※本項ではファミコン版『グーニーズ』とその移植版について解説する。
内容の異なるMSX版および米国PC版については参考記述扱いで触れている。


グーニーズ

【ぐーにーず】

ジャンル アクション
対応機種 ファミリーコンピュータ
メディア 384KbitROMカートリッジ
発売・開発元 コナミ
発売日 1986年2月21日
定価 4,900円
判定 良作


概要

1985年公開・当時大ヒットした名作ハリウッド冒険映画『グーニーズ』を原作にしたアクションゲーム。
内容は伝説の海賊「片目のウィリー」が残した宝の地図を発見した少年チーム「グーニーズ」が、フラッテリー・ギャングに追われながら宝探しするというもの。

本作は原作の内容を活かしつつ、探索要素を含んだアクションゲームとして制作された。


特徴

  • このゲームの目的は、主人公の少年がギャングに捕らわれた5人の子供達と1人の女の子を助け出すことである。
    • 攻撃はキックと、アイテムで手に入るパチンコ。また爆弾の爆風も攻撃に使える。
    • 通常アイテムや鍵・仲間は岩牢に隠されており、敵から手に入る爆弾を使用して開ける。爆風に巻き込まれると即死なので注意。
    • ライフ制であり、敵と接触しても即死するわけではない。前述の爆死の他、穴への落下、制限時間オーバー、岩に潰されるなど即死となるトラップもある。ライフはアイテムの赤いツボなどの他、ステージクリア時に若干回復する。
    • 1ステージから3つ鍵を集めて出口へ行けばステージクリア。しかし1ステージに1人いる5人の子供達を全員見つけ出さないと女の子の待つ最終ステージへ行けない(1ステージ目に戻されてしまう)。
    • なお、FC版の主人公は映画の主人公である「マイキー」…と、おそらく思われるのだが…(後述)。
  • 耳栓などの隠しアイテムが存在し、特定の場所でキックなど特定のアクションをするとその場所にあるアイテムを手に入れることができる。ゲーム中ノーヒントで、取らなくてもクリアできるがぜひ探してみたい。
    • これらの隠しアイテムは、敵の特定の攻撃や特定のトラップを無効化したりアクションをパワーアップ等、攻略に便利な効果を得られる。
    • ツインビー』『ビックバイパー』等コナミゲームでおなじみのキャラクターがスコアアイテムとして隠されている事もある。この場合、取らずに一定時間経過しても点数は入るが、入手する方がスコアが高い。
  • 2周目以降は敵からのダメージが増加し、隠しアイテムの出現条件が変化する。
    • ただし隠しアイテムについては、毎周条件が異なるわけではなく「偶数周と奇数周で出現条件が変わる」形になっている。

評価点

  • ストレスなく楽しめる操作性。当時のコナミのアクションゲームらしく軽快に動く。
  • バランスが取れている難易度。難しすぎず易しすぎず、ちょうどいい難易度である。
    • 理不尽に片足を突っ込んだ様な、高難易度のアクションが氾濫していた当時としては、この絶妙な難易度は素晴らしい。
  • 基本的にコンティニューはないが、何度もプレイすれば誰でもクリアできる。裏技を使えば、コンティニューすることもできる。
  • ステージの広さや数は1986年製のゲームにしては多めと言える。
  • 仲間や鍵が隠されている岩牢の場所はプレイ毎によって変わるので、毎回新鮮な気分でプレイできる。
  • 出来のいい音楽が多い。
    • 特にシンディ・ローパーの原作映画主題歌『The Goonies 'R' Good Enough』がシンプルながら印象深くアレンジされている。
  • アイテムのバリエーションも豊富で、隠しアイテムを探すだけで楽しめる。
  • 原作要素も所々にある。
    • フラッテリーギャングに攻撃しても、しばらくの間ダウンするだけで再び起き上がり、銃弾かオンチな歌のどちらかで攻撃してくる*1*2など、映画の設定をうまく呑み込んだ上でゲームとして落とし込まれている。
    • ステージ構成に関しても、屋根裏からスタートして配管通路や洞窟を経由するなど、映画の展開になぞらえたステージが多い。

問題点

  • パチンコとキックの使い分けができない。
    • パチンコを取得すると、弾を使い切るまでは他に爆弾しか使えない。
    • パチンコでなければ倒せない敵も登場するため、パチンコ取得後は残り弾数を気にしながら計画的に攻撃しなければならない。
  • 爆弾は、一度に1個しか持てない。ただし、隠しアイテムのリュックサックを取得すると2個持てるようになる。
    • そのリュックサックが出現するのはステージ4のみであり、しかもワープするとスキップされてしまうので、その場合は取得できない。
    • もっとも、チュー太(赤茶のネズミ)やオクトパック(タコ)など、倒すと爆弾を落とす敵がどこでも頻繁に出現するので、爆弾の補充にさほど手間はかからない。むしろ、リュックサック自体が出現するステージ4まで来ている状況で「爆弾を今さら2個持てても…」といった微妙なアイテム扱いになってしまっている。
  • パワーアップアイテムが全てステージ中に隠してある上、場所や出し方がノ―ヒント。
    • 当時のゲームの楽しみ方として「ノーヒントの隠しアイテムの出現方法を手当たり次第に探る」という事は、別段おかしな事ではない。
      ただ、パワーアップアイテムがどんな名称でどういった効果があるのか等の説明が全くないというのは、やや不親切と言えるか。
    • 条件は同一ステージ間で共通しているため、どこかで条件を発見すれば、後はステージ内をしらみ潰しに探せばいいというのが救い。
    • 出現条件の中に「パチンコを持っていて攻撃ボタンを押している」というものもあり、パチンコを持っていないと出現させられない。
      • この条件内容でもわかるように、出現させるだけならパチンコ弾を撃つ必要はない。画面切り替え時やポーズ時に、攻撃ボタンを押したままにしておくときちんと出現するため、弾を無駄に消費せずに済む。
      • ただし、そのステージで入手するパワーアップアイテムはいずれもそれ以前のステージで登場済みのアイテムなので、すでに持っている場合は出現しない。また、持っていれば楽になるのは確かだが、そうかといって「無ければ攻略不可能になる」というほどでもない*3
  • ステージ2のスタート地点について
    • このステージは、天井から噴き出てくるバーナーのすぐ真横にプレイヤーが立っている状態で始まるため、非常に危険である。
      • ステージ1で耐熱服を手に入れていない場合、うっかりバーナーに触れてしまい、ミスを誘発し易い。
  • グーニーズのキャラクターゲームとしての問題点
    • 助け出す仲間達が、最後の「女の子」以外みんな顔が同じ少年のような見た目で、しかもマイキーより明らかに幼く、映画に出てきた「グーニーズの仲間達」には見えない*4。そもそも、女の子は原作映画では2人であるにもかかわらず、この仕様はいかがなものかという意見もある。ただ、エンディングのシルエットで1人だけ背の高い人物が、おそらくブランドだと思われる。
      • ファミコンの解像度の都合もあるので仕方ない点だが、もう少し頑張ってほしかったところである。
    • プレイヤーキャラクターは、映画の主人公でもある「マイキー」(本名はマイケル・ウォルシュ)……、と思われることが多いが、実は取扱説明書では 「プレイヤー:捕われたグーニーズを助ける勇敢で心優しい少年」 と記載されており、 名無しどころかまるでグーニーズと無関係な少年 のようにも取れる書き方をされている*5
      • 捕らえられたメンバーについても「グーニーズ:フラテッリー・ギャング*6に捕えられ、石牢の中に閉じ込められています」「女の子:最後のステージで助けを待っています」と、こちらも基本的に個人名は無しの表記である。映画の版権絡みで人物名を出せなかったのだろうか*7
      • なお、二見書房の攻略本では本作の主人公が「マイキー」であると明言しており、続編『グーニーズ2 フラッテリー最後の挑戦』やゲスト出演作『コナミワイワイワールド』でも本作の主人公がしっかりと「マイキー」の名前で登場している。そのため、本作の説明書で彼が名無しのプレイヤー扱いになっている理由は謎である。
    • フラッテリー一家のママ*8や、原作映画でグーニーズに協力したスロースも登場しない*9
      • ママは没データとして内部データには存在している。最終ステージに敵として出る予定だった様子。
    • フラッテリー・ギャングとして登場する2人の兄弟もスーツに帽子、サングラスと一目でギャングと分かる姿をしているが、原作の2人はそういった服装ではない。

総評

原作付きのゲームであるが、版権ゲームにありがちな駄作要素とは一切無縁である。
アクションゲーム制作に定評のあるコナミの手腕が発揮されており、難易度、バランス、音楽とどの点も高い質を保っている。
遊んだ人からの評価が押しなべて高いことも、本作の質の高さを証明していると言えよう。


移植

  • FC版は後にパソコン(PC88/X1)にも移植されている(1986年11月発売、コナミ/コミュニケート)。
    • 88版はBGMがFM音源対応となり強化されたが、画面がスクロールせず画面切り替え方式に変更されている。
    • X1版は滑らかではないのもの画面がFC版同様スクロールするが、BGMはPSGのみである。
  • 海外ではNES版が発売されてない代わりにアーケード版が『Vs. The Goonies』のタイトルで稼動している。
  • ディスクシステム(1988年4月8日発売)でも書き換え専用(片面のみ使用)として移植されたが、版権の都合で書き換えが早期終了となった。
    • RAM容量制限のためか、ステージ移行時などにロードが入る。カットされた要素などはないが、ROM版に存在した電源ON後のデモ画面の削除、ステージ2のスタート地点の変更などの変化がある。

MSX版(参考記述)

  • 本作発売の前年の1985年12月23日に、MSXで同名タイトル『グーニーズ』が同じくコナミから発売されている。
    • 主人公がスロースであり「救出する仲間がマイキーを含めた7人」であるなど、ゲーム内容もFC版とは異なるが、アクションアドベンチャーゲームの傑作の一つに数えられている。
    • 決まったエリアで決まったアクションを行うことでアイテムが出現する「ドルアーガの塔」のような要素がある。取得したアイテムが画面下部に並んで表示されるのもドルアーガと同じ。ちなみにゲーム序盤で出現するプレイヤーの移動速度を速くする「ハイパーシューズ」は、攻略上ほぼ必須アイテムといえる。取ると敵が強化するマイナスアイテムもある。
    • 残機がなく体力制であり、体力ゲージが全てなくなるとミス→ゲームオーバーとなるため、難易度はFC版に比べて高めである。
      • とくに落下してくる吊し岩に潰されたり、吊るし岩に乗ったまま上昇して天井との間に挟まれたり、通過した後に迫ってくる地形に押し潰されたりすると、残り体力に関係なく即ミスとなるので注意が必要。
    • ちなみにMSX版のリメイク版『The Goonies - 20th anniversary edition』が存在する(2006年、Brain Games)。

米国PC版(参考記述)

  • 上記MSX版とほぼ同時期に、米国のデータソフトからApple II、Atari 800、コモドール64用ソフトとして1985年11月に発売されている。
    • ゲーム内容はコナミ版と異なり、2人いるグーニーズを協力させて(1人プレイの場合は切り換えながら両方を操作する)ステージ中のギミックを解いて先へ進んでいく内容となっている。操作はレバーのみで攻撃ボタンは存在しない。
    • こちらは翌1986年に、Amstrad CPC、ZX Spectrumへの移植版がイギリスのU.S. Goldから発売された。

その後の展開

  • 本作のBGMをMr.T(内田智之)がアレンジした楽曲が音楽ゲーム『pop'n music 10』に収録。元が映画の主題歌なので版権曲扱いで、AC版では『10』から『20 fantasia』まで収録されていた(現在は削除)。PS2版にも『10』で収録されている。
    • また、本作の主人公であるマイキーもファミコン版をベースにポップン風で描き直されてキャラクターとして登場している。
      ただし版権の都合でキャラ名はマイキーではなく本名の「MICHAEL(マイケル)」名義となっており、姿もあくまで映画ではなくゲームのイメージを元にしている*10

余談

  • 今作の発売日である1986年の2月21日はディスクシステムの発売日でもある。
  • パッケージ裏には「グーニーズの7人をギャング達から救い出そう」と記載されているが、FC版では6人の仲間を救うのが目的である。
    • これはおそらく、前述のMSX版の事柄を誤って使い回したものだと思われる。
  • ゲームでは珍しく「ゾンビ」が最強枠の敵として登場する。
    • 空中に現れ壁などもすり抜け水平飛行して襲ってくる海賊風の敵で、キック攻撃が通用しない。取扱説明書によると「片目のウィリー」の亡霊…
      そういうのは「ゾンビ」ではなく、「ゴースト」というのではないだろうか?
  • 隠し得点アイテムの「スピルバーグ監督」は後に「コナミ監督」に名称変更が行われている。
    • 理由は無断で名前を使用したため、問題になった模様。
  • ファンからの評価が高い本作であるが版権の都合上、据え置き、携帯機含め現行機種での移植や配信が今後も絶望的であろうことが惜しまれている。

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最終更新:2023年11月02日 21:11

*1 銃弾を撃つ者と歌う者は見た目は同じだがプログラム上別キャラ扱いであり、1人が両攻撃を使ってくることはない他、歌うものはハシゴを上り下りしないという特徴がある。

*2 映画でもギャングの一味のジェイクはすぐに歌を歌いたがるが、他の仲間から嫌がられている描写がある。

*3 もっとも、他のスコア系隠しアイテムやダイヤモンドも出し方は同じなので、それらが欲しい場合はまた話が変わってくる。

*4 本来のグーニーズのメンバーは主人公のマイキー、マウス、チャンク、データの4人で、全員同じぐらいの年齢の少年(チャンクはデブ、データは中国系)。残りのブランド(マイキーの兄)、アンディ(ブラントの恋人)、ステファニー(アンディの友人の女性)の3人はグーニーズのメンバーではなく、成り行き上マイキーに同行した形だが「仲間」とは言えなくもない。最後の女の子が兄の恋人であるはずのアンディという設定になっているのは原作映画でマイキーとのある絡みがあったからだと思われる。

*5 前述のエンディングのシルエットの件から、実はプレイヤーキャラクターは、その体躯からブランドだったのではないか?という見解も出来なくは無いが、結局のところ確証がないため不明である。

*6 原文ママ。本来はフラッテリー・ギャングだが、本作の説明書では前者の表記で一貫している。

*7 これに対して後述のMSX版では、説明書にプレイヤーや囚われた仲間たちの名前が映画に準じた形で載っている。

*8 続編『グーニーズ2 フラッテリー最後の挑戦』には登場する。

*9 オープニング(というかタイトル)画面に8人のシルエットがあるが、1人だけ他キャラの倍ほどの圧倒的に大きい奴がおり、これがスロースの模様。

*10 そのためか、キャラクターの方は現行アーケード版でも使用可能。