ヴァンパイアセイヴァー

【う゛ぁんぱいあせいう゛ぁー】

ジャンル 対戦格闘アクション
対応機種 アーケード(CPS2)
開発・販売元 カプコン
稼働開始日 1997年5月28日
判定 良作
ヴァンパイアシリーズ
ヴァンパイア / ヴァンパイアハンター / ヴァンパイアセイヴァー


概要

カプコンの人気格闘ゲーム『ヴァンパイア』シリーズ3作目かつ最終作。総勢15体の怪物を操作するスタンダードな対戦格闘アクション。
前作『ハンター』から大きく異なる方向性へ舵を取り、スピード重視のゲーム展開を旨とした作風に変化している。

マイナーバージョンアップにあたる続編『ヴァンパイアセイヴァー2』『ハンター2』、本作に準じた各種家庭用作品(『EXエディション』『クロニクル』『ダークストーカーズコレクション』『リザレクション』等)についても本項で後述する。


システム

前作『ヴァンパイアハンター』と比較して以下のようなシステムが追加されている。

  • インパクトダメージゲージシステム
    • 本作では旧作含め一般的な格闘ゲームの多くで採用されている「ラウンド制」が廃止されて新たに「ダウン制」となり、相手の体力を0にした場合は「K.O.」ではなく「ダウン」という扱いになる。(画面内にも『DOWN!』と表示される)
      • ダウンした相手はストックを1つ消費して体力ゲージ完全回復の上でその場復活*1し、勝利側の体力ゲージの残量をそのまま持ち越した上で、その場から仕切り直しとなる*2。相手のストックを先に0にした時点で初めて「K.O.」となり、ステージを制したことになる。たとえ先制を奪ったとしても体力残量次第では即座に奪い返され兼ねないため、終始気は抜けない。
        また、制限時間は時間切れもしくは決着がつくまで一切リセットされない。
    • また、本作ではいわゆる「ヴァイタルソース制」が導入されており、ダメージを受けた際に減った体力の一部が変色してライフゲージに残り自動回復する。
      白く表示される「仮ダメージ」と赤く表示される「本ダメージ」に分かれ、仮ダメージは攻撃を受けてない状態になると時間経過で回復していく。このシステムが攻防の駆け引きにもたらす影響は大きい。
      • 本作では基本的に技ダメージが大きめで、うち仮ダメージの占める割合がかなり多い。回復させることができれば大した被害でなくなるが、逆に仮ダメージを溜めさせられたままラッシュをかけられると、あっという間に沈んでしまう。本作のアクの強い部分であり、同時に大きな魅力ともなる仕様。
    • これらの仕様により、旧作に比べてゲーム展開が非常に速くなっている。
  • アドバンシングガード
    • ガード中にボタンを連打する事で相手を弾き、間合いを離す事ができる。
    • これにより相手のラッシュから脱出したり、連携の途中で技を空振りさせて隙を突くといったことが可能。
    • 稼働当初は、ガードキャンセルよりローリスクで、ボタンを連打していれば初心者でも相手の連携を押し返せる簡易な防御システムと捉えられていたが、プレイヤーによって「ずらし押し」などの入力方法が編み出され、単発ガードからこれを発生させる「一発AG」が防御の要として普及することとなった。
  • ダークフォース
    • ゲージを消費して、キャラクター固有の能力を発動する。発動時には無敵時間が存在する。制限時間があり、解除時には専用モーションが発生して隙が生じる。時間切れ終了だけでなく途中解除も可能。
    • キャラクターごとに性能は異なり、分身やサポートキャラクターが付いてコンボ数が伸びるもの、ハイパーアーマーが付くもの、空中浮遊状態になるもの、ワンボタンで飛び道具や専用投げ、多段ヒット攻撃を出せるようになるものなど様々。解除の隙や無敵時間もキャラクターにより異なる。
  • システム上の前作からの変更点
    • ガードキャンセルは全キャラ共通で「(テンキー表示で)623+ボタン」の所謂昇龍拳コマンドに統一された。このため一部のキャラクターは対応必殺技が別の技へ変更されており、アナカリスにもEX必殺技ながらガードキャンセル専用技が用意された。
    • 空中でチェーンコンボを出すことが可能になった。代わりに、1回のジャンプでチェーンを使わず通常技を複数回出すことが不可能となった。

その他

  • 本作では現世から隔離された異空間が戦いの舞台という設定上、キャラごとのホームステージという概念がなくなり、基本的に対戦相手の登場ステージは固定ではない。(一部を除く)
    • 各キャラとステージデザインの関連性も旧作と比べて薄くなり、戦時中の日本を舞台にしたステージや走る機関車、真上視点から見下ろしたビルの壁面をモチーフとしただまし絵のようなステージなど、独特なデザインのステージが多い。
    • 例外としてデミトリとモリガンのステージのみ、デザインに多少手を加えた上で流用されている。また、ピラミッドの建つ砂漠や桃源郷をイメージした中国風のステージなど既存のキャラクターとの関連性を想起させるステージも存在している。

キャラクター

+ 業務用のデフォルトは15体だが、家庭用ではさらに3体が追加された。

新キャラクター

  • ジェダ・ドーマ
    • 魔族。本作の主人公かつ黒幕。魔界三代貴族のひとつドーマ家の現当主で「冥王」の称号を持つ。部下であったオゾムの裏切りによって自滅した後、100年の時を経て復活。
      魔界の覇権を狙い争い続ける魔族たちの姿と荒廃の一途をたどる魔界の現状を憂いた彼は、この世の全ての魂とひとつとなることで魔界を含めた全ての魂に安息を与える『魂の救済』を標榜し、魂の器となる神体を作り上げるべく、価値ある魂の持ち主であるダークストーカーたちを魔次元へ召喚。自らも戦いの場に降り立つ。*3
    • 地上ダッシュは小ジャンプタイプだが、モリガン同様、レバーを入れ続けていると着地せずに上昇してゆく。さらに空中ダッシュも持ち、空中での自由度が高い。鎌を投げる設置型飛び道具「ディオ=セーガ」を起点に、空中技で上から抑え込むタイプのキャラクター。ダークフォース「サントゥアーリオ」も空中状態を維持できるものになっている。
    • が、長身が災いして当たり判定が大きく、技の発生も微妙に遅いため小回りが利かない。ディオ=セーガも攻撃判定の発生までが遅く、さらにジェダ本体が攻撃を受けると消えてしまうため、攻め気の高い相手や、時には暴れるだけの相手にも辛い戦いを強いられる。
      • CPUジェダは超反応で、対人戦風に戦うとさすがに強いが、すぐ跳んではディオ=セーガを置きたがるクセがあり、その出かかりをはたき落として行けばかなり有利に進められる。本作主人公ながら、CPUにもカバーできない露骨な弱点を持たされているのは少々泣かせる。
    • 中・大の通常技は長いリーチが取り柄だが、発生だけでなく戻りも遅い傾向にあり、さらに屈大Kには転倒効果がないなど、いったん攻勢を手にしても継続が難しい。相手の足が止まる瞬間をガード不能技で拾ったり、相手の攻めをきっちり潰すことでダメージを稼げなければ、全体に厳しい。
    • CPU戦では使用キャラクターによってラスボスか中ボスとして登場する。
    • 『ハンター2』には参戦していないが、エンディングの文章で彼の名前のみ登場する。
  • バレッタ
    • ダークハンター。シリーズ唯一の純粋な人間。一見すると「赤頭巾」の格好をした可憐な少女だが、その本性は狡猾かつ残忍な金の亡者。
      人間ながら「闇の住人に近い魂の持ち主」とジェダに認められ、愛犬ハリーと共に魔次元へ召喚される。金のため大量の獲物を狩るべく、臆することなく戦いに飛び込んでいく。
      服や手に持ったバスケットの中に大量に隠し持ったサブマシンガンやミサイル、ナイフや地雷などの重火器を駆使して戦う。
    • 空中二段ジャンプが可能で、当たり判定が小さくなる空中戦が得意。体格が小柄なため通常技は全体にリーチが短いが発生が早く、相手にまとわり付きながら攻めるタイプ。
      また、上下段に撃ち分けられる飛び道具「スマイル&ミサイル」と空中から撃ち下ろす飛び道具「ハッピー&ミサイル」を持ち、間合いを離しての牽制戦もなかなか強い。大型キャラクターには特に有効。
      • 一方で、牽制に使える通常技や対空技がほとんどなく、防御面に弱点を抱えている。
    • 余談だが、外見も設定も純粋な人間にも拘らず、特定キャラクターの必殺技で発生する人体切断演出がなぜか適用される。下手な魔族より悪魔めいたその性格ゆえに、切断演出を適用しても大丈夫だと判断されたのかもしれない。*4
  • リリス
    • サキュバス。過去に三分割されたモリガンの魂の一つが自我を持ち、ジェダに肉体を与えられたかりそめの存在。モリガンより幼い顔をしているが、胸以外のボディモデルはモリガンと同じで、技もモリガンと同一のものが多いコンパチビリティキャラ。
    • スピードに優れるが、一部はモリガンより判定の弱い技に使いにくいコマンド投げ、飛距離の短い飛び道具、隙の大きい対空技など、キャラクター性能は高いとは言えない。ダッシュも地上タイプであり、ガードを揺さぶる攻めを仕掛けづらい。
    • 火力の高いEX必殺技「ルミナスイリュージョン」をコンボや差し込みでどれだけ決められるかがカギ。その見た目とは裏腹に、少ないチャンスに大ダメージを取ることが求められる一発型。
      その他、相手をお立ち台に立たせ、リズムに合わせお手本通りにボタンを押させて踊らせ、その成否によって異なるダメージを与える『グルーミィパペットショウ』という異色な技も持っている。
    • 『ハンター2』には参戦していないが、エンディングの隠しグラフィックで姿を見せる。
  • Q-Bee(キュービィ)
    • ソウルビー。人間に近い姿をした蜂の魔物。ジェダによって生存本能を突き動かされ、魔次元へ狩りのために出向く。本作3強の一角。
    • 圧倒的なスピードを持ち、相手の位置をサーチする空中ダッシュからの攻撃が強力。操作に慣れた上級者が使うと、完全な「見えない中段」として機能する。ザベル同様、真価を発揮するには熟練が必要だが、相手によっては「立ち中パンチで突いているだけでもかなり戦える」ほどの基本性能の高さが目立つ。
    • 反面、防御力が全キャラクター中最低のため、小技の差し込みから一気にひっくり返されることもある。3強の中でもピーキーなキャラクター。

初代から登場

  • デミトリ・マキシモフ
    • ヴァンパイア。全身タイツ風の礼服に身を包んだ肉体派吸血鬼。初代の主人公。過去に魔王ベリオール・アーンスランドに破れ、魔界を追放された。
    • 主人公らしく素直な通常技を持ち、必殺技も飛び道具・無敵対空・突進技の3点が揃っている。が、ダッシュ中に姿の消える無敵時間がある、竜巻コマンドの突進技「バットスピン」は上空にワープしてから降下するなど、トリッキーな要素も強い。また、無敵対空技「デモンクレイドル」は着地の隙がかなり小さく、着地を取りにきた相手が少し遅れると、連発で逆に刈ることもできるほど。
    • ダッシュを必殺技でキャンセルできるため、無敵時間を利用して接近し、対空技のデモンクレイドルやコマンド投げ、ガード不能のEX必殺技、敵の間合いの外からの飛び道具などで択攻めを仕掛けることができる。しかし意外と小回りが利きにくく、ジャンプ軌道が素直すぎて空中の動きに幅を持たせにくいため、対戦で勝てるようになるまでにはそれなりに習練が必要なキャラクター。
    • 本作で追加された、相手を女体化させるEX必殺技「ミッドナイトブリス」は彼を象徴する技となった。この技のせいか、外部出演は主人公の割にやや少ない*5
  • ガロン
    • 人間とワーウルフ(人狼)のハーフ。普段は人の姿で暮らしているが、戦闘時に人狼の姿に変身する(=ゲーム上は常に人狼姿で戦う)。人間に戻るために、己の限界を超えようとする。
    • 狼だけに敏捷で、通常技も長くて速い。通常ジャンプも速いが、低空ジャンプ扱いのダッシュからはさらに素早くジャンプ技が出せる。ダッシュ距離の伸びもあるため、低空空中コンボを押し付けて敵を端へ追い込みやすい。
    • 投げ抜けされても相手を画面端に追い詰めやすい投げ、方向転換ができ撹乱にもコンボにも使える突進技「ビーストキャノン」、チェーンコンボを強制キャンセルできるEX必殺技「モーメントスライス」など、通常技以外も優秀。
    • 扱いやすい強キャラで、弱点らしい弱点は、横幅が広くめくられやすいことぐらい。
    • 『セイヴァー2』では容量の都合上、サスカッチとオルバス共々登場しない。リストラ候補に上がってしまった理由は三体とも強キャラだからとの事。
  • ビクトル・フォン・ゲルデンハイム
    • 「フランケンシュタインの怪物」がモデルの人造人間。『ハンター』のラストで動かなくなった同じ人造人間の少女エミリーを再び動かすために戦う。
    • 間合いとダメージに優れた一回転コマンドの投げ「メガスパイク」を持つ。また、通常技はリーチと判定に優れるものが多く、中・大の技はボタン長押しで出すと電撃を帯びて判定とダメージがさらに強化される。
    • 通常技の「置き」をうまく使い、強力な投げ技で一発を狙うスタイルだが、体が大きい上に全体的に機動力に欠け、技の隙も大きめ。飛び道具持ちや高スピードのキャラクターが多い今作では特に隙を突かれ易いため、精密な操作と駆け引きが要求される。
  • ザベル・ザロック
    • 陽気かつ残虐な性格のゾンビ。生前はパンクロッカーであり、ファンを道連れにして冥王オゾムに自らの魂を捧げ、闇の存在として蘇る。
    • 通常技では体内から鋭い骨や刃物、電ノコなどが飛び出し、必殺技は電撃や音波を放つなど、派手な技を多く持つ。チェーンソーなど様々な物に変身できる怪物ル・マルタが相棒。死人繋がりでレイレイが好き。
    • スピードそのものは標準より上というところだが、超低空でも出せる空中ダッシュや急降下技を持つため、相手の上下ガードを揺さぶりながら攻め続けることができる。通常技も速さとリーチに優れるものが多く、相撃ち上等の突進技「デスハリケーン」、相手の位置をサーチして足元から襲い掛かるガード不能技「ヘルダンク」、追い込まれても一瞬で脱出できるワープ技「ヘルズゲート」など、必殺技・EX必殺技にも隙がない。
    • 低空空中ダッシュからの「見えない中段」、4割削れるコンボ、ガード不能のバグ技などが揃っている本作3強の一角。常人の手に負える範囲の性能だけでも強キャラだが、実力の全てを引き出すには非常に難度の高い操作が要求され、 「理論上最強」 などとも言われる。
  • モリガン・アーンスランド
    • お色気担当のサキュバス。魔王ベリオールの養女でアーンスランド家次期当主。「強大すぎる魔力を持って生まれたために力を三等分され封印された」という、設定面では最強クラスのキャラクター。魔王の座にも興味を示さず、刺激を求めて魔次元の戦いに飛び込んでいく。
    • デミトリ同様に飛び道具・対空・突進を備え、全体にクセも少ないが、仕様の変化に加え判定が弱い技が多く、空中技「シェルキック」の削除によって今作では不利な立場に。空中ダッシュの機動力を活かしたラッシュなども悪くないのだが、さらに速く攻め手の豊富なキャラクターが多数存在するため、対戦ダイアグラムでは中堅以下にある。
  • アナカリス
    • 古代エジプト王の魂が宿るミイラ。王政を否定するジェダを倒すために戦う。
    • 端から端まで届く通常技、端を背負って出すと逆サイドへワープするバックダッシュ、非常に高くふんわりとしたジャンプなど、怪物だらけの本作でも特に常識外れなキャラクター。移動は遅いが技のスピードはそれなりで、ジャンプ中に出せる急降下攻撃(通称「逆ピラ」)を用いたラッシュなど、局所的に鋭い攻めも可能。長いリーチも相手の先を読めるなら有効な武器になる。
    • しかし全キャラ中1体だけ『通常投げが無い』『アドバンシングガードが無い』『ガードキャンセル技がEX必殺技専用な上に相手の投げが確定する』等々、共通仕様の部分でひどく冷遇されている。体も大きいため、一旦触られると敵のラッシュを切り返すのが他とは比べ物にならないレベルで苦労する。攻め有利の本作では対戦ダイアグラムの底辺に落ち着くこととなった。
    • まず当たらないが凝った演出を持つネタ技の多さは本作でも健在。敵を燃焼・感電・氷結させたのち棺で潰すファラオマジック系には、上位版が2種類も追加された。
  • フェリシア
    • キャットウーマン。修道女シスター・ローズの元で育ち、前作までのEDでミュージカルスターとなった。天真爛漫かつ前向きな性格で、大切な人々を飲み込んでしまった魔次元に飛び込み、運命を切り開くために戦う。
    • 飛び道具を持たないスピードタイプのキャラクターで、手数の多さと機動力を活かした接近戦を旨とするインファイター。
      機動力の高さと高いジャンプ性能、豊富な対空技、リーチ・種類に優れた通常技を備え持つ。前作までと比べて必殺技の構成が大きく変わった。
      • 仲間のキャットウーマンを呼び出し、攻撃の際に追撃させるダークフォース「キティ・ザ・ヘルパー」が決まれば強力で、フェリシア本体が攻撃を食らっても技が中断されないため効果が切れるまでは永久コンボを決められる。
    • 突出した強みはないがクセが少ないため、初心者にも使いやすい。
      • 反面、スピードタイプらしく攻撃力が低めで火力にやや欠けること、防御力は高めなものの意外と喰らい判定が大きい上に無敵技が少なくラッシュをやや捌きにくいことに加え、起き上がり性能が非常に悪いという大きな弱点があるため、上級者との対戦やダイアグラム上位に位置する強キャラクターとの対戦では苦戦を強いられ易い。
  • ビシャモン
    • 悪霊サムライ。仮初の肉体を得た妖刀「鬼炎」と意志ある甲冑「般若」からなる。前作での宿主であった人間の侍「ビシャモン」が解放された後、自ら意思を得て動き出すようになり、ビシャモンの名を名乗り、多くの魂を食らうべく魔次元へと乗り込む。
    • 刀による攻撃はリーチと攻撃力に優れ、牽制の小技からまとまったダメージを取れる目押しコンボ、敵を拘束する飛び道具「絡め魂」を使った連携、打撃の裏の選択肢として働くコマンド投げやガード不能のEX必殺技など、とにかく攻め手が豊富で強力。飛び込みにも判定の強い技が揃っている。
    • 弱点は、ダッシュが地上タイプのため上下ガードの揺さぶりがやや弱いこと。また、地上技・空中技とも上方向に強い技が少なく、無敵対空もGCまたはリバーサル専用のため、対空面も少々心もとない。全体にプレイヤーの腕を問う要素が多く、真価を発揮させるには相当のやりこみと人間性能が求められる。
  • オルバス
    • アマゾンに棲むマーマン(半魚人)の王。背ビレのある二足歩行のカエルのような姿だが、身体を巻貝やカニなど様々な水棲生物の形状に変化させられる。行方不明になった息子・アルバを探すため、魔次元へ向かう。
    • 巨大な泡で相手を長時間拘束するガード不能のEX必殺技「ウォータージェイル」を絡めた攻めが強い。やはり拘束効果のあるポイズンブレスなどの飛び道具で牽制しつつゲージを溜め、複数ゲージを一気に放出して畳み掛ける攻めが持ち味。ゲージを溜めるまでが勝負だが、溜めてからの怒涛の連携・コンボは強力無比。
    • ダークフォース「オーシャンレイジ」は画面を覆う津波を呼び、カブトガニに似たマッハクラブに乗って上下左右に移動できるようになる*6。さらに一切怯まず投げも受け付けなくなる強化版スーパーアーマーが付加されるため、ウォータージェイルを出して敵を強引に押し込む戦法が取れる。
    • 『ハンター』と比べると飛び道具が2つとも溜め技になり、GC対応技も性能の悪い「トリックフィッシュ」になるなど使い勝手はやや悪くなったがさほど影響は出ていない。
      • 「ダイレクトシザーズ*7」は本作では3ゲージ消費のEX必殺技となり、真面目にプレイするなら誰も使わないだろう死に技に成り果てた。
  • サスカッチ
    • 村一番の力持ちのビッグフット(雪男)の青年。村に魔次元への穴が空き、飲み込まれて行方不明になった仲間を救うため魔次元へ向かう。
    • 「ビッグスノー(飛び道具)」や「ビッグサイクロン(竜巻旋風脚)」が削除され、より接近戦特化のキャラとなった。
    • 高性能な通常技にショートとロングを使い分けられる低空ジャンプ型のダッシュを持ち、突進力が高い。至近距離では強力なコマンド投げ「ビッグブランチ」もある*8。本作3強の一角で、残るザベルとQ-Beeと同じくダッシュからの「見えない中段」も持つが、この二者とは異なり操作が単純なダッシュ攻撃で済む。防御力と根性値も共に相当高く粘り強いため、性能を盾にゴリ押しできるキャラクターと言える。
    • 欠点は身体の大きさと、攻めがやや単調になりがちなところ。
  • フォボス(家庭用のみ)
    • 古代マヤ人に作られた遮光器土偶に似た姿のキラーマシーン。初代の中ボス。遺跡に迷い込んだ古代マヤ人の血を引く少年セシルを守るために起動した。
    • 空中浮遊が可能で、冷凍光線「プラズマビーム」を筆頭に、ミサイルやドリルなど派手な攻撃を使う。二体のガーディアンを呼び出すダークフォース「レイ・オブ・ドゥーム」が極めて強力で、家庭用では最強格に位置する。
    • 『ハンター』で猛威を振るった「コンフュージョナー」は、「コンフュージョナーを発射し、ヒット後ファイナルガーディアンで追撃」という「ファイナルガーディアンβ」に変更された。
  • パイロン(家庭用のみ)
    • ヘルストーム星出身のエネルギー生命体。初代のラスボス。地上とは異なるエネルギーのある魔次元に興味を持つ。
    • システムの違いや技の弱体化、攻撃力大幅低下により、前作最強の座から並キャラ程度に落ちた。ダッシュからの二択攻撃が中心となっている。

『ハンター』から続投

  • ドノヴァン・バイン(家庭用のみ)
    • 人間とダークストーカーのハーフのダークハンター。前作の主人公。少女アニタを保護した晩、魔剣ダイレクを介して彼女の悪夢の世界(未来世界での魔次元)に迷い込む。このため彼のストーリーのみ時系列上では『ハンター』より前となっている。
    • 魔剣ダイレクを移動させる「キルシュレッド」によるトリッキーな連携や、様々な精霊を召喚して力を行使させる技を使う。見た目より癖が強いタイプだが、技の性能を熟知し使いこなせば中堅に食い込める。
  • レイレイ
    • 自らの意志で人間であることを止めチャイニーズゴースト(キョンシー)となった仙術師の少女。双子の姉のリンリンが御札となって彼女を制御する。
      『ハンター』での戦いの末に転生し前世の記憶を失っているが、仙術師としての力を受け継いだため価値ある魂と判断され、ジェダによって魔次元へ召喚された。自分の中に眠る不思議な力に戸惑いつつ、元の世界に帰還すべく姉と共に協力して闘う。
    • 巨大分銅を落とすと同時に鉄球を降らすEX必殺技「天雷破」が強力で、空中機動力も高い。しかし地上での動きが重く、相手を捕まえる事が難しい。実は防御力もブービークラスで低く、見た目とは裏腹にかなりめくられやすい当たり判定なのも玉に瑕。
    • ダークフォースの「離猛魂」はハイパーアーマーがつくなど大きく性能変化するが、デメリットも存在するため使いどころが難しい。

隠しキャラクター

  • 朧ビシャモン(アーケードではCPU専用隠しボス)
    • 呪いの武具「般若」「鬼炎」を自在に操る法師。前作『ハンター』で般若に取り付かれていた侍「ビシャモン」本人。
      前作のエンディングで呪いから解放された後、厳しい修行の果てに法力を得て、本作では呪いの武具を自ら制御し使いこなせる様になった。いわば「善のビシャモン」であり、本作ではその力で妖達を退治するダークハンターとして登場する。
    • 特定の条件を満たすと出現する隠しボスであり、使用できるのは家庭用のみ。攻撃力や防御力は通常のビシャモンより高く、高性能な独自の新技が多数追加された一方、「絡め魂」などの「般若」由来の技が使えなくなっている。
      • 「朧ビシャモン」の名は設定上の名前であり、ゲーム上は「ビシャモン(Bishamon)」名義のままである。
  • ダークガロン
    • 魔次元が作り出したもう一人のガロン。人間としての未練を捨て去った心を反映しており、ガロンの持つ内なる獣の本性として彼に対峙する。
    • 性能は通常のガロンとほぼ同じで、唯一の違いは「ドラゴンキャノン」のグラフィックが前作と同じになり、当たり判定が微妙に違うのみ。
    • AC・SS版『セイヴァー』にのみ登場し、『セイヴァー2』『ハンター2』及び家庭用『クロニクル』では登場しない。
  • シャドウ
    • 影の様な謎の存在。倒した相手に憑いて操り、その体を利用して戦う。
    • 使用キャラクター選択時に操作をする事で最初に憑いているキャラクターを変更可能で、二戦目以降は倒した相手に乗り移っていき、次の対戦で乗り移った相手を強制的に自キャラとして使用することになる。その仕様上、全キャラクターの性能や戦い方の把握が必須。
  • マリオネット(セイヴァー2/ハンター2以降のみ)
    • 操り人形の姿をした謎の存在。AC・SS版『セイヴァー』には登場せず、次作『セイヴァー2』『ハンター2』、家庭用『クロニクル』『EXエディション』に登場。
    • 対戦相手と同じ姿をコピーする。つまり常に同キャラ対戦となる。
  • ディー(ダークストーカーズコレクションのみ)
    • 後述の『ダークストーカーズコレクション』限定の隠しキャラクター。デミトリによく似た衣装を身にまとい魔剣ダイレクを持つ謎の男。
      • 正体は明言されていないが、『ハンター』のエンディングで魔物と化してしまったドノヴァンの成れの果ての姿と見られている。
    • 主にデミトリの通常技とドノヴァンの必殺技をベースにした技を持っており、独自の新技も備えている。

上記の他、PS版『EXエディション』には独自のマイナーチェンジ隠しキャラクターとして、裏ビクトル(ギガハンマー追加)、裏オルバス(ソニックウェーブとポイズンブレスがタメではなく波動コマンド化)、裏リリス(カラーとボイスだけモリガン化)が追加されている。

評価点

  • 性能差を覆しうる奥の深いゲーム性。
    • 攻め重視のゲームであり、弱キャラでもそれなりに個性的な攻め手を持っている。ゲームスピードの速さも手伝って、打撃と投げの二択といった基本的な読み合いも非常に重要な意味を持つ。防御の弱いキャラクターでもガードキャンセルやアドバンシングガードで凌ぐことが可能で、安易なハメなどは成立しない作りになっている。
      • ただし、 「アナカリスを除く」 という注訳は付けざるを得ないが。
  • やり込みに応える作り込み
    • 目押しコンボや超低空空中ダッシュといった、フレーム単位の時間での正確な操作を要求するテクニックが多数存在する。当然それらの難度は高いが、習得の暁には新しい世界が開けると言っても過言ではない。やり込みを必要とする高難度のテクニックが、ゲーム上できちんと意味を持っているという作り込みの深さは評価に値する。
  • 豊富なキャラクター固有ギミック
    • キャラクターのほとんとが怪物だけあって、奇抜な技の数々は今回も目を引く。
    • 初代から好評を博したアナカリスの「王家の裁き」を始め、ザベルの「ヘルダンク」、ビシャモンの「とが首さらし」、相手を女体化させて血を吸うデミトリの新技「ミッドナイトブリス」等、固有の変身ギミックを持つ技は今回も充実している。
    • フェリシアのプリーズヘルプミー、ビシャモンのES絡め魂、Q-Beeの+B等、ほんのわずかな時間だが固有の食らいモーションが発生する必殺技もあり、全キャラが何かしらの固有ギミックを持つ技を備えている。

問題点

  • 初心者お断りの複雑なシステム
    • 格ゲー全盛期の作品にありがちな短所ではあるが、本作でも理解しなければならないシステム、習得すべきテクニックが多く、複雑でハードルが高い。上級者と初心者が対戦などしようものなら、文字通りの秒殺で決着が付くことも珍しくない。
    • 特にアドバンシングガードは『使えないとどうしようもない』レベルで必須なのだが、その成立のさせ方には非常に癖がある。
      • 成立条件は「ボタン連打」となっているのだが、実は『ガードしてから10フレーム以内に、何回ボタンを押したか』によって出る確率が異なる。3回から成立する可能性が出て来るが、 100%にするには「6回」も ボタンを押していないといけない。その上ボタンの同時押しをしてしまうと「1回の入力としか見なされない」ため、効率よく入力しようとすると『なるべく多くのボタンをポポポン、と素早くずらし押し』しないといけない。当然ながらかなり難しく、上級者ですら入力ミスをしてしまうことは珍しくない。
      • さらに、上級者の間では6つのボタンを擦るようにずらして一気に押し100%成立させる「一発AG」と呼ばれるテクニックが普及したため、たとえ一発ガードさせただけでも一瞬で跳ね返されることが多くなってしまい、前提条件として攻防を組み立てる必要が出て来てしまった。ガード周りの攻防については『まず間違いなく、初心者はついていけない』程の格差があり、激しく人を選ぶ仕様となってしまっている。
    • 「見えない中段」などというものの存在を許すゲームスピードも、初心者には非常に高い壁となる。
    • ザベルやQ-Bee等のキャラは精密なレバー操作とボタン操作を要求され、レバーやボタンの状態(所謂「コンパネ差」)でその結果が左右されることが多い。ゲームセンターによってはヘタったレバーや反応の悪いボタン等で操作ミスを起こしてしまう事もままあった。
      • 反面、サスカッチやガロン、フェリシア等は操作はそれほど難しくないため安定して結果を出しやすく、「コンパネ差に左右されにくい」とされている。
  • 3強と下位集団の性能差
    • 人間性能で張り合える余地があるとは言え、3強のザベル、Q-Bee、サスカッチと、2弱のビクトル、アナカリスではキャラ差が絶望的。特に本作の速さの恩恵を最大限に受けられるゾンビと蜂の前では、大型2体では「ダメージを喰らう」以外何もできないという展開も、誇張抜きでままある。
      • ただザベルは低空ダッシュ・ガード不能連携・使い分けが必要な通常対空など、プレイヤーに負担をかける要素が他のキャラとは比較にならないほど多く、非常に扱い辛いキャラとなっている。さらに前述のコンパネ差に左右されやすい上本作はゲーム展開が非常に早く、その上攻撃を喰らってしまった時の防御力も低め。ザベル側のプレイヤーのミスや処理の限界をつく戦い方をすれば、いかに高性能とはいえワンミスから一気にKO、という事態もよくある。そのため 「理論上は最強だが、人間がザベルを使いこなすのは不可能」 とも言われている。
      • Q-Beeも攻撃を喰らった時の防御力が全キャラ中最低で、いかに強力な攻撃性能と空中において得をする防御性能を持っていても、事故を起こして一気に負けてしまう状況があり得る。このため、3強の中ではお手軽度が一番高いのはサスカッチというのが通説で、実際にサスカッチを好む強プレイヤーは多め。
      • ちなみに前作では攻略が投げ捨てられる程に弱かったビクトルは確実に強化されている。されていてこの順位ではあるが。アナカリスに至っては 通常投げなし、アドバンシングガードなし、ガードキャンセルがゲージ技かつ反撃確定 という公式絶望仕様で、折角攻撃性能が高めでも欠点を補うには至らず、堂々の最下位王座に就いた。
    • 2弱の上に属するモリガン、リリス、ジェダあたりにも固有の強みはあるが、微妙に攻め切れない点が結果に響く。ジェダはデカイ、遅いという2弱に通じる弱点もあり、主人公なのに厳しい。
  • 速すぎるゲーム展開
    • 「『カプエス2』と本作で同時に対戦が始まったのに、カプエス2で1人目の対戦が終わる頃には本作で既に1クレが消えていた」などと揶揄されるほど。
      前作のスピード感に慣れていた中級者層や初心者にとっては目まぐるしいそのスピードについていくだけでも一苦労で、初心者離れの原因ともなった。
  • キャラクターが前作から3人削除されている
    • 対象はドノヴァン、フォボス、パイロンの3人。基板の容量不足というやむを得ない事情があるのだが。
      • この3体は後述の『セイヴァー2』『ハンター2』や家庭用版に登場している。性能含めて前作からの使いまわしなどではなく、きちんと『セイヴァー』のシステム用に調整し直された*9上での登場であるが、日の目は当たらなかった。
  • 本作の主人公にして黒幕であるジェダのエンディングが描写不足。
    • 「すべてのダークスト―カーズとの融合を果たし目的であった魂の救済に乗り出すもその目的を妨げる存在に気づき、魔界の存続を維持すべく人間界の殲滅に乗り出す」という流れだが、セリフ中の「あの女の目覚めの前に……」という言葉が誰のことを指すのかが不明で、エンディングとしては消化不良気味。
      • この「あの女」とは前作『ハンター』に登場したドノヴァンの連れの少女「アニタ」であるらしく、後述の家庭用では復活キャラクターのドノヴァンのストーリーでこのあたりが少しだけ補完されている。

総評

チェーンコンボによる取っつきやすさと爽快感を重視した前作『ハンター』から打って変わり、ゲージシステムとダメージ周りの仕様変更によって攻め重視のゲーム性に転換し、高度な読み合いと駆け引きを軸としたスピード感とスリル溢れる攻防戦を売りとする作風に生まれ変わった。
より白熱した戦いが繰り広げられるようになった一方、プレイヤー間の実力差が如実に顕れるようになってしまい、より高度で複雑な理解を必要とするがゆえに初心者に入り込みにくいゲーム性もあって、良くも悪くも上級者向けに先鋭化してしまった感は否めないところではある。

対戦ツールとしては優れているものの、結果として、本作のゲーム性についていけるプレイヤーとそうでないプレイヤーとの間で評価が分かれる作品となった。

余談

  • スピード感の速さが一因となって評価が分かれることとなった本作だが、この時期以降に発売された格闘ゲームは所謂コンボゲーが増えていっており、それらは総じてゲームスピードが速いものが多いため、格闘ゲームというジャンルそのものが複雑化しすぎて袋小路になってしまった流れがある。

ヴァンパイアセイヴァー2&ヴァンパイアハンター2

概要(S 2&H 2)

1997年9月にバージョンアップ的な続編として、前作のキャラクター3体を復活させ、システムなどにも調整を加えた『ヴァンパイアセイヴァー2』『ヴァンパイアハンター2』がアーケードに2作同時登場した。

ゲーム内容

  • 舞台は前作と同じく魔次元で、全体的なストーリーとしては『セイヴァー』の前日譚にあたる(『ハンター2』→『セイヴァー2』→『セイヴァー』の順)。
  • 登場キャラクターが入れ替わっており、2タイトル共通で『ハンター1』よりドノヴァン、フォボス、パイロンの3体が復活参戦。
    • 代わりに『セイヴァー2』は前作のキャラクターのうち3体(サスカッチ、ガロン、オルバス)が使えなくなっている。
    • 『ハンター2』の登場キャラクターは『ハンター1』に出ていたキャラクター全員が勢揃いとなり、『セイヴァー1』の新キャラクター4体(ジェダ、バレッタ、リリス、キュービィ)が使えない。
    • ボスキャラの朧ビシャモンがプレイヤー使用可能になり、新たな隠し要素として必ず同キャラになるマリオネットが追加。
    • 一方、ダークガロンについてはガロンが継続参戦している『ハンター2』からも削除されている。
  • 『ハンター2』のみの独自仕様として、一応「ハンター」と銘打っているだけにBGMや勝利メッセージテキストが『ハンター1』準拠のものに差し替えられている。
    • ただし、それ以外の多くの要素はシステムや各種デザインも含めて『セイヴァー2』の流用であり、ステージも『ハンター』のものではなく『セイヴァー』の色違いのため、実質的に登場キャラクターが少し異なるだけ。
  • 身も蓋もないことを言ってしまえば、使用基板の容量不足で全キャラクター入れることが出来ないため、ほとんど同じ内容のゲームを分割して別々に出したというだけのものである。
    • このため、『セイヴァー2』『ハンター2』両作で共通するキャラクターの性能は一部を除いてほぼ同じ*10
    • この両作が企画された背景には基板の在庫処分という商業的な理由があるとされており、完成済みのコンテンツを一部カットしたという事情から白羽の矢が立ったのではないかと思われる。

変更点

  • ダークフォースのシステムが変更され、前作のようなキャラクター別の固有能力ではなく、EXゲージ2本を消費し全員共通で単純にパワーアップするというものになった。終了モーションも存在せず、攻撃中でも持続時間が切れると即座に終了する。
    • 効果は「削りダメージを含めた全てのダメージが回復不能の赤ダメージ化」「体力回復速度の増加」「空中チェーンコンボが使用可能」「対応EX必殺技がDF中のみ強化や別性能化」となり、特に最後の仕様は『KOF』シリーズで言う「パワーMAX発動」と「MAX超必殺技」の関係に近い。
    • 前作よりもダークフォースの実用性は上がったものの、前作のようなキャラクター毎の個性的な特殊能力ではなくなったため、内容としては非常に地味になった。
    • 新たに追加されたDF版EX必殺技はキャラクターによっては非常に凝った演出になっているものもあるが、強化対応技は各キャラクター1種類のみ、実質ゲージ3本消費、演出は強化されるが威力はさほど上がらず実用性に欠けるものも多い、とやや使い所に困る内容。
    • 『セイヴァー1』版のダークフォースの一部はEX必殺技として変換されているが、ダークフォースではないため攻撃を食らうと即中断されるようになった。このため効果がすぐに途切れやすい反面、効果中もゲージが貯まるようになったため、使い方によっては非常に強力になったキャラクターも居る。
    • また、「離猛魂」や「オーシャンレイジ」などアーマー関連の技や、ダークフォースを2種類持っていたキャラクターの片方の技などは削除されている。そのため事実上戦略の選択肢が減少してしまったキャラクターも何名か存在する。
  • アドバンシングガードの発動条件が変更され、弱1点中2点強3点の点数制になり、100%発動させるためには合計10点になるようにボタンを押すように変更された。
  • 双方ともデモが『セイヴァー1』より大幅に簡略化。
    • ラスボスは『セイヴァー2』:ジェダ、『ハンター2』:パイロンで固定で、ラスボス以外の全キャラクターが共通のエンディングを迎える。このため、演出面では前作よりも寂しくなっている。
    • なお、エンディングでラスボスの末路を描いた後に登場する一枚絵は通常では『セイヴァー2』だとドノヴァンとバレッタ、『ハンター2』だとレイレイとアニタが登場するが、16分の1の確率で両作品とも一枚絵が「モリガンとリリスが全裸で抱き合う」というセクシーなイラストに変化する。

余談(S 2&H 2)

  • この続編2作品、露骨な2バージョン商法もあってか、ゲームセンターでは前作ほどのヒットはしなかった。
    • 今でも『ヴァンパイア』を置いているゲーセンでも、最新作である『セイヴァー2』と『ハンター2』ではなく『セイヴァー1』や『ハンター1』を稼動させている店の方が多い。
    • 対戦ゲームとしての出来を見ても、前作からのシステム変更が中途半端で、投げ技に対する無敵時間関係に『セイヴァー』には無い致命的な欠陥があり投げハメが多数存在している、モリガンがお手軽強キャラとなっている等の明らかな調整不足もあり、プレイヤーによる攻略・研究はほとんど行われなかったと言われている。

家庭用移植

家庭用として、『セイヴァー』や『セイヴァー2』等に準ずる作品がSS・PS・DC・PSP・PS2・PS3・PS4・Xbox360・XBOXONE・Switch・Steamで発売されている。
『ダクコレ』内のAC仕様版や『リザレクション』を除き、AC版無印で居なかった3体も復活して使えるようになっている。

  • SS版『セイヴァー』(1998年4月16日発売)
    • 完全移植と呼べるほどでギミックも綿密に再現している。拡張4MRAMカートリッジ専用ソフトで読み込みのストレスもまったくない。復活キャラクター3体は『セイヴァー』準拠の性能で登場し、ボスの朧ビシャモンも使用可能になった上でそれぞれ新規の個別EDも追加されているため、このSS版を完全版『セイヴァー』と評価する人も多い。
  • PS版『セイヴァー EXエディション』(1998年11月5日発売)
    • 基本的には無印『セイヴァー』ベースの移植だが、同時に『セイヴァー2』&『ハンター2』の要素も取り入れており、各キャラクター毎に「DFチェンジ(セイヴァー1性能)」か「DFパワー(セイヴァー2性能)」を任意に選択できる。「1仕様 VS 2仕様」のようなシリーズを超えた戦いも可能で、隠し要素で各『2』を再現したものを遊べるモードも搭載している。このためシリーズ3タイトルをまとめて移植したものと見ることもできる。しかも本作のシリーズ3タイトルでは登場キャラクター全てが使用可能になっている*11
    • ハードスペックの関係で一部勝利ポーズなどが表現されておらず、キャラクター性能も各AC版からそれぞれ微妙に異なるため完全移植ではないが、それをカバーする充実した追加要素があり、独自の裏キャラクター、初期ゲージ99で開始などの隠しオプション、キャラクター育成モードなどの要素が搭載されている。
    • 2001年5月31日に廉価版「カプコレ」として再発売。2011年2月9日にゲームアーカイブスにてPS3とPSP向けに配信開始。
  • DC版『クロニクル for Matching Service』(2000年8月10日発売)
    • 『セイヴァー2』のシステムをベースに、キャラクター毎に「初代ヴァンパイア」・「ハンター」・「セイヴァー」・「セイヴァー2」仕様の各シリーズの性能を選んで遊べるという、PS版の要素をさらに拡張したような仕様で、言わば『ハイパーストリートファイターII』の『ヴァンパイア』版のような作品。ラウンド&ゲージシステムも変更可能で、初代準拠のラウンド制&1本分のスペシャルゲージ、『ハンター』準拠のラウンド制&ストックゲージ、『セイヴァー』準拠のインパクトダメージゲージ&ストックゲージの3種類を選べる。
    • オンライン対戦が可能(2003年に終了)で音質がアーケード以上。『セイヴァー2』同様にゲーム本編のデモは少ないが、各シリーズのオープニングやエンディングをコレクション要素として収録している。
    • 一方、歴代シリーズの性能が選べるとは言っても、ゲームシステムの根底が『セイヴァー2』であり、同作をベースに各作品の性能に近付けて調整しただけのものとなっているため、原作完全再現というわけではない。さらに『クロニクル』独自の仕様としてアニメ技(硬直中に自分だけアニメが進んでフレーム有利になる技)が全て廃止されたため、過去の性能タイプに切り替えたとしても操作感覚がそれぞれの原作とかなり異なることから、プレイヤーからの評判はあまり良くなかった。
  • PSP版『クロニクル ザ・カオスタワー』(2004年12月12日発売)
    • 基本的にDC版『クロニクル』をベースにした追加要素付き移植。画面の小ささとハードによる操作の難しさ等難点はあるが、新たな追加要素として、3体を選んだチームで連戦して塔を登っていく「タワーモード」、過去エンディング等が閲覧できる「クロニクルモード」等を搭載。PSPの操作性に合わせ、コマンド入力が簡略化されたEASYコマンドモードに切り替えることもできる。
    • 2005年11月17日に廉価版「PSP the Best」として、2008年4月24日に再廉価版「PSP the Best 2008」として、2009年1月29日に『ストリートファイターZERO3 ダブルアッパー』とのカップリングで「バリューパック」として再発売。2010年1月28日にPlayStation Storeでのダウンロード版も配信開始。
  • PS2版『ダークストーカーズコレクション』(2005年5月19日発売)
    • シリーズ5作品(『ヴァンパイア』『ハンター』『セイヴァー』『ハンター2』『セイヴァー2』)の完全移植コレクション。基本的にAC版ベースの完全移植であり、ノーマル状態では全キャラクターは使えない。ロードはゲームタイトル選択時に少しだけあるものの、その後のゲーム本編中はほぼ無く、さらにHDDインストールすれば開始前のロードもほとんど無くなる。
    • 隠しオプションでバグや特殊機能の有無を細かく切り替えることが可能で、基板のバージョンを選ぶことで一括変更することもできる。
      • 中には初代のチェーンコンボを『ハンター』以降の6ボタンタイプにする、『ハンター』で空中チェーンコンボを使用可能にする等、AC版に無いシステムを利用できるものもある。
      • ただし全て★印で示されており、ゲーム内で一切効果の説明はないため、どのスイッチにどの効果があるのかを知るには攻略サイト等が必須となる。
    • 隠しモードとして、『セイヴァー』『セイヴァー2』『ハンター2』の3作品には、全キャラクターが使えるようになった上に新キャラクターDeeが追加された「アレンジバージョン」を搭載。「ディー」は『ハンター』に登場していたドノヴァンの成れの果ての姿。
      • 『セイヴァーアレンジ』はほぼSS版からの完全移植であり、SS版準拠の追加キャラクターのエンディングも搭載。また、システムもSS版完全準拠に切り替えることもできる。
      • 『セイヴァー2アレンジ』は削除キャラクター復活により事実上『セイヴァー2』+『ハンター2』な完全版になっている。ただしCPU戦のCOMカラーや対戦カードは『EXエディション』や『クロニクル』とは別物になっている。
      • 『ハンター2アレンジ』は上記の『セイヴァー2』との差別化で本作独自のシステムを搭載しており、ラウンド制への変更や相討ち・タイミングガードの実装など、こちらは原作とは全く異なる趣に仕上がっている。こちらもCPU戦のCOMカラーや対戦カードは『EXエディション』とは別物になっている。
    • 2006年12月14日に廉価版「カプコレ」として、2008年9月18日に『ハイパーストリートファイターII』とのカップリングで「バリューパック」として再発売。
  • PS3・Xbox360版『リザレクション』(2013年3月14日発売)
    • AC版『ハンター』と『セイヴァー』をセットにしたHD移植。グラフィックを高画質化し、ゲーム内容はアーケード版を完全再現している。それゆえ本作の『セイヴァー』ではAC同様に家庭用追加キャラクターの3人が居ないが、ACではCPU専用だった朧ビシャモンは使用可能。オンライン対戦に対応している。
    • 2013年4月17日にPS3版のダウンロード版も配信開始。
  • PS4・Switch・XBOXONE・Steam版『カプコンファイティングコレクション』(2022年6月24日発売)
    • シリーズ5作品(『ヴァンパイア』『ハンター』『セイヴァー』『ハンター2』『セイヴァー2』)を収録。ゲーム内容はアーケード版を完全再現しているため、追加キャラクター等の要素はないが、初代でフォボスやパイロン、『セイヴァー』で朧ビシャモンが使用可能になる等の手は加えられている*12。オンライン対戦に対応し、難易度調整やワンボタンで必殺技が出せるなど便利機能を搭載している。
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最終更新:2023年10月23日 08:16

*1 K.O.した際のスローモーション演出なしで即立ち上がる。

*2 この際、勝利した側は自由に動いて位置取りが可能。

*3 タイトルの『セイヴァー(救世主)』とは彼のことである。

*4 同じく設定上は魔族との混血ながら見た目は純粋な人間同様のドノヴァンは唯一の例外。

*5 外部出演作で「ミッドナイトブリス」を使えるようにすると、専用のやられモーションを各キャラクター毎に追加しなければならない他、クロスオーバー作品では他社のキャラクターを女体化させてしまうというデリケートな事情もある。

*6 演出上はマッハクラブで波乗りしている形になるが、実質的には空中移動が可能になる。ジャンプは不可。

*7 初代ヴァンパイアでのしゃがみ強パンチ。どう見ても足元を狙っているのにしゃがみガード不能の中段技でダウン性能まであり、オルバスが強キャラとされる一因を担った。

*8 『ハンター』と比べると決めた後の間合いが離れる(間合いはキャラによって異なる)ため追撃コンボをやや決めづらくなったが、画面端付近で決めればさほど間合いが離れないため相変わらず大ダメージコンボを叩き込める。

*9 ただし、パイロンが大幅に弱体化していたり、フォボスが別の意味で超性能になっていたりしている。

*10 パイロンは『ハンター2』側のみ僅かだが強化されている。フォボスはジャンプの仕様が両作で異なるが、スタートボタンを押しながら選択することでもう一方の仕様に変更できる。

*11 例えば『セイヴァー2』でガロンらAC版の削除組、『ハンター2』で『セイヴァー1』の追加キャラクターが通常で使用可能。

*12 ただし『ハンター2』『セイヴァー2』の「エンディングのモリガンとリリスの隠しグラフィック」はコンプライアンスの都合上により削除。