ファイティングレイヤー

【ふぁいてぃんぐれいやー】

ジャンル 対戦格闘アクション
対応機種 アーケード
販売元 ナムコ
開発元 アリカ
稼働開始日 1998年
プレイ人数 1~2人
判定 良作
ポイント ドマイナーな良作格ゲー


概要

  • アリカ製作の3D格闘ゲーム。『ストリートファイターEX』と開発元が同じであるためその血統色が強く、一部キャラクターがゲスト出演している。
    • 格闘ゲームとしては珍しくステージ選択制度を採用。次に戦う相手をある程度選ぶ事ができる。
      • 途中、中ボスとして別に勝たなくて良い鎧の騎士ランスナイト*1や、虎や鮫や大鷲といった動物と戦うステージ*2もある。これらの戦いは設定に関わらず1本勝負で、特殊なものとなっている。
    • ストーリーは「強者が集うザウスアイランドに様々な事情のある強者が集まった」と言うシンプルなもの。キャラクター同士の掛け合いなどは無く、それどころか殆ど喋らない。
    • BGMはキャラクターで固定されており、中ボス及びラスボス戦以外ずっと使用キャラのテーマ曲が流れる*3。音楽スタッフに細江慎治*4がおり、曲のクオリティはなかなか高い。

評価点

  • 格闘ゲームと言うのは往々にしてバランスの良し悪しが出てくるもので、「○○を使わなければ」「××さえ無ければ」というところを抜きにすれば完成度の高いものは多いが、本作はそういった条件無しに、全キャラ安定して勝機が見出せるようになっている。
    • 全キャラクターが非常に癖の強い性能を有していながら優れたキャラバランスを持つ(もちろんやり込んでいくとある程度の差は見えるが、他の格闘ゲームに比べてもその差は小さい方)。一因として、全体的に攻撃力が高めな点と、各キャラごとに独自の強み・弱みがきちんと設定されている点が挙げられる。
    • 見た目的にも、いろいろな格闘ゲームの色物キャラをかき集めたようになっている。
      • 例えばいわゆる胴着キャラ。『ストリートファイター』のリュウやケンのように、飛び道具・対空・突撃技の三つを兼ね備えたキャラ「アレン・スナイダー」がストリートファイターEXからのゲストとして出ているのだが、爆発力は高いものの切り返しが難しいという、実に長所と短所がはっきりしたキャラになっている。
      • 例えば「カプリッチョ」。とある部族の戦士で、色物だらけの本作キャラでも群を抜いての色物だが、攻撃キノコを育てる・投げる・設置する、回復キノコを育てる・食べる…と、トリッキーでユニークな技が揃い、設置技キャラとしては屈指の戦略自由度を誇る。
      • 「加藤鉄雄」にしても、確かに主人公らしく使いやすくはあるのだが、コマンドの追加入力で威力を増す必殺技や、信用できる対空技が無い等、かなりピーキーな面も持っている。見た目も胴着を着てはいるが波模様がある柄胴着と、なかなか個性的。
      • 当時流行していたタイムリリース機能が本作にも設定されており、中ボスの3人が使えるようになるのだが、きちんとバランスは調整されており、お手軽強キャラにはなっていない。
  • 操作方法は『ストEX』シリーズがベース。
    • つまりは従来の『ストリートファイター』シリーズの操作形態に近い6ボタン形式であり、これらの格闘ゲームに慣れていればすんなりと順応できる。
    • 『ストEX』シリーズに無かった要素として、本作ではダッシュ(フロントステップ)とバックダッシュ(バックステップ)、軸移動(コマンドは→+強P(奥)or強K(手前))が搭載されている。
    • その他、下記の多くの新システムがある。
  • 駆け引きを盛り上げる数多くのシステム。
    • ゲージを消費して出せる強力な超必殺技のバレッジブロウ。いわゆるスーパーコンボに相当するが、連続技の威力が高めで癖のあるバレッジブロウが多い本作では、ゲージ管理は他の格闘ゲームよりも慎重にならざるを得ない。
    • 同じ威力の攻撃ボタンを押す事で出せるハードアタック。必殺技扱いの中段技で、通常技をキャンセルして出すことができる。下段ガードしてる相手に当てるとよろめかせる事ができ、さらなる追撃が狙える。威力も高くラッシュの選択肢として強力。ただし、通常技から連続ヒット・連続ガードになることはない程度に出が遅く(キャラ性能にもよるが)、ガードされると隙がある上バレッジブロウ以外ではキャンセル不可であるため、ハイリスク・ハイリターンである。
    • ゲージを一回分消費して起き上がりに攻撃が出来るハードリバーサル。出し方が非常に簡単で無敵時間が長く、これにより安易な起き上がり攻めが難しくなる。もちろん、自分自身でタイミングを合わせてリバーサル技を出すこともできる。本作ではリバーサル技の受付猶予時間がかなり長く、先行入力が効くのでとても出し易い。
    • あらゆる攻撃を無効化する緊急回避のスーパーイリューション。殴られてようが倒れてようが投げられていようが瞬時に発動し、しかもゲージも満タンに。その上スーパーイリューション中は無敵状態で相手を遠ざける斥力が働くため、ほぼ確実に仕切りなおしの状況に持ち込める。しかし1試合に1回しか使えないため、使いどころが難しい。
    • 弱攻撃を連打する事でコンボを決めるイージーコンビネーション。コンボを知らなくてもある程度の破壊力が発揮できるため、初心者でも中級者とそれなりに渡り合う事ができる。
    • 通常技をキャンセルして出せる必殺技に限るが、必殺技をキャンセルしてバレッジブロウにつなげるスーパーキャンセル。連続技を伸ばすことができ、爆発力を駆使して一気に畳み掛けられるが、削り能力が消滅するのでガードされると弱い。しかし反撃確定の必殺技のフォローに使えたりもするので重要。
    • 技同士がぶつかると発生し、次の行動で前の技をキャンセルできるようになるブロウクワイツ。相手の技に反応してこれを狙い、判断力の隙を突いた攻めも効果的。
    • 中攻撃以上の通常技・特殊技・必殺技が命中した際、ボタンを追加入力する事で威力が増し、ゲージ増加量も増すジャストヒット。これも狙うのが難しいが、多段ヒット技の最中などにはノーリスクで狙っていける。同じ技を同じ状況で叩き込んでも、ジャストヒットの成否により威力は毎回違ったものになってくる。
    • 特定の通常技や必殺技、バレッジブロウで止めを刺すことで画面内にでかでかと技名が表記されるオートネーミングシステム。これで止めを刺すと非常にかっこいいので、性能が悪い技でも無意味になりにくい。
      • ただし、オートとは名ばかりでランダムで付いているわけではない。ある程度決めていくと法則がわかってくる。
      • 中には「プレミアムコンボ」として指定されている組み合わせもあり、例えば加藤鉄雄のバレッジブロウ「漢祭り」を後ろ大パンチからつなげて倒すと、画面にでかでかと漢縛りと表示される。字としてはアレだが映像としてみるとかなり熱い。
      • プレミアムコンボは非常に奥が深く、1キャラクターに8個ずつ存在し名前の種類は約70種類ほどあるらしいが、発売から13年以上が経過した今も、熱心な研究にもかかわらず未だ50種類ほどしか発見されていない。なお、アリカ副社長はこの件について質問されると必ず秘密ですと返す*5
      • 格闘ゲーマー、特にそのゲームに慣れている者ほど無駄な時間になりやすい、かと言ってスコアアタックやタイムアタックを行うには少し落ち着かない「乱入待ちのCPU戦」も、このシステムによって他の格闘ゲームより少し有意義にプレイできる。対人戦に重きをおいてCPU戦がおざなりにされがちなこのジャンルにおいては斬新な視点のシステムと言えよう。

問題点

  • ゲーム全体から漂うB級感。これに尽きるだろう。
    • 『ストリートファイターEX』の「EXならでは」の部分を抽出し、色濃く煮詰めたゲーム性や演出の数々は良く言えば個性的、悪く言えば特異すぎて、一般ゲーマーはおろか熟練の格闘ゲームプレイヤーでもドン引きしてしまったものと思われる。
    • 粗いポリゴンで描かれた見た目も特に新鮮なものではなく、グラフィック面で人を惹きつけるものが少なかったのも原因の一つ。
    • 対戦ツールとしての完成度は非常に高く、イージーコンビネーションも本作初心者救済の効果をある程度発揮しているのだが、その実覚えることが非常に多い。本当の格闘ゲーム初心者には不向きなつくりになっている。
      • 必殺技や特殊技の種類は豊富なのだが、対戦ではどうして存在しているのか価値を見出せない、いわゆる「死に技」が結構多いのも一因。世の中に流通している情報量が少なく、HPで調べる程度ではそれを知ることがなかなか難しい。
  • CPU戦の難易度が比較的高め。特にランスナイト・動物・ラスボスは、特殊なアーマー持ちだったり技のほとんどがガード不能だったりと、通常のキャラと違う特殊な性能を持つため、性能やパターンを知らないとまず勝てない。
    • 特に顕著なのは、隠しボスの真ランスナイト。なんと、 試合開始前に ライフ半分ダメージ&気絶効果を持つランスを投げて来る。回避するにはスーパーイリューションをタイミング良く出す必要がある。
    • また容量の関係上と思われるが、エンディングが全キャラ共通部分が多く味気ない。

総評

対戦ツールとして屈指の完成度を誇る作品。
ドマイナーなため対戦相手が少ないと言う欠点はあるものの、本作をある程度把握しているプレイヤー同士の対戦は非常に熱い。
キャラクター毎の相性・強弱はある程度あれど、連続技の威力が比較的高めの本作はどのキャラでも勝機が見出せるため、常に緊張感のある戦いが楽しめる。
駆け引き・テクニックが要求され、腕の良いプレイヤーが勝つという、格闘ゲーム本来の性質を考えると、本作は紛れも無い名作と言っていいだろう。

が、あくまでもそれは「格闘ゲームプレイヤーに限った話」である。
格闘ゲームを殆どやらず、対戦にもさして興味の無いプレイヤーには、ただのマイナーな格闘ゲームに過ぎないのが少し残念である。


余談

  • 出回りが悪く、移植も絶望的(発売元がナムコであるため、版権の問題だと思われる)。おかげで知名度も低い。
    • アリカ副社長が移植についてあるイベントで尋ねられた際「基板屋へGo!(移植の予定ないんで基板買ってね!)」と発言している。しかしただでさえ出回りが悪いのに、欲しい人が基板屋で買っているので中古市場にも殆ど出てこず、値段も高い。
    • また、『ストリートファイターEX』からのゲストキャラ2人(ブレア・デイム、アレン・スナイダー)については、その後『ストEX』シリーズに未登場となった。
      • 明確な理由は明らかになっていないが、発売会社の異なる本作に登場したことが理由ではないかと噂されることがある。
      • アリカオリジナルキャラの中でも、割合存在感を発揮していた二人だけに惜しまれる点である。
      • その後、この二人は後述する『ファイティングEXレイヤー』にて復帰した。
  • 主人公加藤鉄雄のBGMが「TE-20」と言う名称になり、『太鼓の達人12 ド~ン!と増量版』でアーケード限定でアレンジ収録されている。
    • 増量版は出回りが悪いので、幻の一曲になっている。
    • 同社の音楽ゲーム『テクニクティクス』でも採用されている。
  • PS2で発売された『ストリートファイターEX3』には本作のシステムのハードアタックが輸入されており、同作のエディットキャラ・エースが使用できる技の中に本作のキャラクター「加藤鉄雄」の技や、アレンとブレアの技もある。
    • 後に鉄雄とエースは双子の兄弟であるという衝撃の裏設定が明かされた。
  • 2018年6月28日に、本作と『ストリートファイターEX』シリーズの流れを汲む新規タイトル『ファイティングEXレイヤー』(PS4ダウンロード専売)が発売された。発売時点で本作のオリジナルキャラは登場していないが、ダッシュの導入やハードアタックやイージーコンボのシステムに本作との類似点が見られる。
    • まずは『ストEX』シリーズのキャラクターを優先して登場させる方針とのことで、一通り出揃った後は今後『レイヤー』キャラクターが追加登場する可能性もある。