ロックマン2 Dr.ワイリーの謎

【ろっくまんつー どくたーわいりーのなぞ】

ジャンル 横スクロールアクション
高解像度で見る 裏を見る
対応機種 ファミリーコンピュータ
メディア 2MbitROMカートリッジ
発売・開発元 カプコン
発売日 1988年12月24日
定価 5,800円
配信 バーチャルコンソール
【Wii】2008年8月26日/500Wiiポイント
【3DS】2012年8月8日
【WiiU】2013年6月12日/上記共に500円
判定 良作
ポイント シリーズ最高レベルの人気作
シリーズの基礎をより固めた理想的な続編
「アクションゲーム」の金字塔として今もなお人気
ロックマンシリーズ


概要

『ロックマン』シリーズ第2作で、前作のほぼ1年後に発売された。
前作のシステムを受け継ぎ発展させている。以後のシリーズ作品に定着した要素も多い。

プロローグ

Dr.ライトの生み出した、スーパーロボット“ロックマン”によって謎の天才科学者Dr.ワイリーの世界征服の野望は阻止され、世界に平和がよみがえった。
しかし、Dr.ワイリーは甚大な打撃を受けたにもかかわらず、再び“ロックマン”に新たな闘いを挑むべく、8体の強敵ロボットを送り出した……。

(取扱説明書より)


特徴

本作から定着した特徴

ステージボス関連

  • 発売に先駆け、ゲームに登場するボスキャラを公募する「ボスキャラデザインコンテスト」が行われるようになった。
    • 優秀賞(Dr.ワイリー賞)8作品はゲーム中にボスとして登場、応募者はエンディングに「デザイナー」として名前がクレジットされる。
    • 佳作(Dr.ライト賞)32作品(但し本作のみ40作品)の応募者は、エンディングに「スペシャルサンクス」として名前がクレジットされる。
    • 応募者全員に記念品が贈られる。また上記2種類の受賞者達には、さらに豪華賞品がそれぞれ贈られる。
  • 最初に選択できるステージ数が前作の6から8に増えた。
    • ステージセレクト画面には、各ボスの「顔」が表示されるようになった*1
      + 本作のボスと特殊武器
      メタルマン メタルブレード: 8方向に撃ち分け可能な、回転ノコギリ型の刃を投げる
      エアーマン エアーシューター: 3連の竜巻を斜め上に撃つ
      バブルマン バブルリード: 地形に沿って進む泡を撃つ
      クイックマン クイックブーメラン: 一定距離で戻るブーメランを撃つ。自動連射が可能
      クラッシュマン クラッシュボム: 壁などにくっつく時限爆弾を撃つ。特定の壁も破壊できる
      フラッシュマン タイムストッパー: 武器エネルギーが切れるまで時間を止め続ける。弱点となるボスにはダメージを与えられる
      ヒートマン アトミックファイヤー: 火の玉を撃つ。ため撃ちも可能(その分武器エネルギー消費)
      ウッドマン リーフシールド: 木の葉を4つ自分の周囲に回転させ、十字ボタンの入力で全3方向に射出。敵弾は防げない
  • 入手するとストックでき、任意のタイミングでライフゲージを全回復できるアイテム「エネルギー缶(E缶)」が登場。
    • 但しこの頃はまだ名前が付いておらず、プレイヤー間では「イーカン」などと呼ばれていた。
      • 説明書には、アイテム名を表記すべき枠内*2に「ライフエネルギーが全て回復する」とだけ書かれている。
    • PSのナビモードでは「エネルギータンク」に名前変更されている。
  • パスワードコンティニューが可能になった。従来のゲームの文字や数字によるものとは違い、方眼紙のマスに赤色のチップ(丸印)を置くという独特のデザインだった。
    • 但し残機数は保存できず、再開時は残機3人に初期化されてしまうが、E缶の数は記録される。
  • ダメージを受けた際の無敵時間中にトゲに接触しても一撃死しなくなった。
    • 前作ではノックバックでトゲの上に落ちて問答無用でミスというパターンが非常に多かったが、本作では少しではあるが猶予が存在し、トゲから離れる事で生き残る可能性が生まれた為、理不尽さが軽減されている。
  • 水中では浮力が生じて大ジャンプが可能となる。
    • 大量の即死トラップ(トゲ)を大ジャンプでかいくぐりながら先に進む水中ステージという流れは以後のシリーズでも何度も登場する。
  • 一部のボス部屋の地形に凹凸や段差などが付けられるようになった*3。この傾向は次々作『4』まで続く。
    • プレイヤーにとって戦いづらい状況に陥る場合が多いが、ゲーム終盤のボス再戦時には平らな地形になっている。
  • 前作では一部のボスにダメージを与えた際のノックバックがあったが、今作では廃止された。

その他

  • 前作にあったスコア(得点)システムは廃止されたが、元々形骸化していたため問題視されていない。
    • 本作以降のシリーズでもスコア無しが標準仕様になった。
  • 前作に搭載されていた「セレクトボタン押しによるポーズ(一時停止)機能」が廃止され、これ以降、基本的にセレクトボタンをゲーム中使用することはなくなった。
    • 元々スタートボタンを押すことで武器セレクトメニュー画面を呼び出せば、ポーズ機能と同様の効果を得られるためだと思われる。
      • 但しこの方法では、特殊武器や後述するアイテム1号~3号を使用中にゲームを中断することは不可能であるし、BGMまでは停止することが出来ないので、問題点とされることもある。
  • 今作以降、本家ナンバリング作品には何かしらのサブタイトルが付くようになった。
    • 「Dr.ワイリーの謎」とは、おそらく今作のラスボス戦を暗示したものと思われる。
      結論を言うとただのドッキリであり、劇中ではテキスト等によるストーリー進行がないこともあってプレイヤー間では「何が謎なのかが謎だ」というジョークにされることもある。

シリーズの他作品と比較しての特徴

特殊武器について

  • 優秀な特殊武器が多く、ボス以外に対しても活用できる等用途が幅広く、爽快感はシリーズで随一とも言える。
    • 8方向に撃ち分けられるメタルブレード、眼下の敵への攻撃や不可視穴トラップ発見に役立つバブルリード、ハシゴ近辺の微妙な段差で待ち構える敵に有効なクイックブーメラン、帰ってきたスナイパージョーの駆る大型メカを瞬時に破壊するエアーシューター、リフト移動時にザコに邪魔されないリーフシールド等、シリーズ中でも様々な特殊武器に出番が多い。

新たに加わったアイテム

  • 特定ステージをクリアした時に、ボスから得られる特殊武器とは別に、ライト博士が発明したメカを貰える。
    「アイテム1号」「アイテム2号」「アイテム3号」の3種類で、これが次作『3』から登場する犬型サポートメカ「ラッシュ」の原型になっている。
    • 足場の代わりとなるメカを設置できる装備で、特殊武器同様にエネルギーを消耗するタイプ。これらを使用しないと取れないアイテムがあるほか、一部のステージの難易度を大幅に下げることが出来る。
      また、終盤のステージでは先へ進むのに必須となる。
    • 「アイテム1号」は目の前に少しずつ上昇していく足場を作成。『4』のバルーンの原型ともいえる。
    • 「アイテム2号」は出現後、一定時間後が経つとエネルギーを消費し続けながら直進し、エネルギーが切れるか壁にぶつかると消える。『4』以降の仕様のラッシュジェットの原型と言える。
    • 「アイテム3号」は出現後、壁に当たると壁を登る足場を出す。ロックマンが降りると下降し下に着くと消える。

ゲームバランス

  • 「腕に自信があればステージ・ボスともバスター攻略可能で特殊武器をうまく使えば非常に攻略しやすい。」という絶妙なバランス。
    • 8ボスの半数はロックバスターで2ダメージを与えられ尚且つダメージを与えた後の無敵時間が短い事や、新登場のエネルギー缶がこれを後押しする。
  • 道中ステージは比較的短めであり、出て来る敵の量も程よい位である。落とし穴、トゲ、溶鉱、ビームシャッターといった強烈な一撃死の罠が存在する分、リトライを前提にした場合遊び易さに長けている。
    初見では何度もやられてしまうような罠でも「ミスの繰り返しによって覚える」ことでそのうちミスをほとんどしなくなるようなバランスとなっている。
  • 8ボスに関しても弱点が複数あり、しかも、各々で難易度が大きく異なり、進行の際にボスの強さを考慮に入れるとしたら、本作の攻略の自由度はシリーズの中でも類を見ない広さを誇る。
    • ボスの弱点は公式発表(メタル→バブル→ヒート→ウッド→エアー→クラッシュ→フラッシュ→クイック→メタル)こそあるものの正確にはリング状ではない。
      フラッシュマンへのメタルブレード、クイックマンへのクラッシュボム(爆風で多段ヒットの場合)など公式発表よりダメージが高いケースがある他、クイックブーメランとメタルブレードは速射性が高いので単発威力が低くてもダメージ効率が他の武器より優れているケースもある。
  • ワイリーステージ終盤では、設置された8つの転送カプセルに入り、各カプセルの中にいる8ボスとの再戦がある(よく見ると背景に“Dr.WILY TELEPORT SYSTEM”という表記がある)。今作のボス再戦形式が、以降の作品にも受け継がれ、ボス撃破後は出現したライフエネルギー(大)を入手してカプセルから出るという流れになる。これにより、前作『1』でのボス再戦よりはよほど良心的な難易度に落ち着いたと言える。
    • どのカプセルにどのボスがいるかは初見ではわからないものの、覚えてしまえば好きな順番から戦える。
    • ぬるいと感じる場合はあえてライフエネルギーを取らないでチャレンジする事も可能。

攻撃での演出面

  • 前作までとの大きな違いとして、攻撃が通じなかった際に射出した武器が弾かれるようになっており、『3』以降の作品と比べると弾かれた際の演出がバラエティ豊かである。
    • この仕様で最も割を食っているのがリーフシールドで、木の葉型のシールドがヒラヒラと画面下に向かって落ちていくまでにかなりの時間を要する上に、弾かれた木の葉が画面下へ消えるまで次弾が発射できないという厄介な仕様となっている。
      特にリーフシールドが弱点のはずのエアーマンが撃ってくるエアーシューターもリーフシールドを弾く性質を持っており、弱点武器だと知っているだけのプレイヤーに対する初見殺しとなってしまった。

ステージ道中におけるアイテム取得について

  • 今作のみの特徴として、敵を倒して出現したエネルギー回復等のアイテムは「地面に着くまでは触れても取得したことにならない」という仕様になっている。
    足場の狭い場所でジャンプした際に邪魔されないと捉えるか、取得したつもりが取得出来ておらず煩わしさを感じるかは、人それぞれかもしれない。
    • この関係でハシゴを進んでいるときは壁に引っかからない限りアイテムを取得できない。

対ボス戦での相討ちについて

  • 本作のみロックマンが爆散する演出が発生するまでにわずかなタイムラグがある。この仕様を利用して、対ボス戦にてロックマンのライフがゼロになってから爆散する前にボスを撃破すると、爆散する直前のグラフィックのままボスに勝つことが出来る。
    • ただ、本当に相討ちになってしまう(ボスもロックマンも共に爆散してしまう)と、なぜかボス撃破時のジングルが鳴り、続いてロックマンが画面上部に上昇していく際の効果音まで鳴るのだが、そのまま画面がフリーズしてしまい、ゲームが進まなくなるというバグが発生する*4

評価点

個性的なボス達

  • 今回から一般募集されたボスはどれも個性豊かな上に攻略順も自由、プレイヤーがトライアンドエラーを繰り返し、初期武器のロックバスターで倒せる者を見つけ倒して、その手に入れた武器で倒せるボスを見つけ…と、攻略のしがいが高い。
    • ある程度相性の優劣はつけられていて、ボスの弱点を見つけた時の高揚感はなかなかのもの。
    • ボスデザインは遡る事「キン肉マンの超人募集」をゲームに取り入れるアイディアだが、ロックマンもキン肉マンの時もプレイヤーやファン心をしっかりと掴んでいる。

それ程長く無いステージに満載の仕掛け

  • プレイすると、道中距離の短さを全く感じさせないが、各ステージの長さはコンパクトに作られている。
    集中力が切れないコンパクトなステージにもかかわらず、仕掛けが豊富でテンポが良い。

新システム「E缶」

  • 今作からはステージ内に落ちている「E缶」を拾う事で、任意のタイミングでライフエネルギーの全回復が出来るようになった。
    • とにかく難易度の高かった前作に対し、今作ではE缶を使ったゴリ押しも可能となり、比較的遊びやすくなっている。
    • 使いどころを考えさせる駆け引きも特徴。
      • むやみに使っても、そのままミスしてしまえば無駄になってしまう。E缶を使ったなら、そのままボスを撃破しなければ損をしてしまうため、プレイヤーの実力とボスの強さとを天秤にかけて慎重に振る舞う必要があり、戦略性が高い。

多少のゴリ押しが効くようになった

  • 水中ステージでは大量のトゲが出現し、慣れなければ難しいものの、わざとダメージを受けて無敵時間の間にトゲ地帯を突破する事も出来るようになった。以後のシリーズでも通用する攻略法となる。
  • 移動アイテムの充実により、一定の間隔で消えるブロック地帯(通称:ブーンブロック)といった厄介な仕掛けをスキップしやすくなった。
    • 消えるブロックは記憶力が試される上に突破できなければ延々と挑戦し続けなければならない為、プレイヤーによっては苦手に取られやすい仕掛けでもある。
    • ただし、トラップの突破には大量の武器エネルギーが必要となる他、突破後にミスをすると当然戻されるので緊張感も残っている。
      • 今作では消えるブロックの難易度が上がっており、ヒートマンステージ等では非常に長い上に即死トラップと組みあわされているパターンも存在する。慣れたプレイヤーならば正攻法で突破、苦手ならば移動アイテムで突破といった選択肢が用意されている。
    • 前作のマグネットビームでも足場を作る事は出来たが、クセの強い武器だったので実用には慣れが必要だった。

個性的なパスワード

  • 方眼にチップを並べる方式はオリジナリティが高く、当時の他のゲームでのパスワードで問題になっている「書取り間違い」が起こりにくい。*5
    • しかし、この方式のパスワードで引き継ぎできる要素はかなり限られている。RPGでは無いアクションゲームだからこそ採用できた方式といえる。

エンディングの演出

  • 短期間で作ったとは思えない高クオリティのエンディング。
    • 詳しくは伏せるが、最終戦後の余韻を活かし、多くを語らない演出が人気を博している。

賛否両論点

各武器の使い勝手の差

  • 武器毎の燃費の差が極端で、バランスには少々難がある。
    • 一部の武器は「エネルギー1メモリ消費で数発撃てる」という燃費の良さ。
      • しかも、武器セレクト画面を開くたびに撃った回数がリセットされるので、「エネルギーが減らない程度に撃つ→武器セレクト」を繰り返せば無消費でいくらでも撃ててしまう。
    • その一方で、一度発動するとエネルギーが尽きるまで止められないタイムストッパー、特徴である最大溜めショットを使用すると全体の1/2近くも消費するアトミックファイヤーなどは、燃費が極端に悪い。(しかも後者は、最大までの溜め時間が長いうえに、途中で攻撃を食らうと溜めが取り消されてしまう)
  • メタルマンの特殊武器「メタルブレード」が高性能すぎる。消費エネルギーが少なく、任意で8方向に撃つことができ、威力もそれなり(ロックバスターより強い場合が多い)。無駄撃ちさえしなければ、ロックバスターの代わりに道中で使っていけるほど。
    • これを弱点とするボスが3体もいる上、所有者であるメタルマンの弱点武器でもある。しかもたった2発で倒せる(後に有賀ヒトシ著のロックマンマニアックス下巻にて、その理由が語られた)。
    • ただし地上で撃つ時は硬直するため歩きながらでは撃てず、効かないザコ敵が意外と多い。
    • 次回作では似たような特殊武器に「シャドーブレード」があるが、性能は「連射が効かない」「射出後戻ってくるため射程が短い」とメタルブレードよりだいぶ抑えられている*6
      • また、次回作以降も多方向攻撃武器は「連射不可能」、「弾速遅め」、「使用するボスが強い」と言う様にバランス調整がされている。
    • 余談だが、十字ボタンの上下と左右のいずれかを同時に押して(実践するには、ファミコン本体の予備コネクタにもう1個のコントローラを接続する必要がある)使うと罠のように設置する「置きメタル」というテクニックがある。

ワイリーステージ各ボス戦でミスした際のリトライポイントについて

  • ワイリーステージの各最奥部で待ち受けているそれぞれのボス戦でミスすると、リトライの際に同ステージの中間地点まで戻されてしまう*7。この傾向は次々作『4』まで続く。
    • 前作では、全ステージどこのボス戦でミスしても、そのボス部屋直前から残機分リトライできたが、今作では難易度が高めのワイリーステージをまた(中間地点からとはいえ)やり直さなくてはならないため、ボス戦でのミスによるペナルティは前作に比べて厳しいといえる。
      とはいえ、後述する同ステージ4のボス「ブービームトラップ」との対決時にミスした場合には、リトライポイントがボス部屋直前では逆にプレイに支障をきたす恐れがあるため、致し方ない点ではあるか。

ワイリーステージにおける補給面について

  • ワイリーステージでは、前作同様、各ステージクリア時に武器エネルギーが回復しない。
    戦略性に寄与しており必ずしも難点ではないが、難易度を高めている要因なのも事実。
    • 一応ステージ中にエネルギー回復アイテムが配置されているが数は多くないため、道中での補給や使用ポイントの配分なども攻略上必要になる。
    • ゲームオーバー時には全武器エネルギーが全回復するが、エネルギー缶が無くなってしまう(後述)ため、痛し痒しである。
    • 携帯アプリ版では、各ステージクリア後もミスしても武器エネルギーが回復するようになり難易度は大幅に緩和された。
    • 1回もミスせず、かつ弱点武器・アイテム1~3号を無駄なく使用した場合、エネルギー回復アイテムは一切取得しなくてもクリアできるようになっている。
      ほぼどの武器エネルギーも空っぽに近くなるが、これを「絶妙なバランス」と捉えるか「シビア」と捉えるかは、意見の分かれるところである。

終盤ボスの仕様

  • ワイリーステージの大型ボスに被ダメージ時の無敵時間がほぼ無い(再戦する8体のボスにはある)。
    • プレイヤーのストレスがたまらないのはいいのだが、この関係で大型のボスに速射性の利くクイックブーメランや連続で攻撃判定が出ているクラッシュボムの爆風を当てるとあっさり倒せてしまう。(ワイリーマシーン2号ですらうまくやれば変形前後双方をクラッシュボム一発ずつで撃破できる。)
      • この仕様の関係か、ワイリーステージはボスが「大型→小型多数→大型→小型多数→大型→小型」という交互の配置になっているうえ、2回目の小型ボスが後述のブービームトラップ戦でここで強制的にクラッシュボムを消費させられるようになっている。

問題点

ワイリーステージ4のボス「ブービームトラップ」

  • このボスは部屋に設置された5つの砲台で、それぞれにクラッシュボムを各1発ずつ撃ち込んで破壊する事でクリアとなる。しかし他の武器が一切無効、かつクラッシュボムでしか破壊できない壁も配置されているため、最大7発分の同武器を無駄なく使用する必要がある*8
    • これ自体は攻略手順さえ覚えれば容易だが、問題はミスをしてリトライする度に毎回消耗した武器エネルギーをステージ道中で稼がなければならないという点。どうしても作業的にならざるを得ず、再挑戦のためにいちいちザコ敵を狩り続けるのは苦痛に近い。初見であればなおさらである。
    • ステージの構成上、エネルギーの効率的な補給ができるのは無限湧きのテリーのみで、それを利用してすら運が悪いとかなり時間を取られてしまう*9。一応、スタート地点に置いてある2個の武器エネルギー(大)を入手せずに進めて、リトライポイントから取りに戻る方法もあるが、どちらにせよ手間がかかる。
      • また、ブービームトラップ戦以後は武器エネルギー補給ができなくなっているため、ボスラッシュでクラッシュボムが弱点のボスたちや前述の多段ヒットで本来なら一撃で倒すこともできるワイリーマシン2号相手には、ゲームオーバー後のリトライ(武器エネルギー全回復)か何らかのテクニックでクラッシュボムを1~2発残さない限りクラッシュボムを使うことができなくなっている。
      • 携帯アプリ版では破壊した壁から武器エネルギー(大)が出てくるようになり、今度は考え無しに撃つだけでクリアできてしまうという問題が発生している。単純にリトライポイントやボス戦手前に武器エネルギーを復活配置してくれれば良かったのだが…。

ステージ選択

  • 選択8ボスステージにて、一度クリアしたステージには二度と入れなくなった。この仕様は次作『3』まで続く。
    • 残機を増やしたりエネルギー缶を集めたりするためには、アイテム1号~3号による足場設置が必要な場合が多いので、攻略順が制限されてしまう。
    • この2つの点は携帯アプリ版では改善された。

エネルギー缶(E缶)のストックその他について

  • E缶は4つまでストックでき、パスワードにも記録できるのだが、初登場の今作ではゲームオーバーになると失われる
    前述の通りクリア済みのステージには入れないので、「E缶を4つ持った状態で8ステージを全てクリアしている」という状況のパスワードを作るにはそれなりの腕前や計算が必要となる。
  • ゲームオーバーになると武器エネルギーが全快するのでリトライが容易になるのだが、貴重なE缶が失われるのは精神的にもきつい。
    • 特にワイリーステージ後半戦に顕著。ブービームトラップは前述したが、ラスボスも「弱点武器以外の武器(ロックバスター含む)を当てるとエネルギーが全回復する」という仕様のため、こちらも特定の特殊武器のエネルギー残量に左右される。だがラストステージではアイテムが出現しないため、足りない場合は所持しているE缶を諦めてゲームオーバーになるしかない。
  • その他ライフエネルギーが満タンの状態でE缶を使用してしまうと、ストック数だけが減り、無駄になってしまう。この傾向は次作『3』まで続く。

音楽について

  • ボス戦の曲が1種類しかない。
    • 他の作品では大抵ワイリーステージのボスやDrワイリーとの戦いで専用ボス戦曲があるのだが今作は常に8ボス戦時から流れている曲のまま。
    • これがナンバリングタイトル初作品であるならば仕方がないとも言えるが、前作『1』でさえ選択6ボスステージ用とワイリーステージ用の2種類があったのに対して退化している。
      • もちろんこれは容量の都合で削ったものであり、曲の総数は前作よりも増えているどころか、1曲ごとの容量も増やしてあり、サウンドをより豪華にしたための調整ではある。
      • ただし、SEでBGMが潰れる仕様のお陰で、メーターを溜め始めるのが他のボス戦より遅い最終戦のみBGMイントロ部分が潰れず少し豪華に聞こえる。

総評

前作のシステムを受け継ぎ発展させ、さらに「ボスキャラクターデザインコンテスト」のスタート地点でもあるという、シリーズ内でも重要な位置にある作品。
難易度(というより理不尽な要素)は前作よりやや下げられ、特殊武器・アイテムをうまく使っていけば攻略しやすくなるように出来ており、より遊びやすくなっている。
完成度は非常に高く、第2作目にしてロックマンシリーズのシステムはほぼ完成されたといえる。
内容・BGM共に評価は高く、「シリーズ最高傑作」との呼び声も高いシリーズ最高の売上を達成した傑作である。


余談

  • 武器セレクト画面を出すスタートボタンを連打する通称「タイム連打」で以下の現象が発生する。
    • 武器セレクト画面解除後に無敵時間がわずかに発生する。この間にも弾は動くため、前述の「ブービームトラップ」の速い弾はスタートボタンを連打することで簡単に避けられる。
    • 解除後に「落下中の加速を元に戻す」という性質があるため、速度を調整できる他、ジャンプ幅が足りない時に落下中に連打することで飛距離を伸ばすことができる。
      • ただし、クイックマンステージの即死ビーム地帯については一旦止まって降下が遅くなるため、不用意に押すと発射までに落ちるのが間に合わずに当たる場合がある。
    • ボスキャラのウッドマンのジャンプ中に武器選択画面を開き解除すると、ウッドマンが空中で更にジャンプする。これを繰り返せばウッドマンは天井付近をジャンプし続けるのでその間に下をくぐることが出来るため、攻略難易度が大幅に下がる。
  • 本作で一新された*10ワイリーの青いUFOはシリーズ共通のものとなり、『8』を除いた以降のシリーズ作でも同じものに搭乗するようになった。
    • その青色のデザインから通称「ブルーレット」と呼ばれ親しまれている。そして、本作以降はワイリーマシンが破壊されても緊急脱出装置としての機能がはたらいているためか、このUFOそのものは破壊されることが無くなった。
  • Aボタンを押しながらステージ選択をすると、ボス紹介時の背景の星がなぜかザコキャラクターの子ピピになる*11
  • 海外NES版『MEGAMAN2』では敵の防御力を下げたNORMALモードが追加、日本版と同じ難易度のDIFFICULTモードも楽しめる他、クラッシュマンのスペルも修正されている。
    • NORMALでの敵の耐久力は元の半分となっている(厳密には「こちらの攻撃力が2倍」)。よってメタルマンにメタルブレートを当てたり、ウッドマンに最大溜めのアトミックファイヤーを当てると一撃で倒すことが可能。
    • また、国内版ではワイリーステージ3に登場する「ビッグフィッシュ*12」への接触ダメージが0であったが、こちらの海外NES版では10ダメージ食らうようになっている等の細微な調整も見られる。
  • MARVEL VS. CAPCOM CLASH OF SUPER HEROESでのロックマンのBGMは今作タイトル画面のアレンジ楽曲となっている。
    • テンポこそ落ちてるがVSシリーズ特有のヒロイックなアレンジを成されている。
    • また、同作のロックマンは今作の特殊武器であるリーフシールドも使用可能。
  • ボス達(ヒート・エアー・バブル)との戦闘中に各自のコースのパーツとBGMで地形が構成されているワイリーステージ*13に飛ばされてしまうというバグが存在する*14
    クイックマン・ウッドマンステージに関しても道中ある操作をすることでバグワイリーステージへ飛ばされる。
    • 非常にレアな現象で、普通にプレイしている限りまず起きない。これは処理量が多くなるとスクロール信号が一瞬狂ってしまうディレイスクロールと呼ばれるもので、ネットにはこの技を活用したTAS動画も存在する。
    • 本来のステージには出現しないザコ敵がいるなど視覚的な面白さもあるが基本ボスは出現しないため最深部では詰むことになる。
      ただしヒートマンステージはワイリーステージ1が元になっている関係上、赤いメカドラゴンと戦うことができ場合によっては倒すことも可能。この場合はヒートマンを倒した扱いとなり特殊武器入手後そのままステージセレクトへ戻る。
  • 稀な現象だが、クラッシュボムの爆発が発生している間に敵に向かって体当たりすると当たった敵に対してクラッシュボムの攻撃判定が発生する事がある。
    • 原理が複雑なので説明は省くが、RTAやTAS動画ではこれを利用してブービームトラップを素早く撃破している。
  • 講談社の児童誌『コミックボンボン』本誌で『5』『6』が連載されていた時期に、姉妹誌の『デラックスボンボン』にて本作もコミカライズされた。作者は本誌と同じ、池原しげと氏。しかしなぜかタイトルが『ロックマン Dr.ワイリーの陰謀』になっている。
    • 内容は同氏による他の作品に比べれば、それほどおかしなところは無い。
  • カプコンのアーケードリズムゲーム『crossbeats REV.』に本作のBGM「Dr.WILY STAGE 1」のアレンジバーション(アレンジアルバムに収録されたもの)が収録。BGAも今作のPVのような作りになってて非常に豪華。最高レベルのUNLIMITED譜面はロックマン2さながらの高難度。
  • ゲームギア版『MEGA MAN』では本作のクイックマンステージがグラフィックにアレンジを施して再登場している。
    • 4』と『5』のステージが出揃う中、唯一本作からの出演である。但しボスであるクイックマンは不在。
  • ディレクターの稲船敬二氏によると本作の開発期間は3ヶ月。会社内で続編制作の決定がされてなかった中で、稲船氏を含む前作のスタッフから進める形で開発が始まったとのこと。
    当時、前作のスタッフはそれぞれ別のプロジェクトも抱えていたため、それと並行しながらチェックを含む開発をしなければならず、本作の開発のために会社に泊まり込むスタッフが多くいたという。なお、スタッフの話では「合宿気分で楽しかった」とのこと。
    • リリース直前のテストプレイ中、「ラスボスが強すぎてスタッフですら倒せない」というバグが見つかり、直すかそのまま出すかの判断が稲船氏に委ねられた*15。結局は時間のない中でなんとか直すことに成功し、無事リリースできた。
  • 2000年代以降、YouTubeやニコニコ動画の流行に伴い、本作のステージのBGM「Dr.WILY STAGE 1」に歌詞をつけた「思い出は億千万」や、ボスの一体「エアーマン」をどうやっても倒せないことをネタにしたオリジナル曲「エアーマンが倒せない」*16が動画として作られ、人気を博した。
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最終更新:2024年04月09日 22:10

*1 前作では各ボスの全身グラフィックが表示されていた。

*2 他のアイテムは「ライフエネルギー」「武器エネルギー」「1UP」と、それぞれ枠内にきちんとアイテム名が記載してあるのだが、これらは逆に「取得するとどうなるのか」という特性が記載されていない。

*3 前作でもカットマン・ガッツマン・エレキマンの3体の部屋は、地形が平らではなかった。しかし、ある特殊武器を使用することにより、地形を塞いでいるブロック(岩石)を除去して任意にほぼ平らな地形にすることは可能。

*4 この「本当に相討ちになる」というバグは、狙って行わない限りまず発生しない。例えば対クイックマン戦にて、ボスが放つクイックブーメランが画面内に残っていて、なおかつロックマンのライフエネルギーが残りわずかな状態でタイムストッパーをかけ、その効果が持続中のまま、ボスが爆散するよりも少し早目にロックマンがボス本体やブーメランに故意に接触して爆散→直後にボス撃破…といった方法により発生する。

*5 もっとも、本作のパスワードの情報量は25bitで、これは『ドラゴンクエスト2』のパスワードに換算するとひらがな5文字で表現可能である。

*6 ただし、他の特殊武器の燃費悪化、直線方向しか飛ばない武器が多くなったために使いやすさ自体はトップクラスである。

*7 但し、同ステージ5は除く。また、続く最終ステージはスタート地点からボス部屋までの距離が短いため、そこでミスした場合はスタート地点からリトライとなる

*8 厳密には、同時破壊や爆風写しのテクニックで節約可能だが、初見ではまず気付かない。

*9 そもそも本シリーズのドロップは相当な運に左右され、ザコ敵からの補給を目当てにした攻略はあまり行われない。

*10 前作の戦いの際に使用していたUFOは赤色でデザインも異なっており、さらにロックマンによって破壊されてしまったため、新しく造り直したものだと思われる。

*11 後に発売された『クラコレ』のチャレンジモードでも同じ現象が発生するが、こちらはその方法が不明。

*12 そのまんまでかい魚の敵、下から突如現れて喰らいついてくる。

*13 飛ばされる先はそれぞれ別のステージ

*14 クラッシュとメタル以外の6ステージはワイリーステージとマップデータを共有している

*15 直した場合、他の正常な部分で別のバグが発生してしまう可能性がある。

*16 こちらはエアーマンステージに歌詞をつけたというわけではなく、完全オリジナル楽曲