEROである。そのコメントも「新しい画面処理などによりレースゲームの新境地を切り開いた秀作」と大絶賛している。
    • 発売前は当然の事ながらマリオワールドの方が圧倒的に注目度が高く、F-ZEROは地味な存在だった。しかし、辛口レビュアーであるTACOX氏が初めて10点を付けたことから状況は一変し、一気にユーザーの注目を浴びることとなったという。
  • SFCの衛星データ放送受信端末・サテラビューにて、ゲーム番組(サウンドリンクゲーム)として「BS F-ZERO GRANDPRIX」「BS F-ZERO GRANDPRIX 2」が放送されている。
    • 後者の放送時に一部のBS版専用コースを遊べる「プラクティス版」が配信されており、BS-Xのロムと当該データがダウンロードされたメモリーパックがあれば現在でもプレイ可能。俗に「F-ZERO 2」と言われているのはこちらのゲーム。詳細はこちら
  • N64やGCなどで続編が出されている。詳細はF-ZEROシリーズリンクを参照。
  • 公式的にガードビームを超えて隣のコースに行く手段はないが、ポーズをかける瞬間はガードビームを突き抜けるという現象を利用し、連射パッドでスタートボタンを高速連打するとパワーゲージを大幅に消耗することと引き換えに隣のコースへ渡る壁抜けができる。 渡ったところでそちらのスタートラインを超えても周回扱いにはならないので何の意味もないのだが。
  • 人気漫画『ジョジョの奇妙な冒険』第3部で、花京院が敵とこのゲームのパロディの「F-MEGA」で勝負したエピソード回がある。
  • この後、SFCでの任天堂製レースゲームは、多人数プレイの楽しさを追求し大ヒットとなった『スーパーマリオカート』、拡張チップ搭載でポリゴンを駆使した『ワイルドトラックス』と続いていくこととなる。
    • 特に、『スーパーマリオカート』は当初、本作のマルチプレイ版として作られたことが後年のインタビューで明かされている。
  • F-ZEROの制作発表後に『FFIV』の飛空艇のシーン等、拡大縮小でパースをかけたものが一気に増えた。
  • 2017年10月発売の「ニンテンドークラシックミニ スーパーファミコン」に収録された。
  • 徳間書店『ファミリーコンピュータMagazine(ファミマガ)』年末恒例の「ファミマガゲーム大賞」は基本的に前年12月~当年11月をその年度とするため、本来ならば本作は1990年度に入る。
    • しかし1990年11月に発売されたSFCソフトは本作と『スーパーマリオワールド』の2つしかなかったため例外的に1991年度に回されることとなった。
  • 2004年の『F-ZERO CLIMAX』以降、シリーズの続編や新作は長らく音沙汰がなかった状態が続いていたが、「Nintendo Direct 2023.9.14」にてNintendo Switchで『F-ZERO 99』のリリースが発表された。およそ19年ぶりの新作で、同年9月15日よりNintendo Switch Online加入者限定ソフトとして無料配信開始。開発はNintendo of America傘下の会社、NST(Nintendo Software Technology)。
    • 『F-ZERO 99』は本作に後作の要素を加えつつ99人の同時走行対戦を可能にしたタイトルで、初代のコースとマシンをベースに調整され、色などを変えられるマシンカスタマイズ、スーパースパークと言った新たな要素が追加されている。
    • 実にDSとWii以降という空白期から、F-ZEROシリーズの新作はずっと無いものと思われていた中での電撃発表に「シリーズの火は途絶えていなかった」とファンの多くが驚愕或いは歓喜した模様。
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  • 1990年

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最終更新:2024年02月16日 23:38

*1 順位表示は規定順位ギリギリだと黄色で、このままだと失格になるときは赤で示される。

*2 IIの方が雰囲気が暗く、Aメロが少し短い

*3 それまでの家庭用ゲーム機のレースゲームは、ラスタスクロールと呼ばれる、背景面を横方向に歪ませる方法を多く採っていた。

*4 もうひとつのローンチタイトルであったスーパーマリオワールドでは、LRボタンは必須操作ではなかった