ファミコンウォーズ

【ふぁみこんうぉーず】

ジャンル シミュレーション
対応機種 ファミリーコンピュータ
メディア 1.5Mbit+64kRAMROMカートリッジ
発売元 任天堂
開発元 任天堂
インテリジェントシステムズ
発売日 1988年8月12日
定価 5,500円
プレイ人数 1~2人
レーティング 【VC】CERO: A(全年齢対象)
配信 バーチャルコンソール
【Wii】2009年5月19日/500Wiiポイント
【3DS】2012年12月26日/500円
【WiiU】2014年12月3日/514円
判定 良作
ファミコンウォーズシリーズリンク


概要

戦争を題材にした任天堂製のウォー・シミュレーションゲーム。
ストーリーをゲーム作中では描かない硬派な内容。プレイヤーは先攻の「レッドスター軍」か後攻の「ブルームーン軍」(赤軍・青軍)のどちらかを指揮し、敵軍と戦う。

  • レッドスター軍の歴戦の戦略家であるヤン・デルタが、後進の育成の為に制作したクリークスシュピール(戦争遊戯)が本作…というストーリー設定がある。

システム

  • ゲーム開始時に両軍の担当者、アニメーションのON/OFF、BGM(タイプA、タイプB、OFF)、コンピューターのIQ(100、200)を決める。
    • どちらも担当者はプレイヤー(人間)かコンピューターかを決める。最初はレッドスターがプレイヤー、ブルームーンがコンピューターになっている。これを入れ替える事で、プレイヤーがブルームーン軍を担当したり、2人での対戦プレイ、更にはコンピューター同士の対戦を鑑賞する事も可能。
    • アニメ―ションをOFFにすると、歩兵の占領や輸送ヘリなどに搭乗する際のアニメを表示しなくなる。
    • IQ設定は自軍(100)か敵軍(200)のどちらに追加ダメージボーナスが入るかを設定するもので、 どちらに設定したとしても思考時間は変化しない。
      • とはいえ、コンピュータの思考パターンもIQ200の方が心持ち優秀であり、戦線構築が一歩早く、戦車Aを生産できるのに戦車Bを生産するといったミスも少ない。

ルール

  • 戦闘はターン制(ゲーム内では日数として表示される)で、レッドスター軍が先攻、ブルームーン軍が後攻。敵軍の本拠地「基地」を占領するか、敵軍を全滅させれば自軍の勝利。逆に自軍全滅や自軍基地占領の場合は敗北となる。255ターン経過しても決着がつかなければタイムオーバーとなり両者の負け。
  • 毎ターン開始時に支給される資金を元手に、自軍の向上または基地周辺の拠点で部隊を生産し、前線に送り込んで敵軍を倒していく。部隊は全部で16種類あり、強力な部隊であるほど生産に必要な資金は多い。展開できる部隊数は48部隊が上限。
  • 1部隊10台(人)で構成される。戦闘で攻撃を受けると台数が減っていき、0になるとマップ上から消滅する。
    • 台数の減った同じ部隊同士で「合流」することも可能。合流すると台数は合算され、弾薬や燃料は2つの部隊のうちそれぞれ多い方に合わせられる。*1ただし台数は10台を超える事はなく、余剰分は消滅してしまう。
      • 合流先の部隊が9以下なら、合流元が10でも合流可能。これを利用して部隊数を減らして生産できるようにするテクニックもある。
  • 敵軍への攻撃は攻撃コマンドから攻撃対象を選んで行うが、攻撃するユニットが直接攻撃か間接攻撃かによって異なる。
    • 歩兵や戦車、戦闘機などの直接攻撃ユニットは敵に隣接したマスに移動すれば直ちに攻撃できるが、敵が反撃可能であれば反撃も受ける。
    • 自走砲や対空ミサイルなどの間接攻撃ユニットは離れたマスに対して一方的に攻撃することができるが、移動直後に攻撃することはできず、敵の攻撃に対して反撃することもできない。
    • 敵に対して攻撃、反撃する度に弾薬を1消費する。弾薬が0になると攻撃も反撃もできなくなってしまうので、後述の補給を適宜使って弾薬を回復していく必要がある。
  • マップ上の施設(都市、空港、港)を占領するとターンごとの収入が増える。もちろん敵軍の施設を占領すると敵軍の収入を減らすこともできる。このため、ただ敵を倒すだけでなく、施設を効率良く奪取していくことも勝利する上で重要になってくる。
    • 収入以外にも、自軍基地を中心とした5×5マス内にある施設では生産が行える。多くのマップでは元から自軍施設である工場しか配置されていないが、都市などが範囲内に存在するマップもあり、その場合は都市でも生産が行える。
    • 空港や港もこの例に漏れず、5×5マス内に存在する施設でのみそれぞれ航空部隊や海上部隊を生産できる。
    • 基地からの距離に関わらず、自軍施設であれば後述の補給をするための拠点として利用できるため、自走砲などの有射程兵器を配置するのに都合の良い場所にある都市はそれだけ重要度が上がる。
    • 施設の占領を行えるのは歩兵系部隊だけで、人数が少なくなるほど占領にかかるターン数も増える*2ため、打たれ弱い歩兵系部隊をいかに守っていくかも重要になる。占領中の歩兵が全滅するか移動で施設上からいなくなると最初からやり直しになるので、先述の「合流」も活用しながらその部隊を守らなければならない。
    • 本陣である基地に占領をしかける事もできる。敵の基地の占領に成功した場合、戦況に関わらず即座に勝利となる。ただし、他の施設は「歩兵」の他に「戦闘工兵」でも占領が可能だが、基地だけは最も戦闘力に劣る「歩兵」でしか占領できない。
  • 各部隊には「燃料」が設定されており、移動力を1消費する毎に1減っていく。また、飛行機部隊はターン開始時に5、輸送ヘリは2消費する。地上部隊は燃料が0になっても最低1マスは動けるが、航空部隊、海上部隊は空港や港にいない状態で0になると墜落・沈没し、即座に消滅する。これを防ぎ、戦闘能力を維持するためには適時補給を行う必要がある。
    • 全体コマンドの1つ「全補給(全補)」は、1日1回だけ行える一括補給。部隊に対応した自軍の施設の上にいるか、補給車に隣接している*3「行動前の」全ての部隊に一括で補給を行う。施設によって補給された部隊は、燃料弾薬の他に損耗した部隊の台数も補充できる(1回の補給につき2台)。
      • しかし全補の隣に「ターン終了」コマンドがあるので、補給するつもりが勢い余って終了といううっかりミスが後を絶たない。
    • 補給車の個別コマンドで補給する事も可能。この場合も補給対象は行動前である必要がある。
    • 当然だが補給するには資金が必要。足りなければ補給できない部隊が出てくる。台数の補充にもきっちりお金はかかる。
    • 補給できない場所で戦闘を繰り返していると早々に弾薬が切れたり台数が減りすぎたりして使い物にならなくなってしまう。敵陣に突撃する先遣部隊なら使い捨てでも構わない場合もあるが、戦線を維持するための要点防衛部隊がそれだと困るので、補給ラインの構築は非常に重要である。
    • 歩兵にも燃料の概念はちゃんとある。切れた時のリスクやかかる資金などは戦車等と全く同じだが、アニメーションをONにしている場合、燃料ではなく食料を補給している。
      • 戦争遊戯であるため、食料0で何十日ほったらかそうが衰弱による飢え死にも戦力低下もない。

評価点

  • 初心者にも取っ付きやすい分かりやすい世界。
    • 現実の戦争を題材にしたウォー・シミュレーションというと、それらの知識の無いプレイヤーは置いてけぼりになりがち。その点本作は、兵器の名称を「戦闘機」「戦車A」「輸送ヘリ」などとシンプルに据え置き、名前を見ただけでもどのような兵器か把握ができる。また、現実と違い『国による兵器性能の差』は存在しないため全16種類と少なくてすむ。
    • グラフィックは全体的にデフォルメされておりファンシーかつコミカルなテイスト。銃と大砲が主役の戦争モノとしては賛否両論あるものの、重厚さや殺伐さを適度に抑え、この手のジャンルにあまり触れることのないプレイヤー層にも馴染み易くしている。
      • 敵軍の基地を占領した際、敵国の指揮官が白旗を掲げて降参するアニメーションも非常にコミカルである。さらに、マップごとの最終結果画面には両軍を率いた指揮官の顔、名前、年齢も表示されるが、中には他のゲームのパロディや、その名前や顔はいくら何でもやばいだろ、という御仁も…。*4
  • じゃんけんのような部隊間の力関係。
    • 歩兵は装甲輸送車に弱く、装甲輸送車は戦車に弱く、戦車は爆撃機に弱く、爆撃機は戦闘機に弱く、戦闘機は高射砲や対空ミサイルに…といった具合に、どんな部隊にも相性の優劣があり、万能な部隊は無い。味方部隊をどう連携して敵を撃破していくかが重要。
  • 乱数要素を極力排除し、戦闘の結果を容易に予測できる、誤差は+-1の範囲。
    • 特に命中率の撤廃が大きく、シミュレーションRPGでよくある「回避率90%以上なのに被弾!」といった不確定要素が無い。運に左右されない、まさに戦術がものを言うストイックな世界観である。
  • マップ数は15+2と控えめなものの、15のマップは自由に選択できる。マップの大半が山や森に覆われていたり、自軍と敵軍が海によって隔たれていたりとバリエーション豊か。
    また島によって海軍や空軍が生産出来なかったりと、使用可能ユニットに制限を課すことでマップ毎の難易度が図られている。
    • 離島の都市掌握を巡る攻防など、思わぬ場面で熱い展開になることも。
+ 最初から出ている15マップを全てクリアすると

最初から出ている15マップを全てクリアすると、レッドスター、ブルームーンそれぞれの軍に応じた最終マップが出現。強力な敵軍が自軍基地に向かっているという圧倒的に不利な状況から開始する。
この条件をはねのけて見事勝利すればエンディングとなる。

問題点

  • 戦闘アニメーションはカット不可能。
    • 前述のとおり占領シーンや搭乗シーンのアニメーションはカット可能だが、その場合占領度合いを示すメーターも表示されなくなるため、混戦時など占領度合いを確認したい場合はアニメーションをONにせざるを得ない。
  • CPUの思考時間が長すぎる。
    • 混戦になってくると、一部隊を動かすのにも平気で数秒の思考が入る。前述の戦闘アニメも手伝って、本作の最終マップはべらぼうな時間がかかる。その半分以上はプレイヤーは眺めていることしかできない敵ターン。
  • ユニット間の格差
    • ユニットごとに相性があるが、各性能に対して費用対効果での差が出てしまっておりバランスは良いとは言えない。
    • 基本的に「安いユニットを大量生産して肉壁を作りつつ敵の高いユニットに玉砕覚悟で特攻し、費用対効果で敵を上回り続ける」戦法が強い。
+ 今作で強いユニット
  • 歩兵(コスト1000)
    • 海以外ならどこでも移動できて占領が可能だが攻撃力、防御力ともに最弱レベル…のはずだがコストが安い事から、たとえ全滅するまで無補給で突撃させても大抵は元が取れるという驚異のコストパフォーマンスを誇るユニット。
    • 直接攻撃をしてくる部隊であればどの敵に対しても一応攻撃や反撃が可能であり、燃料・弾薬は最も多いため、相手の侵攻を止めつつ弾薬を浪費させる使い捨ての壁役として積極的に使う事ができる。それだけでは飽き足らず戦闘機Aや戦車Aですらしばしば1機落とせてしまえる*5のがコストパフォーマンスの高さに拍車をかけている。
  • 戦闘工兵(コスト2000)
    • 生産に必要な資金は歩兵に次いで二番目の安さであるにもかかわらず、ロケット砲によってどのユニットに対してもそこそこ通用する攻撃力を持つ。流石に戦車Aや爆撃機に対しては力負けしてしまうものの、それでもこのコストにしては馬鹿にできない損害を与える事ができる。移動力は全部隊最低の2であり盤面の迅速な展開は苦手だが、この短所は輸送ユニットを併用すれば容易に解決可能。
      • 歩兵と違って基地が占領できないと言う欠点も、大抵は部隊全滅によって決着するこのゲームにおいては大して問題にならない。最大の欠点は所持弾薬の少なさ(歩兵9に対して戦闘工兵は3)だが、コストパフォーマンスの良さのおかげでひたすら生産して使い潰すような運用だと問題になりにくい。
      • 天敵は装甲輸送車と輸送ヘリ、そして歩兵。これらのユニットにはコストパフォーマンスを上回られてしまう。
  • 輸送ヘリ(コスト4000)
    • 空挺輸送ユニット。戦闘機、海上部隊、地上の対空兵器部隊にはめっぽう弱いが、歩兵や装甲輸送車に対してはそれなりに戦う事ができ、苦手とする部隊以外からは損害は受けにくい為、歩兵を降ろした後で、橋の上などに配置して敵の侵攻を防いだり、敵の占領部隊や戦車に対して積極的に攻撃する事で占領の妨害、弾薬を無駄遣いさせる等の単純だが強力な戦法が取れてしまう。生産費用も低い為に合流も生かせる。
      • 移動できない地形が存在しないのもポイントで奇襲や救援等の行動も行いやすい。そのうえ移動力は装甲輸送車と同じ6である。コストも装甲輸送車よりも200安く、特に収支がカツカツな序盤ではこの200の差が大きくなる場面が多い。
      • なお、輸送ヘリや他の輸送ユニットは戦闘による被害で1ユニット内の機数が減少しても輸送能力は低下せず、輸送ヘリ1機で歩兵10人を運ぶこともできる。このため、戦闘で損耗した輸送ヘリでもそのまま輸送任務はこなせる。ただし戦闘に突入した瞬間ヘリの機数にまで減少してしまう(輸送ヘリ1機で歩兵10人を運んでいる間に攻撃されると歩兵も1人になってしまう)ことに注意。

輸送ヘリや装甲輸送車は輸送ユニットでありながらある程度の戦闘力を持ち、それらは全て敵の歩兵に強く、かつ歩兵達の欠点(戦闘力と移動力の低さ)をカバーできる。 その為に歩兵と戦闘工兵を大量生産し輸送ユニットで前線に送り込み、輸送ユニットはそのまま破壊されるまで戦闘に使い回す戦法を取ることで序盤の都市争奪戦は大幅なイニシアチブが取れてしまう。

  • 自走砲A(コスト13000)
    • 射程3~5と圧倒的な広範囲の間接攻撃ユニット。占領した後方の都市などに配置して前線に砲撃の雨を降らせるのがこのユニットの役割。航空ユニットや艦船ユニットに対してはほぼ無力だが、全ての地上ユニット、特に地上戦の脅威となる戦車Aに対して一方的に損害を与えられるのは非常に強い。
    • 直接攻撃はできず懐に入られると脆いので、単体で運用せず盾となる他のユニットとセットで運用する事となる。戦車A・Bのような高装甲ユニットを盾にする王道の戦法を取っても良いし、輸送ヘリで道を塞いで邪魔をしても良いし、歩兵を並べて肉盾にしても良い。
    • 自走砲に限らず間接攻撃ユニットは「移動後の攻撃ができない」と言う性質から極力無駄な移動が行えず都市などでの弾薬補給も行いづらいのだが、補給車(コスト3000)を配備する事でそのデメリットは容易に克服可能である。*6
  • 戦艦(コスト28800)
    • 自走砲Aと同じ射程3~5の攻撃範囲を持つ間接攻撃ユニット。陸・海・空のあらゆるユニットに対し大損害を与えられる攻撃力を持ち、海上ユニットであるため自走砲Aのように地上ユニットに踏み込まれる心配も少ない。
    • 全ユニットの中で最もコストが高い、揚陸艦や爆撃機に踏み込まれると脆い、港以外での補給ができず弾を撃ち尽くすと自陣の港まで戻らなければならないなどの欠点もあるが、それらの欠点を補って余りある圧倒的な攻撃力と制圧力は魅力である。
  • 爆撃機(コスト20000)
    • 移動力8と言う戦闘機に継ぐ移動力を誇り、地上ユニットと海上ユニットに大きな打撃を与える事ができる空戦ユニット。対空手段を持たない戦車などの地上ユニットはもちろん、対空手段を持つ高射砲や揚陸艦に対しても相打ち程度の損害を与える事ができる。
    • 対空ミサイルや戦艦の射程に入ってしまうと大損害を被るが、その機動力を活かして懐へと飛び込み逆に一方的に攻撃する事は容易。戦闘機A・戦闘機Bは対抗手段も無く一方的に撃ち落とされるが、逆に言えば戦闘機以外のユニットとは互角以上に戦える万能ユニットとも言える。敵戦闘機の脅威はこちらも戦闘機Aを1、2ユニット生産する事で容易にフォロー可能。
    • 万能とは言えそのコストの高さから序盤や中盤では1機1機の消耗ですら負担となるため、当ユニットは収入が盤石となった後半に大量に生産する事でその真価を発揮する事となる。その機動力を活かして生産拠点から最前線まで即座に辿り着き、多少の損害をもろともせずにゴリ押す事で終盤の固い敵拠点の守りを素早く突破する事ができる。

輸送ヘリと歩兵・戦闘工兵によるゴリ押しは強力だがどうしても火力不足となるため、中盤戦~後半戦は上記間接攻撃ユニットや爆撃機で火力を補いゴリ押していく戦法が主力となる。

  • 「オニギリジマ」がかなりの高難易度。
    • このゲームはほぼ全てのマップを初めから選択できるが、上から順番に攻略していくと第3面という序盤でこのマップに挑む事となってしまう。そのため早々に挫けた人がいてもおかしくない。
    • 空港のチュートリアルという位置づけのためか、両軍の基地は完全に分断された島に分かれており、港が無いため揚陸艦が作れず相手側の島へは歩兵(戦闘工兵含む)と航空ユニットしか送り込めない。
      一方で相手は戦車や自走砲、対空ミサイルなどで守りを固めて来るため、闇雲に輸送ヘリで歩兵を送り込むだけではなかなか攻めきれずいたずらにターン数だけが経過していくハメとなる。
      • 守りやすいマップである事はこちらにとっても同じなので、じっくりと腰を据えて爆撃機などの戦力を揃えてから一気に攻め込むのが肝要である。
  • レッドスター軍での「キメンハントウ」も高難易度。
    • 全ての都市がブルームーン軍に占領されている状態でスタート。この圧倒的戦力差のため、最序盤の対応をミスると敗北しやすい。
      逆に言えばブルームーン軍でプレイすれば圧倒的戦力差ですぐに終わるステージである。
    • 逆に「ドーナツジマ」はレッドスター軍が占領済みの都市が多いので有利である。 この様にどちらかの軍に有利不利がはっきりしているステージもいくつかあり、全体でのバランスを取っている。
      • 後手になることを考慮してか全体的にブルームーン軍が初期の経済力で上回ることが多い。初期でレッドスター軍の方が経済力的に優遇されているのは上記の「ドーナツジマ」のみ。
      • とは言えいずれも最終面に比べればなんとかなるレベルではある。
  • 初期のカセットではセーブデータが消えやすい。
    • 再販版は修正されている。
    • セーブデータのチェックプログラムに問題が有り、エラーが起きていなくてもエラーと判断してしまい消失扱いにされてしまう様である。
    • クリアmapが増えセーブデータのデータ量が大きくなるとリセットボタンを押しただけで消える事もある。
    • セーブ機能が心許ないせいであてにできず電源入れっぱなし(FC本体のTV・GAME切り替えを利用)でクリアーした人も多い。
  • セーブデータが一個しか作れない。
    • レッドスター軍でクリア後、ブルームーン軍でのプレイを始めようと思ったらクリア済みのデータを消さなければならない。
    • 1Pでクリアを目指している間に友達との対戦でセーブするとパーになる。
      • もちろん通し一発プレーなら問題ないが、ボリュームからして小マップでもかなり時間が必要なので難しい。

総評

現在でも趣を変えて存続しているシリーズだけあって、一作目にしてかなり完成されたシステム。
WiiとWiiUのバーチャルコンソール版はボタンを押している間5倍に早送りする「加速モード」が実装されている(3DS版とSwitch版にはない)。セーブデータが消える心配もないので、こちらもオススメできる。

余談

  • 本作といえば有名なのが当時流れていた「あの」テレビCM。シンプルながら記憶に残りやすいフレーズだけでなくゲームのCMなのにゲーム画面が一切流れないというのも当時非常に珍しいものだった。そして「かあちゃん達には内緒だぞ」は当時の流行語となった。
    • CMのクリエイティブ・ディレクターは倉恒良彰氏。本作のほかにも『ファイアーエムブレム』や『ゼルダの伝説』(「出る出る ゼルダの伝説」)などで奇抜なCMを手掛けている。
    • ゲーム画面のないCMの第一号 」とも言われる。当時のシミュレーションゲームはグラフィックがシンプルだったが、プレイヤー頭の中では戦争映画さながらの光景が想像されているはずである。これを実写化するという発想から生まれたのが、兵士たちの実写映像を用いたCMだった。
    • ロケ地はアメリカ国内の演習場。出演しているのは本物のアメリカ軍人である*7。倉恒氏がダメ元で依頼したところ、広報の一環として協力してくれたという。当初は戦争映画を意識してアメリカ軍人らが歌った音声に字幕をつけた映像が作られたものの、わかりにくいとされたため吹替音声付き映像に変更された。
    • 実は発売前後で歌詞が変更されている。発売前のCMでは「ファミコンウォーズが出るぞ」と歌われていたが、発売後のCMでは「ファミコンウォーズが出たぞ」に改められている。
    • ちなみに、このCMは有名な戦争映画「フルメタル・ジャケット」のワンシーンのパロディである。(「かあちゃんたちには~」のフレーズは恐らく初代ゼル伝の『ミンナニナイショダヨ』か)
      「フゥハハー!」やハートマン軍曹などで知られるが、元ネタの方ではとてつもなく卑猥な事を言っていたりする。ゲームとは関係ないので、気になった人は検索。
    • このゲームを見たこともプレイしたこともない人も、このCMだけは覚えているという人は非常に多い。
      • さらに、このCMを女性版にしたのが『ゲームボーイウォーズ』のテレビCMである。「とうちゃん一緒に遊びましょ」。
      • さらにさらに、『ファミコンウォーズDS』でもこのCMを元にしたCMが作られた。ただし今回は「日本の町中をデッキブラシを持った海兵隊員らしき部隊が例の曲にのって行進し、最後は銭湯で掃除をする」=「戦闘」と「銭湯」をかけているというよりコミカルな内容になっている。
    • あのテレビCMのフレーズはスーパーファミコンウォーズのタイトル画面でも利用されている。
    • さらに余談だが、ゆずソフトの18禁ゲーム『サノバウィッチ』のカウントダウンムービーもこのCMをパロディしていた。
      + ファミコンウォーズのCM「ファミコンウォーズが出ーるぞぉ!」
  • 冷戦時代のウォーゲームでは「デフォルト敵軍=ソ連に見立てて赤色、デフォルト自軍=アメリカに見立てて青色」が慣習だったが、本作では子供向け業界のセオリー「子供は赤が好きだからとりあえず赤く塗っとけ」に従ってか逆配色になっている。
  • 本作の開発前はPC版の大戦略IIをファミコンに移植する事を計画していたようだが、版元(恐らく当時のシステムソフト)が他社に版権を与えてしまったため頓挫、
    代わりにオリジナルのウォーゲームを作ろうとなった模様。*8
  • ゲーム誌などでは当初『ファミ戦(せん)』というタイトルで紹介されていた。また、この名前でのタイトル画面も別に完成していたようだ。
    • ファミコン通信1988年4月15日号では『ファミ戦』で紹介されており、戦闘画面写真の上部に「ケイケンチ」の表示があった。どうやら『大戦略』のように経験値システムが予定されていたようである。
    • CBSソニーのゲーム攻略ビデオ『GTV』でも『ファミコンウォーズ』として紹介されながら『ファミ戦』というタイトル画面で公開されていたこともあったように、かなりギリギリまで調整が行われていた形跡が垣間見える。
  • 1986年2月ディスクシステム発売から『ファミコン探偵倶楽部 消えた後継者』までディスクによる主力ソフトの供給を行ってきたが、本作から任天堂は再び主力ソフトの供給媒体をロムカセットに戻すことになる。また他社製で使われた「バッテリーバックアップ機能」を取り入れるなど、あまり触れられないが任天堂にとっても1つの転換期となったソフトと言えるだろう。
    • メモリを大量に使用するSLGというジャンルがメディアの世代交代を促したのかもしれない。ちなみに本作はディスクシステムの約1.5倍のROMと同等のワークRAMをカセットに内蔵している。
    • 同時にこの年の後半期からディスクシステムのタイトル数も激減し、この年のディスクソフトのパッケージ売上自体が237万本と前年の1/4ほどに激減した。しかもその内7割は上半期で、下半期は任天堂自身のディスク離れもあってディスク衰退はより加速度的に進んでいった*9
  • Wiiソフト『キャプテン★レインボー』では懐かしの任天堂キャラクターの中に本作の兵士たちが登場する。
    • 「ショーグン」といったシリーズ独自の単語は出てくるもの、デザインはさらにデフォルメされている上、戦争から一時休戦して何故か『バレーボール』に勤しんでいる*10
  • 2019年12月12日に『ファミリーコンピュータ Nintendo Switch Online』で本作が配信された。
    このサービス特有の「いつでもセーブ」や「巻き戻し機能」は対応しているが、加速モードはない。また攻撃の点滅エフェクトは消えている。

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最終更新:2023年08月16日 11:31

*1 例えば、台数5で弾薬3、燃料35の部隊と台数4で弾薬1、燃料50の部隊が合流した場合、台数9で弾薬3、燃料50の部隊となる。

*2 占領コマンドを1回行うと、歩兵1人あたりメーターを1/20減らす事ができる。つまり10人フルの部隊だと2回の占領で完了できるが、1人でも減っていると3ターン以上、半分の5人以下と減るほどより多くのの占領実行が必要になる。減らしたメーターは累積するので、例えば5人部隊で2回占領した後に合流して10人に回復したあと、攻撃を受けなければ1回占領でOK。

*3 地上部隊=都市・工場・基地・補給車の隣、航空=空港、海上=港湾。ただし補給車自身には補給車では補給できず、いずれかの地上部隊対応施設の上で補給しなければならない。

*4 そのためか、バーチャルコンソール版など後年になって配信されたものでは一部の名前が差し替えられている。

*5 実際には目に見える「台数」ではなく内部データとして部隊のHPが存在しており、外見上1機も倒せていなくてもわずかずつダメージを与えており、その蓄積によって1機ぶん減るところまでダメージを与えているという仕組み。

*6 ただし戦艦には補給車による弾薬補給は行えない

*7 ただし、軍曹役と最後に登場する太っちょ新兵役は俳優とのこと。

*8 ゲームボーイの生みの親・岡田 智氏が任天堂での開発者時代を語った「黒川塾 八十八(88)」聴講レポート https://www.4gamer.net/games/999/G999905/20220720007/

*9 翌年の1989年のディスクソフト売上本数は全タイトルのトータルでも45万本と更に激減した。書換えは1987年の1065万回、1988年の829万回に対し1989年は454万回とパッケージ売上ほどではないが急落には違いない。

*10 これはディスクシステム『バレーボール』の選手たちを登場させる予定だった名残とのこと。