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クレオパトラフォーチュン

【くれおぱとらふぉーちゅん】

ジャンル 落ち物パズルゲーム
対応機種 アーケード(F3システム)
発売元 タイトー
開発元 ナツメ、タイトー
稼動開始日 1996年
判定 良作


概要

  • 古代エジプトを舞台にした落ち物パズルゲーム。
  • 元はタイトーが販売していた世界初の家庭用通信カラオケ機「X-55」で配信されていたもので、この時点でゲームの基礎は完成されていた。それをアーケードゲームとして移植したものである。
    • X-55版は、ゲームをプレイするたびに電話回線からカラオケの楽曲と同様にデータが配信されるという、当時としては非常に珍しい試みだった。
  • エジプトの絶世の美女「クレオパトラ」をモデルにした、コスプレが趣味な主人公の巫女「パトラ子」を主人公に据え、エジプトらしさを前面に出しつつコミカルに描いているビジュアルが印象的。

特徴

  • レバー+1ボタンで操作。ボタンはブロックの回転。
  • フィールドには宝石、棺、ミイラが落下してくる。それを同じく落下してくる岩で囲んで消すのがこのゲームの基本的なルール。
    • ただし、ミイラは同じ囲いの中に宝石もしくは棺が入っていないと消えない仕組みになっている。ミイラが多めに出ても邪魔にならないように処理するのがクリアの秘訣。
    • 要するに、「ミイラ」を「棺」や「宝石」といった副葬品と一緒に石材で囲んで墓を作る、というシステム。
    • また、補助的な要素として「同種のブロックが横一列に並ぶ」事でもブロックが消える。これを利用して連鎖を起こすことも、ピンチを脱する事も可能。囲んで消しにくい場合の対処法としても知っておいて損はない。
    • 一般的な落ち物パズル同様、ブロックが中央最上段で詰まってしまうとゲームオーバーとなる。
    • 一定の区切りのレベルでは、下に置かれた同一種類のブロックを全て消し去る「ピラミッド石」が落ちて来る。追い詰められた時に一発逆転を狙える貴重な手段なので、是非活用したい。
  • 一人用モードではステージセレクトを標準搭載。最初から始めるか、途中から始めるか選ぶ事も出来る。難易度が上がるほどミイラが出やすくなり処理に苦しめられる。
    • 一人用モードはエンドレスではなく、エンディングが存在する。レベル99を終える事がエンディングの条件。
  • 一人用パズルモード以外にも、対戦モードも存在。対戦は2本先取でプレイヤーの勝利となる。
    • この時代のアーケードの対戦パズルとしてよくある「1クレジットで2人対戦可能、ただし決着後は両者ゲームオーバー」となるタイプ。
    • 対戦キャラは存在せず、パトラ子は画面中央で審判役を務める。

評価点

  • 古来からのドマイナーなボードゲームを、非常に優れたアイデアで落ち物パズルに生まれ変わらせた点。
  • 囲んで一気に消す楽しさ。後半はすんなり囲みにくくなるが、うまく処理出来た時の爽快感は大きい。
  • BGMはZUNTATAのSHUこと中澤秀一郎氏*1と高萩英樹氏。古代エジプトをイメージしたもので、曲数こそ極端に少ないとは言え非常に美しい。プレイ中のBGM「SHININ’QUEEN」は落ち着いた曲調ながら中毒性が高く、かなりの名曲である。
  • 全消しを達成するとマスコットのパトラ子がコスプレを披露してくれる*2。これ見たさに全消しを狙いにいくプレイヤーが続出した。
    • 通常のゲームよりも全消しし易い事もあり、高得点狙いでも全消しは必須。デッドラインから偶然に全消しが成功した時の爽快感は相当なもの。
  • 対戦モードの特徴的な点として、お互いゼロからのスタートではなく、ある程度のブロックが両者同じ配置で組まれた状態でラウンドが開始される。
    • この初期配置はパターンが豊富で、様々な種類のブロックがバランス良く組まれてる場合もあれば、露骨にミイラだらけのパターンも存在する。誰が呼んだか死体安置所。
    • このため「自力で連鎖を組む知識・技術があるに越した事はないが、初期配置を的確に処理するアドリブ力も必要」な対戦バランスとなっている。

問題点

  • ルールが少し特殊。
    • 本作では従来のパズルゲームと同じように同種ブロックを一列に並べて消す方法もあるが、岩で囲んで消すのがメインのルール。
    • そのため始めたての人にとって本作は「テトリス」や「ぷよぷよ」のように同じ色やブロックを一直線に並べるパズルゲームと思われがち。
    • 故に取っつきやすいルールでヒットしていた同社の「パズルボブル」とは異なり、ゲームセンターでの寿命は短くなってしまった。
      • 色とりどりの「ぷよ」や「バブル」が登場する上述のゲームらと異なり、基本的に色合いが地味なのもマイナスポイントだろう。
    • 積み重なった邪魔なミイラや棺等をうまく処理して立て直すのもこのゲームの面白さなのだが、焦るほど失敗するため初見ではプレイヤーの心を掴みづらい。
      • 本ゲームはレベル上昇と難易度上昇が比例しておらず、「レベルの下一桁が上がるたびに、ブロックの落下速度が速くなる等難易度が上昇し、10の桁が繰り上がる毎に落ち着く」…という仕様になっている。例をあげると、レベル19よりレベル20の方がブロックの落下速度が遅く簡単。
      • この為、テトリスのような徐々に難易度が上昇していくタイプのゲームに比べると、慣れないうちは序盤でゲームオーバー(または、不味い積み方をして大きな不利を背負う)になる可能性が高い。じっくり遊びたい初心者にとっては、欠点だろう。
  • 大連鎖時のボーナス配点が異常に高すぎるため、一回の連鎖でカンスト(9億9999万9990点)する危険性がある。
    • ボーナス得点は各連鎖のブロック消去毎に入るのだが、連鎖得点計算式は「消去ブロックの基本点×2の(連鎖数-1)乗」というとんでもないもの。
      • 具体的には8連鎖目に基本点の256倍、16連鎖目に65536倍の得点が入る。これでは一回の連鎖でカンストする可能性があって当然である。
      • 電源パターン(電源投入後クレジット投入しスタート押下以後、モード選択、難度選択、チュートリアル…を全て、ボタンを触れずに本編を開始)が存在するため、パターンを作れば確実にカンスト出来てしまう。
        実際に2022年5月に行われた秋葉原Heyでの配信では、初日の開店4分後に20連鎖で一撃カンストという風景が目撃された。
  • 対戦モードが練り込み不足。
    • 本作の対戦モードはぷよぷよ等と同様に、自分のブロックを消しながら、お邪魔ブロックを送り付けるという戦いになる。
    • しかし相手から送られてきたお邪魔ブロックを自分が送ったブロックで相殺するシステムがない*3為、どちらかが高い得点を叩きだすとまず助からない。つまり熟練者同士であるほど早々に決着がつく。これもACゲームとしては欠点だろう。
    • 上述のように本ゲームはボーナス配点が高いので、高い得点を出すのはそう難しいことではない。

総評

目新しさという点ではさほどでもなく、ルールも若干複雑なためとっつきにくさはあるものの、それを補って余りある妙な中毒性のあるパズルゲーム。
格闘ゲーム全盛期の時代に出されたため知名度は高くなく、アーケード歴史の中でひっそりと埋もれてしまっているが、プレイした一部のゲーマーの心にしっかりと「何か」を残し続けた作品であることも、また事実である。

余談

  • 全消しの際に表示されるパトラ子は何故か指が4本になっている*4
  • パトラ子は密かな人気を得ていたようで、後に同社の作品にゲスト出演している。
    • パズルゲーム『プチカラット』では隠しキャラとして使用できる。彼女は物語の核となる「秘石」を一つも持っていない設定であるため、ストーリーモードの対戦相手が必ず12人になる(他キャラは自分で1個持っているため11人で終了する)。
      • 本作のBGM「SHININ’QUEEN」もアレンジ使用されている。事実上パトラ子のテーマ曲となった。
      • 本作同様、全消しによるコスプレも披露してくれる。 ありそうでなかったブルマやナース服のパトラ子は何故かこっちに出てくる。
    • DSのクイズゲーム『きらめきスターロード(アーケード版はイントロ当てクイズ)』にも隠しキャラとして登場している。立ち絵は『プチカラット』の使い回しだが、イベント時のCGは描きおろし。
  • 先述の通り、元はタイトー家庭用通信カラオケ「X-55」*5で遊べたモノを大幅にアレンジ、移植している。
    • X-55に内蔵されているのではなく、カラオケ楽曲データと同様にダウンロードして遊ぶ…のだが、当時は今の様に光やADSLではなく、通常アナログ回線の9600bpsで落としてくるので、選択して遊べるまで小一時間かかる代物。ちなみに別売りゲームコントローラがあるのだが、通常はカラオケ用のリモコンで遊ぶ。
      • もちろん現代のBluetoothなどではなく、一般的なテレビリモコンと同じ赤外線送信なので、とても遊びにくい代物だった。

続編等

  • 続編として使用基板をNAOMI、開発をアルトロンに変えた『クレオパトラフォーチュン+(プラス)』が2002年5月に稼働した。
    • 『クレオパトラフォーチュン+』では新たなライバルキャラ「ゼノピア」が登場する。
      • 前作にあたる本作セガサターン版の追加モードでは「スフィンクス」というパトラ子のライバルキャラが登場していたが、その次の相手がゼノピア。プラスのストーリーは本作セガサターン版追加モードの続きである。
    • プレイ方法がアーケードのみで、出回りも少ないレアゲー。
    • ルール面ではほぼ変更は無いが、特殊な補助アイテムが出現するようになっていたり、時々ゼノピアが大型の岩を召喚して邪魔してきたりする。
  • 他にもパトラ子に代わって「イース」のイーシャが登場する『イースフォーチュン』*6も携帯アプリで配信中。
    • ブロック等が全てイースに合わせて剣やエメル(武器の強化に必要な石)などに差し替えられているが基本的なルールは同じ。手軽に遊べ、携帯ゲームとしての出来は良い。全消しするとイーシャと姉オルハの画像が見られる。

移植版

対応機種 セガサターン
プレイステーション
ドリームキャスト



発売・開発元 【SS】タイトー
【PS/DC】アルトロン
発売日 【SS】1997年2月14日
【PS】2001年5月17日
【DC】2001年6月21日
定価 5,800円(税抜)
判定 良作

概要(移植版)

  • 家庭用版ではミステリーモードという全50問の問題を解いていく、いわゆる『なぞぷよ』にあたるモードが追加。
  • SS版は出荷数が少なかったらしく、店頭ではなかなか見かけないレアゲー。見た目はほぼアーケード版と変わらないが、グラフィックや音回り、操作感など調整が入っている。
  • PS2『タイトーメモリーズ 上巻』(タイトー 2005年7月28日/5,040円)に収録されている。
    • アーケード版の完全移植。こちらも廃盤+プレミア化により入手困難となってしまっている。
  • 株式会社シティコネクションによるセガサターンのゲームを移植するプロジェクト「サターントリビュート」の一環として、タイトー製作品のシリーズ「Sトリビュート×TAITO」シリーズが展開されることが2022年4月2日のオンラインイベントで発表された。
    • 発表された対象作品の中に本作サターン版も含まれており、『クレオパトラフォーチュン™ Sトリビュート』のタイトルで2022年11月24日にNintendo Switch/PlayStation4/Xbox One/Steam(Windows)にて移植された。
    • リワインド、スローモード、クイックセーブ、ブロックの落下速度を変更するといった各種機能があるほか、ミステリーモードではステージセレクト機能が追加されクリア状況の確認もできるようになっている。

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最終更新:2024年02月09日 16:23

*1 他に担当した作品には『ハットトリックヒーロ'93』や『ランディングギア』、『JETでGO!2』等がある。

*2 コスプレが開始されるのは、17回目の全消しから。

*3 要するに初代ぷよぷよルール。

*4 尤も、デフォルメキャラの指をわざと5本にせずに描くのは、割とよくある手法ではある。

*5 当時のタイトーが社運をかけて発売した家庭用通信カラオケ。当時の全社員に本体を無料で配布する等が行われ、余りにも力が入っていた。CMが安室奈美恵で、CM曲がかの「BODY FEEL EXIT」。

*6 タイトーとファルコムのコラボ企画で作られた、公式ゲームである。