ブライII 闇皇帝の逆襲

【ぶらいつー やみこうていのぎゃくしゅう】

ジャンル RPG
対応機種 PCエンジン スーパーCD-ROM2
発売・開発元 リバーヒルソフト
発売日 1992年12月18日
定価 8,191円
判定 なし
ポイント BURAIシリーズ最終作
定まらない方向性


概要

PC-98で発売された『BURAI 下巻 完結編』の移植版。
後述する大幅な仕様変更からか、タイトルは『BURAI下巻完結編』ではなく『ブライII 闇皇帝の逆襲』である。

シナリオ・ゲームデザインに飯島健男。キャラクターデザインに荒木伸吾・姫野美智。BGMに今給黎博美と言う豪華な顔ぶれである。
今給黎博美はクリスタルキングの元メンバー。荒木伸吾・姫野美智は荒木プロダクションに所属している大物キャラデザイナーであり、当時はアニメ版『聖闘士星矢』で人気絶頂だった。
飯島健男は飯島多紀哉の旧ペンネーム。現在は『四八(仮)』等の所為で評判が悪いが、この頃は『ラストハルマゲドン』等のPCゲームで高い評価を得ていたゲームデザイナーであった。

家庭用向けゆえか、RPGとしての難易度は元となるPC-98に比べた場合や、RPG全体で見てもかなり低い。

ストーリー

+ 長いので収納

かつて惑星キプロスでは、光神リスクの軍勢と闇神ダールの軍勢による戦争があった。
そして光の軍勢が勝利を収め、闇神ダールは封印された。

光と闇の戦争から6000年後、闇皇帝を名乗るビドー・クレラントと配下の七獣将は闇神ダールを封印から解き放ち強大な力を授かると、世界征服に乗り出した。
闇神ダール復活に呼応して、伝説に予言された通りキプロス王家のまだ赤子の王子の身体に光神リスクが降臨する。王国は闇の軍勢により陥落したものの、王国の三銃士がロバのソフィに光神が宿った王子・光の御子を乗せて脱出、執拗な追撃に三銃士は倒れたが最期に1ヶ月はもつ結界を張り、王家に伝わる八玉を解き放つ。八つの玉は世界各地に飛び散って使命にふさわしい勇士を見つけ出した。

1ヶ月後、光の御子のもとに八人の勇士が集結する。
海賊ジャック・ランスロットの一味で、最期に娘を娶るよう言い残された「ザン・ハヤテ」。初恋の幼馴染を探してもらおうと訪れた占い村で、死ぬ父親とその側にいるハヤテの光景が映るのを見て、勇士としてあらわれたハヤテを親の仇と警戒して偽名を使う針術使いの「リリアン・ランスロット」。親を食い殺した仇を探している獣人ウォッシュ族の「ゴンザ・プロット」と「マイマイ・プロット」のプロット兄妹。ライバルと命を賭けた死闘の末に彼とその息子夫婦の幽霊から孫クークを託された占い村の長老「アレック・ヘストン」。アレックを祖父の仇とは知らず自分の祖父だと勘違いして慕う幼い念術師の少年「クーク・ロータム」。蜥蜴人種リーザズ族の貴族の息子でタイムマシン研究をしたりサーカス団に入ったりしていた道楽者の紳士「ロマール・セバスチャン七世」。宇宙を統べる16神の1柱・竜神であり、人間の妻の墓参りに惑星キプロスを訪れていたが、虎神が結んだ竜神との和平に納得できない虎神の眷属たちの独断の襲撃で神の力を封印されてしまった「幻左京」。

八人の勇士はソフィと光の御子を連れて、八玉に導かれて八玉に対応する神器を集める旅に出る。
旅の中で、光の御子がさらわれ、6000年前の決戦の地に来るよういわれる。そこで待っていた闇の種族によって6000年前の真実を知る。惑星キプロスは元は闇神ダールの領土であり、そこに光神リスクが侵略、11の種族のうち人間族・ウォッシュ族・リーザズ族が闇神を裏切ったことで光神が勝利を収め、天界に帰ろうとする闇神を光神は天界のルールを犯して封印、天界に帰るための力も奪い取り8つの神器に分けてしまう。そして闇の8種族に神器を管理させるための呪縛をかけた。闇の8種族のうち5種族はこの屈辱的な運命に耐えられず血が途絶え滅んでいた。
そして滅んだ闇の種族の5つの神器を確保した七獣将たちとの戦い。
プロット兄妹の親の仇だった木獣将、リリアンの幼馴染であった風獣将、突然頭を抑えて苦しみだし神器を差し出した地獣将、天獣将によって改造されて刺客になったハヤテの母親サラ、死と引き換えにサラの記憶を取り戻させたが自分も相手の親を殺してしまったと思い悩むリリアン、アレックに馬鹿にされて復讐を誓う気獣将、などと様々な因縁が交錯する。

八玉の神器を集めた勇士達は、闇皇帝ビドーと闇神ダールがいる王城に乗り込み、復讐心に駆られた闇神ダールを神器の力で退散させた。
そして光の御子の中から光神リスクが姿をあらわす。次の瞬間、闇皇帝ビドーが光神リスクを刺し殺した。ビドーの正体は光神リスクが6000年にヤリ捨てた女の息子であり、その出生ゆえに神を殺す手段アンバロの短剣を持っていて、光神が再び降臨する時代を待つために復讐の機会を狙っていた。八玉の予言もこの状況を誘導するためにビドーが事実を一部捻じ曲げて6000年に作った物であった。

光神の死とともに空間に穴ができる。それは空席になった神の座を埋めるため神の子を迎え入れる道「ブライ」(武神来往道)だという。天界へと登っていくビドーとそれに従う七獣将。しかし闇神ダールはビドーが自身の対である光神にふさわしいとは認めず、自身の命を犠牲にして「ブライ」を閉じた。ビドー達は亜空間の道が消滅したことでどこかへ飛ばされ、惑星キプロスに平和が戻った。八玉の勇士は玉を解放して闇の種族を6000年の呪縛から解放すると、それぞれの旅路へと別れていった。

だが神の座が空いている限りいつかは「ブライ」も再び開く。果たしてどこかに消えたビドーたちはその時再び姿をあらわすのだろうか?

予知能力を持つマイマイは別れの際に予言していた。
「また8人そろって戦えまちゅよ」

一方その頃、宇宙を統べる16神の1柱・雷神 邪気丸は、16年前に息子・疾風(はやて)を連れて天界を出ていって雷神と風神が統べる領域外の宇宙のどこかの惑星に行ってしまった妻・沙羅を探していた。


システム

  • 前作や移植元同様、本作では体力のような消耗ステータスを光の玉で表示している。
    • 厳密には数値があり、ダメージを食らうと減った数字も表示されるのだが、光の玉にすることで一目でそのキャラクターの大体の残り体力を知る事ができる。
    • これには最大値と現在値を同時表示するスペースが無いと言う、本作独特の理由もあるのだが。
  • 最大8人のパーティー構成。RPG全体でみるとそれほど多い数では無いが、この頃に8人同時と言うのは稀。
    • 本作では画面下部に8人分のキャラクター顔グラフィックと上記ライフ・精神力が表示される。ステータス異常が発生すると顔グラフィックにアイコンが重なって表示される。
    • ダメージを食らったり回復した場合、顔グラフィックに数字が表示され、余計なウィンドウを表示しない工夫がなされている。
  • 途中、異なる世界に移動する事になるのだが、それにより以前の通貨が紙切れ同然になる。

評価点

PCE版独自要素

  • アニメーションが搭載、声優によるボイスも追加された。
    • それほど出来の良いアニメーションではなかったが、8bit末期である事を考慮するとかなりの美点である。
  • BGMが大幅に変更。
    • CD媒体を駆使した重低音を用いたサラウンドは他ハードと一線を画す。
  • インターフェイスが大幅改良。快適で見やすくなった。
  • 攻略順序の変更。MSX版までは任意のシナリオの順番で攻略できたが、PCE版では攻略章の順序が決まっている。
    • 攻略順序が決まっている事で初心者にも徐々にシステムを理解していくような仕様になっており、難易度も変化する等とっつきやすくなっている。
  • ゲームバランスの変更
    • 特に雑魚戦は大体一撃で片付いていたのがなかなか歯ごたえがある難易度に変更された。
      • これは雑魚敵がステータス異常を頻繁に仕掛けてくるためなのだが、耐性のある装備がなかなか手に入らない・手に入っても章引継ぎで数個しか持ち越せない(貧乏生活をしていたので装備アイテム以外全てなくしている)為。

問題点

  • シナリオが前作未プレイの人には説明不足。
    • 一応考慮はされており、説明ナレーションの追加や、前作の遺跡を訪れた際にはモノローグが流れる等のフォローはされている。しかしとても足りているとは思えない。
      • また、この説明のせいで前作プレイヤーにはテンポが悪く感じてしまいやすい。
  • 雑魚戦にテコ入れされた一方、ボスは相変わらず弱い。
    • その為、道中の雑魚がやたら強く、ボスが弱いと言うヘンテコゲームバランスになってしまっている。
  • ラストステージは一度入ると脱出できない。
  • 戦闘やフィールドBGMがループ仕様ではなく、短い曲を繰り返し流す物となっている。
    • 曲の出来は良いのだが、いかんせんこの仕様なので戦闘中に無音になるタイミングがあって肩透かしを食らう。
  • 荒木伸吾の描く主人公級キャラクターが往々にしてそうなのだが、メイン主人公*1のザン・ハヤテが聖闘士星矢の主人公星矢に良く似ている。

総評

濃厚なストーリーと広大な世界観で評判の良かったBURAIシリーズの最終作。PCEと言うハードをフルに生かしたグラフィック・サウンド・システム変更から、完成度の高い完結編、完全版と言っていい仕上がりになっている。

一方で初心者にはシリーズ最大のウリであるシナリオの説明不足、前作プレイヤーにはテンポの悪化という、最大の魅力を殺す矛盾を抱えている。双方のプレイヤーを十分満足させる方法は無かったのだろう。



余談

  • 「ブライ上巻下巻(1・2)」は天界9部作というシリーズ構想のエピソード4にあたる。
    • 「抜忍伝説」(1987年発売)というゲームがエピソード1にあたる。竜神、虎神、雷神、風神の神々が力と記憶を封じた状態で地球の戦国時代に生まれ変わっていた、ブライより過去の物語。ブライ作中でも互いに当時の名前で呼び合ったりしている。
    • 他の7作が発売されることはなく、2作のみで終わってしまった。

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最終更新:2022年01月28日 18:24

*1 一応8人全員が主人公である。勇者が居ない『ドラゴンクエストIV 導かれし者たち』と考えると近い。