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ドラゴンクエストII 悪霊の神々

【どらごんくえすとつー あくりょうのかみがみ】

ジャンル RPG
対応機種 ファミリーコンピュータ
メディア 1MbitROMカートリッジ
発売元 エニックス
開発元 チュンソフト
発売日 1987年1月26日
定価 5,500円
プレイ人数 1人
備考 パスワードコンティニュー
※18〜52文字で可変
判定 良作
ポイント 前作に比べ世界が広大に
複数対複数の戦闘
JRPGの基礎を確立
乏しいイベントのヒント
難のある戦闘バランス
ドラゴンクエストシリーズ



勇者の伝説が再びよみがえる



概要

ドラゴンクエスト』の続編。前作の100年後の世界を舞台に、前作主人公の3人の子孫が邪教の大神官ハーゴンに立ち向かう。

パーティーが3人に増え、敵も複数で現れるようになり、戦術性が高くなった。
世界も「船に乗っての大陸間移動」「旅の扉」など前作から格段に広くなっている。
その他様々な点でも大幅にゲーム性が向上しており、ドラクエは勿論、その後の日本産RPGの基礎を確立させた一作である。


ストーリー

その昔、アレフガルドの地は、邪悪の化身・竜王に支配されていた。
しかし、伝説の勇者ロトの血をひくひとりの若者によって、竜王は倒され、かの地には平和が戻った。
その後、若者は王女ローラとともに新天地を目指してその地を旅立ち、はるか遠き大陸に新たな国を築いた。
国はその後3つに分けられたが、3国はロトの姉妹国として、ともに発展していったのだ。

ところが、それから百年の後のある日、3国のひとつローレシアの城に、ひとりの傷ついた兵士によって凶報がもたらされる。
なんと、大神官ハーゴン率いる魔物の軍団が、姉妹国のムーンブルクの城を攻撃しているというのだ。
しかもハーゴンは、破壊の神を呼び出して、世界を破滅させようとさえしていると……。
語り終え、息絶える兵士。だが、同時に決然と立ち上がる若者がいた。
彼はローレシアの王子。ロトの血筋が、この世の平和のために送り出した申し子。ハーゴン討伐に今、王子は旅立つのだった。
(ドラゴンクエストII 悪霊の神々 公式ガイドブックより引用)


前作からのシステム変更・改善点

ワールドマップの拡大・移動手段の登場

  • 前作のアレフガルドは数値換算で100×100マスのワールドマップだったのに対し、256×256マスに大幅に拡大された。
    なお本作におけるアレフガルドは広大な世界の一地域という扱いであり、町や施設は前作に比べて大幅に簡略化されている。
  • 「大陸間移動」の概念が出来たことで徒歩以外の移動手段が取り入れられ、前作の「沼地の洞窟」のような地下トンネルだけではなく、遠く離れた各地を結ぶワープ装置「旅の扉」や海を渡る「」が登場している。
    • 特に中盤で船を入手すれば、誇張無しに「どこでも行ける」状態になり、プレイヤーはいやが応にも世界の広さを実感できた。
    • 物語のスタート地点である「ローレシア城」には旅の扉が一つ設置されているが、たどり着いた先は周りを海に囲まれた孤島で、隣の島にある町へは渡ることができない。前作の「スタート地点から見える魔王の城」の図式がここでもみられる。

複数vs複数=パーティプレイ

  • RPG未経験者のため、あえてRPGの常であるパーティを排除して1vs1の戦闘が行われていた前作に対し、今作ではユーザーがRPGというゲームに慣れたことを考慮して、複数の仲間で冒険をするパーティ制が取り入れられた。
    ここでも更に簡略化を図るため、『ウィザードリィ』等では当たり前だった「キャラクターメイキング」は取り入れず、味方キャラには前もって既定の個性を持たせるという、日本製RPGの特徴の先駆けともいえる形式が採用されている。最初から全員が揃うのではなく、ストーリーが進むにつれて段階的に仲間になる点も同様。
    • 攻撃力・防御力ともに高いが呪文は使えない主人公・ローレシアの王子、剣などの武器も魔法も器用に使うがどちらも中途半端のマイペース・サマルトリアの王子、肉弾戦は弱いが素晴らしい魔法使い・ムーンブルクの王女。後者2人の覚える呪文に関しても区別化されているため、後述のゲームバランスも相まって3人の個性は際立っており、プレイヤーに強く印象付けられる。
    • キャラのHPが0になって死んでしまった場合、死んだキャラの移動画面でのグラフィックは棺桶になり、生きているキャラが引きずりながら進む。死んだキャラは教会でキャラクターのレベルに応じた金額を寄付することで復活できる。
  • 今作では敵もパーティを組んで登場するようになり、どの敵を先に倒すかという戦略性が加わった。「敵のグループ制(例:「スライム 3ひき」など)」が登場したのも本作からである。
    • 毒攻撃のバブルスライムやキングコブラ、怪力マンドリル、火炎吐きのドラゴンフライ、剛力の脳筋怪鳥バピラス、連続攻撃を行う高火力重装甲のキラーマシーン*1、全体即死攻撃のブリザードとデビルロード……などなど、一癖も二癖もある強敵が序盤から終盤まで(通常モンスターとして)登場し、常に気が抜けない戦闘が展開されるのも魅力(?)。
    • ラストダンジョンでは特別なイベントこそないものの、各階で中ボスが待ち受けている。ブルース・リー主演の『死亡遊戯』を彷彿とさせる登場シチュエーションも相まって興奮間違いなし。

その他戦闘関連

  • 敵にも「会心の一撃」に相当する「痛恨の一撃」が搭載された。SEは「会心の一撃」と同じ。
    • ただし攻撃時の効果は同じでも仕様が若干異なり「痛恨の一撃」の枠が選ばれて1/8で発動する(7/8は通常攻撃と同じ)。つまり枠自体は「痛恨の一撃候補」のような位置付け。
      • そのため、それを持っていない敵(スライムなど)は永遠に繰り出すことはない。逆にその枠が多いとプレイヤーキャラ(均一で1/64)よりも高確率で出してくる。
  • 追加効果のある攻撃。
    • 「毒攻撃」対象の攻撃を受けると確率で毒状態になる。毒は戦闘中は何の影響もないが戦闘後、4歩ごとに1ダメージを受けるようになる。
    • 「眠り攻撃」対象の攻撃を受けると確率で眠り状態になる。ラリホーや甘い息よりも目覚めにくいのも厄介。
    • これは上記の「痛恨の一撃」と同じく「対象の攻撃を受けると確率で発動」なので「候補」のような位置づけである。
  • 新たに搭載された「2回攻撃」。
    • 1ターンで通常の攻撃を2連続で繰り出してくる。プレイヤーも「隼の剣」を持つことで可能となる(王女はこれを装備できないため不可能)。敵の場合これも「2回攻撃」という行動枠に紐づけられているため、これと上記の「痛恨の一撃」や「毒攻撃」などと被ることは絶対にないし、呪文を連撃してくることはない。
      • 次作で、これが「複数回行動」という形になり呪文や痛恨の一撃の連撃をしてくるようになった。

インターフェイスの洗練

  • 後作にも綿々と受け継がれる基礎が完成した。
    • Iの時には常に正面を向いていたキャラクターが、本作では四方を向いて表示されるようになり、話す際に方角を入力する必要も無くなった。
      • 副作用として東西南北(の方角表示)を手軽に確認できなくなった…が、まあささいな事だろう。
    • 「とる」「とびら」コマンドが廃止*2。代わりに「しらべる」コマンドで宝箱を取れるようになり、扉は「どうぐ」から適切な鍵を使用して開ける方式に統一された。
    • 「かいだん」コマンドも廃止され、階段の上に乗ると自動的に昇降するようになった。
      • 間違えて乗った場合、戻るのに2歩移動しなければならないため余計なエンカウントを増やすことにはなる。
    • 装備品の持ち替えが自由に出来るようになったのも本作から。それまでの装備も手元に残るため、メンバー間での融通も可能に。
      • ただし1人当たりの最大所持数は装備品・アイテム合わせて8個までで、薬草も独自のカウントではなくなった。

寄り道・やりこみ要素の搭載

  • 「冒険とは関係ないミニゲーム」「レアアイテムの存在」が導入された。
    • 買い物をするとランダムで貰える「ふくびきけん」を持っていると、福引所でスロット形式の抽選を行うことができ、揃った図柄次第でアイテムを得ることができる。
    • 福引1等商品の「ゴールドカード」や、はぐれメタルを倒した時のみ得られる「ふっかつのたま」*3などは、手に入れた時に友達に自慢しまくった人もいるだろう。武器や防具にも敵から低確率でしか入手できない強力装備などがあり、これらを手に入れるために繰り返し戦闘したり、クリア後も各地を彷徨ったりと、やりこみ要素として作用している。

装備品の増加

  • 特殊な効果を持つ装備品がぐっと増え、戦闘の戦略性がさらに高くなった。
    • 回避率が通常より大幅に高まる「みかわしのふく」、敵からの呪文ダメージを軽減できる「まほうのよろい」、炎や熱関係のダメージを軽減できる「みずのはごろも」、威力こそ弱いが2回攻撃を繰り出すことができるようになる「はやぶさのけん」等々。単純に上昇数値の高い装備に乗り換えていけば良かった前作とは違い、「有用な効果のためにあえて弱い装備品をつけておく」戦略も(ある程度は)成り立つようになった。
    • 強烈なペナルティを与えてくる「呪い装備」も登場。「はかいのつるぎ」などステータスの上昇数値自体は実に高いものが多く、プレイヤーを誘惑してくる。
    • 戦闘中に道具として使うと呪文の効果を発揮できる装備品も登場。ベホイミを事実上無限に使えるようになる「ちからのたて」はその代表格。

その他

  • 世界の「扉」が3種類に増加。銀の鍵・金の鍵・牢屋の鍵と、それぞれに対応する鍵を使わないと開かないようになり、「下手に敵の強い所に行けないようにする」という一種のフラグ管理が行われている。また、鍵は使用しても消えることはなくなった。
  • 「教会」が登場。死者の蘇生、毒と呪いの治療を引き受けてくれる。
  • 世界各地で「復活の呪文」を聞けるようになった。また「ルーラ」の呪文も、最後に復活の呪文を聞いたところへ移動するように仕様変更された。
  • 装備品に「兜(頭部防具)」が追加された。
    • 前作では鎧の内とされていた部分が独立した格好になる。
  • 「洞窟」は前作では暗闇状態で「たいまつ」や「レミーラ」を使用することでプレイヤーの周囲が照らされるというシステムだったが、城や町の「屋根の下」のように、暗闇の中に入ると別の部屋に切り替わるというシステムに変更された。
  • 新たなダンジョンの種類として「塔」が加わった。外壁の無い所へ進むと落下するというシステムも実装されている。
    • 「ドラゴンの角」では、早くもこの落下を利用した謎解きが取り入れられている。
  • 敵を倒すとアイテムを落とすようになった。

評価点

シリーズ基礎の確立

  • 既に述べた通り、本作から導入された、あるいは前作から改良され、後の標準となった要素は数多い。
    • そのどれもが前作の良さを殺すことなく、むしろ更に面白くする形で機能している。『DQ3』の大ブレイクの下地を作り出した功績は大きい。

歯ごたえのある冒険・謎解きの面白さ

  • 広大な世界、前作よりもはるかに強力になった敵との戦闘、様々なダンジョンと、征服欲・探索欲を掻き立てる要素が増大している。
    • 雑誌「ドラゴンクエストマスターズクラブ」の『二度と行きたくないダンジョン』アンケートでぶっちぎりの1位を獲得した「ロンダルキアへの洞窟」は、シリーズ最凶の難所として知られる。全7階層の巨大さ・落とし穴・2箇所の無限ループ・行く手を阻む強力な敵・隠された最強武器……。それらを乗り越えた先に広がる未知の光景「雪原」をみて、川端康成の「雪国」の有名な一節のような特別な感情を覚えたプレイヤーも多いだろう。そして中間地点にたどり着く前に、撲殺・焼殺・瞬殺されて下界へ強制送還という「お約束」を辿ったプレイヤーもまた多い。
  • やれることが広がったことで、世界の謎も更に深化した。作中で得られる情報をきちんと整理した上で行動しなければ絶対に解くことは出来ないだろう。
    • ドラゴンボール』よろしく世界各地に散らばった「5つの紋章」を集める必要があるが、ヒントが少なく骨が折れる。しかしその少ないヒント自体はストレートなものが多いので、RPGの基本たる情報収集を怠らなければそこまで難しくない。
    • 海の片隅にぽつんと存在する漁村・ザハン。海をくまなく調べないとたどり着けないこの島では、2つの重要アイテムが待ち受けている。
  • 古くからのDQプレイヤーに「シリーズ最難作品はどれか」と尋ねれば、恐らくほとんどが『FC版II』を挙げるだろう。
    とはいえ、当時のPCゲームの鬼畜難易度に比べればだいぶ易しい方であった。しっかりメモを取り、アイテムをしらみつぶしに使う根気さえあれば必ずクリアできる。
    • ロンダルキアへの洞窟の落とし穴も、実は落とし穴を含む地形パネルは一種類しかなく、見抜ければ穴を回避できる*4。そもそも迷路脱出法の「右手法」を知っていれば穴にはまらず通り抜けられる*5ように設計されている。

音楽

  • 前作同様、すぎやまこういち作曲の音楽も相変わらず評価が高い。
    • 前作では制約上、2トラックしか使えなかったが、本作では3トラックをフルに使えるようになったため、音色と響きに厚みが増している。
    • 仲間が3人揃う前、揃った後でフィールドマップの曲が変わる仕様になっており、どちらの曲も印象に残る。
    • エンディングテーマ『この道わが旅』は、後にTVアニメ『DRAGON QUEST -ダイの大冒険-』(1990年代版)にて、歌詞を付してのエンディングテーマとして使用された。「卒業式の旅立ち・お別れソング」として使用している学校も多い。
    • また本作は前作より未来という世界観に合わせて、楽曲も近代的なポップス調の物が多くなっている。

賛否両論点

  • 船入手後の自由度が高すぎる
    • そこまでは地続きの部分しか行けずほぼ一本道なのだが、船入手で色々な大陸に足を延ばせるようになり、探索する楽しみはあれど、どこへ行けばいいのかわからず途方に暮れたプレイヤーも多かった。
      • うかつに後半行くべき大陸に上陸して強敵と出くわし瞬殺されるケースも多発した。
      • 一応船入手後に前作の舞台であるアレフガルドが目の前にある(船入手の町でも「東の海を渡るとアレフガルド」という人がいる)のでそっちに向かい、ここでラダトームから丸見えの竜王の城に行けば竜王が「5つの紋章探し」のクエストについて説明し「まずは大灯台に行け」と教えてはくれる。
        (ただし大灯台はドラゴンフライの集団等の凶悪な敵が出現し行程も長くボス戦もあるという難関なので、最初にここに行くのが適正とは言い難い。紋章以外にめぼしい宝もなく、終盤になってから行っても全く問題はない。)
    • のちのシリーズでは、「水門」や「浅瀬」で船の移動範囲が制限されることも増えている。「どこに行けばいいのかわからない」問題は起きづらくなったが、これはこれで「行ける範囲が制限されすぎている」という新たな不満にも繋がっており、「自由度」と「謎解き」のバランスは極めて難しいことがうかがえる。
  • 没落したロトの装備。
    • 前作はロトの剣と鎧のみだったが、本作では盾と兜*6も加わりロト装備一式を揃えることができる。
      • だが防具が全て最強の守備力(呪われたものを除く)を持っているのに対し剣だけは前作の攻撃力40*7のままで『稲妻の剣』(80)どころか市販の『ドラゴンキラー』(50)にすら劣っている。そのため名実ともに最強から陥落しており「金策に困りがちな冒険の中盤にタダで手に入るから経済的に役立つ」という程度のものに成り下がってしまった*8
      • また防具に関しても守備力こそ最強だが名実とも最強と言えるのは兜のみ。鎧はHP回復効果が失われた上に『水の羽衣』に対して守備力では5の差しかなく、ブレスや攻撃呪文の耐性で劣っている*9ため実質的に最強ではない*10*11。盾も『力の盾』と守備力が2しか変わらず力の盾には道具使用の『ベホイミ』効果があるためトータル性能で劣っている*12

問題点

調整不足に起因する高難度

本作の難易度の高さは計算の上で構築されたものというより、調整不足によるバランスの悪さが大きく影響している。
評価点でも述べたように手応えに繋がっているのも事実だが、本作を語る上で避けては通れない問題でもある。

  • 前述の通り強敵が多い。
    • 大体どのモンスターも、プレイヤーの出現地帯への到達レベルを2回りほど上回った強さを持つというアンバランスな状態になっている。
      サマルトリアの王子が集中攻撃を受けて撃沈するのはもはや日常茶飯事。
+ 代表的な強敵たち
  • ホイミスライム
    • (前作もだが)本作ではモンスターにMPが設定されておらず、事実上呪文が使い放題。そのため序盤の1人だけのときにホイミスライムと戦うと、本作のホイミスライムのホイミ使用率が異常に高い(7/8の確率で唱える)事もあり、延々HPを回復されて戦闘が長引いてしまい易い。
      • 前作も対スターキメラ戦などでこういった事が発生していたが、あくまで1対1なので実質「ダメージの軽減」に近かったのに対し、こちらは回復個体が複数いるとお互い回復し合って手に負えないことがある。
  • マンドリル
    • それまで敵の攻撃力が最大25・HP20程度という時期に、攻撃力48・HP40という破格の能力値*13で、しかも最大4匹で襲い掛かってくる。物語序盤の割には、受けるダメージが10ポイント近く違うと言えば、その差が分かるだろうか。初遭遇時点で集中攻撃を受けようものならサマルトリアの王子どころかローレシアの王子さえひとたまりもない。
    • しかも強さからすれば、得られる経験値が18と少ないのも嫌らしい。ローレシアの王子の攻撃やギラで簡単に倒せるリザードフライが25の経験値を貰えるのと比べれば割に合わなさ過ぎる。
    • ムーンブルクの王女が仲間になっても尚脅威で、出現範囲も広いため、こちらがある程度育つまで長い間苦しめられることになる。
  • ドラゴンフライ
    • 最大5匹で現れて炎を吐きまくる真紅のトンボ。本作では炎のダメージを防御で軽減できない上に、炎に耐性のある装備もロトの鎧と水の羽衣しかない。HPは低いのでいかづちの杖を手に入れるかベギラマを覚えていればバギ+いかづちの杖orベギラマで一掃できるのが救いだが、戦う機会が多い大灯台では順当に進めていればどちらもまだ使えない。
      HPを回復させていない状態で、この集団に不意打ちされたり逃走失敗したりしようものなら即全滅コース…と言っても過言ではない。
    • またラリホーも完全耐性を持っており足止めができないというのも厄介。
  • パペットマン
    • 不思議な踊りを踊るか、スクルトを唱えるかのどちらか(要するに ダメージ手段皆無 )なので、このモンスターだけならばこちら側が絶対に死ぬことはない。しかし本作の不思議な踊りは「最大MPの1/3~1/6の量のMPを減らす」というシリーズ屈指の鬼畜仕様。数回踊られただけで大抵MPが尽き、最大4匹連れに遭遇すると、一瞬で呪文使い2人のMPが0になる可能性さえある。しかも素早い上に呪文も効きにくいので、踊られる前に倒すのも困難。
    • 特に「海底の洞窟」では、パペットマンに加えてウドラーに悪魔の目玉と、不思議な踊りを踊る敵が3種類も出現する。さらに溶岩*14の上を歩かねばならないため否応なく回復呪文でMPを消費する。おまけに他のモンスターも強く、前述のドラゴンフライも出現して炎でHPを擦り減らしてくるため、ロンダルキアへの洞窟に並ぶ難所である。
  • メタル系スライム
    • シリーズでは経験値稼ぎの友であるメタル系スライムですら本作では強敵として立ちはだかる。メタルスライムはギラに加えてラリホーまで使ってくる。最大HPも6と高めで、序盤に8匹の集団で現れると全滅の危険もある。しかも経験値も135と後のシリーズに比べると非常に少ない。中盤以降はローレシアの王子なら1撃で倒せるようになるのでカモになるが。
    • はぐれメタルは最大HP35と高いため、倒そうにもベギラマでHPを削られるだけに終わることが多いどころか、運が悪いとはぐれメタルの方から逃げてくれず会心の一撃も出ないまま、はぐれメタルが逃げるのを祈る、命からがらはぐれメタルから逃げ出すという他のシリーズではまず見られない光景さえ起こりうる。たとえ倒せても、経験値が1050と後発作品に比べるとやはり少ない。
      • ただし守備力は後のシリーズのような特殊な処理がされておらず255どまりなので、ローレシアの王子のレベルが高くなり、強力な武器を手に入れればダメージが通るようになる。ラスボスの守備力も255なので、はぐれメタルを楽に倒せるかがラスボスに勝てるかの試金石とも言えるかもしれない。
  • キラーマシーン
    • ラスボス、はぐれメタルに次ぐ全モンスター中第3位の守備力230を誇り、初遭遇時点ではローレシアの王子の攻撃さえ一桁ダメージに終わることも多い。攻撃呪文はまったく効かないのでルカナン重ね掛けぐらいしか有効な対抗手段がない。攻撃も2回攻撃に痛恨の一撃、とシンプル故に強力。
  • ドラゴン
    • 最大4匹で現れて威力が高めの炎を吐いてくる。ドラゴンフライと違って耐久力も高くザラキとラリホーもまず効かない、と完全な上位変換。
      • ロンダルキアを目の前にしてロトの鎧も水の羽衣も装備していないサマルトリアの王子が焼き殺され、逃走に失敗し全滅するのが日常茶飯事。
    • 前作と違い上位種は登場しないのが救いと言えば救いか。
  • デビルロード・バズズ
    • 自己犠牲呪文の「メガンテ」は本作では100%全員死亡… つまり発動されたら全滅確定となる。後のシリーズのように瀕死で生き残るような事も、回避する手段も一切無い。
      • パーティーに死人がいない場合、 「デビルロードは メガンテの じゅもんを となえた!」 のメッセージが表示される前に突然文字枠が赤くなる。「文字枠が白から赤に」→「呪文のSEが鳴る」→「 『メガンテの じゅもんを となえた!』 のメッセージが表示される」順番に処理されるので、文字枠が赤くなった瞬間に全滅が確定する。
    • デビルロードはHPが1/4以下に減るとその呪文を1/8の確率で唱えてくるのだが、数匹グループで頻繁に登場する上、後発作品に登場するばくだんいわと違い、炎や甘い息等で熾烈に攻め立ててくる。
    • さらに上位モンスターで中ボスでもあるバズズは、ボスでありながら同様にメガンテを使ってくる。
      • デビルロードにはマホトーン、バズズにはラリホーが有効でメガンテを封じる手立てがあるのがせめてもの救い。ただデビルロードは呪文を封じるとベギラマを使わなくなり、炎と甘い息の頻度が上がるのでこれまた厄介。
  • ブリザード
    • 最大4匹で現れて全体即死呪文のザラキを連発してくる*15。これだけなら後のシリーズでも同じような敵はいるが、厄介なのは「レベル最大でも確実な対抗手段が存在しない」こと。
    • 本作の行動順はランダムの要素が極めて大きく、すばやさ最大の王女であっても先攻が取れないことがよく起こる。そしてブリザードは「ザラキかルカナンしか唱えない」ため、ザラキを使う確率が非常に高い(ほぼ半々)。その上、本作にはザラキ耐性を上げる・封殺する装備品が存在しないので「遭遇したが最後運ゲー」ということになる。敵から味方へのザラキの成功率自体は1/8と一見低めだが、何度も連発される事を考えると決して低くはない。
      • 攻撃手段がザラキのみであるため、運良く効かずに倒すか逃げられれば被害はない。そういう意味でも運に左右される。サイクロプスやキラーマシーンといった物理攻撃の強力なモンスターと組んで出現したとしても、本作のルカナンは後述のように欠陥品も同然なので使ってくれればほぼ行動を無駄にするだけなのでラッキーといえる。
      • 前述のデビルロードのメガンテ同様ブリザードのザラキは唱える前に判定されているようで*16、味方の誰かに効いたと判定された場合ステータス画面やテキスト、そしてブリザードの白い部分*17の色が誰かが死亡したときの赤色に染まり 「ブリザードは ザラキの じゅもんを となえた!」 と表示される。ここまでたどり着いたプレイヤーには赤色のステータス枠自体は見慣れたものではあるものの、いきなり画面が赤色に染まるためプレイヤーにトラウマを残した。
    • 更にこちらが先手を取ったとしても、ブリザードはHPも呪文抵抗力もそこそこあるのでイオナズン+ベギラマでも生き残ることもしばしば。こちらのザラキの成功率も50%なのでリスクが高く、そしてマホトーンは絶対に効かずラリホーもまず効かない。上記のデビルロードが可愛く見えるほどである。
  • アークデーモン
    • 前述のブリザードやデビルロードのような即死攻撃こそないものの、最強呪文のイオナズンを連発する上、ギガンテスに次ぐ圧倒的な攻撃力で2回攻撃まで繰り出してくるという、(威力中程度の)炎攻撃すら有情に思える強敵。
    • 最大HPも210と高く、最高レベル&最強装備のローレシアの王子でも会心の一撃が出ない限り1ターンで倒すことは困難。こちらのイオナズンも3/7の確率で無効化され、ザラキもまず効かない。さらに物理攻撃も7/64の確率で回避するという俊敏さも持ち合わせている。
    • おまけにマホトーンに対しては完全耐性を持っているため、最大の脅威であるイオナズンを封じ込めることは不可能。ラリホーがそこそこ効くのがせめてもの救いか。
    • 単体でも充分強いのに、ブリザードやデビルロードを伴って出現することもある。運悪くデビルロード2匹と組んで出てきたときは、甘い息で眠らされたところをイオナズンでぶっ飛ばされるか、デビルロードから先に始末しようとしてメガンテを使われるか…などなど、と全滅を覚悟した方が良い。
  • ラストダンジョンのボスたちは、1体を除いてなんと(パラメータ上最大HPを256以上にすることができなかったゆえの苦肉の策として)全回復呪文「ベホマ」を使用する。
  • ラスボスは前述のとおりベホマを使う上に、攻撃呪文が効かず会心の一撃が絶対に出ない仕様になっているため、「ルカナン」を重ね掛けするぐらいしか有効な戦法もない。判断力の数値が最低に設定されており、自身のHPがMAXでもベホマを使用する事もあるのが救いか。
    • このため、やろうと思えば(そして運が良ければ)低レベルでも撃破は出来るので、ひたすらレベル上げしなければ絶対に勝てなかった前作のラスボスよりは弱いという声もある。
  • こちらの使う蘇生呪文「ザオリク」は移動中しか使えず、更に蘇生時のHPは1。しかし悪魔神官の使うそれはHP全回復と、次回作以降の仕様を先取りしている*18*19
  • 守備力を増減させる「スクルト」「ルカナン」の増減値が1回につき「基本守備力の8~17%」しかなく、さらに重ね掛けしても基本守備力の50%~150%の範囲までしか変わらないというのも厳しい*20
  • 逃げるの成功確率が一律2/3とシリーズでも高めとなっている。
    • これ自体は問題が無いように見えるが、逆に言えばレベルがどれだけ上がろうと成功確率が上がらないのである。そのため温存策を取る場合、逃げるよりも殲滅した方がかえって消耗が抑えられる、という逆転現象が発生してしまうことも。
    • もっとも、仮にレベルによって逃走成功確率が上がったとしても、後のような低確率であれば*21ロンダルキアへの洞窟などの難易度が跳ね上がっていたのも事実だが。
      • なお、上記の成功率は大半のボス戦にも適用されており、海底の洞窟とハーゴンの神殿上層部に出てくるものを除き(これらは出現地点に逃亡阻止の処置がされている模様)、同じく2/3の確率で逃げだすことができる*22

一部謎解きの高難度

  • 紋章探しは特に困難。「吹けばそのフロアでの紋章の有無がわかる」アイテム「山彦の笛」を手に入れたところで、前作の「王女の愛」の様にそのものずばりの位置を示してくれるわけではない。笛を吹きまくり、反応があれば床を一歩一歩「しらべる」必要がある(前述の通りヒント自体は分かりやすいが)。
    • この紋章探しに関連して、とある人物が「かつてメルキドと呼ばれた街の南に~」と助言してくれるが、前作未経験者には「?」となるヒントであることは否めない(本作では前作のメルキドは勿論、その跡地にも何もない)。
      • もっともこの助言の場所である大灯台はこの時点では場違いな難易度なので気付かなかったらむしろラッキーである。
    • 紋章を納めに向かう祠の場所については 「海のどこかに」 というアバウトな一言。海上でわずか1マスの祠を探さねばならないが、これには「海上を彷徨いながらレベルを上げさせる」というゲームバランスが組まれている一面がある。
    • とは言え、主要地点同士の動線上にあるため、思いがけず見つけることも多い。
    • 紋章を集めた上で入手する「ルビスの守り」はラストダンジョンで使用するのだが、最後の紋章はラストダンジョンへ向かう途中のダンジョン内にある。
      • そのため、紋章を入手した時点で一度戻る必要があるのも面倒であるし、気づかない等でそのまま先へ進んでしまいラストダンジョンで途方に暮れたプレイヤーの姿もあった。
  • 進行必須アイテムの「水門の鍵」及びその持ち主であるラゴスの発見もかなり高難易度。
    • 「ラゴスという泥棒が水門の鍵を盗み出した」「ラゴスはペルポイの町の牢屋に捕まっている」というところまでは情報収集を欠かさなければ聞き取れるのだが、ペルポイの牢屋に実際に行くと牢番の「ラゴスは脱獄してしまった」の一言と共にパッタリと足取りが辿れなくなってしまう。
      • 気付いてしまえばなんてことはないところに隠れており、見つけ出してしまえば水門の鍵も普通に譲ってくれるのだが、ほぼ完全なノーヒント。前作をプレイしていれば勘のいい人なら気付けるかも……というレベルの発想の転換が求められる。
      • シナリオ進行的にはラゴスに会うのは金の鍵入手で解禁されるイベントなのだが、金の鍵を使って探索できる範囲には、旅の扉の行き先がラゴスと同じトリックで隠されていた部屋だったというパターンが数多く配置されている。一応これがヒントと言えなくもないが、これをラゴスに結びつけるにはそれなりの勘が必要だった。
  • ラストダンジョンの1階から2階に移動する方法については完全ノーヒント
    • やる事自体は特定の場所でイベントアイテムを使うだけの事なのだが、ここまでアイテムを使用するイベントには一応はヒントがあったため、全くヒントがないためにイベントアイテムを使用するという考えに至らないプレイヤーも多かった。
      • 加えてアイテムを使用する場所も目立つとはいえただのデザインと見れなくもなく、使用するアイテムも既に別のイベントで使用済みのアイテムである。
    • 流石に公式ガイドブックでもこの点を考慮したか、Q&Aコーナーにほとんど答えも同然のイラストが掲載された。
      • 「意外と簡単だと思うが」などというコメントが付いているが、まったくそんな事はない
      • なお、謎解きと呼べるのはここが最後で、これ以後は比喩でなく1本道が最上階まで続く*23という、歴代でも珍しいシンプルなラストダンジョンになっている。
  • これらの謎解きの難易度の高さは、プレイヤーが学校などで情報交換を取り合うことも想定していた。
    • 当時少し遅れてプレイし始めた人は、そこまでゲームが進行していないにもかかわらず、友達から答えを聞いて知っている、という人も少なくなかったのではないだろうか。
    • 完全にノーヒントで一人でプレイすると、謎解きを全てこなすのは困難である。
  • 実は謎解き難易度の高さは戦闘難易度の高さと表裏一体の部分があり、「謎解きで世界のあちこちを放浪しているうちに、自然と適正なレベルまで経験を積む」ことがある程度意図されて設計されている。ただ、成果の上がらない探索を延々とやらされている感が否めないのも事実である。

妙に弱いサマルトリアの王子

  • 仲間にする際の右往左往、そしてそれを締めくくる「いやー、さがしましたよ」という、プレイヤーの感情を逆なで*24する迷台詞。
    それに反してステータスの伸びは悪く装備も貧弱で、うかつに攻撃に参加させるとたちまちあの世行きになるその頼りなさは「器用貧乏キャラ」の代名詞として扱われている。安定して使える攻撃呪文は低火力の「ベギラマ」、回復は「ベホイミ」と、こちらも頼りない。装備可能な最高攻撃力の武器が3人揃うより前の序盤に購入可能な「てつのやり」*25で終了とは、流石にロトの子孫としていかがなものか。
    • 右往左往に関しては、王子側もこちらを探しているために起こったすれ違いであるし、FC版では勇者の泉で清められた際にフラグがたち、直接リリザの街にいけば仲間にできる*26ためにそもそも右往左往せずに済むこともあった。
    • ステータスに関しては呑気者という設定を反映してか、実はレベル30手前あたりからステータスの成長率が急上昇をはじめ、最終的にはやぶさの剣や鉄の槍でもまともなダメージを出すようになるのだが、本作の平均クリアレベルは30強であり、ステータスが上がり始めた直後にクリアしてしまうというケースが多かった。後述しているが、開発が難航した関係で、開発が想定したクリアレベル帯と実際のクリアレベル帯に大きな差が生じているのも一因だろう。
      • ベギラマはレベル18にならないと覚えないにもかかわらず、設定ミスで王女がレベル4で覚える「バギ」と同威力(17~33ダメージ)となってしまっている(説明書や公式ガイドブックには本来の威力である30~50ダメージと書かれている)。敵全体に攻撃できるメリットはあるとはいえ、覚えるレベルで行く場所ではもはや火力は一線どころか削りに使うとしても弱すぎるという状態になってしまった。
      • ベギラマの弱さが目立つが本作はベホイミも王女がレベル1から使えるせいなのか妙に弱い。本作のベホイミは移動中と戦闘中で回復量が違うのだが、移動中だと回復量34~66でなんと回復量が薬草と同じである(薬草がシリーズ屈指の強さ、とも言えるが)。ホイミの回復量が25~42なのでヘタするとホイミより回復しない有様。戦闘中も回復量45~85とばらつきが大きい上に、力の盾の使用効果で無限に使えてしまう*27
      • とはいえ、帰還の呪文「ルーラ」やザオリクは彼しか使えないし、序盤のホイミ・ギラ・キアリーは「湖の洞窟」攻略にかかせない。パーティメンバーが多ければアイテムの所持量が増え、敵の攻撃も分散する…と、実際には無くてはならない存在であるのがまた面白い(「蘇生役が真っ先に死ぬ」「ピンチの時ほどルーラ役が死んでいる」といった事情が、余計に「使えない奴」という印象を助長している節もあるが…)。

『ふっかつのじゅもん』の冗長化

  • ゲーム内容の増加に伴って復活の呪文が冒険の進行と共に長くなっていき、最長で52文字にもなる。そのため、ゲーム再開時の呪文の入力に時間が非常にかかる。うっかりメモを取り間違えてしまい、「じゅもんが ちがいます」のコメントを前に絶望するプレイヤーが続出した。
    • 使われる文字は「あ~ぽ」までの64文字分の平仮名。「だ」行の代わりに「ぱ」行が入ったため、前作で生じた「じ・ず」と「ぢ・づ」の混乱はなくなったが、今度は濁音「ばびぶべぼ」と半濁音「ぱぴぷぺぽ」を誤認するケースが多発した。
      • そもそもRF接続しかないファミコンと当時のテレビでは「ドットの滲み」が激しいので濁点と半濁点の判別は著しく困難*28
    • パーティメンバーが増えるほど呪文も長くなる。手持ちのアイテム数も長さに関係しているため、アイテムを減らせば多少は短くすることが出来る。
    • 長くなったと言ってもフラグの全てを管理しているわけではないので、その隙を突いて「みずのはごろも*29」を複数入手するという裏技も存在する。

幅が大きすぎる乱数

  • ダメージ計算や行動順に用いられる乱数に妙に幅がある。また呪文の数値にも大きなばらつきがあり不安定。
  • 特に行動順に割り振られる乱数が極端に大きく(素早さ÷2の値に0~255加算される)、寧ろ素の素早さの影響の方が小さいとすら言える。これにより最高レベルでも序盤の敵に先制行動されたりする。呪文の威力も最低と最大に倍ほどの差がある。
    • この煽りを受け、比較的高い素早さや中級回復呪文を売りとしているサマルトリアの王子の使いにくさに更に拍車をかけている。
  • この辺りの大雑把さはウィザードリィ等も同じであり、この時期としてはそう珍しいものでもない。以降の(日本製)コンピュータRPGでは徐々に乱数の幅が減っていく。
    • もっともウィザードリィはテーブルトークRPG『ダンジョンズ&ドラゴンズ』の影響を受けまくっているので当然である。そして当時のコンピュータRPG全体がウィザードリィ(及びウルティマ)の影響を受けまくっている。
      • D&Dに限らずTRPG(及びボードゲーム版SLG)は乱数の影響が大きい物が多い。それによって起こる思わぬ事故がまた醍醐味として楽しまれているのだが、アドリブによる物語の修正が効かないうえ、TRPGとは比べ物にならない回数の(正に「桁が違う」)戦闘を繰り返すコンピュータRPGには向いていなかったのだろう。

その他

  • 本作より、敵を倒すとアイテムを落とすようになったが、本作には仕様上、落とし穴がある。
    • 薬草などごく一部以外のアイテムは、1つでも既に所持しているとそのアイテムを落としても内部でゴールドに置き換えられる*30。そのため、ドロップ品でしか入手できないアイテムは1つまでしか入手できない(リメイク版で修正)。
      • 特に問題なのが「不思議な帽子」。サマルトリアの王子とムーンブルクの王女にとって唯一装備できる兜なのだが、低確率でしか入手できない上に1つまでしか所持できないため、2人同時に与えることは絶対にできない
        この仕様は公式ガイドブックなどにも記載されなかったため、2つ目を入手しようと無駄な時間を費やしたプレイヤーも少なくなかった。
      • 本作にはまだ預かり所は存在せず、仲間をパーティから外すこともできなかった。後の『IV』のはぐれメタルヘルムと違って、複数入手する手段は無いのである。
  • 鍵の管理が面倒
    • 本作は後作の「さいごのかぎ」のような万能キーはなく、ムーンブルクの王女が「アバカム」を覚えるまでは、全ての鍵を持って管理する必要がある。
      • 実際はほとんど利用価値のない銀の鍵等もあるが、攻略情報でも見ない限りどの鍵がいつまで必要かは分からない。結局4種の鍵を持って数少ないアイテム欄を圧迫されながらのプレイになってしまいがち。水門の鍵は使用箇所で消えてくれるので、使ってしまえば枠が一つ空くだけマシだが。
      • ただし牢屋の鍵だけは、下手に捨てると詰んでしまう可能性もある(詳しくは後述)。
  • 福引きの5等が薬草。
    • 当りの最下位である5等は15Gでどこでも簡単に買える薬草(売っても12G)。福引券そのものが53Gで売れることを考えれば事実上のハズレでしかない。こんなことなら絵柄2つ揃いの残念賞による福引券バックの方がはるかにマシである。

総評

1人旅だった前作から一歩進み、キャラクターに与えられた明確な個性と、複数パーティという仕様によりもたらされた戦闘の戦略性は斬新な要素であった。
また乗り物などといった行動範囲を拡げる要素も取り入れられるなど、以降のRPGにおける新たなお約束もここで初登場した。
まさにこの後に登場したRPG全ての原点ともいえる存在であろう。今遊んでもその面白さは全く古びる事はない。

上述の通り、調整不足から来るバランスの悪さと難易度の高さが欠点だが、それがまた良くも悪くも歯ごたえの高さに繋がっている。
ライトユーザー向けの易しい難易度のRPGでは物足りない人は是非とも挑戦してみて頂きたい。


移植・リメイク

  • FCの他、MSX1とMSX2版が発売されている。
    • あるキャラに話しかける際、ムーンブルクの王女をある状態にすると「あぶないみずぎ」が貰えるイベントが追加される。この時MSX1版のみ、水着(モノキニ)を着た王女の一枚絵が(モノクロ画像だが)表示される(一方でMSX2版ではイベント自体は存在するものの一枚絵は無い)。「あぶないみずぎ」は『III』にて装備として正式に採用された。これが俗に言うドラクエ名物「セクハラ装備」の始まりである。
      • 貰うときは何故か「ハイレグのみずぎ」と言って渡される。渡された後はメンバー全員が見てる前で生着替えさせられて、やんややんや言われるセクハライベントが発生する。
    • モンスターの出現パターンも変更。キラーマシーン3体や悪魔神官4体のように凶悪なパターンもある。
    • 画面スクロールは両機種版共に8ドット単位でガクガクしており、カーソル入力の反応もよくはない。
    • ちなみにMSX版・MSX2版を製作したのはエニックスが発注した個人請負のプログラマーとのこと。
  • 1993年には『I』と共にSFCにて『ドラゴンクエストI・II』としてリメイクが行われた。難易度等が調整されており、かなり遊びやすくなっている。
    1999年にはGB版も発売。
    • 詳細は上記リンクを参照。
  • 2005年には携帯電話アプリ版、2014年にはスマートフォン版も配信されている。
    • 2017年に上記を元にした3DS・PS4版が、2019年にはSwitch版が発売された(ダウンロード専売)。

余談

  • 本作の難易度の熾烈なバランスは前述の通りだが、このような状態になってしまった原因は開発スケジュールの余裕の無さに起因している。
    • 本作の開発期間は『I』発売から数えてわずか7ヶ月しかなく、皆で手分けして各部の作業を行うように割り振った結果、「最初から最後まで通しでテストプレイをした人間がいない」状態となってしまったのだ。
      • 要所でのテストプレイは行っているものの、それは予め想定したレベルでのテストプレイであり、その想定レベルが実際の到達レベルよりも、かなり高かったため難易度が上昇してしまったのである。
    • 因みに、当時エニックスからの催促が鬼の様にかかってきて、難航した開発との板挟みになり、ゲーム発売後に堀井雄二は胃潰瘍で倒れてしまったエピソードが本人から語られている。
    • 一応の時点だが最初から通して遊べる段階で、スタートからロクでもない難易度だったと、中村光一とすぎやまこういちの対談で語られ、すぎやまが驚いていた。
      参考までに、普通に進めた場合、ロンダルキアへの洞窟はLv24(経験値90000)前後での踏破となり、公式ガイドブックの到達レベルは30(同230000)である。
  • パッケージウラの画面写真の1つが戦闘画面になっており、なんとローレがレベル1、サマルとムーンがレベル7でブリザード1体・ギガンテス2体と戦っているという、まず普通のプレイではありえない状況となっている。
    • 言うまでもなくこんなレベルではブリザードのザラキ以前にギガンテスの一撃で即死必至。全部会心の一撃が出たとしてもまず1体すら倒すことなどかなわないだろう。
    • そもそもローレが死んだまま二人だけレベル7まで上げる時点でもとんでもなく面倒な作業を強いられる。それでいてそんな状態でロンダルキアでこの組み合わせと遭遇する状況など、正攻法プレイでは意図的にやろうとしても実現できる可能性は限りなくゼロに近い*31
  • 『ファミリーコンピュータmagazine』の1987年度ファミマガゲーム大賞では28.02点(5点満点×6部門=30点満点)という驚異的な高得点を叩き出した。
    • これは結果的に最後まで破られることない歴代最高記録となった。
  • 糸井重里はロンダルキアへの洞窟を踏破した際の「思えば遠くへきたもんだ」という感慨から、広いフィールドが特徴の『MOTHER』作成のヒントを得たと語っている。
  • 本作で登場した「痛恨の一撃」は「敵が会心の一撃を出してきた!」という強烈なインパクトを放ったが、現在からすればちょっと笑えるネタもある。
    • それは小学生ぐらいならば「痛恨」という言葉自体知らず「つうこん」という文言自体をこのゲームで初めて見たせいで「つうこん」を「IIコントローラー」の略称「ツーコン」と勘違いしたというもの。
      当時は平仮名、片仮名を満足にすべて使えるゲームはほとんどなかったため、こういった表記もザラだったことや、対戦ゲームではCPUが2Pの代わりだったことなどもあって「敵→CPU→2P→IIコン」のような三段論法的解釈でネタでなくマジにそう思ったという現在からしたら冗談としか思えないことが起きてしまったようだ。
      実際「ファミマガ」コト「ファミリーコンピュータMagazine」の「DQII Q&A」のコーナーの投稿イラストにも「IIコンの一撃!」とIIコントローラーの絵が描かれたイラストがあった。
      因みにこの「ツーコンの一撃」は現在でもネタとしてよく使われる。
  • この当時のゲームは容量との戦いが避けられず様々な形で使い回すことによる削減の工夫が本作や本シリーズに限らず見られた。
    • 本作ではその使い回しにさすがに無理筋なものがある。それはなんと精霊のほこらで精霊ルビスが「ルビスのまもり」をくれる時の台詞で、アイテム欄が満タンでそれを受け取れない場合…
「でも きみたちは もちものが いっぱいだね。 でなおしておいでよ。」
  • とまあ、こんなとても似つかわしくないことを言うのだ。
    それまでの台詞は「わたしを よぶのは だれ? わたしは だいちの せいれいルビス です。 あら?おまえたちはロトのしそんたち ですね? わたしには わかります。 では わたしは ゆうしゃロトとの やくそくを はたすことにしましょう。 わたしの まもりを おまえたちに あたえます。」であり、それまで「おまえたち」「です」「ます」と厳かなイメージから一転、急にくだけた口調になり、まるでコントのようなズッコケ展開になる。
  • これはラゴスから「すいもんのカギ」を受け取る時に同じく満タンで受け取れないときに言われる台詞をそのまま使い回している。
    ラゴスの場合は「あは みつかっちゃった! ぼくが うわさの ラゴスだよ。 すいもんのカギを かえすから もう ゆるしてね。ごめんね。」と上記の口調そのものであるため、元々ラゴスありきで作られた台詞と思われる。
  • 普通に考えれば、精霊のほこらのような場所に向かう時の方が準備を整えて行くと思われ、街中に配置されたラゴスでそのようなケースになることが多いだろうと想定してラゴスを優先したと思われる*32
  • 実際ルビスの守りまでも道のりは長く苦しいので先述の通り準備を整える傾向や、それ以前に挫折した者も少なくはないことなどから、上記のようなコントを見た人は少なく、インターネットによる個人の情報発信が確立されるまでは比較的マイナーなネタだった。
  • MSX1版とMSX2版は同じ容量で移植ができなかったようで容量が倍増された。ちなみにDQ1も容量が倍増されている。
  • 本作と『ポケットモンスターシリーズ』には実はとある縁がある。
    • 書籍『ゲームセンター「CX」』によるとポケモンの開発者である田尻智は、友人であり後にポケモンのキャラデザを担当することになった杉森建がふしぎなぼうしを2個持っているのを見て「どうにかして1個譲ってもらえないか」と悩んだらしい。その経験が後に「友人同士でデータを交換し合う」というポケモンの発想に繋がったのだとか。
      • しかし、前述のようにFC版ではふしぎなぼうしはどうやっても1個しか所持できない仕様*33なので、このエピソードは成立しない。可能性としては杉森が何らかの偶然でふしぎなぼうしを2個手に入れたふっかつのじゅもんを成立させたか、杉森が見栄を張っていたのか、田尻の記憶違いか、あるいは……
      • 実はふしぎなぼうしを2個にすることが可能なアイテム増殖の裏技が存在する。しかもその手法は、「2つのふっかつのじゅもんを使って、アイテムを他のふっかつのじゅもんから貰う」というもの。ただし後述のデルコンダルにシドーを出現させる裏技が基礎になっているため実践する難度は高い。

有名な裏技・バグ

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  • 復活の呪文を「ゆうて いみや おうきむ こうほ りいゆ うじとり やまあ きらぺ ぺぺぺぺ ぺぺぺ ぺぺぺ ぺぺぺぺ ぺぺぺ ぺぺぺ ぺぺぺぺ ぺぺ」と入力すると、「もょもと」と名付けられた、Lv48からスタートする(おまけに三万近い所持金と、紋章を既に3つ入手している)*34ローレシアの王子が登場する。如何にも制作側の「仕込み」臭い文字列だが、全くの偶然とのこと。*35
    • そもそも文字の組み合わせは無数にあるため、意味が通じる文章の復活の呪文が生成されても不思議ではない。もし仕込みであれば、レベルにせよ紋章にせよ名前にせよ、もっと整ったデータになっていただろう。
      • そもそもこの呪文には堀井雄二が2人いるし*36
      • 現在は復活の呪文の生成プログラムが解析され、さらに意味の通ったネタ復活の呪文も多く作られている。
  • サマルトリアの王子とムーンブルクの王女の名前は、ローレシアの王子の名前の文字に割り当てられた数値によって選ばれる。
    • また、ローレシアの王子の名前または復活の呪文の最後の文字(または「おわる」)を入力する時にセレクトとスタートを押しながらAで決定すると、2人の名前を任意に変更できる。ただし再開する度に元に戻ってしまうので、毎回設定し直す必要がある。
      • これはサマルトリアの王子とムーンブルクの王女の名前まで記憶させようとすると、ただでさえ長い復活の呪文が更に長くなってしまうためである。
    • サマルトリアの王子に設定される名前の1つ「トンヌラ」はそのどこか間抜けな響きが話題を呼び、後の『V』でも主人公の誕生場面でネタとして使われた。ちなみに『いただきストリート』シリーズなどに2人が登場した際は本作での名前の1つである「クッキー」「プリン」という名前が使われている。
    • ムーンブルクの王女の名前の1つに「あきな」というものがあるが、それは堀井雄二が当時中森明菜のファンだったためである。
  • 今作に限り集団で現れたモンスターとの戦闘には経験値に補正がかかり、出現した敵の頭数が多いほど1体あたりの経験値も余分に手に入るよう調整されている。
    • 1体ならザコでも束で同時に来られると厄介になるのは必然なので納得のシステムだが、後のシリーズどころかSFC以降のリメイク版でも採用されていない。
  • 復活の呪文で再開した時は、必ず全員のHP・MPが全快、毒や死亡といったバッドステータスも回復している。
    • 但し死亡に関しては、教会で生き返らせたときと同じ額のゴールドがしっかりと減っている(手持ちが復活料金に満たなかった場合は、手持ち0で全員復活)。
  • とある裏技を利用すると、2回攻撃能力を持つ「隼の剣」に「破壊の剣」の最高攻撃力が宿り、なおかつ「破壊の剣」の呪い効果も起きない恐ろしい武器・通称「はかぶさのけん」が出来上がる。
    • 同時に呪われた防具の防御力を他の防具に適用することもできる。
    • なお、サマルトリアの王子は「破壊の剣」を装備できないため「はかぶさ」は不可能だったりする。「鉄の槍」の攻撃力を持った隼の剣や悪魔の鎧の守備力で呪われないという程度なら可能。
  • デルコンダルの城で復活の呪文を聞いてから、ロンダルキアのほこらに入らずに直接ラストダンジョンに挑んでラスボス戦でわざと全滅すると、デルコンダルの城で復活してから一歩動いた瞬間に再びラスボス戦が開始される。このラスボスを撃破するとバグだらけのダンジョンに飛ばされてしまう。
    • もっともこのバグを実践するには、ロンダルキアへの洞窟からラストダンジョンまで回復無しでノンストップで辿り着かないといけないので、難易度はかなり高い。
  • 「鍵」は重要なアイテムだが捨てることが可能になっている。
    • そのため、鍵無しでも扉を開ける「アバカム」の呪文を覚えずにロンダルキアのほこらで復活の呪文を聞いた後に「牢屋の鍵」を捨ててしまうと、アバカムを覚えるまでは下界に戻れなくなるという罠がある*37
    • 因みに説明書には「扉の鍵は、金の鍵と銀の鍵の2種類がある」と書かれていて、牢屋の鍵の事は伏せられている。
  • ボスを一撃で倒すことができる
    • パルプンテの効果の1つに「おそろしいものをよびだす」というものがあり、これにあたると味方が全員気絶し、敵はすべて逃げ出してしまう。
      これがボス戦にも有効でなおかつ「戦闘終了=倒した」と判定されるため、たとえハーゴンであろうとも逃げ出した後きちんと倒した時のセリフを吐いて絶命する。
      • ラスボスのみ例外で、「逃げ出した」と表示され敵グラフィックも消えるがすぐに再度表示され戦闘続行となる。
  • はぐれメタルがたまに落とす「ふっかつのたま」はいつでもどこでも復活の呪文が聞けるアイテムだが、ラスボス撃破後にこれを使っても復活の呪文を聞くことが出来る。
    • ただし、この復活の呪文で再開するとラスボスを倒す前の状態に戻ってしまう*38

タイアップ

  • 復活の呪文入力画面のBGM『Love Song探して』はタレントの牧野アンナとのタイアップであり、本人歌唱によるボーカル版が存在する。残念ながらタイアップ自体は不発に終わった。
    • 前作の「ちゅん」や「みやおう」のように、劇中で「まちのうたひめアンナ」が登場し、タイアップ曲の「Love Song探して」を歌うシーンがある(BGMが入力画面の曲に代わる)。
    • ちなみに、後に『V』が発売された頃にエニックス公式で結成されたアイドルデュオ『ルーラ』がデビュー。『Love Song探して』の歌詞違いver.を含めて様々な曲を歌ったが、これまた不発に。
  • オールナイトニッポンの特別番組
    • 「オールナイトニッポンスペシャル・徹底追及ドラゴンクエスト2」と題し、ドラクエIIの単一番組が放送された。パーソナリティはのちにドラゴンクエストIIIのヴォーカル版をリリースする鴻上尚史、ゲストは堀井雄二とさくまあきら。ドラクエのラジオドラマ等、ユーザーや原作者堀井雄二からすれば色々な意味で「コレジャナイ感」で溢れていた*39
      • 放送の中で、「ホイミという名前のドリンクを出したら?」とさくまあきらに振られた堀井雄二は苦笑いではぐらかした。後にファイナルファンタジーで「ポーションのドリンク」が出る事になる。因みにこの放送のスポンサーに、後に合併するスクウェアが参加している。今振り返ると「面白い」所も。
    • 放送日は1987年4月4日、発売日から絶妙に経過した頃で難易度的に各種高難度の謎解きについて知りたい時期であり、リスナーのハガキ募集も当然ながら質問だらけとなった模様*40
    • 因みに、ラジオではあるが何気にエニックス全面協力の下ドラクエ単独で初の番組放送である。この放送繋がりで、後にオールナイトニッポンパーソナリティとなる鴻上尚史がドラクエⅢ愛の溢れる放送を送る事になる。
  • オリジナル実写ビデオ
    • 「ドラゴンクエストファンタジアビデオ」という実写ビデオが1988年に制作された。サイレントドラマとオーケストラで構成、ロト三部作(Ⅰ~Ⅲ)の楽曲からセレクトされたものを使用。メインとなるドラマパートは主にドラクエⅡだが主人公の衣装はⅢ。Ⅲの移動手段で倒しに行くのはⅠの竜王と、初期3作品の要素がコンパクトに再構成されている。*41
      • エニックス監修のもと、東北新社が制作。音楽はすぎやまこういち、演奏は東京交響楽団(アレフガルド交響楽団名義)。企画は岡田斗司夫で氏と縁深いガイナックスとゼネラルプロダクツ*42が特撮アニメーションと小道具を制作。また、知人で怪獣好きの庵野秀明が竜王のスーツアクターを務めた。制作費1億5千万円。
    • 実写シーンは明らかにチープな点も散見されるが、当時における最先端の特撮やCG、アニメーションの合成技術が駆使されている。モンスターや街や城の雰囲気など、高い再現度で表現された部分もありファンにはうれしい。
    • この作品が縁でFC版DQ1~DQ4の【公式ガイドブック】に掲載される武器や防具、アイテムのイラストはガイナックスが描き起こすことになった。

その後の展開

  • 『IX』ではローレシアの王子の服アイテムと、サマルトリアの王子とムーンブルクの王女が配信で登場する。
  • ドラゴンクエスト モンスターバトルロードシリーズ』ではパーティーキャラクターが全て登場している。また「はかいのつるぎ」を装備して条件を満たすと「滅・はやぶさ斬り」なる技が使えるという凝った演出がある(実況まで「恐るべき隠し技!」「まさかの2回攻撃!」と叫ぶ徹底ぶり)。
  • 双葉社と旧エニックスからゲームブックが発売されている。
    • 双葉社のものはギャグ要素がかなり多めで、どちらかといえば子供向け。もっともファミコンソフトは子供向けに作られているのが基本だったので、本来のターゲット通りだが。
    • エニックスのものはオリジナル要素が多めだが、かなり完成度の高いものになっている。著者はTRPGや神話・FT関連書籍を多く手掛け、後に『I/O』のシナリオも担当した健部伸明。呪文発動時の凝った詠唱など、彼の持ち味が存分に発揮されている。
      • ストーリーも、主人公達が世界を巡ることで、当初はバラバラだった各国が打倒ハーゴン軍を目的に纏まっていく過程が丁寧に描写されており、そのクライマックスとも言えるサマルトリア攻防戦は最大の見所の一つ。更に「はかぶさの剣」や「デルコンダル城でラスボスと戦える」バグ(前者は運次第だが、後者はきちんとした理由付けがされている)まで再現しているこだわりっぷりで、エニックス発売のドラクエゲームブックでは『II』が最高傑作だと評する人も多く、かなり大量に流通したにもかかわらず、現在ではAmazonでもプレミア価格になっている。
      • キャラクター面では特に、サマルトリアの王子が非常に格好良く書かれているのが特徴。一人称もローレシアの王子が「ぼく」なのに対し彼は「俺」とワイルドな感じになっており、ヘタレのイメージを覆す新たなサマルトリアの王子像が活き生きと綴られている(また、ゲーム本編ではあまり目立たなかった竜王のひ孫も出番は少ないが重要キャラで、普段こそお茶目だが要所では渋い姿を見せてくれるため好評)。上にも書いたとおり現在での入手は困難だが、手に取る機会があればぜひ一読してもらいたい。
  • 前作に続いて小説版も発売された。著者はロト三部作共通で、高屋敷英夫。しかしゲームのイベントをいくつも端折っている割に、オリジナルキャラの活躍に尺を取っており、完成度は前作より低い。
    • このオリキャラ魔法剣士「ガルド」はライバル役として登場するが、ローレシアの王子を圧倒するほど強く、サマルトリアの王子が決死の覚悟で唱えたメガンテでも怯むだけ、その動きは大幹部の悪魔神官でも捉えられず、実は前作小説に登場した勇者の仲間(※こちらもオリキャラ)の子孫で、悲劇的な過去を背負っており、終盤で仲間になり、ラストバトルで大活躍し、惜しまれつつ死ぬ…という、いかにもなメアリー・スー系キャラであった。
    • 因みにサマルトリアの王子は、妹や父親に「スライムにも勝てない」と呆れられ、ムーンブルクの王女には振られ、戦闘では悲鳴を上げて逃げ回り、すぐにヒステリーを起こし…と、ゲームでもそこまで酷くはないだろうというほどのダメキャラにされている。最後の最後で報われたが。
    • 締め切りを勘違いしており、急いで書いた」とあとがきにある通り、やたらと改行が多かったり、ゾンビ系モンスターの腐臭の酷さばかりくどいほど強調されたりと、露骨なやっつけ臭すら漂っている。
    • その一方で本作で弱体化されたロトの剣に対して独自解釈を交えつつフォローされた点については好評となっている。
  • 吉崎観音の漫画『ドラゴンクエストモンスターズ+』でも、本作のその後の世界が描写されている。破壊神を倒し世界に平和をもたらしたはずのローレシアの王子は、その強すぎる力ゆえに(魔法を使えるわけでもないのに)「破壊神を破壊した男」として人々から迫害されるという、メタとシリアスが入り混じった設定が存在する。
    • 更に、救援に駆け付けたサマルトリアの王子が「俺の剣は二度“破壊”の風を起こす……」と言い放ち、“古流剣殺法二文字・サマルトリア仕立て”なる剣術を披露する。バグ技をも取り入れたその設定には古参ファンも吹き出した。前述のように、サマルトリアの王子ははかぶさの剣を装備出来ないのだが、そこは気にしないのがお約束。
  • 2013年のドラマ『ノーコン・キッド~ぼくらのゲーム史~』4話にも登場。主役の礼二と木戸が受験勉強の傍ら今作を攻略、ロンダルキアの洞窟を抜け受験にも合格するという話になっている。
    • ちなみに作中で使われていたパスワードは実際に使用可能である。
  • お酒の漫画「BARレモンハート」(古谷三敏)には、ドラクエⅡをネタに丸々1話使った回がある。マスターがドラクエⅡにちなんで出したお酒とは?(実在の酒で現在でも日本で購入可能)
  • ドラクエが好きなのか、他にも「メガザルロックみたいな顔したヤロウが」というセリフや、「メラゾーマという名のカクテルが」などとドラクエネタが他の回でも出てくる。カクテル「メラゾーマ」のレシピはスピリタス(アルコール度数96.5度)にタバスコをワンダッシュ入れるという超強烈なもので、この漫画発祥ではなく実在するものである。スピリタスは酒専門店に行けば大抵売っているので作ってみよう。

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最終更新:2024年02月25日 20:51

*1 今では「キラーマシン」だが、初出のこの作品に限って「ー」(長音)がある。週刊少年ジャンプ連載の『ドラゴンクエスト ダイの大冒険』で登場した頃は本作のみでしか登場していなかった時期なので、それに準じて「ー」のある表記、呼称になっている。

*2 「とびら」コマンドは、IV以降のシリーズで鍵無しの扉が設定されたこともあって復活している。

*3 実は入手率自体は1/8と非常に高い。しかし今作のはぐれメタルは逃げやすい一方で非常に凶暴なので、倒すだけで一苦労。

*4 インタビュー記事に、「ダンジョンの構成ブロックを2*2キャラにしたらマップが広大になる効果もあったが、落とし穴の位置もブロック内の決まった部分になっているので、それを覚えれば避けられる」という話が出ていた。

*5 ただし、この「右手法」は初めて該当フロアに来た際には使用できない。いったん落とし穴に落ちた後、そこの上り階段から再び該当フロアに復帰してから使用可能になる。

*6 但し前作のシステムでは兜は鎧が兼ねていた形なので、それを加味すれば兜は初登場ではない

*7 これを入手する直前に寄っているであろうラダトームの街で売られているおおかなづちより5強いだけ。とは言え最速で入手した場合は、これでも一応その時点では最強の武器である

*8 同時におおかなづちを買う意義の薄い地雷武器へと仕立て上げてしまった。ラダトームに最速で寄った時点では最強とは言えはがねのつるぎの倍以上する値段の武器を買った直後に、僅かとは言えより強い武器をタダで拾えてしまった時の虚無感は筆舌に尽くし難い

*9 ロトの鎧はダメージ3/4、水の羽衣は半減。

*10 前作に続いて『トラマナ』がなくてもバリアー回避できる効果があるが結局後ろの2人はダメージを喰らうので1人旅でもない限りほぼ無意味。

*11 ただ、水の羽衣は正規プレイでは1着、裏技を使っても2着しか手に入らない希少品であり、後衛2人に優先させたいところ。後衛から剥ぎ取ってまでローレシアの王子に水の羽衣を着させるよりは、ローレシアにロトの鎧、後衛に水の羽衣と回した方が総合的な耐久力は上がりやすい。

*12 本作のアイテム所持数制限は極めて厳しいため、持ち替えのためだけにアイテム欄を埋めるよりは、最初からロトの盾を諦めて力の盾を装備させておいた方がアイテム欄の節約になる。また、MP管理がシリーズ屈指の難易度であるため、ローレシアの王子に自前の無限回復手段があるのとないのとではかなり手応えが変わってくる。

*13 なおマンドリルの上位モンスターであるバブーンは攻撃力45・HP45であり、普通に考えたら攻撃力を間違えてるとしか思えない。

*14 ダメージ床の一種だが、バリアと違いトラマナで無効化できない。無効化できるのは『水の羽衣』と『ロトの鎧』のみだが、ロトの鎧は海底の洞窟突入の時点では入手できない

*15 本作は後のシリーズのようなヒャド系・吹雪系の攻撃が存在しないため、当初のザラキが「敵の血液を凝固させて死に至らしめる呪文」という設定であることから「相手を凍らせる=氷系の攻撃」としていたと思われる。

*16 後の作品のように「ザラキが効いて味方が死亡したメッセージ表示と同時に色が変わる」という仕様ではない

*17 おそらくドットチップをステータス表示と共有しているため

*18 一応こちら側も「パルプンテ」の効果の一つで、戦闘中に全回復で蘇生というものがある。

*19 正確には全回復ではなくHP158守備力38と悪魔神官と同じになる。実質的に全回復ではあるが仕様かバグかは不明

*20 DQのダメージ計算は「攻撃側攻撃力/2-被攻撃側守備力/4+ランダム幅」なので、スクルトはこちらがレベルMAXでフル装備(守備力170)でも一度で被ダメージ3~7減少、ルカナンの方は守備力255の敵相手でも、1回で被ダメージ5~10増加…とHP上限値が低いことを考慮しても変化に乏しすぎる。

*21 後発作品では、区域ごとに一定以上のレベルにならないと初回逃走選択時の成功率が1/2や1/4と低くなっている事が殆どで、「危険な状態になれば逃げる」という選択がかなり危険なものになっている。

*22 この後どうなるかはボスによって異なり、即再戦・消滅(もう一度エリアを出入りすると復活)・王様に怒られる(デルコンダルのみ、怒られる他は消滅と同じ)・戦闘前配置に戻る(話すと再戦)など複数のパターンがある。

*23 厳密にいうと5Fでは「6か所ある屋根下のどれかに隠れた階段を探す」という要素があるが、範囲が狭い上、階段手前の中ボスしか敵がいないので一通り見回るだけ。

*24 もっとも、彼自身もローレシアの王子を探して旅をしていたわけなので逆なでというのは筋違いと言えば筋違いなのだが。

*25 厳密にははやぶさのけんがダメージを出すことができるが、当時はそこまで分析が進んでおらず見た目の攻撃力が落ちること、何より売値が25000ゴールドと通常プレーではとても気軽に購入できるものではなかったため裏技を駆使しローレシアの王子へ回されやすかった。

*26 リメイクでは修正されローレシアで王の話を聞く必要がある

*27 力の盾は21500Gと高額だが、後述のいかづちの杖の金稼ぎを行えば簡単に3人分揃えられる。

*28 以降のゲーム機でも(セーブ方法自体は既に解決してはいるが)文字の読みづらさは続き、信号のAV出力化・TVの映像品質の向上・ゲーム機側の出力解像度の向上といった様々な要素によって徐々に改善されていったが、完全に滲まなくなるのはデジタル映像信号の普及を待つ必要があった。

*29 引き換え用のアイテムがフラグ管理されておらず、復活の呪文を入れると引換アイテムが復活し、二個目を取り直せる。全キャラが装備可能だが、最強の鎧である「ロトのよろい」と守備力の差はわずかな上に炎と呪文への耐性はより高いため「ロトのよろい」よりも性能が高い。

*30 宝箱の中にゴールドが入っている場合、既に持っているアイテムをドロップしているということ。

*31 少なくとも船入手でグレムリン、邪神の像入手で地獄の使いと戦わなければならない。

*32 その割には精霊ルビスに専用のBGMまで用意されているので、容量の節約とは少し違うような理由も考えられる。

*33 ポケモンの原型が持ち込まれたのは1990年のことなので、リメイク版ではないことは確実。

*34 ちなみにルプガナでグレムリンを倒したフラグも成立しているが、船は入手していないので取りに行く必要がある。

*35 仕込みと疑われる理由の一つにローレシアの王子1人で所持品皆無なのに異様に長い呪文であることが挙げられるが、これはチェックをごまかすためのデータのない後半部分があるため。「ゆうて いみや おうきむ こうほ りいゆ うじとり やまあ きらな かむらこ ういち すぎや まこうい ちつう のかみ がみがそ ろい」でも上記と同じもょもとが出現する。

*36 「ゆう帝」とは当時の『週刊少年ジャンプ』のファミコンソフト紹介コーナー『ファミコン神拳』内での堀井雄二の事。みや王、きむ皇も関係者で、彼らは後にメタルマックスを作る。鳥山明は本作のキャラデザでジャンプに連載を持っていた。

*37 意図的に行わなければまず起こらないが、アバカムを覚えていないレベルでラスボスを倒し、その後(ラストダンジョンの途中に牢屋の鍵の扉があるのでこれなしでラスボス戦突入は不可能)でロンダルキアにいる間に牢屋の鍵を捨ててしまうと、レベル上げもできなくなるためハマってしまう。

*38 能力値や経験値、手持ちのアイテムはラスボス撃破後のデータを引き継いでいる。

*39 放送中、堀井雄二はずっと苦笑状態で、ユーザーの質問も選んだ物が悪かったのか答えに困る状態の連続だった

*40 発売日からの絶妙な放送日なので当然「解答」は殆ど無し。数年前のnamco機関紙「NG」でのドルアーガのハガキ募集で質問だらけとなった二の舞いである。

*41 主軸がⅡなのでこの記事に記載で良いと思います。

*42 ガレージキットでロトの剣が制作・発売された。当然ながら現在では絶版。