ルパン三世 THE SHOOTING
【るぱんさんせいざしゅーてぃんぐ】
ジャンル
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ガンシューティングゲーム
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対応機種
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アーケード(NAOMI)
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発売元
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セガ
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開発元
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ワウ・エンターテイメント
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稼動開始日
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2001年10月
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判定
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良作
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ルパン三世ゲームリンク
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概要
ルパン三世のTVアニメ第二期(新ルパン、赤ジャケ仕様。以下新ル)及び劇場版『ルパンVS複製人間(クローン)』(以下劇場版)をモチーフにしたガンシューティングゲーム。登場人物の声は新録ではなく、あえて新ルと劇場版の音声ライブラリから採録している。
特徴
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1Pがルパン三世、2Pが次元大介を操作する。この二人の性能が若干異なっている。
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ルパンの銃の装填数は7発、次元は6発。その分、次元の銃の方が30%攻撃力が高い。
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実際のワルサーP38は8発装填出来るのだが、表示される弾倉にも一発分空きがある為バランス調整で減らしたと思われる。
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各ステージは前述の新ル・劇場版の展開を再現したミッション制。
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短いステージがいくつも存在する『ガンバレット』(ナムコ)と同じスタイルで、ステージ開始時に表示されるクリア条件を満たせばそのステージはクリア。
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ステージ中に敵からダメージを受けたり、ミッションに失敗(時間切れ、ミッション失敗の条件を満たしてしまう等)するとライフが減り、全て無くなるとゲームオーバー。
評価点
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多種多彩なミッション内容。
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敵との銃撃戦はもちろん微妙な位置の標的を狙うミッション、徹底的に連射するミッションに一定時間ロックし続ける事で発射されるミサイルを使用するミッション、さらには車のハンドルを切りつつ障害物を避けるステージやコンマ数秒の早撃ちが要求されるミッションまである。
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そしてそのどれもが、アニメ版を視聴した人なら「ああこんなシーンあった」と唸らせる程原作再現度が高い。TVスペシャル版しか視聴していない若い年代でも「ルパンっぽさ」を感じることが出来るだろう。
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最終ステージはマモーとの対決というファン感涙のシチュエーション。
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作中屈指の見せ場であるレーザーを折れた斬鉄剣の破片で反射してマモーを倒すシーンがしっかり再現されている。
この時、ルパン(1P側)であれば原作通りなのだが、次元(2P側)のみでこのシーンを成功させた場合は、映画では無かった**次元が折れた斬鉄剣の破片で反射してマモーを倒すシーン**になる。
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更に続きがあり、ロケットで宇宙に逃げようとする真のマモーを倒すシーンも若干のアレンジが加わりながらもミッションとして組み込まれている。
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キャラクターがよく喋る
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危機的状況にあっても軽口を叩くルパン一行は非常に賑やか。ミッションクリア時には笑いながら喜ぶのでガンシューティングゲームとしては珍しく明るい作風となっている。
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タイプライターが打たれる演出でのミッションスタートの他、銃声などのSEなども原作アニメを忠実に再現している。
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コンティニュー時に「チャンネルは決まったぜ!」、ゲームオーバー時には「次回もお楽しみに!」とテレビ番組を意識した文章が表示される点もアニメの雰囲気を出している。
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BGMもアニメからチョイスされていて聞き覚えのあるものばかり。
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特に『カリオストロの城』で中盤のオートジャイロを奪うシーンで使用された「サンバ・テンペラード」が使用されるのは気が付いたプレイヤーが多いだろう。曲が流れるミッション4は疾走感溢れるシチュエーションなので雰囲気的にも非常にマッチしている。
賛否両論点
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アーケードのガンシューティングであるため、難易度が高め。
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とはいえ序盤は的が大きかったりダメージまでの猶予が短かったりと易しいミッションが並んでおり、またコンティニューするたびに(下限はあるが)難易度が落ちる救済措置もある。一方でゲームオーバーになると各ミッションの最初からになるため、苦手なステージでライフを次々に減らし終盤でゲームオーバーになった時の脱力感は半端ではない。
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この問題を如実に感じやすいステージは、ミッション5「斬鉄剣(かたな)と不二子とカーチェイス」。このステージはオート走行の車を画面左右のハンドルを撃って操り、一般車両に当たると1ダメージという一見普通のステージなのだが、市内を縦横無尽に高速で走り回る上に坂に差し掛かるとルパン達の車が非常に跳ね回るため視点が遮られ、着地点にいる車が非常に見え辛く被弾し易い。目標にたどり着くまでもかなり長く、プレイヤーによっては走り回っている内にあっという間にライフが全て削られてゲームオーバーとなる。上記の仕様通り、勿論カーチェイスも最初から。幾分か楽になるとはいえ、このステージで多くのプレイヤーがハマり易い。
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ルパンのはちゃめちゃな運転によるカーチェイスは原作再現においてもはずせない要素であり、実際このステージをノーダメージで走れる様になると、非常に気持ちよい疾走感がある。接触寸前で車線変更して高得点獲得とスコア倍率上げが安定してできるようになればかなりスコア稼ぎできるステージでもある。キャラも良く喋るので誉められる部分は十分あるステージではあるのだが……。
問題点
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五右衛門と銭形の出番があまり多くない。
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五右衛門の大きな見せ場はステージ13のヘリを両断するシーンぐらい。一応それ以外のミッションでも同行している設定で壁を斬って侵入ルートを作る他、たまに喋ったりカットインが入ったりするがその程度である。
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銭形と戦うミッションは序盤の「とっつぁん大ハッスル」のみでその他の登場はコンティニュー時のカウントダウンくらい。
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ガンシューティングというゲーム性から五右衛門の出番がほとんど無いのは仕方ないとも言えるが、ルパンのゲームとしては次元と並ぶメインキャラであるはずの五右衛門と銭形の出番が少ないのはやはり寂しい。
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ちなみに不二子はと言うとラスボスがマモーということもあって最終ミッションをはじめ、盗んだ宝石を見て喜ぶシーンや攫われるシーンなど結構出番が多い。
総評
原作の知名度、ゲームでの再現度が高いこともあって、マニアだけでなくカップルや家族連れの客などのライト層もよくプレイしていた。
そういう意味では「版権ものガンシュー」の中でも秀逸な部類に入ると言えよう。
余談
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スコアランキングは指名手配書にタイプライターで名前を打ち込むというゲーム全体を見てもかなり独特なもの。ちなみにスコアは懸賞金の額として表示される。
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またランキング表記上「○○○三世」「○○○大介」と表記されるため、仮にABCと入力すると「ABC三世」「ABC大介」とちょっとシュールなランキングになる。
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人間の敵との銃撃戦であるミッション1では頭を撃つと高得点、銃を撃つとさらに高い得点が入るようになっている。序盤だけあって敵からダメージを受けるまでの猶予も長く(水色の服を着た一瞬だけ登場する敵は別として)素早い精密射撃も求められないためスコアの稼ぎどころである。
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銃はともかく頭を撃つことに関してはルパンの「(物は盗っても)命までは取らない」というポリシーと矛盾しているが…。
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ミッション3の「接着光線とダイヤモンド」だが、実際のアニメ版ではルパンたちは警察をかわした後余裕で宝石を光線銃で手に入れていて、わざわざレーザーをかわしながら……という事はしていない。
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このステージのルールは初見ではわかりにくいが、ショットを時折発射される赤いレーザーに当ててしまった場合に即ミッション失敗になってしまう。逆に言えば1ライフ削られるだけで先に進めるので、5面ほど鬼畜なミッションとはいえない。
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今作を開発したのがセガ(ワウ)だからか、不死身のゾンビー(ゲーム中表記)を相手にするミッション10のタイトルが「邪神・オブ・ザ・デッド!」となっていたり、下記の『ルパン三世 THE TYPING』ではこちらでのミッション8「おいの血ちょうだい」が「ヴァンパイア 倒さナイト!」へ変えられたりと自社作品をもじったタイトルが見受けられる
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この作品を元に『ザ・タイピング・オブ・ザ・デッド』の機体とシステムを使用した派生作品『ルパン三世 THE TYPING』も稼働している。
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同作は本作のステージを大方流用しているが、最終面のみ新規ステージになっている。
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現在でこそルパンの声といえば栗田貫一氏の印象が強いが、音声の流用の結果没後6年にして山田康雄氏が主演したルパンゲームでもある。
最終更新:2023年11月24日 07:22