実況パワフルプロ野球7

【じっきょうぱわふるぷろやきゅうせぶん】

ジャンル スポーツゲーム

対応機種 プレイステーション2
発売・開発元 KCEO(ダイヤモンドヘッド)
販売元 コナミ
発売日 2000年7月6日
決定版:2000年12月21日
定価 オープン価格
判定 なし
ポイント 実在12球団で1軍レギュラーを目指す
サクセスの世界観は大きく一新
各球団にオリジナルキャラがチームメイトで参加
早川あおい・姫野カレン初登場
実況パワフルプロ野球シリーズリンク


概要

  • PS2のパワプロとしては1作目。そして初のPS2での野球ゲーム。
    • これまではSFC→N64とメインシリーズは行ってきたが、本作からメインシリーズをPS2に移行。その後は『9』でGCとマルチになることはあっても2009年まではPS2を軸にして展開されており、いまだにシリーズの数はPS2の頃が9本*1と歴代で一番多い。
  • この頃からパワプロくんが今のようなデザイン(小さくなった瞳、やや細くなった胴体)になった。

特徴

  • レギュラーキャラとなる早川あおい・姫野カレン・神童裕二郎が本作から初登場。
    • 姫野カレンは後のシリーズではハイリスクハイリターンの彼女キャラとして定番になるが、本作ではパワプロ5の豪田などと同じく容姿は特徴的でこそあれ基本的にローリスクハイリターンな彼女である。
  • 前作までと比べグラフィックが向上し、フルポリゴンで描かれた事で滑らかな動きを実現した。
    • しかし本作ではまだN64時代のものをブラッシュアップしたレベルに留まる。グラフィックが完成されるには次作の『8』を待たなければならない。
  • ドラマティックペナントモードは削除された。
  • サクセス画面も、またN64・PS1時代のウィンドウ形式でキャラが小さく描かれていて、過渡期を感じさせる。

実在12球団でのサクセスモード

  • メインでは『パワプロ4』以来のプロ野球編。今回は2軍から3年で1軍入りを目指す。
    • 基本的な流れはあまり変わらないが、球団ごとに練習で獲得できる経験点が微妙に異なる。
    • また練習メニューとアイテムを組み合わせた「特訓」システムがある。
    • 各球団ごとにオリジナルキャラがチームメイトで登場しており、ストーリーのバリエーションを出している。
  • 読売ジャイアンツは、お馴染みの猪狩守。桑田真澄選手に憧れているという設定があり、背番号18に執着していた。後の作品でも猪狩カイザースに所属する前の猪狩は巨人に所属している事が多い。
  • オリックスブルーウェーブは、猪狩の弟の猪狩進とエースの神童裕二郎。本作の進は兄・守へコンプレックスを抱いている姿がクローズアップされており、巨人ではなくオリックスを逆指名した理由である。日本シリーズで兄へのコンプレックスを乗り越えることがテーマとなる。
    • 神童と進は師弟関係となり、黄金バッテリーを組む。神童は以後の作品でも橘みずきの姉・聖名子と結婚したり野球アカデミーを開設するなど準レギュラーとなる。
  • 中日ドラゴンズは、関西弁のナックルボーラー阿畑やすし。阿畑がチームメイトになるのは本作が初であり、以後はオリジナル変化球の師匠としてお馴染みとなる。
    • 本作は中日に所属しているが、当時から阪神ファンであり中日対阪神の時には阪神を応援してしまうというイベントがある。
    • 後の作品(2010など)では本当に阪神に所属するが、「阿畑は中日」というイメージを根強く持つファンも多い。なお2011のサクセスでは指名球団が中日から阪神に変更した為、中日入団のシナリオは事実上消滅した。
  • そして千葉ロッテマリーンズは、パワプロ世界における初のプロ野球女性選手の早川あおいが初登場。本作限りのゲストキャラのつもりで作られていたが当時からキャラ人気は高く、以降のパワプロのアイドルキャラとしてレギュラー入りする。
    • 本作のあおいは以降の作品に比べて棘のある発言が多く、怒る時に「だまれ!」と叫ぶなどボクっ子ぶりも含めて「ツン」成分が多い。
    • また「実力不足だけど客寄せパンダのアイドル選手」として扱われている描写も多く、戸惑うあおいと庇う主人公の姿も描かれている。マリンボールもその状況を打破すべく主人公・矢部と共に開発したもの。
      • 攻略しようとして出来ない事に落胆したプレイヤーも多かったという。あおいに特訓と騙してこっそりデートを行うイベント自体はある*2
      • 「あおいちゃん弁当」を出そうとするイベントがあるが、ロッテには弁当を出した選手が低迷するというジンクスがあり、それを意識していると思われる。
  • またお馴染みの矢部、一軍・二軍の監督、各基本コーチは各球団で同じ。
    • そしてストイックなベテラン内野手の武蔵雷蔵もランダムで所属し、状況によってはチームメイトになる。
    • この武蔵雷蔵は、とある球団のキャラクターに深く関わっている。
+ 以下、武蔵雷蔵と深く関わる人物のネタバレ
  • 武蔵雷蔵はロッテの早川あおいの実父・早川秀一である。
    • MVP、オールスター常連など一流プレイヤーでステータスも非常に高いが、昔は借金を抱えて稼ぐためにタダ働きを強いられていた。
    • 妻は亡くなり、彼はその葬式にも行けなかった。その事が本作のあおいが父を憎むようになった原因である。
    • 武蔵がロッテに移籍してきた当初はお互いに父娘である事に気付かなかったが、ふとした拍子に武蔵が父だと知ったあおいは球団追放を賭けた勝負を父に仕掛ける。復讐されるのも仕方ないと思った武蔵はわざと負けようとする。
    • しかしあおいの母の日記を見つけた主人公によって、母が父を愛していた事を知ったあおいは父と和解。
      • その後のあおいは吹っ切れて丸くなり、一人称も「私」に戻る。ただし彼女には出来ない。
  • 以降の作品ではあおいの父親の話は一切されなくなっており、『9』で恋恋高校と「初の甲子園出場を果たした女性選手」という一面がクローズアップされた事でこの設定は半分忘れられかけている。パワフェスを見るに、設定自体は存在しているようだが。
  • しかし、父とあおいの和解イベント自体は感動の展開であり、評価は高い。
  • その他の球団も個性的なキャラが多い。
  • 福岡ダイエーホークスは、メジャーから来た助っ人外野手ボム(アレックス・ボンバー)
  • 西武ライオンズは、甲子園優勝を成し遂げて鳴り物入りで入団した一文字大悟。
  • 日本ハムファイターズは、チェリー理論という独自の理論を持ち野球選手カードを集めるのが趣味なチェリー藤田。
  • 大阪近鉄バファローズは、最年長内野手のベテラン内野五郎。また育成コーチの今宮も登場。
  • 横浜ベイスターズは、前年にメジャー移籍した大魔神佐々木の穴を埋めるかのような抑え投手の伊達団吉。
  • 広島東洋カープは、育成コーチの嵐暴力。鬼コーチであり、もはや超次元野球漫画の領域と言いようがないど根性を発揮する。
  • 阪神タイガースは、イケメン外野手の矢沢和美と腹ペコ捕手の鳴尾たけし。
  • ヤクルトスワローズは、強肩の捕手だが正捕手の古田敦也が居るため中々出場機会に恵まれない日下部卓也。
    • パワプロ10で外野手にコンバート、その後パワプロ11でダイエーに移籍して正捕手として活躍。同作の全日本編でも頼れる仲間として登場する。

評価点

  • サクセスは当時の実在選手もストーリーに関わる事が多く、サクセスキャラが実在キャラを喰いすぎていないのも魅力。シリーズお馴染みのライバルキャラである猪狩守でさえも自分の実力不足からオールスターへの招待を蹴ってフレッシュオールスター*3に出場するなど、プロに対する一定のリスペクトを感じさせられる。*4
    • 本作初登場のサクセスキャラもその殆どが実在人物が元ネタとなっている。
  • プロ球団ならではのドライでストイックな世界観が特徴的で、「実在プロ野球選手の一員として活躍できる感」は後の作品も含めシリーズ随一。後のシリーズの「マイライフ」に近い感覚である
    • 現役選手が覚醒剤を使って失踪、矢部がAVらしきモノを主人公に貸す、現役女子高生を(パワポケに先駆けて)ホテルに連れ込む、兄・猪狩守にコンプレックスを抱く進など、大人向けなやや毒の入った渋い展開も多い。
    • これまでのパワプロシリーズはコメディ要素が強かったが、本作以降はシリアスな部分も徐々に増えていく。
  • 「特訓」システムは非常に好評
    • 即座に練習を編み出せ時間も消費しない上、種類も豊富。一応作成の際にアイテムを消費する必要があるが、基本アイテムはスポーツ会社と契約することで一式を入手でき、補充もききやすい。
      • 「特訓」とアイテムを組み合わせることで新たな特訓を作ることもできる。
    • 特訓は突き詰めると既存の練習より遥かに効率的な経験点が入るが、そこに至るまでには練習レベルが一定以上必要であり、かつ練習レベルは一部例外を除きその練習を繰り返し行う必要があるのでバランスは取れている。
    • 後の作品との最大の違いは、練習自体は確実に行えるためランダム要素が特殊能力の獲得程度であり計画的な育成がしやすいこと。『8』以降の要素はタッグ練習など練習そのものにランダム要素が強いものが多く、特にそれらを嫌う層からの支持が根強い。
    • イベントによってのみ習得可能な特訓もある。が、終盤になってくると元の特訓を潰される損失の方が大きく、他のサクセスでいう所の「交通事故」と同等とみなすプレイヤーも。

賛否両論点

  • 速球のノビや変化球のキレが『6』『99』並み
    • ただし本作はスイングスピードが非常に早いため、慣れれば振り遅れるようなことはなくなる。
  • 早川あおいが攻略不可能。
    • 以降の作品ではお馴染みの要素になってしまったが、本作は彼女と交際できると信じてロッテを何度も攻略したファンも居たらしい。
  • 球団によって育成効率にムラがある。
    • 特に巨人の「松井のバット」、オリックスの「イチローのバット」は野手育成にはほぼ必須とも言われている。巨人は筋力を育てやすくガチ育成では主力。
    • 球団のオリジナルキャラもムラがあり、贔屓球団の独自キャラが好みでなかったり影が薄かったりする可能性もある。
    • また球団によっては「イチローに打順を回さない」などの条件でレギュラー入りするものもあり、難易度にムラがある。
  • 全然天才じゃない野手天才型
    • シリーズお馴染みの天才型は本作にも存在するが、野手天才型は初期能力こそ高いが体力の最大値の低さ、「けがしやすい」持ちで育成面で足を引っ張られることが多く「天災を通り越して地雷」「出てもリセット」とまで言われている。
    • 逆に言えば比較的出やすい「センス○、いいひと、虫歯持ち」で強力な選手を育てられるということでもあり、初期リセット回数は結果的に少なくなるため利点ともいえる。
  • 巨人の打線が強い。
    • 投手でありながら野手能力も高い猪狩守の参戦で打線が爆発している。日本シリーズで巨人と当たる際は苦戦を覚悟しなければならない。当時は交流戦がなかったため、パ・リーグ所属だとシーズン中に当たらないのが救い。
  • 12球団あるとはいえ、基本的な「1軍入りを目指す」というストーリーはどれも変わらない。
  • 全体的にN64・PS1時代の流れを引きずっている作り。
    • 過渡期のパワプロであり、懐かしい雰囲気もあると言える。

問題点

  • 肩力による送球スピードの変化が顕著
    • このため捕手の肩力が低いと相手走力に拘らず盗塁を一切防げないといった問題が出てくる
  • 一人あたりの育成時間が非常に長い
    • ペナント中は月1回は試合があるため他のサクセスと比べ単純に試合数が非常に多い。さらに本作では1軍レギュラーを獲得すると以降の試合が全て7回から完全マニュアル操作になるため、1試合にかかる時間も多くなる。
  • バグ、没イベントが多い
    • 代表的な例としてはリーグ優勝時にプログッズがもらえるイベントが存在するが、一部がバグで一切取れないなど。これらは決定版でも直っていないものも多い。
    • 体力が低いと怪我率1%でも練習後高い確率で怪我してしまうというとんでもないバグがある。なぜか怪我の判定が練習後に行われるバグが起き怪我率がまったく当てにならなくなってしまっている。

総評

N64・PS1からPS2へ過渡期のパワプロ。それ故に荒削りな部分もあるが、猪狩兄弟・阿畑・あおいといったレギュラーキャラの掘り下げは着実に進んでいる。
世界観は前作までの設定をある程度引き継ぎつつもほぼ一新され、結果的に本作からの話は『パワプロ14』まで長く続くことになった。
パワプロ5』も現在に近いノリだが、作品の世界観としては本作が実質的に現在のシリーズの基礎となった作品だと言える。
10年後にプラットフォームを移行した『2010』も実在12球団の作品だったが、本作のプロ野球に深く関わる展開を支持する意見もある。
なおオリジナル球団が舞台になった『10』は、猪狩兄弟・あおいがプロ入り4年目の設定であり、『7』の後にそれぞれの球団にトレードされていく事になる。

余談

  • オープニングのシーンは『パワプロ98』のサクセスが元ネタとなっている。
    • ただしサクセス中の主人公は甲子園出場経験がないと語っているため、オープニングとつながっているというわけではない。
    • ムービーの中では、レギュラーメンバーが実在球団のユニフォーム姿となるシーンがある(あおい、阿畑、猪狩兄弟は上記の通り。矢部は日ハム)。
      • ところが主人公はいつもと変化がないため、「指名なし」などとネタにされる。『8』『9』のムービーにおいても同様である。
  • アレンジモードにて阪神タイガースでアレンジした際にカツノリが居ると、采配設定で「カツノリ重視」が出来る小ネタがある。
  • 本作はイチロー選手がオリックスブルーウェーブに所属していた最後のパワプロである。
    • また、決定版では西武の松坂大輔が道路交通法違反による不祥事を起こしたため登録されていない。*5

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最終更新:2023年12月02日 19:37

*1 決定版やそれに近い物は含まず、メインシリーズのみ。ちなみに64は3作で、以降はマルチを含めてもPS3は6作、PS4は4作である

*2 結末は2パターンあり、デートだとバレて怒られる(評価が下がる)か、最後まで特訓と思い込んだまま帰っていく(評価が上がる)かのどちらかになる。

*3 二軍のオールスター

*4 桑田真澄投手へ憧れているという設定がついたのも本作から

*5 これは同年、PSで発売した「2000決定版」でも同様