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この項目ではカプコンから発売された以下の格闘ゲーム2作を扱います。判定はいずれも「 良作 」。

  • 『ジョジョの奇妙な冒険』(AC版)
  • 『ジョジョの奇妙な冒険』(PS版)


ジョジョの奇妙な冒険

【じょじょのきみょうなぼうけん】

ジャンル 対戦格闘アクション
対応機種 アーケード
使用基板 CPシステムIII
販売・開発元 カプコン
稼働開始日 1998年12月
判定 良作
ジョジョの奇妙な冒険シリーズ

概要

荒木飛呂彦の漫画作品『ジョジョの奇妙な冒険』。今作はその中でも人気の高い、現在「スターダストクルセイダース」として知られている第三部*1を題材とした対戦格闘ゲームである。


システム

  • レバー+4ボタン(弱中強、そして後述のスタンドボタン)で操作する2D格闘ゲーム。必殺技入力は大半が波動(キーボードのテンキー表記で236)、昇龍(同じくテンキー表記で623)といった簡単なコマンドで、初心者でもすぐ技を繰り出せるようになる。
  • 多くの格闘ゲームで搭載されている、チェーンコンボ・ガードキャンセル・アドバンシングガードといったシステムが搭載している。
  • そして第三部の重要な要素「スタンド」を再現する為に、承太郎など一部のキャラクターには「スタンドモード」と呼ばれるモードチェンジシステムが存在している。スタンドボタンを押すことでいつでもモードチェンジが可能。両方のモードの特性を理解し、使いこなす必要がある。
    • 若ジョセフなどモードチェンジが存在しないキャラクターもいる。彼らは常に通常モードで戦う必要がある。それらのキャラクターではスタンドボタンを押すと特殊技が発生する。
    • スタンドを出していない「通常モード」とスタンドを出現させたスタンドモードが存在し、両者で技の性能やガードに関する仕様が変化する。
    • 通常モード
      • チェーンコンボは使用不可。したがって目押しでコンボをつなげる必要がある。
      • 必殺技は「スタンドが一瞬だけ出現して攻撃。その間も本体は自由に動ける。ただし、スタンドが出現している間はガードができない。」という性質のものが多い。
      • 通常モード時に相手の攻撃をガードすると、体力が削られてしまう。
    • スタンドモード
      • モードチェンジできるキャラクターの場合、チェーンコンボはスタンドモード時のみ使用可能。
      • スタンドモード時に相手の攻撃をガードしてもケズりは発生しない。ただし代わりに「スタンドゲージ」が減っていき、ゲージがゼロになるとガードクラッシュ。一定時間隙を晒す事になる。スタンドゲージはスタンドを出していない時に自動的に回復する。
      • 一部のキャラクターはスタンドを遠隔操作する事が出来る。遠隔操作中のスタンドは強力だが、本体が動けなくなるためまったくの無防備状態となる。
  • 必殺技ゲージを消費する事で、スーパーコンボや「タンデムアタック」と呼ばれる技が使用可能。タンデムアタックの仕様はスタンドが独立しているか本体と一体化しているかどうかで仕様が異なるが、どちらのキャラクターでも強力なラッシュを仕掛ける事が出来る。ただし、スタンドモード自体が無いキャラクターはタンデムアタックを使えない。
  • システム的には複雑な部類に入るが、CPU戦は簡単なので特殊な操作は用いなくてもクリアは可能である。ただし対戦においてはそれらの複雑なシステムを活用できないと上級者には勝てない。

登場キャラクター

通常キャラクター
空条承太郎

  • 第三部主人公。スタンドは高い攻撃力とスピードを併せ持つ近距離型「スター・プラチナ」。
    • その強力なステータスに長いリーチをも持ち合わせたラッシュタイプ。特筆すべき原作再現はなされていないようだが、原作終盤の技が再現されている。

ジョセフ・ジョースター

  • 第二部主人公にして、承太郎の祖父。茨のような外見と遠視能力を持つスタンド「ハーミット・パープル」と、第二部までの主題であった「波紋」の力を持つ。
    • 引き寄せ効果を持つ技で一方的に攻める事が出来る。

モハメド・アヴドゥル

  • エジプトでジョセフが知り合った占い師。スタンドは炎を操る鳥のような頭の「マジシャンズ・レッド」。
    • クロスファイアハリケーンなどの豊富な飛び道具と対空技を持った反応迎撃タイプ。

花京院典明

  • DIOの刺客として承太郎の高校に転校してきたが、肉の芽による洗脳を解かれて仲間になった。スタンドは人型と触手状の2つの形態を持ち遠隔操作可能な「ハイエロファントグリーン」。
    • 飛び道具のエメラルドスプラッシュを持つ上にスタンドモードの技の射程が長い。また敵を捕える罠をしかけられるトリッキータイプ。挑発のバリエーションも豊富。

ジャン=ピエール・ポルナレフ

  • 花京院と同じく洗脳されていた元刺客。全体を大きく逆立てた髪形をしている。スタンドは甲冑とレイピアで武装した騎士のような外見の「シルバー・チャリオッツ」。
    • 攻撃の手数で攻めるスピードタイプ。超必殺技で剣芯発射・アーマーパージ等の技が再現されており、続編『未来への遺産』では第五部のストーリーに絡んだ技を習得した。

イギー

  • SPW財団のヘリで運ばれ旅の途中で加わったスタンド使いの犬。かつてニューヨークで気ままに生きていたがアヴドゥルに捕まえられた。砂のスタンド「ザ・フール」を持つ。
    • 通常モードでは食らい判定が小さく、スタンドモード時は技が強化される代わりに食らい判定が大きくなる。

呪いのデーボ

  • DIOに金で雇われた殺し屋。恨みの力でパワーアップし人形にとりつき操って戦うスタンド「エボニーデビル」を持つ。
    • 「人形を操る」という特徴がある上、スタンドモードが「遠隔操作モード」という特殊なモード*2に固定されている事で他のキャラクターと一線を画すプレイ感になる。通常、スタンドモードともに熟練を要する上級者向けのキャラクター。
    • 格闘ゲームにおいては、「常に画面上に存在する人形と本体を同時操作して戦う」というジャンルのキャラクターの元祖であるとも言われている。

ミドラー

  • 原作では顔を見せないまま倒された女性のスタンド使い。鉱物でできた物なら何にでも変身できるスタンド「ハイプリエステス」を操る。
    • 水中銃に変身できるなど、攻撃の射程が長いため中距離戦を得意としている。
    • 原作では倒れてる姿が小さく描かれただけなので、荒木氏がイラストを書き下ろした。ただし連載当時に比べて画風が変わっていたこともあり、ゲーム本編内のほとんど(操作キャラ自体のCGやキャラクター選択画面のアイコン以外のほぼ全て)は第四部の山岸由花子のものを加工した物が使われている。しかも服装も緩めのドレスから覆面を付けているが露出度の高い踊り子の衣装に変更された。
    • ちなみに2014年に放映されたテレビアニメ版では本作の踊り子衣装は使われず、原作準拠の緩めのドレスとなった。
    • ストーリーモードの結末が、PS版とそれ以外で大きく異なっている。

チャカ

  • 持つ者を操って剣の達人に変える剣型のスタンド「アヌビス神」を拾い、本体にされてしまった青年。
    • 特殊な当身技が最大の特徴。原作での「一度覚えた技は絶対に忘れん」の言葉通り、必殺技で相手の攻撃を覚えてその技に対してガードキャンセル技で反撃できるようになる。通常モード時には超必殺技の次元斬以外の必殺技がないユニークなキャラクター。

アレッシー

  • 「えらいねぇ~」が口癖の38才独身。スタンド「セト神」で相手を一時的に若返らせ、子供になった相手を一方的に嬲り殺す趣味がある。
    • 若返る技を当てた後はアレッシーの独壇場。いかにして相手を若返らせ、嬲り殺すかがカギとなる。また、全キャラクターに若返った後のグラフィックが用意されている。
    • ただし、いくつかのキャラクターは何故か若返りではなく原作の別キャラクター等に変わる(イギー→初期イギー、チャカ→刀を拾った子供、DIO→ヌケサクなど)。
+ 隠しキャラクター

DIO

  • ジョースター一族の宿敵である不死身の吸血鬼。首から下は第一部主人公・ジョナサンの肉体。時間を止められる最強のスタンド「ザ・ワールド」を持つ。
    • 性能自体は決して良い訳ではないが、ナイフ投げや時間停止・ロードローラー・瞬間移動を使うなど、原作を再現した技が多い。特に「時を止める」技はインパクト絶大であった。

邪悪の化身ディオ!!

  • 第三部の終盤まで登場した、顔に影がかかって表情が見えないDIO。
    • 原作での「スタンドの形がはっきりしていない」という特徴を押さえたため、肉の芽などスタンド技、必殺技が通常のDIOと異なっている。しかもスタンドモードが存在しない。

誇り高き血統ジョセフ

  • 第二部当時のジョセフ(通称若ジョセフ)。アレッシーのスタンドで子供化されたジョセフも同じ姿なのだが、こちらは普通のプレイアブルキャラクター。
    • スタンドは使えないが、ボウガンや波紋コーラなど原作で使用した波紋技を多く使う。名セリフ「次におまえは○○と言う」は挑発として再現されている。
    • 設定としては「もし老ジョセフがアレッシーのスタンドで若返ったら」というifの存在であり、続編『未来への遺産』ではそれに準じたストーリーが追加され、服装もより第二部当時に近いものへと描き換えられた。

CPU専用キャラクター

ンドゥール

  • 水を操る「ゲブ神」を持つ、盲目のスタンド使い。
    • 大量の手の形の水をなぎ倒しながら、本体の元へ行くベルトスクロールチックなステージになる。

マニッシュ・ボーイ

  • 眠っている者の精神を悪夢の世界に引きずり込むスタンド「デス13」を持つ赤ん坊。
    • 本体の姿は表示されず、ゲームでも「デス13」と表記。CPU戦の乱入キャラクターで、負けてもゲームオーバーにはならない(いわゆるボーナスステージ)。

ヴァニラ・アイス

  • DIOに忠誠を誓った男。触れた物を亜空間に消し飛ばすスタンド「クリーム」を持つ。
    • その特性は「高威力かつガード不能の体当たり」という形で再現された。DIO戦の前座で、通常のキャラクターと大きく性能が異なる。
    • 通常使用キャラクターやDIOと同様にスタンドモードが存在するためか、続編『未来への遺産』では使用キャラクター版も登場する。

非戦闘キャラクター

ダニエル・J・ダービー

  • 相手に「魂」を賭けさせ負かす事で魂を奪い取り、それをコインにしてしまうスタンド「オシリス神」を使う。
    • 戦闘などには登場せず、コンティニュー画面に登場する。ボイス入りで「ゲームを続けるかね?」と表示され、コンティニューしないとコインに変えられてしまう。コインには原作通り顔が描かれており、全キャラクター分用意されている凝り様。

評価点

  • 原作さながらの「スタンド使い同士の異常な戦い」を再現している。また、キャラクターの一挙一動が細かくしっかりと作られている。さらに一部の技がHit数過剰だったりと、爽快感に溢れている。
  • 必殺技のコマンドが全体的に簡単なので初心者でも容易に技を出したり、そこそこコンボをつなぐこともできる。そのため格ゲー初心者も十分楽しめる内容となっている。それでいてマニアックな仕様やテクニックも存在するため奥が深く、熟練者との対戦も面白い。
  • 原作再現
    • 戦闘終了時に表示される文字「再起不能(リタイヤ)」は原作で頻繁に用いられる単語。
    • ゲーム中でもカットインをコマ割している・キャラクター選択画面が漫画のページ等、漫画っぽさを取り入れた多数の演出は他に似る物の無い、独特な世界観を表現している。
      • ゲージを消費する技でとどめを刺されると血を吐いたモノクロのカットインが表示されるが、これはそのキャラクターが原作漫画内で致命的ダメージを負ったシーンのコマをそのまま使っている*3。また、チャカの場合相手のカットインが真っ二つになる、『未来への遺産』で追加されたホル・ホースなら銃痕が表示される、といった凝った演出も搭載している。
    • 一部の技を当てると非常に独特な「ズギャ---ン」等の擬音が表示される。擬音としてはやや風変わりな物だが、コレは原作も(というか荒木飛呂彦氏の作品全体が)そうである。
    • また、本作以降「キャラの台詞がそのまま一部必殺技の名称になる」(例:「オラオラ」「無駄無駄」「ロードローラーだッ!」など)という慣習が格ゲーにもたらされた。
    • 承太郎の「オラオラ」とDIOの「無駄無駄」がぶつかり合うと原作再現の「突きの早さ比べ」が起きる、DIOの時止め攻撃最中に承太郎の「スタープラチナ・ザ・ワールド」で時止め返しが出来る、誇り高き血統ジョセフが挑発で「次にお前は○○と言う」(○○の中には相手の挑発時の台詞が入る)と言ってくれる、など、原作ファンなら感涙ものの数々の仕様が施されている。
    • 声優陣は本作独自のキャスティング*4だが、どのキャラクターもハマり役との声が多くその評価は極めて高い。特に当時は名脇役声優だったDIO役の千葉一伸氏の「無駄無駄無駄無駄!!」の叫びは多くのプレイヤーの度肝を抜いた。
    • 細かいところの拘りもかなりのもの。例としてあげると、選んだキャラクターに吸血鬼または屍生人(DIO、邪DIO、『未来での遺産』のヴァニラ・アイス)が含まれていた場合、日光が差すステージは絶対に対戦の舞台に選ばれないようになっている*5

賛否両論点

  • 一部スーパーコンボがロマン技(魅せ技などともいい、成功させることが難しく割に合わない攻撃のこと)となっている。ポージングから発動までが長く潰されやすい上に、空中へのジャンプや一部動作で発生する無敵を利用されるとまったくダメージを与えられず終わることも。
    • 特に、原作で非常に重要な立ち位置の技である筈の「時止め」が中級者以上の戦いではまず見られない程の性能*6だったり、逆に強力で駆け引きの中心になるタンデムアタックが「スタンドとはさみ打ちにしてチマチマ小技でリンチする」物だったりして、キャラクター演出の高い原作再現度に反比例するように実際のゲームでは原作と乖離した戦いになる事が多い。
  • ほとんどのスーパーコンボで出来ることとして、相手のスーパーコンボ発動演出中にこちらもスーパーコンボを発動させると先出しした技が後出しに潰される。おそらく発動演出中も無敵時間が消費されているため後出しの演出中に無敵時間が無くなるためだと思われる。

問題点

  • ゲームバランスが悪い
    • 初代ではほぼ全てのキャラクターにお手軽即死、永久コンボが多数存在するなどかなり壊れたバランスになっていた。
    • ただし逆に言えばほぼ全員がかなり尖った部分を持っているということでもあり、「むしろ逆にバランスが取れている」と言われることも。稼働時期も相まって文字通りの世紀末であったのは言うまでもない。
  • バグがやや多く(中にはフリーズに繋がるものもある)、第一作では初作品だったためか調整が足りていない部分も散見される。

総評

細かな演出と原作再現が魅力の格闘ゲーム。原作が持つ独特かつ異質な雰囲気を忠実に再現しており、その独特の雰囲気に引き込まれたプレイヤーが原作にも興味を持っていった。スタンドシステムも他の格闘ゲームと一風変わった攻め方が出来ると好評。

ただし対戦バランスは「即死」「永久」が多数存在している点を起因として非常に悪く、格闘ゲームとしての出来は決して褒められたものではない。しかし、欠点を上回るほどにシステム自体の完成度の高さによる爽快感と、非常に細かい原作再現によるジョジョらしさにあふれているため、今もなお高い評価を得ており、ファンも十分に納得出来る一品である。

発売時期と版権元も相まって、ある意味「世紀末ゲー」の魁といえるかもしれない。


余談

  • 本作はいわゆる「瞬獄殺コマンド」で発生する移動掴み技が4つ用意されている。(ただしパンチとキックが分かれていないため、コマンドは弱中強の再現にとどまっている)
    • その中でイギーの物は、技をかけるのに成功した後の演出も似通っている。あろうことか、ロケテスト版ではこれでKOすると画面いっぱいに大きな「犬」の文字が浮き出る特別な演出が用意されていた。
      • パロディとしても流石にやり過ぎだと判断された為か、製品版では没になった。
      • なお、製品版ではK.O.時にキャラクターのやられ顔カットインが大きく表示される演出になったため、実際には「犬」の文字はその下に出ているものの覆い隠されてしまって見えない状態になっている模様。意図して隠したのかは不明だが。
    • ロケテスト版のROMで遊ぶのは今やほぼ困難だが、「犬」のグラフィック自体は製品版の内部データに残っているため、データを抜き出す事で閲覧は可能。
  • 2022年に配信者による開発者へのインタビューが行われており、このゲームにおいて問題とされたいくつかの要素についての解説がなされている。
    • 永久コンボに関しては開発側も把握しており、そもそもロケテスト中にコンボが繋がりづらくなるような処置*7を取ったりもしていたのだが、プレイヤーから「爽快感がなくなった」との声を受けて元に戻したとしている。
      • 一定数以上のコンボが発生した際に隙が短くなる仕様は爽快感を消さずにゲームバランスを調整しようとした結果として実装されたもの。
    • 総じて「いかに自分が先にテンポを取るか」という点を重視していたらしい。
    • 下記のPS移植版および続編『ジョジョの奇妙な冒険 未来への遺産』で追加された「ペット・ショップ」については、当初のバージョンでは他のキャラクターに対応できるような強い技がなかったためにあえて強めの調整を施したとのこと。
      • 「(格闘ゲームとしては異質な動物キャラである)ペット・ショップを思うように動かせる」だけでは対戦ゲームとして不足しているという考えからあの性能に至ったようで、開発者側もやりすぎたことは自覚していたらしいが、ペット・ショップはPS版の性能でも十分強かったのは下記の通りである。

ジョジョの奇妙な冒険(PS移植版)

ジャンル 対戦格闘アクション
対応機種 プレイステーション
メディア CD-ROM 1枚
販売・開発元 カプコン
発売日 1999年10月14日
定価 5,800円(税別)
廉価版 カプコレ:2001年1月25日/2,800円(税別)
判定 良作

概要(PS)

  • タイトルは『ジョジョの奇妙な冒険』。基本的に無印をベースとした移植なのだが、ハード性能の制限から一部要素が劣化・独自アレンジされている。
  • ベースは無印ではあるが、AC版の続編『ジョジョの奇妙な冒険 未来への遺産』との同時期開発だったため、『遺産』の追加キャラクターもプレイアブルキャラクターとして全員参戦している。つまりプレイヤーキャラクター数だけ見れば『遺産』と同様。
    • ただしあくまで無印ベースのため、無印キャラクターの『未来への遺産』で追加された新技(「灼熱のアンク」や「レクイエムの片鱗」など)は未収録、キャラクターカラーは無印と同じく2色のみ。一応若ジョセフは衣装やストーリーなどが『遺産』ベースになっている。

評価点(PS)

AC版からの変更点として、「スーパーストーリーモード」という、原作3部のストーリーを丸々再現したモードが追加された。原作ファンも納得する再現度であり、PS版では本作のメインモードとして扱われている*8

  • スーパーストーリーモードでは原作で戦った相手側のスタンド使いが全員登場する。一部のキャラクターにはボイスもついている。
  • 『未来への遺産』ではCPU戦に出てこなかった『遺産』追加キャラクター達も、このモードでは敵として戦うことが出来る*9。ただし、こちらの使用キャラクターは各話毎に固定されている。
  • PS版のアーケードモード(後述する)に存在しない対戦前と対戦後のデモが存在する。
  • アーケード版に登場しなかった一部の敵スタンド使いは、格闘ゲームではなくシューティングやギャンブル、インタラクティブムービーなどのミニゲーム風のバトルになっている。
    • 特にダービー兄は原作に登場したギャンブルの全てがミニゲームで再現されており、本作の徹底ぶりがわかる。猫がどの肉を選ぶかを選んだり、イカサマをしつつコインを投入するといった原作で行われた駆け引きが忠実に再現されている。やりようによってはポルナレフやジョセフの時点でダービーに勝つ事も出来る。
    • さらにグレーフライはマニッシュ・ボーイと同様の形式で戦い、エンヤ婆とカメオは特殊な格闘ステージで直接戦うことになる。
      • インタラクティブムービーのパートはゲーム性が低く特定タイミングで方向キーを入力するだけだが、代わりにほぼフルボイスで絵もふんだんに使われており、原作再現度は高い。
      • それぞれのステージには「シークレットファクター」という要素があり、原作を再現した特定の行動を取ると大きなボーナスポイントが得られる。
        *10
      • ステージごとのタイトル画面では敵キャラクターのスタンドの由来であるタロットorエジプト9栄神のカードが表示される演出が入るのだが、元となるカードが存在しないケニーGとヴァニラ・アイスステージでは本作オリジナルのカードが表示される。
  • 途中には分岐ルートもあり、クリアした後はステージセレクト可能&隠しステージも登場する。
  • ゲームに合わせストーリーは大幅に簡略化されており、インタラクティブムービー以外の会話シーンは格闘ゲームの素材を流用しているため演出は貧弱だが、同じ第三部のRPGと比較するとかなり原作に忠実に再現されている。
  • ポイントによるおまけ要素の解禁という手法をとっており、スーパーストーリーモードで一定条件を満たすことで稼ぐことができる。ポケットステーションのミニゲームを遊ぶことでも一部の解禁が可能。*11
    • おまけモードは貴重な設定資料集や描き下ろしイラスト、各キャラクターのエンディング、ミニゲームやCPUキャラクターとのバトル、サウンドテストなどが行え、全解禁こそやや大変だがかなりのボリュームとなっている。

賛否両論点(PS)

  • システムやキャラクター性能は『未来への遺産』追加キャラクターも含めてアーケード版2作品のどちらとも異なっている独自調整であり、賛否が分かれる。
    • システム全般は基本的に遺産ではなく無印準拠のため、空中受身は左右方向のみ、ダッシュしゃがみ攻撃が無い、ガードキャンセルが波動コマンド、などになっている他、さらにPS版独自の改変としてタンデムの時間が短い、地上受け身が無い、ペット・ショップが空中ガード可能、などAC版とも色々と異なっており、操作感がやや異なる。

問題点(PS)

  • ゲームバランスについてはAC版よりやや抑えめに調整されている。しかしペット・ショップは遺産ほどでは無いもののやはり強キャラクターであり、ヴァニラはタンデムが弱体化したが何故か彼のみコンボ補正が一切掛からないため異常な強さを発揮している等キャラクター性能の格差は依然残ったままである。
  • キャラクターはハード性能の都合でAC版より本体は15色、スタンドは3色(モノクロ風3階調)に減色されてしまっている。
    • しかし本体は元々キャラクターサイズからすれば異常なまでに多く色数を使っていたためもあり一見違いが分からないくらいの見た目はキープしており、大幅減色されたスタンドの方も「むしろ原作っぽくていい」という意見も。
  • 色だけではなくアニメパターンもかなり削られている。PS版だけ見ると特に違和感がないものが大半だがAC版と見比べると違いはかなり大きいことがわかる。*12
  • アーケードモードは、キャラクター別のストーリーがプロローグとエンディングデモ以外は全て削除されている。
    • AC版には存在したキャラクター別の道中のエピソードが丸々カットされているため、キャラクターによってはエンディングが唐突な展開に見えてしまう。また、AC版オリジナルのifストーリーが見られなくなってしまったことを残念に思う声も。
      • ただし、代わりに各OP&EDにはボイスが追加されている。また、『未来への遺産』追加キャラクター達には元々道中の会話デモが一切存在しなかったため、違和感は少ない。
  • 『遺産』準拠ではないためチャレンジモードは収録されていない。
  • ロード時間はかなり長い。しかし、ロード中待機画面ではジョジョキャラクター達のイラストが表示されるという配慮がなされている。
    • ロード後がバトルのステージの場合は、使用キャラクターのコマンド表が表示される親切も。

総評(PS)

  • できるだけ簡単に説明すると 無印に『未来への遺産』の追加キャラクターを加えてややアレンジした格闘ゲーム、それをベースにしたストーリーモード、ギャラリーなどのおまけ となる。
    • AC版との差異が大きくほぼ練習にはならないため格闘ゲームの部分だけを見れば劣化移植ではある。しかしAC版から更に強化された「原作ファン納得の再現度」と、AC版から引き継がれた「スタンドの特性を生かした個性的なキャラ」の2点により、ハードのハンデを開発の知恵と工夫で乗り越えキャラゲーとしての高い評価を得た希なゲームと言える。

その後の展開

  • AC版にてゲームシステムを改善しキャラクターを追加したアッパーバージョンに当たる続編『ジョジョの奇妙な冒険 未来への遺産』が発売されている。
    • そのDC移植版は、本項のAC版無印『ジョジョ』と『遺産』の2作カップリング移植になっている。
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最終更新:2024年03月21日 08:53

*1 第三部に付けられていた当時の副題は「未来への遺産」で、これは本作のアッパーバージョンのタイトルにもなっている。

*2 スタンドを独立して移動させる事ができるが、距離が開くため本体は無防備になり、また本体が攻撃を受けた時の被ダメージが普段の2倍になるという弱点がある。

*3 アヴドゥルなら「ホル・ホースに撃ち抜かれたシーン」という具合。

*4 承太郎はドラマCDと同じ梁田清之氏が担当。

*5 吸血鬼・屍生人は日光で消滅するという原作設定がある為。

*6 ゲージを大量消費するだけでなく出すまでの隙が大きすぎるため、素で出せば出足を潰される事は当たり前だが、相手のキャラによっては見てから空中に回避することもできる

*7 スタンドによる攻撃を行った後は、キャンセルしても本体はしばらく動けなくなるという仕様の追加。

*8 メニュー画面の一番上に項目がある

*9 恐怖を乗り越えた花京院のみ敵として登場しないどころか、プレイヤーとしても登場しない。

*10 例えば第一話でアヴドゥルをKOした時に牢屋の外(ステージ右端)にいると''「牢屋の外、してやられたというわけか」''になるなど。

*11 ポケットステーションなしでも全てのファクターは解禁にできる。

*12 これらはプレイステーションのスプライト能力の弱さに起因するもの。