このページでは、FC用ソフト『星のカービィ 夢の泉の物語』と、3DSへのDL移植『3Dクラシックス版』について紹介しています。
GBAリメイク版は『星のカービィ 夢の泉デラックス』を参照。



星のカービィ 夢の泉の物語

【ほしのかーびぃ ゆめのいずみのものがたり】

ジャンル アクション
高解像度で見る 裏を見る
対応機種 ファミリーコンピュータ
発売元 任天堂
開発元 HAL研究所
発売日 1993年3月23日
定価 6,500円
プレイ人数 1人
セーブデータ 3個
レーティング CERO:A(全年齢対象)
※バーチャルコンソール版より付加
配信 バーチャルコンソール
【Wii】2007年2月27日/514Wiiポイント
【WiiU】2013年4月17日/514円
判定 良作
ポイント ファミコン末期の傑作
コピー能力が初登場
多彩なダメージアクション
星のカービィシリーズリンク

概要

シリーズ第2弾。据置機では初のシリーズ展開。 発売がファミコン末期であり、日本のファミコン市場における最後のミリオンタイトルとなった。


ストーリー

あきれかえるほど平和なプププランド。ここで1つの事件が起きました。
プププランドの果てには、「夢の泉」という夢がわくところがあります。

夢の泉には、全ての生き物たちの夢と希望が集まります。
そして、眠りについた生き物に楽しい夢と安らぎを与えるのです。

しかしある日突然、人々は夢を見ることができなくなってしまいました。 夢の泉でデデデ大王が水浴びをして遊んでいたのです。

しかも、夢の泉の力の源、「スターロッド」もデデデの手下に配られてしまったようです。

カービィはみんなの楽しいお昼寝タイムを取り戻すため、
冒険の旅に出たのでした…。

(タイトル画面のデモより)

ゲーム内容

  • 初代『星のカービィ』と同じく横スクロールアクションゲーム。
    • 面クリア形から、以前プレイしたステージを何度でも再挑戦できる制限付き面選択型になった。ただしボス戦は一度きり(レベル7のボスのデデデ大王+その後のレベル8のナイトメアとは再戦可能)である。
    • ちなみにメタナイトのデビュー作である。
  • 前作ではあまり意味の無かった「飲み込む」アクションに相手の能力を吸収するコピー能力が付与され、本シリーズにおける最大の特徴が今作で確立することとなる。
    • 吸い込んだ敵の能力を『ロックマン』のようにそのまま得て使うことができる。ただし複数の能力持ちの敵を吸い込んだ場合は「ミックス」となり、全ての能力の中からどれか一つを得ることになる*1
    • 能力はダメージを受けると星となってカービィから飛び出してしまう。一定時間が経過すると消滅するのでその前に吸い込んで回収する必要がある。
      • 逆に要らないときはセレクトボタンで任意に捨てることが出来る。
      • 能力は失う、もしくは捨てるまで基本的に使い放題だが、一部の能力は使用回数に制限が設けられていたり、時間経過で解除となる(それらの能力は「一発系能力」と呼ばれることがある)。
    • ちなみにラスボス戦専用のコピー能力も出たのも本作から。
  • 純粋な新アクション、仕様としてダッシュ・スライディング・水鉄砲・貫通弾が実装された。
    • スライディングは真下の星形ブロックを破壊したり敵を倒したりできるので、コピー能力を温存したい時などにも有用。
    • ダッシュは文字通り移動速度が上がるのでゲームテンポの改善に一役買っている。
    • 水鉄砲は水中での攻撃手段で、上下左右に自由に向きを変えて攻撃できる。ただしリーチは非常に短く、また逆に(一部を除いた)コピー能力による攻撃や、吸い込み・空気弾などは使えなくなってしまう。
    • 貫通弾は複数の敵を吸い込んで吐き出すと出すことができる星型弾の強化版。名前通り敵を貫通して進み、ボスキャラには星型弾2発分の大ダメージを与えられる。

評価点

  • 吸い込み・吐き出しのみだったアクションに多彩なコピー能力がついたことで様々な攻略方法が生まれた。
    • 自分にとって使いやすい能力を早いうちに習得し、それを何処まで維持できるかと言った駆け引きが熱い。能力の数も非常に多くバラエティ豊か*2
    • また、能力ごとに様々な特徴が存在*3し、完全クリアのためにはこれらの特徴を活かすことが必須。こういった「コピー能力を用いた謎解き」は後のシリーズでより顕著になる。
      • コピー能力を実装した初代作であるのにもかかわらず調整不足なコピー能力も全く存在しない。
        ただし攻撃判定や挙動が特殊な「ボール」や、明らかにノーマルの星攻撃よりも使いにくい「バックドロップ」など、慣れないと使いにくいコピー能力も多少はある。
        ただ、これらはギミック解除に用いられることも無いので、無理に使わなければいいだけだが。
  • コピー能力も多彩であるが、敵の攻撃も多彩であり、これによって受けるカービィのダメージアクションが豊富である。
    • 敵にぶつかるなど後述以外の攻撃による通常のダメージ。針のある地形を通ると刺さった音と同時に飛び跳ねる。氷結・感電・炎上*4などの状態異常なダメージもある。一部の中ボスでは専用のダメージモーションも用意されている*5
    • ダメージアクションは通常時と頬張った状態の2種類用意されている。ただし、前述の中ボスの攻撃では通常時のアクションしか用意されておらず、頬張った状態でこれを受けると攻撃後に通常状態になってしまう。
    • サブゲーム「クレーンフィーバー」では、クレーンが景品のカービィのつかみ場所が悪いと、カービィは痛がって通常のダメージアクションをして暴れ、その結果落下しやすくなる。
    • これらの多彩なダメージアクションは、マイルドな描写になりながらも、以後の続編へ受け継がれている。
  • 全7レベル計39ステージ+ボス+ラスボスとボリュームは充分である。
    • 本作ではワールドマップ制を採用。クリア済のステージを何度でもプレイできるようになったほか、コピー能力が無償で手に入る「博物館」、中ボスと戦える「闘技場」、異なるレベルに移動できる「ワープスター発着場」といった施設が追加された。また、ステージのクリアごとにジャンピングゲームが挿入される他、残機を増やすミニゲームが遊べる施設もある。
      • これらの施設はステージクリアだけでなく、隠されたスイッチを押す事で解放されるものもある。解放した施設は達成率に加算されるので、これらを発見することもやり込み要素となる。特に後半になるとスイッチまでたどり着くにはそのステージでは入手できないコピー能力が必要になることが多いので、他のステージや闘技場からコピー能力を持ち込み、スイッチまで維持できるだけの腕が要求される。
    • 達成率100%で更に難しいエキストラモードが登場し、これもクリアすると更なるおまけがある。
  • 非常に良好なゲームバランス
    • 基本的に良好なゲームバランスを売りにしているカービィの中でも歴代最高レベルと言われる。
      • 「バーニング」や「トルネード」など体当たり突撃系のコピー技は慣れると非常に便利で爽快だが、一部の中ボスが持っている掴み攻撃・吸い込み攻撃にはとても相性が悪い。
        ただし、それらの判定が無くなる瞬間を突くことで撃破自体は可能となっているのが良調整と言えるだろう。
    • 更にオートセーブ機能内蔵。進行状況を自動で記録してくれる。
  • FCの性能を限界にまで引き出したグラフィック
    • カラーになったことにより、ポップでファンシーな世界観がより鮮やかに表現されるようになった。レベル選択画面においても、全てのレベルに異なった背景が用意されている凝りよう。
    • 各キャラのアクション動作もFCとは思えない滑らかさを誇り、プレイに全くストレスを感じさせないほど。今見ても全く色褪せない。
    • ラスボス戦ではなんとFCでは珍しく、多重スクロールを見せ付けてくれる。しかも相当な高速で動くのに処理落ちもしない。
  • ポップかつ印象的な音楽
    • 3和音という制約もなんのその、電子音を駆使して紡ぎだされるBGMは歴代でも屈指のクオリティである。
    • 特に和音を小刻みに分散させた高速フレーズや、頻繁な転調による幻想的な風合いは前作からの引き続きであり、以降のカービィシリーズのサウンドの礎となっている。
    • ちなみに本作のBGMをより印象付ける仕掛けとして、「ベース音の使い方が珍しい」という点がある。
      • やや専門的な話になるが、FCにおいて主要の3音のうち、1音は三角波という波形で固定となる。この音はボリュームの変更がシステム上できない一方、柔らかく聞き心地の良い低音を持つため、ほとんどのFCゲームにおいてベースや打楽器に用いられる。
      • しかし本作ではベースを(音色変更に融通が利く)矩形波に譲り、三角波をメロディまたは飾りに使っている。これにより、インパクトのあるギラギラとしたベース音と、三角波によるポコポコとした高速フレーズとが特徴となり、他のFCゲームではあまり聞けない独特の風合いに繋がっている。
  • ストーリー
    • アクションゲームゆえテキスト量は少ないが、デデデ大王の真の目的が判明する終盤の演出が好評。
      • 初代では単なる悪役だったデデデだが、本作で初めて「本質は善人」として描かれ、現在までも基本的にはその設定で定着している。
  • 小ネタもある。
    • 星ブロックでHALという文字が作られた小部屋(後々知られることとなる「HAL部屋」)や、ゴール時のミニゲームで7→6→5→4→3→2→1と順番に着地すると、1に着地した時に30個の1UPを貰える30UPの裏技も存在。
    • 最後の通常ステージである7-6では…。
      + ネタバレ注意
    • ステージ全体が「前作の全ステージをダイジェストで再現した」という、前作へのリスペクトが溢れたものとなっている。さすがに省略された箇所はあるものの、雰囲気は十分。
      • さらにステージ構成のみならず、「BGMが『グリーングリーンズ』」「敵キャラやステータス表示に至るまで、画面に映るものはカービィを除いて全てモノクロ」という徹底ぶり。
    • これに関連してか、サウンドテストでも前作のタイトルBGMを聞くことができたりもする。

問題点

  • コピー能力を所持している状態でダメージを受けると一発で能力が解除されてしまう。
    • 正確に書くと「ダメージを受けるとコピー能力が『能力星』としてカービィから飛び出してしまい、すっぴんに戻ってしまう」というもの。
      • 能力星を吸い込んで飲み込めばそのコピーを取り戻せるが、飛び出した能力星はカービィから逃げる様に地面や壁を跳ね回り、最終的には消えてしまう。跳ねる速度が速く取り戻すのは困難。
    • 後の続編でも搭載されるペナルティだが、「複数回ダメージを受けたり、特定の強烈な攻撃を受けると解除」「能力星の跳ねる速度が落ちて取り戻しやすくなる」など調整が行われ、コピーを失うリスクも低くなった。
  • スパーク能力について
    • どういう訳かこの能力だけ、攻撃中に処理落ちが発生する。敵のいない場所で使っても多少処理落ちが軽くなる程度。
      • 一度に沢山の火花を出す、という処理が技術的にうまくいかなかったのだろうか?
      • だが、吸い込むとスパークをコピーできる敵「スパーキー」は沢山の火花を出しているが処理落ちはしない。
    • 処理落ちの程度は大した酷さではなく、他のコピー能力でも多少生じることはある。しかしその中にあってスパークは最も重く、いちいち遅くなることに煩わしさを感じてしまうかもしれない。
      • 処理落ちを避けるなら、似たような性能をもつニードルやフリーズで代用はできる。
  • 一部の分ける意味の乏しいコピー能力
    • 「ファイア」と「バーニング」、「アイス」と「フリーズ」など該当。前者はどちらも炎で攻撃、後者はどちらも冷気を放って敵を凍らせる能力で、特徴が被り気味。
      • 技術上統合する事ができなかったのかもしれないが…「ソード」は地上と空中で攻撃手段が違う。
    • そのためか、「スーパーデラックス」以降の作品では、統合されている事が多くなった。
  • 使い道の乏しいコピー能力「ライト」
    • 暗闇を照らすのだが、攻撃に一切使えない上、暗い場所でないと意味をなさない。別にコピー能力にしなくてもよかったのでは?
      • この為、このコピー能力は続編に登場せず、蠟燭に「ファイア」などで点火したりスイッチを押して明るくする仕様に変更された。
  • ボスの1体であるメタナイトがやたら強い。
    • 不規則な動き、ガード性能、そして攻撃スピードの速さに泣かされたプレイヤーは数知れず。コピー能力が低威力かつ近接技しかできないの「ソード」に固定されてしまう*6のも辛い。
    • 実は当たり判定が見た目よりも少し横にずれており、これも強さの一因になっている。ただでも射程の短い剣の戦いになることと、判定ずれの合わせ技が凶悪。
      • もっとも飛び道具等は使ってこないため、攻撃をくらった後の無敵時間の間にやけくそで剣を振るというごり押し戦法をすれば勝てるのだが。
        どうしてもメタナイトの動きについていけないなら、敵の攻撃が届かない程度の空中に一時避難して、メタナイトが1秒ほど動きを止めるジャンプ攻撃の直後に合わせて空中から回転斬り攻撃をするのが安全策。 ただし接触ダメージを避けるために「かすめる程度の回転斬り」をする必要がある。
    • さらにエキストラではこちらの体力が半分の状態で挑まなければならない。当然この体力だとごり押し戦法が使えないため、それなりの腕前を要求される。
  • エキストラモードクリア後に、通常モードをプレイしてラスボスを倒してしまうと、通常モードクリア状態に戻ってしまう。エキストラモードクリアのフラグが消える、といえば分かりやすいか。
  • ナイトメアウィザード戦でミスした後に再開した際、稀にナイトメアウィザードがいなくなった状態になってしまうバグがある
    • この際のフィールドはナイトメアウィザード戦と同じものだがBGMは一切無し。こうなってしまうとリセットするしか方法が無くなる。
      • ボス戦開始直後のボスの体力ゲージ上昇中にボスに接触してミスすると確実に発生する。他の状況での発生条件は不明。
    • 余談になるが、戦闘前にアイスorフリーズ状態になっておいてからオーブ戦をノーダメージ撃破した場合、カービィの体色が青いままウィザード戦になる(ノーダメージ状態を維持したまま撃破できれば、青いままEDになる)。 もっとも、オーブ戦をノーダメージで切り抜けるのは至難の業だが……。

総評

後のカービィ作品でおなじみとなるコピー能力が初導入されていることはもちろん、スイッチ等の隠し要素の導入、メタナイトの初登場、後のダークマター族の位置付けともいえるデデデ大王ではないラスボスが登場する等、カービィシリーズ第2の原点ともいえる作品。
GB版の設計思想をそのままに、様々な要素が追加される等のボリュームアップが図られており、ゲーム単体で見ても十分良作であると言える作品となっている。


余談

  • 第2作であるが、タイトルデモでは「おなじみカービィ」と紹介されている。
  • あまり知られていないが、しゃがみ状態のカービィの喰らい判定は非常に薄くなる。
    • 真横に移動してくるゴルドーや、ホットヘッドが吐き出す飛び道具(真横限定)すらしゃがめば回避できる。
  • コピー能力時のカービィは色以外一見見た目は変わらないように見えるが実はちょっと太っている。数ドットの違いだけなので見分けが付きづらいが左手が隠れている分頬が膨れていることで表現している。
  • 一つだけ、大砲に入るのが異常に難しい場所がある。
    • 星のカービィシリーズで後々定番と化す仕掛けの一種。導火線に火をつけて大砲に着火するまえにカービィが大砲に入ると弾役になって飛ばされるという移動手段。
    • 7-5にあるその大砲は短い導火線が一直線に延びきっているのだが その間の道がカービィが入れる1マス分の段差が所々ある1マス分の狭い通路を素早く駆け抜けねばならない。少しでも操作を誤れば間に合わない程のシビアさ。
    • 入らなくても達成率に影響しないのは唯一の救い。ちなみに大砲で飛ばされることが出来れば、褒美に5個の1UPがある場所に行くことができる。
    • ちなみにクラッシュの能力でも導火線に火を付けることができるので、これを利用すれば多少楽に入ることができる。クラッシュをここまで持ってくるのが大変になるが…
  • 隠しモードのボスラッシュでは体力回復ポイントが存在する。一見救済措置のように思えるが、実は想定外の仕様だったらしく、海外版やリメイクでは削除されている。
    • 回復が行われるのは、LEVEL5のボス撃破後、スターロッドのあるマップに移動するタイミング。この仕様は本編にも存在しており、ボスラッシュのモード作成時に失念していたものと思われる。
    • 次の相手はメタナイトなので、「ベストな状態の相手と正々堂々と戦う」というメタナイトの武人肌を感じ取れたのだが、別にそういうわけではなかったのである。
  • 本作のステージ展開とそのネーミングはとりわけ「凝っている」と評価が高い箇所でもある。
    • 頭文字で韻を踏んでいるステージ名だが、その文字は虹の色から取られており、並び順も虹と同じである。また、ステージ開始時の縁のグラフィックはこの頭文字の色と一致している。
    • ステージの背景の空の色を見てみると、1面は朝であり、6面は夕方、7面は夜、ラスボス戦は夜明け前で、ゲームクリアと共に朝を迎えるという一日の時間軸に基いて構成されているのがわかる。
  • FCの性能を限界まで引き出しているからか、一部の互換機で起動すると音程が滅茶苦茶になる。
  • シリーズで数少ないサントラがリリースされた作品の一つ。
    • BGM以外に「宮田まこ」の歌うボーカルアレンジが多数収録されている豪華仕様で、現在は中古価格がかなり高騰している。
  • 学年誌で連載されていた漫画版(さくま良子・著)をいくつか収録した『星のカービィ おしゃべりCDコミック』付属のCDでは、BGMとして本作の曲が使用されている。
    • 上記の宮田氏が歌った曲の一つ「カクテルをつくろう!」も収録されている。但し、ボーカルは無く、カービィによる朗読のみ。
    • ちなみにこのCDにおけるカービィ役は現在お馴染みの大本眞基子ではなく川田妙子が担当している。
  • 本作のラスボス戦BGMのアレンジ曲が『タッチ!カービィ』の7-3で使われている。
    • 他作品の通常ステージに戦闘BGMを使われているラスボスは、他にはデデデ大王戦のBGMしかない(初代のデデデ戦が『夢の泉DX』の7-2や『Wii』の5-5に、ボウルのメカデデデ戦が『Wii』の6-5の一部に使われている)*7
  • 前作で使用されていたデデデ大王のテーマが起用されていない
    • グラフィック面で容量が限度を迎えていたためか、仕方なく没とされてしまった可能性がある。
    • ちなみに次作ではしっかりと収録されており、『夢の泉デラックス』でも固有のBGMが用意されている。
  • 本作開発当時のHAL研究所は和議(現在の民事再生法)申請を行っている廃業寸前の状態で、本作の制作背景は「人気ゲームである星のカービィの続編を、開発環境にコストをかける必要がないファミコンで製作する」という、言わば「すぐに作ってすぐに売るため」という商業的理由が色濃い。
    • 本作がファミコン最後のミリオンヒットとなったのはまさに狙い通りであり、HAL研究所の再建に大きく貢献したタイトルと言えるだろう。
  • ファミコン40周年を記念して2023年に任天堂が実施した企画『ファミコン国民投票』の5回目のアンケートで「マイクを使う、といえば(どんなファミコンソフトが思い浮かぶか)?」という出題が行われたが、本ソフトが7位となった。
    • このアンケートはおそらくファミコンのIIコンのマイク機能を使うソフトの中で印象に残ったものを問う趣旨と思われ、実際に1位にはたけしの挑戦状が選ばれている。
    • つまり作中の能力の中に『マイク』があるが、IIコンのマイク機能は使わないファミコンソフトがランキングに入ったことになる。もちろん公表された20位までの中でマイク機能を使わないゲームは本作のみ。
      • 出題文の内容は前述の通り「マイクで思い浮かぶファミコンソフトは?」なので間違いとは言えないのだが原作者の桜井政博氏もこの結果に驚いていた。

リメイク・配信

  • Wii・WiiUではバーチャルコンソールで配信されていた。
  • ニンテンドー3DSではVC配信されていないが、立体視化された移植版(3Dクラシックス)がダウンロード販売されている。こちらについては後述。
  • Nintendo Switchでは『ファミリーコンピュータ Nintendo Switch Online』の中の1本として配信されている。これによりFCを持っていない人でもプレイする事ができるようになり、プレイのハードルが下がった。
    • 『ファミコンOnline』では2019年3月13日に全隠し要素解禁済みのセーブデータを収録した特別版『星のカービィ 夢の泉の物語 「エキストラゲーム」バージョン』が配信された。

3Dクラシックス 星のカービィ 夢の泉の物語

【すりーでぃーくらしっくす ほしのかーびぃ ゆめのいずみのものがたり】

対応機種 ニンテンドー3DS(DL配信)
発売元 任天堂
開発元 アリカ
発売日 2012年4月25日
定価 617円(税8%込)
プレイ人数 1人
セーブデータ 3個
レーティング CERO:A(全年齢対象)
判定 良作
ポイント 単純なエミュではなく一から作り直した新作

概要(3Dクラシックス)

内容としてはFC版ほぼそのままだが、バーチャルコンソールのようなベタ移植ではなく、きちんと3DS用ソフトとして新規開発された新作。
3DSの立体視機能に対応しているほか、キーコンフィグの搭載、細かな仕様やバグの調整などといった変更点が多数ある。
もっとも変更点の大半は細かなストレス要素の削減であり、見た目や遊んだ感触としては、ほぼFC版のベタ移植として楽しめるようになっている。

内容面では限りなくFC版そのままであるため、以下には本作独自の変更点のみを記す。


主な変更点・評価点(3Dクラシックス)

ハード機能に対応した追加要素

  • 3D立体視機能への対応
    • FC版の柔らかな映像表現を維持したまま、立体視による3D表現を自然な形で織り込んでいる。
      • どうしても気になるようなら、本体の3Dボリューム調整により切ってしまうことも可能。
    • 本体3Dボリューム調整とは別に、「オプション」項目内の「3D」オプションから、より詳細な立体視のかけ方・背景の明るさの変更もできる。
      • 特に変更しなくとも、デフォルトでちょうどいいくらいの調整はかけられている。
  • キーコンフィグへの対応
    • 「ジャンプ」「すいこむ・はきだす」「のうりょくのかいじょ」の機能を、ABXYLRの6ボタン全てへ任意に割り振れる。
      • 同じ機能を複数のボタンへ重複して割り当てることもできる。デフォルト設定でもAとYボタンには、共に「すいこむ・はきだす」機能が当てられている。
      • 「なし」に設定し、ボタン誤爆を防ぐことも可能。デフォルト状態でも、LRボタンには機能が割り振られておらず、操作ミスの誘発を防ぐようになっている。
      • デフォルト設定では、能力の解除がXボタンに割り振られている。参ドロやUSDXでもXボタンでコピー解除だったからであろう。
      • セレクトボタンの機能はスタートボタンと同様の、ポーズ兼・操作ヒント表示に変更された。セレクト&スタートボタンの機能は変更できない。これは3DSのセレクトボタンはDSソフトのためのものであり、3DSソフトでは個別の機能を割り振れない、という事情があるためである。
    • スライドパッドと十字ボタン、どちらでカービィの移動操作をするかも設定できる。デフォルトでは両方が使用可能。
      • これにより、十字ボタンのみで操作したいとき、スライドパッドへ指が当たって誤動作する問題を防ぐといったことができる。
      • 配置や入力系の性質上、スライドパッド操作で十字ボタンが誤爆するというケースはまずないと思われるが、「十字ボタン無効」のモードも用意されているため保険にはなる。
    • 3DSのバーチャルコンソールではキーコンフィグができないので、下手にVC配信されるより、本作のほうが圧倒的に快適だったことになる。

その他『3Dクラシックス版』における変更点
大小関わらず100個以上もの調整が加えられており、とても全部書き切れたものではない。ここでは変更点の一部を抜粋する。

  • OPの絵描き歌と操作デモがストーリーデモの後に挿入し直された
  • スパーク能力をはじめとした多数の処理落ち要素の解消
  • 画面下の落下死判定がシビアになった(1-1の隠し扉にギリギリ入れる程の調整)
  • ステージ中の扉のグラフィックが黒塗りから、光が差し込んでいるようなグラデーションに差し変わった
  • メタナイトの当たり判定修正。他にも普通のプレイでは気付かないようなフレーム・ドット単位のずれの修正
  • 7-5の気流エリアで背景の流星群が風の向きにあわせて流れるようになった
  • 「UFO能力をステージ外に持ち出す」「マイク能力の使用回数を0以下にしてオーバーフローさせる」などのバグ的な裏技の削除

問題点(3Dクラシックス)

  • 30UPの裏技が搭載されていない。開発サイドがこの裏技を見落としていたため。
    • ディレクターの三原氏は「(普通の移植と異なるために)技術面の問題で修正不可能に近い」との見解を出しており、搭載のための修正は行われていない。
    • ただし、30UPは当時から裏技として一般的に広く知れ渡っていたとは言い難いほどシビアな隠し要素であった*8。知名度が低すぎたがゆえの悲劇である。

総評(3DSクラシックス)

ファミコン版の感動をほとんどそのまま、3DS上で楽しめる。
実際は多くの部分に修正が加えられていたり、細かな拡張機能が追加されたりしているが、それらによる違和感を覚えさせることもあまりない。
ある意味で本作は、より理想的な形で再現された、決定版の「夢の泉」ともいえる。


余談(3Dクラシックス)

開発はアリカが担当している。
実は単純なソフトエミュレートではなく、原作を目コピ*9で作り直した作品であり、一見原作に調整を加えたもののように見えても実はこのように違いがあるのである。
三原氏によれば、移植にあたってハル研究所の監修に加え『ケツイ デスレーベル』や『怒首領蜂大往生 (PS2)』のスタッフが仕様再現担当として携わっているとのこと。

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最終更新:2024年01月25日 23:18

*1 高速で能力が入れ替わるルーレットを自分で止める、もしくは時間経過で勝手に止まる方式。スタート、およびストップの位置は吸い込んだ敵によって変わる

*2 本作の時点で25種類。ただし、一発系能力やラスボス専用能力も含む

*3 手に武器を持つ「ソード」「パラソル」「ハンマー」は水中でも使える、「ファイア」「バーニング」などの能力では導火線に火をつけられる、「ハンマー」「ストーン」などの能力では杭を打ったり他の能力で壊せないブロックを壊したりできる

*4 感電と炎上は、床に着地しない限りダメージアクションが続くため、空中でダメージを受けた場合、底なし穴の地形に落下してそのままミスに繋がることもあるため注意が必要。

*5 地面に叩きつけるなどのプロレス技をかけるバグジー、遠心力を利用して壁へ勢いよく放り投げるローリングタートル、短時間かじり続けるファイアーライオンなど。いずれの敵はカービィを捕まえてから攻撃を発動する。

*6 この時に限りダメージを受けても解除されない

*7 クリアに必須ではないEXステージを含めれば『Wii』のラスボス戦のBGMが『ロボプラ』で使用されている

*8 オリジナル版のディレクターである桜井政博氏が本移植版を遊んでいる時にこの裏技についてツイートしたことで、ようやく抜けが発覚したほどの超マニアックな仕様である。

*9 要は原作を参考にしつつ同じものを一から3DS向けに作り直したということ