ここでは『餓狼伝説 宿命の闘い』(判定なし)及び、その移植版である、SFC版(クソゲー/劣化)、MD版(判定なし)について紹介する。
なお、文中のコマンド表記はテンキー表記(数字)で表現する。



餓狼伝説 宿命の闘い

【がろうでんせつ しゅくめいのたたかい】

ジャンル 対戦格闘アクション
対応機種 アーケード(MVS/業務用ネオジオ)
発売・開発元 SNK
稼動開始日 1991年11月25日
レーティング CERO:B(12才以上対象)
配信 バーチャルコンソール
【Wii】2007年9月18日/926ポイント
アーケードアーカイブス
【PS4】2016年12月15日/823円(税8%込)
【One】2017年3月23日/823円(税8%込)
【Switch】2017年4月20日/823円(税8%込)
判定 なし
ポイント メーカーの顔となる人気タイトル初代作
なおかつ、非「対人戦」仕様の異色作
「んんんんんー、許るさーん!!
餓狼伝説シリーズ

概要

同年に大ブームだったカプコンの『ストリートファイターII』の約半年後に登場したネオジオ初の記念すべき対戦格闘ゲーム。
かつて初代『ストリートファイター』(ストI)を作ったスタッフが製作に大きく関わったため、『ストII』というよりも『ストI』に近い仕上がりになっている。
この情報は近年までほとんど知られる事は無かったが、餓狼シリーズとストリートファイターシリーズは異母兄弟であり、ストIIと共に本作は格ゲーの歴史を語る上で欠かせない作品である。


特徴

  • 本作は後の続編や『ストII』等と異なり、対人戦を主眼に置いていない時代の「格闘アクションゲーム」となっている。
  • 選べるキャラはテリー・ボガード、アンディ・ボガード、ジョー・ヒガシの三人。
    • 対戦相手となるキャラは8人いるが、最初に戦う相手は4人の中から選び、以後は決められた順に次の相手と戦っていくという形式になる。以降のシリーズでも最初の相手だけは選べる。
  • 乱入時には乱入者と協力してCPUを倒し、その後に対戦するという形式になっていた(移植機種ではこの要素は割愛されている事が多い)。
    • 協力関係にある為か、味方同士の打撃は基本的にヒットしないが、飛び道具はヒットしてしまう。
    • なお、ラスボスのギース・ハワード戦は乱入不可。対戦前デモで「では1対1の殺し合いでケリをつけよう」と乱入不可である事を仄めかす台詞がある。
  • 2ラインは存在していたものの、任意でライン移動ができるのは敵側のみで、プレイヤー側は一切できない。
    • お互いが別ラインにいる状態で、こちら側がライン攻撃する事は可能。
  • 本作では必殺技のコマンドは一種類しかインストカードに書かれておらず、ステージ間に挟まるボーナスステージの後に一つずつコマンドを教えてもらえるというシステムをとっていた。そもそもこのインストを設置している店がそこまで多く無かった。

評価点

  • シンプルさ。
    • 難易度の低さも相俟ってとっつきやすい。
    • 対人戦は微妙であるが、純粋なアクションゲームとしてはよくできている。パターンを見切ることで強敵を倒していく喜びは大きいものがあった。
  • 敵キャラクターやステージ演出などが個性的で見ていて飽きない。
    • 例を挙げれば、天井からぶら下がり足技で戦うカポエラ使いリチャード・マイヤ、亀仙人の如く服を破いてマッチョになったものの元の大きさに戻ると衣服も戻るタン・フー・ルー、ある程度ダメージを与えるとスーパードリンクを飲んでパワーアップするホア・ジャイ(中ボスの一番手)、棒を手放すとブルブル震えるだけになる棒術使いビリー・カーン(最後の中ボス)*1など。
    • また、ステージによっては、奥ラインがダメージゾーンとなっている場合がある(マイケル・マックス等のステージ)。
  • 当時としては破格のグラフィックやサウンドの美麗さを誇り、プレイヤー達の度肝を抜いた。
    • 特にギース・ハワードステージのBGMである「ギースにキッス」は大好評を博し、『餓狼SP』、『龍虎の拳2』などの後の格ゲーにて再度アレンジ収録がされる事となる。
      • 本作のサウンドチーム「新世界楽曲雑技団」は処女作である本作で早くも注目されるようになった。
  • 餓狼伝説の世界観や舞台設定などは既にこの時点で大方完成されており、それがこのシリーズの人気に繋がったといっても過言ではないだろう。
    • 永遠のSNKヒーローであるテリー・ボガード、格ゲー界屈指の悪のカリスマであるギース・ハワードなど、今でも現役活動している人気キャラクターの初出演作であり、彼らを生み出した本作の意義は極めて大きい。

問題点

  • 初期のゲームゆえにゲームバランスは大味。
    • 必殺技がハイリスク・ハイリターンな存在で、通常技の比にならない程凶悪な性能。
      • テリーのパワーウェイブが自分の身長ぐらいの高さだったり、アンディの斬影拳が連続で出しているだけで相手は何もできないチート性能だったり。しかしその分コマンドは出づらく、本当の意味での「必殺技」を表していたといえる*2
      • CPUは必殺技に対してはガードが甘い為、必殺技を出せるようになるとスイスイ勝ち進めていける。
        起き上がり際にテリーのパワーウェイブ、バーンナックルの連続コンボを繰り出すだけで、体力を半分以上持っていけるほど
      • 飛翔拳などは出すまで時間がかかるが、上下幅が異常に大きく、3発当てればKOという威力の高いものだった。
    • 特に体の大きいライデンに空破弾・タイガーキックをひきつけてから放つと一度に3ヒットして即死する。
      • タイガーキックは転んだ相手に密着して2、3ヒットさせ即死させる事も可能。
    • この頃の餓狼はまだ連続技という概念が存在しなかったので、無理に通常技で攻撃すると敵から必殺技の洗礼を受けてフルボッコにされるのが当たり前な状況であった。
      • 特にスーパードリンクを飲んだ後のホア・ジャイが顕著。ドラゴンキックの乱発(俗称:ドラゴンダンス)には、多くのプレイヤーが苦しめられた。
  • 一方で弱い点はとことん弱い
    • 必殺技に恵まれているアンディだが、「投げ間合いが短い」と言う欠点がある。
      • 通常の敵キャラクターには問題ないのだが、ラスボスのギースには当身投げがあり、必殺技(通常技)や通常のジャンプで接触するだけで問答無用で投げられてしまう(飛び道具の撃ち合いでは勝負にならない)。従って、「ジャンプ(ボタンは押さない)→着地投げ」と言う戦法を取らざるを得ないので、この間合いの短さに多くのアンディ使いが泣いた。
      • 一応ギースもしばらくは何もしてこないことが多いのだが、運が悪いとアッパーや回し蹴りを出してきて食らってしまう。なるべくすぐに投げたほうがパターンに嵌め易いのは言うまでもないので、ジョーのほうが楽だった。
  • 選べるキャラクターがテリー・ボガード、アンディ・ボガード、ジョー・ヒガシの3人しかいない。
    • やはり格ゲー初期のゲームだけあって同キャラ対戦は不可能。対戦ですら敵キャラクター達を一切使用できなかった。
      • 『ストII』ヒット後の発売のため格闘対戦に分類されているが、実際は格闘「アクション」として開発されているので仕方ない面もあるが。
  • ボタン数の割に通常技の概念がかなり複雑。
    • 本作は攻撃の強弱の概念がなく、Aがパンチ、Bがキック、レバー入れCが投げとなっている(Dボタンは不使用)。
    • しかし、パンチとキックには相手との距離に応じて近距離・中距離・遠距離の3種類が存在し、状況によって出せる技が変化する。
    • さらにこれら(近距離と中距離はパンチ限定)をヒットさせた後にもう一度同じ技を出そうとすると別の技に変化するというシステムがある。
      • 遠距離攻撃の変化技は相手を別ラインに飛ばせる「ライン飛ばし攻撃」となるのだが、距離の条件等も関係あるため意図的に使用するのは難しい。
      • また、変化条件には「各技それぞれゲーム開始時1回目のヒットは条件対象外」「ガードや空振りはノーカウント」「遠距離攻撃はニュートラルポーズの違いによりそれぞれ別カウント」と言った制約があり、狙って出すのがさらに困難。
      • 上記のようにシステムかなりややこしいため、詳細は初代のシステム解説をしている攻略サイト等を参照。
    • なおCPU側はこれらの条件を一切無視して単発でライン飛ばし攻撃を繰り出してきたりするので理不尽である。
  • レバー認識が一部の技で厳しい。
    • 例えば、ライジングタックルなどの「下溜め技」は、真上のみ有効。一応ジャンプが出てしまっても数フレーム以内なら間に合う。
  • クラックシュートのコマンドの設定ミス。
    • 本来のコマンドは「2147+B」のはずなのだが、何故かこの通りに入力しても技が出ない。
      • 実は技の最初に入れる「2(真下)」のレバーが内部的に「2(真下)と1(左斜下)どちらでも良い」となっており、本来ならコマンド入力を助けるための仕様だったと思われるのだが、これが悪さをして2から1に続けて入れても「同じ向き」と認識されてしまい、そのまま入れると「147+B」扱いと判定されてコマンドが不成立となってしまう。
      • そのため、実際には「2ニュートラル147+B」と入力する必要があり、非常に入力しづらい。
      • あるいは真空竜巻旋風脚のように「2142147+B」と入力し、1回目で2(真下)、2回目で1(左斜下)を強引に認識させて力技で突破することも可能。
    • 一応、2(真下)や1(左斜下)を入れている最中にボタンを押すことで、最初の1が「2(真下)」、次の1が「1(左斜下)」ときちんと認識され、例えば「2・B・147+B」と入力すればしゃがみB空振りからのクラックシュートを出せる。
      • なお、この際のボタンは何でも構わないため、投げボタンのCで代用して「2・C・147+B」とすれば、本作にはしゃがみ投げが存在しないため余計な動作が出ずにクラックを直接出すことも可能。(参考動画
  • ギースの当て身投げが鬼性能
    • 実は現在よく知られた「相手の攻撃判定を投げる」という仕様の当て身投げの他にもう一つ「相手の喰らい判定を投げる」コマンド投げが存在し、これらはモーションが全く同じ。
      • プレイヤーからすれば全く区別はつかない為、こちらが起き上がり時に当て身モーション状態で待っていたり、上りジャンプで攻撃し攻撃が引っ込んでいる状態やパワーウェイブを近距離で出しても投げてしまう理不尽さ。
  • 敵キャラに有利でしか無いライン移動システム
    • 任意にライン移動を使えるのはCPUのみで、こちらからライン移動を仕掛けられないので、敵が逃げるのを追いかけるだけだったり、ラインふっ飛ばし攻撃で一方的にダメージを受ける等、プレイヤーに全くと言っていいほど恩恵がなく、ゲームテンポを損ねるだけのものになっていた。
  • バグ
    • ジョー・ヒガシは、起き上がりに必殺技を重ねられると何故かガードできない現象が存在する。
      • CPU戦でも起き上がりに必殺技を重ねるとガードしないで食らってくれるのだが、これもジョーと同じ現象だと思われる。
      • アンディにも、同様の起き上がりガード不能現象あり。ホア・ジャイ戦で確認
    • アンディとジョー・ヒガシは前ジャンプとバックジャンプ時(垂直Jは不可)、ジャンプ中必殺技入力でジャンプキャンセルができる。キャンセルができるのは空ジャンプのみで、ジャンプ中通常技を出してしまうとキャンセル不可。CPU戦で必殺技で突っ込んで行く際に多少は役に立つ。
      • アンディ、ジョー共に昇龍弾とタイガーキックという、斜め上要素止めコマンドの必殺技を持つ為、このジャンプキャンセルを使えば出すのは容易になるが、前方突進系か飛び道具でないと利用価値は薄い。
  • 飛び道具の射程
    • 主人公3人の飛び道具の射程に制限があり、両者が端と端にいる場合は、手前で消えてしまう。
    • 一方でCPUの飛び道具は射程が無限で端から端まで届く。
      • なお、これはアニメ『バトルファイターズ餓狼伝説(1)』でも再現されており、主人公らの射程外からギースが烈風拳を放ち、「私に射程は無い(意訳)」と嘲笑っていた。
  • ボーナスゲームが連打を要求しすぎる。
    • 腕相撲に勝つことで得点が入るのだが最初と2回目はともかく、最後の相手はボタンを壊すレベルで連打しても勝つのが難しい。あまりの無理ゲーっぷりにスコアラー以外はスルーすることも少なくなかった。後半でも速い連打で勝てるわけはなく、適度な連射速度で勝てるという不思議仕様。
  • 敵キャラクターの戦闘終了後の台詞に汎用のものがある。
    • そのため、老人であるはずのタン・フー・ルーが「優勝はのものだ!!」と言い出す、ギースの右腕であるはずのビリーが「ギースは10年前、この大会の優勝者ジェフ・ボガードを暗殺させたらしい。」と教えるなど、違和感が強い組み合わせになったりする。
  • 謎の特殊技が実装されている。
    • テリーやジョーにはホア・ジャイが使うラインふっ飛ばしと同モーション性能のライジングアッパーがあるが、出す方法が上記のようにかなり面倒。
    • 特定の攻撃を立ちガードしようとすると、自動で無敵の「避け技」が発生する。リチャード戦やマックス戦等で立ちガードを延々続けると発生しやすい。
      • 実は特定の攻撃に対して発動するように設定されているのだが、その基準がキャラクターの持ち技毎にバラバラであり判別が難しく、実用的に使うのは難しい。一応、相手の技の空振りのスキにこちらが通常技で反撃するという使い方はある。

総評

あくまで本作は「CPU戦のストーリーを楽しみつつ、必殺技を出して敵を粉砕するゲーム」である。
対人戦要素もあり本作独自の面白さもあるが、対人戦は全くといっていい程盛り上がらなかった。
とはいえ、同時期に乱発された格闘ゲームの中でも遥かに遊べる出来であったことや、MVS筐体のレンタル制のおかげでゲーセンはもちろんの事、駄菓子屋などでも多く普及していた影響も相まって大ヒット。MVS筐体設置店のさらなる増加にも貢献した。
本作以前まではヒット作と呼べる作品が今ひとつ無く、知名度自体も低かったネオジオの快進撃が始まるのである。


その後の展開

  • 本作の人気を受けて次々に続編が稼働し、家庭用機にも移植されていった。
    • 同キャラ対戦に関しては次のSNK格ゲー新作である『龍虎の拳』以降のすべての作品にて搭載される事となった。
    • また、敵キャラクターに関しては本作の家庭用移植の一部では使用可能となっている(下のSFC版、MD版など)。
    • 続編の『餓狼伝説2』からはプレイヤーの任意でライン移動、攻撃する動作が加わっている。

家庭用移植

  • ネオジオROM版(1991年12月1日発売、SNK)
    • オープニングデモに変更が加えられている以外はMVS版と同等。
    • 2007年9月18日からネオジオROM版がWiiのバーチャルコンソールにて配信されている。要900Wiiポイント。
    • 2010年12月22日からプレイステーション・ポータブル/同3のネオジオステーションにもネオジオROM版基準が配信されている、要700円(PSP)/要900円(PS3)。
  • スーパーファミコン版(1992年11月27日発売、タカラ)
    • ファンを怒らせた程の超絶劣化移植として忌み嫌われている。詳しくは下記。
  • メガドライブ版(1993年4月23日発売、セガ・エンタープライゼス)
    • ホア・ジャイとビリー・カーンが残念ながらリストラされてしまった反面、任意ライン移動の追加など中身の移植度・独自アレンジは頑張っている。詳しくは下記。
  • X68000版(1993年5月21日、魔法(旧:ホームデータ))
    • ネオジオ版をベースに移植しているが同キャラ対戦が可能になり、やや餓狼2ライクにアレンジが効いている良移植。ちなみにホームデータが社名を「魔法株式会社」へ変更後、最初に発売したソフトでもある。
    • かつて『霊界導士 Chinese Exorcist』という奇天烈な格ゲーを生み出した会社が、これほどまでに完成度の高い移植を成し遂げたことに驚いたファンも多いだろう。
  • ネオジオCD版(1994年9月9日発売、SNK)
    • 同ハード共通の問題として起動時のロードがやたらと長いが、まだ100メガ未満のゲームなだけに、起動してしまえばあまり気にならない程度に抑えられている。
    • ネオジオCD版の音源はMVS/ROM版の物と同様だが、収録楽曲にアレンジを加えたイメージアルバムも発売されている。
  • アケアカNEOGEO版(PS4:2016年12月15日、One:2017年3月23日、Switch:2017年4月20日、PC:2017年12月15日)
    • MVS版の移植。
  • 他にもカップリング移植としてプレイステーション2の『餓狼伝説 バトルアーカイブズ1』、及びプレイステーション・ポータブルの『SNK Arcade Classics Vol.1』にも収録されている。
    • なお、『バトルアーカイブズ1』収録版では原作のネオジオCD版のBGMがROM版と同一であった為、新規アレンジver.のBGMが追加されているが、以前発売されていたイメージアルバム版とは全く異なる物になっている為賛否が分かれてしまっている。

ネタ

  • CPU戦のデモ画面では、プレイヤーが敵を打ち破っていくたびに、ボスであるギース・ハワードは精神的に追い詰められていく。
    最初は大物らしく余裕のある態度を見せたりするものだが、勝ち抜くにつれてだんだんと慌ただしくなっていく、このギースはあまりにも反応が素直なので「今見ると笑ってしまう」というプレイヤーも多い。
    • そして、とうとう焦りが頂点に達したギースは怒り狂うことになるのだが、その際の台詞が「んんんんんー、許るさーん!! 私の遊びの邪魔をしおって!!」という絶妙に笑いを誘うものとなっている。後年のほとんどの家庭用移植では送り仮名が「許さーん!!」に修正されたが、PS2のバトルアーカイブズ1やWiiのバーチャルコンソール版などは原作を完全に再現しているため元のままである。
      • 公式でもこの「許るさーん!!」の誤植はネタとして認めているらしく、後に公式からLINEスタンプでこのシーンを再現した字幕付きのものが配信されたり、公式グッズで先述した台詞のフル版の判子(スタンプ)が発売された。勿論?どちらも未修正、「許るさーん!!」のままである。
  • ビリー戦後~ギース戦前デモ内で大会優勝の場面での主人公の台詞は3人とも共通。ギースとの因縁がなく*3単純に腕試しで参加したジョーはともかく、ギースへの仇討ち目的で参加したテリーとアンディが「ながかった戦いも、これで終わったんだぁ!!」と本来の目的を忘れて(るようにしか見えない)はしゃぐ様は笑いを誘うポイントである。
  • エンディングは一部のメッセージ以外は基本的に共通だが、ギースの死亡日はネオジオの内蔵時計と連動して変わるというギミックがある。
    • 続編を期待させるものであり、予告通りに『餓狼伝説2』が発売された。
  • テリーの上着に袖がある。非公式設定だが、「本作のラストバトルでギースに破り取られ、以後は袖なしの状態になった」、とされている。また、『2』とは違い、「オッケー!」の勝利ポーズでは、プレイヤーに顔(横顔)を見せている(体自体、プレイヤーに正対している)。
  • 本作のエンディングでギースはビルから落ちて死亡するが、「彼を超える悪役が出来なかった」などの理由でゲームでは「~スペシャル」、ストーリー上でも『3』で復活した。
    • その時の言い訳が「ビルから落ち地表に激突する寸前に烈風拳を撃ち致命傷を逃れた。そしてこれがのちの疾風拳となった」というものであった。なお『2』で出てこなかった上に部下のビリー・カーンが敵対関係にあるクラウザーの下で働いていたのは「体を癒しており、クラウザーの動向を探るためあえてビリーを潜りこませた」というものだった。
    • なおテリーとアンディだけでなく、上記の通りギース戦で実際に戦うまでに因縁がないはずのジョーからも勝利後にビルから蹴り落とされる。哀れ。
      • 深い因縁がないのにビルから落とすのは流石に無理があると判断されたのか、後の『リアルバウト餓狼伝説』のジョーのエンディングではボガード兄弟以外のエンディング(ギースがビルから落ちずにその場で倒れる)に準じた内容になった。
    • ちなみにギース戦で敗北した場合でもコンティニュー画面は変化し、プレイヤーキャラクターが飛び蹴りを喰らってビルから叩き落とされる。コンティニューカウントが3以下になると「うおおおお!!」というKOボイスと共に落下が開始され、姿が小さくなってゆく。絶望感と悔しさを煽る、初代だけの演出となっている。
    • なお、この時にコンティニューすると、再度キャラ選択画面になるが、選択後のギースの台詞が「きさまぁー!!絶対に生かしては帰さんぞ!!」と激昂。おそらく叩き落とされたテリー達がビルから落ち地表に激突する寸前にギースのように飛び道具を撃ち致命傷を逃れて、再度ビルを登って来たのだろう。
  • 今作ではテリーやアンディがタン・フー・ルーに対して他の格闘家と同じように勝ち誇るが、後述のアニメでタンが彼らの師匠格であると後付け設定され、次の共演作である『餓狼伝説スペシャル』では「タン先生! ありがとうございました!」という専用のセリフになった。
  • 2P対戦時に流れるBGM「ちょっと小意気な喧嘩野郎」はSNKが1989年にアーケードで出したベルトフロア型の格闘アクションゲーム、「ストリートスマート」の1面及び8面の曲のアレンジ。なお、ストリートスマートのBGMも本作の「ギースにキッス」と同様、田中敬一氏が手掛けている。
  • ジャンプ中に必殺技(テリーのバーンナックルなど)のコマンドを入力すると、ジャンプモーションがキャンセルされ、突如地面にワープしたかのように必殺技を出せるバグが存在した。
  • 『2』から全キャラ導入される無敵バックステップと挑発は、初代で既にM.マックスとギースにだけ導入されていた。格ゲーで挑発の元祖は龍虎の拳ではない。
  • タン・フー・ルーを変身させない方法
    • 本来タン・フー・ルーはある程度ダメージを与えると鋼霊身で巨大化し攻撃パターンが変化し更にダメージを与えると元に戻るのだが、最初に投げを決めテリーはクラックシュート、アンディは昇龍弾、ジョーはタイガーキックで攻撃すると巨大化モーション後に何もできず直ぐに元に戻る。気絶した場合は変身モーションなしとなる。
    • これは、タンの変身条件が体力の一定範囲にある状態のみとなっているため、それを超えるダメージを一気に与えると条件の体力ゾーンを過ぎてしまうためである。イメージとしては後の『餓狼MOW』でT.O.P.システムをゲージ中間に設定した感じに近い。
    • タンと違いほぼ気絶時にしか成功しないが、ホア・ジャイも同様の方法で変身(というより強化)を防ぐ事が可能。

余談

  • その人気を反映してか、コミックボンボンでのコミカライズやTVアニメ化など、メディアミックスも行われた。
  • 海外版タイトルは『Fatal Fury: King of Fighters』で、直訳すると「致命的な怒り」になるが、意味合いは「宿命の闘い」である。
    • 海外AC版では一部の必殺技コマンドが他のコマンドに変更・入替されている。
    • 後の家庭用移植では全て日本版と同じコマンドに統一されている。
+ 参考:海外AC版コマンド
キャラクター名 技名 コマンド
日本版 海外版
テリー クラックシュート 2147+K 1タメ9+K
アンディ 斬影拳 16+P 46+P
昇龍弾 2369+P 2タメ8+P
飛翔拳 214+P 236+P
ジョー スラッシュキック 19+K 214+K
タイガーキック 2369+K 1タメ9+K
ハリケーンアッパー 41236+P 236+P
  • 本作のストーリーをベースに「バトルファイターズ餓狼伝説」という名前でアニメ化がされた。オリジナルの展開ではあるものの
    ジェフの暗殺や、タン・フー・ルーがテリーやアンディの師匠として登場するといった、後のシリーズでおなじみとなる設定が描かれている。
    また、アニメの設定が本編に逆輸入される事も多く*4シリーズとの関係は深い。
    余談だが、アニメにおけるジョー・ヒガシの声は格闘家の佐竹雅昭氏が担当しており、その演技がある意味伝説となったが、続編となった『2』のアニメでは檜山修之氏に変更され、同じくアニメ版でアンディを担当した難波圭一氏と共に『3』以降の本編に逆輸入された。
    • また、後作の『餓狼伝説 WILD AMBITION』にはジェフがこのアニメとほぼ同じ姿で登場しており、アンディのようなロン毛で美形な若ギースも『龍虎の拳2』などに影響を与えたとかなんとか。
  • アンディの必殺技「昇龍弾」と「空破弾」の名称の混乱
    • 初代アーケード版ではアンディの「斬影拳」以外は隠し技扱いで、「両手を拡げて回転しながら上昇する対空技」と「山なりに突進してドロップキックを放つ技」はコマンド以外の名称が不明だった。
    • そして、当時のアーケード雑誌『ゲーメスト』にてコマンドリストが初公開された際、対空技が「空破弾」の、突進技が「昇龍弾」の名称で紹介されていた。
    • しかし、家庭用ネオジオ版ではこれらが逆となり、対空技が「昇龍弾」、突進技が「空破弾」となった。
    • 後述のスーパーファミコン移植版の説明書や各攻略本では再び前者の表記となっていたが、メガドライブ版で後者に再修正された。
    • 続編『2』以降は家庭用ネオジオ版・メガドライブ版と同じく対空技が「昇龍弾」、突進技が「空破弾」に統一されている。
    • 当初雑誌で書かれたものやSFC版の表記が単なる誤植・間違いだったのかは定かではないが、現在「空破弾」とされる突進技のモーションは見方によっては「昇龍」を模したもののようにも見えるし、「昇龍弾」とされる技は対空技であるため「空破」という名前と合致していると言えなくもないため、この入れ替わりはシリーズのミステリーの一つとなっている。
    • …と長らく思われていたのだが、上記の『ゲーメスト』での初公開についてとあるユーザーによって検証が行われた。(検証動画
      • 実はよく見ると、該当の『ゲーメスト』の記事では技名だけでなくコマンドまで入れ替わっている上に、テリーを「アンディの弟」、アンディを「テリーの兄」として紹介する等、派手に誤植していたことが判明。
        このため、おそらく『ゲーメスト』が単に写真を取り違えて掲載したのが発端であり、ネオジオ版で一旦公式に訂正されたが、スーパーファミコン版で再び誤植してしまった…というのが真相と思われる。
  • 開発を手掛けたのは現・株式会社ディンプス社長である西山隆志氏。当初は 「『ストII』のパクリだ!」 と言われていたが、 初代ストリートファイターを手掛けたのは彼ら なので、戸惑いもあったようだ。ただ 「私がカプコンに残ってスト2を開発していたら、餓狼伝説みたいなゲームになっていたかもしれない。」 と、インタビューで話している。
  • 稼働して間もなくゲーメストの読者投稿で、「餓狼とストIIはハッとするほど似ている箇所が多く、いかがなものか」という感じの真剣なお怒り投稿文が活字で載った事がある。(編集部側からの上記のような解説は無かった)
  • ゲームに限らずだが、何かしら大ヒット作が産まれると、他社の後発の類似作の一つめはパクりだと批判されるものである。しかし、他社から続々とフォロワーが出てくれば「そういうジャンル」になるのだ。*5

餓狼伝説 宿命の闘い (SFC版)

【がろうでんせつ しゅくめいのたたかい】

ジャンル 対戦格闘アクション
対応機種 スーパーファミコン
発売元 タカラ
開発元 ノバ
発売日 1992年11月27日
定価 9,800円
判定 クソゲー
劣化ゲー
ポイント 通称『タカラ餓狼
全てにおいて大幅改悪

概要(SFC)

同名のアーケード及びネオジオ用ゲームの移植作、なのだが……


特徴・変更点(SFC)

  • 敵のAIがアーケード版と違う。
    • また、ギースの性能が大幅に下がっている。それでも強いが。
    • 他の部分も違いすぎるため、アーケード版とは全く違うセオリーで戦うことが必要。
      • CPUは弱く、飛び道具をほぼノーガードで食らったり、連射するだけで削り殺されるまでガードし続けるといったマヌケな点がみられる。
      • 一方でキャラによっては特定のアクションに対して超反応を持つ場合もあり、飛び道具を放つとすかさずトルネードアッパーで応酬してくるマイケル等、アーケード版を彷彿とさせる動きを見せる事はある。
  • 2人協力モード廃止。
    • いわゆるストーリーモードからはプレイヤーの乱入そのものが削られてソロプレイ専用になっている。
      • 2人協力モードに関しては原作でもあまり人気のある要素ではなく移植の際に削除される事も多いため、批判する声はあまり聞かれなかった。
  • ラインシステム完全廃止。
    • こちらも敵のみ有利だったため批判はあまり無い。
  • 対戦モードで敵が使用可能になり、SFC版オリジナルの技もいくつか追加されている。
    • 主人公達に技の追加はなく、使用可能になった敵キャラ達にいくつかの技が追加されたという物。
    • 後述のMD版とは別内容で、また、アーケード版の雰囲気を損なわない為か、CPUはほとんど使用しない。
    • 一部は後に本家にも逆輸入された。
      • なお、追加技ではないがギースの当て身投げは正真正銘のコマンド投げになっており、相手が棒立ち状態でも投げることが可能(投げ技としては当然だが)になった。
  • ボーナスゲームが「腕相撲マシーンとの勝負」から、「砂浜で左右から飛んでくるタイヤを打ち返すゲーム」に変更。
    • 腕相撲はかなりのボタン連打を要求してくるものであったため、そこだけ考えればマシとも言える。
    • タイヤはある程度ランダムの高さにバウンドするが、高さに関係なくタイミングよく蹴りを当てるだけでいいのでボーナスゲームとしての難易度は低い。
    • …が、タイヤは攻撃しても0点なので全く意味は無く、パーフェクトクリアボーナスの1000点というパワーウェーブ一回分のスコアを得る為に20秒もかけて挑戦するものになっており、非常に時間の無駄に感じてしまう。
      • アーケード版でも1回目のクリアボーナスは1000点だが、タイムボーナスなどが加わるので数千点は貰えた。もっとも本作のスコアはほとんど意味のない物ではあるが…
      • アーケード版からスコアランキングが削除されたのでなおさらハイスコアを目指す意義が薄くなってしまった。*6
      • ちなみにタイヤを1個打ちもらしても何故かパーフェクトになるが、2個以上打ち漏らすとノーボーナス。どちらにせよあまり意味のない要素ではある。
      • ついでに対戦時のパーフェクトボーナスも1000点に下げられている*7
  • 誤字であった「んんんんんー、許さーん!」*8は修正された。
    • ネタ人気もあったが、これは仕方ないだろう。
    • なお、同じく誤字に上述した「昇龍弾」と「空破弾」の入れ替わりがあるが、以下の解説では便宜上ネオジオ版に準拠した技名の方で解説するものとする。

評価点(SFC)

  • グラフィックだけならアーケード/ネオジオ版をかなり再現している。
    • ただしアーケードよりもアニメーションパターンが少なく、キャラクターの大きさもやや小さくなってしまっている。
      • わかりやすいのはテリーのバーンナックルのバンザイモーションがカットされている。下記メガドライブ版でもカットされているため、ACの移植版が充実するまで初代のバーンナックルはバンザイしないと思われる事もあった。
    • 後述するMD版では削除された最初の4人の選択画面や、コンティニュー画面も移植されている。
      • しかし些細な点ではあるが、リチャードとダックの位置が入れ替わっている為、デフォルトの状態ではダックが最初の対戦相手になってしまう。
  • 後述の問題点があるとはいえ、対人戦限定で、AC版では使えなかった敵キャラクターが使用できること*9
    • 追加されたビリー・カーンの「集点連破棍」とホア・ジャイの「ドラゴンバックブリーカー」は、後にネオジオ本編やKOFシリーズで採用されており、見逃せない点でもある。
    • また、AC版では不可能だった主人公達の同キャラ対戦も可能となった。
  • 1ライン制への変更。
    • 『餓狼1』時点ではライン移動は上記のようにシステム自体が蛇足も同然だったので、当時としては好意的に受け入れられた。
      • 『ゲーメスト』ですら「削除されて万々歳」とまで評価している。
  • オリジナルのエンディングがついた
    • 難易度LEVEL4以上でクリアする事で簡素なものではあるが、キャラクターごとの専用エンディングが見られるようになった。
      • さらにLEVELを最大にしてクリアすると、アーケード版のワンコインクリアのように登場キャラクターが必殺技を次々に繰り出す豪華なエンディングも見られる。

問題点(SFC)

操作性・ゲームバランスの問題

  • コマンド入力判定がところどころおかしい(以下、プレイヤー右向き・テンキー・P/K表記)。
    • 溜めなくても溜め技が出せる。例えばライジングタックルは本来なら「2タメ8+P」だが、SFC版では「28+P」で出る。
    • AC版ではジャンプし始めた瞬間をキャンセルして必殺技を出せたが、SFC版では不可能になり、昇龍弾(2369+P)やスラッシュキック(19+K)など上要素を含むコマンドの技が出しにくくなっている。
      • 流石にクラックシュートはAC版の設定ミスが修正されて出しやすくはなっているが。
    • 大半の技はレバーの最後をニュートラルにするのではなく、押しっぱなしにすると技が出やすい。
      • 攻略本ではライジングタックルのコツを「2P+8」と紹介していた。2を押し続けながら出したしゃがみパンチの後に8が入っていると、パンチ終了後にライジングタックルが出るというもの。
        同様にクラックシュート(2147+K)も214+Kを先に入れ、7に入れ続けていると、キック終了後にクラックシュートが発動する。
    • バーンナックルや飛翔拳などのいわゆる波動拳(236)・竜巻旋風脚(214)系コマンドの必殺技などは、概ねAC版と同様の感覚で出せる。
      • …が、ライデンの毒霧殺法(236+P)はただの波動拳コマンドなのに妙に受付時間が短い。逆に首締め(2369+P)の方が何故か簡単に出る。
    • しかし、上記に挙げた技の数々よりもさらに出しにくい技がある。「16+P」で簡単に出せるはずの、アンディの主力技でもある斬影拳である。
      • 何故非常に出にくいのかというと、内部上のコマンドが「1P6」と間違っているため。上記の必殺技のコツを紹介した攻略本でも斬影拳の出し方には匙を投げた。
  • バランスも劣悪。攻略本曰く「NGに比べてゲームバランスを良くした」らしいが…。
    • 全体的に攻撃力が落とされており、NG版に比べて爽快感が損なわれてしまった。
    • 擁護すると、AC版では技の威力が高すぎて、タイガーキックや空破弾がクリーンヒットすると即死するというバランスだったので軒並み調整されたと思われる。
    • しかし、ジョーがそのあおりを受けてしまい、最も高威力だったタイガーキックを初め、技の威力が軒並み低下。その上、プレイヤーキャラクター中、攻撃力も防御力も判定も最低という雑魚キャラクターになってしまった。スライディングが出来るぐらいしか強みがない。
    • なぜかライデンの通常投げが体力の3分の1以上を持っていく超威力に調整されており、どんなキャラクターでも3回投げられれば終了。また、CPUのライデンを投げようとすると超反応でこちらが投げられる為、強敵ではあるが、AC版と比べると明らかにおかしい設定になっている。
  • キャラクターの動きが風船にぶら下がっているかのように軽い。
    • 必殺技の動きが鈍化してしまった上に後述するサウンドの質の低下により、アーケード版のような迫力は皆無である。
      • テリーのバーンナックルの移動距離が明らかにずれていたりと妙な部分も多い。
    • 空中でKOされると、吹っ飛ばされたキャラクターが地面に着地する際にKOされるアクションが入る。この際にやたらと不自然に高く跳ねるため、やられたキャラクターがゴムマリのように跳ねると言われる。
      • その上、やられたキャラは無音でバウンドするのでより軽く見えてしまう。
  • 当たり判定がおかしい。
    • 明らかに当たっているのに当たっていなかったりする。
    • CPUはパワーウェイブや飛翔拳といった飛び道具を、龍虎の拳が如く飛び蹴りでかき消す。
    • 投げの判定も有耶無耶で、ヒットしたかと思えば蹴りで離されたりすることも多々ある。

システム面の問題

  • SFCなのに、ロード時間がCDなどのディスクメディアを用いたハードのゲーム並に長い。ロードはバトル前に毎回入る。
    • カートリッジメディアの読込み時間としてはあり得ないと思われるが、ROMに格納されているデータ構造によっては「データを展開しながら読み込む」なんてものがあったりするので可能性としてはその類と思われる*10
  • 対人戦限定で使える敵キャラクターだが、2P側でしか使えない謎仕様。
    • 上記仕様に加え、2Pは1Pの使用キャラクターが決まってから選択するため、1Pには非常に不利な状況といえる。
      • また、敵キャラクターの性能はCPU戦のバランス調整のままなので、ライデンに3回投げられると死亡確定
      • この他、マイケル・マックスがジャンプ不可のままとなっていたりと、全体的になおざりな調整となっている。
      • それを逆手にとったのか、彼の必殺技「トルネードアッパー」は下から上にかけての半回転(23698+P)という珍しいコマンドになっている。
      • もっともビリーの棒を投げる技がCPU時と異なりすぐ戻ってきたり、ホア・ジャイの酒を飲んだ後にしか出せない技が最初から出せたりと、まったく調節していないわけではない。
    • 主人公の3人は同キャラ戦が可能だが、2P側は同キャラ戦でなくとも強制的に2Pカラーに固定される。

BGM・SEに関する問題

  • BGMが非常に貧弱。
    • 音色としてトランペットの単音が多用されており、派手なエフェクトの効いた本家アーケード版の豪華なサウンドに比べると、パサパサと乾いていて物足りない。
    • 音源の問題もあるので仕方ないとしても、酷いものになるとメロディが改変されていたり、音程が微妙にズレているような曲まである。
      • 特に音声で表現されていた「リチャード・マイヤ」や「ホア・ジャイ」ステージはパペパプー音全開で槍玉にあがりやすい。
    • 加えて、アーケード版では絶えず続いていたBGMもラウンドごとに仕切り直しになるので今一つ爽快感がない。
  • SEも非常に貧弱。
    • アーケード版では「ダーン!!」「バーン!!」「ズン!!」という派手なSEだったが、「ぴしゅっ」「ぴゅっ」といった非常に軽いものになってしまった。ヒットエフェクトのチャチさも合わせて非常に軽い。
      • ジョーの爆裂拳もあおりをうけ、「ぴゅっ…ぴゅっ…ぴゅっ…やぁ」といった貧弱なSEで繰り出されるので脱力する。しかも性能も低く、ヒット中に平気で反撃される
  • 必殺技を当てた時の効果音が聞こえないので、当たっているのか当たっていないのかが全体的に有耶無耶。
    • 必殺技をガードしても相当のダメージがあるので、それが上記現象に拍車をかけている。
  • 再現を放棄した奇天烈ボイス
    • バトル中の攻撃ボイス、一部の必殺技ボイスを除いては総カット
      • アーケード版ではタイトルBGMの後に印象的な声でタイトルコールが入っていたのだが、BGMしか流れないので拍子抜けする。
      • 勝利した際の歓声や、勝利時のボイスも総カットされてしまったので物足りない。
    • 攻撃ボイスもほとんどが「ヤァッ」に統一され、さらに「ヤァッ」と甲高い声になったり、「ヤ゛ァ゛ッ」と妙に低い声になったりと、ピッチが極端に変わる。同一キャラとは思えない*11
    • 必殺技ボイスはパワーウェーブ、バーンナックル、飛翔拳、スラッシュキックを除きカットされ、通常技と同一の掛け声に変更。
      • もともとアーケード版の必殺技ボイスは早口か、ただの掛け声だったボイスが多かったので、はっきりと聞き取れるボイスのいくつかを除いてカットして容量を稼いだのかもしれない。
      • しかし、アンディの代名詞ともいえる「斬影拳!」や、人気の高いジョーの「ハリケェェン!!アッパァ!!」までカットされ、軽い声で「ヤッ!」と言いながら放つようになってしまった。ハリケーンアッパーのジョーなのに…
    • 敵キャラクターのボイスもほぼカットされ、プレイヤーキャラと同じものに変更された。
      • タン・フー・ルーの変身時のボイスのみ残っているが、アーケード版では「うああああああ!!」と絶叫して変身していたものが「お゛っ」という気の抜けた声を発するようになり、迫力が著しく削がれた。
      • ギースの烈風拳や、ボーナスポイントの加算中はなんとも形容しがたい効果音が鳴る。音量も大きく耳障り。
    • 極めつきはKOボイスであり、「うおおおおおお!!」と絶叫していたアーケード版とは異なり、妙に甲高い声で「ウァッゥァッゥァッゥァッゥァッ…」とおおよそ格ゲーキャラのKOボイスとは思えない奇声を発する。
      • さらにはやられ声の一部が打撃音にかき消されて「ウッホッホッホッホッ…」という笑い声にしか聞こえない事も多々あり、腰が抜ける。
    • 前述の技名ボイス以外は何故かアーケード版の面影が全くない上に、どのキャラクターにも全く似合っていない為、違和感しか感じない。

演出面の問題

  • ストーリー間のデモ絵はカット。ひたすら黒背景にギースの顔と字が出るだけの仕様となっている。
    • そのため、ギースがビルから転落する絵もカットされてしまった。直前のギースが攻撃を受ける場面までしか出ない。
    • ギースに敗北した際に、主人公がKOボイスを叫びながら落とされる演出もカットされて通常のコンティニューと同様になった。もっともあの妙な声で再現されても困るのだが…
    • しかもギースの側近のリッパー&ホッパーの登場シーンはカットされているにもかかわらずセリフのみは残されているので、プレイヤーキャラクターがビリー勝利後にギースの前に連れ出されるシーンは妙なことになっている。
      • アーケード版では彼らの登場と共にBGMが緊迫したものに変化するのだが、本作では優勝時の明るいBGMのまま進行する。当然、ギースとの掛け合いのシーンでも明るいBGMのまま。締まらない事この上ない。
      • データ自体はあるようで、YouTubeのSFC版(或いは海外SNES版)サウンドトラックにギース対峙時のBGMを同ハード向けにアレンジしたものを聴ける。
    • また、対戦で敗北したキャラクターの顔絵も主人公の3人を除いて総カットされている。その為、主人公だけが負けるとボコボコにされるという妙な事になっている。
      • 対戦モードで主人公同士が戦って1P側が勝利した場合でも、1P側のグラフィックしか表示されない。

総評(SFC)

劣化移植の典型例。他のハードへの移植と比較しても、低クオリティの作品という感想しか出てこない。
一応、家庭用ゲーム機を遊ぶ層に餓狼シリーズやネオジオ、SNKの名を知らしめた功績はあるが、本作のクオリティはもはや論外なので、餓狼伝説をプレイする場合は原典に忠実に移植されたものをプレイすることをおススメする。


余談(SFC)

  • 本作に限らず、『餓狼伝説』シリーズのSFC移植版は妙に劣化が目立っており、いずれも発売元がクソゲー会社としておなじみのタカラであることから、「タカラ餓狼」とネタにされる。
    • フォローしておくと、熱闘シリーズのようにそれなりのクオリティを維持している移植作は多い。後述のMD版も海外ではタカラからの発売である。
  • このSFC版の発売に合わせて、講談社の児童誌『月刊コミックボンボン』誌上でコミカライズが連載された。
  • VS表示時のBGMがAC版と違う。
    • AC版でギースの側近に拉致されるシーンのBGMになっている。
      • 特に違和感がなくプレイに影響もないのでスルーされている。
  • ボーナスゲームのBGMはアーケード版とは異なるオリジナル(?)のBGMになっているがクオリティは悪くない。しかしこの変更と乱入対戦の廃止により、アーケード版の「乱入対戦」と「ボーナスステージ」のBGMはカットされてしまった。
  • 海外版では申し訳程度に修正が加えられ、若干アーケード版に近づいた。
    • キャラの顔グラフィックの周りにアーケード版のような枠組みがついた。
    • メニュー画面でキャラクターセレクトのBGMが流れるようになった。
    • 効果音の使い方に若干の変更が加えられ、パワーウェイブの際に音が鳴ったり、KO時のバウンドにちゃんと音がついたので、挙動がマシになっている。やられ声は一緒だが
    • 試合開始前の謎ロード時には「WAITING!」と開き直った表示がされる。
  • アーケード版では10ラウンド目は「FINAL ROUND」だが、本作ではなぜか「LAST ROUND」と表示される。
  • ちなみに、同日には『あしたのジョー (SFC)』も発売されており、格闘クソゲーのダブルパンチとなってしまった。

餓狼伝説 宿命の闘い (MD版)

【がろうでんせつ しゅくめいのたたかい】

ジャンル 対戦格闘アクション
対応機種 メガドライブ
発売元 セガ・エンタープライゼス
開発元 タカラ
ガイブレイン
発売日 1993年4月23日
定価 9,800円
判定 なし
ポイント テンポ、操作性は共に良好
メガドライブオリジナル要素あり
任意ライン移動搭載
一部キャラクターの残念なリストラ

概要(MD)

同名のアーケード及びネオジオ用ゲームのアレンジ移植作。SFC版とは開発元が異なっている。
パッケージイラストは貞本義行氏が担当。


特徴・変更点(MD)

  • SFC版同様2人協力プレイは削除。
  • 得点が廃止。それに伴ってかボーナスステージも削除された。
  • ラウンド開始前からラウンドが始まって動けるようになるまで、原作ではキャラクターが通常のレバーニュートラル状態の動きをしていたが、本作では画面が静止している。
  • 広告のイラストを使用した専用のオープニングがある。
  • SFC版同様、ラスボスのギース・ハワードを倒してもビルから転落するシーンは削除された。
    • 飛び蹴りを喰らった瞬間で終わりだったSFC版とは異なり、主人公の飛び道具を喰らって画面外に出る演出に変更されている。
  • CPU戦では2本先取固定だが、対戦モードでは1本~5本の間で、1P側・2P側で別々に設定できる
    • また、他ハードでは10ラウンド目がファイナルラウンドとなるが、MD版ではどちらかが規定本数を取るまでは11ラウンド以降も続く

評価点(MD)

  • テンポの良さ、操作性の軽快さはかなり原作に近いものになっている
    • SFC版の謎ロードや劣悪操作とも無縁である。
  • SFC版では削除された2ライン制が存在しているばかりか、原作では出来なかった任意操作のライン移動も可能となった。コマンドは「8(上)+C」。
    • また原作では1ラインだったマイケル・マックスステージにおいても新たにライン移動が可能になっている。
    • 上記で述べた通り原作では任意ライン移動がCPU専用であまり意味を成していなかったため、プレイヤーも使えるようになったことで新たな戦法を取れるようになった。
      • ラインを完全撤廃したSFC版も英断ではあったが、MD版ではラインがシステムとして本格的に組み込まれたためまた異なる遊び方が出来る。
    • 移植としては原作無視の要素であるのだが、元々CPUの方は使ってきていたため、不満ならこちらがわざと使わないという選択肢も取れる。
  • 対人戦限定で同キャラ対戦が可能になった。SFC版と違い、1P、2P共に敵キャラクター*13を使用できる。
    • 敵キャラクターのオリジナル技も追加/使用可能となり、MD版ならではのプレイができる*14。対人戦で言うならば大胆なアレンジであるものの良調整である。
    • 原作ではジャンプできなかったマイケル・マックスにもジャンプ動作が追加された。
  • SFC版ではギースの顔しかなかったデモ画面だが、MD版ではやや簡略化されているものの再現されている。
    • 後述のキャラ削減に伴い、AC版における1戦目終了後のセリフは削除されたが、「許さーん!」のシーンはギース戦前のデモに組み込まれる形で残っている。
  • 地味な所では数字や「?」のフォントが修正され、違和感がなくなっている。

賛否両論点(MD)

  • CPU戦でCPUがオリジナル技を高頻度で使ってくる。
    • 移植作品として見た場合はSFC版よりも違和感が凄い。
  • 原作と比べるとやや違和感のあるBGMのアレンジ。
    • ただしSFC版と比べるとはるかに聴けるレベルであり、決してクオリティが低いわけではない。
  • 同じく違和感のあるボイス。
    • SFC版は変なやられ声を除いてはアーケード版に近いボイスだったが、本作のボイスはアーケード版とは全く異なる声になっている*15
    • 技名を叫ぶボイスはすべて実装。やられ声もアーケード版とは異なるが、まともなボイスとなっているのでSFC版のような脱力感はない。
    • 一方で敵キャラクターに関しては、マイケルとダック(とエンディングのギース)はプレイヤーキャラのボイスで代用、それ以外は基本的にボイス無しとなっている。
      • なお、全ての敵キャラクターで共通だった勝利ボイスがリチャードとライデン専用になった他、ギースは別のボイスに変更されている。

問題点(MD)

  • ホア・ジャイとビリー・カーンの存在がステージごと抹消された(マップにも空白がある)。このためギースの手下はライデンただ一人に。そのかわりホア・ジャイのドラゴンキックとコンパチであったタイガーキックは虎のオーラが浮かび上がるという本作のみの派手な演出に描き換えられている。
    • 一応2人とも背景キャラクターとして出演しており、全くの無存在というわけではないが…。
      • ちなみに、背景にいるビリーの横にはなぜか妹のリリィがいる。せめてものサービスだろうか…。
      • なお、ライデン戦勝利時には元々汎用勝利セリフを言う仕様のため、これが決勝になってしまった余波で時々ジョーが勝利(=優勝)後に「よーし、いいぞ この調子で行けば優勝はおれのもんだぜ ー!!」と妙なことを言うようになった。*16
    • CPU戦ではリストラされた2人の代わりに、プレイヤー選択で選ばれなかったキャラクター2人が、最初の相手とギースを除いたいずれかのCPU戦前に敵として乱入してくる(例えばテリーを選んだ場合、アンディとジョーが敵として登場)。そのため、対決数自体は原作同様全8回構成となっている。
  • 敵キャラクターの登場順がAC版と違う。
    • AC版では最初に選んだ相手によって登場順が決まるが、MD版では最初の相手と途中で乱入してくる2人を除き、リチャード→ダック→タン→マイケルの順で固定される。
  • やはりMDのスペックの関係上、キャラクターグラフィックの色数が、原作・SFC版と比べ劣っている。
    • また、一部キャラクターのアップのグラフィックが、原作を再現しているSFC版に対し、ドット絵というよりも絵柄自体が変わってしまっている。
    • キャラの立ち絵やアクションのグラフィックにもアーケード版では見られない絵が多々混じっており、違和感が感じられる部分もある。
    • グラフィックの削減もSFC版と比べて目立つ。
  • CPU戦の勝利メッセージは各キャラ固有のものしか出なくなったが、対戦モードでは全キャラ共通のものに統一されてしまう。
    • また、ギースは元々勝利メッセージが出ない仕様だったためか汎用セリフが由来のものを流用しており、「に勝つなど100年早い!!」、「もう一度出直してくるんじゃな。」*17と違和感の強い内容になっている。

総評(MD)

一部のキャラクターがリストラされ、外見上ではSFC版以上に劣る部分もあれど、中身の再現度は当時としてはかなり頑張っている。
任意ライン移動、対人戦で敵キャラ使用可能、オリジナル技多数追加など、ゲームを面白くするアレンジとしては良質であり、MD版独自の要素として評価できる内容。忠実移植というよりはアレンジ移植として十分な完成度を保つことが出来たと言える。
削る部分は魅力減少覚悟で斬り捨て、独自のアレンジを施すなど、あくまでも外見よりも中身にこだわったその姿勢は、英断といえるのではないだろうか?

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最終更新:2024年01月18日 19:21

*1 ちなみに後作ではその対策の為か、三節棍に変形する特殊な棒を扱うようになり、対戦中に棒を手放す事がなくなった。

*2 実際この点はライバルの『ストリートファイター』(初代)にも通じるものがあった。

*3 中間デモでギースから「ハリケーンアッパーのジョーか!」と警戒される描写がある程度。

*4 例えば本作では太極拳を扱うタンフールーだが、アニメでは八極正拳の使い手とされ、『スペシャル』ではこの設定が逆輸入されて公式なものとなっている(ただし表記は「八極聖拳」。以降は「八極正拳」と「八極聖拳」の表記が混在している)。また、『スペシャル』でテリーやアンディがタン先生と呼ぶのはアニメの設定が元となっている。

*5 カプコンがデータイーストの『ファイターズヒストリー』に対して起こした裁判はゲーム内容ではなく、「ソースコードの一部盗用」が争点のため。

*6 同時期に発売されていた『ストリートファイターII(SFC版)』では電源を切るまでではあるが、アーケード版と同様のネームエントリーやスコアランキングがあり、また、本作の続編となる『2』でもAC版同様のスコアランキングが実装されている。

*7 AC版では10000点。

*8 実は、あまりにも怒りで興奮し過ぎていたため、「ゆ…ゆ、ゆる、ゆるる、ゆるるさーん!(許るさーん)」と、ついどもって言ってしまったのではないか?という意見も少数ながら出ていた。

*9 特にホア・ジャイはこれ以外ではMD版では削られ、本家シリーズの『2』以降では背景やデモなどの登場にとどまり、他作品に関しても20年近く経った『KOFXIII』(2010年)まで彼を操作できる作品が無かった。

*10 もっともリバースエンジニアリング等で解析しないと真相はわからないだろうが。

*11 テリーでクラックシュート→昇りジャンプパンチとやってみると非常に分かりやすい。

*12 はっきり「この漫画はスーパーファミコンのゲーム『餓狼伝説』を元にした」という記述もある。

*13 もちろん同じキャラクター同士も可。

*14 なお、これらのオリジナル技のラインナップはSFC版の方とも異なっている。

*15 AC版では必殺技の声はややゆっくり目に喋っていたが、本作ではかなり早口で喋っている。どちらかと言えば『2』以降の必殺技ボイスに近い喋り方をしている。

*16 ネオジオ版ではビリー勝利時には勝利台詞が表示されないのでこの不具合はおきなかった。ちなみに、SFC版ではビリー勝利時も勝利台詞を喋るので起こりうる。

*17 AC版の汎用セリフ「もう一度出直してくるんだな。」が老人のタンに割り当てられ、それに合わせて修正されたもの。