THE HOUSE OF THE DEAD

【ざ はうす おぶ ざ でっど】

ジャンル ガンシューティング
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対応機種 アーケード(MODEL2C)
販売・開発元 セガ・エンタープライゼス
稼動開始日 1997年3月
備考 SS移植版に関する記事はこちら
(劣化ゲー判定)
判定 良作
ポイント ホラーとSFを融合させた世界観
ゲームと密接に関わる残虐描写
画期的なルートの複数分岐
シリーズ中でも抑え目な難易度
THE HOUSE OF THE DEADシリーズリンク

概略

セガAM1研が1996年に開発、1997年に正式稼動した、一人称視点ガンシューティング。公式略称は『HOD』。
同社の『バーチャコップ』をベースとした基本システムに、『BIOHAZARD』や95年の米映画『セブン』のようなホラーテイストを加味しており、
当時としては1989年のSNK製『ビーストバスターズ』以来8年ぶりであった「ゾンビを敵としたホラーガンシューティングゲーム」となっている。

本作は上記作の単なる模倣や追従に終わっていない、非常に良く練られたゲームシステム・巧みな世界観設定や演出類が世界的に高く評価され、
日本国内に於いてはナムコの『タイムクライシス』と共に「ガンシューティングゲーム」の知名度を大きく上げた代名詞的作品の1つとなった。


ストーリー

1998年8月。某国政府の極秘機関「DBR Corp.*1」所長で、バイオリアクター分野の権威「キュリアン博士」が突如解任された。
それから3ヵ月後の11月、キュリアン博士の部下であった「ソフィー・リチャーズ」らDBR研究員の連続失踪事件が発生。
12月、国際諜報機関「AMS」はこれをキュリアン博士による犯行と睨み、エージェント数名をDBR研究員として彼の館へ潜入させた結果、
キュリアン博士が息子の死を境にマッドサイエンティストに変貌、誘拐した研究員達に非人道的な人体実験を強いている事を突き止めた。

だが、12月18日、AMSの介入を察知したキュリアン博士は外部との連絡を断った上で研究員達を拘束。
自らの存在と研究を蔑ろにした人類に対する復讐という恐ろしい野望を剥き出しにする。
同月20日、事態を重く見たAMSはキュリアン博士の排除と研究員救出の為、
2人の凄腕エージェント「トーマス・ローガン」と「G(コードネーム)」をキュリアン邸に急行させた。
特にソフィーと婚約予定であるトーマスは二つ返事で任務を快諾したが、到着した彼らが目にしたモノは、
館に放たれたゾンビのような怪物が逃げ惑う研究員を襲うという、前代未聞の凄惨な光景だった…。


システム

  • 装弾数6発のハンドガンを用いて、襲い掛かってくるゾンビなどの怪物*2を倒してゆく。
    • リロードには、ガンコンの銃口を画面外に向けた状態で引き金を引く必要がある。
  • 敵の攻撃を受けるか、研究員を誤射すると1回につき一律1ライフを失う。ゼロになるとゲームオーバー。
    • 開始時のライフ数や最大ライフ数は筐体の設定により異なるが、何れも最大は5設定。
  • 『バーチャコップ2』同様、ルート分岐が発生するステージも存在する。
  • プレイヤーの腕前により敵のライフが上下するランクシステムを採用。
    • 本作では全16段階の内部設定*3があり、50秒経過*4や2人プレイ時のコンティニューでランクが上がり、ダメージでランクが下がる。
      低ランクは少ない弾数で敵を倒せるが、高ランクではランクの影響を受けない頭部を撃つ事がほぼ必須となり、自ずと射撃の腕前も上達できる仕組みになっている。
      • この絶妙なシステムと、シリーズ中でもかなり抑え目な難易度が相まって、中級者レベルの腕前があれば充分にワンコインクリアを目指せる。
        本シリーズに興味があるならば、本作から入るのがベストである。現在プレイできる環境があればの話ではあるが…。
  • 非戦闘員の救出によるライフ回復。
    • 逃げ遅れた研究員があちこちでゾンビに襲われており、助けることにより進行ルートが変わったり、ライフアップアイテムを貰えたりする。
      ただし、迅速に敵を排除しないと命を落としてしまい、誤射した場合は更にプレイヤーのライフまで1つ失ってしまう。
      • ステージクリア時のリザルトで、救出人数が4人以上で1個、6人以上で2個も回復する(3面は3人全て救助した場合のみ1個回復)ので、救出するほどゲーム展開も楽になりやすい。
        全員救出に成功すると最終面中盤でアイテムだらけの隠し部屋に行ける為、助けても御礼しか言わない人にも救出の意義がある。

特徴

  • 基本的には自動スクロールによる自動進行形式であり、「敵の攻撃を受ける前に素早く敵を倒す」ことが求められるという従来のガンシューティングとほぼ大差ない内容を踏襲している。
    ゲームとしては極めてオーソドックスな本作の大きな特徴と味わいは巧みに構成された演出にある。
    • ポリゴンを駆使して作られた敵ゾンビは非常にグロテスクで、小さい子供が見たら泣きだしてしまいそうなレベル。当時のレベルから見ても最大限にリアリティを追及したグラフィックとなっている。
      更にゾンビ達は奥からのしのし歩いて間合いを詰め、どアップになって攻撃してくる。特に50インチプロジェクター仕様のDX筐体におけるインパクトは絶大であった。
      • ゾンビもののホラーらしく身体欠損描写もえげつない。撃つと出血と共に頭や胸に穴が開き、倒した際に血反吐や目玉が飛び散るのは勿論、腕を撃てばもげてなくなり、上半身が無くなることも。
        しかしそれでも生きていて、唸り声を上げながら残った下半身で体当たりしようとする敵がいるのも、「ゾンビらしいしぶとさ」を見事に表現している。
    • カットシーンやカメラワークも映画風で非常に巧み。得体の知れない洋館(研究所)を進んでいくエージェント達を、当事者と第三者の2つの視点でとても良く表現している。
      ホラー映画の常である「振り返ると・ドアを開けるとゾンビがいる」というお約束も幾度も存在するのだが、決して単調にならないようにシーンによって角度や速度を微妙に変えてもいる。
      • 当時既に稼働していた『バーチャコップ』シリーズは同社初の3Dガンシューティングという事もあってか、カメラワークがオーソドックスでデジタル的なものだったのとは対照的である。
        『バーチャコップ』シリーズをプレイ済みならば、本作の視点演出は臨場感の向上だけでなく、3D描写技術やスタッフによる創意工夫の向上・発展も感じられるようになっているだろう。

評価点

本作でほぼ確立されていた基本システム

  • 『バーチャコップ2』から大幅に進化したルート分岐。
    • 同作では各面1つずつだったが、本作は複数配置され、しかもその殆どが従来の選択式ではない、プレイヤーの直前の行動が反映されるようになっている。
      分岐条件も研究員救出の成否・敵を倒した順番・背景の特定部分を撃ったか・敵の攻撃を受けたか…とかなり多彩で、全てを見るには一筋縄ではいかず、リプレイバリューが高い。
      • 例として『廊下の先に落とし穴があり、振り返ると背後に体格の良い敵が迫っている』場合。素早く敵を倒すと「道を引き返し、何事もなく館の中を探索する」。
        しかし「敵を倒せず(倒さず)に1Pか2Pのどちらかがダメージを喰らう」と、穴の中に突き落とされ、地下道を探索する破目になる。…と言った具合。
      • チラシで「ストーリー分岐システム」と謳われている通り、分岐先の殆どでそれぞれ異なる研究員救出シーンやカットシーンが用意されており、飽きにくいよう配慮されている。
  • 倒す順番・部位狙いの戦術。
    • 本作では意図的に飛び道具を持つ敵が少なく設定されており、殆どが肉弾戦を挑んでくる。この為、近くの敵から倒していけば、攻撃体勢に入るまでの時間的余裕を得られる。
      • 頭を撃ち抜くのが最も効率良く敵を倒せる手段で点数も高いが、どうしてもキツければ先に腕を撃っておいて殴り攻撃を潰しておくという戦術も取れる。
        敵もそうすると噛みついたり体当たりしてくるが、腕よりも間合いが短い為、プレイヤーにより近づいてくるので、時間の猶予や弱点を撃てる可能性がだいぶ増える。
      • 遠距離攻撃は物品(斧、ドラム缶、ナイフ等)の投げつけが殆どである為、何回か銃撃で相殺してしまえばタネ切れとなり、ダメージを受けずに先に進めることが多い。
  • 基礎的なゲームシステム面は完成度も高く、かつ本作の時点でほぼ確立されており、続編にも大小の新要素を加える形でそのまま踏襲されていった。

演出・グラフィック面

  • 製作チームのセンスの良さが伺える世界観。
    • 主人公のトーマスとGは凄腕のエージェントという設定で、茶色いトレンチコートや黒いスーツを着た渋い容姿の外国人*5*6である。
      「キュリアンに対し敵意を燃やすトーマス」、「静かに熱い『G』」と、1人・2人プレイ時とでカットシーンの人数と台詞が変わる点も細かい。
      • 因みにコイン投入直後にコマンドを入力する事で、外見をストーリーで紹介されたトーマス達より前に潜入した名無しのエージェントや、ソフィーに変えられる。
  • 雑魚敵のゾンビ達は先述の通り科学的に作られた生物兵器だが、その殆どがみすぼらしい容姿で、筋組織が各所に露出していたりと、
    「こっちに来るんじゃない!」と思わず言いたくなるような、ゾンビ映画に通ずる露骨な生理的嫌悪感を巧みに表現している。
    • 上記の概要欄にもあるが、種類や攻撃手段が多種多様で、その殆どに公式名称も付いている。ただの『BIOHAZARD』の追従で終わらなかった好例である。
  • ボス達はタロット・カードの大アルカナのコードネームを持ち、「汚さ」を感じにくい数少ない格好良い敵となっており、存在感に溢れている。
    特にラスボスの「マジシャン」は全力でオカルトな見た目で、「こんなものを科学で作れるのか?」と思わずにはいられないが、むしろ「高貴さ」「格好良さ」に溢れている。
    • プレイヤーの間からもマジシャンは外見・曲と共に人気が相当高かったようで、後のシリーズ作においても、AMSの宿敵として登場し続けることになる。
  • リアルなホラー路線の良いアクセントになっている、お洒落なゴシック的要素とケレン味のあるSF要素。
    • 舞台のキュリアン邸は中世に建築されたという設定で、2面中盤までは石造りや絨毯敷きの床・ステンドグラス・娯楽室等のお洒落な設えや地下水路・牢屋等の中世の名残がみられる。
      だが2面後半、宿舎のバルコニーから増設されたであろう建物から雰囲気は一転、培養カプセルのある研究室・シャッターで区切られた牢屋と工場・洞窟内の研究所と途端にSF調となる。
      敵の強さや配置といった難易度面だけではなく、ステージの雰囲気からもプレイヤーは「キュリアンという人物とその研究の狂気っぷり」を徐々に感じられるようになっている。
    • ライフマークが単なる救急箱やハートではなく「燭台に灯された炎」であったり、AMSの車が旧車のジャガー・Mk2*7である点も、細かいながらお洒落である。
  • BGM・SEの出来が非常に良い。
    • BGMは基板故に音源が少々寂しいが、屈指の良曲揃い。ホラーゲームとは思えないような派手な曲調*8が多いのだが、雰囲気に見事にマッチしているのは素晴らしい。
      • 特に「Chapter 1 惨劇 ~Tragedy~」は勇壮ながらどこかおどろおどろしく、未知への恐怖が入り混じった曲調で、ガンシューティング史上に残る良曲・有名曲である。
        続編の『2』でも使われただけでなく、本作の外伝である『ゾンビリベンジ』と同作が登場した別作品『PROJECT X ZONE』にも、この曲のアレンジが採用されている。
      • ラスボス戦の楽曲「THE THEME OF MAGICIAN」もシリーズを代表する有名曲。この曲を聴きたいが為にプレイするという人もいた程、非常に評価が高い。
        上記の通り、後のシリーズ作においてマジシャンが復活・登場する度に、この曲もアレンジされて使用されている。
      • 他にもステージクリアやゲームオーバーの曲も、シリーズを通してアレンジされて使用され続けており、HODの世界観構築に一役買っている。
  • SEも実にリアリティがあり、BGMの邪魔をしない音で作られており世界観を盛り立てている。
    • 文章で表現するのは難しいが、ゾンビ達の叫び声が実にいい味を出している。興味を持たれた方は是非一度聴いて頂きたい。
    • 1Pと2Pで違う拳銃の発砲音や一部効果音等、『バーチャコップ』からの流用*9もあるが、何れも違和感は無く、随所には細かいこだわりも見える。
    • 普通にプレイしていると「まるでBGMの合いの手として、これらのSEがタイミングよく挟まる」ようになり、何ともいえないプレイ中の昂揚感を作り出すことに成功している。

賛否両論点

  • グロテスクな描写が苦手な人にとってはキツめの面がある。
    • シリーズ中最も人体欠損描写が激しく、更に筐体設定の血の色がデフォルトで「」である為、そういうのが生理的にダメ、という人には向かない・楽しめない可能性が大きい。
      血だまりに横たわる研究員の死体、槍で串刺しにされた惨殺死体や、おびただしい量の血だまり、食肉フックに無造作に吊るされた人間の上半身等のオブジェクトも存在する。
      • 一応、筐体設定で「」「」「」に変更可能ではあるが、基本的な残虐描写は変わらない*10ので、焼け石に水と言ったレベルである。
    • マスコミにそのグロテスクさを取り上げられテレビ放映されたり、新聞の読者投稿欄に「(HODは)人殺しの訓練をしているようなもの」等の極論に近い意見が載ったこともあった。
      • セガもこれらを重く見たのか、97年中に直営店に対して血の色を「緑」として稼働するよう要請し、以降Xbox版『III』まで、日本版のみ血の色は緑で固定されていた。
  • 成績やコンティニュー回数に応じてEDが変わる(全3種類)。
    + ネタバレ注意
    • ノーマルエンド…車に乗る前に洋館の方を振り返ってEND。
    • バッドエンド…振り返った直後、洋館の入り口までズームインしドアが開き、ゾンビ化したソフィーが出てくる。銃声*11と共にEND。
      • 後のシリーズ作でも、「作中の主要人物の誰かがゾンビ化する」EDは必ず用意されている。
    • グッドエンド…↑と同じだが、ドアが開いた直後に無事生存していたソフィーが「Thank you」と言いながら駆け寄ってきてEND。
      • III』では主人公の娘を操作することになるので、グッドエンドが正史とされた。バッドまたはノーマルエンドしか知らないプレイヤーも安心。
  • グッドエンドを見るにはかなり点数を稼がないとならず、必然的にルート選択も限られたものとなってしまう。
    点効率が悪いルートでは、ほぼ絶対にグッドエンドを出せなくなってしまう*12という事態も存在する。

問題点

  • 2Pでプレイしているとバグにより不利な場面が頻出する。
    • 1面の屋敷2Fの女性研究員や1Fの檻に捕らわれた研究員達を救出しても1Pのライフアップ表記が出て、2Pのライフが増えない、
      スコア面では一部研究員の救出スコアや、最終面のボスラッシュ時に登場する2面ボスの撃破スコアが入らない…とやけに不遇。
      • その為、スコアアタックを行うならば、1Pでプレイする事が必須となり、少々煩わしい面がある。
  • どんなに稼いでも、全面クリアしないとスコアランキングに載らない。
    • 初心者にとっては長い壁となる。スコアを気にする余裕ができたのなら概ね初心者は卒業しているはずであり、雰囲気としてもこの仕様は理にかなっている。
      • このランキングの仕様は続編でもほぼそのままで、唯一の例外は本作の移植版・PS3版の『III』『4』のみとなっている。
  • 3D黎明期のゲームなので仕方が無いが、モブキャラクターの使い回しは非常に多い。
    • しかし、キャラクターパターンの使い回しの多さを逆手に取った事によって「DBR研究所」の設定を生み出したセガの工夫はさすがと言えるか。

総評

本作は概略の通りガンシューティング版『バイオ』といった作風であるが、単なる模倣に終わらず新たなる面白さを作り出している。
人間サイズの敵に対し「部分欠損」「数発打ち込む必要性と爽快感」をガンシューに導入した点も大きい。
撃ちこみについては、『バーチャコップ』でも3ポイントシュートと3発までならできたが、更に発展させたものといえる。
また敵がゾンビとした為、部分欠損による攻撃をスカらせたり等のアクションも斬新かつ説得力がある。
演出も徹底しており、暗く重く、何が潜んでいるかがわからないというホラーゲーム特有の緊張感も盛り込まれている。

これらもあって好評を博し、以降のシリーズ化や様々な展開に繋がることになる。
ガンシュー史において、『リーサルエンフォーサーズ』『バーチャコップ』などに続き記される名作といえるだろう。


余談

  • 今作が正式発表される前の第1回ロケテストでは、製品版とは異なるガンコンが使用されていた。
    • セガサターンマガジンでの記事によると、圧縮空気を用いたブローバック機能を内蔵した本格的なものだったが、あまりに壊れるのでお蔵入りになったとか。

*1 DNA Bio Reacter Corprationの略。

*2 厳密に言えば本シリーズのほぼ全ての敵は、科学研究により産みだされた「ミュータント」なのだが、作中で人間がゾンビ化する描写もあり、境目がかなり曖昧になっている。

*3 スタート時の内部設定は、ベリーイージーで1、ミディアムイージーで4、ノーマルで7、ミディアムハードで11、ベリーハードで15。

*4 カットシーンは含まれない。

*5 2人とも『セブン』のブラッド・ピット、ケヴィン・スペイシー、モーガン・フリーマンから影響を受けている。

*6 主人公が「諜報機関のエージェントの外国人」という設定は『タイムクライシス』と通ずるが、あちらは黒革ジャケットに水色ジーパン、赤か水色のフライトジャケット等、本シリーズとは対照的に派手めな服装をしている。

*7 日本では「光岡・ビュート」の元ネタとして有名か。

*8 2面と3面のBGMはまさかのテクノ調である。

*9 銃声は1Pが同作のショットガン、2Pが初代のガーディアン(初期装備の拳銃)の流用。一部雑魚ゾンビや2面ボスが言う「Die!」も、『バーチャコップ2』の2面ボスからの流用である。

*10 強いて言えば、研究員の死体の血だまりが無くなり、一部敵の体色が変わるぐらいである。

*11 1人プレイの場合、プレイしていない側の銃声が鳴る。

*12 一応、2面と3面のボスの頭部を撃つ事でかなりの得点を稼ぐ事ができるが、上級者でもなかなかできないほど難しい芸当である。