ヴァンパイアセイヴァー

【う゛ぁんぱいあせいばー】

ジャンル 対戦格闘アクション
対応機種 アーケード(CPS2)
開発・販売元 カプコン
稼働開始日 1997年5月28日
分類 良作

概要

  • カプコンの人気格闘ゲームシリーズの一つ、『ヴァンパイア』シリーズ3作目にて、ストーリー面での最終作。総勢15体の怪物を操作するスタンダードな対戦格闘アクション。
  • マイナーバージョンアップにあたる続編『ヴァンパイアセイヴァー2』『ハンター2』、本作に準じた各種家庭用作品(『EXエディション』『クロニクル』『ダークストーカーズコレクション』『リザレクション』等)についても本項で後述する。

キャラクター

+  本作に登場する15体(+家庭用の3体)の怪物

システム

前作『ヴァンパイアハンター』と比較して以下のようなシステムが追加されている。

  • インパクトダメージゲージシステム
    • ラウンドを制しても、勝利した側の体力はそのまま持ち越されるシステム。ラウンドの決着が「仕切りなおし」では無く「戦闘の節目」へと変化。
    • またダメージには白く表示される仮ダメージと赤く表示される本ダメージがあり、仮ダメージは攻撃を受けてない状態になると時間経過で回復していく。このシステムが攻防の駆け引きにもたらす影響は大きい。
      • 本作では基本的に技ダメージが大きめで、うち仮ダメージの占める割合がかなり多い。回復させることができれば大した被害でなくなるが、逆に仮ダメージを溜めさせられたままラッシュをかけられると、あっという間に沈んでしまう。本作のアクの強い部分であり、同時に大きな魅力ともなる仕様。
  • アドバンシングガード
    • ガード中にボタンを連打する事で相手を弾き、間合いを離す事ができる。
    • これにより相手のラッシュから脱出したり、連携の途中で技を空振りさせて隙を突くといったことが可能。
    • 稼働当初は、ガードキャンセルよりローリスクで、ボタンを連打していれば初心者でも相手の連携を押し返せる簡易な防御システムと捉えられていたが、プレイヤーによって「ずらし押し」などの入力方法が編み出され、単発ガードからこれを発生させる「一発AG」が防御の要として普及することとなった。
  • ダークフォース
    • ゲージを消費して、キャラクター固有の能力を発動する。発動時には無敵時間が存在する。制限時間があり、解除時には専用モーションが発生して隙が生じる。時間切れ終了だけでなく途中解除も可能。
    • キャラクターごとに性能は異なり、分身やサポートキャラクターが付いてコンボ数が伸びるもの、ハイパーアーマーが付くもの、空中浮遊状態になるもの、ワンボタンで飛び道具や専用投げ、多段ヒット攻撃を出せるようになるものなど様々。解除の隙や無敵時間もキャラクターにより異なる。

長所

  • 性能差を覆しうる奥の深いゲーム性。
    • 攻め重視のゲームであり、弱キャラでもそれなりに個性的な攻め手を持っている。ゲームスピードの速さも手伝って、打撃と投げの二択といった基本的な読み合いも非常に重要な意味を持つ。防御の弱いキャラクターでもガードキャンセルやアドバンシングガードで凌ぐことが可能で、安易なハメなどは成立しない作りになっている。
  • やり込みに応える作り込み
    • 目押しコンボや超低空空中ダッシュといった、フレーム単位の時間での正確な操作を要求するテクニックが多数存在する。当然それらの難度は高いが、習得の暁には新しい世界が開けると言っても過言ではない。やり込みを必要とする高難度のテクニックが、ゲーム上できちんと意味を持っているという作り込みの深さは評価に値する。
  • 滑らかによく動くドットグラフィック
    • 本作のグラフィックはグラデーションを使わないベタ塗りで作成されており、陰影などの微妙な表現を塗りでごまかすことができない(スタッフ曰く「止まる事が許されない」)。そのため、各キャラクターのグラフィックには膨大な枚数が用意されており、とにかくヌルヌルとよく動く。
  • 豊富なキャラクター固有ギミック
    • キャラクターのほとんとが怪物だけあって、奇抜な技の数々は今回も目を引く。
    • 初代から好評を博したアナカリスの「王家の裁き」を始め、ザベルの「ヘルダンク」、ビシャモンの「とが首さらし」、相手を女体化させて血を吸うデミトリの新技「ミッドナイトブリス」等、固有の変身ギミックを持つ技は今回も充実している。
    • フェリシアのプリーズヘルプミー、ビシャモンのES絡め魂、Q-Beeの+B等、ほんのわずかな時間だが固有の食らいモーションが発生する必殺技もあり、全キャラが何かしらの固有ギミックを持つ技を備えている。

短所

  • 初心者お断りの複雑なシステム
    • 格ゲー全盛期の作品にありがちな短所ではあるが、本作でも理解しなければならないシステム、習得すべきテクニックが多く、複雑でハードルが高い。上級者と初心者が対戦などしようものなら、文字通りの秒殺で決着が付くことも珍しくない。
    • 「見えない中段」などというものの存在を許すゲームスピードも、初心者には非常に高い壁となる。
  • 3強と下位集団の性能差
    • 人間性能で張り合える余地があるとは言え、3強のザベル、Q-Bee、サスカッチと、2弱のビクトル、アナカリスではキャラ差が絶望的。特に本作の速さの恩恵を最大限に受けられるゾンビと蜂の前では、大型2体では「ダメージを喰らう」以外何もできないという展開も、誇張抜きでままある。
      • ちなみに前作では攻略が投げ捨てられる程に弱かったビクトルは確実に強化されている。されていてこの順位ではあるが。アナカリスに至っては 通常投げなし、アドバンシングガードなし、ガードキャンセルがゲージ技かつ反撃確定 という公式絶望仕様で、堂々の最下位王座に就いた。
    • 2弱の上に属するモリガン、リリス、ジェダあたりにも固有の強みはあるが、微妙に攻め切れない点が結果に響く。ジェダはデカイ、遅いという2弱に通じる弱点もあり、主人公なのに厳しい。
  • ダークフォースの性能格差
    • キャラクターの個性を表現する派手な要素ではあるが、実戦的なものがあまり多くなく、少数の使えるダークフォースと、それ以外の格差が大きい。
    • 使えるものの代表は、中下段ガードを瞬時に揺さぶりつつ強烈なコンボを狙えるフォボスの「レイ・オブ・ドゥーム」。使えないものの一例は、蝙蝠が本体の技に追撃するがノックバックが大きくなりコンボが繋がりにくくなるデミトリの「ダークサイドマスター」など。「ミッドナイトプレジャー」の乱舞もスカるようになる。
    • 発動・解除の隙のせいで狙い澄まして使う必要もあり、一部のキャラクターを除いては、魅せ技に留まっているか存在自体を忘れられているものが多い。
  • 本作の主人公にして黒幕であるジェダのエンディングが意味不明
    • 「そうか……あの女が~~」とかぼやいて終わってしまう。訳がわからない。
      • ちなみにこの「あの女」とは、アニタ(前作『ヴァンパイアハンター』に登場したドノヴァンに付いている少女)のことらしい。
      • 一応、後述の家庭用では復活キャラのドノヴァンのストーリーで少しだけ補完されている。
  • キャラクターが前作から3人削除されている(ドノヴァン、フォボス、パイロン)。
    • ただし、この3体は後述の『セイヴァー2』『ハンター2』や家庭用版に登場している。前作からの使いまわしなどではなく、きちんと『セイヴァー』のシステム用に調整し直された上での登場である(パイロンは大幅に弱体化していたり、フォボスが別の意味で超性能になっていたりしているが)が、日の目は当たらなかった。
    • なぜこうなってしまったかというと、使用基板の容量不足が原因らしい。
  • 対戦の展開が早過ぎるせいでクレジット消費が非常に早い。
    • カプエス2とセイヴァーで同時に対戦が始まったのに、カプエス2で1人目の対戦が終わる頃にはセイヴァーは既に1クレが消えていた」などと揶揄されるほど。

ヴァンパイアセイヴァー2・ハンター2

1997年9月にバージョンアップ的な続編として、前作のキャラクター3体を復活させ、システムなどにも調整を加えた『ヴァンパイアセイヴァー2』『ヴァンパイアハンター2』がアーケードに2作同時登場。

  • ただし、『セイヴァー2』は既存のキャラクターが3体(サスカッチ、ガロン、オルバス)が使えなくなっている。
  • 『ハンター2』は、「ハンター」と銘打ってはいるがその要素はBGMや勝利メッセージくらいしかなく、実質的に『セイヴァー2』の登場キャラクター違い版である。こちらの登場キャラクターは『ハンター1』に出ていたキャラクター全員となり、『セイヴァー1』の新キャラクター4体(ジェダ、バレッタ、リリス、キュービィ)が使えない。
    • 身も蓋もないことを言ってしまえば、使用基板の容量不足で全キャラクター入れることが出来ないため、ほとんど同じ内容のゲームを分割して別々に出したというだけのものである。このため、『セイヴァー2』『ハンター2』両作で共通するキャラクターの性能は一部を除いてほぼ同じ *3
  • ダークフォースのシステムが変更され、全員共通で単純にパワーアップするというものになった。例えるなら『KOF』の「MAX発動」のようなシステムに近く、一部のEX必殺技はDF発動中のみパワーアップする(いわゆるMAX超必殺技のようなもの)。
    • 前作よりもダークフォースの実用性は上がったものの、前作のようなキャラクター毎の個性的な特殊能力ではなくなったため、内容としては非常に地味になった。
    • 『セイヴァー1』版のダークフォースの一部はEX必殺技として変換されているが、ダークフォースではないため攻撃を食らうと即中断されるようになった。このため効果がすぐに途切れやすい反面、効果中もゲージが貯まるようになったため、使い方によっては非常に強力になったキャラクターも居る。
    • また、「離猛魂」や「オーシャンレイジ」などアーマー関連の技や、ダークフォースを2種類持っていたキャラクターの片方の技などは削除されている。そのため事実上戦略の選択肢が減少してしまったキャラクターも何名か存在する。
  • また双方ともデモが『セイヴァー1』より大幅に簡略化されており、ラストボスは『セイヴァー2』:ジェダ、『ハンター2』:パイロンで固定で、ラストボス以外の全キャラクターが共通のエンディングを迎える。このため、演出面では前作よりも寂しくなっている。
  • この続編2作品、露骨な2バージョン商法もあってか、ゲームセンターでは前作ほどのヒットはしなかった。
    • 今でも『ヴァンパイア』を置いているゲーセンでも、最新作である『セイヴァー2』と『ハンター2』ではなく『セイヴァー1』や『ハンター1』を稼動させている店の方が多い。
    • 対戦ゲームとしての出来を見ても、前作からのシステム変更が中途半端で、モリガンがお手軽強キャラとなっている等の明らかな調整不足もあり、プレイヤーによる攻略・研究はほとんど行われなかったと言われている。つまりそういうことである。

家庭用移植

家庭用として、『セイヴァー』や『セイヴァー2』等に準ずる作品がSS・PS・DC・PSP・PS2・PS3・Xbox360で発売されている。
『ダクコレ』内のAC仕様版や『リザレクション』を除き、AC版無印で居なかった3体も復活して使えるようになっている。

  • SS版『セイヴァー』(1998年4月16日発売):完全移植と呼べるほどでギミックも綿密に再現している。拡張4MRAMカートリッジ専用ソフトで読み込みのストレスもまったくない。復活キャラクター3体は『セイヴァー』準拠の性能で登場し、ボスの朧ビシャモンも使用可能になった上でそれぞれ新規の個別EDも追加されているため、このSS版を完全版『セイヴァー』と評価する人も多い。
  • PS版『セイヴァー EXエディション』(1998年11月5日発売):基本的には無印『セイヴァー』ベースの移植だが、同時に『セイヴァー2』&『ハンター2』の要素も取り入れており、各キャラクター毎に「DFチェンジ(セイヴァー1性能)」か「DFパワー(セイヴァー2性能)」を任意に選択できる。「1仕様 VS 2仕様」のようなシリーズを超えた戦いも可能で、隠し要素で各『2』を再現したものを遊べるモードも搭載している。ハードスペックの関係で一部勝利ポーズなどが表現されておらず、キャラクター性能もAC版からそれぞれ微妙に異なるため完全移植ではないが、それをカバーする充実した追加要素があり、独自の裏キャラクター、初期ゲージ99で開始などの隠しオプション、キャラクター育成モードなどの要素が搭載されている。
    • 2001年5月31日に廉価版「カプコレ」として再発売。2011年2月9日にゲームアーカイブスにてPS3とPSP向けに配信開始。
  • DC版『クロニクル for Matching Service』(2000年8月10日発売):『セイヴァー2』のシステムをベースに、キャラクター毎に「初代ヴァンパイア」・「ハンター」・「セイヴァー」・「セイヴァー2」仕様の各シリーズの性能を選んで遊べるという、PS版の要素をさらに拡張したような仕様で、言わば『ハイパーストリートファイターII』の『ヴァンパイア』版のような作品。ただし性能はそれぞれ調整されているため、原作完全再現というわけではない。オンライン対戦が可能(2003年に終了)で音質がアーケード以上。しかし、ゲームのベースが無印ではなく『セイヴァー2』のため、デモは少な目になっている。また、システムの根底が『セイヴァー2』準拠である上に、アニメ技(硬直中に自分だけアニメが進んでフレーム有利になる技)が全て廃止されたため、過去の性能タイプに切り替えたとしても操作感覚がそれぞれの原作とかなり異なることから、プレイヤーからの評判はあまり良くなかった。
  • PSP版『クロニクル ザ・カオスタワー』(2004年12月12日発売):基本的にDC版『クロニクル』をベースにした追加要素付き移植。画面の小ささとハードによる操作の難しさ等難点はあるが、新たな追加要素として、3体を選んだチームで連戦して塔を登っていく「タワーモード」、過去エンディング等が閲覧できる「クロニクルモード」等を搭載。PSPの操作性に合わせ、コマンド入力が簡略化されたEASYコマンドモードに切り替えることもできる。
    • 2005年11月17日に廉価版「PSP the Best」として、2008年4月24日に再廉価版「PSP the Best 2008」として、2009年1月29日に『ストリートファイターZERO3 ダブルアッパー』とのカップリングで「バリューパック」として再発売。2010年1月28日にPlayStation Storeでのダウンロード版も配信開始。
  • PS2版『ダークストーカーズコレクション』(2005年5月19日発売):シリーズ5作品(『ヴァンパイア』『ハンター』『セイヴァー』『ハンター2』『セイヴァー2』 )の完全移植コレクション。基本的にAC版ベースの完全移植(このため、ノーマル状態では全キャラクターは使えない)。ロードはゲームタイトル選択時に少しだけあるものの、その後のゲーム本編中はほぼ無い(HDDインストールすれば開始前のロードもほとんど無くなる)。
    • 隠しモードとして、『セイヴァー』『セイヴァー2』『ハンター2』の3作品には、全キャラクターが使えるようになった上に新キャラクターDeeが追加された「アレンジバージョン」を搭載。「ディー」は前作ヴァンパイアハンターに登場していたドノヴァンの成れの果ての姿。
      • 『セイヴァーアレンジ』はほぼSS版からの完全移植であり、SS版準拠の追加キャラクターのエンディングも搭載。また、システムもSS版完全準拠に切り替えることもできる。
      • 『セイヴァー2アレンジ』は削除キャラクター復活により事実上『セイヴァー2』+『ハンター2』な完全版になっている。
      • 『ハンター2アレンジ』は上記の『セイヴァー2』との差別化で本作独自のシステムを搭載しており、ラウンド制への変更や相討ち・タイミングガードの実装など、こちらは原作とは全く異なる趣に仕上がっている。
    • 2006年12月14日に廉価版「カプコレ」として、2008年9月18日に『ハイパーストリートファイターII』とのカップリングで「バリューパック」として再発売。
  • PS3・Xbox360版『リザレクション』(2013年3月14日発売):AC版『ハンター』と『セイヴァー』をセットにしたHD移植。グラフィックを高画質化し、ゲーム内容はアーケード版を完全再現している(このため、『セイヴァー』ではAC同様に家庭用追加キャラクターの3人が居ないが、ACではCPU専用だった朧ビシャモンは使用可能。)。オンライン対戦に対応している。
    • 2013年4月17日にPS3版のダウンロード版も配信開始。

なお、上記移植作はそのほとんどが販売タイトルが異なる「別物」として認識されている。