【すぽーん いん ざ でーもんず はんど】
1992年にアメリカのイメージ・コミック社より出版された、トッド・マクファーレン原作のアメリカンコミック、『SPAWN(スポーン)』を題材にした対戦型アクションゲーム。
通常、アクションゲームでは操作キャラクターが一度でも倒されてしまう、または用意された機数を使い果たすとゲームオーバーとなってしまうが、本作ではペナルティはあるが、倒されてもゲームオーバーとはならずゲームを続行することが出来るようになっている。
なお、具体的な内容に関しては下記で記載する。
上の表ではドリームキャスト版の情報も併記したが、本項では基本的にアーケード版に関して記載し、ドリームキャスト版に関しては余談、あるいはアーケード版との簡単な差異の説明にとどめる。
1レバー+4ボタン。
攻撃ボタンとジャンプボタンの他に、武器切替えボタンと一人称視点に移行して周囲を見回せるビューアジャストボタンがある。
ビューアジャストボタンを押している間は後述の回避以外はその場から動くことが出来なくなり、レバーの左右はその場で入れた方向に回るだけになる。
ちなみに、ビューアジャストボタンを押しながら左右の同じ方向に2回レバーを入れるとその方向に出だしだけ無敵になりつつ回避が出来る。
フィールド上の障害物を破壊すると赤・青・黄・緑それぞれの色の球体が出現することがある。
これはそれぞれプレイヤーの能力をアップさせる効果のあるもので、纏めると下記のようになる。
色 | 効果 | 獲得時のメッセージ |
赤 |
攻撃力アップ 個数によって武器自体の性能も上がる |
WEAPON POWER UP! |
青 | 防御力アップ | DEFENCE UP! |
黄 | 移動力アップ | SPEED UP! |
緑 | 体力全回復 | FULL RECOVERY! |
強化アイテムによる強化は5段階となっており、フィールド上にも出てくるのは緑以外はそれぞれ5個までとなっている。
また、緑以外の強化アイテムも入手時に体力が微量回復する。
フィールド上にあるボックスを開けたり障害物を破壊したりすると出現する武器、および敵が落とした武器は装備可能なものであれば入手することが出来る。
武器は3つまで保有することが出来、武器切替えボタンで持っている武器を順番に切り替えられる。
武器3つの他に素手状態もあり、キャラクターによっては素手でないと出来ないアクションもあるため、一概に「常に武器を装備しておいた方が良い」「素手状態にメリットがない」と言い切れない場合もある。
強化アイテム、武器共に初期装備の武器を除いて倒されてしまうと全てをその場に落としてしまう。
また、攻撃を受けて吹っ飛ばされたりした時にも現在使用している武器を落としてしまうことがある。
強化アイテムもダウン時に1つ落としてしまう上に、空中で追撃を受けた場合は食らった回数分落としてしまう。
本作では下記の3つのモードが用意されている。
ゲームモードは参加しているプレイヤー全員の投票で決まる仕組みを取っている。
ステージごとに登場する強大な敵ボスを決められた制限時間内(デフォルト2分30秒。店舗側で変更可能)に撃破することが目的のモード。
このモードでは、1人でプレイした場合(シングルプレイ)と2人以上でプレイした場合(マルチプレイ)でステージの編成が異なり、シングルは7ステージクリアでエンディング(*1)、マルチは14ステージクリアでエンディングが見られるようになっている。
従って、このモードを全て楽しむにはマルチプレイをする必要があるため、ドリームキャスト版では1人でも全ステージプレイ出来るよう、コンピューターをパートナーとして疑似マルチプレイが出来るようになっているが、勿論、敢えてパートナーを入れずにシングルプレイも可能。
このモードでは、プレイヤーが倒されると、前述のアイテムを落とす他に制限時間が若干減少してしまう(*2)が、制限時間が残り20秒を切ると、タイムアップ直前の警告が入ると共にこれ以降は時間減少のペナルティが科されなくなり、また、ペナルティによって残り20秒を割ることもない(*3)。
ボスにトドメを刺すとそのシーンがアップで表示され、そのあとリザルト画面に移行する。
リザルト画面中でも自由に動き回ることが出来る(*4)他、そこではそのステージに要した時間とステージ1からのトータルで要した時間、そしてプレイしている筐体におけるクリアタイムランキングトップのプレイヤーが同じステージをクリアした時点でトータルで要した時間が表示される。
その他、前述のクリアタイムのようなランキングが無いので完全な自己満足だが、下のチームバトルモードのポイントルールに基づいてそのステージで獲得したポイントとミスして減点されたスコアも表示される。
なお、このモードはプレイ中に乱入された際には選ぶことが出来ない。
従って、協力プレイをしたい場合はゲーム開始時にプレイヤー全員が参加する必要がある。
ただし、下記のチームバトルモードで勝利したチームはそのままボスアタックモードをマルチプレイ出来る(*5)。
赤と緑の2チームに分かれて対戦するモード。
制限時間(デフォルト3分。店舗側で変更可能)内にどれだけ敵チームのキャラクターを倒してポイントを獲得したかで競う。
タイムアップになった時点で獲得ポイントが多いチームの勝利となり、勝利チームはそのままボスアタックモードでプレイを継続出来る。
2人で対戦する時は強制的にこのモードでの対戦となり、コンピューターのパートナーが1人付く。
また、3人以上でプレイする際に挟まれるチーム決めで編成が1対2や1対3になってしまった場合も、人数が少ない方のチームにコンピューターのパートナーを追加して人数を調整される。
加えて、チーム決めを行う際に参加プレイヤー全員が同じチームになることも起こりうるが、その際は新規プレイであった場合はボスアタックモード、乱入であった場合はバトルロイヤルモードに移行する。
このモードの勝敗を決めるポイントは下記の通りに増減する。
項目 | ポイント | 備考 |
敵を直接倒す | +2ポイント | 直接とは攻撃によって倒すことを指す。従って、銃や仕掛けた地雷などで倒しても2ポイント獲得出来る。 |
敵を間接的に倒す | +1ポイント | こちらの攻撃によって敵を高高度から落下(*6)、または溶岩などへ落として倒した場合は間接的に倒した事になり、こちらが適用される。 |
味方を倒す | -2ポイント | 直接・間接問わず、味方を倒した場合に適用。 |
自滅する | -3ポイント | 直接・間接問わず、自分の攻撃が原因で倒れた場合や自ら溶岩などに飛び込んだりした場合に適用。 |
プレイヤー3人以上の時のみ選択可能なモード。
自分以外は全て敵の状況で、制限時間(デフォルト3分。店舗側で変更可能)内にどれだけ敵を倒してポイントを獲得したかで競う。
タイムアップの時点で最も多くポイントを獲得したプレイヤーが勝者となり、ボスアタックモードのシングルプレイでプレイを継続出来る。
このモードのポイントも原則的にはチームバトルモードのものに準じる(*7)が、このモードに限り、現在トップになっているプレイヤーを直接倒すと4ポイント獲得出来る。
余談になるが、ほとんどのキャラクターがボスアタックモードとチームバトル・バトルロイヤルの2モードとで初期装備が異なり、後者のモードでは前者の装備により強力な武器が追加される場合もある。
簡単操作で豊富なアクション
対戦プレイが熱い
BGM
シングルプレイ冷遇
ビジュアルメモリ連動
純粋なゲームバランス
スポーンのキャラゲーとして
純粋なゲームバランスだけで考えてしまうと正直「終わっている」というレベルであり、そこだけ見てしまうと良作とはとても言えないゲームになってしまう。
しかしながら、対戦においては余程実力差が離れている、ひたすら逃げの一手を打つなどの白けるプレイに走るでもなければ、そもそもの「倒されてもすぐリスポーン出来る」というゲームシステムの他にステージのギミックやアイテムなどの要素もあって、自然と熱く盛り上がれるタイトルである。
また、協力プレイでも往年の名作『ファイナルファイト』の協力プレイを彷彿とさせる、協力のはずがいつの間にか互いに潰し合っていたり…などといったプレイも出来るため、遊びの幅も広い。
大剣ぶん回しての爽快感あふれるプレイに走るも良し、銃器でネチネチ遠距離からいたぶるのも良し、あるいはひたすら通り魔が如く他のキャラクターに不意打ちを仕掛けるプレイに走るのも良いし、それ以外にも様々なプレイスタイルがある。
とは言え、突き詰めすぎると場合によっては盛り上がるどころか白けることになってしまいかねない部分もあるので、そういう意味では、友人・知人とある程度身内ルールを決めてのプレイが一番楽しめるタイトルであると言えるだろう。
現状ではドリームキャスト版・アーケード版共に非常にプレイ困難なタイトルと言わざるを得ないが、機会があれば是非難しいことを考えずに気軽にプレイしてみてほしいタイトルである。
本作の系譜に近似したものとして、海外のコミック誌『ヘビーメタル』を題材にした『ヘビーメタル ジオマトリックス』が2001年にアーケード(こちらもNAOMI基板)とドリームキャストにて稼働・発売されている。
本作では前述したように、倒し方によっては(生々しさこそ無いが)真っ二つになったり首を刎ねられたり、あるいは粉砕されたりすることがある。
ちなみに、内容を読んで不自然に思われたかもしれないが、本項ではここ以外で「殺す」「殺される」と言う類の言葉を使っていない。
と言うのも、作中では徹底して日本語表示は「倒す」(*15)などと表記されているため、敢えて合わせたものである。
作中でそのようにした正確な理由は解らないが、描写が描写な所もあるので、文字表現まで追い打ちにならないよう、幾分でもマイルドにしようとしたのかも知れない。
*1 遥か遠くにある巨大な影をプレイヤーキャラクターが睨め付けるシーンと共に英語で「この先はマルチプレイで追加される」旨の表記が出てスタッフロールになる。
*2 デフォルト設定の場合はシングルは12秒、マルチは10秒。設定によりペナルティの時間減少を増やすことも出来る。なお、ドリームキャスト版ではコンピューターのパートナーが倒されてもペナルティが科されない。
*3 例えば、マルチプレイ時にプレイヤーが1人倒された時点の制限時間が残り25秒だった場合、本来ならば10秒減って残り15秒となるが、この場合はペナルティの時間減少は5秒となり、制限時間が残り20秒になる。
*4 この間も体力はしっかりとカウントされているので、場合によってはリザルト画面の最中に自爆などにより倒れることも起こりうる。この場合はリスポーンしないので、それ以降は画面が切り替わるまで動くことが出来なくなる。
*5 ただし、勝利チームがプレイヤー1人で残りはコンピューターだった場合はシングルプレイになる。
*6 ジャンプなどで高高度から飛び降りる分には問題ないのだが、攻撃を受けてダウンしている体勢で高高度から落下すると地面に叩き付けられたとしてそのまま落下死となる。なお、落下死と扱われる高度はキャラクターによって異なり、特に後述するビジュアルメモリ連動で使用出来る大型のボスキャラクターは他に比べて相当低い高さからの落下でも落下死となってしまう。勿論、ボスアタックモードのボスとして出てきたときは落下死することはなく、あくまでプレイヤーが使用した場合のみ。逆に超小型の敵である「カーズ子分(CURSE SUB)」は相当高い所から落下しても落下死とはならない。
*7 勿論、味方は居ないので味方を倒しての-2ポイントは起こり得ない。
*8 攻撃ボタンで回転斬り、攻撃とジャンプボタン同時押して兜割。
*9 ちなみに、まともにプレイする場合もマレボルギアに攻撃を一発当てるとクリアになる。ただし、陸地から離れた位置にいる上に、その周りが溶岩の海なので攻撃を当て損ねるとほぼ確実に溶岩に飛び込んで自滅になってしまうため、接近戦のみで攻撃を当てるのは難しいが、ナイフなどの投擲武器や銃を用いればそれこそ一歩も動かずにクリアすることも可能。
*10 発動すると敵の足下で炎を巻き上げて攻撃する。この炎はそこまで強力ではないが追尾性能がある。
*11 フレイムピラーは一部媒体で技名の表記が残っていたのだが、こちらは正式名称不明につき、行っているアクションをそのまま記載している。素早くダッシュしながらのタックルからその勢いのまま水平斬りへと連携させる。大体の場合はそこからもう1回ダッシュ攻撃で追撃出来たりする。
*12 大半のキャラクターはステージ2は「カーズ(THE CURSE)」がボスとなるが、プレイヤーが一部キャラクターを使用している場合に限り、こちらがステージ2のボスになる。
*13 エンジェルテネレスの真空波は一発出し切りなので使用する度に体力を消費するが、スリエルの巨大ビームはボタンを押し続けている間は継続してビーム出し続けるため、使用している間は体力を消費し続ける。
*14 1台出現させれば全ての繋がっている筐体で使用可能…とはならず、全ての筐体でそれぞれ出現させなければならない。
*15 「制限時間内にボスを倒せ!」や「○○が××に倒された」など。