メタルスラッグ

【めたるすらっぐ】

ジャンル アクション
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対応機種 アーケード(MVS)
ネオジオ、ネオジオCD
セガサターン
Windows Vista~10
販売元 SNK
開発元 ナスカ
稼動開始日 1996年4月19日
発売日 【NG】1996年5月24日
【NGCD】1996年7月5日
【SS】1997年4月4日
【Win】2015年6月26日
プレイ人数 1~2人(同時プレイ)
レーティング CERO:B(12才以上対象)
配信 バーチャルコンソール
【Wii】2008年4月22日/926Wiiポイント
ネオジオステーション(2016年7月27日 配信終了)
【PS3/PSP】2010年12月22日
【PS3】857円(税別)
【PSP】667円(税別)
アーケードアーカイブス
【PS4】2016年11月24日/823円(税8%込)
【One】2017年3月2日/823円(税8%込)
【Switch】2017年3月30日/823円(税8%込)
判定 良作
ポイント 格闘ゲーム全盛期の中で生まれた2Dアクション
芸術的なドット絵による多彩な演出
純粋な戦争物で雰囲気もシリアス寄り
続編と比べ難易度は低めだが操作性にやや癖あり
メタルスラッグシリーズ

概要

軍事クーデターを企てたモーデン元帥を打ち破り、奪われた万能戦車メタルスラッグを取り戻すため、正規軍特殊部隊のマルコとターマが戦うアクションシューティング。


ストーリー

20XX年。ドナルド・モーデン元帥は軍事クーデターによる覇権掌握を実行に移した。
彼が数年間の準備をかけた電光石火の侵攻により、計画発令からわずか170時間で世界の主要都市は陥落。モーデン軍の統制下におかれた。
モーデン軍の攻撃から生き延びた正規軍のメンバーはレジスタンスとなり、壊滅状態となった兵力の立て直しを行いつつも反撃の機会を伺っていた。
だがある日、正規軍の秘密工場の情報を入手したモーデン軍の部隊が秘密工場への奇襲攻撃を開始。
秘密工場は無残にも破壊され、更に完成目前だったモーデン軍への反撃の切り札となる新型万能戦車「SV-001/I メタルスラッグ」が奪われてしまう。
事態を重く見た正規軍は特殊工作部隊「ペルグリン・ファルコンズ(通称PF隊)」の隊員マルコとターマの2人に指令を下す。
「少人数の部隊でモーデン軍の各拠点をピンポイントで攻撃。これを破壊せよ。」
「奪われたメタルスラッグは機密保持の為に奪還。奪還が困難の場合は破壊もやむなしとする。」
いま、たった二人の元帥討伐作戦が始まろうとしていた…。


特徴・評価点

グラフィック

  • ネオジオスペックの限界に迫る超絶ドット絵芸。
    • 通常武器のハンドガンと比べても見た目威力ともに派手な特殊武器や、敵から奪った戦車による破壊の快感が素晴らしい。
    • キャラの見た目こそ2~3頭身であるが、人体損壊描写が激しい。
      • 血しぶきや黒焦げはともかく、至近距離で砲撃されて消し飛んだり、岩で潰れたり、盛大に血反吐を吐いたり、バラバラになったり、溶かされたりする。心臓の弱い人は少し気をつけたほうが良さそうである。
    • 初代の特徴としてステージ上に配置された破壊可能ギミックの多さが挙げられる。こちらが銃撃すれば敵キャラと共に背景の家屋、外灯、崖等といったオブジェが派手に破壊されていき、爽快感は抜群。
      • 無論、破壊された時の挙動も作り込まれており、中には戦車を支えている崖の一部を破壊する事で戦車を落として一撃で倒せるといった事もできる。
  • 緻密なグラフィックで描かれる戦争の世界観
    • 本作は純粋な戦争物として描かれており、基本的にはシリアスな雰囲気で展開される。上記の死亡アニメだけでなく、威圧感のあるボス兵器やボス前で一目散に逃げる動物達といった細かな演出の数々、峡谷での戦車戦や市街地戦、海上からの上陸といったシチュエーションのステージ構成とその完成度は極めて高い。
      • 一方で3面中盤で現れる便器に座ってる兵士、2人組で目の前で相方を倒されても平然と飯を炊き続ける炊事兵、特定の場面の背景をよく見るとUFOが飛んでる等決して雰囲気が重くなりすぎないような小ネタが挟まれている。
    • 本作のエンディングはクリア時のプレイヤー数で内容が変わるマルチエンディング式。一人プレイ時は戦いが終わった地で戦争の虚しさを訴えかけるような哀愁を漂う内容。
      一方、二人プレイ時は背景こそ一人プレイ時と同じながら状況やBGMが一転して明るい雰囲気になり、更に歌詞が表示されてカラオケ風味になると一人プレイ時とはまるで正反対の内容となる。
      • 特定の条件でクリアするとエンディングがカラオケ風になる演出はスタッフが過去に製作した『アンダーカバーコップス』で見られた要素であり、それのオマージュといえるだろう。

完成度の高いアクションシューティング

  • 良好な操作性
    • 上撃ち、下撃ち、移動射撃も自由自在であり、8方向レバー+ショット、ジャンプ、グレネード投擲の3ボタン。弾数制限があるが非常に頼もしい特殊武器と、それが切れてしまうと非常に頼りないハンドガン。接近して攻撃ボタンを押すと威力の高いナイフアタックという操作性は初代から既に完成されている。
      • 本作のみ、ジャンプボタンを一瞬だけ叩くことで通常のジャンプよりも飛距離が短くなる「小ジャンプ」が存在する。
    • 各アクションは軽快でスピード感を損ねることがなく、アニメーションの細かさもあって、動かしているだけでも楽しい。
  • やり応えのあるレベルデザイン
    • 基本的にどの攻撃を受けても一撃で死ぬ上に、エクステンドがなく、初期出荷設定だと3機しかない。一発死+この仕様により凡ミスが命取りとなるため、一定の緊張感がある。ただしミスになるのは「攻撃を喰らった時」であり、単に重なっただけではミスにならない。
      この事に気がつくと「ミスを恐れてちょっとずつ進む」よりも「大胆に走っていく」方が逆に安全になる地帯もある。
    • 一方で強力な武器や乗り物(本シリーズではスラッグと呼ばれている)といった攻略の助けとなるものも多く、それらによって敵をなぎ倒す快感も味わえる。
      • メタルスラッグは装甲に覆われているため、本作では敵の攻撃にも2発まで耐えられる。一撃死じゃなくなるというだけでもかなりの安心感と頼もしさがあり、ただ難しいだけのゲームではなく、展開にメリハリを持たせている。
      • 乗り物から降りる時の回転ジャンプには長めの無敵時間があり、これで敵の攻撃を避ける、通称「鬼避け」というテクニックがある*1。これは乗り物の価値を高めているだけでなく、回転ジャンプのアクションが比較的派手で、大道芸的な面白さもある。
      • 生身だと手榴弾を画面中に2個までしか投げられないが、メタルスラッグに乗った状況でレバーを下方向に入れると、手榴弾を投げられる。この登場中手榴弾は画面中2発の制限が解除されいっぺんに大量に当てることが可能。手榴弾を多く持っていると冗談のようにボスをあっさり撃破できる。この仕様は後のシリーズでも同様。
    • シリーズ初代となる本作の難易度は後継作に比べれば低め。
      • 初見では無理そうな場面でも、パターンを覚えれば安定して突破できる。一部の場面やボスの攻撃パターンで若干のランダム要素はあるものの、プレイヤーの反射神経を極端に要求される状況はほぼないため、やり込むほどに上達が実感しやすく、熱中度が高い。
        但し、シールド兵など一部の敵は速い弾を放ったり、回避が難しい飛び込みナイフ攻撃を行う「ビースツ兵」*2が画面の左右から大量に現れる場面の存在もあり、一概に難易度が低いと言える訳ではない。
  • 探して集める楽しさ
    • 各ステージのあちこちではプレイヤーの助けとなる捕虜がいたり、様々な得点アイテムが入手できる。容易に見つかるものもあれば、特定の条件でのみ出現するものもあり、試行錯誤してそれらを集める収集要素的な面白さがある。
      • 各ステージクリア時には捕虜の救出数と、救出した捕虜の名前が表示される。また捕虜の救出数に応じてスコアにボーナス点が入る。
    • 得点アイテムには金貨や食べ物など様々なバリエーションがある。
    • 本作では得点アイテムはスコアに影響するだけで攻略上は何の役にも立たないが、アイテムを入手した時の効果音が小気味良く、アイテムをかき集めること自体も楽しい。

問題点

操作性について

  • 前述の小ジャンプの存在、上入力の受付が独特でヘヴィマシンガンの斜め撃ちがしづらい、メタルスラッグの移動に若干慣性が働くといった具合で細かい仕様の部分において他のシリーズ作と比べてやや癖が強いものになってる。
    • 本作から入った場合は特に問題はないが、続編作からシリーズに入った後に本作をプレイすると違和感を感じやすい。
      • 特に注意しないといけないのはしゃがみナイフ攻撃。2種類の攻撃モーションの内の1つが本作では攻撃判定発生前に大きな隙を晒すため、無闇に使うと窮地に陥ってしまうことも。

メタスラアタックについて

  • 乗り物に乗っている時Aボタン(通常攻撃)とBボタン(ジャンプ)を同時押しすると乗り物を突撃させて敵に大ダメージを与える「メタスラアタック」が発動する。
    • 乗り物を失うことになるため基本的にボスへのトドメの一撃のみにしか使われないが、ボタンの都合上ジャンプして通常攻撃する時に暴発しやすい。特に連付きボタンが用意してある店で、A連を押しながらBを押してしまうと暴発一直線。
    • ダメージもボスを満タンから瀕死に追い込ませるほど大きいわけではないため、暴発時のデメリットは非常に大きい。
      • 続編では乗り物にのりつつジャンプして攻撃とするシーンが増えたためこの問題が更に目立つように。この問題はメタスラアタック発動ボタンがDボタンになる「4」まで続いた。
    • ちなみに本作に限った話ではないがゲームの特性上、メタスラアタックは封印した方が何かと有利である。生身では1発でアウトとなる仕様から防御面でも心強い上、ボス戦では乗り物に乗った状態で撃破すれば乗り物ボーナスとして得点も入る。
      • 厳密にはボス撃破時に乗車の有無に関係なくメタルスラッグが存在していれば乗り物ボーナスが入る。この仕様は本作のみで続編以降は乗り物に乗った状態でボスを撃破しないとボーナスが得られなくなっている。

強化銃について

  • 強化銃は画面に出現すると取得するまで消えない。
    • 問題となるのはミッション4の終盤。道を塞ぐトーチカを破壊して進むが、このトーチカを破壊すると強化銃が出現する。
    • 乗り物に乗っている間はジャンプ力が低下し、出現した強化銃を避けることができなくなる。
    • そのため、ボス戦に自分の好きな強化銃と乗り物の両方を持ち込むことができない。
      • 続編では出現してから一定時間経つと消滅するようになったため、使いたくない強化銃を取らされることは少なくなった。

無限稼ぎについて

  • ミッション5でのある敵を画面に少しだけ映した状態では撃破できなくなるが、打ち込み点は入るという状況になる。
    • 条件は比較的簡単な上に、テクニック*3とも絡んでいるため発生しやすい。スコアアタックでは稼ぎが作業になってしまい、通常攻略ではこのことに気づかないと進めなくなるためどちらにしろ問題となる。

総評

既に業界は格闘ゲーム一色、当のネオジオさえもその影響を大きく受けたラインナップと化していた中で、これだけの良質なアクションゲームが生まれたのは奇跡的だったと言えよう。
基幹部分は『魂斗羅』などといった前例があり、それを継承したと言えばそれまでではあるが、きちんと戦車などといった爽快感をパワーアップさせる要素を取り入れる事で、単なる模倣に終わらせない意気込みが伝わってくる。
そしてゲームのみならず、職人芸と称されるグラフィックやサウンドも本作を良作へとのし上げる事となった。


余談

本作を開発したナスカはアイレムの系統を継いだ会社であり、『ジオストーム』で敵が上げる「ヴオッ!」などの悲鳴がメタスラシリーズに流用されていたり、本作の制作チームがアイレムに所属していた頃に制作した『海底大戦争』と上記『ジオストーム』が本作の背景の書き込みとSEが非常に似通っている。
また”RUN&GUN”(走って撃つ)タイプのアクションシューティングという非常に似通ったジャンルの為、「ガンフォース」及び、続編的存在の「ジオストーム」に本作との関連を指摘する声もあるのだが...。

  • しかし、『メタルスラッグ』は当初、”戦車を自機としたアクションシューティング”として開発された経緯があり、実際にそのプロトタイプバージョンでもロケテストが行われ、当時のアーケードゲーム雑誌にも紹介されている。その為、実際には制作スタッフは共通しながらも先述の2作品とは路線変更後に結果的に似通った内容になっただけに過ぎない。むしろ後述の『海底大戦争』の延長上の作品だったと言える。
    • ちなみにプロトタイプバージョンでは操作性が全く異なっており、レバー上でジャンプ、ABCDボタンで各右上左下の撃ち分け(2つのボタン同時押しで斜め撃ち)、オプションとして兵士を砲塔の上や戦車の後ろに引き連れる事も出来た。
    • また、ストーリーもかなり異なっており、プロトタイプ版はクーデターに成功したモーデン部隊に反旗を翻したレジスタンス達の戦いという設定になっていた。主人公も当然マルコ&ターマではなく、元正規軍の兵器開発員だったフィル・ジーン(1P)とその恋人であるミチコ・ナカジマ(2P)という設定で、メタルスラッグもモーデン部隊に奪われておらず、レジスタンスの最終兵器という位置付けとなっている。
    • なお、プロトタイプバージョン時代の設定の一部はサターン版やプレイステーション版のデータベース内で見る事が出来る。

後に開発元のナスカは本作の開発後にSNKに吸収合併され、『ザ・キング・オブ・ファイターズ』シリーズと並んで現在に至るまでSNK(プレイモア)の屋台骨を支え続けた長寿シリーズとなった*4


参考プレイ動画

+ クリックで展開


家庭用移植

  • 家庭用ネオジオ
    • アーケード基板(MVS)の完全互換機で内容も同等。なおネオジオ版はバーチャルコンソールなど様々な配信等でプレイすることが可能。
  • ネオジオCD
    • ロードがネックとなっているが『メタルスラッグ2』同様に格ゲーよりはマシ。また新たにコンバットスクールが追加されている。後述のSS版とPS版移植はこれをベースにしている。
  • プレイステーション
    • 本編ではステージ中にロードが発生しテンポが悪い。また、アニメパターンが削除されていることも欠点。その一方でCD版の要素を中心に様々な要素が追加されており、例えばコンバットスクールに登場するソフィア教官に声優・富永みーな氏のボイスが追加されたり、2Pプレイ時のEDが同じく富永氏によるヴォーカル版になっているなど、単なる移植とは思えない要素が詰まった一作となっている。
      • PS版のみ、本作のストーリーを別の視点から見たアナザーストーリーモードが追加されておりシリーズお馴染みの相川留美(本作ではルミ・アイカワ名義)軍曹が初登場している。
  • セガサターン
    • 拡張RAM必須のソフトだけあって本編はアーケードをほぼ忠実に移植しており*5、移植度はPS版を凌ぐ。また、ネオジオCD版ベースのPS版同様、コンバットスクールはボイス有り。
    • コンバットスクールのサバイバルアタックにバグがあり満点が取れない。*6
  • Windows(steam)
    • 海外版のアーケードの移植。PS版などにあった追加要素はない。
  • またこの他にもオムニバスソフト『メタルスラッグ コンプリート』でも本作をプレイすることが可能。
  • ちなみにGBA末期に初代~3までそれぞれ単体で移植される予定があった。

その後の展開

  • 1998年に続編の『メタルスラッグ2』が展開された。
    • やや癖のあった操作感が改善された正統続編であり、ここからストーリーはオカルト、ゲーム内描写はコミカルを織り交ぜた物へとシリーズの方向が定まって行くこととなった。
  • そして2009年発売の『XX』を最後にメインシリーズの展開は終わってしまったが…
  • 2023年、数々の元スタッフが手掛ける精神的続編『Black Finger JET』が鋭意製作中であると発表された。
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最終更新:2023年10月21日 09:35

*1 本作に限り、乗り込み時の無敵が無い代わりに降りて少しの間も無敵状態となる。

*2 本作限定でメタルスラッグ搭乗中は行動パターンが変化してメタルスラッグに飛び乗り、左右連打で振りほどかないと搭乗口から手榴弾を放り投げてダメージを与えたり、バルカン砲を外してきたりする。

*3 最初からステージにいる敵は画面内に全身が映らないと攻撃してこない

*4 ちなみにナスカが開発したMVS作品は本作と『ビッグトーナメントゴルフ』の2作品だけである

*5 但し、キャラクターのアニメーションパターン枚数が「目を凝らして見ないと気づかないレベル」ではあるが若干削られている。

*6 SS版はこのバグのせいで「大魔王」の称号が得られない。