本項目ではFC版『スーパーマリオUSA』と、そのGBAリメイク版である『スーパーマリオアドバンス』を共に解説する。
判定はどちらも 良作



スーパーマリオUSA

【すーぱーまりお ゆーえすえー】

ジャンル アクション
対応機種 ファミリーコンピュータ
発売元 任天堂
開発元 任天堂
エスアールディー
発売日 1992年9月14日
定価 4,900円(税別)
プレイ人数 1人
セーブデータ なし
レーティング CERO:A(全年齢対象)
※バーチャルコンソール版より付加
配信 バーチャルコンソール
【Wii】2007年8月10日/500Wiiポイント(税5%込)
【3DS】2012年11月28日
【WiiU】2014年3月19日/上記共に500円(税5%込)
判定 良作
ポイント 別タイトルのキャラをマリオに差し替えた異色作
海外版ではシリーズ本編『マリオ2』扱い
持ち上げて投げる独特のアクション
本作から誕生した各キャラ定番の要素も
マリオシリーズ・関連作品リンク

概要

本作はマリオシリーズの1作だが成立までの経緯が少々特殊な作品で、もともと純粋なシリーズ作品として制作されたものではない。
かつてフジテレビが主催した万博風イベント『コミュニケーションカーニバル 夢工場'87』の宣伝のために任天堂とのタイアップで制作され、1987年に発売されたディスクシステム用アクションゲーム『夢工場ドキドキパニック』を原作とし、キャラクターをマリオシリーズに置き換えた、いわゆるガワ替え移植作となっている。

ディスクシステム版『スーパーマリオブラザーズ2』が未発売となっていた欧米*1において、初代『スーパーマリオブラザーズ』の正式な続編として『SUPER MARIO BROS. 2』のタイトルで1988年に発売されたものを、改題の上で日本国内向けに逆輸入したものが本作『スーパーマリオUSA』である。*2
これにより、日本と海外では『スーパーマリオブラザーズ2』の内容が全く異なるというややこしいことになっている。

そのため日本での発売は北米版から4年後と大きく遅れ、既にスーパーファミコンの発売後となり、国内最後のファミコン用マリオシリーズとなった。

『スーパーマリオブラザーズ』の開発スタッフによる作品で、プロデューサーの宮本茂、音楽の近藤浩治を始めとしてスタッフが共通している。


ストーリー

ある晩、マリオは不思議な夢を見ました。
上の方にある扉へと続く、長い長い階段の夢でした。
扉を開けると、いままで見たこともない世界が見渡すかぎり広がっていました。
耳をすますと、かすかに声がします。

「夢の国、“Subcon(サブコン)”へようこそ。
私たちはマムーに苦しめられ、国中にひどい魔法をかけられているのです。
あなたが来てくださるのをお待ちしていました。
マムーを倒してSubconをもとの姿に戻してください。
現実の世界でマムーがあなたにかけた呪いは、夢の世界では効果がありません。
いいですか、マムーは野菜が苦手だということを覚えておいてください。どうか私たちを助けてください!」

この声と同時に、マリオの目の前に稲妻が走りました。
マリオはびっくりして足をすべらせ、ひっくり返ってしまいます。
はっとおどろいて目が覚めると、ベッドから起きあがっていました。
頭をすっきりさせようと思い、マリオはこの不思議な夢のことをルイージとキノピオとピーチ姫に話しました。
なんと、他の3人も同じ夢を見たというのです。

その後マリオたち4人が、近くの山にピクニックに出かけたときのこと。
目的地に着いて、あたりをながめると、近くに小さなほら穴がありました。
ほら穴に入ると上へ上へと続く階段がありました。
これは4人が夢で見たものとまったく同じです。
みんなで階段をいちばん上まで登ると、そこにも4人が夢で見たものと同じ扉がありました。
そして4人が、おそるおそる扉を開けてみると……
驚いたことに、4人が夢で見た世界が目の前に広がっていたのです。
(説明書より)


特徴

上述の通り、元々は別のゲームが原作であるため、他の『マリオ』シリーズには存在しない、本作独自の要素が多い。

  • 引っこ抜いて投げつけるアクション
    • 本作ではマリオシリーズの定番である「ジャンプで踏みつけて倒す」というアクションが出来ない。そのため敵の上に乗っただけではダメージを与えられない。
      • その代わり、この状況では原則として敵と接触してもダメージは受けない(スパークなど一部の敵は上から乗ってもダメージ)。
    • しかしヘイホーなどのザコ敵や地面に置かれたブロック、地中に埋まった野菜の上でBボタンを押すことで対象物を持ち上げる(引き抜く)ことができ、再びBボタンを押せば投げつけることができる
    • これを利用して敵を倒すだけでなく、土を掘ってカギをゲットしカギのかかった扉まで運ぶ、ブロックを運んで積み上げ足場を作る、地中のバクダンを引き抜き壁を壊すなど、このアクションを活かしたエリア(ステージ)構成となっている。
    • また一定時間しゃがみ続けるとキャラの色が変わり、高度2倍の大ジャンプが可能になる。
  • 操作キャラはマリオ、ルイージ、ピーチ姫、キノピオの4人*3
    • 平均的な能力のマリオ、ジャンプ力が高いルイージ、空中浮遊が可能なピーチ、ものをすぐに持ち上げられるキノピオとそれぞれ性能差があるため、エリアやプレイスタイルによって使い分けることで有利にゲームを進められる。
  • 制限時間の撤廃とライフ制
    • このため時間を気にすることなく自由に散策して進め、敵に接触して即ミスになることもない。即死扱いになるのは落下穴に落ちた時のみである。
    • 地面に埋まっている魔法の薬(三角フラスコ薬)の効果で出現する扉から裏画面に行く事が出来る。裏画面にはきのこが置かれており、取ることでライフが1つ増え、最大4ポイントまでライフの最大値が増加する。効力は取得したエリア内のみで、エリアクリアした時やコンティニューした時に初期化される。
    • ライフが残り1になると、他のマリオシリーズと同じく身体が小さくなる(チビマリオと同じ)。ある程度敵を倒すとハートが出てきて回復できる。
    • 中間ポイントは設けられていないが、ミスした場合は直前の画面が切り替わる地点からの再開となる。ドアを出入りしていた場合はドアの前から、ツタや梯子を昇降していた場合はそれらを昇降する地点からとなる。ボス戦の前では基本的に画面が切り替わるので、ミスしても即座に再戦しやすい。
      • ただしツボの出入りでは再開場所の切り替わりにならない。
  • 総エリア数は20。
    • ワールドは7までであり、各ワールド3エリア(ステージ)、最終ワールド7の2エリア*4と少ない。
    • ただし、3-3や5-3はこのゲーム全体から見るとかなり長いエリアであり、コンティニュー回数が限られていることもあって全体的なボリュームもそこそこある。
    • シリーズ恒例のワープも存在し、先のワールドに進むことができる。
      • ただしワープ先の都合上、一度のプレイでは4つあるうちの2つまでしか使用できない。
  • スロットゲームと1UPキノコ。
    • 地中から引き抜くと出現する魔法の薬を投げると扉が出現し、そこから裏画面にいける。
    • 野菜のあるところで裏画面に行くと、引き抜いた野菜はコインになる。同じ場所で2回までコインがゲット可能(それ以降ははずれ野菜になる)。
    • このコインを用いてエリアクリア後に始まるボーナスゲームのスロットマシーンに挑戦でき、絵の組み合わせによって残機を稼ぐことができる。
    • また、表フィールドに隠されている1UPキノコを引き抜くことでも残機は増える。
      • この1UPキノコはマリオシリーズ定番の緑色のキノコとは見た目が異なる。

オリジナル版からの変更点

  • オリジナル版でできなかったBダッシュが可能になり、テンポがよくなった。
    • ただし、本家のように1マス分の隙間を無視してダッシュで走り抜けられるのは、本作では落下速度が遅いルイージだけである。
  • 敵キャラやエリアは基本的に『夢工場』を踏襲しているが、一部グラフィックがマリオシリーズに関連したものや本作独自のものに描き換えられている。
  • 施錠された扉を開くためのアイテム「カギ」の番人である敵キャラ「カメーン」の表情がオリジナル版から書き換えられて外見が不気味になると同時に、行動パターンも変更された。
    • オリジナル版では「カギをとっても動き出さず、カギを持って扉の外に出た直後に不意打ちで襲い掛かってくる」というものだったのに対し、
      本作では「カギを取った直後に轟音と共に振動した後、壁から離れて動き出す」という演出が加えられ、更にカギを取った時点ですぐに襲ってくるようになっている。
  • BGMのリアレンジ及び一部差し替え。『マリオ3』のBGMに使用されていたDPCMによるパーカッションが追加されている他、新規パートが追加されて1ループが長くなったものも存在する。
  • オリジナル版では4人全員でマムーを倒さなければエンディングに到達できなかった*5が、本作では1人でもマムーを倒せばエンディングに到達できる。
    • オリジナル版ではキャラ1人ごとが独立したセーブデータになっていたため、チャプターの途中でキャラ変更はできなかったが、上記の変更に伴い本作ではエリア単位でキャラの選び直しができるようになった。
  • オリジナルにあったセーブ機能は削除され、コンティニュー制になった。
    • 回数制限付きで、2回までしかコンティニューできない。
  • 原作に存在しなかったボスキャラ「チョッキー」の登場*6

評価点

  • 「持ち上げて投げつける」という新鮮なアクション。
    • 『2』まではできなかった(『3』のこうらやブロック持ちとも異なる操作感)「投げる」アクションがメインとなっているため、従来のシリーズとは違う新鮮な感覚でプレイできる。シンプルでありながらそれを活かした謎解きなど奥深さもある。
    • 上記通り「ジャンプで踏みつけて倒す」というアクションが出来ないが、これも敵を土台にして溜めジャンプをしたり、流砂やトゲ等危険なところを渡るというアクションが可能で応用が効いている。
      • 単純に敵(特に背が高いサンボ)に乗って、自動的に進んでいくのを楽しんだプレイヤーも多いのではないだろうか。
  • 主要キャラクターのイメージの転換。ガワ替えの外伝的作品の要素がここまでキャラ本人の個性として扱われるのは珍しい。
    • これまでさらわれ役だったピーチ姫とサブキャラに過ぎなかったキノピオが、初めてプレイヤーキャラとして使用できるようになった。
    • 「単なるマリオの色違い」でしかなかったルイージの外見がマリオと明確に差別化され、現在まで続く「やせ気味のノッポ体型」のイメージが確立した。
      • 『スーパーマリオブラザーズ2』に従って、マリオよりもジャンプ力が高い。滑りやすいという特徴はなくなったが、マリオよりも非力で物を持ち上げるのが遅くなっている。
    • ピーチ姫の空中浮遊やルイージの空中バタ足ジャンプといった、本作で登場したマリオキャラそれぞれの特性は後の作品でも定番となっている。
      • 特にピーチ姫は本作の野菜引っこ抜き攻撃が『スマッシュブラザーズ』シリーズの必殺技として採用されており、空中浮遊することも可能となっている。
    • 一方で、本作のキノピオは原作のパパに相当するパワーキャラ。『マリオカート』シリーズやスポーツ系作品などでは軽量級やバランスタイプ・スピードタイプとして扱われることが多いので、「力持ちなキノピオ」はシリーズとしては異色である。
  • キャラクターの選び直しができるようになったことで、要所要所でキャラの長所を活かして使い分けるという戦略性が生まれた。
  • 明るいながらどこか独特で不気味な雰囲気のある世界観だが、『マリオ』シリーズの世界観として違和感なくマッチしている。

問題点

  • 地形にはまったまま抜け出せなくなる時がままある。(特に狭い隙間にしゃがみジャンプで入り込んだ場合)。制限時間制でないためどう足掻いても脱出不可能な場所にはまりこんだ場合はリセットを余儀なくされる。
    • このためか、自殺コマンドも用意されているのだが*7、隠し要素であり説明書には明記されていない。
  • ゲームオーバー時のコンティニューが2回までしかできず、回数を増やすことも不可能。
    • 従来のシリーズのように敵を倒しての1UPが不可能で、数少ない1UPキノコ以外にエリア中で残機を稼ぐ手段がない。スロットも満足に稼げるかどうかは運次第となっているため、全体的にみれば難易度は高い。
    • オリジナル版では「キャラごとにクリアしたチャプターはセーブされ、何度でも選択可能・キャラ変更しない限り残機持ち越し」という仕様のため、後半のチャプターに挑む前にチャプター1を何度もクリアして残機を稼ぐことが可能だった。セーブ機能削除のため仕方がない点ではあるが、この方法が使えなくなったことが難易度上昇の原因となっている。
    • そのこともあって、裏画面から入れるワープのつぼを駆使してショートカットするというのが一般的な攻略のセオリーとして知られている。
    • ミスした際の再開地点が画面の切り替わりからとなっている関係上、後戻りが出来ない大部屋での戦闘となる各チャプターのボス戦ではミスしてもライフを増やしてやり直す事が出来ないため、難易度の上昇に拍車をかけている。
  • セーブ機能削除のもう一つの欠点として、常にエリア1からスタートしなければならなくなった。
    • SFC版ではセーブ機能が復活し、クリア済みエリアの最初からスタートできるようになった。
  • ボーナスゲームであるスロットのリール回転が非常に速い。
    • オリジナル版自体がそうだったのだが、目押しがきき難い程の速度がそのままなので、まとまった残機を稼ぐ唯一の手段であることを考えるとキツイ。
    • SFC版以降では回転速度が下がり、目押しがききやすい程度にまで抑えられている。
  • 星(スター)で無敵になった時のキャラの点滅と、前述の「溜めジャンプ」の点滅が同じ色なのでわかりにくい。
    • 加えて星の無敵時間も従来の作品と比べると短めである。
  • マリオの扱いがやや不遇。
    • 好意的に言えば主人公らしい平均的性能なのだが、逆に突出した能力を持たないことがそのまま欠点に直結してしまっており、使用キャラ4人の中では最も使いにくい。
      • ジャンプで上に登って行くエリアではルイージ、空中移動を要求されるエリアではピーチ姫、敵が多いエリアではキノピオ、とエリアによってキャラを代えながら進める事で有利になるが、特に長所のないマリオにはお呼びがかからないのである。
      • ルイージは高いジャンプ力・ピーチは空中浮遊でショートカットできる箇所がいくつかあるが、平均的なジャンプ力のマリオは当然それらのショートカットはできない。
        ジャンプ力で言えばキノピオが最低なのだが、キノピオに対するマリオのジャンプ力の優位性が現れる場所はほぼ存在しない。しかもキノピオは物を持ってもジャンプ力が落ちないという特性があるため、総合的にはキノピオのほうが上である。
    • 敵やブロック等を持ち上げる速度、または持ち上げながらの移動速度はキノピオが最速で通常ダッシュよりやや速い。マリオは通常時と変わらない速度、以後は通常時より遅いルイージ、ピーチ姫が最遅となるが高いジャンプ力と空中浮遊という特徴で補っていることもあり、マリオの性能の中途半端さに余計拍車をかけている。
      • オリジナル版のマリオに相当するイマジンは、仕様上キャラ切り替えが自由に出来ずエンディング到達のためには必然的に全キャラを使わざるを得なかったことにより、存在感は十分にあった。

総評

マリオシリーズとは別物のゲームが原作ゆえ、アクションや雰囲気はシリーズの中でもかなり毛色が異なる異色作だが、開発スタッフがマリオシリーズと共通しているだけあってアクションゲームとしては良質で骨太な出来栄えになっている。いつものマリオと異なる新鮮な感覚で楽しむことができるだろう。


余談

  • 本作の元になった『夢工場ドキドキパニック』の原型として、任天堂の初期作品の多くを開発していた子会社「SRD」によるブロックを持ち上げて積み上げてゴールを目指す対戦型縦スクロールゲームの企画があったという。
    • しかし当初の企画では一人プレイがいまいちであったことから、宮本茂のアイデアにより横スクロールアクションへ変更され、いっそ『スーパーマリオブラザーズ』の流れを汲む続編になることも見据えて開発が行われた。
    • そこにフジサンケイグループからの「『夢工場'87』というイベントを開催するのでそのイメージキャラクターとのタイアップゲームを制作して欲しい」という依頼が舞い込んだことで、両者が融合して『夢工場ドキドキパニック』が誕生した。
    • さらにその後、日本版の『スーパーマリオブラザーズ2』がそのあまりの高難度から任天堂アメリカより発売NGが出されたことを転機に、代替として本作へ白羽の矢が立つことになり、マリオシリーズの要素を盛り込んで作り直された米国版『SUPER MARIO BROS.2』として生まれ変わる。
      • このような経緯を辿ったことで、元はマリオ続編も見据えて制作されていた『夢工場』が最終的には本当にマリオシリーズの仲間入りをすることになった。
  • マリオシリーズとしてリメイクされたことで、『夢工場』の敵キャラ達の多くがマリオシリーズに取り込まれている。
    + ...
  • キャサリン
    • 中ボスキャラのピンクの恐竜。後の『ワリオの森』や『マリオRPG』にも登場し、『マリオテニス64』では遂にプレイヤーキャラに昇格。以降は敵キャラとして扱われることが少なくなり、『マリオパーティ』シリーズやスポーツ系のマリオシリーズでは常連となり、正式にマリオファミリーの仲間として扱われていくことになった。
      • ちなみにキャサリンはドキドキパニックの時点で「自分を女の子と思い込んでいる(男の子?)」という解説がなされており、それを受けてかUSAのTVCMでは明らかにオカマと取れるキャラ付けで描かれている。
        内容自体は「ようこそキャサリンのお部屋へ」と題し、煌びやかな部屋の中でアメリカでは売れっ子だった経歴を男声で語った後、急にうめき声と共に力みだして卵を吐き出し、最後に卵を愛おしげになでながら「できちゃった~」と呟くという色々アレなもの。『キャプテン★レインボー』に出演した際もそちらを意識した濃いキャラ付けがなされているが、更にいろいろと酷いことになってたりする。
        後の『スーパーマリオワールド』から登場したヨッシーとは、同じ恐竜キャラかつ「性別があいまいなキャラとオカマキャラの組み合わせ」として恋人のように描かれることが多い*8
    • ヘイホー
      • 『夢工場』の象徴ともいえる仮面を被った雑魚キャラ。ヨッシーアイランド等からクッパ軍団に広く存在するようになり、「クリボー」や「ノコノコ」と並ぶ定番の敵キャラクターになった。
        • 似たようなキャラに口が銃口になっているムーチョもおり、こちらもヘイホーほどの知名度ではないが出演する機会が多い。
    • ハックン
      • 出番は少ないがスーパーマリオワールドにも出張した雑魚キャラ。以後長らく機会に恵まれなかった時期を経て、再びシリーズに出演するようになる。USAがワールドより後の発売であるため、夢工場から直接出張したキャラとも言える。デザインも夢工場→ワールド→USAと進むにつれて地味に変化している。*9

    その他の本作オリジナルの敵キャラたちも、その多くが本家マリオシリーズのキャラクターとして出演するようになった。

    • 一方、キャサリン以外のボス達は全くと言っていいほど出番がない。最後のボスであるマムーも、本作以外では『ゼルダの伝説 夢をみる島』にゲスト出演している他は『大乱闘スマッシュブラザーズ SPECIAL』でスピリッツとして登場している程度。
      • その後、マムーはマリオファミリーと混ざって2020年の任天堂の会社案内パンフレットにて登場しており、誰もが予想できないまさかの方法で登場したことに閲覧者を驚かせた。
        • 「トトス」や「トンドル」等、本作限定の敵キャラも多い。「ボム兵」の亜種的な存在である「ボブ」もそちらの存在ゆえか本作限定となっている(講談社から出た公式のキャラクター大図鑑では明確に仲間に分類されている)
  • 国内ではタイトル通り「アメリカから帰ってきたマリオ」を意識して販売された作品でもあり、説明書には海外でのキャラクター名も掲載された。
    • エンディングで公開されるキャラクター名も、そのまま英語名である。例としてヘイホー→シャイガイ(SHYGUY)、ラスボスのマムー→ワート(WART)など。
    • 小学館の公式攻略本にいたっては、英語名がメインに表記されていた。
    • なおエンディングおよび攻略本のキャラ名には一部誤植があり、キャサリン(本来はバードー・BIRDO)とダウチョ(本来はオストロ・OSTRO)の英名が入れ替わって紹介されていた。攻略本では終始ボスのキャサリンを「オストロ」として表記していたため、英名を勘違いされることもある。GBA版では修正されている。
    • ちなみに、プロデューサーの宮本茂曰く、ドキドキパニックが特にお気に入りの作品で、ROMに移植して再販したいということがUSA制作の動機だったと後年に語っている。
  • ヘイホーの亜種でガスマスクのような仮面をかぶり口から弾を吐いてくるザコ敵「ムーチョ」は赤・黒・ピンクの3色いるのだが、赤色のムーチョはスロットの絵柄に選ばれているにもかかわらず、なぜかゲーム中1箇所しか出現しない。
  • 本作のポンキーは『スーパーマリオワールド』と違い、固定位置から炎を吐くタイプの他に左右に動き回りながら炎を吐くものがいる。
  • エリア5-2ではライフアップのきのこは二つあるのだが、二つ目は近くに薬がない*10ため、はるか前から薬を持って来なければならない*11
    • なお2-1など、本当にきのこが1つしかない面もある。
  • 上述の敵キャラ「カメーン」がいわゆるトラウマ要素としてよくファンに引き合いに出されやすい。
    • 施錠された扉を開くためのアイテム「カギ」を持ち上げるとカメーンが追いかけてくるのだが、その不気味な仮面のグラフィックはもとより、どんなに逃げようがマップを切り替えようがカギを持ってくる限り追いかけてくる上、FC版では通常スターの体当たりでも倒せない*12ため、多くのプレイヤーに恐怖とともに強い印象を与えた。
    • スーパーマリオメーカー 2』では、Ver.3.0で追加された「のろわれたカギ」というアイテムを取ると出現。当時の感覚を無限のエリアで思い出させてくれるだろう*13
    • ただし、追いかけてくるのはプレイヤーキャラがカギを持っている間だけであり、カギを手放すと追うのをやめて画面外へ消えていく。このためカギを地面に置き、カメーンが去ったら持ち上げて移動、と繰り返せば襲われない。
      • カギを手放す場合、しっかり立ち止まってからボタンを押さないとその場に置かずに放り投げてしまい、誤って穴などに落としてしまうとまたカギを取りに戻らなければならなくなってしまうので要注意。
    • 実は裏技で倒せる。
      • ストップウォッチを使用した上でチェリーを5つ集め星を入手し、その状態で止まっているカメーンに体当たりすると倒してしまえる。
    • サテラビューのサウンドリンクゲーム(音声データとゲームデータをリンクさせ、音声ナレーションと共にゲームが進行する)として配信されたリメイク版「BSマリオUSA」では、作中のイベントにてなんと通常の4倍はあろうかという巨大カメーンが登場する。しかも一切攻撃が通用しない上にイベント自体が終了するまで消えないため逃げ続けるしかないという鬼畜ぶりである。
  • このゲームのゴールは「マスクゲート」と呼ばれ、本作では横向きの鳥の顔のような不気味な像が壁に張り付いている形になっている。ボスを倒すなどをして手に入る水晶を持ち上げることで顔の口元が大きく開き、その中に入ればクリアとなる。
    • アレンジされているとはいえマリオらしからぬゴール要素だが、プレイヤーも慣れて来るであろう終盤において、何とこの「マスクゲート」自身が襲い掛かってくる
      • 伏線としてなぜかボス戦のBGMが流れている、水晶を取るとマスクゲート自身が光るなどの不自然な描写があるのだが、初見ではなかなか気づけない。「マスクゲート」が「ゴール地点」であるとプレイヤーに認識させた上でのなかなかうまい心理トラップである。
    • ボスとしては壁から離れてそのまま空中をふら付いて体当たりするだけとシンプルだが、倒すとこれまで通り口が開き、その中に入ることでラスボス戦のエリアへと入れる。つまり、ゴール地点であると同時にボスへの入り口の役割も担っているのだ。
      • 「カメーン」の陰に隠れてはいるが、この「マスクゲート」も人によってはトラウマ要素になっているかもしれない。
    • ちなみに鳥の頭の形をしているのになぜ「マスク」かというと、原作となった「ドキドキパニック」では文字通り「真横から見た仮面(=マスク)」というデザインだったことの名残で、ドキドキパニック制作のきっかけとなったイベント「夢工場」のシンボルマークが「仮面」であり、作中で登場するオブジェや敵のデザインに仮面の意匠が多く取り入れられていたことからきている。
  • パッケージ絵は、原作のパッケージ絵の構図とデザインをそのままに、イマジンファミリーのキャラクターをマリオキャラに置き換えたものだが、マリオ以外のキャラは当てはめられている原作キャラがゲーム中とは異なっている。
    • ヘイホーを持ち上げているパパ=ルイージ、驚いているママ=ピーチ姫、ツタを上るリーナ=キノピオとなっている。
  • 国内版の発売が非常に遅かったことから、既にSFCに移っていたりFCを所持していないユーザーが多数で、スーパーマリオシリーズの2D新作としては国内売上が約70万本とミリオンに達していない唯一のソフトとなってしまった。
    • 皮肉にも本作のリメイク作品として翌年発売される『スーパーマリオコレクション』の売上の方が非常に多く、「SFCで『マリオUSA』に初めて触れた」というユーザーが多数となってしまっている。
    • もちろんこれは日本に限っての話であり、ナンバリングの『2』として発売された欧米版含む世界売上は約746万本に達している。
  • 本作の主人公にあたる4人は2013年発売のWiiUソフト『スーパーマリオ 3Dワールド』にもプレイヤーキャラとして割り当てられている。この4人が同時に揃ったメンバーとして割り当てられたのは21年ぶりとなる。
    • キャラ性能の差も『USA』とほぼ同様に与えられており、ボーナスゲームはスロットマシーンが登場し音楽もキャラクター選択画面時のものとなっていてファンサービス要素がある。
    • 同作は2021年にSwitchでも『スーパーマリオ 3Dワールド+フューリーワールド』として新要素を追加して発売。
  • 本作のエンディングは海外メディアで「最悪なエンディング」として挙げられたこともある。
+ ネタバレ注意
  • 今までの冒険を夢として見ていたマリオがベッドで寝ているという、いわゆる夢オチである。
    • 説明書等で舞台となるサブコンを「夢の国」と明示しているとはいえ、物語の締め方としては安易と評される手法であるためだろう。
    • 「舞台が夢の国なので夢の中で救った」とも考えられるが「この冒険はマリオが見た夢の中の話でしかなかった(だから番外編でいろいろ違う)」と解釈することも可能。そう考えるとなんとも味気ない。
    • ただし、「マリオ達4人が前夜夢に見た世界を救いに行く」とOPにはあるため、一種のループオチともとれなくはない。
  • 因みに原作の『夢工場』では「絵本の世界をマムー一味から救い、捕らえられていた家族とともに元の世界へ帰る」というエンディングになっている。また敵キャラ紹介のかわりにスタッフクレジットが表示される。
    • 実は本作のエンディング曲は、オリジナル版『夢工場』の冒頭デモで流れる曲のアレンジとなっている。

移植・リメイク


スーパーマリオコレクション

詳細は『スーパーマリオコレクション』の項目を参照。


スーパーマリオアドバンス

【すーぱーまりおあどばんす】

ジャンル アクション

対応機種 ゲームボーイアドバンス
発売元 任天堂
開発元 任天堂
エスアールディー
発売日 2001年3月21日
価格 4,800円(税別)
プレイ人数 【GBA】1人(マリオブラザーズは1~4人)
【WiiU】1人
セーブデータ 3個(EEPROM)
レーティング CERO:A(全年齢対象)
※バーチャルコンソール版より付加
周辺機器 GBA専用通信ケーブル対応
配信 バーチャルコンソール
【WiiU】2014年7月16日/702円(税8%込)
判定 良作
ポイント GBAロンチタイトルの1つ
『スーパーマリオUSA』+『マリオブラザーズ』を収録

概要(アドバンス『スーパーマリオUSA』+『マリオブラザーズ』)

ゲームボーイアドバンスのロンチタイトルの一つ。パッケージに記載がある通り『スーパーマリオUSA』と『マリオブラザーズ』の2本を収録したカップリング移植である。 『スーパーマリオUSA』は『スーパーマリオコレクション』でリメイクされたバージョンを元にしているものの、ゲームボーイアドバンスの機能を知らしめるための実験作のような役割もあってか、巨大キャラやボイスの追加など様々な本作オリジナルの追加要素があり、純粋な移植というよりはリメイクに近い。

主な変更点(『スーパーマリオUSA』)

  • グラフィック、効果音の向上。
    • 特に投げつけて倒したときの効果音がオリジナルやリメイク前では地味だったのに対し、投げつけて倒したときらしくて快感のある効果音になっている。
  • ゲーム選択画面から選択して開始するとタイトル画面が飛ばされて直接キャラ選択画面に飛ぶようになっている。
    • プレイヤー選択画面のデザインもオリジナル版から大きく書き換えられており、選択したキャラが大きいだけでなく下記のボイスもあるため非常にわかりやすい。
    • 従来の名前と残機数だけでなくキャラ性能もここで表記されているため、原作を知らない人でも性能差に気づきやすい。
      • ただし表記されているのは「パワー」「スピード」「ジャンプ」の段階だけであり、ルイージの落下速度やピーチ姫の空中浮遊は表記されていない。
      • 取扱説明書ではキャラ性能の違いに併せてピーチ姫の空中浮遊だけは表記されている。
  • 「巨大キャラ」や「巨大アイテム」の追加。持ち上げるのに時間がかかる分、投げた際に他の敵を巻き込んで倒しやすくなっている。
    • 「パワー」の能力の重要さが増したと言える。
    • 巨大キャラは投げただけで体力回復のハートが出てくるという嬉しい効果もある。
  • 「キャラ別ボイス」の追加。
    • プレイヤーキャラである4人の他、キャサリンや各ボスキャラにもしっかりとボイスが存在する。
      • 星で無敵になった時のキャラの点滅と溜めジャンプの点滅は見た目だけでは相変わらず分かりづらいが、ボイスのお陰でわかりやすくなった。
      • プレイヤーキャラのボイスはこの作品だけでなく、他のマリオアドバンスでも豊富に追加されている。
      • キャサリンに至っては色によってボイスが異なる。ピンク色と赤色はあまり気づきにくいが、緑色だと一気に喋り方が変わる。
  • オリジナルでは存在しなかった「スコア」が導入された。
    • 他のスーパーマリオシリーズ同様、投げた野菜やこうらが連続で敵を倒すたびにスコアがアップする。特にこうらは従来のマリオシリーズと同様に壁で消えずに反射するようになったので、無限1UPも可能になった。
    • 連続で敵を倒すことによる快感にはなるものの、このスコア自体には幾ら稼ぐごとに残機加算などはないので、あってもなくてもあまり意味はない。
      • ゲームオーバーでスコアは0になってしまうが、これも後述の物好き以外は特に気にならないだろう。
    • 一応ファイルセレクト時に下にトップスコアが表示され、全ファイルで一番高いスコアが表示される。物好きなら極めるのもありかもしれない。
    • 最大スコアは99,999,990。
      • 1-1から7-2までをワープなしで20エリア全てクリアしても、スムーズにクリアしただけでは6~700,000程度のスコアにしかならない。簡単にカンストできるのも問題だが、カンストを目指す物好きならば相応の手間と時間と覚悟が必要になる。
    • また、ファイルセレクト時に表示されるトップスコアでは、特定のスコアを達成するたびに「ドットマリオの顔」が表示される。最大で4つまで表示される。
      • ドットマリオの顔が1つ表示されるのにはスコア10,000,000以上が条件のようだ。とはいえスコアは前述の程度なのでここまで達成するのも相当なもの。この仕様に気づかずプレイを終えたプレイヤーが殆どだろう。
      • なお、4つ目はカンスト地点ではなく、カンストするよりも結構少ないスコアで表示されるようになる。
  • やり直しが隠しコマンド不要で手軽にできるようになった。ポーズ画面で「やりなおし」を選択すれば、エリア開始時の状態に戻すことができる。
    • リメイク前の問題だった地形にはまったまま抜け出せなくなった時にも手段になる他、例えば1-2では魔法の絨毯でショートカットができるがそれに失敗した際にもこのコマンドが有用になったりする。
    • ただし前エリアから引き継いでライフ2から開始してもライフは開始時と同じく1となり、スコアもエリア開始時に戻るので注意。
  • 一部エリアに新規BGMが追加されている。
  • 上述の5-2では二つ目のきのこがある地点に薬が配置され、ライフアップしやすくなった。
  • 敵キャラであるスパックにぶつかると、画面全体が痺れるエフェクトが発生するようになった。
  • ライフの上限が5になった。
    • 各面に新たに3つ目(または2つ目)のきのこが配置されており、またそれらの近くには魔法の薬も新たに配置されている。
  • 「Aコイン」「ヨッシーチャレンジ」というやり込み要素の追加。
    • Aコインは各エリアに5枚配置され、1エリアのコインを集めていくと得点が倍増していき、全て集めると1UP。更に、収集率がパーセンテージで表示される。
      • マムーを倒した際に5枚×20エリア=計100枚のAコインを全て回収するとタイトルの背景が変わり、新たにヨッシーチャレンジに挑戦可能となる。
    • ヨッシーチャレンジは各エリアの裏画面に隠されているヨッシーのたまごを探し出して回収、そのままクリアするというもの。
      • 各エリアに隠されたたまごは2個で、大抵の場合はエリアに隠されたきのこのうち2個がたまごに変更されている。これは言い換えればきのこが1個しか出てこない=ライフ上限を3までしか上げられないということである。たまごの場所は元々のきのこの位置とはかなり変わることもある。
      • ミスしてしまった場合や、ワープを利用してクリアをした場合はそのエリアで手に入れたタマゴは失ってしまうので注意。
      • たまごの場所、ライフ上限3でタマゴ入手後はミス・ワープが絶対に許されないということで、実質的なハードモードとなっている。
      • なお、ヨッシーチャレンジをクリアしても特に何か隠し要素解禁などはなくその記録が残るだけ、純粋にやりこみたい人のためのものである。
  • 新規ボスキャラとして「メカキャサリン」の登場。*14
    • また、ワールド6ボスが「ガブチョ」から「ドン・チュルゲ」に変更、ワールド4ボス「ヒーボーボー」やワールド5ボス「チョッキー」に登場演出が追加された。
      • ただそこまでやっておいて全エリア別のボスとはならずに、ドン・チュルゲのみワールド1とワールド6の2回登場している。

主な変更点(『マリオブラザーズ』)

様々なハードに移植・リメイクが行われている『マリオブラザーズ』は、移植したハードによってオリジナル版とは異なる独自の要素やアレンジが存在し、本シリーズでもその特徴が見られる。

  • 最大4人同時プレイが可能。『USA』同様にしゃがみ大ジャンプができたり、空中での左右移動も可能になったりと、後年のスーパーマリオシリーズに近い操作性にアレンジされている。
    原作同様のエリアクリア型の「クラシック」と、プレイヤー同士で戦い合う「バトル」の2つのモードを収録。
  • 「クラシック」は、アーケード版とディスク版に存在したつららが復活しているほか、最上段の配管部分につららが出来たり、凍ることのなかった最上段の床が凍ったりするなど、操作性が向上した分難易度は上げられている。
    • 残機が4以上溜まるようになり、敵を連続で5匹倒した時やボーナスゲームをパーフェクトでクリアした時など、原作より1UPの機会が増えている。
    • タイトル画面では、ファミコン版のタイトルBGMをバックに、アーケード版を再現したオープニングデモが挿入されるという豪華な仕様となっている。
  • 「バトル」は、原作やコレクション版にはなかったアイテムやギミックが追加されている他、クッパが出現してプレイヤー達に攻撃をしてくるエリアも存在する。
  • 本作仕様の『マリオブラザーズ』は他の『スーパーマリオアドバンス』シリーズや『マリオ&ルイージRPG』にも収録され、全てのソフトそれぞれに互換性があるので『マリオブラザーズ』収録ソフト同士なら通信も可能。
    • 全員が同じ作品で統一しなくてもこのモードをプレイ可能となっている(例:『スーパーマリオアドバンス2』VS『マリオ&ルイージRPG』等)
    • バトルは1カートリッジプレイ対応。クラシックは人数分のカートリッジが必要(マルチカートリッジプレイ専用)となっている。
    • ただし、WiiU VC版では通信機能に対応していないため不可。
  • 従来通り6桁のスコアが存在する。ファイルセレクト画面ではトップスコアと最高到達PHASEが表示され、同時収録の『スーパーマリオUSA』と同様、特定のスコアに達成するとファイルセレクト時に「ドットマリオの顔」が表示される。
    • 150,000以上でPHASE26まで到達すると1つ表示されるようだ。

評価点(アドバンス)

  • ゲーム性やエリア構成自体はオリジナルを尊重している。
  • 追加要素が多い。
    • 後続のアドバンスシリーズの作品は基本的に忠実移植が念頭に置かれており、ゲーム本編そのものに追加要素は少ないが、本作はリメイク作に近いためか、やりこみ等の追加要素が多い。
    • 原作自体がやりこみ要素のないシンプルな作りだった分、やりこみ要素を追加したのは妥当な判断であろう。
  • 「キャラ別ボイス」の存在による楽しさ。
    • プレイヤーキャラ4人は、溜めジャンプでは専用のボイスがあるだけでなくグラフィックも専用のものになっている他、敵を連続で倒したり、1UPしたり、カメーンを振り切ってカギを使用した際にも専用のボイスが存在し、プレイする楽しさと遣り甲斐を与えてくれる。
      • 特にライフが3以上の時にダメージを受けた(つまりダメージを受けたが身体が縮んでいない)場合は、なかなか派手でオーバーリアクション気味なボイスが聴ける。これは身体が縮むときとは異なり複数あるので、 わざとダメージを受けて 聴くのもいいだろう。
    • 各ボスキャラもプレイヤーの対面時、被ダメージ時、敗北時にそれぞれのボイスがあり、こちらも遣り甲斐だけでなく印象にも一役買っている。
      • キャサリンは上記通り3色でボイスが異なるが、それぞれの状況でボイスも異なるという拘りぶりである。なおキャサリンは、一度対面してから戦闘中に画面を切り替えて撤退して再び対面すると、 普通に対面した時とは違うボイスが聴ける 。これも3色で異なる。メカキャサリンはキャサリンレッドのボイス(台詞は再対面時のもの)を加工したものとなっている。
      • 最後のボスであるマムーに野菜を食べさせると、プレイヤーが不快にならない程度の嗚咽のようなボイスが聴ける。トドメを刺すと嗚咽と断末魔が融合したようなボイスを放ちながら黒コゲになる。
  • 同時収録の『マリオブラザーズ』は本編の息抜きや気分転換として楽しめる。
    • このゲームがロンチタイトルなのに加えて、後に発売の『アドバンス』シリーズ全タイトルで互換性があるため、GBA専用通信ケーブルをこのゲームで初めて使用したというプレイヤーもそれなりにいるだろう。

賛否両論点(アドバンス)

  • マリオコレクションベースの移植となっているが、忠実な移植ではない。
    • グラフィックやサウンド面の向上だけならまだしも、ハートが幾らでも出てくる巨大キャラや無限1UPによるオリジナルルートの難易度の変化、一部敵やルートの違い等々、オリジナル要素が妙に多い。この点についてはSFC版の忠実移植を望んだプレイヤーからの不評意見もまま見られる。
      • もっとも敵やルートの違いはバラエティが多くなったと言え、難易度の変化もやりこみ要素があるため一概に簡単になったとは言えない。元々、やり込み要素に乏しい作品内容だったため、追加要素が多いことは、どこでも持ち運べる携帯機でのリリースであることを考慮すれば妥当であるとも言える。オリジナル版プレイ済みのプレイヤーにとっては、忠実移植を望むか、追加要素の充実を望むか、どちらによるかで評価は変わるだろう。
  • 地味でよくわからないキャラの新たな登場。
    • これらキャラは共通して公式イラストも名称も特にないので非常に地味であるため、何のためにわざわざ追加したのかという疑問を持つ人もいる。
      全体的にヨッシーアイランド系列のキャラに絵柄が近い(特に水色の敵はクレヨンで描いたようなタッチも似ている)が、同作に これらそのもの が登場したことはない。
  • 1-1でスタート地点の下に降りた扉の横の地形に乗ると、黄色い謎の生物*15が地形を持ち上げ伸びあがってくる。1-3では建物に入る直前に右方向に進むと、ツボの先に小さな地形があり、これに乗ると同じく黄色い謎の生物が地形を持ち上げ伸びあがってくる。ぶつかってもダメージを受けることはなく、1-1ではその扉に行くため、1-3ではAコインを取得するのに助かるため、一種のお助けキャラと言えるが、ジャンプ力が低いキノピオなどでも、こんなものに頼らずとも大ジャンプで普通に届く。
    • なお1-3ではそのキャラがいるところで裏画面に行くことができるが、裏画面に行くとそのキャラが頭上の地形ごと存在していない。
    • オリジナルやリメイク前の1-1では低い位置に扉が存在するため、このキャラの助けなしでも扉に入りやすい。
  • 2-2の長いツボの中に入ると、赤くて牙が生えた球体がある。持ち上げて投げることが可能で、投げると壁を伝って転がり、周りのスパックを一掃できる。ぶつかったり乗ったりすると、ヨッシーアイランドに近い柔らかそうな効果音が鳴る。また上に乗ってジャンプすると自動的に溜めジャンプになる。しばらく転がり続けると縮んで消滅する。このエリアにしか登場しないだけでなく、敵キャラやアイテムとは異なり画面を切り替えても再度出現しない珍しいキャラ(アイテム?)。
    • オリジナルやリメイク前では、その長いツボの中は他のツボと共通であるため登場しない。
  • 5-2の長いツタを昇っていく場所で、月が見えるところにツボが存在する。そのツボの中に入ると、青白いタケノコ型(氷柱?)のピクピク上下する敵がいる。明確にであり、移動はしないが接触するとダメージを受け、上に乗ることもできない。近くにPOWブロックと野菜があるが、投げても倒すことはできず直接ぶつけてもすり抜ける。星の体当たり以外倒す手段が不明な上この中で特に存在意義がわからないので、 カメーン以上に不気味な存在 と言える。
    • オリジナルやリメイク前では、そのツボ自体が存在しない。
    • なお他のツボとは異なり、このツボの中では 何故かポーズ画面を開くこともできない

問題点(アドバンス)

  • 「エリア選択画面に戻る」コマンドが無い。
    • ヨッシーチャレンジでは各エリアを自由に選択できるが、選択してからの選び直しはできず、エリア開始後も戻る手段が存在しない。そのため誤ってエリアを選択してしまうと、「セーブして おわる」を選択してタイトル画面に戻ってから一から選びなおすか、そのエリアをクリアするかもしくはわざとミスをするかしかないため、テンポが悪くなってしまう。
  • ワールド選択とプレイヤー選択の逆転
    • ヨッシーチャレンジでは、目的のワールドを選択してからそのエリアに合うプレイヤーを選択できると効率的にプレイヤーの性能を活かせるのだが、このゲームではプレイヤーを選択してからエリアを選択するという順番になってしまっているため、エリアに合わないキャラを選んでしまうこともあり得る。
      • そしてその場合は上記のエリア選択画面に戻る手段が無い問題に直結してしまう。
    • とはいえ、オリジナルやリメイク前でもプレイヤー選択からワールドの表示という順番である。リメイク版である本ゲームではワールドを自由に選択でき、遊びの幅が増えたからこその問題と言えるかもしれない。

総評(アドバンス)

基本的なゲーム内容に変化はなく、それでいてやり込み要素を始めとするボリュームもしっかり増えている。
一方でマリオアドバンスシリーズ最初期の作品という事もあってか、オリジナル版からアレンジされた要素が複数存在しており、オリジナル版に慣れ親しんだプレイヤーだと引っかかりを覚える部分が多いかもしれない。
マリオコレクションベースの移植版は現在のところ、アドバンス版かWii版の『マリコレスペシャルパック』かしかでていない。携帯機で手軽に遊びたいのならばこちらを、マリコレ版に忠実な作風のゲームを遊びたいならWii版を選択するのがよいだろう。

その後の展開(アドバンス)

  • 本作以降、GBAでは『スーパーマリオアドバンス』シリーズが4作発売され、そのいずれも本作と同様の『マリオブラザーズ』が同時収録されている。
    いずれも元になった原作と本シリーズのナンバリングがずれているため混同注意。
  • また、RPG『マリオ&ルイージRPG』にまでも『マリオブラザーズ』が収録されている。
    • 各タイトルに収録の『マリオブラザーズ』は共通のため、異なるタイトル同士でも対戦・協力プレイが可能。

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  • リメイク
  • マリオ
  • 任天堂
  • エスアールディー
  • 1992年

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最終更新:2024年03月24日 10:07

*1 欧米ではディスクシステム自体が未発売だった。

*2 日本における『2』はスーパーマリオコレクションの海外版に『The Lost Levels』のタイトルで収録されたことにより海外初お目見えとなった。

*3 それぞれ『夢工場』のイマジン・ママ・リーナ・パパに対応。

*4 夢工場ドキドキパニックでは、絵本の中の世界「夢宇界」が舞台であり、イマジンファミリーの双子の兄弟ピキとポキが本の取り合いをして最後のページを破いてしまったため、破かれたページにあたる7-3が存在しないという設定になっている。

*5 クリア人数が4人未満ではマムーに囚われた妖精を解放した時点でエンディングが中略される。

*6 原作ではそのチャプターのボスは「ドン・チュルゲ」との3度目の対決だった(地形が変わっているので以前より難易度が上昇している)。

*7 ポーズをかけ、2Playerコントローラーで上・A・Bを同時に押し、ポーズを解除するとキャラが強制的にミスとなる。

*8 この描写は沢田ユキオ氏の漫画『スーパーマリオくん』で公式に先んじて登場しており、それを逆輸入したものと思われる。

*9 公式画ではかなり異なるとはいえ、ゲーム中のドットからではさほど大した変化は見えないが。

*10 草が多く生えているので場所自体は分かりやすい

*11 攻略本でも「このエリアはきのこが一つしかない」と誤解されていた。

*12 リメイク版の『スーパーマリオコレクション』収録のものや『スーパーマリオアドバンス』では倒せるようになった。

*13 更に「ドアを開けないとカギが手放せない」という仕様上上記の手段が使えず、半永久的に追いかけ回されることになる……と、地味に凶悪化している

*14 こちらもオリジナル版や原作の『夢工場』では「ドン・チュルゲ」がボスだったチャプターで登場する。

*15 外見や足場になる要素含め『ヨッシーストーリー』のニョロロンが一番近いが、同作にはこのような「乗ると動く」タイプの物はいなかった。