NIGHT STRIKER

【ないとすとらいかー】

ジャンル シューティング
対応機種 アーケード
販売・開発元 タイトー
稼働開始日 1989年
判定 良作


その昔、擬似3Dというジャンルがあった。2Dの技術であるスプライトを用い、その名の通り擬似的に3Dを実現したゲームのことであり、ハード性能の限界と理想の間の苦肉の策であった。しかしながら「本物の」3Dにはない味があるという人も多い。
1985年にリリースされたセガの『スペースハリアー』が大ヒットし、数は少ないながらも各社それに倣った作品を擁立した。
89年にリリースされた本作もその一つとしてよく語られるタイトルであり、ポリゴン基板が一般化される前の3Dシューティングの集大成的な作品となった。

ストーリー

組織的テロが横行する近未来、レーザー工学の権威であったマスカ博士が娘とともに何者かに拉致された。
国連特務機関情報部は博士がテロ組織から脅迫され超兵器を作成しているとの情報を入手、
ダグラス長官は国連特務機関特別行動隊「ナイトストライカー」に命令を下し、高機動ホバー機「インターグレイXsi」は任務遂行のために出撃する。

概要

  • 自機の真後ろ視点で進行するTPSタイプの3DSTG。勿論強制スクロール。速度調整は不可能。
  • 自機「インターグレイXsi」を操縦桿型のアナログレバーで操縦する。手前に引き倒せば上昇し、奥に倒せば下降する。反応は非常にクイックで、アナログレバー独特のレバーの入れ方により大胆かつ繊細な移動が可能だった。
  • レバーには上部にトリガーがあり、トリガーと同機能のボタンもついている。
    • トリガーまたはボタンでショット。レバー入力と同時にショットを撃つことにより誘導性能のあるショットを発射。オート高速連射。
  • 樹形図型ステージ選択式。ラストステージでは自機がステージ事に違った変化をする。結末も各ステージ毎にもちろん違う。
  • シールド制となっており、初期値は5となっている。敵の体当たり、敵弾、または地形に当たることにより消費し、0の状態でダメージを喰らうとゲームオーバー。
    • シールドはステージクリア時に1回復し、全面クリア時に残りシールド数に応じてボーナスが入る。
  • ステージは道が存在する市街・郊外・ビル街・地下道、水上面の運河・海上、建物内の工場・寺院、それと空中となっている。
    • 疑似3Dの代表作『スペースハリアー』と大きく異なる点は「道」の概念。ドライブゲームのように曲がりくねり、アップダウンもある。
    • 自機は浮遊能力もあるため、道なりに走る必要はない。だが障害物が存在するため、空中で激突するリスクもある。

長所

  • タイトーお得意のZUNTATAによる軽快な音楽。本作の楽曲を担当したMar.こと高木正彦氏の代表作の一つとして今も名が挙げられるほどの名曲揃い。
    • 疾走感溢れる作風の良曲が揃い、プレイ中の高揚感はかなりのもの。このゲームにハマったプレイヤーからは「運転中に聞く事は危険」と言われる。
    • 特にコイン投入後のステージAで流れテンションを一気にかきたてる「URBAN TRAIL」、浮揚感がたまらない「FLY AWAY」、終盤戦で流れた時は非常に盛り上がると評される「BURNING ROAD」、
      ラスボス戦を盛り上げる「BOSS 6」、エンディング後の寂寥感と無常感を響かせる「シ・メール」は評価が高い。
  • 「夜の街を駆け抜けろ!」のキャッチコピーに偽りなしの、統一された世界観。ネオン輝く町並は美しく、高速で流れて行く景色は印象的かつ幻想的。
    • 専用筐体左右(モニターの両側)にはパトランプ(パトカーについてるくるくる回転して光る赤いアレ)の中身が内蔵されており、疾走感をあおってくれる。
    • またあえてステレオサウンドを左右では無く、前後に割り振った思い切りの良い設計で、音響面でも音を前から後ろに飛ばす事で疾走感を煽る*1
  • スコア関連が非常に豊富
    • 絶えず地面を走り続ける事で増加する得点、ショットボタンを押さずに一切の敵を倒さず(敵の自爆や一定面での護衛機の攻撃による撃墜による加点は可)かつノーダメージでステージクリアするともらえる多大な「パシフィスト(平和主義者)ボーナス」など、主だった稼ぎ要素がSTGとしては異彩を放つことでも知られる。
    • 障害物の隙間を通り抜けるとボーナスがもらえる等、稼ぎ要素は豊富。それに魅せられ、今もなおハイスコアの限界に挑む人が存在している。
    • 全ての敵を破壊した際には「ワイプアウトボーナス」が貰えるが、パシフィストボーナスの方が大きいので、結果的に上級者は敵を倒さなくなる。
    • 開発者も相当稼ぎを意識して作っており、ウソスコア申請対策として「正規スコア検知機能」がある。どのような仕様かは明かされていないが、ラストステージをクリアすると入る、末尾の点数が関係しているとの説が有力。
  • 良好なゲームバランス及び難易度。
    • ただ適当に動き回っていれば良いというわけではない、正確な回避及び迎撃軌道を要求させるミサイル発射・地形配置はなかなか。
    • ステージクリア毎にアーマー(耐久・HP)が1(設定次第で最大3ずつ)回復するようになっており、初期アーマーが(デフォルト)5なのでクリアまでに1ステージ2回のダメージが容認される。
    • コンティニューにも制限がなく、本作ではゲーム展開が常にノンストップ状態でボス戦も短いため*2、金任せのゴリ押しプレイでもエンディングは拝める仕様となっている。

短所

  • 専用筐体は非常に壊れやすい。特にアナログレバーが顕著で、繊細な動作不良でもゲーム性に直結するためオペレーター泣かせであり、プレイヤー側も敵弾回避には一気に逆方向にレバーを倒す動作が頻繁に要求されるため優しいプレイができない。
    • 原価も高かったらしく、稼働数がかなり少なかったらしい*3
      そのため現存する一般人がプレイ可能な純正筐体は秋葉原Heyの1機しかないと言われていた。そのHeyの筐体もやはりレバー基部が折れてしまい、2017年11月頃より稼働が終了、2018年2月には「当面純正筐体では稼働させない」という報告が出てしまった。その後長期入院していたが、2018年8月末にようやく復旧、おなじ直営店である溝の口MEGARAGEで出張営業を開始。同年11月に1年の入院と長期出張を経てにHeyに帰還した*4
      Heyでの稼働時からモニターが非純正になっていたり、ライトストリームシステムはダウンしたままで、この2つは今回の長期入院でも修復されなかった。故にフルオリジナルの筐体は個人所有しているコレクターの物しかないと思われる。
    • 長らく日本にはこの1台しか純正可動筐体が無いと言われていたが、大阪新世界の謎のレトロゲームセンター「ザリガニ」にて稼働している事がねとらぼの記事により発覚した*5。しかもHeyとは異なり、フルオリジナルを保っているとのこと。
    • アップライト筐体に『スペースハリアー』用のコンパネを使い、稼働させた物もあるのだが、音響の前後振りや、ライトの回転が出来ないため、疾走感は純正筐体が最も感じられる。そしてそのアップライト版で暫定稼働させた秋葉原Heyも、初日からレバーが破損してしまったほど、筐体に厳しいゲームである。
      • レバーの壊れやすさに集中しがちだが、シート(椅子)がレールにねじ止めされているのだがこれがかなり外れやすい。ゲームオーバー後にシートをずらそうとした所、シートごと後ろにひっくり返る事故も発生した。
  • ラストステージでの演出について
    • ラストステージでパワーアップするのはいいのだが、ステージPでは自機がフィギュア(人型ロボット)形態に変形する。見た目のインパクトはなかなかのものだが、自機が大型化する関係で当たり判定も大きくなり、更に前方が見難くなって被弾・撃沈しやすくなると言う、事実上のパワーダウンとなってしまっている。
      ショットは強力*6になっているのだが、先述の通りハイスコアにはパシフィストプレイが必須なので意味が薄い。
    • さらにステージSではこれまでのダメージの蓄積により白煙を上げ始めた自機から緊急離脱したバイク型の脱出ユニットで戦うという設定で、このユニットはホバー機能がないため、空中機動に大きな制約が加えられる。ただし、フィギュア形態と同じショット仕様になる上で当たり判定が小さくなるので弾に当たりにくいという密かな長所もある。
  • 上記、「壊れやすい」に通づる所もあるが、レバー操作が急激な(乱暴な)場合に時折ショットが発射される事がある。普通にプレイする分には問題無いかもしれないが、パシフィストボーナスを狙うと途端に厳しいものとなる。

総評

全体的にゲームセンターへの出回りが少なく、かつ筐体自体も壊れやすかったことから、稼働当初はマイナスのイメージで見られていた。

だが、良好なゲームバランスはもちろんのこと、印象的な世界観とそれに合わせた疾走感の強い音楽から織りなすゲーム全体の雰囲気、上級者による超人的なパシフィストプレーといった要素の数々でプレイヤーを魅了。最終的に稼働当初のマイナスイメージを吹き飛ばしたどころか、1991年の「ザ・ベストゲーム」を受賞し伝説の作品として位置づけられた作品。

移植

  • PS・SS移植版(いずれもビング製)
    • どちらもアナログスティックに非対応で、劣化移植と言われている。デジタル入力では独特なテクニックを要求される本作の操作には耐えられない。ソースコードを紛失*7したため見様見真似で作られたデッドコピーとなっており、正確には移植とは言わない。
      • SS版は「ナイトストライカーS」としてリリース。デモムービーが製作されたほか、ステージ分岐の無い「エクストラモード」が追加されたりと、PS版よりは充実した内容となったが、ステージの読み込みに5秒ほどかかるなど、テンポは悪くなってしまった。
  • MCD・PS2版(MCD版(移植担当はアイシステム東京)・PS2版ともタイトー謹製。後者はタイトーメモリーズII下巻に収録)
    • MCD版は、画質は非常に粗いが、速度や爽快感などの原作要素は再現している。実際、開発にはAC版のディレクターであった「ぱぱら快刀」こと海道賢仁氏が監修・アドバイザーとして参加していた。
    • 海道氏がTwitterで明かした裏話では「MCD版開発の際、オリジナルのソースコードが用意できず、移植を担当した外注会社(アイシステム東京)がナイストを筐体ごと調達し、基板からROMイメージを吸い出して、逆アセンブル解析までして移植を行った上に、プログラマさんが筐体プレイのやり込みで(AC版の)プレイ感覚をどこまでも再現しようと躍起になっていたその熱意が今でも印象に残っている」と述懐している。
    • PS2版は所謂公式エミュレーターなので、時々音声が狂う(ただしほとんど気にならない)程度でさしあたって難は無い。ただしPS2のアナログスティックによる操作性は良いとは言えず、ゲームセンターのレバーでパシフィストを出せる上級者でも敵弾を避けきれないという話もある。またPS2対応の各フライトスティックにはほとんど対応していなかったり、連射設定が変えられない等、細かい点で不満は残る。

余談

  • このゲームの攻略ビデオがかつて新声社(ゲーメスト編集部)から出ており(販売元はキングレコード)、当時のトッププレイヤー達のプレイを収録しているのだが、その内容があまりにも素晴らしいため、メストビデオの中でも屈指の「実用性・魅せを満たした」ものと評価されている。
  • 「パシフィストボーナス」と地上走行時の得点加算増加は画期的なアイデアであったが、3Dシューティングであるにもかかわらず「襲い掛かる敵の攻撃を避けるドライビングゲーム」と比喩され開発者の胸中は複雑だったらしい。*8
    • 当時のタイトーはこのパシフィストボーナスの様に「ヴォルフィードの一発囲みクリア」等の、本来のゲームシステムに相反する仕様をこっそり仕込む事があり、まるでゲーム性の変わるのと、その点数が普通にプレイするよりはるかに高い事が賛否両論を巻き起こした。
    • パシフィストボーナスとは反対に「敵を全滅させる」と入るワイプアウトボーナスもある。全滅で100万点だが、累積加算されるパシフィストボーナスの方が得点が高い。*9
  • 当時タイトーの地方営業所の中で話題になったのがやはりレバーの壊れやすさだが、その壊れやすさの豪快なエピソードとして「米軍兵士がへし折った」というのがあった。
    • 米軍兵士という事から沖縄や横須賀だと思われるが、人力でへし折ったというのは流石に壊れやすいと言っても豪快すぎる事から鉄板ネタになった事も。