レイジングストーム

【れいじんぐすとーむ】

ジャンル ガンシューティング
対応機種 アーケード(SYSTEM357)
販売元 バンダイナムコゲームス
開発元 ネクスエンタテインメント
稼働開始日 2009年
判定 良作
ポイント クライシスゾーン』の再来
豪快な破壊の爽快感を手軽に味わえる
程よい匙加減の難易度
まさかの“戦いはこれからだエンド
タイムクライシスシリーズ


概要

タイムクライシス』シリーズの外伝作であるガンシューティングゲーム。
開発は『3』や『4』のネクスエンタテインメントが担当。キャッチコピーは「大量破壊マシンガンゲーム」「撃ちまくれ!壊しつくせ!」

ストーリー

2030年。南米の某国で、テロリスト「パウロ・ゲラ」が率いるテロ組織と軍の一部が共謀しクーデターを敢行、国の首都を占拠した。
彼らの要求は不明だが、事態の長期化を予想したアメリカはこの状況を打開すべく、非公式特殊部隊SCAR(=Strategic Combat And Rescue)を投入。
テロ組織のアジトを衛星ビーム砲で破壊することによって、パウロ・ゲラを直接叩く作戦に出る。
SCARはこれに際し「衛星ビーム砲の照準」と「暴徒の鎮圧」という命令を受け、戦火の真っ只中にある南米へと派遣された。
プレイヤーはSCARアルファチームの新人隊員「アルファ1」「アルファ2」となり、隊長であるキングの指示の元、テロ組織に立ち向かう事となる。


基本ルール

  • 『タイムクライシス』(以下、タイクラ)シリーズと同じく、銃型コントローラーとペダルを使い「攻撃を避けながら、敵を殲滅して進む」のがゲームの流れ。
    だが、基本武器がマシンガン・破壊可能オブジェクトが多い・耐久力のある敵兵等、全体的な雰囲気やシステム面では『クライシスゾーン』の実質的な続編となっている。

『タイムクライシス』との相違点

本作は、本家タイクラシリーズから多くの点が変更されており、『クライシスゾーン』からの要素も更に強化されている。ちなみに『クライシスゾーン』では出来なかった2人プレイも可能になっている。

  • 武装について
    • 3』から採用されたプレイヤーによる武器チェンジはなく、装弾数60発のマシンガンを基本武器とし、特定の状況に応じて武器を自動的に持ち替えるシステムになっている。
    • 例えば大型兵器との戦いでは着弾で爆風も起こす大型散弾を発射する12発装填の「クラスターショット」や、高威力かつ爆風で周囲をなぎ払える10発装填の「ロケットランチャー」を使用する。またステージ3-1の狙撃ミッションでは家庭用『3』以降の本家ではお馴染みの「スナイパーライフル」を使用する。
  • 敵兵について
    • シリーズおなじみの「赤兵・黒兵・黄色兵・青兵」といった、危険度ごとの敵兵の色分けは消滅し、一般兵は基本的に同じ外見となった。
      外見で危険な敵を判別することは難しくなったが、銃火器で命中弾を撃ってくる敵には危険を示す『サイト』(1P側は赤色、2P側は青色)が出現するようになった。
      これにより、サイトが消える前に敵にダメージを与えて攻撃を阻止するか、ペダルを放して盾を構えることで攻撃を回避するかの判断を求められる事になった。
      一方チェーンソーなどの近接攻撃についてはサイトが表示されないため目視での判断が必要となる。
      • サイト表示まわりの仕様は過去作『クライシスゾーン』に似たものであるが、今回のシステム的には『バーチャコップ』のサイト表示に近い。
    • マシンガンとチェーンソーで武装した強化装甲兵[H.A.C.S.](ハックス)、遠距離からのミサイルに加え体当たりも行う二脚歩行兵器[ラプター]といった耐久力の高い敵も登場。
    • その他、全ての敵に体力が設定されているが、兵士はマシンガン2~3発で倒せる程度の耐久力であり、爽快感を損なってはいない。
      • 耐久力の高い前述のH.A.C.S.、ラプターも弱点が設定されており、そこに攻撃を加えることで大ダメージを与えることができる。弱点を突くと仲間から称賛されるので、判別も比較的容易。
  • ライフ回復要素
    • 本作では道中の回復アイテム配置は存在しないが、仲間を救助するイベントをこなすことでライフを少量回復することができる。
      • 「黄色いサイト」が銃口に出現した敵は、画面内の味方を狙っている。黄色いサイトの敵を倒して攻撃を阻止することで味方を救出したことになり、ライフが0.5回復する。
      • 失敗すると味方が死亡するが、ライフ回復失敗そのもの以外のデメリットはない。
    • ちなみにアーケード版のタイクラでライフ回復が取り入れられたのは初代以来。家庭用を含めたら『プロジェクトタイタン』以来となった*1
  • 2人協力プレイについて
    • 本作も『2』以降の本家タイクラシリーズと同様に2人協力プレイが可能。
      これまでのタイクラシリーズでは1人1画面×2=2画面及びそれぞれで異なる視点の方式となっていたが、本作は2人で1画面及び視点を共有する仕様となっている。
      • これに合わせて、回避動作が遮蔽物ではなく盾に隠れる演出となった。この演出は1人プレイ専用だった『クライシスゾーン』から受け継がれた演出でもある。
  • その他
    • テロップの単語は変更されているが、 移動中 / ポイント到着・攻撃可 を各種テロップで知らせてくれるシステムは本家から継承。本作では前者が「 STAND BY 」/後者が「 ENGAGE *2。また落下物などの直撃が迫ってくると「DANGER」と表示されるのは本家と同様。
    • タイクラシリーズ全体を含めて、本作はシリーズで初めて画面比率がSDからHDのワイド比率へと変更*3
    • 本家とは異なり、照準がゲーム中も常時表示されている。シリーズとしてだけでなくケーブル接続式ガンコンのガンシューティングとしては異例。
    • 多くの本家シリーズと同様に、本作も照準調整をゲーム前に行うことが可能。やり方は後述の「評価点」にて記述。

ステージについて

3ステージと、隠しステージ1つ。隠しステージに進むにはステージ3ラストのEXミッションを成功させる必要がある。

+ ステージ情報。隠しステージ情報を含むため注意。
  • STAGE1 -遭遇-
    • 主人公の所属するアルファチームは地上を鎮圧するブラヴォーチームとは別に空中からヘリで敵を殲滅していた。しかし、敵の大型機動兵器ロングレッグの攻撃に遭い、ヘリは墜落。
      どうにかディアマンテ・ホテルに墜落できたアルファはブラヴォーと合流すべく、テロリストや反乱兵の集結するホテルを強行突破する事となる。
    • 手榴弾や大型兵器・救助イベントなど、本作独自の要素をひと通り並べたチュートリアル的ステージ。ホテルを利用していた民間人を避けて敵を狙撃しなければならない局面もある。
    • ボスは大型兵器『ロングレッグ』。機銃にミサイル、レーザー砲と幾多もの兵器を切り替えて襲ってくる相手に対し、SCAR隊員達は武器をロケットランチャーに切り替えて迎撃する。
  • STAGE2 -突破-
    • なんとか戦闘車両を使い市街地で戦闘中のブラヴォーとの合流に成功したアルファ。だがSCARの介入を知った敵は、大部隊をけしかけて何としても彼らを殲滅しようとする。
    • H.A.C.Sやラプターも増え、ここから攻撃は苛烈になってくる。序盤で 撃っちゃいけねぇ的 民間人救出も発生するが、幸いこのゲームでの民間人救出はこれが最後。
    • ボスは1面と同じ『ロングレッグ』が2機。攻撃方法はほぼ同じだが、遠方にいるので弱点を狙いにくくなっている上、なぎ払いレーザーの攻撃頻度が上がっている。
  • STAGE3 -決戦-
    • パウロ・ゲラのアジトを見下ろすビルに到着したアルファチーム。衛星ビーム砲の準備が整うまで、スナイパーライフルでビル屋上に展開する狙撃兵を排除し、照準を制御する隊員オニールの護衛を行う。
      衛星砲が発射され、アジトが壊滅するも、敵はまだ諦めていなかった。大量の敵部隊に加え戦闘ヘリまで持ち出してきた敵の猛攻を退けるも、突如出現した4脚型機動兵器に対し甚大な被害をこうむる。
      辛くも4脚型機動兵器を退けたアルファだったが、驚異的な生命力で復活した機動兵器はミサイルを発射。アルファらのいる空中回廊を殲滅しようとする。
      • ステージ最後のEXミッション(機動兵器のミサイル迎撃)の成否でステージ4に進めるかが決定。EXミッション中でのプレイヤーたちの足場の耐久力は、道中で取得したドックタグの数に比例して強化される。
  • STAGE4(EX) -救出-
    • 別働隊として動いていたブラヴォーは、敵に包囲されピンチに陥っていた。ブラヴォー隊長のハントの通信を聴いてその状況を知ったキングらは上層部の静止を振り切り、ブラヴォーの援護に向かう。
      廃墟と貸した市街地を駆け抜けながら、なんとか敵の大攻勢を殲滅したアルファ。しかし敵は大型爆撃機という切り札を用意していた。
    • 救出イベントや特殊武器の使用など、今までに登場した要素がふんだんに登場する総復習的なミッション。最終面を飾るにふさわしい難易度の高い構成になっている(後述)。これをクリアすることで、真エンディングに進む。

評価点

  • キャッチコピーに相応しい、破壊の爽快感
    • 『クライシスゾーン』は、マシンガンと本家より大幅に増加した破壊可能オブジェクトによる爽快感がウリの作品だった。今作ではその点が更に進歩、「視界に入るものの大半は破壊できる」と言っても過言ではない。
      建物の壁や柱を撃てば剥がれて破片が飛び散り下地が露出、露店の果物や給水塔は果汁や水を飛び散らせながらひしゃげ、建造物や大型兵器はロケットランチャーの一撃でスクラップに変わる…と、爽快感は抜群。
      • これらのオブジェクトの物理演算には物理エンジン『Havok』が採用されており、アーケード版のデモループ中にロゴが確認できる。
      • 狭い隙間から狙撃してくる敵兵、銃だけを物陰から出して攻撃してくる敵兵も多いが、そういった場合は敵兵が隠れている場所を銃撃で破壊できるようになっており、攻略面でも破壊することが重要になる。
      • また、シリーズ恒例の攻撃オブジェクトも健在。お約束の「赤いドラム缶」や工事現場の足場など、撃つことで敵を一掃できるオブジェクトが要所要所に用意されている。
    • 基本はマシンガンだが、随所随所で特性の異なる様々な武器に持ち替えることになるので飽きが来ない。それら全てが装弾数が多く、こまめにリロードする必要が無いので長時間ぶっ放していられるのも評価点。これらの武器はスナイパーライフルを除き総じて攻撃範囲が広く、まさに大量破壊を味わえる。
      • 登場している武器は厳密には全てフルオートになっており、武器毎に連射速度が大きく異なるもののトリガーを引きっぱなしで発砲し続けることが可能。
    • 本編シリーズからある要素だが、スコア稼ぎに関する要素も先程の破壊の要素と合わせて更に熱く、かなりのスコアを稼げるようになった。
      • 敵兵を排除しつつ、壁や柱を撃ってヒット数を維持し、また敵を撃って高いヒット数を稼ぐ…このような稼ぎ方のできるスポットがゲームの随所に存在する。
        攻撃を正確に察知・回避しつつ撃ち続ける必要があるので、戦略と経験が必要という緻密な面もあるが、シーンによっては500Hit以上はザラ、上手くいけば約1000Hitも稼げてしまう。
      • そしてエリアを素早くクリアして得られるタイムボーナスも健在で、スコア面での比重も高い。ハイスコアのためにはただ撃つだけではなく、倒す順番も考えながら撃つ必要がある。
  • コテコテのアクション映画のようなゲーム全体の雰囲気
    • 全体的に「賑やかを通り越して(良い意味で)やかましい仲間達が終始喋り合いながら敵と戦う」という雰囲気で、戦争映画が好きな人には受けること間違い無し。
      イベントシーン以外でもプレイヤーの状態に応じて味方隊員がしゃべりまくるため、『タイムクライシス4』以上に仲間たちと戦っている感覚を得ることができる。
      • 中でも副隊長的な隊員〈シン〉はやかましい傾向が強く、ステージ1を例に挙げると「うぜー!群がるんじゃねー!おらあ!」と敵兵に一人で突っ込み、キングに「ミラー!あの馬鹿をカバーしろ!」と怒られる、
        終盤で敵兵に囲まれた際にも「キング!俺の大事なケツを守ってくれ!」と言うが「馬鹿野郎!お前の汚ねーケツはお前が守れ!」と冗談交じりに戒められる…といったムードメーカーな役割のノリのキャラとなっている。
    • この雰囲気はコンボを繋げている時も全く自重なく、コンボ数が少ないと「いいぞ、アルファ○!*4(以下省略)そのまま当てろ!!」「いい腕だな!」程度だが、
      コンボが増えてくると「やばすぎる腕だぜ!」「ぶっとんだ腕だな!」「まるで精密機械だな!」「もうオニールより上じゃねぇか!?」「お前が味方で良かったぜ!」と、これでもかと褒めちぎってくれる。
      • その他にも先述した通りH.A.C.Sやラプターといった強化装甲の敵の弱点を突くと「うまい!○○(敵名)の弱点を突いたぞ!!」「アルファ○がポッドをぶっ壊した!!」「お前なかなかセンスあるな!」と褒めてくれ、
        味方救出に成功した際も「お前には安心して背中を任せられそうだな」「今のはいいぞ!」「礼は言わねーぞ」など、とにかく事あるごとに褒めまくってくれる。
      • 当然褒めるばかりではなく、間違えて民間人を撃ってしまうと怒鳴られたり、被弾すると「調子に乗るな!!」「これ以上やられるんじゃねーぞ!!」と怒声や悲鳴を上げたりする。
        そしてライフがなくなりコンティニュー画面になった際には「アルファ○、戦闘不能!」「アルファ○がやられた!!」といった一般的なものから、「嘘だろ、アルファ○!?返事をしろ!!」と言って鼓舞してくれると非常に熱い。これらの実に男臭い演出に爽快な破壊演出が加わる事で強烈なインパクトを醸し出している。
    • ちなみに音声は『タイムクライシス4』と同じく日本語と英語両方収録されているが、音声切替にはオペレーター向けのテストモードへ入る必要があり、日本版のデフォルト設定では日本語設定となっている。
  • ガンシューとしては按配の取れた難易度設定
    • いつでも隠れることができる、敵の攻撃が分かりやすい、ライフ回復も随所にあるなどプレイヤーに有利な要素が多く、後述のステージ4を加味しても決して「理不尽」と言えるような難易度ではない。
    • 本作は遮蔽物に少し移動して隠れる本家とは異なり盾で防御する位置及び物理的な関係上、防御している最中も完全に敵が見えなくなる訳ではなくある程度状況や敵の動向を窺うこともできるようになったお陰で、「表に出た瞬間に再び飛んできた命中弾をなすすべもなく喰らってしまった」という本家でありがちであった理不尽な例も殆ど改善されているのも良心的な点。
    • ガンシューティング恒例の初見殺し要素*5自体はそこら中に出てくるので、ある程度はプレイしなければノーコンティニュー(ワンコイン)クリアは狙えないが、腕前を高めていけばちゃんとノーコンティニュークリア可能。
      • 初見殺しポイントも大抵は腕次第で潰すことができ*6、むしろ克服することで上達を味わえる要素になっている。
    • 一方で今作はゲーム内ランクの上昇が非常に早く、ノーミスだとステージ1後半から敵兵の攻撃速度が上昇。最高ランクになると「サイトが出た瞬間に隠れないとほぼ被弾」ということがザラに発生する。
      とはいえ事前にサイトで攻撃を教えてくれることは変わらないので、慣れさえしてしまえば通常の攻撃には殆ど被弾しなくなるという、上記同様の自らの腕前向上を感じられる作りにもなっている。
    • そしてノーコンクリアが余裕になり、スコア稼ぎも意識するとなると先程の評価点「破壊の爽快感」の項目でも記したように、コンボやタイムボーナスの兼ね合いを考えてかつ確実に敵の攻撃も回避及び撃ち落とさなければならなくなるお陰でかなりハードで歯応えのある難易度及びゲーム性となり、やり込み要素も満載となっている。特にコンボを繋いだり早くクリアする為の敵を巻き込んだりできるオブジェクトや画面スクロールや配置を考えて効率よく倒せる順番を考えるのはかなり戦略性があるといえよう。
  • 『タイムクライシス4』に引き続き照準調整モード搭載
    • 入り方は「事前にプレイする側のトリガーを引き、ペダルを踏んだ状態でスタートボタンを押してゲーム開始」。長期稼働等で照準がズレている台でもプレイヤーの手で調整できるのは嬉しい点である。
      • また、照準調整を終えるとガンコンの振動機能の有無を設定できる。こちらもハイスコア狙いでの精密射撃等で振動を嫌うプレイヤーにとっては有難い機能。
      • 残念なのは『タイムクライシス4』や『タイムクライシス5』と異なり、筐体上に入り方が記入されていない事だろう。

問題点

  • 回避に関しての仕様変更
    • 本家と違い、ペダルを離した際にタイムラグがあり、盾を取り出して隠れきるまでは敵の攻撃を喰らってしまう。他のシリーズをやりなれている人ほど違和感があるだろう。
      しかも、これは敵の攻撃に関してだが、本作の手榴弾やミサイルは赤/青のサイトも表示されず、爆風や敵の弾や背景物に紛れて飛んでくることが多いせいで慣れるまでは見落としやすく*7、気づいた時にはペダルを離したものの今度は先述したラグのせいで結局防げなかったという例も割と起こりやすい。
      • もっともこの盾はゲーム中のいかなる攻撃もやり過ごせる事もあってか、常人では持てないであろう非常にゴツくて重そうな見た目になっており、一応の説得力はある。
      • また評価点で記したように、本作は本家とは異なり防御の最中も敵の動向や状況を窺うことができるため、その代わりの釣り合いを取る形での調整と取る事もできる。
  • EXミッションの耐久力に関わるドックタグ
    • ドッグタグは緊急ミッションことEXミッション前の各ステージに隠されており、特定箇所を撃つことで手に入る。「化粧品売り場の香水瓶」「ホテルの柱」「敵の真上の蛍光灯」等、知らなくても戦闘で破壊されそうなものが多い。
      だが、「敵と交戦している仲間の手前の手すり」「数十枚も並んだソーラーパネルの中のある一枚」等、知らなければ絶対に取れないものも幾つか見受けられる。
      仲間を誤射しても別に何も起きない仕様ではあるが、予備知識なしでは誰が仲間の周りを撃つなんて考えるだろうか…。
    • とここまでは(一部が意地悪な配置なのは別として)普通に他のゲームでもあり得る要素である「有利になるアイテムの収集」なのだが、問題はドッグタグの存在や効果の説明はゲーム内外で一切行われないこと。「隠し」要素であるとはいえ失敗すれば強制的にその場でゲームオーバー(つまりバッドエンド同然)である。そして普通にエンディングを目指して先に進むためにプレイをしたとしても、事前説明が一切ないのは、あまりにも不親切だし初見殺しにも程がある。
      • この問題点は約3年後に稼働開始した同社かつ同ジャンルの『ダークエスケープ』でもそっくりそのままやらかす事になる。
  • アーケードのガンシューとしては控えめな難易度となっているが、先程のEXミッションを切り抜けた先に待っている最終ステージこと4面だけは別。ここで挫折した人も多いのではないだろうか?
    + 以下、ステージ4について。ネタバレ注意
    • まず、夕暮れ時の街に兵士のカーキ色の服装が溶けこみ、カムフラージュになってしまっている(特にステージ後半で顕著)。
      そのほか、撃ちにくい場所に的確に陣取る敵や、オブジェクトを倒壊させて巻き込めば楽に倒せる耐久度の高いH.A.C.S.など、知らないと対処しづらい敵が増える。
      • 終盤ステージの難所が「夕暮れの屋外」という視認性を意図的に悪くしたであろうシチュエーションである点は、初代『タイムクライシス』から散見されてきた点ではある。
    • そして当然ながら、敵兵の攻撃速度も上がっている。ここまで来ると「サイトが出るか、音が聞こえた瞬間ペダルを離す」くらいの心持ちでないと確実に被弾してしまう。
      • 中盤の味方救出イベントは鬼門。仲間が二体の敵に狙われており、敵を倒して阻止する必要があるのだが、知っているプレイヤーでも仲間を助けられない場合も多々ある難所である。
        具体的には「最も右にいる仲間を狙う敵」「間髪おかずにこちらを狙ってくる真ん中の敵」「真ん中の敵とほぼ同時に味方に狙いをつける敵」が同時に存在しており、悠長に敵一体一体に照準を定めている暇はない。
        • 一応、仲間を狙っている敵に一発でも当てればサイトが解除されるので、流れるように掃射すれば防ぐことができるが、ここまで来ると攻撃速度もかなり上がっているので、阻止できるかどうか…。
    • そして、真の悪夢は最終ボス。
      • 攻撃頻度がかなり高く、かつ高速。中盤から登場する砲台では更に激化し、6~7連続でサイトが出現することもザラにある。
        しかも砲台は「耐久度有り」「非攻撃時は装甲に隠され、攻撃時のみ装甲を開いて弱点となる」という厄介な特徴も持ち、的確に攻撃中のタイミングで狙い撃って耐久度をゼロにしないと破壊できない。
      • これら装甲つきの砲台と装甲なしの砲台が10基以上ズラリと並んでプレイヤーを圧殺しようとしてくる。運が悪いと攻撃のチャンスすら与えてもらえないこともある。
        唯一の救いは、装甲のない砲台には普通にダメージが入ることと、ある程度砲台を破壊したら時間経過で先に進めるということ。もし完全破壊が撃破条件であったら、クリアは半ば絶望的であっただろう。
        • 更に砲台からビーム弾幕や外れの光弾はどれも青系の色であるため、2P側でプレイした場合これらが保護色となってサイトが見えにくくなってしまう弊害も発生する事に。
      • この大量の砲台の猛攻をくぐり抜けると巨大なビーム砲を破壊することになるが、このビーム砲は攻撃の間隔がかなり長く、ここまで来たら勝ったも同然。
    • ここを余裕でクリアできるようになり、ハイスコアを目指すとなるとさらなる試練が待ち構えている。
      • 見づらい敵、激しい攻撃もあってコンボが継続しにくく、コンボ数が際限ないだけに一回途切れるだけで8~10万点も差が付くような場面すらある。上級者であっても、決して楽ではないステージと言える。
  • 物語が“終わらない”。一言でいうと「戦いはこれからだエンド」。打ち切られたマンガの最終回のよう。
    • そしてそれが真エンドである。ドッグタグをコンプリートしようが、ラスボスを全て部位破壊しようが変わらない。
      • 概要は後述するが、PS3版の本作追加モードにてその内容が補完された。それは本編でやれとの声が上がったのは言うまでもないだろう。
  • 筐体の仕様
    • ガンシューティング共通の欠点ではあるが、筐体が大きいので設置場所が限られ、筐体の部品も専用品ばかりなので、メンテナンスに手間とコストがかかる。
      • 本シリーズでは大型のDX筐体と省スペース化したSD筐体*8の2タイプ用意される事が多い*9のだが、本作では稼動当初はDX筐体のみだった。
        後にSD筐体版も販売されたが、本作の稼動から約1年後のリリースだったことから、国内での現存数が非常に少ない希少機種となっている。
      • これでも、筐体/基板2基(席)で一式となる『2』以降の本家とは異なり、本作は筐体/基板1基だけで一式分となるため、過去作よりは設置と運用ハードルが下がった方なのだが…*10
    • ガンコンは本編作よりも遥かに大きいサブマシンガン型。本編で主人公達が使っている銃の再現なのだろうが、強力な振動機能のおかげもあって重くて持ちにくい。振動と腕の疲労は射撃精度に関わるのでプレイヤーにとっても大きな問題。
      • デザインは持ちやすいように配慮されてはいるが、フォアグリップが付いていた『クライシスゾーン』のそれに比べると若干持ちにくい*11
    • 以上二つの理由から、設置店舗はやや伸び悩んでしまった感がある。
      現在ではPS3に液晶などモニターを問わず使えるガンコン3及びPS Move対応で(ほぼ)完全に移植されているので(「家庭用移植、余談」にて後述)、今から興味を持ったりプレイしたい方はそちらで触れてみる方法が残されているのが幸いである。

バカゲー要素

またこのゲームにはツッコミ所が多いのも有名。例えるならば、細かい設定は二の次にして見た目を重視したハリウッド映画またはB級映画のごとし。例を挙げるとキリがないので、有名なものだけを抜粋する。

  • SCARが強すぎる。他のシリーズでも「ただの訓練された人間」であるはずの主人公たちが超人的な動きを見せることがあったが、このゲームのSCAR隊員はそれを超えている。
    • 盾の耐久性は前身作の『クライシスゾーン』の時点でなかなかイカれていた*12が、本作のそれはどう考えても上回っている。「ゲームだから」と言えばそれまでだが。
      • チェーンソーやミサイルは勿論、ヘリを撃墜した巨大4脚歩行兵器「ロングレッグ」のレーザー照射・アームの薙ぎ払い、おまけにラスボスの街一つ焼き払えそうな極太ビームだろうがガツンとガードしてしまう。
    • また、相手にする兵器群も個人携行型の重火器で倒せるとは思えないのがほとんど。
      • ロングレッグはモビルスーツクラスの大きさで、「ビーム砲という弱点を突いたから倒せた」とするとしても、ラスボスはシリーズ最大の超弩級爆撃機である。
        10発装填というオーバーテクノロジーなロケットランチャーがあるとはいえ、どう考えても人間、しかも小隊程度の規模の人数でどうこうできる相手ではない。
      • ラスボスと相対した際、隊長のキングが「世界最強の兵士の力を見せてやれ!!」と意気込むのだが、宇宙最強と言ったほうがしっくりくるレベル。
        その割に、死ぬときはあっさり死ぬ。仲間は救助に失敗すれば容赦なく死ぬし、ステージ1序盤のラプターの乱入やステージ3など、仲間がやられたり簡単に劣勢に陥ったりするシーンも多い。
  • 作戦も大概なまでにおかしい。
    • アーケード版で語られた設定通りなら、まず「衛星砲」などという大掛かりな兵器を使うなら非正規軍のSCARがわざわざ出動する必要はない筈。そもそも「クーデター鎮圧」という大義名分があるのだから、普通に軍隊を送ればいいだけの話。
      • アメリカが極秘裏に事を進めたがっているとしても、街中でドンパチ鎮圧作戦を行うのは非公式の部隊としてどうなのか。パウロ・ゲラに逆にSCARの存在を公にされればアメリカの立場が悪くなることは明白。
      • これらの前提を無視したとしても、衛星砲を使うなら何故SCARに気づいていない屋上の狙撃兵をいちいち排除する必要があるのか*13、何故人質と思しき人間を確認しながら平気で人質ごとふっとばしたのかなど、疑問は尽きない。
      • PS3版では「クーデター時に現地にいた要人がテロリスト達に拉致されており、SCARの派遣の理由の1つに「要人救出」があった」という設定が追加されている。

他にも突っ込みどころは多いが、それはプレイヤーの目で確かめてみてほしい。これを笑いどころと取るか、設定の練り込み不足と取るかはあなた次第。


総評

『クライシスゾーン』の10年来の再来は、『タイムクライシス』本編と比べても見劣りしない出来の名作。
他の作品よりも若干クセのある内容ではあるが、破壊のカタルシスを求める人には是非プレイしてみてほしい。


家庭用移植、余談

  • 2010年10月21日、バンナムの人気ガンシューティングをひとまとめにした『ビッグスリー ガンシューティング』の収録作品として移植された*14
    • 移植に際しタイトルが『タイムクライシス:レイジングストーム』と変更、それに伴いロゴデザインも大きく変更され、本ゲームが正式なクライシスシリーズのひとつ(外伝)と位置づけられた。
    • 移植度は元々PS3との互換基板採用作だっただけになかなか高く*15、本編の「これから」エンド後を描いたストーリーモードの他、オンライン対戦機能やミニゲーム「プリズンスナイパーモード」も搭載。プレイバリューのある骨太な一作となっている。
    • PS3版『タイムクライシス4』(単品移植版)に続き、ガンコン3にも対応している。他にもPS Moveのモーションコントローラー及びガンアタッチメントにも対応。加えて本作のみナビゲーションコントローラーも追加の補助動作用として使用できる。
      • なお、ガンコン3対応作は本作とタイクラ4のたった2作のみに終わっている。
  • 後に本家ナンバリングとしては『4』から約9年、シリーズ全体含めても本作から約6年ぶりの新作となった『タイムクライシス5』の作中では、兵器H.A.C.S.など本作からの逆輸入とも言える要素が幾つか登場している。
    • また、そのP1側主人公のフルネームは“ルーク・オニール”なのだが、本作のオニールとの関係は不明。
  • 因みに“レイジングストーム”でネット検索すると、大抵は超必殺技がヒットする。
    • 奇しくものちにその技を使うキャラが、同社バンナムが発売している人気格闘ゲームシリーズのナンバリング7作目にてゲスト出演を果たした。

+ タグ編集
  • タグ:
  • 2009年
  • AC
  • ガンシューティング
  • バンダイナムコゲームス
  • タイムクライシス
  • ネクスエンタテインメント

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー利用規約 が適用されます。

最終更新:2024年03月26日 23:13

*1 初代は40発、『プロジェクトタイタン』は30発を、それぞれ外さずに敵兵へ連続で命中率させる度にライフを1個回復する事ができた。また後者はゲーム中の特定の場所にアイテムとして回復が設置されている箇所も存在した。

*2 本家では移動中が「WAIT」/ポイント到着が「ACTION」。

*3 家庭用を含めるとPS3版『タイムクライシス4』が初。元のアーケード版『4』はSD比率。

*4 ゲーム中ではプレイヤー1側が〈アルファ1〉、プレイヤー2側が〈アルファ2〉と呼ばれる。

*5 手榴弾、敵に放り投げられる味方隊員、ラプターの体当たり、H.A.C.Sのチェーンソー2度斬り、いきなり画面を横切る民間人、ロングレッグの薙ぎ払いレーザーの往復、狙撃イベント、4脚型の噛み付きや殴りつけ攻撃など。

*6 隊員を投げた後突撃してくるラプターはシビアながら体当たりを食らう寸前で撃破可能、H.A.C.Sの二度斬りは背中のタンクを壊していれば2回目を出させずに仕留められる、など

*7 一応黄色の三角形のサイトは手榴弾やミサイル自体に表示されるが、これも背景や爆風などの保護色となりやすく、やはり見落としてしまう場合も割と多い。

*8 それでも通信協力モードを搭載した作品はモニター等を2つ使う関係上、他の筐体と比べてどうしてもサイズが大きめになってしまうが。

*9 『コブラ・ザ・アーケード』と後の『タイムクライシス5』の2作品は1タイプのみ。

*10 特に本家のDX筐体2台一式と比べると顕著。しかし本作は2人で1画面を共有する関係上、本家のように別々に1人プレイを行えない欠点がある。

*11 もっともあちらはグリップが銃身とほぼ垂直についている(腰だめ撃ちでないと辛い)ため、一概にあちらが持ちやすいとも言えない。

*12 戦車の主砲や、攻撃ヘリの爆弾の直撃・ブレードによる斬撃も平然と防いでいた。

*13 オニールが測定に使用しているポインティング・デバイスが可視光線であるためなのだが、狙撃シーンの最初と最後にちょっと見える程度なのでプレイヤーには分かりづらい。

*14 タイトル通り同社のガンシューティング3作品のオムニバスソフト。本作以外の収録作は『デッドストームパイレーツ』、『タイムクライシス4』のアーケード版。

*15 アーケード版とのわかりやすい差異は、「アーケード版のOPムービーが削除(代わりにオリジナルのストーリーモードの場面なども含めた新規のOPムービーが『ビッグスリー』自体のデモ画面に収録されている)」「本編中のデモムービーのスキップ方法がボタンに変更され、それに伴い右上に表示されていた「画面を撃つとスキップ」のテロップが削除された」「各ポイント及びステージのリザルト画面におけるハイスコア表示に付随するプレイヤーの現時点でのランキングが削除され、代わりにハイスコア表示が大きくなり、更新時は「NEW RECORD!!」のテロップが表示されるようになった」など。