トマトアドベンチャー

ジャンル アクションコマンド型ロールプレイングゲーム
対応機種 ゲームボーイアドバンス
メディア 64MbitROMカートリッジ
発売元 任天堂
開発元 アルファドリーム
グラフィックリサーチ
シャンダー
発売日 2002年1月25日
定価 4,800円(税別)
プレイ人数 1~2人
セーブデータ 4個
配信 バーチャルコンソール
【WiiU】2015年8月26日/702円(税8%込)
判定 良作


概要

後に『マリオ&ルイージRPG』を作る事となるアルファドリームが、処女作であるゲームボーイカラーのゲーム『コトバトル 天外の守人』の次に制作したRPG。
アルファドリームと任天堂が手を組んだ記念すべき最初のゲームである。

元々は『ギミックランド』というタイトルでゲームボーイカラー用に開発が進んでいたが、
『コトバトル 天外の守人』を気に入った任天堂から声がかかりゲームボーイアドバンス用に作り直し任天堂発売でリリースされた、
という経緯が公式側で語られているゲームでもある。


ストーリー

コドモの、コドモによる、コドモのための国、「ケチャプー王国」。
主人公は、トマト好きの国王「アビーラ」に連れ去られたガールフレンド「パサランちゃん」を助け出すため、 ビックリ箱のような仕掛けと、想像を超えたストーリーが展開するこの王国を冒険していきます。
(公式サイトより抜粋)


特徴

  • 「ギミック」という武器システム。
    • ポケモンで言うPPのように使用回数があるが、装備中のギミックの使用回数がすべて0になった時点で自動的に全回復する。また、宿屋に宿泊するなど休息をとった場合は装備中に限らず全所持ギミックの使用回数が全回復する。
      • プレイヤー側は後述する「すごいの」を除き、ギミックを介さない素手での攻撃の要素は無い。また、本作中には「戦闘用の攻撃アイテム」の類は存在しないため、基本的な攻撃はギミックで行い、必殺技としての「すごいの」をところどころで織り交ぜる、という方式になる。
  • 戦闘はこのギミックを使用して攻撃するのだが、ギミックにはそれぞれ特徴的なアクションコマンドがあり、各アクションコマンドはいずれも内容が異なるミニゲームになっている。そのコマンドの成否によって演出や相手に与えるダメージが変化する。このため、コマンド式のRPGながらアクション色が強い作品になっている。
    • 本作より先発の著名な既存作で例えると、『ファイナルファンタジーVI』でマッシュとカイエンとセッツァーの固有コマンドや回復アイテム以外使えない状態で常に戦闘が進行するようなイメージを持っていただけると分かりやすい。後述するように、本作の「ギミック」は選択とカスタマイズの要素があるので実際は前述の例ほど極端ではないが。
  • コマンドは 「タイミング」   「れんだ」   「ドキドキ」   「スピード」 の4種類。全く同じコマンドのギミックは存在せず、マンネリ化し難い作風になっている。
  • ギミックによるコマンド入力はギミック事に個別で7段階の難易度調節を行うことができる。難易度が高いほど相手へのダメージは大きくなる。
    • 同一のギミックを使用する場合、難易度レベル7で失敗するよりも難易度レベル1でも成功したときのほうがダメージは大きい。
    • 余裕がある人はレベルを上げて威力が高くできるし、子供や初心者などはレベルを下げて簡単にできるので、初心者にも上級者にも楽しめるように出来ている。
  • また、ギミックの難易度調節の要素とは独立した要素として、ギミックごとに個別で「でんち」系アイテムで攻撃力の基本値*1や使用回数を強化する要素もあり、気に入ったギミックに対する愛着も湧きやすい。
    • 「でんち」系アイテムによる強化限界はギミックごとに個別で設定されており、基本的には序盤のギミックは攻撃力の基本値が低い代わりに回数と強化限界に優れる、さらにはコマンドがシンプルなものが多い。「すごいの」システムとの兼ね合いもあり、序盤の攻撃力が低いギミックを強化してラストまで使い続けるような運用方法に対してもメリットが設けられている。
  • 戦闘では敵味方とも直接攻撃に回避の概念が無く、命中時のダメージの数値へのランダム要素も無く、出せば必ず命中して一定のダメージを出す…という仕様を『コトバトル 天外の守人』から引き継いでいる。つまり、ギミックをどれだけ成功させるかと、すごいの(後述)やアイテムをどこで使うかによって勝敗が決まる。
    • ただし、状態異常に関しては確率で成否が決まる。
  • アクションコマンドが成功するとゲージが貯まり、 失敗するとゲージがゼロになってしまう 「すごいの」システム
    • 「すごいの」とは所謂「必殺技」であり、コマンドをどんどん成功させて必殺技「すごいの」を出すという方式。仲間ごとに2種類ずつ、全部で6種類の「すごいの」が存在しており、ゲージの消費量や効果によって差別化がなされている。
    • これもレベルが高いほうがゲージが貯まりやすい。
    • 一度でも失敗するとそれまで貯めた分が水の泡になってしまうので、ギミックのレベル調整において絶妙なバランスを引き立てている。
      • 但し問題点も無い訳ではない。これについては賛否両論点の項目を参照されたし。

評価点

  • 仲間たちの性格の個性の強さ
    • 語彙力が足りないのにリーダー役とツッコミ役を一手に担う無茶な役回りだが主人公らしい人物像の男の子「デミル」、ミーハーでガサツながらメカニックとしての腕前が確かな女の子「アレサ」、温厚だが食欲を抑えられず太っちょな服飾デザイナーの男の子「ソフビー」、序盤から登場して敵方の情報をもたらしてくれるが終盤まで仲間にならないミステリアスな男の子「レレク」、の4名。
  • 仲間たちの性能も個性が強く楽しめる
    • 主人公・デミルは、勇者型の性能のイメージ。それに加え、「戦闘メンバーから外す事が出来ない」仕様を考慮してかギミックの選択肢がとても幅広い。
      • 最初の内はデミルの一人旅でありシンプルなコマンドのギミックが中心。ゲームが進むと、徐々に「コマンドが複雑で難易度レベルを低く抑えても難しい代わりに高威力」なものも手に入るようになる。
  • アレサは、デミルより「すばやさ」が若干高く「たいりょく」が若干低い程度のステータスの違いはあるがバランス型。ステータスの差はわずかでも、実際の使い勝手はデミルと大きく異なるので組んでいても役割がカブるような事は無い。
    • 防具の性能が突出して高く、ギミックの大半は「確率で敵に状態異常を付加する」効果を持ったものであり、「すごいの」の性能が非常にピーキー。「バランス型の性能のキャラは器用貧乏な性能になりやすい」というジンクスを克服しようとする工夫が窺える。
    • 1つめの「すごいの」である「メカメカパニック」は、少ないゲージで出せて大半のザコ敵を一掃できる強力な全体攻撃ではあるのだが、「デミルが眠ってしまう」という大きな反動が存在し、ボス戦などではうかつに使うと逆にピンチを招きかねない。もう一方の「トマトロボ2ごう」は「こちらのHP減少量に応じたダメージを任意の敵単体に与え、味方も全回復する」という特殊なもの。ピンチではない時に使っても真価を発揮しないが、工夫やタイミング次第で凄まじい大ダメージを叩き出せる。
  • ソフビーは、「たいりょく」が極端に高く「すばやさ」が低いステータスの持ち主。
    • ギミックは「コマンドが少々難しいが全体攻撃」というものが中心。敵の攻撃を耐えてから全体攻撃ギミックでザコ敵を一掃するか、すばやさの低さを逆手にとり後攻行動で回復アイテムや「すごいの」を使うといった戦い方がメインになる。
    • 「すごいの」は前述したアレサのピーキーさから一転、2種類ともシンプルな全体攻撃であり、細かい事を考えずに使っていける。1つ目の「はれときどき??」は戦闘後に入手できるお金を3倍にする効果を持ち、通常のプレイでも稼ぎながらのプレイでも資金繰りが厳しめなゲームバランスである本作では、なかなかありがたい。この効果はボスにまで有効。2つ目の「ガブチョコ」は雑魚及び一部の中ボスを一撃で倒してしまえるもので、もし一撃必殺の効果が効かない相手だったとしても大ダメージを叩き出す。
  • レレクは、ソフビーとは対照的に「すばやさ」が極端に高く「たいりょく」が低いステータスの持ち主。よほど低レベル進行でもしていない限り、安定してターンの最初に動ける点が最大の強み。
    • 終盤に差し掛かる頃に加入する都合で、手に入るギミックは4人の中で最も少ない。しかしギミックの大半が「高威力な代わりにコマンドが低難易度設定でも難しい」ほど複雑である上に回数も少ないという難物揃い。レレク加入までの間にデミル、アレサ、ソフビーの3名のギミックでいかにプレイヤースキルを磨いたかが問われる。
    • レレクの「すごいの」は、ゲージ最大の状態で使えて3ターンの間デミルとレレクを無敵化する「むてきソング」が超強力。無敵状態のターンの間に再び「すごいの」ゲージを回収する自信があるならば、恐ろしいほどの効果を発揮する。また、「むてきソング」の存在感に隠れがちだが、1つ目の「モグラッシュ」も敵が戦闘後に確実にドロップアイテム落とすという戦略上とても強力な効果を持つ全体攻撃であり、見逃せない。
  • パーティメンバー以外のキャラも個性が強い
    • 特にNPCやサブキャラクターは一筋縄ではいかないキャラが多く、本作の大きな魅力となっている。
      • デミルの親友でありギミックを授けてくれた後も(半ばギャグとして)超人的な身体能力を見せる「セレモ」、鬱屈しているが極めて優秀なギミック職人である「カイゾー」、戦闘ではかませ犬のような立場だったもののそれ以外については底知れぬ人物であることを窺わせる「ブッチャベス」、デミル一行を翻弄する猛者であり子供とはとても思えない長身とナイスバディの女の子である「怪盗ベリー」、といったキャラが特に印象的。
  • 各町の汎用的な外見でしかない名無しのモブキャラたちも、各々の性格がにじみ出ているセリフが多く見逃せない。
    • 町ごとの不便な点や不審な点をヒントとして語ってくれるRPGの進行に欠かせない人物ばかりではない。例えばストーリーの本筋に関係があったり無かったりする男の娘が数名居たりするし、店番をしているがカウンター担当ではない店員が店の中にいて機械的にデミルに対応してくるなど、フレーバーテキストとして抜群の存在感を誇る者が少なくない。
  • 各地の町に一人ずつ存在するボスキャラ「スーパーキッズ」は特に個性的なキャラが多い。
    • 中には、「個性的」という評価を通り越してしまっているキャラもいない訳ではないが…。
  • ボスキャラ「スーパーキッズ」は能力面でも良調整がなされており、程よく手強い。
    • 例としては最初に戦う事となるスーパーキッズ「ウープス」。「常時回復効果がある玩具のお風呂型のメカ」に入りながら「強力な攻撃と防御が可能の鏡」を持っているキャラクターなのだが、それら全てが部位として設定されており、個別に攻撃可能。
      • どれを壊すか考えて攻撃しないと、お風呂で回復されながら強力な攻撃を連発される事態に陥ってしまう。
      • ピンチになると強力な全体攻撃「ポイズンシャワー」を連発してくる。大ダメージを受け、かつ毒状態になることもあるので、一筋縄では行かない。
  • もちろんどうしても勝てない場合の最終手段として、レベル上げや「でんち」集めや回復アイテム集めを経てのゴリ押しでもだいたい何とかなる。
    • レベルが1上がるだけでも「たいりょく」と「すばやさ」の違いがかなりあるため、効果は絶大。ギミックの基本攻撃力を上げる「でんち」も何個かあると目に見えて与えるダメージが大きくなる。
  • ただ、ストーリーが進行していくうちに「特定の順番で部位破壊しないと本体に一切ダメージが通らない形態」が存在するなど、戦闘の真っ最中の謎解きまで要求されるボスも登場するようになる。そういった相手と戦う場合は、外見を観察しながらボスのセリフをよく聞いてみよう。
  • マップが作り込まれている。
    • 所々に隠しボスが居たり、アイテムが隠されていたりする。探索にちゃんとした見返りが用意されているのはありがたい。
    • ダンジョンのギミックも凝ったものが揃っており、解くにはしっかり頭を使う必要がある。
      • 後半のダンジョンには推理クイズや、錯視を活用した仕掛けも用意されている。歯ごたえは十分。
    • グラフィック面でのネタ要素も、所々に仕込まれている。
      • 「明らかに牢獄だろ!」と突っ込みたくなるグラフィックの宿屋が存在する*2
      • その場所へ行くための交通手段が 人間大砲 で、それもどうみても ペットボトル
  • ブラック要素
    • ストーリーのあちこちにブラックな要素が満載。直接的なものもあれば、暗喩もある。
    • 特に主人公・デミルのある場所でのセリフ「さんざんりようして すてるなんて! まるでおとなみたいじゃないか!」は、最たる例。
+ 子供しかいない世界観だが、では大人はどこにいるのかというと・・・
  • 実は 町の外で戦うモンスターがそれ。
    • というのも「大人はアビーラ率いる子供との戦争に負け、モンスターに変えられてしまった」という設定が存在するのである。因みにこれ裏設定でもなんでもなく、デミルとパサランが住んでいるコボレー村の住人から聞ける。しかも、この事実が発覚するのは序盤も序盤、戦闘チュートリアルを行う前の段階である。
  • 小ネタが細かい
    • 町の至る所に小ネタが仕掛けられている。色々と探し回ってみるのも一興か。
      • 例えば主人公が住んでいる村では誰かの家の煙突を覗くと、謎の音が鳴り主人公が疑問に思いはじめる…など。
  • BGMも好評。
    • ラスボス戦では、自分のターンになると 曲調が変わる という熱い演出が存在している。

賛否両論点

  • 戦闘は主人公と仲間一人しか参加出来ない。
    • おそらく画面レイアウトや「すごいの」のアニメとROM容量の都合と思われるが、その仕様上4人全員で戦闘するようなシチュエーションは無い。
    • 一応、ラストダンジョンには仲間たちそれぞれの特技・特徴を活かして先へ進む場面はある。
      • …のだが、これが「満足に育てていない、もしくは苦手なアクションコマンドの多い仲間が一人でもいるとラストダンジョンで苦戦する」という別の欠点を生んでしまっている。
    • 戦闘に参加していない仲間も戦闘勝利である程度の経験値が入る仕様にはなっているため、加入さえすれば極端なレベル差が開くことはない。
  • 「ぼうぎょ」コマンドがない。
    • 次のターンに強力な攻撃をする予告などはないし、回復手段は基本的に共有のアイテムしかないので防御する必要自体はないのだが、「ギミックの使用回数を節約したい」「すごいのポイントがたまりそうだが、アクションコマンドに自信がないギミックしか残っていない」などの理由で順番を別の仲間に回したいときに難儀する。
      • アイテムを使えばいいのだが、そのために消費するのも難である。また回復アイテムなどは使用しても意味がないときは使えない。
  • レベルを上げても基本的には「たいりょく」と「すばやさ」しか上がらない。
    • ギミックの攻撃力を増強するには、そもそものギミックを変えるか、ギミックの難易度レベルを上に設定するか、ギミックを強化する必要がある。当然ながら、ギミックを難易度レベル最高の7で普段使いしている場合はギミック自体を強化するしかないし、それでも攻撃力が足りないと感じるならそのギミックは直接攻撃用としては力不足となる。
    • 「すごいの」の威力はアレサの「トマトロボ2ごう」(前述の通り「最大たいりょく-現在たいりょく」で算出)を除けば基本的にはレベル依存であるため、ギミック以外の面ではレベルを上げた恩恵自体はある。
      • ちなみにソフビーは「たいりょく」の成長が極端に早く、レレクは「すばやさ」の成長が極端に早い弊害で、普通にプレイしている程度のレベルでもラスボス戦到達より前に上限である999に達してしまう。「たいりょく」や「すばやさ」は999あれば十分すぎるようなゲームバランスなので早目なカンスト到達自体は問題は無いのだが、少々もったいないところか。
  • ギミックの性能について
    • 概要は前述したとおりだが、序盤のギミックほど「低威力&コマンドの内容がシンプルで簡単&回数が多い&電池による強化限界が高い」傾向にある。
      • 難易度レベルを高めに設定してもコマンドを成功させやすいため「すごいの」ゲージを稼ぎやすいメリットがある。そのため、徹底的に強化した序盤のギミックを、多少火力を犠牲にしてでも「すごいの」目当てでずっと使い続けてもいい。
    • しかしシナリオを進行させる、おしゃぶり(後述)を苦労して集めたことによりもらえる、などの方法で入手するギミックは後のものほど凄まじい威力を誇るものが少なくない。
      • そこまで攻撃力に差があると、「すごいの」を度外視しても強烈なギミックを強引に連発していた方がお手軽に強くなってしまいやすい。
    • 「後に入手する装備品の方が強い」のはRPGの常ではあるし、防具である「きがえ」については本作もほぼ例外ではない。「入手そのものがやりこみの範疇であり苦労の末の報酬である」といったニュアンスのギミックもある。
  • ギミックや難易度レベル設定によって難易度の差が激しい
    • 難しすぎるギミックの一例。基本的には「序盤のギミックほどシンプルで難易度レベルを上げても簡単な傾向にある」とは前述したが、最大の例外はよりにもよってゲーム中でデミルが最初にもらえる「はぐるまヨーヨー」。
      • 「はぐるまヨーヨー」は難易度レベルを欲張らなければシンプルでとても簡単なのだが、難易度レベルを最高の7に設定した場合だけは話が別。
      • 難易度レベル7の場合は基本攻撃力にかかる成功時の倍率が急激に跳ね上がるのだが、その代償として 1フレーム(1/60秒)でもズレると失敗扱いになる というとてつもない超高難易度となってしまう。「格闘ゲームにおける超上級者でも実戦投入をためらうほどシビアな目押しコンボ」並、と言えば分かりやすいだろうか。
  • 簡単すぎるギミックの一例。前述の内容と対照的だが、これもデミルが最序盤にもらえるギミックである「マグネハンド」が代表例。
    • Aボタン連打が苦手な人でもない限り、難易度レベルを最高の7にしていてもAボタンを普通に連打するだけで簡単かつ確実に成功してしまう。その分攻撃力は大したものではない*3が、出しやすすぎる上に「すごいの」ゲージを溜めやすすぎる。それに加えて「マグネハンド」は(難易度と直接は関係ないが)デミルのギミックでは希少なデバフ付加効果のある代物なので、補助用のサブ武器として考えると相当な高性能を誇る。
  • 隠しアイテムである「おしゃぶり」を集めるシステムについて。
    • マップの怪しいところに隠された「おしゃぶり」を集め、とある町で会える「カイゾー」というキャラに渡せば、それまでに渡した数に応じて新たなギミックを貰う事が可能。シナリオを進めれば手に入るギミックと比べるとコマンドの癖が強いものの、威力や範囲、付加効果が優秀。
      • サブイベントの報酬としてもおしゃぶりが手に入る事がある。サブイベント自体の質も高く、一定量までならば楽しみながらおしゃぶりを収集していける。
  • しかしカイゾーから最後のギミックをもらうには180個ものおしゃぶりが必要になるのだが、マップ上のおしゃぶりを全部集めて、サブイベントで手に入るものも全て足しても 100個ちょっと しか集まらない。残り80個については、とあるキャラクターに最大まで溜めた「すごいの」メーターと交換してもらうことで入手しなければならないのである。
    • ダンジョンに潜る→敵とエンカウントし、アクションコマンドを連続で成功させてすごいのポイントを満タンまで溜める→(仲間を変えてまたポイントを溜める)→町に戻り、ポイントをおしゃぶりをと交換する→ダンジョンに潜る……という作業を延々繰り返さねばならない。苦手なアクションコマンドが多い仲間が一人でもいる場合、おしゃぶり集めの効率においても悲しみを背負う事になってしまう。
    • 余ったおしゃぶりにも使い途がない。そもそも上記の仕様からまず余るものではないが。
  • 「トマト」の関連性が薄い*4
    • トマト部分は総じて少ない、殆どがギミックやトマト以外の食べ物関連などである。元々が『ギミックランド』というトマトのトの字も無い作品だったという事情はあるといえばあるのだが。
      • ネタバレに踏み込むため詳しい記述は避けるが、ストーリーの内容についても評価が分かれる。
  • 子供向けとして売り出したゲームとはとても思えないような 恐怖演出・グロ要素・不気味な場所があり、低年齢層プレイヤーにトラウマを植えつけかねない
    • 特に中盤の「ス・クリーム山」 (目玉を掴んで押したり引っ張ったりする) 、終盤の「バルサミドーム」がよく代表例として取り上げられる。ゲージュツゲージュツ
  • 最初に戦うことになるスーパーキッズ「ウープス」のとある設定、スーパーキッズ「リルビ」に関するイベントや戦闘が殺伐としたものやグロテスクなものばかり、といった事が代表的なところか。
  • コミカルなライバルキャラとして存在感を発揮する敵キャラ・ブリッキとゴリッキも、最後の出番となるシーンでは「子供しかいない世界観のゲーム」として考えると非常に後味の悪い展開をプレイヤーが見るハメになる。
  • ヒロインである「パサラン」が「デミルとラブラブだが情緒不安定で感受性が豊か過ぎる」というキャラ付けをされている事自体は良いのだが、そのせいで描写がギャグというよりも少々不自然になっているともとれるシーンがある。
    • 作中で、敵が彼女の「ココロエネルギー」という5種類の感情のエネルギーを吸いとって、とある兵器の燃料にするシーンがあるのだが……
    • 悪役がバナナで転んだだけで笑い出すが、その笑い声の中のひとつが「ヒャーッハッハッハ」。怖い。
    • 他にも悪役が本を読み聞かせて「おじいさんとおばあさんが居ました」と言っただけで号泣する。
      • 基本的にはギャグシーンではあるのだが、自分が感情を顕わにすれば敵に利用されるのがわかりきっているのだから、少しくらい我慢できないものか。

問題点

  • 「ドキドキ」系ギミックの中に、実力ではどうにもできない運ゲーのものがいくつかある。
    • 特に問題が大きいのは、デミルが最序盤の「ハンゾラボ1」で特に条件も無く簡単に貰えてしまう「いかりかざん」。いざ貰ってしまうと、装備から外す事ができない*5期間が長い運ゲーギミックを抱えるハメになるという重大な弱点を持っている。
      • この「いかりかざん」を貰ってしまうと、外せるようになるのは最速でも3か所目の町「オイスタウン」入口付近*6、つまりスーパーキッズを2人撃破した直後となる。「すごいの」の活用を諦めねばならない期間としてはあまりに長すぎる。
    • ギミックの内容は複数枚ある伏せられたパネルから1つを選んで、そのパネルが当たりなら成功というもの。プレイヤースキルによる結果への介入ができない唯一のギミックでもある。
      • 難易度レベルを最低の1にしていても20%の確率でハズレを引いてしまうため、5回に1回は必ず失敗するという運任せにも程がある代物であり、更に難易度レベル最高の7だと失敗する可能性が80%にまで上昇する。これなんてマインドシーカー
  • 次に問題が大きいのは、ソフビーが加入した後の最新のハンゾラボにあたる「ハンゾラボ4」で無条件入手可能な「サンレーザー」。こちらもデミルと同様の理由で装備から外せない期間が長い。*7
    • ギミックの内容は「コマンド用の画面の中の画面外のどこかから飛んでくる玉を、自由に動かせる長方形のパドルでキャッチできたら成功」というもの。「いかりかざん」とは異なりプレイヤースキルによる実力介入の余地自体はあるのだが、難易度レベルの設定によっては「回収しようがない位置から玉が出てきた挙句に回収しようがない角度で玉が飛んで来るため、パドルの位置取りによっては玉が出現した瞬間に失敗確定」という理不尽な目に遭う可能性を抱えている。
    • 難易度レベル1で使えばこういった問題は起きにくく被害を軽微にできるが、火力や「すごいの」ゲージ効率は低下。極端な話、ソフビーの「サンレーザー」が装備から外せるようになるまで、デミルがアレサとだけ組めば「サンレーザー」使用強制状態を拒否可能。ソフビーが戦闘パーティー外ということで、戦闘勝利時に入る経験値が少なくなるデメリットと引き換えにはなるが。運ゲーを拒否する手段があるという点においては、「いかりかざん」よりはマシだろうか。
  • 「でんち」系以外の強化アイテムは、有限であり取り返しがつかない
    • 有限ではないものは、ギミックの攻撃力の基本値(コマンド失敗時攻撃力)を強化する「でんち」系アイテムのみ。系統ごとに存在し、1上げる「○○○○でんち」、3上げる「○○○○ボルト」、5上げる「○○○○スター」が存在する。ボルトまでは敵がドロップし、スターは非常に高額だが4系統すべて終盤の店でいくらでも購入可能。
  • 「でんち」系以外のもの、任意のキャラクターの「たいりょく」最大値を上げる「いのちのカンヅメ」と「すばやさ」を上げる「はやさのカンヅメ」、任意のギミックの「かいすう」最大値を永続的に上げる「フエールパーツ」は、いずれも消耗品。しかもザコ敵はドロップしないし店でも売っていないし、何らかのアイテムと交換し続けられるわけでもない。
    • 割と早い段階でたいりょく999になるソフビー、すばやさ999になるレレクに該当アイテムを投与すると無駄になってしまうので注意。
    • さらに「はやさのカンヅメ」についてはもう一つ問題があり、よりにもよって何度か戦う事になるボスキャラのドロップアイテムとしてこれが設定されている。ボス撃破時のドロップで入手しそびれた場合、その分は二度と入手できない。幸い該当ボスとの戦闘はレレク加入後なので、気になる方は「モグラッシュ」を使って回収しておこう。
  • 本作だけの問題ではなくRPG全般で割とポピュラーな問題点ではあるのだが、本作にも付きまとう点ではある。無限に使えたら使えたで「全員の全ステータスと全ギミックの全項目が最大になるまで育てられてしまい個性が失われる」というジレンマと二律背反ではあるのだが。
    • 取り外し自由で消耗品ではないアクセサリーのような概念であれば違ったかもしれない。
    • 勿論万人向けの難易度調整に定評のある任天堂ゲームなだけあって、クリア目的であればこれらの点は大きな問題とはなり難い。あくまで更なる高みを目指す廃人やり込み派プレイヤーにとっての問題、といった所か。
  • ゲーム内で遊べるカードゲーム『ギミカ』というものがあるが、やりこみ要素としては問題点が目立つ。
+ ギミカの詳細
  • ぶっちゃけた話、 相当な運ゲー である。
  • 掻い摘んでルールを説明すると、お互いのプレイヤーはHP200を持ち、4つの色に分かれ、各自個別のポイントがあるギミックカードを、手札(キャラカード)を毎ターン一枚使用して色やポイントを上下させながら戦うというもの。
    • ゲーム全体としては、HP200をすべて失うか、5回勝負*8が終わった時点で残りHPの少ないほうが負け、ということになる。
    • 勝敗は主に色で決まり、青>赤>黄>緑の順に強いが、緑は青にのみ勝てる。
    • カードのポイントの大きい方から小さい方を引いた数字がダメージとなる。
    • ギミックカードのポイントが勝敗に直接関係するのは同ランク同士の戦いのみで、この場合は単にポイントの高いほうが勝ち。
      • 例えば黄・85ポイントの「きっこうグローブ」と青・47ポイントの「Kワンワン」の組み合わせでは、85-47=38ポイントのダメージがきっこうグローブ側に与えられることになる。
      • 自分側のギミックカードは既に手に入れたギミックに応じて増える。ギミックカードのポイントは各ギミックの基礎攻撃力があてがわれており、後から手に入るギミックの方が基本的に強い。同色対決のことを考えればポイントが自分>相手の場合の方が有利なので、所有ギミックの多いほうが僅かに有利であるとはいえよう。
  • まずお互いに出すギミックカードが完全ランダム。
    • ギミックのポイント・色を上下させられるキャラカードは、12枚のデッキを組むことは出来るが、最初に5枚配られてから 補充されない
      • ゲームが進む毎に選択肢が狭まっていくことになる。とりわけ最終戦は選択の余地すらない。
    • 「カードを使用しない」という選択肢がない。
      • 例えば、「自分が青・47のKワンワン、相手が赤・27のマグネハンド」など、「自分の色が相手よりひとつ上かつポイントが自分>相手」の場合、自分が色変動のキャラカードを使いさえしなければ確実に勝てる*9のに、手札にランク変動のカードしかなければ使わざるを得ない。
      • キャラカードを使う=自分に有利であるならともかく、順当に行けば自分の不利にしかならない行動をなぜわざわざとらねばならないのか。
    • 「お互いの手札が開示されている」「5回勝負のお互いのギミックカードが最初から全部わかっている」などの要素があれば、まだしも戦略的に出来るはずなのだが……
  • CPUの強さがおかしい。
    • 最弱のギミカマニア・次のセレモ辺りは前述の「色さえ変えなきゃ勝てる」ような状況でも平気で色を変えてくる。
      そしてその次の「エノキン博士」は妙に手強い。
      • これは難易度の調整ミスというより、CPUの特性の問題であるように思われる。キャラカードは劇中のNPCが当て込まれているのだが、エノキン博士のキャラカード効果は「自分のキャラカードの色を1アップ」というもの。基本的には最も重要で有用なカードとなる。そして、CPUは自分のカードを多めに使ってくる傾向がある。
  • 上位のギミッカーと戦うためには、その下のランクの相手に10回も勝つ必要がある。
    • 公式ページに「セレモもギミカをやってるよ!」という文章が見られるが、まず最弱の「ギミカマニア」に勝って、ランクをアップしないと対戦してくれない。
      • ギミカマニアによれば「ギミッカーは自分より弱い相手には興味が無い」とのこと。セレモにもこれが当てはまるとすればなんとも友達がいがない。
    • また、ギミカで勝利すると賞金がもらえるのだが、序盤の弱い相手ではその額が非常に少ないので、旨味を感じられずこの時点でだれてしまう場合も。
    • 「弱い相手には興味が無い」だのといった話があるにもかかわらず、2ランク分兼任しているギミッカーが2名いる。名前のあるNPCが足りないわけでもないのに……。
  • 相手に勝てば賞金が貰えるが、負けても特に払う必要はない。が、上位の相手と戦うための勝利回数がひとつ巻き戻ってしまうので結局リセットした方がいい。
    • それをしなくても、戦うギミッカーは概ね主人公の友達か知り合いであり、何度も戦っていると 友達から金を毟り取り自分が負けても何もしない というなんとも嫌な主人公像が誕生してしまう。
  • 他の役割と兼任しているギミッカーがおり、ギミカ勝負を挑めるようになるとやりたい行動に至るまでに操作を増やしてしまうことになる。
    • チュートリアル要員のセレモは選択肢が増えるだけなのでまだしも、おしゃぶりを渡しにいってギミカ関連の話までしなければならないカイゾーなどはかなり面倒。
      • 別に本人でなくとも、そのキャラと近しいモブでもよかったのではないか。
  • もっともこのギミカ、賞金を貰える以外は本編とはまったく絡まないので、やらなきゃいいだけの話ではある。お金についても雑魚を狩った方がよっぽど効率がいい。
  • ギミカで通信対戦もできるが、面白いかどうか以前に このゲームを持ってる友達が周りに居ない というどうしようもない状況になりがち。
  • ラスボスが仕組みが分からないと恐ろしく強いが対処法がノーヒント
    • ネタバレになるため詳細は割愛するが、スーパーキッズはヒントになるセリフがあったにもかかわらず、ラスボスの戦闘中のセリフだけはヒントになるようなものが一切無い。仕組みが分からない限り、レベルがカンストしていても普通に負ける可能性あり。
  • ラスボスを倒した後、する事がほとんど無い。
    • 2002年のRPGとしては既に珍しくはないはずの「クリア後ダンジョン」や「隠しボス」など、クリア後の目玉になるような追加要素は本作には無い。
    • 上記の「ギミカ」「おしゃぶり集め」などもあるし、ギミカについてはエンディング到達後のデータで対戦相手としての役割が解禁される者もいるため何も追加されないというわけではない。しかし、述べた通り問題点が目立つため、楽しめるかどうかについては正直微妙というしかない。

総評

かわいいキャラクターや斬新なギミック、質の高いBGMに子供でなくとも楽しめるブラック要素など、隠れた名作と評価可能な逸品。
問題点は決して無い訳ではないが、一方でバグの類は一切見当たらず、丁寧に作られたであろう事が窺える。

エンディングの内容も相俟って、本作の正統な続編を希望する声は多かったのだが…
アルファドリームが倒産の憂き目に遭ってしまったがために、2019年時点ではその可能性がほぼ完全に潰えてしまったのが悔やまれる。


余談

  • 双葉社より4コマアンソロジーコミックが発売されている。
  • 今作の効果音は、後に発売された『とっとこハム太郎4』にも使われている。
  • 本作の完成度が任天堂に高く評価された事により、本作とほぼ同じスタッフによって『マリオ&ルイージRPG』シリーズが開発されることになった。
    • 制作スタッフとしては、マリオ&ルイージRPGシリーズが本作の系譜を辿っているとのこと。
  • CMも作られたが、如何せん内容がろくすっぽ伝わってこない。
  • 謎の歌を歌いながらオムライスにケチャップをかける、任天堂にはありがちな謎のCMである。
    • ひたすら耳と印象には残るが…。
  • 元となった作品である『ギミックランド』はスペースワールド2000に開発中の画像が公開された他は本作の開発者インタビューで触れられたのみな作品であったが、近年になってベータ版がネット上に流出した。
    • 違いはハードの差ゆえの背景の簡素さと敵のアニメーション、BGM程度でこの時点でほぼ出来上がっていた模様。

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最終更新:2024年01月24日 07:44

*1 コマンド失敗時の攻撃力のこと。コマンド成功時はこの攻撃力の基本値に「各ギミックの難易度レベルごとに個別設定された倍率」を乗算した攻撃力となる。

*2 というか監獄であると明言されている。「ロックといえば監獄だろ」らしい。

*3 「マグネハンド」は最強状態である「でんち50&難易度レベル7」の場合、攻撃力は基本値(コマンド失敗時)77、コマンド成功時100。この数値自体は、無強化状態かつ低難易度設定でも上回るギミックが後半登場しはじめる、という程度のもの。

*4 主人公とヒロインは当初トマト嫌いの子どもたちが閉じ込められている村に住んでおり、冒険の過程でトマト嫌いを克服している節はある

*5 デミルに限らないが、所持ギミックが5個未満の場合は装備ギミックを一切変更できず、所持ギミックが5個以上になってもギミックを必ず4個装備しなければならない仕様となっている。

*6 最速でデミルの所持ギミックが5個まで増えるタイミングは、オイスタウンの「カイゾー」に初回サービスでデミル用ギミックを無料で作ってもらった時になる。

*7 「カイゾー」が作ってくれるギミックは基本的には既存ギミックをピーキーにした裏バージョンにあたるものである都合上、元になるソフビーのギミックが2個しかない状況ではどんなに「おしゃぶり」を積んでもソフビーの所持ギミックは4個にしかならない。5個目のソフビー用ギミックを入手できるのは、最速でも「タルタルバレー」クリア後、「ハンゾラボ5」到達時となる。こちらの期間もやや長い。

*8 当然だが、ギミックカードは毎回新たなものが配られる

*9 色を一気に2ランク変動させるカードは存在するが、所謂"クリア後"のようにギミカ本編(と言っていいほどの濃さはないが)がひと通り済んでから登場するものである