クイズマジックアカデミー

【くいずまじっくあかでみー】

ジャンル クイズ
対応機種 アーケード
販売・開発元 コナミ
稼働開始日 2003年7月24日
判定 良作
クイズマジックアカデミーシリーズ


概要

コナミから発売、運営されているオンライン対戦型クイズゲーム。ネットワークを利用した問題の新規配信やクイズ大会を思わせる対戦形式、入力デバイスにタッチパネルを利用し直感的に解答できる点や出題形式の多彩さなどの新機軸でクイズゲームの単調さを払拭し、革命を起こす。
魔法学校を舞台した学園ファンタジー風の世界観や登場キャラクターの人気も手伝って、クイズゲームとしてはかなりの息の長いシリーズとなっている。

プレーヤーは魔法学校の一員として授業や試験で他の生徒(プレーヤー)と競いながら、伝説の賢者を目指す…というストーリー。*1

ゲームシステム(シリーズ共通)

この項目ではシリーズを通して共通するゲームシステムについて解説する。 よって2003年稼働した初代には実装されていない機能も一部記述している。

  • 各種カード等を使用し、プレーデータを保存できる。
    • 初期の頃は磁気カードにセーブをしておりセーブデータの保存期限は設けられていた。
    • 後年の作品はコナミの共通ICカード(や交通系カード、おサイフケータイ等)を利用し、サーバーから呼び出す方式となっているため、引き継ぎが出来ていれば気にする必要は無い。
  • 全国対戦モードでは一般的なアーケード対戦ゲーム同様マッチングを行い複数人のグループ参加者と対戦を行う。
    • シリーズやゲームモードによってマッチング人数は異なる。また人数割れが発生した場合はCPUが参加し欠員を埋める。
  • マッチング待ちを行っている間は予習としてクイズ問題を解いて時間を潰すことが出来る。
    • 予習の正答率に応じて出題レベルや出題形式が開放されていく。
  • 解答にはタッチパネルを用いる。
    • 基本的には多数択一式の解答方式だが、問題毎に様々な解答方式が用意されている。
    • キーボードで単語を入力する解答形式の場合あいうえお順のソフトキーボードで入力する
      • 賢者の扉(9作目)以降はQWERTYキーボードによるローマ字入力にも対応し、パソコンになれたプレーヤーも入力しやすくなった
  • ゲームプレー終了後、魔法石とゲーム通貨が手に入る。(4以降)
    • 魔法石はプレーヤーの経験値のような物で、一定値集めると階級(ランク)があがる。
      • 初代のみ勲章制、2,3は経験値制。2以前は降格もあった。
      • 3,5,暁の鐘(11作目)では昇格時に追加条件が要求された。
    • ゲーム通貨は「マジカ」とよばれ、購買部(ショップ)でカスタマイズアイテムを購入可能。
  • マジックエッグと呼ばれる卵が与えられ、それから生まれるペットを育てる要素があった(6まで)。

ゲームの基本

  • 基本的な攻略法は「知識を身につけ、誰よりも早く正解のボタンをタッチパネルで押す」ことのみ。
    ただし、上級クラスではそれに加えて「タッチパネルを速く正確に押す技術」、「問題文の類推・先読み」も多少要求されてくる。
  • トップランカーとして勝ち続けるためには大学の専攻分野レベルの専門知識も、末代まで役に立たなさそうなトリビアも、遠い異国のミュージシャンの楽曲も、日本では公開されないような映画の出演者も、競技人口の少ないスポーツ選手の名前も、果てはマニアすら知らないアニメの主演声優までも瞬時にかつ正確に答えなければならない。
  • 最上位クラスになると、度重なるプレーで絶えず追加される問題と解答をその都度カメラで撮影して「回収」・丸暗記し、問題文の「決まり字」レベルで瞬時に解答を入力するプレーヤーも多数存在する(中には、調べた解答をノートに書いて持ち込むプレーヤーも存在するが、これは「カンペ」と呼ばれあまりマナーのよくない行為とされる)。
  • と書くと悪い意味でマニアック過ぎてクイズ・知識に自信の無い層がますます寄り付かなくなってしまいそうだが、入門用の救済措置もちゃんと存在する。始めて間もないプレーヤーに対しては普通、まずは簡単な問題で肩慣らしするモードを提示されており、“接待”をするCOMがいる。
    • なお、この“接待”をするCOMも「暁の鐘(11作目)」ではクラスわけの減少もありいったん廃止されたほか、復活後も旧来の作品よりも数が抑えてあり出題形式まで制約があるので、携帯電話やスマートフォンのアプリ並みと揶揄されている。

評価点

本作の革命的な点は、クイズゲームの持つ欠点を根本から改善したことにある。

従来のクイズゲームはROMによって内容が固定されているのが当然であり、稼動後の時間経過で問題の答えが変わってしまったり、問題数が限られていて何度かのプレーで答えを覚えられてしまったりするため、寿命の短いものが多かった。
最終的には電源を入れなおすとすべて同じ問題順になるという物もあり、クイズゲームにもかかわらず「シンクロ連射装置を使うと理論点が達成できるためハイスコア集計打ち切り」というものまで出てしまう始末で、時代の経過毎に何とか基板の容量で誤魔化そうとはするものの、それも頭打ちになってしまう。

本作は以下の様々な新要素の導入により、クイズゲームの単調性・短命性を払拭し、大きな改善をもたらした革命的な作品となった。

ネットワーク接続・タッチパネルディスプレイによるゲーム性の改革

  • ネットワーク接続により『全国規模での最大16人同時対戦』と『プレー内容の継続的な更新・不具合修正』が実現した。
    • また、前年に稼動開始した「麻雀格闘倶楽部」と同じタッチパネルディスプレイの採用によって出題形式の多彩化などの新機軸を採用しており、
      1989年当時、クイズゲームというジャンルに新風を吹き込んだ「クイズカプコンワールド」以来ほとんど進化のなかったクイズゲームのゲーム性に大きな改革をもたらした。
    • 今までのアーケードクイズゲームは4択が主体だったため、正確な知識が要求されるタイピング形式のクイズは非常に斬新。
      また、本作以前に新規問題の追加や誤字等の修正を行えるアーケードクイズゲームは皆無であった。
      ネットワーク技術やタッチパネル技術が発達した今の時代だからこそ成し得た利点といえるだろう。

クラス分けによるプレーヤーの腕前の住み分け

  • ある程度の階級分けが成されているために初心者と経験者(上級者)のマッチアップが起こり難く、更に対戦形式であるために「誰も分からないような難問ばかりが出る=即ゲームオーバー」という事態も起こり難い。これによって一見さんからやり込み派まで幅広い客層を得ることに成功した。
    • ただしマッチ人数が少ないと人数合わせとしてCOMキャラが入り、難問に正解してプレーヤーを差し置き決勝進出と言う事態も*2。これが所謂「ちょっとマテウス*3」である。
      • 『4』ぐらいまでは(時代的に仕方ないのかもしれないが)通信が安定せず、通信落ちしたプレーヤーはCOMキャラに入れ替わる。逆に通信落ちしたプレーヤー自身の対戦相手も全員COMキャラになる。
    • なお、従来の業務用クイズゲームでは「ライフ3」形式がほとんどで連続不正解であっという間にゲームオーバーという事態もありがちだった。
      一方本作では、難問が続出しても予選なら下位4位に入らなければ次へ進める上に、トーナメント前には練習問題が数問できるので、苦手な人でもそれなりに楽しむことが出来るようになっている。
    • なお、12作目の「トーキョーグリモワール」(以下TG)以降ではプレーヤーや設置店舗数の減少を受けてか初代から存在した 16人対戦のストイックなオンライン対戦モードは廃止 され、9人での「トーナメント☆NEO」が導入された。(11作目「暁の鐘」の「トーナメント☆マジバトル」はお助け魔法ありのカオスな8人対戦だったためTGでは下位組にてヒントのみが使えるシステムになった)

ジャンル・形式分けの細分化・「オタク」ジャンルの重点化

  • 旧来のクイズゲームは攻略のため得意または伸ばしたいジャンルが出題されなかったり、意図的に捨てることが推奨されることがあった。
    • しかし本作ではトーナメントでの召集の前に好きな形式・ジャンルの問題を一定数予習ができるようになり好きな問題の出題が保証されるようになった。
    • またアニメや漫画、ゲームなどのジャンルを初めて独立させたクイズゲームであるといわれている(実は『子育てクイズマイエンジェル』(ナムコ)と言う前例が存在したが*4)。
      • クイズ番組や旧来のクイズゲームでは比較的知名度の高い事柄しか出題されないか、「雑学」や「芸能」の一部扱いとして出題されていた
      • しかしQMAではゲームセンターのアーケードクイズゲームということもあり、日本のサブカルチャーという分野か初代より1ジャンルとして独立しており、QMA2からは可愛いらしい「魔法少女」のキャラクター*5が担当キャラにあてがわれているなど確固たる地位を与えられている。
      • スポーツ等とともに出題範囲の偏りがネタにされるジャンルのひとつでもある。

魔法学園を舞台にした魅力的なキャラクター達

  • 稼動時に流行していた「ハリー・ポッター」シリーズを彷彿とさせる個性的なキャラクター達も人気に繋がった。当初は8名(ロケテ時点では4名)だった生徒(プレーヤーキャラ)も今では新旧あわせて22名(+DS版専用4名)にまで増えた。
    • キャラ属性は、巨乳・メガネっ子+おさげ・ツンデレお嬢様(ついでに貧乳)・ロリ+ニーソ・クール不思議系・半ズボンショタなど幅広くその道のユーザーを楽しませてくれる。『2』以降は格闘娘・中国娘・メイド・女顔のショタ等も追加された。誤解を与えているかもしれないが、案外事実である。
    • 声優も桑島法子・浅野真澄・田村ゆかり・檜山修之・子安武人等豪華な顔ぶれ。

問題点

  • 実質的に「正解率」と「解答時間」を競うだけであり、他のプレーヤーとの駆け引き要素は希薄。
    • 一般的なクイズ番組で生じる駆け引き要素からくる緊張感とは若干異なるものとなっている。
    • 一応、決勝戦では問題のジャンルを選べるので、わずかながらも駆け引き要素もある。まぁ大概は自分の得意ジャンルを選ぶだけだが。
  • 「感圧式タッチパネル」なので、劣化が激しく反応が悪くなりやすい。当然解答が遅れてしまうのでぎりぎりの攻防の際は致命的である。ジョイスティックやボタンほど気軽に交換も出来ないので、店員に訴えてもどうにもならない状況が発生しがちであった。
    • スマホやタブレットなどの「静電式タッチパネル」となるのは9作目以降である。

総評

それまでは娯楽性が重視され、競争、対戦要素が少なく、テレビのクイズ番組のような切迫したアツい戦い、とは無縁であった。
これをインターネットを用いて店舗間を結び競い合う、というクイズゲームとして新機軸を打ち出し、あらゆる面で進化をもたらした革命児になったとも言えるだろう。


その後の展開

キャラやモードの追加などプレーヤーを飽きさせない工夫が続いているものの、変化の全てが成功したものとは限らず、「試行錯誤を重ね続けている」という言葉がピッタリであろう。
かつて人気を二分した『An×An』無き今こそ本シリーズの正念場、試練の時を迎えたと言える。新作や新モードが出る度に新たな評価点とともに生まれる新たな問題点は、今後のアップデートでどんどん改善されるのか、ファンの期待がかかるところである。

シリーズを追う毎に問題はマニアックになっており、ハードルは高くなりつつある。
出題範囲も時事問題の場合1960年代~現代とかなり広く、若年層になればなるほど不利になる。


シリーズとして

モードの豊富さ・一人用やりこみモードや協力要素の導入

  • ストイックに知識力や暗記力を競って対戦するだけにとどまらず、QMA5以降は特定のテーマに関する問題が出題される「検定試験」や、QMA7以降に導入された協力プレー、全国大会など多数のモードが登場。モードの豊富さと、より手軽に初心者から全国ランカーなどの超上級者までが楽しめることがウリとなっている。
    • なお、「暁の鐘」(11作目)では従来のダンジョン探索タイプの協力プレーは廃止され、代わりに4人がかりで強力なボス敵と戦う「マジック☆コロシアム(TGではグリムバスターズ)」を協力モードに据えた。
    • MAXIVCORD(14作目)では新モード「リコードアリーナ」(カードバトルモード)を中心に据えたため、協力プレーを一時廃止したが3か月後に復活することとなった。

シリーズ物としての弊害

  • シリーズ物に常に付きまとう、古参との実力差による新規参入のハードルの高さやマンネリ化という問題もあり、新要素の追加やバランスの調整も行われてはいるが、プレーヤー人口は緩やかに減少しつつあることも実情である。
    • プレーヤー数も4作目の頃がピークであった。それ以降、毎回新要素が試みられてはいるが、受け入れられず軌道修正を余儀なくされているものもままある。
      • そもそもパソコンや家庭用ゲーム機の高性能化と家庭用インターネットの普及、スマホの台頭でアーケードビデオゲーム自体が衰退に向かっているのに加え、2013年には基本無料のソシャゲ『クイズRPG 魔法使いと黒猫のウィズ』*6が登場したのも拍車を掛けている。
    • 例えば2010年稼動開始のVIIでは新キャラクターが6人追加されたが、代わりに旧キャラクター9人や特定条件で入手可能な限定アイテム等含むアイテムのほとんどなど色々な要素が削除され、特にキャラクターファンからは不満の声が上がっていた。*7
      魔法学校の生徒であるキャラクターは本作の大きな魅力であり今後の踏ん張りが期待されていたところ、その次のVIIIでは全員復学が決定し、削除されたおびただしい量のアイテム等も時間をかけて復刻されていった。詳細な経緯はこちらを参照。
    • 最新作「トーキョーグリモワール」では前述の通り全国大会である16人でのトーナメントバトルを廃止し、9人対戦での「トーナメント☆NEO」に入れ替わった。順位決定戦では3人でのジャンル・形式が出せるがアカデミーからのランダム出題がセレクト系しかなかった不具合も(現在は解消済み)。
      • これは旧作で時間帯によるプレーヤー人数が少なく、定員割れによるNPC参加が常に発生する問題があったためと思われる

キャラゲーとして

  • 近年ではキャラクターごとのイベントシーンが増え、キャラゲーとしての側面も強まってきた(この点に関しては賛否両論)。
  • シリーズを重ねるごとに、女性キャラの乳揺れ・穿いてない疑惑(パンチラ防止策のつもりだろうか…)といった萌え要素を前面に押し出し過ぎていった。
    • 一番ひどい時期ともなると、女性キャラの描写で力尽きましたといわんばかりに男子生徒は決めポーズを著名なアニメや漫画、他作品から露骨にパクる等どう見ても手抜きだった事も(パロディという見方も出来なくないが)。
      • さすがに、近年は男性キャラの冷遇ぶりは収まってきてはいるが、フィギュア等の販促グッズ化には恵まれないまま(というよりQMAグッズ自体QMA7のキャラクターリストラ騒動を境にあまり見かけなくなってしまった。ミューとかロリコン人気あったのに)。尤も販促グッズの女性キャラ優遇は本シリーズに限った話ではないが…。
    • 一時はトーナメント☆マジバトルやマジック☆コロシアムでの敗北時にキャラクターの服が破れたイラストを表示する(男子生徒含む)事で梃子入れを図っていた。操作キャラ以外も表示される上表示がOFFにできなかった。
  • 比べてみるとうっすらと面影はあるが、キャラクターデザインはあの「おにょれ君」「恥ずかしいクルクル」で話題になったXEXEXのキャラデザと同じ人である。
    • 間にヒット作ときめきメモリアル等を経た為かキャラゲーとして十分通用する絵柄になったが、当時はXEXEXの頃を思い浮かべると「デモシーンはゲームシーンの様に4倍に描いて縮小」等凝った作りでなかった故の品質だったと想定出来る。
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最終更新:2024年03月05日 22:55

*1 シリーズを追う毎に学園内に変化が起こっており、設定は微妙に変化している。

*2 COMキャラは基本的に正答率が低いのだが、問題の難易度にかかわらず正答率が同じだったため、難問ばかりが出題された場合はCOMキャラが勝ってしまう事がある。

*3 マテウスとはプレーヤーキャラ・セリオスのCOM用名義。

*4 「学問=まじめ」「芸能=おいろけ」「スポーツ=わんぱく」「アニメ&ゲーム=おたく」。

*5 ただし設定では「魔法少女に扮しているキャラ」であり、実年齢は不明。後に教員歴3年の17歳と確定した。

*6 対人戦は無い(ポイントランキングはある)が「対人戦で勝てない」ライトプレーヤーにとっては些細な問題だろう。

*7 主に電子マネーPASELIの導入やDS版などの購入で付いた限定アイテム等である